JPH0739354B2 - 高純度ジシクロペンタジエンの製造方法 - Google Patents
高純度ジシクロペンタジエンの製造方法Info
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- JPH0739354B2 JPH0739354B2 JP60149448A JP14944885A JPH0739354B2 JP H0739354 B2 JPH0739354 B2 JP H0739354B2 JP 60149448 A JP60149448 A JP 60149448A JP 14944885 A JP14944885 A JP 14944885A JP H0739354 B2 JPH0739354 B2 JP H0739354B2
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Description
本発明は、高純度ジシクロペンタジエンの製造方法に関
し、さらに詳しくは、経済的で、かつ、工業的スケール
で実施可能な高純度ジシクロペンタジエンの製造方法に
関する。
し、さらに詳しくは、経済的で、かつ、工業的スケール
で実施可能な高純度ジシクロペンタジエンの製造方法に
関する。
ジシクロペンタジエンは、一般に、ナフサの熱分解によ
り得られるC5留分から製造されている。 従来、高純度のジシクロペンタジエンを製造する方法と
しては、(1)低純度のジシクロペンタジエンを、その
モノマーであるシクロペンタジエンに、熱分解させ、生
成したシクロペンタジエンを回収して再び二量化させる
方法(特開昭57−64622号)、(2)低純度のジシクロ
ペンタジエンを冷却して結晶化させ、生成した結晶を濾
別する方法(西ドイツ特許第1931959号)などが知られ
ている。 しかしながら、ジシクロペンタジエンをシクロペンタジ
エンに熱分解させて、再び二量化する方法は、熱分解に
より得られたシクロペンタジエンを蒸留塔に導いて精製
する際に、蒸留のための加熱により二量体となって、高
沸点物と共に塔底から取り除かれてしまうものがあるこ
と(逃げるものがあること)、熱分解−蒸留−二量体化
とプロセスが複雑で、しかも多量のエネルギー消費が必
要であることなどの問題がある。低純度のジシクロペン
タジエンを結晶化させる方法は、結晶化−濾別−溶解の
プロセスを数次にわたって繰り返す必要があるため、操
作が複雑な上、冷却に多量のエネルギー消費を要し、工
業的スケールでは実施できない。 この他、低純度のジシクロペンタジエンを、そのまま減
圧蒸留して分離精製する方法も試みられている。この方
法では、類似の共二量体が存在するため、高純度のジシ
クロペンタジエンを取得するには、多くの段数を有する
蒸留が必要とされる。この場合、(1)ジシクロペンタ
ジエンは、100℃以上の温度でシクロペンタジエンへの
熱分解が生じる、(2)塔底温度を下げるために塔内圧
力を下げると、凝縮器に冷媒を使用しなければならない
ばかりか、ジシクロペンタジエンの融点が33.6℃に高い
ため、凝縮器や凝縮液ラインで結晶化が起こり、操業で
きない状態になる。従って、多段の蒸留塔による方法で
は、高純度のジシクロペンタジエンの製造はできないと
されていた。また、操業可能な蒸留塔では、せいぜい純
度90%〜95%のものしか得ることができなかった。
り得られるC5留分から製造されている。 従来、高純度のジシクロペンタジエンを製造する方法と
しては、(1)低純度のジシクロペンタジエンを、その
モノマーであるシクロペンタジエンに、熱分解させ、生
成したシクロペンタジエンを回収して再び二量化させる
方法(特開昭57−64622号)、(2)低純度のジシクロ
ペンタジエンを冷却して結晶化させ、生成した結晶を濾
別する方法(西ドイツ特許第1931959号)などが知られ
ている。 しかしながら、ジシクロペンタジエンをシクロペンタジ
エンに熱分解させて、再び二量化する方法は、熱分解に
より得られたシクロペンタジエンを蒸留塔に導いて精製
する際に、蒸留のための加熱により二量体となって、高
沸点物と共に塔底から取り除かれてしまうものがあるこ
と(逃げるものがあること)、熱分解−蒸留−二量体化
とプロセスが複雑で、しかも多量のエネルギー消費が必
