JPH0735257B2 - 石英ガラスの製造方法 - Google Patents

石英ガラスの製造方法

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JPH0735257B2
JPH0735257B2 JP24668687A JP24668687A JPH0735257B2 JP H0735257 B2 JPH0735257 B2 JP H0735257B2 JP 24668687 A JP24668687 A JP 24668687A JP 24668687 A JP24668687 A JP 24668687A JP H0735257 B2 JPH0735257 B2 JP H0735257B2
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quartz glass
silica
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は石英ガラスの製造方法、特にはシリカゾル液中
に2種の粒径の球状シリカを加え濃縮、沈降し、一方の
球状シリカ微粒子に最密充填構造をとらせ、その空隙部
に他方の小粒径の球状シリカ微粒子を配置した状態で昇
温ゲル化し、乾燥および焼結ガラス化工程で発生する割
れ、発泡、不透明化を防止するようにした、ゾルーゲル
法によって安価にかつ歩留よく石英ガラスを製造する方
法に関するものである。
(従来の技術) 高純度の合成石英ガラスは近年、光学用、光通信用など
に使用され始めているが、この合成石英の製造法につい
ては揮発性のけい素化合物を酸水素火炎中で火炎加水分
解するか、プラズマ炎中で酸化分解してターゲット上に
シリカを集積させ、これを溶融透明化する高温合成法
と、金属アルコキシドのアルコール溶液あるいは水ガラ
スのような無機けい酸塩からゲルを作り、ついでこれを
焼成して透明なシリカガラスを作るというゾルーゲル法
と呼ばれている低温合成法が知られている。
しかし、この高温合成法には酸水素火炎の燃焼熱、プ
ラズマ発生用電力などに多大のエネルギーが必要とされ
るし、塑性成形時に2,000℃近くまで昇温させなければ
ならないのでこれにも多大のエネルギーが必要とされ
る、高温工程が必要とされるために、屈折率制御のた
めにシリカ成長時に添加されるドーパントの固定比率が
極めて低く、固定されたドーパントも塑性成形時におけ
る高温履歴過程で揮散することが多い、製品を得るま
での工程が長いので経済性に劣る、という不利がある。
また、この低温合成法についてはA)アルコキシシラン
をアルコール溶媒中で塩酸などの酸触媒やアンモニアな
どの塩基性触媒の存在下で加水分解し、加温してゲル化
して湿性ゲルを作り、これを乾燥したのち焼結、透明ガ
ラス化する方法(特公昭59−9497号公報参照)、B)1
μm以下の微細なシリカ粒子を水などの分散媒に懸濁し
た溶液に酸性あるいは塩基性のゲル化触媒を加えてこれ
をゲル化させて湿性ゲルを作り、これを乾燥、焼結、透
明ガラス化するか、上記した微細シリカ粒子懸濁液中の
分散媒を揮発させてシリカ乾燥体とし、これを焼結、透
明ガラス化する方法(ジャーナル・オブ・アメリカン・
セラミック・ソサエテイ,66、No.10、第683頁、1983年
参照)、C)アルコキシシランを酸触媒または塩基性触
媒の存在下で加水分解して均一のゾルを作ると共に、1
μm以下の微細なシリカ粒子を水などの分散媒に懸濁し
た液を作り、この両者を混合するか、あるいは上記の加
水分解ゾル液に粉末状の微細シリカを分散処理してシリ
カ微粒子を含んだシリカゾル液を作り、このPH、温度を
調節してこれをゲル化させて湿性ゲルとし、これを乾
燥、焼結、透明ガラス化する方法(特開昭61−91033号
公報参照)などの方法が公知とされており、これによれ
ば最も高温となるときでもそれが1,000〜1,500℃とされ
るので上記した高温合成法にくらべて大巾に省エネルギ
