JPH07332429A

JPH07332429A - 円筒型液封入防振マウント

Info

Publication number: JPH07332429A
Application number: JP15143194A
Authority: JP
Inventors: Shinya Yoshida; 信也吉田; Shigeki Kimura; 茂樹木村; Seiichi Hamate; 誠一濱手; Masatsugu Takaoka; 政嗣高岡
Original assignee: Toyo Tire and Rubber Co Ltd; Toyota Motor Corp
Current assignee: Toyota Motor Corp; Toyo Tire Corp
Priority date: 1994-06-08
Filing date: 1994-06-08
Publication date: 1995-12-22

Abstract

(57)【要約】【目的】内，外筒及び中間筒を有する液封入防振マウ
ントにおいて、オリフィス流路をシールするための中間
筒または外筒のゴム加硫を省略すると共に、上記オリフ
ィス流路の組み立ても簡単に行う。【構成】マウントのオリフィス形成部材４を、一部が
切れた概略Ｃ字状の弾性変形可能な筒状体により形成す
ると共に、この部材４のオリフィス流路９を上記Ｃ字状
筒状体の周方向両端までの範囲内で形成せしめ、かつ上
記オリフィス流路９を区画するオリフィス形成部材４の
仕切壁１４に、マウントの外筒２内面に圧接され仕切壁
１４と外筒２との間を密封するシール弾性体１５を一体
に形成せしめる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ＦＦ型自動車等におい
て、エンジンを車体に防振的に支持させるのに好適な円
筒型液封入防振マウントに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】エンジンと車体との間に介装し、エンジ
ンの振動が車室内に直接伝播しないように防振的に支持
させる円筒型液封入防振マウントは、既に種々多様なも
のが提案され、実用に供されているものも多いが、それ
ら防振マウントの一種として、例えば図８乃至図１０に
示す如きものがある。

【０００３】即ち、図示の如く上記従来の防振マウント
は、金属製単体パイプの内筒１の外側に、円筒体の軸方
向の両端部を中間部に比し若干大径に段設した中ぐびれ
状の異径金属筒の中間筒３をやや下方に偏心させて軸平
行に配している。そして、その軸方向中間部の、前記内
筒１の上方及び下方に位置する部分に方形の窓状にくり
抜いた上下の開口１７，１８を塞ぐことなく、上記内筒
１の全長を囲繞して両側の中間筒３の中間部内周までほ
ぼ水平に亘らせた横連結ゴム２３と、内筒１の軸方向両
端部から下方の中間筒３の両端部及びそれに連らなる中
間部まで、該中間部に設けた下側開口１８を塞ぐことな
く亘らせた縦連結ゴム２４とからなるゴム弾性体５によ
って、中間筒３と内筒１とを一体に連結する一方、前記
中間筒３の上側開口１７の周縁下面にはダイヤフラム７
が展設され、さらに、このダイヤフラム７の下方には、
これを下側から保護するダイヤフラムカバー１０が装着
されている。

【０００４】一方、上記中間筒３の大径両端部間の中間
部外周にはアルミ成型による上下一対の半円筒状のオリ
フィス金具２０が、突き合わせ端に突き合わせゴム１
９，１９′を介装して嵌着されている。即ち、これらオ
リフィス金具２０と、突き合わせゴム１９，１９′とに
より、筒状のオリフィス形成部材４を形成せしめて、こ
のオリフィス形成部材４の外周面に、外筒２の嵌着によ
りその内周との間に２筋のオリフィス流路９を形成させ
ている。

【０００５】さらに、前記下側の開口１８が形成する空
洞内には横連結ゴム２３の大変形を規制する樹脂製のス
トッパ部材１１が挿入され、また、前記中間筒３の外周
に、内周にシールゴム膜を有する金属製の薄肉円筒体の
外筒２が液密に嵌着されて、内部に上下の液室６，８
と、それら両液室６，８に通孔２１，２２によって連通
する前記オリフィス流路９が液密に形成されて防振マウ
ントとして組立てられている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の防振マウン
トにあっては、ＦＦ自動車等のエンジンと車体側に軸水
平に取付けて装着し使用するときは、エンジンからの振
動が伝わるとゴム弾性体も併せ振動して内部の上下液室
間に容積変化を生じ液体がオリフィスを通じて可逆的に
流動し、その結果、液体の粘性により低周波数振動領域
では高い振動減衰特性を発揮し、他方、高周波数振動領
域では液体流動は入力振動と同期し難くなって液自体が
共振し低い動的バネ定数を示して振動伝達率を下げて車
室内での振動，騒音の低減に効果を奏する。