要であることなどの問題がある。低純度のジシクロペン
タジエンを結晶化させる方法は、結晶化−濾別−溶解の
プロセスを数次にわたって繰り返す必要があるため、操
作が複雑な上、冷却に多量のエネルギー消費を要し、工
業的スケールでは実施できない。 この他、低純度のジシクロペンタジエンを、そのまま減
圧蒸留して分離精製する方法も試みられている。この方
法では、類似の共二量体が存在するため、高純度のジシ
クロペンタジエンを取得するには、多くの段数を有する
蒸留が必要とされる。この場合、(1)ジシクロペンタ
ジエンは、100℃以上の温度でシクロペンタジエンへの
熱分解が生じる、(2)塔底温度を下げるために塔内圧
力を下げると、凝縮器に冷媒を使用しなければならない
ばかりか、ジシクロペンタジエンの融点が33.6℃に高い
ため、凝縮器や凝縮液ラインで結晶化が起こり、操業で
きない状態になる。従って、多段の蒸留塔による方法で
は、高純度のジシクロペンタジエンの製造はできないと
されていた。また、操業可能な蒸留塔では、せいぜい純
度90%〜95%のものしか得ることができなかった。
本発明者らは、前記欠点を解決すべく鋭意研究の結果、
蒸留塔をうまく組み合わせれば、純度98重量%以上、好
ましくは99重量%以上の高純度のジシクロペンタジエン
が安価でかつ簡単なプロセスで製造できることを見い出
し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
蒸留塔をうまく組み合わせれば、純度98重量%以上、好
ましくは99重量%以上の高純度のジシクロペンタジエン
が安価でかつ簡単なプロセスで製造できることを見い出
し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
かくして、本発明によれば、下記の工程(I)〜(V)
により、ナフサの熱分解により得られるC5留分から高純
度ジシクロペンタジエンを製造する方法が提供される。 工程(I):ナフサの熱分解により得られるC5留分を二
量化槽に導入して加熱し、該C5留分中に含まれるシクロ
ペンタジエンを二量化してジシクロペンタジエンとする
工程、 工程(II):工程(I)からの導出物を回収塔に導いて
蒸留し、塔頂からは、工程(I)における未反応成分を
回収し、一方、塔底からは、ジシクロペンタジエンに富
んだ留分を取り出す工程、 工程(III):工程(II)における塔底からの留分を蒸
発器または蒸留塔に導いて加熱または蒸留し、塔底から
は、工程(I)の二量化反応の際に副生するジシクロペ
ンタジエンよりも沸点の高い高沸点成分中の低重合物を
除去し、一方、塔頂からは該高沸点成分の含有率が5重
量%以下で、ジシクロペンタジエンの含有率が80〜95重
量%のジシクロペンタジエンに富む留分を取り出す工
程、 工程(IV):工程(III)における塔頂からの留分を低
沸点物除去塔に導いて蒸留し、塔頂からは、工程(I)
の二量化反応の際に副生するジシクロペンタジエンより
も沸点の低い低沸点の類似共二量体を除去し、一方、塔
底からは、ジシクロペンタジエンに富む留分を取り出す
工程、及び 工程(V):工程(IV)における塔底からの留分を高沸
点物除去塔に導いて蒸留し、塔底からは、工程(I)の
二量化反応の際に副生するジシクロペンタジエンよりも
沸点の高い高沸点の類似共二量体を除去し、一方、塔頂
からは、高純度ジシクロペンタジエンを取り出す工程。 以下、本発明について詳述する。 C5留分 本発明において用いられるナフサの熱分解により得られ
るC5留分とは、例えば、第1表に示すような組成であっ
て、この場合、シクロペンタジエンとジシクロペンタジ
エンは、合計で15重量%含まれている。 一般に、C5留分中に、シクロペンタジエンとジシクロペ
ンタジエンは、原油の種類により異なるが、合計で13〜
25重量%の範囲で含まれている。 工程(I) 本発明においては、かかる原料C5留分が、まず二量体化
工程(I)に供給され、ここで、ジシクロペンタジエン
のモノマーであるシクロペンタジエンの二量体化が行わ
れる。 二量体化の条件は、C5留分中のシクロペンタジエンの含
有量などによって適宜選択されるが、通常は、二量化温
度50〜110℃、反応時間2〜6時間で、C5留分中のシク