ー化されるし、ドーパントの添加も各種元素のアルコキ
サイドをアルコキシシランに添加し共加水分解するか、
その酸化物微細粒子を添加すればよく、このドーパント
は100%収率で固定化することができ、これは揮散する
こともないという利益が与えられ、さらにこの場合には
ゲル化を所望の形状の容器中で行なわせれば成形、切
断、切削などの加工操作が不要とされるので経済性にす
ぐれているという利点も与えられるけれども、このA)
の方法にはゲルの乾燥時、焼結時に割れまたは発泡現象
が生じ易いので大型のガラスが得難いという不利がある
し、B)の方法には発泡現象は生じないが乾燥工程での
割れがあるために大型のガラス体は得難く、透明ガラス
化温度に1,500℃以上と比較的高温が必要とされるとい
う不利があり、さらにC)の方法には透明ガラス化時に
時々発泡があり、製品も不透明なものとなる場合がある
ので、再現性がわるく、透明なガラス体を歩留りよく製
造することが難しいという欠点がある。
(発明の構成) 本発明はこのような不利を解決したゾルーゲル法によっ
て再現性よく、透明ガラス体を歩留りよく製造する方法
に関するもので、これはアルコキシシランを塩基性触
媒の存在下で反応条件を変えて加水分解して得た均一で
一定な球形を有する球状シリカ微粒子を含む溶液から残
存する塩基性触媒を蒸留除去して液のPHを8以下とした
のち、球状シリカ微粒子を沈降させ、上澄みを除去して
得た粒径の異なる2種の球状シリカ微粒子を混合する工
程、この球状シリカ微粒子に、アルコキシシランを酸
性触媒の存在下で加水分解した液からアルコールおよび
水を蒸留除去してシリカ濃度を高めた溶液を氷冷下に加
え、PHを2〜6に調整し、撹拌混合してシリカ微粒子を
再分散させる工程、この溶液から氷冷下で2種の球状
シリカ微粒子を高密充填構造として沈降させ、上澄み液
を除去したのち昇温してゲル化させて得た湿性ゲルを、
乾燥、焼結、ガラス化する工程、とからなることを特徴
とするものである。
すなわち、本発明者らは前記したゾルーゲル法のC)の
方法を検討した結果、この方法で得られる湿式ゲルはこ
こに存在する微細シリカ粒子が密度の薄いもので機械的
強度が弱く、焼結ガラス化時に多孔質体である乾燥ゲル
表面のシラノールの脱水反応が生じ、副生する水がガラ
ス中に閉じ込められ、その後の加熱過程で水蒸気の体積
膨張によって発泡現象が生じること、また乾燥ゲル中の
シリカ微粒子群を取りまくシリカゾルから形成されるシ
リカは粒子群よりも低温で焼結ガラス化するのでこれが
ガラス体中に不透明部分として散在して残ることになる
ということを確認し、これらの不利を解決する方法につ
いて種々検討した結果、このアンモニア等の塩基触媒に
よる加水分解で得られるシリカ微粒子は比較的大きな口
径の細孔を有する為に焼結、ガラス化の際副生する水蒸
気の揮散する煙道ともなっている。それ故数密度が小さ
いと補強効果が悪くなるとともに上述の副生水蒸気の揮
散を妨げ発泡の原因となることが判明した。
一方シリカ微粒子の数密度が小さいとそれを取巻くシリ
カゾル部がゲル化した時の不透明部分の原因となるが、
数密度が大きくなるとシャープな焼結、ガラス化温度を
持ち、しかも低温でガラス化し易く、くもりもなく均一
で透明なガラス体が得られるので、ゲル化前にシリカ微
粒子の数密度を出来るだけ大とする事が好ましいことが
判った。
そのためにはこれ等の粒状シリカ微粒子ができるだけ高
密充填構造をなすことが好ましく、一般に同じ大きさの
球を最も密に積み重ねた構造を最密充填構造といい、本
発明の球状シリカ微粒子が同じ大きさの均一な単分散系
よりなることから、これを濃縮し沈殿すると該球状シリ
カ微粒子が最密充填構造を成すことを確認したが、これ
については球状シリカ微粒子が最密充填構造をとる際
に、こゝに生じる空隙に丁度納まるような球径をもつ他
の球状シリカ微粒子をこれに混合すると、この空隙部に
粒径の小さいシリカ微粒子が配置されて充填密度がさら
