JPH0734614A - 断熱通気用野地板パネル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】野地板１の下方に断熱層２を一体化した断熱通
気用野地板パネルである。野地板１と断熱層２との間
に、断熱通気用野地板パネルの長辺方向および短辺方向
の両方向に連通する通気路４を設けた。 【効果】断熱通気用野地板パネルを用いることにより、
屋根面における断熱通気構造を容易に且つ確実になる。
また、歩留まりの向上と施工性の向上が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は断熱・通気野地板パネル
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、敷地・建物の有効利用から小屋裏
を居住空間として利用する例が増加している。そのた
め、従来のように天井面での断熱では意味がなく、屋根
面で断熱をする必要があり、最も簡単な方法としては図
３に示すように、野地板１の下面に断熱層２を設置し、
野地板１の上面に防水紙７を介して屋根材６を固定する
という方法が考えられる。しかし、この方法においては
断熱層を野地板の下面に確実に固定することが難しいこ
と、また冬期には換気が取れないために、室内で発生し
た湿気を排出することができないため防水紙７と野地板
１の間で結露を起こし、建物の耐久性を著しく低下させ
てしまうという欠点があった。

【０００３】このため屋根面で断熱を行う場合は、断熱
材による断熱の他に通気路を設けて排湿を行うことが必
要となる。一方、断熱＋通気という構法を採用する場
合、施工現場で野地板の下面に通気路を確保しながら断
熱材を固定する方法が考えられるが、通気路を所定の寸
法で確保しながら確実に断熱層を固定することは難しい
という課題がある。

【０００４】そこで、野地板と通気路と断熱層を一体化
した断熱通気用野地板パネルとし、これを施工すること
により断熱＋通気の構成を実現する方法が考えられる。
この例としては、特開平４−２９３８３４に断熱通気用
野地板パネルが開示されている。この断熱通気用野地板
パネルは、図４に示すように野地板１と断熱層２とをつ
なぎ材１３により一体化し隣接するつなぎ材との間に通
気路４を形成する。

【０００５】しかし、この断熱通気用野地板パネルにお
ける通気路は、パネルの長辺方向または短辺方向の一方
向に限られ、パネルの施工される方向が限定されて、材
料の歩留まりが悪いという課題が起こる。また、施工現
場で屋根形状や寸法によりパネルを切断して使用する際
に、つなぎ材とつなぎ材との中間部で切断した場合に
は、通気路を確保するために木材等を野地板と断熱層の
間に挿入することが必要となるという課題がある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術が
有していた前述の欠点を解決しようとするものであり、
屋根面における夏期の断熱性能及び冬期の排湿性能を向
上すると共に、施工性と材料歩留まりを向上させた断熱
通気用野地板パネルを提供することを目的とするもので
ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、野地板の下方
に断熱層を一体化した断熱通気用野地板パネルにおい
て、野地板と断熱層との間に、断熱通気用野地板パネル
の長辺方向及び短辺方向の両方向に連通する通気路を設
けたことを特徴とする断熱通気用野地板パネルである。

【０００８】以下、本発明の実施例に従って説明する。
図１は本発明による断熱通気用野地板パネルの野地板が
一部欠如した斜視図である。図１において、１は野地
板、２は断熱層、３はスペーサー、４は通気路、５は通
気路内の空気の流れを示している。本発明による断熱通
気用野地板パネルは、図１のように、野地板１とその下
方に設けられた断熱層２とが島状に配されたスペーサー
３を介して一体化された構造になっている。このスペー
サー３、野地板１及び断熱層２により通気路４が形成さ
れる。

【０００９】この通気路４は断熱通気用野地板パネルの
長辺方向及び短辺方向に連通されており、空気は５のよ
うに長辺方向、短辺方向に流れる。野地板１としては、
一般的な野地板であれば使用することができる。具体的
には、構造用合板の厚さ９〜２０ｍｍものあるいは耐火
野地板として使われている、木毛セメント板・木片セメ
ント板・パーライトセメント板等の厚さ１０〜５０ｍｍ
程度のものが好適に使用される。

【００１０】断熱層２としては、熱伝導率が０．０５ｋ
ｃａｌ／ｍｈ℃以下の材料が好ましい。かかる材料とし
ては、グラスウール・ロックウール等の無機質繊維板あ
るいは発泡スチロール・フォームポリスチレン・発泡ウ
レタン等の有機断熱材または珪酸カルシウム板が例示さ
れる。