ロペンタジエンの30〜99重量%が二量体化される。 工程(II) 二量体化工程(I)からの導出物は、次いで未反応成分
の回収工程(II)に送られ、未反応のC5留分の回収が行
われる。この未反応のC5留分中には、イソプレン、ピペ
リレン(即ち、1,3−ペンタジエン)などの有用な成分
が含まれており、それぞれ別の精製プロセスへ送られ
る。 この回収工程(II)では、ジシクロペンタジエンの沸点
が170℃で、その他の未反応成分の沸点は30〜50℃程度
であるため、その沸点差を利用した蒸留にて、塔頂より
C5留分を回収し、塔底よりジシクロペンタジエンに富ん
だ留分を取り出す。 蒸留条件は、通常、常圧で行われるが、C5留分及びC6留
分の回収量を多くしたい場合は、減圧蒸留や水蒸気蒸留
が行われる。 工程(III) 塔底液は、次いで高沸点成分の除去工程(III)に送ら
れ、ここで、工程(I)の二量化反応の際に副生するイ
ソプレン、ピペリレン及びシクロペンタジエンの三量体
や、これらの成分の組み合わせの低重合物が除去され
る。該除去工程は、減圧蒸留、水蒸気蒸留、蒸発器など
で行うことができるが、好んで蒸発器が用いられる。操
業条件は、高沸点物の量により適宜選択されるが、通
常、減圧度5〜50torr、温度70℃〜110℃の範囲で行わ
れる。 なお、後記の第2表に示すように、工程(III)では、
三量体以上の低重合物と共に、工程(I)の二量化反応
の際に副生するジシクロペンタジエンよりも沸点の高い
高沸点の類似共二量体の一部も除去される。該工程(II
I)では、塔頂からのジシクロペンタジエンに富んだ液
中の高沸点成分の合計の含有率を5重量%以下にしない
と、後工程の蒸留操作において、塔底温度が110℃にな
りジシクロペンタジエンの分解が生じて、高純度のジシ
クロペンタジエンが得られなくなる。また、後記するよ
うに、この工程(III)では、次の工程(IV)へ送る留
分中のジシクロペンタジエンの含有率を80〜95重量%の
範囲に管理する。 工程(IV) 工程(III)における塔頂からの留分(蒸発ガス)は、
凝縮器で液化され、次いで低沸点成分の除去工程(IV)
(低沸点除去塔)に送られる。 ここでの低沸点成分は、工程(II)で回収できなかった
C5留分とC6留分のほか、工程(I)の二量化反応の際に
副生するジシクロペンタジエンよりも沸点の低い低沸点
の類似共二量体、例えば、シクロペンタジエンとピペリ
レンが共二量体化したプロペニルノルボルネンなどであ
る。 これらの低沸点成分のうちC5留分とC6留分の除去は容易
であるが、プロペニルノルボルネンなどの類似共二量体
成分の困難であるため、従来、50〜100段の蒸留塔が必
要とされており、前記したように、(1)単に蒸留塔を
運転しようとすると、ジシクロペンタジエンの熱分解が
生じ、(2)減圧度を下げて運転すると、凝縮器等が詰
まりが生じる。などの問題が生じて操業できなくなる。 本発明では、この工程(IV)へ送られる留分中のジシク
ロペンタジエンの含有率を80〜95重量%の範囲に管理
し、かつ、工程(III)で、低重合物等の高沸点成分を
予め除去することによって、操業が可能となった。 蒸留条件は、通常、減圧度5〜200torr、好ましくは10
〜50torr、塔底温度50〜120℃、好ましくは80〜110℃で
行われ、これによって、工程(III)の塔頂からの留分
中に含まれる類似共二量体の90重量%以上を除去するこ
とができる。 工程(V) 低沸点類似共二量体を除去した工程(IV)における塔底
からの留分(塔底液)は、高沸点成分の除去工程(V)
(高沸点物除去塔)に送られる。 この工程(V)で除去される高沸点成分は、シクロペン
タジエンとイソプレンが共二量体化したメチルビシクロ
ノナジエンなど工程(I)の二量化反応の際に副生する
ジシクロペンタジエンよりも沸点の高い高沸点の類似共
二量体であり、シクロペンタジエンの三量体などの低重
合物が存在する場合には、これらの低重合物も除去され
る。 この工程(V)で、ジシクロペンタジエンの熱分解は、
最終生成物の純度に大きく影響するため、蒸留条件の管
理には充分注意する必要がある。 蒸留塔は、塔内の圧損をできるだけ小さくするため充填
塔を好んで用いられ、通常、減圧度5〜100torr、好ま
しくは10〜40torrで、塔底温度50〜110℃、好ましくは7
