JPH0739765B2 - 2段振り子式建造物免震装置 - Google Patents

2段振り子式建造物免震装置

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JPH0739765B2
JPH0739765B2 JP17275087A JP17275087A JPH0739765B2 JP H0739765 B2 JPH0739765 B2 JP H0739765B2 JP 17275087 A JP17275087 A JP 17275087A JP 17275087 A JP17275087 A JP 17275087A JP H0739765 B2 JPH0739765 B2 JP H0739765B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は建造物に作用する地震力を軽減するようにし
た2段振り子式建造物免震装置に関する。
(従来の技術) この発明は、「点検作業空間を持つ柱式建造物免震装
置」特許公開昭61−102973の発明(以下単に原発明の免
震装置と呼ぶ)の改良に関するものである。
原発明の免震装置は、基礎と筒状の支持台からなる柱状
中空体の内部に、筒状の遊動体と、頂部に上部建造物支
持部を持つ柱状の支持脚を前後左右に適当な間隔をおい
て入子状に収容し、複数の鉛直つり材を用いて遊動体を
支持台に、支持脚を遊動体にそれぞれつって支持装置を
形成し、支持装置の下方の柱状中空体の内部に点検作業
空間を設けるとともに、凹面体と凸面体からなるすべり
対偶のうちの一方を遊動体および支持脚の底部にそれぞ
れ固着し、すべり対偶の他方を柱状中空体に設置したガ
イドにそれぞれ上下移動可能に装着してせん断力変換装
置を形成し、かつ、複数のシリンダおよびシリンダ制御
部を備えた液体シリンダ装置を柱状中空体の下部に設置
し、液体シリンダ装置のシリンダの上部に前記のすべり
対偶の他方を連結して形成されている。
(発明が解決しようとする問題点) 問題点1:原発明の免震装置および本発明の免震装置は、
建造物の最下段に柱の代りに設置するようになってい
る。したがって、その断面積は小さければ小さいほど室
の有効面積が多くなり、室内も使いやすくなる。また、
製作費も安くなり、運搬、組立も容易になる。免震装置
の断面積を小さくするためには、a.支持台の厚さを薄く
する。b.遊動体の厚さを薄くする。c.支持脚の断面積を
小さくする。d.支持台と遊動体との間を狭くする。e.遊
動体と支持脚との間を狭くする。などの方法があるが、
a、bはねじれや座屈を防止するためにあまり薄くする
ことができない。cは大きい鉛直荷重に耐え、しかも、
曲げモーメントに対しても安全な最小限の直径がどうし
ても必要である。d、eについては、振動制御部の性能
が向上すればある程度狭くすることが可能であるが、現
時点では安全上余裕を持たせておく必要がある。このた
め、原発明の免震装置の場合その断面積は柱にくらべる
とかなり大きいものとなる。
問題点2:原発明の免震装置の作動部は、支持脚に作用す
る水平せん断力を、すべり対偶の働きで鉛直力に換え、
その鉛直力を液体シリンダを介して弾性薄板積層体に作
用させる仕組みになっている。すべり対偶による鉛直力
を弾性薄板積層体に直接作用させることができれば装置
の構造はより簡単なものになるが、原発明の免震装置の
場合次の2つの経由でこの構造をとることができない。
(1)すべり対偶の一方が支持脚に固着されているの
で、すべり対偶の他方を直接弾性薄板積層体に接続する
と、鉛直つり材の伸びなどによって起る支持脚の微小な
下降によって弾性薄板積層体が座屈変形してしまう。
(2)すべり対偶の一方が深い凹面部を形成しているの
で、すべり対偶の他方を直接弾性薄板積層体に接続する
と、振幅の大きい地震動がおこったとき弾性薄板積層体
が大変形し原形に復帰できなくなる。
また、原発明の免震装置の共振回避部は、遊動体の下部
に設けられたすべり対偶と、そのすべり対偶による鉛直
力を弾性薄板積層体に伝達する液体シリンダ装置によっ
て構成されている。装置を小型化して点検作業空間を広
くとる必要があるので、作動部の液体シリンダ装置と共
振回避部の液体シリンダ装置は一体に形成されている
が、装置が複雑で製作費が高くなるのが難点である。
問題点3:原発明の免震装置の場合、内部に点検作業空間
が設けられているので、液体シリンダ装置など下部の装
置の保守点検作業は容易であるが、免震装置の上部と下
部を仕切るようにかなり大きいすべり対偶が遊動体の下
部に設置されており、しかも、支持台と支持脚との間に
遊動体が設けられているので、鉛直つり材の前後の空間
がせまく免震装置の上部の保守点検作業は容易ではな
い。また、支持台や鉛直つり材等鉛直荷重を常時支持す
る部材の分解修理を行なう場合、免震装置の外部に鉛直
荷重を肩替りする仮設構造を設置しなければならない
が、この仮設構造物は柱の直下に設置することができな
いのでその施工はかなり大がかりなものとなる。
(問題点を解決するための手段) 問題点1について:原発明の免震装置は支持台と支持脚
との間に遊動体を設けている。これは鉛直つり材の合計
長さを長くして、免震装置の固有周期を長くするため
と、免震装置の固有周期を変動させる共振回避機構に遊
動体を使用するためである。これに対して、本発明の免
震装置は、遊動体がなく、支持脚はつり材中継環を取り
つけた鉛直つり材によって支持台につられている。つり
材中継環は、支持台上部と支持脚下部を連結する鉛直つ
り材の中間に設けられており、つり材中継環の上部の鉛
直つり材とその下部の鉛直つり材は一直線上に配置され
ている。本発明の免震装置の場合、つり材中継環に相対
して設けられた中継環拘束部が、つり材中継環の移動を
拘束、または、その拘束を解除して免震装置の固有周期
を変動させ共振を回避するようになっている。遊動体が