に上昇されるのですぐれた効果の得られることが確認さ
れた。
なお、この場合最密充填構造をとる球状シリカ微粒子の
粒径をDとし、その空隙部に納まる他の球状シリカ微粒
子の粒径をdとすると、数学的にこれらの間には という関係が成立ち、最密充填構造の空隙部に丁度納ま
る球状シリカ微粒子の粒径dは最密充填構造を成す球状
シリカ微粒子の粒径Dの22.5%となることが判明したの
で、例えば0.200μmのもつ球状をもつ球状シリカ微粒
子と0.045μmの粒径をもつ球状シリカ微粒子を混合す
れば本発明の目的とする高密度に充填された構造をもつ
高密充填構造の球状シリカ微粒子を得ることができる
が、これは最初の最密充填構造をもつ球状シリカ微粒子
にその粒子の粒径よりも22.5%以下の粒径をもつ2種以
上の球状シリカ微粒子を組合わせて混合してもよく、こ
の場合にもシリカ充填度のより向上されたものを得るこ
とができる。
このように高密度にシリカを充填した構造をもつ球状シ
リカ微粒子を含有するゾル液はついでこれを昇温ゲル化
して湿性ゲル→乾燥ゲル→焼結→ガラス化するとこの工
程における体積収縮率が従来法では85%以上であったも
のが60%以下と小さくなり、それによる収縮歪も小さい
ために割れが生じにくい、前述の副生水蒸気等の揮散が
容易なためにそれらに発泡現象を防ぎ、くもりの無い透
明ガラス体を再現性よく、しかも歩留りよく得ることを
可能にする。
このように粒径が一定な単分散の球状シリカ微粒子はジ
ャーナル・オブ・コロイド・アンド・インターフェイス
サイエンス26 62(1968)や特願昭61−221569号明細書
に記載されている方法で得られるが、それによるとアン
モニア、有機溶剤、水系で一定温度でアルコキシシラン
の加水分解を行なえばそれらの添加量、温度を変化させ
ることにより0.01〜2.0μmの範囲で粒径のコントロー
ルができる。すなわち、アンモニア量を増すと粒径は大
となり、減ずると小になるが、水は粒径の最大を示す値
があり、量により変る。溶媒は少ないと粒径が大、多い
と小となり、温度は低いと粒径が大、高いと小となるの
で、以上の条件を選ぶことにより一定の均一な粒径の球
状シリカ微粒子が得られる。
本発明で用いるアルコキシシランは式 (RO)4Siで示され、Rは炭素数が4以上のものとする
とこれから得られるゾル層が疎水性を増して2層に分離
し、均一ゾル層が得られなくなるので炭素数が1〜4の
アルキル基であるものとされるので、これにはテトラメ
トキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキ
シシラン、テトラブトキシシラン、メトキシトリエトキ
シシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリメトキシ
エトキシシランなどが例示されるが、加水分解反応性、
入手のし易さ、価格の点からはテトラメトキシシラン、
テトラエトキシシランが好ましいものとされる。
この石英ガラスを光通信用として使用する場合には、こ
れにドーパントを添加してその屈折率を調整することが
必要とされる。したがって本発明の方法においてドーパ
ントを添加する場合には、リン、チタン、アルミニウ
ム、ボロン、ゲルマニウム、ジルコニウム、ネオジアム
などのアルコキシ化合物、例えばPO(OR)3,Ti(OR)4,
Al(OR)3,B(OR)3,Ge(OR)4,Zr(OR)4,Nd(OR)
(Rは炭素数1〜4のアルキル基)をアルコキシシラン
に所定量添加すればよく、これによれば本発明の方法が
特に高温を必要としないのでドーパントが揮散すること
がなく、略100%の固定率でドープすることができると
いう有利性も与えられる。
したがって上記した、、工程中で作ったものとす
ると、この第3工程で沈降したシリカ微粒子は最密充填
構造体よりも数密度の高いものとなり、これを昇温して
ゲル化させた湿式ゲルを乾燥、焼結して得られるガラス