0〜90℃で行われる。 この蒸留塔の塔頂より、99重量%以上の高純度ジシクロ
ペンタジエンが得られる。 一実施態様 次に、本発明の一実施態様を図面に基づいて説明する。
第1図において、まずナフサの熱分解によって得られる
C5留分が、管10を経て二量化槽1に供給され、ここでシ
クロペンタジエンの二量化が行われる〔工程(I)〕。
二量化反応後、内容物は、管11を経て蒸留塔2〔工程
(II)〕に供給され、ジシクロペンタジエンに富んだ塔
底液は、管13を経て蒸発器3〔工程(III)〕に送られ
る。一方、蒸留塔2の塔頂からの未反応C5留分とC6留分
は、イソプレンやピペリレンなどの有用成分を回収する
ため、別のプロセスへ送られる。 蒸発器3に送られた液は、減圧にて、低重合物などの高
沸点成分と分離され、塔頂よりジシクロペンタジエンに
富む留分を取り出し、管14を介して低沸点物除去塔4
〔工程(IV)〕へ送られる。 低沸点成分除去塔4では、シクロペンタジエンより低沸
点の類似共二量体が除去され、ジシクロペンタジエンに
富む留分は、塔低より管17を経て、最終の高沸点物除去
塔5〔工程(V)〕へ送られ、ここで、ジシクロペンタ
ジエンよりも沸点の高い高沸点の類似共二量体、及び残
存する低重合物が管19より除去され、塔頂より純度99重
量%以上のジシクロペンタジエンが管18より取得され
る。
により、ナフサの熱分解により得られるC5留分から高純
度ジシクロペンタジエンを製造する方法が提供される。 工程(I):ナフサの熱分解により得られるC5留分を二
量化槽に導入して加熱し、該C5留分中に含まれるシクロ
ペンタジエンを二量化してジシクロペンタジエンとする
工程、 工程(II):工程(I)からの導出物を回収塔に導いて
蒸留し、塔頂からは、工程(I)における未反応成分を
回収し、一方、塔底からは、ジシクロペンタジエンに富
んだ留分を取り出す工程、 工程(III):工程(II)における塔底からの留分を蒸
発器または蒸留塔に導いて加熱または蒸留し、塔底から
は、工程(I)の二量化反応の際に副生するジシクロペ
ンタジエンよりも沸点の高い高沸点成分中の低重合物を
除去し、一方、塔頂からは該高沸点成分の含有率が5重
量%以下で、ジシクロペンタジエンの含有率が80〜95重
量%のジシクロペンタジエンに富む留分を取り出す工
程、 工程(IV):工程(III)における塔頂からの留分を低
沸点物除去塔に導いて蒸留し、塔頂からは、工程(I)
の二量化反応の際に副生するジシクロペンタジエンより
も沸点の低い低沸点の類似共二量体を除去し、一方、塔
底からは、ジシクロペンタジエンに富む留分を取り出す
工程、及び 工程(V):工程(IV)における塔底からの留分を高沸
点物除去塔に導いて蒸留し、塔底からは、工程(I)の
二量化反応の際に副生するジシクロペンタジエンよりも
沸点の高い高沸点の類似共二量体を除去し、一方、塔頂
からは、高純度ジシクロペンタジエンを取り出す工程。 以下、本発明について詳述する。 C5留分 本発明において用いられるナフサの熱分解により得られ
るC5留分とは、例えば、第1表に示すような組成であっ
て、この場合、シクロペンタジエンとジシクロペンタジ
エンは、合計で15重量%含まれている。 一般に、C5留分中に、シクロペンタジエンとジシクロペ
ンタジエンは、原油の種類により異なるが、合計で13〜
25重量%の範囲で含まれている。 工程(I) 本発明においては、かかる原料C5留分が、まず二量体化
工程(I)に供給され、ここで、ジシクロペンタジエン
のモノマーであるシクロペンタジエンの二量体化が行わ
れる。 二量体化の条件は、C5留分中のシクロペンタジエンの含
有量などによって適宜選択されるが、通常は、二量化温
度50〜110℃、反応時間2〜6時間で、C5留分中のシク
ロペンタジエンの30〜99重量%が二量体化される。 工程(II) 二量体化工程(I)からの導出物は、次いで未反応成分
の回収工程(II)に送られ、未反応のC5留分の回収が行
われる。この未反応のC5留分中には、イソプレン、ピペ
リレン(即ち、1,3−ペンタジエン)などの有用な成分
が含まれており、それぞれ別の精製プロセスへ送られ
る。 この回収工程(II)では、ジシクロペンタジエンの沸点
が170℃で、その他の未反応成分の沸点は30〜50℃程度