ないため、本発明の免震装置は原発明の免震装置にくら
べてその直径が15〜20%小さくなる。原発明の免震装置
の作動部および共振回避部は、免震装置の下半分の空間
をほぼ占めているが、本発明の免震装置の場合それらの
装置の占める空間は1/3弱である。このため、本発明の
免震装置は支持台上部から支持脚下部までの距離が長
く、原発明の免震装置のように鉛直つり材を2重に設置
しなくても、鉛直つり材の必要長さを十分とることがで
きる。
問題点2について:本発明の免震装置の作動装置は、支
持脚に作用する水平せん断力をすべり対偶の働きで鉛直
力に換え、その鉛直力を直接弾性薄板積層体に作用させ
るようになっている。支持脚とすべり対偶数との連結部
は、水平力だけを伝達し、鉛直力を伝達しない構造にな
っているから、鉛直つり材の伸びなどによって支持脚が
下降しても弾性薄板積層体に鉛直力が作用することがな
い。また、本発明の免震装置の場合、すべり対偶の一方
が浅い凹面部とこれを囲む平面部とで形成されているか
ら、弾性薄板積層体の変形は、すべり対偶のずれの大き
さに比例せず、一定の大きさに達するとそれ以上変形す
ることはない。なお、すべり対偶の凹面部の深さがあま
り浅いと免震装置の復元性能に問題があるので、本発明
の免震装置では弾性薄板積層体を直列に2個設置し、そ
の許容変形量を大きくした。
原発明の免震装置の共振回避部は、遊動体に連結された
すべり対偶と、作動部と一体になった特殊な液体シリン
ダ装置によって形成されているが、本発明の免震装置の
共振回避装置は、つり材中継環の水平移動を拘束する屈
折板装置、環状体および液体シリンダからなる中継環拘
束部によって形成されており、作動装置とは切りはなさ
れた単純な構造になっている。このように、本発明の免
震装置の場合、作動装置と共振回避装置が原発明のもの
にくらべて簡略化され、その製作費の低減がはかられて
いる。
問題点3について:前記のように、本発明の免震装置は
遊動体がないので鉛直つり材の前後の空間が広く、しか
も、その共振回避装置には原発明のような免震装置の上
部と下部を仕切るすべり対偶がないので、免震装置の上
部の保守点検作業を容易に行なうことができる。
また、本発明の免震装置は、支持脚の内部に設けられた
仮設柱を延長して支持脚に作用する鉛直荷重を支持し、
支持台および鉛直つり材の分解修理を行なえるようにな
っている。支持脚を延長する場合は、作動装置を取りは
ずした後基礎上面に滑動盤を載置し、その上に仮設柱を
設置する。したがって、仮設柱設置後も基礎に対して上
部建造物は水平方向に相対変位を行なうことができる。
免震装置の外部に仮設構造物を設置し鉛直荷重を支持す
る方法にくらべて、この工法は工費が少なく工期もきわ
めて短くてすむ。
(作用) 上部建造物は基礎上に設置された3基以上の免震装置に
よって支持されており、上部建造物と基礎との接続部は
水平方向に相対変位が可能なように形成されている。地
震がおこらないとき、本発明の免震装置は振動制御装置
によって変形を拘束されている。このため、風圧力など
地震以外の起振力が作用しても上部建造物が振動をおこ
すことはない。小地震がおこったときも本発明の免震装
置は変形を拘束されている。したがって、小地震のとき
上部建造物は地盤と一体となって振動し、上部建造物に
地震力が作用するが、この地震力は軽微なものであるか
ら、上部建造物、居住者および設置機器に被害がおよぶ
ことはない。
中地震または大地震がおこると、作動装置が働き、免震
装置の変形拘束が解除される。これによって、免震装置
は支持脚およびつり材中継環がそれぞれ支持台に対して
水平方向に相対変位する長周期免震振動に入る。免震装
置が長周期免震振動に入ると、上部建造物は水平地震動
から切り放され、独自の周期でゆっくり振動し、上部建
造物に作用する水平地震力は大幅に軽減される。地震動
の周期が変り、長周期免震振動に共振がおこりそうにな
ると、振動制御装置は中継環拘束部を稼働し、つり材中
継環を拘束状態にする。つり材中継環が拘束状態になる
と、免震装置は支持台とつり材中継環が一体となり、支
持脚だけが支持台に対して水平方向に相対変位する短周
期免震振動に入る。免震装置の固有周期が長周期から短
周期に変ると長周期の共振は回避される。短周期免震振
動に入ると上部建造物はほぼ地盤とともに振動するが、
このときの地震動は加速度の小さい長周期の振動である
から、上部建造物に作用する地震力は軽微なものであ
る。短周期免震振動が地震動に共振しそうになると、振
動制御装置は中継環拘束部を稼働し、つり材中継環の拘
束を解除する。この結果、免震装置は再び長周期免震振
動状態に入り共振は回避される。このように、地震動に
応じて免震装置の振動を長周期免震振動から短周期免震
振動に、または、短周期免震振動から長周期免震振動に
随時切りかえ、共振を回避しつつ上部建造物に作用する
地震力を軽減させる。地震がおさまると、支持脚は重力
の作用で支持台の中心にもどり、振動制御装置は免震装
置の変形を拘束する。
本発明の免震装置には、原発明の免震装置と同様に免震
装置の内部に点検作業空間が設けてあるので、作業者が
免震装置の内部に入り保守点検作業を行なうことができ
る。遊動体およびそれに接続されたすべり対偶がなくな
ったので、保守点検作業はより確実にしかも容易に行な
えるようになった。常時鉛直荷重を支持する支持台およ
び鉛直つり材の分解修理を行なうときは、支持脚の内部
に装着された仮設柱を延長しこれに鉛直荷重を支持させ
てから作業を行なう。仮設柱の底部と基礎との間には滑
動盤が設置されるから、分解修理中に地震がおこっても
免震装置の免震機能が阻害されることはない。
(実施例) 第1図は本発明の免震装置を設置した建造物の一部を示
すB−B横断面図で、第2図は同建造物のA−A縦断面
図である。本発明の免震装置(1)(1)…は、上部建
造物(2)の柱(3)の下方の井げた状に形成した基礎
(4)上に取りつけられており、その免震装置(1)