体には同工程における体積収縮率が小さいために割れが
発生したり、発泡することがないということを見出し、
これによれば透明ガラス体を再現性よく高い歩留りで得
ることができることを確認して本発明を完成させた。
以下、本発明の方法をこの工程順にしたがってさらに詳
細に説明する。
本発明の方法における第1工程はアルコキシシランの加
水分解で均一な粒径を有する単分散のシリカ微粒子懸濁
液を得る工程である。アルコキシシランまたはこれにド
ーパントとしての金属アルコキシドを必要に応じて加え
たものを加水分解させるときに添加される塩基性触媒と
してはアンモニア水が用いられるが、この加水分解は塩
基性触媒としてのアンモニア水0.1〜10モルと2〜20モ
ルの水およびアルコキシシランと相溶性のある有機溶
剤、特にはメタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノールのような炭素数4以下のアルコール5〜100モ
ルとの混合液を大気圧下または加圧下に0〜50℃で撹拌
しているところに、上記したアルコキシシランまたはこ
れにドーパントとしての金属アルコキシドを加えたもの
1モルを必要に応じ溶剤と共に滴下して行えばよいが、
この撹拌は生成したシリカ粒子が凝集して集合体を作ら
ないようにするために高い剪断力を備えた撹拌装置を用
いて激しく撹拌することがよい。この加水分解でアルコ
キシシランは球状シリカ微粒子を含有する懸濁液とされ
るが、このものは蒸留によってここに残存しているアン
モニア水を留去するとpHが低下し、このpH値が8以上で
あると後記する第2工程で添加される酸性加水分解均一
ゾルが瞬時にゲル化してしまうので8以下のものとする
ことが必要とされる。なお、このpHを8以下とするため
にはこの懸濁液から水と塩基性触媒としてのアンモニア
を留去すればよく、これによれば懸濁液は次第にSiO2
度が増加していくが、これが50重量%を越えるとシリカ
の凝集またはゲル化が生じ易くなるので、SiO2が50重量
%以上になってもpHが8以下とならないときには系内に
水を加えて留去を続けることがよい。
このようにして得えられたシリカは球状で均一で一定の
粒径を有する単分散溶液で得られ、これを放置するとシ
リカ微粒子が沈降するが粒径が0.2μm以下の小さい粒
子は短時間では沈降しないのでこれは遠心沈降などで沈
降させることもよく、この沈降後、上澄み液を除去すれ
ばシリカ微粒子が得られるが、本発明では以上述べた方
法でアンモニア水、溶媒の添加量、温度などの製造条件
を変えることにより粒径比が0.225/1以下の比率の2種
の球状シリカ微粒子を作り、これらを混合して2種の粒
径の異なる球状シリカ微粒子を含むシリカ懸濁液とする
必要がある。
本発明の第2工程はこの第1工程で得られたシリカ微粒
子懸濁液にアルコキシシランの酸性加水分解で作ったゾ
ルを添加してこのゾル中でシリカ微粒子を再分散させる
工程である。このアルコキシシランの酸性加水分解は1
×10-4〜10-1モルの塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸また
は酢酸などの有機酸のような酸性触媒と2〜20モルの水
および必要に応じ添加されるアルコールなどの有機溶剤
からなる混合液を常圧または加圧下に0〜50℃で撹拌し
ながら、これに前記アルコキシシランまたはこれにドー
パントとしての金属アルコキシドを加えたもの1モルを
必要に応じ添加されるアルコールなどの有機溶剤と共に
滴下すればよく、この加水分解で作られたゾル溶液はつ
いで水、アルコールなどを留去させてシリカ濃度を高め
てから、これを前記した第1工程で得られたシリカ微粒
子に添加すればよい。なお、この水、アルコールなどの
留去は通常の単蒸発操作でも蒸留操作でもよいが、これ
によると水、アルコールと共に酸も留去され、ゾルのpH
はこの操作と共に次第に上昇して中性に近づくが、中性
に近つく程加熱によりゲル化し易くなるので、これはで