であるため、その沸点差を利用した蒸留にて、塔頂より
C5留分を回収し、塔底よりジシクロペンタジエンに富ん
だ留分を取り出す。 蒸留条件は、通常、常圧で行われるが、C5留分及びC6留
分の回収量を多くしたい場合は、減圧蒸留や水蒸気蒸留
が行われる。 工程(III) 塔底液は、次いで高沸点成分の除去工程(III)に送ら
れ、ここで、工程(I)の二量化反応の際に副生するイ
ソプレン、ピペリレン及びシクロペンタジエンの三量体
や、これらの成分の組み合わせの低重合物が除去され
る。該除去工程は、減圧蒸留、水蒸気蒸留、蒸発器など
で行うことができるが、好んで蒸発器が用いられる。操
業条件は、高沸点物の量により適宜選択されるが、通
常、減圧度5〜50torr、温度70℃〜110℃の範囲で行わ
れる。 なお、後記の第2表に示すように、工程(III)では、
三量体以上の低重合物と共に、工程(I)の二量化反応
の際に副生するジシクロペンタジエンよりも沸点の高い
高沸点の類似共二量体の一部も除去される。該工程(II
I)では、塔頂からのジシクロペンタジエンに富んだ液
中の高沸点成分の合計の含有率を5重量%以下にしない
と、後工程の蒸留操作において、塔底温度が110℃にな
りジシクロペンタジエンの分解が生じて、高純度のジシ
クロペンタジエンが得られなくなる。また、後記するよ
うに、この工程(III)では、次の工程(IV)へ送る留
分中のジシクロペンタジエンの含有率を80〜95重量%の
範囲に管理する。 工程(IV) 工程(III)における塔頂からの留分(蒸発ガス)は、
凝縮器で液化され、次いで低沸点成分の除去工程(IV)
(低沸点除去塔)に送られる。 ここでの低沸点成分は、工程(II)で回収できなかった
C5留分とC6留分のほか、工程(I)の二量化反応の際に
副生するジシクロペンタジエンよりも沸点の低い低沸点
の類似共二量体、例えば、シクロペンタジエンとピペリ
レンが共二量体化したプロペニルノルボルネンなどであ
る。 これらの低沸点成分のうちC5留分とC6留分の除去は容易
であるが、プロペニルノルボルネンなどの類似共二量体
成分の困難であるため、従来、50〜100段の蒸留塔が必
要とされており、前記したように、(1)単に蒸留塔を
運転しようとすると、ジシクロペンタジエンの熱分解が
生じ、(2)減圧度を下げて運転すると、凝縮器等が詰
まりが生じる。などの問題が生じて操業できなくなる。 本発明では、この工程(IV)へ送られる留分中のジシク
ロペンタジエンの含有率を80〜95重量%の範囲に管理
し、かつ、工程(III)で、低重合物等の高沸点成分を
予め除去することによって、操業が可能となった。 蒸留条件は、通常、減圧度5〜200torr、好ましくは10
〜50torr、塔底温度50〜120℃、好ましくは80〜110℃で
行われ、これによって、工程(III)の塔頂からの留分
中に含まれる類似共二量体の90重量%以上を除去するこ
とができる。 工程(V) 低沸点類似共二量体を除去した工程(IV)における塔底
からの留分(塔底液)は、高沸点成分の除去工程(V)
(高沸点物除去塔)に送られる。 この工程(V)で除去される高沸点成分は、シクロペン
タジエンとイソプレンが共二量体化したメチルビシクロ
ノナジエンなど工程(I)の二量化反応の際に副生する
ジシクロペンタジエンよりも沸点の高い高沸点の類似共
二量体であり、シクロペンタジエンの三量体などの低重
合物が存在する場合には、これらの低重合物も除去され
る。 この工程(V)で、ジシクロペンタジエンの熱分解は、
最終生成物の純度に大きく影響するため、蒸留条件の管
理には充分注意する必要がある。 蒸留塔は、塔内の圧損をできるだけ小さくするため充填
塔を好んで用いられ、通常、減圧度5〜100torr、好ま
しくは10〜40torrで、塔底温度50〜110℃、好ましくは7
0〜90℃で行われる。 この蒸留塔の塔頂より、99重量%以上の高純度ジシクロ
ペンタジエンが得られる。 一実施態様 次に、本発明の一実施態様を図面に基づいて説明する。
第1図において、まずナフサの熱分解によって得られる
C5留分が、管10を経て二量化槽1に供給され、ここでシ
クロペンタジエンの二量化が行われる〔工程(I)〕。
二量化反応後、内容物は、管11を経て蒸留塔2〔工程
(II)〕に供給され、ジシクロペンタジエンに富んだ塔