(1)…の上部に上部建造物(2)が設置されている。
上部建造物(2)と地下盤(5)との接続部は、両者の
水平方向相対変位を妨げない構造になっている。
第3図は本発明の実施例の免震装置の縦断面図で、第4
図はそのC−C横断免図、第5図はそのD−D横断面
図、第6図はそのE−E横断面図である。本発明の免震
装置は、支持装置および振動制御装置によって構成され
ている。支持装置は、円筒状の支持台(6)、および、
円柱状の支持脚(7)からなる圧縮部材と、つり材中継
環(8)を支持台(6)につる鉛直つり材(9)(9)
……、支持脚(7)をつり材中継環(8)につる延長つ
り材(10)(10)……、および、鉛直つり材(9)と鉛
直つり材(10)の接続部に設けられるつり材中継環
(8)からなる引張部材によって形成される。支持台
(6)は縦割りに分割可能に形成されて胴体部(11)と
胴体部(11)の上部に接続されたはね出し部(12)を持
っている。支持台(6)は基礎(4)上にボルトによっ
て固着されており、その上部は伸縮部(13)を介して上
部建造物(2)に接触するようになっている。伸縮部
(13)は分割取りはずし可能に形成された筒状体で、ば
ねによって支持され、上下移動可能に取りつけられてい
る。支持脚(7)は上部にフランジ(14)を、下部には
ね出し部(15)をそれぞれ持っており、上下移動可能に
取りつけられた仮設柱(16)を内蔵している。支持脚
(7)はフランジ(14)に取りつけられたボルトによっ
て上部建造物(2)に固着されている。はね出し部(1
2)(15)には、鉛直つり材(9)(9)……、(10)
(10)……を連結するための支持環(17)(18)がそれ
ぞれ設けられている。支持脚(7)には支持台(6)の
支持環(17)に相対して環状の緩衝ゴム(19)が、つり
材中継環(8)に相対して環状の緩衝ゴム(20)がそれ
ぞれ設けられている。
第8図は鉛直つり材(9)(10)およびつり材中継環
(8)の一部を拡大して示した詳細図で、第8図aは鉛
直つり材(9)(10)およびつり材中継環(8)の縦断
面図、同図bは上面図、同図cはG−G横断面図、同図
dはH−H横断面図である。
鉛直つり材(9)(10)は大径の鋼棒(21)と小径の鋼
棒(22)(22)からなる3本1組の鋼棒と、その上下端
に設けられた平衡板型自在継手(23)(23)によって形
成されている。鉛直つり材(9)は大径の鋼棒(21)を
内側に、小径の鋼棒(22)(22)を外側にして配置され
その上端は支持台(6)の支持環(17)に下端はつり材
中継環(8)にそれぞれ連結されている。鉛直つり材
(10)は大径の鋼棒(21)を外側に、小径の鋼棒(22)
(22)を内側にして配置されその上端はつり材中継環
(8)に下端は支持脚(7)の支持環(18)にそれぞれ
連結されている。平衡板型自在継手(23)(23)は、鋼
棒取付孔を持つ平衡板(24)と、凹球面体(25)凸球面
体(26)からなる球面座、および、保持ゴム(27)によ
って形成されている。球面座の凹球面体(25)は平衡板
(24)の中心に固着され、同凸球面体(26)は支持環
(17)またはつり材中継環(8)に固着されている。鋼
棒(21)(22)(22)は平衡板(24)(24)の鋼棒取付
孔にそう入され平衡板(24)(24)に連結されている。
鋼棒(21)(22)(22)は一端に頭部を持ち他端にねじ
部およびナットを持っている。支持環(17)(18)には
鋼棒(21)(22)(22)を貫通させる円錐状貫通孔が設
けられ、さらに、鋼棒(21)(22)(22)を貫通孔の中
心位置に保持する保持ゴム(27)が取りつけられてい
る。
つり材中継環(8)には、上面および下面に球面座の凸
球面体(26)(26)…がそれぞれ固着され、凸球面体
(26)を中心にして円錐状の鋼棒貫通孔がそれぞれ設け
られている。鉛直つり材(9)の鋼棒(21)(22)(2
2)はつり材中継環(8)の鋼棒貫通孔を貫通してつり
材中継環(8)の下面に設けられた平衡板(24)に連結
され、鉛直つり材(10)の鋼棒(21)(22)(22)は同
鋼棒貫通孔を貫通してつり材中継環(8)の上面に設け
られた平衡板(24)にそれぞれ連結されている。なお、
つり材中継環(8)の上面に配置された平衡板(24)は
鉛直つり材(9)の鋼棒(21)(22)(22)との間に適
当な間隔を保持できるように形成されており、つり材中
継環(8)の下面に配置された平衡板(24)は鉛直つり
材(10)の鋼棒(21)(22)(22)との間に適当な間隔
を保持できるように形成されている。鋼棒(21)(22)
(22)、(21)(22)(22)はつり材中継環(8)の上
面および下面に取りつけられた保持ゴム(27)(27)に
よってそれぞれ鋼棒貫通孔の中心位置に保持されてい
る。
振動制御装置は、作動装置と共振回避装置によって構成
されている。作動装置は第3図、第5図〜第7図に示す
ように、4本の鉛直連結材(28)(28)……によって水
平移動可能に支持された水平移動体(29)、水平移動体
(29)に接続して設けられた垂直移動体(30)およびそ
の支持わく(31)からなるせん断力変換装置と、加圧わ
く(32)(32)とその保持装置(33)および弾性薄板積
層体(34)34)からなる積層体装置によって構成されて
いる。鉛直連結材(28)の上端および下端は引張、圧縮
両用の自在継手を介して水平移動体(29)または基礎
(4)に連結されている。水平移動体(29)の上面は支
持脚(7)の仮設柱(16)に連結され、その下面には円
錐皿状の凹面部(35)が設けられている。支持脚(7)
および仮設柱(16)は第12図のような断面に形成されて
いるから、仮設柱(16)は上下に移動することはできる
が、この位置で回転することはできない。したがって、
水平移動体(29)が回転し、鉛直連結材(28)(28)…
…にねじれがおこることはない。垂直移動体(30)は頂
部に円錐状の凸面部(36)を持つ円柱状体で、支持わく