【００１１】スペーサー３としては、屋根材、野地板の
荷重に耐える材料であればよく、断熱材と同質のものま
たは木材・プラスチック等が好適に使用される。また、
断熱材を切削加工してスペーサーを形成することも可能
である。スペーサーの寸法とパネル１枚当たりに設置す
るスペーサーの数量は、野地板と屋根材等の荷重に耐え
得るようにスペーサーの材質に適宜選択される。スペー
サーの厚みとしては５〜１００ｍｍが好ましく、１００
ｍｍを超えると、断熱通気用野地板パネルが大きくなり
過ぎ、５ｍｍ未満では通気抵抗が大きくなり過ぎるので
いずれも好ましくない。

【００１２】また、スペーサーは、通気路の幅５〜５０
０ｍｍが確保され、長辺方向・短辺方向両方向に通気路
が連通するように、島状に配置される。スペーサーの形
状は、通気路の厚みと幅が確保され、長辺方向と短辺方
向の両方向に連通するような形状であればよい。

【００１３】図２は本発明断熱通気用野地板パネルを使
用した建物の基本的な断面図であり、垂木８の上に断熱
通気用野地板パネルの断熱層２が当接するように断熱通
気用野地板パネルを取り付け、断熱通気用野地板パネル
の野地板１の上面に防水紙７を介して、屋根材６が取り
付けられる。断熱通気用野地板パネルの通気路４は軒先
と屋根上部の２カ所で外気と連通している。この建物に
おいて、日射受熱等で温められた空気は、５のように上
方に向かって移動するため、軒先吸気部１１から外気を
吸気し屋根上部に設けられた棟排気部１２から外気に排
出される。

【００１４】図２に示す建物のように垂木の上に本発明
の断熱通気用野地板パネルを設置した場合、野地板及び
屋根材の荷重を垂木部分で受けるため、断熱層の一部分
に集中的に荷重が加わり、断熱層の材質によっては変形
する可能性がある。これを防止するため、断熱層の裏面
に裏打ち材を設けることが好ましい。裏打ち材としては
合板・鋼板・プラスチック板・セメント系ボード類など
の厚み０．５〜１２ｍｍ程度のものが好適に使用され
る。

【００１５】

【作用】本発明の断熱通気用野地板パネルを使用するこ
とにより、屋根面からの熱は野地板を通過するが、その
下面の通気層の空気を温める。温められた空気は通気層
上部に向かって移動し、屋根面上部に設けられた換気口
から外部に排出される。更に、通気層を通過した熱は断
熱層により断熱されるため、内装材を通り小屋裏空間に
侵入する熱を非常に小さくすることができる。

【００１６】一方、冬期においては、小屋裏で発生した
水蒸気は内装材・断熱材を通過し通気層に入り、通気層
内の空気と共に屋根上部に設けられた換気口より排出さ
れるため結露の危険性がなくなる。このような効果が認
められる断熱通気工法は、現場施工によって必要な材料
を組み合わせることにより実現可能であるが、野地板と
通気層と断熱層を一体化したパネルを使用することによ
り、より確実に・より簡単に実現が可能となる。

【００１７】

【発明の効果】本発明の断熱通気用野地板パネルを用い
ることにより、屋根面における断熱通気構造を容易に且
つ確実に提供することが可能となる。また、従来のパネ
ルに比較し歩留まりの向上と施工性の向上が得られる。
これにより、夏期においては日射によって温められた屋
根面の熱量を効果的に遮熱することができ小屋裏温度を
低く抑えることが可能となる。また、冬期においては室
内で発生した水蒸気を通気層を介して外部に排出するこ
とができ、従来防水紙と野地板との間で結露が発生し野
地板が常に湿った状態となり腐食を速めていたのを防止
することができ、建物の耐久性を著しく向上させること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の断熱通気用野地板パネルの斜視図

【図２】本発明の断熱通気用野地板パネルを使用した建
物の断面図

【図３】従来の屋根断熱工法の断面図

【図４】通気断熱野地板パネルの従来例の斜視図

【符号の説明】

１：野地板 ２：断熱層 ３：スペーサー ４：通気路 ５：通気の流れ ６：屋根材 ７：防水紙 ８：垂木 ９：内装材 １０：小屋裏 １１：軒先吸気部 １２：棟排気部 １３：つなぎ材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】野地板の下方に断熱層を一体化した断熱通
   気用野地板パネルにおいて、野地板と断熱層との間に、
   断熱通気用野地板パネルの長辺方向および短辺方向の両
   方向に連通する通気路を設けたことを特徴とする断熱通
   気用野地板パネル。
2. 【請求項２】請求項１に示す断熱通気用野地板パネルの
   断熱材の裏面に裏打ち材を設置した断熱通気用野地板パ
   ネル。