底液は、管13を経て蒸発器3〔工程(III)〕に送られ
る。一方、蒸留塔2の塔頂からの未反応C5留分とC6留分
は、イソプレンやピペリレンなどの有用成分を回収する
ため、別のプロセスへ送られる。 蒸発器3に送られた液は、減圧にて、低重合物などの高
沸点成分と分離され、塔頂よりジシクロペンタジエンに
富む留分を取り出し、管14を介して低沸点物除去塔4
〔工程(IV)〕へ送られる。 低沸点成分除去塔4では、シクロペンタジエンより低沸
点の類似共二量体が除去され、ジシクロペンタジエンに
富む留分は、塔低より管17を経て、最終の高沸点物除去
塔5〔工程(V)〕へ送られ、ここで、ジシクロペンタ
ジエンよりも沸点の高い高沸点の類似共二量体、及び残
存する低重合物が管19より除去され、塔頂より純度99重
量%以上のジシクロペンタジエンが管18より取得され
る。
【実施例】 以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明す
る。なお、実施例中の部及び%は、とくに断りのないか
ぎり重量基準である。また、部は、時間当りを示してい
る。 [実施例1] 第1図に示すフロー図に従い、次のようにして実験を行
った。第1表に示す組成のC5留分原料を、時間当り1000
部の割合で二量化槽へ供給し、反応温度80℃、滞留時間
4時間の条件でシクロペンタジエンを二量化し、未反応
C5留分回収塔へ供給した。 回収塔は、蒸留段数40段であり、140℃、1気圧、還流
比0.5の条件下で蒸留を行い、塔底より純度約85%のジ
シクロペンタジエン120部を得て蒸発器へ供給した。蒸
発器は、減圧度20torr、温度100℃の条件下で運転さ
れ、塔頂より110部、塔底より10部の割合で各留分を抜
き出した。蒸発器からの塔頂ガスは、凝縮器で液化さ
れ、低沸点成分除去工程へ移送した。 低沸点成分除去塔は、蒸留段数70段であり、減圧度15to
rr、温度100℃、還流比15の条件下で運転され、塔頂よ
り24部、塔底より86部の割合で各留分が抜き出され、そ
の時の塔底のジシクロペンタジエンの純度は98.3%であ
った。塔底液は、最終工程である高沸点成分除去塔へ移
送した。 高沸点成分除去塔は、実段数7段をもつ充填塔であり、
減圧度15torr、温度90℃、還流比5の条件で運転され、
塔頂より純度99.7%のジシクロペンタジエン75部が得ら
れた。 各工程における留分(管番号で示す)の組成(%)を第
2表に示した。
る。なお、実施例中の部及び%は、とくに断りのないか
ぎり重量基準である。また、部は、時間当りを示してい
る。 [実施例1] 第1図に示すフロー図に従い、次のようにして実験を行
った。第1表に示す組成のC5留分原料を、時間当り1000
部の割合で二量化槽へ供給し、反応温度80℃、滞留時間
4時間の条件でシクロペンタジエンを二量化し、未反応
C5留分回収塔へ供給した。 回収塔は、蒸留段数40段であり、140℃、1気圧、還流
比0.5の条件下で蒸留を行い、塔底より純度約85%のジ
シクロペンタジエン120部を得て蒸発器へ供給した。蒸
発器は、減圧度20torr、温度100℃の条件下で運転さ
れ、塔頂より110部、塔底より10部の割合で各留分を抜
き出した。蒸発器からの塔頂ガスは、凝縮器で液化さ
れ、低沸点成分除去工程へ移送した。 低沸点成分除去塔は、蒸留段数70段であり、減圧度15to
rr、温度100℃、還流比15の条件下で運転され、塔頂よ
り24部、塔底より86部の割合で各留分が抜き出され、そ
の時の塔底のジシクロペンタジエンの純度は98.3%であ
った。塔底液は、最終工程である高沸点成分除去塔へ移
送した。 高沸点成分除去塔は、実段数7段をもつ充填塔であり、
減圧度15torr、温度90℃、還流比5の条件で運転され、
塔頂より純度99.7%のジシクロペンタジエン75部が得ら
れた。 各工程における留分(管番号で示す)の組成(%)を第
2表に示した。
かくして、本発明によれば、従来技術に比較して、蒸留
という簡単なプロセスを組み合わせることによって、安
価に、しかも工業的スケールで高純度ジシクロペンタジ
エンを得ることができる。
という簡単なプロセスを組み合わせることによって、安
価に、しかも工業的スケールで高純度ジシクロペンタジ
エンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1図は、本発明の一実施態様を示すフロー図である。
1:二量化槽 2:蒸留塔 3:蒸発器 4:蒸留塔 5:蒸留塔
Claims (1)
- 【請求項1】下記の工程(I)〜(V)により、ナフサ
の熱分解により得られるC5留分から高純度ジシクロペン
タジエンを製造する方法。 工程(I):ナフサの熱分解により得られるC5留分を二
量化槽に導入して加熱し、該C5留分中に含まれるシクロ
ペンタジエンを二量化してジシクロペンタジエンとする
工程、 工程(II):工程(I)からの導出物を回収塔に導いて
蒸留し、塔頂からは、工程(I)における未反応成分を
回収し、一方、塔底からは、ジシクロペンタジエンに富
んだ留分を取り出す工程、 工程(III):工程(II)における塔底からの留分を蒸
発器または蒸留塔に導いて加熱または蒸留し、塔底から
は、工程(I)の二量化反応の際に副生するジシクロペ
ンタジエンよりも沸点の高い高沸点成分中の低重合物を
除去し、一方、塔頂からは、該高沸点成分の含有率が5
重量%以下で、ジシクロペンタジエンの含有率が80〜95
重量%のジシクロペンタジエンに富む留分を取り出す工
程、 工程(IV):工程(III)における塔頂からの留分を低
沸点物除去塔に導いて蒸留し、塔頂からは、工程(I)
の二量化反応の際に副生するジシクロペンタジエンより
も沸点の低い低沸点の類似共二量体を除去し、一方、塔
底からは、ジシクロペンタジエンに富む留分を取り出す
工程、及び 工程(V):工程(IV)における塔底からの留分を高沸
点物除去塔に導いて蒸留し、塔底からは、工程(I)の
二量化反応の際に副生するジシクロペンタジエンよりも
沸点の高い高沸点の類似共二量体を除去し、一方、塔頂
からは、高純度ジシクロペンタジエンを取り出す工程。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP60149448A JPH0739354B2 (ja) | 1985-07-08 | 1985-07-08 | 高純度ジシクロペンタジエンの製造方法 |
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JP60149448A JPH0739354B2 (ja) | 1985-07-08 | 1985-07-08 | 高純度ジシクロペンタジエンの製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6210025A JPS6210025A (ja) | 1987-01-19 |
JPH0739354B2 true JPH0739354B2 (ja) | 1995-05-01 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP60149448A Expired - Fee Related JPH0739354B2 (ja) | 1985-07-08 | 1985-07-08 | 高純度ジシクロペンタジエンの製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JPH0739354B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
1985
- 1985-07-08 JP JP60149448A patent/JPH0739354B2/ja not_active Expired - Fee Related
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US9783469B2 (en) | 2008-12-26 | 2017-10-10 | Jx Nippon Oil & Energy Corporation | Method for refining dicyclopentadiene |
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPS6210025A (ja) | 1987-01-19 |
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