(31)に鉛直に取りつけられた筒状体(37)の内部に上
下移動可能に装着されている。支持わく(31)は、一端
を基礎(4)側面に固着させた4つの放射状のわくで形
成されている。保持装置(33)は、左右の妻板に加圧わ
く案内溝を設けた箱状体で、基礎(4)上に設置され、
その上部は支持わく(31)に連結されている。加圧わく
(32)(32)は、保持装置(33)の加圧わく案内溝に上
下移動可能に装着されており、上部の加圧わく(32)は
垂直移動体(30)に連結されている。弾性薄板積層体
(34)は、円筒殻状にわずかに湾曲させた金属薄板を多
数重ね合わせたもので、左半分の金属薄板は凹面を左に
向け、右半分の金属薄板は凹面を右に向け、円筒軸支を
鉛直にしてそれぞれ重ね合わされている。弾性薄板積層
体(34)(34)は上下2段に設置され、その上下の加圧
小口は加圧わく(32)または保持装置(33)の加圧板
(38)に連結されている。弾性薄板積層体(34)(34)
が取りつけられたとき、垂直移動体(30)の凸面部(3
6)と水平移動体(29)の凹面部(35)で形成されたす
べり対偶は密着した状態にある。
共振回避装置は、第3図、第5図〜第7図に示すような
屈折板装置(39)(39)……、環状体(40)および液体
シリンダ(41)(41)……からなる中継環拘束部と、圧
力タンク、貯溜タンク、加圧ポンプおよび切換弁からな
る液体シリンダ稼働装置、および、液体シリンダ稼働装
置をコンピュータによって制御する振動制御部によって
構成される。第9図は屈折板装置(39)を拡大して示し
た詳細図で、同図a、b、cは屈折板装置(39)が平伏
状態にあるときの正面図、J−J縦断面図、および、I
−I縦断面図で、同図d、e、tは屈折板装置(39)が
突出状態にあるときの正面図、J′−J′縦断面図、
I′−I′縦断面図である。屈折板装置(39)は、支持
台(6)内壁に鉛直に取りつけられた案内部(42)、案
内部(42)に上下移動可能に装着された順滑動体(43)
(43)および逆滑動体(44)(44)、上端を逆滑動体
(44)(44)に、下端を順滑動体(43)(43)にそれぞ
れ横ピンによって連結された屈折板(45)、および、順
滑動体(43)(43)と逆滑動体(44)(44)を連結する
逆進装置によって構成されている。順滑動体(43)(4
3)および逆滑動体(44)(44)は、押え板(46)によ
って案内部(42)から逸脱しないように保持されてい
る。屈折板(45)は上板と下板とを横ピンによって連結
し、連結部に緩衝ゴム(47)を取りつけたもので、平伏
状態においても連結部がつり材中継環(8)に向ってわ
ずかに張り出している。逆進装置は、順滑動体(43)
(43)に設けられたラック(48)(48)およびこれにか
み合う歯車A(49)(49)、歯車A(49)(49)に固着
された軸A(50)およびその軸受、軸A(50)に固着さ
れた中央歯車A(51)、逆滑動体(44)(44)に設けら
れたラック(52)(52)およびこれにかみ合う歯車B
(53)(53)、歯車B(53)(53)に固着された軸B
(54)およびその軸受、軸B(54)に固着され中央歯車
A(51)にかみ合うように設けられた中央歯車B(55)
によって形成されている。順滑動体(43)(43)の下部
は、板状体を介して連結かん(56)に連結されており、
連結かん(56)の下部は、支持台(6)内壁に沿って上
下移動可能に配装された環状体(40)に連結されてい
る。液体シリンダ(41)は底部を基礎(4)に固着させ
たシリンダ(57)、シリンダ(57)内にそう入されたピ
ストン(58)、ピストン(58)に連結されたピストンロ
ッド(59)によって形成されている。シリンダ(57)内
には液体が充満されており、ピストン(58)で区画され
たシリンダ(57)内の上室(60)と下室(61)には、液
体シリンダ稼働装置に通じる流通管がそれぞれ設けられ
ている。ピストンロッド(59)は支持台(6)のロッド
保持部(62)を貫通して鉛直に設けられており、その上
部は環状体(40)に連結されている。
(実施例の作用) 免震装置が作動しない場合:小地震、風圧などを受けて
上部建造物(2)に水平荷重が作用すると、支持脚
(7)は支持台(6)に対して水平方向に相対変位しよ
うとする。この作用によって支持脚(7)の仮設柱(1
6)は、水平移動体(29)を水平に移動させようとする
から、すべり対偶の働きで水平移動体(29)の凹面部
(35)は垂直移動体(30)の凸面部(36)に下向きの力
を与える。垂直移動体(30)に下向きの力が働くと、加
圧わく(32)(32)は弾性薄板積層体(34)(34)に軸
方向圧縮力を作用させる。しかし、このとき弾性薄板積
層体(34)(34)に作用する軸方向圧縮力は、弾性薄板
積層体(34)を座屈変形させるほど大きくないから、弾
性薄板積層体(34)(34)に座屈変形はおこらず、垂直
移動体(30)は下降しない。このため、水平移動体(2
9)の凹面部(35)と、垂直移動体(30)の凸面部(3
6)はかみ合った状態を保ち、水平移動体(29)は垂直
移動体(30)によって水平移動を拘束される。この結
果、上部建造物(2)に水平荷重が作用しても支持脚
(7)は支持台(6)に対して水平方向に相対変位をお
こさない。このように、免震装置に作用する水平荷重が
小さい場合は免震装置に変形はおこらない。したがっ
て、小地震の場合上部建造物(2)は地盤と一体となっ
て振動するが、この振動による加速度は小さいから上部
建造物(2)や移住者、設置機器に被害がおよぶことは
ない。また、風圧を受けた場合上部建造物(2)に動揺
はおこらない。
免震装置の作動および長周期免震振動:中地震または大
地震がおこり、上部建造物(2)に水平荷重が働くと、
支持脚(7)は支持台(6)に対して水平方向に相対変
位しようとし、支持脚(7)の仮設柱(16)は水平移動