きるだけ低温度で減圧単蒸発とすることがよい。
このシリカ濃度を高めたゾル溶液はついでこれを上記し
た第1工程で得たシリカ微粒子に添加し、撹拌混合する
のであるが、このものはpH値が2〜6の範囲のものとす
ることがよいので、ここにはpH調節剤として塩酸、硫酸
などの無機酸またはアンモニア水などのアルカリ性物質
を適宜添加することがよい。また、この混合撹拌はゲル
化を防止するために低温で行なうことがよいので、これ
は0〜20℃に保つ為に氷冷下で行なうことが必要とされ
る。この混合撹拌によって第1工程で得られたシリカ微
粒子はこの工程で添加されるシリカゾル液と混合され、
シリカ微粒子はシリカゾル液中に再分散される。
本発明の第3工程はこの第2工程で得られたシリカ微粒
子含有ゾル液をゲル化させて湿性ゲルとし、これを乾
燥、焼結ガラス化するもので、この湿性ゲルは第2工程
で得られたシリカゾル液中に再配分されたシリカ微粒子
を氷冷下で沈降させて濃縮し、上澄み液を除去すること
によって、この球状シリカ微粒子の一方の最密充填構造
の空隙部に他方の微細なシリカが充填された高密度充填
構造体とったのち、昇温ゲル化することによって得るこ
とができる。この沈降を氷冷下とすることは沈降によっ
てシリカ微粒子がこのような高密度充填構造体となる前
にゲル化することを防止するためであるが、この温度は
0〜20℃となるようにすればよい。また、このシリカ微
粒子の沈降は自然沈降としても遠心沈降としてもよい。
このゲル化は加熱によって行なわせればよく、これは温
度の高い程ゲル化が速くなるが、余り高温とすると乾燥
が同時に進行して割れの生じるおそれがあるので30〜60
℃とすることがよい。
このようにして得られた湿性ゲルはついで乾燥、焼結す
ることによってガラスされるが、この乾燥は急激乾燥と
すると割れを生じさせるので湿性ゲルに含有されている
水分と残留アルコールの揮発速度を抑えて除々に行なわ
せることがよく、したがってこれには開口率が0.1〜5
%である容器の中で50〜70℃の温度で初期湿性ゲルが15
〜35重量%になるまで乾燥させることがよい。また、こ
の焼結はこの乾燥で得られた乾燥ゲルを室温から1,100
℃に段階的に昇温させることで行なえばよく、100〜300
℃における表面吸着水の脱着、300〜500℃のアルゴンガ
ス雰囲気における残留有機物の酸化、脱炭素、500〜1,1
00℃における表面シラノール基の脱水結合の間における
熱歪みによる割れを防止するためには昇温速度を10〜10
0℃/時とすればよいが、基体中の熱伝導を良好なもの
として割れを防止するためにはこの雰囲気をヘリウムガ
ス雰囲気とすることがよい。なお、この焼結体中のOH基
除去のためには700〜900℃における焼結をCl2、SOCl2
どのCl化剤の存在下で行なって脱OH処理すると共に、こ
れに引続く900〜1,100℃における焼結をO2ガス等の酸化
剤の存在下における酸化脱Cl化処理とすることがよい。
このガラス化はこのようにして得られた焼結ゲルを1,10
0〜1,400℃に段階的に昇温して行なえばよいが、これは
1,100〜1,200℃で細孔の閉孔を行ない、1,200〜1,400℃
で透明ガラス化するようにすればよい。
本発明の方法による石英ガラスの製法はアルコキシシラ
ンを上記した第1〜第3工程で処理することによって行
なわれるが、これによればシリカゾル液中で2種の球状
シリカ微粒子を濃縮、沈降し、数密度を高め、高密充填
構造体と成し、ついで昇温ゲル化して得た湿性ゲルを乾
燥、焼結、ガラス化して得られる石英ガラスは湿性ゲル
からの工程中の体積収縮率が60%以下と小さく、したが
って割れや発泡のない透明なものとなるので、石英ガラ
スを安価にかつ歩留りよく生産することができるという
工業的な有利性が与えられる。
つぎに本発明の実施例をあげるが、例中における体積収
縮率は次式により求めたものである。
実施例1 水321g,無水エタノール4,950ml、アンモニア水(NH3