体(29)に水平力を与える。水平移動体(29)に水平力
が作用すると、すべり対偶の働きで垂直移動体(30)に
下向きの力が働き、弾性薄板積層体(34)(34)に軸方
向圧縮力が作用する。このとき、弾性薄板積層体(34)
(34)にはその座屈荷重をこえる軸方向圧縮力が作用す
るから、上下どちらかの弾性薄板積層体(34)に座屈曲
変形がおこり、垂直移動体(30)は下降する。垂直移動
体(30)が下降すると水平移動に対する拘束がなくなる
から、水平移動体(29)および支持脚(7)は支持台
(6)に対して水平方向に相対変位をおこす。中継環拘
束部の屈折板装置(39)(39)……は第3図のように平
伏状態にあり、つり材中継環(8)の水平移動を拘束し
ないから、免震装置が作動されると、上下の鉛直つり材
(9)(10)はほぼ一直線の状態で第10図のように振り
子運動を行なう。加圧わく(32)は弾性薄板積層体(3
4)が座屈変形すると下降するが、一定距離下降すると
両翼端が他材に接触し、弾性薄板積層体(34)の過大変
形を防ぐようになっている。このため、弾性薄板積層体
(34)が1つだけ座屈変形した場合、支持台(6)に対
する支持脚(7)の水平方向相対変位は一定の範囲内に
限定される。地震動の振幅が小さい場合は、支持脚
(7)の水平方向相対変位がその限定された範囲内にあ
るうちに相対変位の方向が反対の向きに変る。弾性薄板
積層体(34)には復元力があるから、相対変位の方向が
変り水平移動体(29)が原位置に向って動くと、それに
つれて弾性薄板積層体(34)は垂直移動体(30)を押し
上げ、水平移動体(29)が原位置に達したとき原形に復
帰する。水平移動体(29)がさらに水平方向相対変位を
続けると、弾性薄板積層体(34)は再び座屈変形して垂
直移動体(30)を下降させ、水平移動体(29)および支
持脚(7)は支持台(6)に対して前記の反対の方向に
水平方向相対変位をする。
地震動の振幅が大きく、支持台(6)に対して支持脚
(7)が大きく水平方向相対変位をおこす場合は、第1
の弾性薄板積層体(34)が座屈変形しその変形量が限定
値に達すると、第2の弾性薄板積層体(34)が引続いて
座屈変形する。第2の弾性薄板積層体(34)にも過大変
形防止機構が設けてあるから垂直移動体(30)は一定距
離しか下降できないが、水平移動体(29)の凹面部(3
5)の深さは、垂直移動体(30)の最大移動距離より小
さく形成されているから、水平移動体(29)が水平方向
相対変位を続けると、垂直移動体(30)がその限界点ま
で下降する前に、垂直移動体(30)の凸面部(36)の先
端は水平移動体(29)の凹面部(35)から離脱しその平
面部に移る。弾性薄板積層体(34)(34)の復元力によ
って水平移動体(29)と垂直移動体(30)との間におこ
る摩擦抵抗は、両者の水平方向相対変位を妨げるほど大
きくないから、この状態になると、弾性薄板積層体(3
4)(34)が一定の変形を保ったまま支持脚(7)は支
持台(6)に接触するまで相対変位することができる。
第10図は垂直移動体(30)の凸面部(36)の先端が水平
移動体(29)の凹面部(35)から離脱し平面部に移った
ときの免震装置の変形状態を示す縦断面図である。
支持台(6)に対する支持脚(7)の水平方向相対変位
の方向が変ると、水平移動体(29)および支持脚(7)
は原位置に向って移動する。水平移動体(29)が原位置
に近ずくと、垂直移動体(30)の凸面部(36)の先端は
再び水平移動体(29)の凹面部(35)に入り、水平移動
体(29)は原位置に達すると弾性薄板積層体(34)(3
4)は垂直移動体(30)を押し上げ相ついで原形に復帰
する。水平移動体(29)がさらに移動を続けると、前記
のように弾性薄板積層体(34)(34)が再び座屈変形し
て垂直移動体(30)が下降し、水平移動体(29)の移動
が大きくなると垂直移動体(30)の凸面部(36)の先端
は水平移動体(29)の凹面部(35)の外に離脱し、免震
装置は第10図の変形方向とは反対の水平方向に大きく変
形する。免震装置が第10図のように変形するようになる
と、上部建造物(2)は地盤の水平振動から切り放さ
れ、独自の固有周期で長周期免震振動を始める。このた
め、水平地震動がいかに激しくても上部建造物(2)に
は長周期免震振動によって生ずる軽微な水平振動力だけ
しか作用せず、上部建造物(2)、居住者および設置機
器に被害がおよぶことはない。
免震装置の共振の回避および短周期免震振動:水平地震
動の振動周期が変りその振動周期が免震装置の長周期免
震振動の振動周期に近ずくと免震装置に共振がおこる。
免震装置の振動制御部は免震装置が作動すると検知器を
使って振動の監視を始め、長周期免震振動に共振の微候
が現れると、液体シリンダ稼働装置を動かし、液体シリ
ンダ(41)(41)……の下室(61)に加圧液体を送り、
同時に上室(60)内の液体を流出させる。これによっ
て、ピストン(58)が上昇しピストンロッド(59)が環
状体(40)を押し上げる。環状体(40)が上昇すると連
結かん(56)(56)……が押し上げられ、屈折板装置
(39)(39)……では、順滑動体(43)(43)が上昇
し、逆滑動体(44)(44)が下降する。屈折板装置(3
9)の逆進装置は、順滑動体(43)が上昇するとラック
(48)が歯車A(49)を順方向に回転させ、歯車A(4
9)に固着された軸A(50)は中央歯車A(51)を順方
向に回転させる。中央歯車A(51)は中央歯車B(55)
を逆方向に回転させるから、中央歯車B(55)に固着さ
れた軸B(54)は歯車B(53)を逆方向に回転させる。
歯車B(53)が逆方向に回転するとラック(52)および
逆滑動体(44)は下方に移動する。順滑動体(43)(4
3)が上方に移動し、逆滑動体(44)(44)が下方に移
動すると、屈折板装置(39)(39)……の屈折板(45)
は折れ曲り、凸屈折部がつり材中継環(8)に向って徐
々にはり出し、最後に屈折板(45)の緩衝ゴム(47)が
つり材中継環(8)に突き当る。屈折板装置(39)(3
9)……がこの突出状態になると、支持脚(7)ととも
に支持台(6)に対して水平方向に相対変位をおこなっ
ていたつり材中継環(8)はその相対変位を拘束され
る。これによって、支持脚(7)が支持台(6)に対し
て水平方向に相対変位を行なうと、つり材中継環(8)
の上部の鉛直つり材(9)(9)……は鉛直状態を保
ち、つり材中継環(8)の下方の鉛直つり材(10)(1
0)……だけがつり材中継環(8)を支点にして振り子
運動を行なう。この結果、振り子の長さが約1/3になり
免震装置の固有周期は長周期免震度振動時の固有周期に
くらべてかなり短くなる。この状態を免震装置の短周期
免震振動と呼ぶ。第11図は免震装置の短周期免震振動を
示す縦断面図である。このとき地盤はゆったりした長周
期水平振動を行なっているが、上部建造物(2)は独自
の短周期水平振動を行ない、長周期水平振動によってひ
きおこされた共振は消滅する。上部建造物(2)はこの
水平振動によって水平地震力を受けるが、地震の水平動
は加速度の小さいゆったりした振動で、免震装置の短周
期免震振動によって生ずる水平地震力も軽微なものであ
るから、上部建造物(2)、居住者および設置機器に被
害がおよぶことはない。
地震動の振動周期が短周期に変り、免震装置の短周期免
震振動に共振がおこりそうになると、振動制御部は液体
シリンダ稼働装置を動かし液体シリンダ(41)(41)…
…の上室(60)に加圧液体を送り、同時に下室(61)か
ら液体を流出させる。これによって、液体シリンダ(4
1)(41)……ではピストン(58)が下降し、ピストン
ロッド(59)が環状体(40)を下降させる。これにとも
なって、連結かん(56)が屈折板装置(39)(39)……
の順滑動体(43)(43)を引き下げ、逆滑動体(44)
(44)を上昇させるから、屈折板(45)の凸屈折部は徐
々に引きもどされ最後に平伏状態になる。この結果、つ
り材中継環(8)は自由に水平移動できるようになるか
ら、支持脚(7)は支持台(6)に対して水平方向に相
対変移を行なうと、つり材中継環(8)は支持脚(7)
とともに支持台(6)に対して水平方向相対変位を行な
い免震装置は再び長周期免震振動に入る。同時に短周期
免震振動時におこった共振は消滅する。このように、振
動制御部は地震動に応じて免震装置の振動を長周期から
短周期に、または、短周期から長周期に変換し、共振を
回避しつつ上部建造物(2)に作用する水平地震力を軽
減させる。
免震装置の原形復帰:地震動が弱くなると免震装置の変
形はだんだん小さくなり、重力の作用で支持脚(7)は
原位置に近ずいていく。支持脚(7)が原位置にもどる
と弾性薄板積層体(34)(34)は垂直移動体(30)を押
し上げて原形に復帰し、免震装置は作動装置が働く前の
状態にもどる。支持脚(7)が原位置に近ずくと重力に
よる復元力は弱くなるが、弾性薄板積層体(34)(34)
の復元力と、水平移動体(29)および垂直移動体(30)
のすべり対偶の働きで支持脚(7)はわずかな振動に反
応し次第に原位置に誘導される。
免震装置の保全:免震装置の点検を行なう場合、作業者
は基礎(4)に設けた点検口(63)から免震装置内部の
点検作業空間に入り作業を行なう。また、支持台(6)
上部の伸縮部(13)は、外部から取りはずせるように形
成されているから、鉛直つり材(9)(9)……上端の
平衡板型自在継手(23)の点検は外から行なうことがで
きる。作動装置、中継環拘束部については、点検のみな
らず、部材の変換、捕集も点検作業空間から行なうこと
ができる。しかし、常時鉛直荷重を支持する支持台
(6)、鉛直つり材(9)(9)……、(10)(10)…
…、および、つり材中継環(8)については、鉛直荷重
を一時肩替りさせなければ部材の分解修理等を行なうこ
とはできない。本発明の免震装置ではこれらの修理を行
なう場合、支持脚(7)内部に設けた仮設柱(16)を使
ってこれに鉛直荷重を肩替りさせることができる。仮設
柱(16)を設置するに当っては、まず、水平移動体(2
9)を除く作動装置を取りはずし、点検口(63)からこ
れらの部材を搬出したのち、滑動盤(64)を搬入し基礎
(4)上面に載置する。鉛直連結材(28)(28)……を
撤去するに当っては、水平移動体(29)および仮設柱
(16)をあらかじめつり上げ装置でつっておく。第12図
aはその状態を示す免震装置の縦断面図である。第12図
b、c、dは、支持脚(7)の部分を拡大して示した横
断面図で、同部bはK−K、同図cはL−L、同図dは
M−Mの各位置における横断面図である。支持脚(7)
の上部の約1/3の長さの部分は等肉厚の円筒体で、その
下部の約2/3の長さの部分には円筒体の内壁に4筋の溝
が鉛直に形成されている。仮設柱(16)の上部の約1/2
の長さの部分は等肉厚の円筒体で、その下部の約1/2の
長さの部分は、円筒体の表面に4筋の厚肉部が鉛直に連
続して形成されている。なお、仮設柱(16)の厚肉部は
支持脚(7)内壁の溝にはめこまれている。
第12図aの状態になったら、つり上げ装置をゆるめて水
平移動体(29)および仮設柱(16)を下降させ、水平移
動体(29)を滑動盤(64)に接続する。支持台(6)上
部、または、支持脚(7)下部の平衡板型自在継手(2
3)(23)……のナットを順次締めて、支持脚(7)下
端の小口が、仮設柱(16)厚肉部上端の小口よりわずか
に上になる位置まで支持脚(7)をつり上げる。この状
態になると、仮設柱(16)は回転できるようになるか
ら、水平移動体(29)をそのままの状態で仮設柱(16)
を45°回転させる。平衡板型自在継手(23)(23)……
のナットを順次ゆるめ、支持脚(7)の小口が仮設柱
(16)の厚肉部の小口に密着するまで支持脚(7)を下
降させる。これによって、支持脚(7)に作用する全鉛
直荷重は仮設柱(16)を介して基礎(4)に直接伝達さ