度28重量%)297mlの混合液を滴下ロート、温度計、タ
ービン撹拌翼のついたガラス製フラスコに入れ、温度を
10℃に保って激しく撹拌させながら、これにテトラエト
キシシラン926gを滴下し、2時間撹拌して加水分解させ
たのち、これに純水を断続的に加えつつ減圧下で水、エ
タノール、アンモニアを留去してpHが6.5の濃度30%の
シリカ懸濁液aを作ったところ、このものは粒径が0.2
μmである均一な球状シリカ微粒子であった。
また、水124g、メタノール404ml、28重量%のアンモニ
ア水36.5mlの混合物を滴下ロート、温度計、タービン撹
拌翼のついたガラス製フラスコに入れ、温度を37.5℃に
保って激しく撹拌そせながらこれにテトラメトキシシラ
ン51.9gとメタノール68mlとの混合液を1時間にわたっ
て滴下し加水分解させたのち、これに純水を断続的に加
えつつ減圧下で水、メタノール、アンモニアを留去して
pH6.5まで濃縮したところ、粒径が0.045μmである均一
な球状シリカ微粒子を30重量%含有するシリカ懸濁液b
が得られた。ついでこのシリカ懸濁液bを上記で得たシ
リカ懸濁液aと全量混合し、これを15,000rpm,40分間で
遠心分離してシリカ微粒子を沈降させ、上澄液を除去し
た。
他方、テトラエトキシシラン260gと、無水エタノール10
3mlとからなる混合液を25℃に保ち、これに激しく撹拌
しながら0.02規定の塩酸水90gを加え、2時間撹拌して
加水分解させたのち、これを減圧下に、40〜50℃に加熱
して水およびエタノールを留去しシリカ濃度が30重量%
であるシリカゾル液を作り、これを上記で得たシリカ微
粒子の混合液に添加し、激しく撹拌してシリカ微粒子を
再分散したのち、氷冷下で激しく撹拌しつつ0.2規定の
アンモニア水を添加してそのpHを5に調整し、これを16
0×160×50mmのテフロン製容器に入れ、氷冷下に一昼夜
放置してシリカ微粒子を沈降させたのちスポイトで上澄
液を除去し、1mmの穴が開口率で0.3%で設けられている
蓋を取り付けた恒温槽に入れ30℃に加熱してゲル化させ
て、同寸法のゲル体10個を作った。
ついで、この10個のゲル体を60℃の恒温槽に移し、その
温度で16日乾燥したが、ゲル体にはこの間1個の割れも
なかった。つぎに、この10個の乾燥ゲル体をマッフル炉
に入れ、室温から300℃まで昇温速度30℃/時で昇温
し、この温度で5時間加熱したのち、脱炭素処理を行な
ってから300℃から700℃まで昇温速度30℃/時で昇温
し、この温度で2時間加熱して脱水縮合させ、さらにこ
の系内をヘリウムガス雰囲気としたのち700℃から1,100
℃まで昇温速度30℃/時で昇温し、この温度で10時間保
持し、細孔を閉孔化した。引き続き昇温速度30℃/時で
1100℃から1300℃まで昇温して、この温度で5時間加熱
してガラス化したことろ、120×122×10.5mmの大きさの
透明な石英ガラス体10個が得られ、このときの湿性ゲル
からガラス体への体積収縮率は56%であった。
実施例2 実施例1におけるテトラエトキシシラン926gをテトラエ
トキシシラン880gとリン酸トリメチル31gの混合物とし
たほかは実施例1と同様に処理してテトラエトキシシラ
ンの塩基性触媒存在下での加水分解、沈降、上澄液除去
を行なって平均粒径が、0.2μmと0.045μmのリンでド
ープされたシリカ微粒子を作り、これらを混合した。
また、実施例1におけるテトラエトキシシラン260gの代
わりにテトラエトキシシラン247gとリン酸トリメチル
〔(CH3)O〕3PO8.8gとの混合物を使用したほかは実施
例1と同様に処理してテトラエトキシシランの酸性触媒
存在下での加水分解、水、エタノール除去を行なってリ
ンでドープされたシリカ濃度30重量%のシリカゾル液を
作った。
つぎにこのシリカ微粒子混合液とシリカゾル液とを実施
例1と同様の方法で混合し、再分散、沈降して湿性ゲル
を作り、これを乾燥、焼結、ガラス化したところ、この