れる。鉛直荷重を肩替りさせたら、支持台(6)のはね
出し部(12)を上部建造物(2)につり、支持台(6)
の胴体部(11)を分解して取りはずす。胴体部(11)の
撤去が終ったら上部建造物(2)と仮設柱(16)の下部
とをふれ止めの斜材(65)(65)……で連結する。第13
図aはそのときの状態を示す免震装置の縦断面図であ
る。第13図b、c、d、eは支持脚(7)または仮設柱
(16)の部分を拡大して示した横断面図で、同図bは
K′−K′、同図cはL′−L′、同図dはM′−′、
同図eはN′−N′の各位置における横断面図である。
基礎(4)と水平移動体(29)との間には滑胴盤(64)
が設置されているから、水平移動体(29)は基礎(4)
に対して水平方向に相対変位することができる。このた
め、この状態のとき中地震または大地震がおこり、基礎
(4)に対して上部建造物(2)が水平方向に相対変位
をおこしても、修理中の支持脚(7)および仮設柱(1
6)に水平せん断力が集中して作用することがない。た
だし、修理中の免震装置は水平移動した場合自力で原位
置に復帰することができないから、この免震装置の分解
作業は、免震装置すべてに対して同時に行なうことはで
きない。復元力を確保しつつ、つりあいを考えて順次行
なう必要がある。
(発明の効果) 本発明の免震装置は、原発明の免震装置にくらべて次の
ような点で優れている。
原発明の免震装置は、筒状の遊胴体を筒状の支持台の内
部に装着する多重つり構造である。支持台の外径Aは、
支持台の筒状部の厚さをB、支持台と遊胴体との間の空
間の幅からその空間に設けられる鉛直つり材の占める幅
を除いたものをC、その空間に設けられる鉛直つり材の
占める幅をD、遊動体の筒状部の厚さをE、遊動体と支
持脚との間の空間の幅からその空間に設けられる鉛直つ
り材の占める幅を除いたものをF、その空間に設けられ
る鉛直つり材の占める幅をG、支持脚の半径をHとする
と、A=(B+C+D+E+F+G+H)×2となる。
これに対して、遊動体を必要としない本発明の免震装置
の場合、筒状の圧縮部材の外径A′は、筒状の圧縮部材
の筒状部の厚さをB′、筒状の圧縮部材と柱状の圧縮部
材との間の空間の幅からその空間に設けられる引張部材
の占める幅を除いたものをC′、その空間に設けられる
引張部材の占める幅をD′、柱状の圧縮部材の半径を
H′とすると、A′=(B′+C′+D′+H′)×2
となる。ここに、原発明の免震装置の支持台に対する支
持脚の最大水平方向相対変位量をC+F、本発明の免震
装置の筒状の圧縮部に対する柱状の圧縮部材の最大水平
方向相対変位量をC′とし、C′=C+F、B′=B、
D′=D、H′=Hとすると、本発明の免震装置の筒状
の圧縮部材の半径A′と、原発明の免震装置の支持台の
外径Aとの関係は、A′=A−(E+G)×2となり、
本発明の免震装置は、原発明の免震装置にくらべてその
外径が、遊動体の筒状部の厚さに、鉛直つり材の占める
幅を加えたものの2倍だけ小さくなる。これによって、
免震装置設置階の有効床面積が増加するとともに、居住
者に対する圧迫感が減少し、部屋が使いやすくなる。
また、免震装置内部の空間を見ると、C′=C+Fであ
れば、原発明の免震装置でCとFに2つに分割されてい
た空間が、本発明の免震装置では空間C′に統合されて
広くなり、免震装置内部の保守、点検がやりやすくな
る。
免震装置の固有周期を同じにするためには、本発明の免
震装置は、原発明の免震装置よりその高さを高くしなけ
ればならないが、遊動体とこれをつる鉛直つり材が不要
になるため、本発明の免震装置は、原発明の免震装置よ
りその製作費が安くなる。
【図面の簡単な説明】
第1図……本発明の実施例の免震装置を設置した建造物
の一部を示すB−B横断面図。 第2図……本発明の実施例の免震装置を設置した建造物
の一部を示すA−A縦断面図。 第3図、第4図、第5図、第6図……本発明の至実施例
の免震装置の縦断面図、同C−C横断面図、同D−D横
断面図、同E−E横断面図。 第7図……本発明の実施例の免震装置の下部のF−F縦
断面図。 第8図a、b、c、d……本発明の実施例の免震装置の
鉛直つり材およびつり材中継環の縦断面図、同上面図、
同G−G横断面図、同H−H横断面図。 第9図a、b、c、d、e、f、……本発明の実施例の
免震装置の屈折板装置の平伏状態における正面図、同J
−J縦断面図、同I−I縦断面図、同突出状態における
正面図、同J′−J′縦断面図、同じI′−I′縦断面
図。 第10図、第11図……本発明の実施例の免震装置の長周期
免震振動を示す縦断面図、同短周期免震振動を示す縦断
面図。 第12図a、b、c、d……本発明の実施例の免震装置の
仮設柱下降準備完了時の状態を示す縦断面図、同支持脚
部分の拡大K−K横断面図、同L−L横断面図、同M−
M横断面図。 第13図a、b、c、d、e……本発明の実施例の免震装
置の支持台分解中の状態を示す縦断面図、同支持脚また
は仮設柱の拡大K′−K′横断面図、同L′−L′横断
面図、同M′−M′横断面図、同じN′−N′横断面
図。 (2)……上部建造物、(4)……基礎、(6)……支
持台、(7)……支持脚、(8)……つり材中継環、
(9)(10)……鉛直つり材、(12)(15)……はね出
し部、(16)……仮設柱、(17)(18)……支持環、
(28)……鉛直連結材、(29)……水平移動体、(30)
……垂直移動体、(31)……支持わく、(34)……弾性
薄板積層体、(35)……凹面部、(36)……凸面部、
(37)……筒状体、(39)……屈折板装置、(40)……
環状体、(41)……液体シリンダ、(42)……案内部、
(43)……順滑動体、(44)……逆滑動体、(45)……
屈折板、(56)……連結かん。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】空間をへだてて上下に相対する一方の建造
    物と他方の建造物との間に、一方の建造物に小口を固着
    させて筒状の圧縮部材を設け、その圧縮部材の内部に環
    状のつり材中継環と、柱状の圧縮部材をそれぞれ前後左
    右に適当な間隔をとって入子状に収容し、柱状の圧縮部
    材の小口を他方の建造物に固着し、筒状の圧縮部材の他
    方の建造物に相対する端部につり材取付部を設けて、そ
    のつり材取付部と、つり材中継環を複数の可とう鉛直つ
    り材からなる引張部材によってつなぎ、さらに、柱状の
    圧縮部材の一方の建造物に相対する端部につり材取付部
    を設けてそのつり材取付部と前記のつり材中継環を複数
    の可とう鉛直つり材からなる引張部材によってつないで
    柱状の圧縮部材をつるとともに、作用する地震力が小さ
    い場合、一方の建造物と、これに相対する柱状の圧縮部
    材との水平方向相対変位を拘束し、作用する地震力が大
    きい場合、一方の建造物と、これに相対する柱状の圧縮
    部材との水平方向相対変位の拘束を解除する作動装置
    を、一方の建造物と、これに相対する柱状の圧縮部材に
    それぞれ接続して設け、かつ、筒状の圧縮部材に対する
    つり材中継環の水平方向相対変位を拘束し、あるいはそ
    の拘束を解除する中継環拘束部を、つり材中継環に相対
    する筒状の圧縮部材の内壁に設け、さらに、作用する地
    震動の周期に応じて、中継環拘束部の拘束および拘束解
    除動作を制御する振動制御装置を中継環拘束部に接続し
    て一方の建造物に設けた2段振り子式建造物免震装置
  2. 【請求項2】柱状の圧縮部材が、他方の建造物に固着さ
    れた筒状体とその内部に上下移動可能に装着された仮設
    柱によって形成されたものである特許請求の範囲第1項
    記載の2段振り子式建造物免震装置
  3. 【請求項3】作動装置が、水平移動可能に一方の建造物
    に取りつけられた水平移動体の一方の建造物に相対する
    面に、鉛直軸に対して対称な傾斜面を持つ凹面部とこれ
    に相接する凸面部からなるすべり対偶の一方を設け、す
    べり対偶の他方を垂直移動可能に一方の建造物に取りつ
    けられた垂直移動体の一端に設け、垂直移動体の他端と
    一方の建造物を、積層体装置を介して連結するととも
    に、水平移動体を仮設柱に連結したものである特許請求
    の範囲第2項記載の2段振り子式建造物免震装置
  4. 【請求項4】すべり対偶の一方が円錐皿状の凹面部で、
    すべり対偶の他方が円錐状の凸面部である特許請求の範
    囲第3項記載の2段振り子式建造物免震装置
  5. 【請求項5】水平移動体が、両端に自在継手を設けた複
    数の鉛直連結材によって一方の建造物に連結されたもの
    である特許請求の範囲第3項または第4項記載の2段振
    り子式建造物免震装置
  6. 【請求項6】垂直移動体が、支持わくによって一方の建
    造物に鉛直に設置された筒状体に上下移動可能に装着さ
    れたものである特許請求の範囲第3〜5項から選ばれる
    1つの項に記載の2段振り子式建造物免震装置
  7. 【請求項7】積層体装置が、円筒殻状にわずかに湾曲さ
    せた多数の金属薄板を円筒軸を鉛直にして重ね合わせ、
    かつ、上下の小口に加圧面を形成した1ないし複数個の
    弾性薄板積層体を、一端を一方の建造物に他端を垂直移
    動体の他端にそれぞれ接続させた積層体加圧装置に装着
    したものである特許請求の範囲第3〜6項から選ばれる
    1つの項に記載の2段振り子式建造物免震装置
  8. 【請求項8】中継環拘束部が、筒状の圧縮部材の内壁に
    鉛直に設置された案内部に、順滑動体、および、順滑動
    体に逆進装置を介して連結された逆滑動体を上下移動可
    能に装着するとともに、横ピンで接合した凸屈折部をつ
    り材中継環に向けて屈折板を配装し、その屈折板の上下
    端のうちの一方の端部を順滑動体に、他方の端部を逆滑
    動体にそれぞれ横ピンで接合した屈折板装置を、適当な
    間隔をおいて複数個設置し、各屈折板装置の順滑動体を
    一方の建造物に設置した滑動体移動装置に連結したもの
    である特許請求の範囲第1〜7項から選ばれる1つの項
    に記載の2段振り子式建造物免震装置
  9. 【請求項9】滑動体移動装置が、振動制御装置によって
    操作される液体シリンダ複数個を一方の建造物に設置
    し、筒状の圧縮部材の内壁に上下移動可能に装着した環
    状体に、各液体シリンダの可動部を連結するとともに、
    連結かんによって環状体と各順滑動体を連結したもので
    ある特許請求の範囲第8項記載の2段振り子式建造物免
    震装置
  10. 【請求項10】可とう鉛直つり材が、上端および下端の
    連結部に自在継手を設けた鉛直つり材である特許請求の
    範囲第1〜9項から選ばれる1つの項に記載の2段振り
    子式建造物免震装置
  11. 【請求項11】つり材取付部が、圧縮部材の端部に設け
    られたはね出し部とそのはね出し部の縁に形成された支
    持環である特許請求の範囲第1〜10項から選ばれる1つ
    の項に記載の2段振り子式建造物免震装置
  12. 【請求項12】一方の建造物が基礎で、他方の建造物が
    上部建造物である特許請求の範囲第1〜11項から選ばれ
    る1つの項に記載の2段振り子式建造物免震装置
  13. 【請求項13】筒状の圧縮部材が円筒状の支持台で、柱
    状の圧縮部材が円柱状の支持脚である特許請求の範囲第
    1〜12項から選ばれる1つの項に記載の2段振り子式建
    造物免震装置
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