工工程での体積収縮率は56%でこの場合にも割れ、発泡
なしでリンでドープされた石英ガラス10個が得られ、こ
のときのリンの固定率はほゞ100%であった。
比較例 水209g,無水エタノール3,228ml、28重量%のアンモニア
水194の混合物を実施例1で使用したガラス製フラス
コに入れ、これにテトラエトキシシラン604gを滴下し、
2時間撹拌して加水分解させたのち、これに純水を断続
的に加えつつ減圧下で水、エタノール、アンモニアを留
去してpHが6.5になるまで濃縮し、平均粒径が0.16μm
でシリカ濃度が30重量%のシリカ微粒子懸濁液を作っ
た。
他方、テトラエトキシシラン494g、無水エタノール196m
lの混合物を実施例1で使用したガラス製フラスコに入
れ、0.02規定の塩酸水171gを加え、2時間撹拌して加水
分解させてシリカゾル液を作り、これを上記したシリカ
微粒子懸濁液と混合したのちアンモニア水を加えてpHを
5.0に調整し、250×250×50mmのテフロン製容器に入
れ、1mmの穴が開口率0.3%とされている蓋をして30℃の
恒温槽に入れてゲル化させて同寸法の湿式ゲル体10個を
作った。
ついでこのゲル体10個を60℃の恒温槽に核し、その温度
で16日間乾燥して乾燥ゲルとしたところ、このものは10
個のうち2個に割れが生じていた。
つぎにこの残りの8個のゲル体について実施例1と同じ
方法で焼結、ガラス化したところ、このうちの4個は12
0×120×10mmの透明ガラス体となったが、残り4個のう
ちの2個は不透明で1個は割れ、1個は発泡を含むもの
であり、このときの湿性ゲルからガラス体への体積収縮
率は89%であった。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1)アルコキシシランを塩基性触媒の存在
    下で反応条件を変えて加水分解して得た、均一で一定の
    粒径を有する球状シリカ微粒子を含む溶液から残存する
    塩基性触媒を蒸留除去して液のPHを8以下としたのち、
    球状シリカ微粒子を沈降させ、上澄みを除去して得た粒
    径の異なる2種の球状シリカ微粒子を混合する工程、 2)この球状シリカ微粒子に、アルコキシシランを酸性
    触媒の存在下で加水分解で得た液からアルコールおよび
    水を蒸留除去し、シリカ濃度を高めた溶液を氷冷下に加
    え、PHを2〜6に調整し撹拌混合してシリカ微粒子を再
    分散させる工程、 3)この溶液から氷冷下で球状シリカ微粒子を沈降さ
    せ、上澄み液を除去したのち昇温してゲル化させた湿性
    ゲルを、乾燥、焼結、ガラス化する工程、 とからなることを特徴とする石英ガラスの製造方法。
  2. 【請求項2】粒径の異なる2種の球状シリカ微粒子の一
    方の球状シリカ微粒子の粒径が他方の球状シリカ微粒子
    の粒径の22.5%以下のものである特許請求の範囲第1項
    記載の石英ガラスの製造方法。
  3. 【請求項3】粒径の異なる2種の球状シリカ微粒子の一
    方の球状シリカ微粒子が最密充填構造を形成し、その空
    隙部に他方の球状シリカ微粒子を配して高密度充填構造
    を形成させたのち、昇温してゲル化させ特許請求の範囲
    第1項または第2項記載の石英ガラスの製造方法。
  4. 【請求項4】湿性ゲルを石英ガラス化する工程における
    体積収縮率が60%以下である特許請求の範囲第1項、第
    2項または第3項記載の石英ガラスの製造方法。
  5. 【請求項5】アルコキシシランが珪素以外の金属アルコ
    キシドもしくは金属オキシアルコキシドを含む該金属の
    添加によってドーピングされたものである特許請求の範
    囲第1項、第2項、第3項または第4項記載の石英ガラ
    スの製造方法。
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