【０００７】しかしながら、上記従来の防振マウントに
おいては、上記オリフィス流路を液密に構成するために
は、外筒と中間筒との合わせ部を密封構造とする必要が
あり、このために、外筒の内面に予めシールゴムを加硫
接着するという行程を要していた。

【０００８】即ち、上記シールゴムの厚みは非常に薄い
ため欠肉等に対する配慮が必要であり、また上記外筒を
縮管した際に上記シールゴムに歪みが起こらない程度の
外筒のサイズが必要であり、設計の自由度が制約される
問題があった。

【０００９】また、上記オリフィス流路を形成するため
には、図１０に示すように、２つの半円筒状オリフィス
金具を、中間筒に加硫成形した２ケ所の突き合わせゴム
に正確に突き合わせた上で、外筒をこれら部材に液密に
外嵌する必要があり、液中のアッセンブリにおいて上記
行程は極めて煩雑であるとの問題も有している。

【００１０】本発明は、叙上の如き実状に対処し、上記
オリフィス形成部材に新規な構成を見出すことにより、
外筒内面のシールゴムを省略すると共に、オリフィス流
路の組立てを、より簡単に行わしめることを目的とする
ものである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】即ち、上記目的に適合す
る本発明の防振マウントの特徴は、横設した内筒と、こ
の内筒をほぼ軸平行に取り囲む中間筒および外筒と、上
記内筒と中間筒の間に介装した弾性体本体と、この弾性
体本体により内筒の下方に形成された下側液室と、一部
に弾性膜からなるダイヤフラムを具備せしめて内筒の上
方に形成された上側液室と、上記中間筒と外筒の間に配
設され、外筒の内面とで上記両液室を連通させるオリフ
ィス流路を形成するオリフィス形成部材とを備えた円筒
型液封入防振マウントにおいて、上記オリフィス形成部
材を、一部が切れた概略Ｃ字状の弾性変形可能な筒状体
により形成すると共に、上記オリフィス流路を上記Ｃ字
状筒状体の周方向両端までの範囲内で形成せしめ、かつ
上記オリフィス流路を区画するオリフィス形成部材の仕
切壁に、前記外筒内面に圧接され仕切壁と外筒との間を
密封するシール弾性体を一体に形成せしめたところにあ
る。

【００１２】

【作用】上記本発明の防振マウントにおいては、オリフ
ィス形成部材の上記仕切壁にシール弾性体を一体形成し
たことにより従来の外筒内面へのシールゴムのコーティ
ングを廃止し、これによりこのゴムコーティングの欠肉
等に対する配慮を不要にすると共に、外筒を縮管した際
の上記コーティングゴムの歪の問題もなくすことができ
る。

【００１３】そしてさらに上記オリフィス形成部材の取
付けも、前記略Ｃ字状の筒状体を拡げて中間筒に外嵌す
るとの工程にてアッセンブリが行い易くなり、しかもオ
リフィス流路はＣ字状オリフィス形成部材の範囲内で形
成されることから、従来の如く別部材の流路同士を突き
合わせる必要もなく、また、外筒のサイズも自由に選べ
ることから、マウントのサイズダウン等、設計の自由度
が向上する。

【００１４】

【実施例】以下、さらに添付図面を参照して本発明の実
施例を説明する。

【００１５】図１は本発明実施例の円筒型液封入防振マ
ウントを示す軸平行断面図、図２は同、軸直交断面図、
図３は外筒を縮管する前の同実施例マウントの下部を示
す要部拡大断面図、図４は同実施例のオリフィス形成部
材を示す側面図、図５は図４のＸ−Ｘ線断面図、図６は
図４のＡ方向矢視図、図７は同、Ｂ方向矢視図である。

【００１６】即ち、この実施例の防振マウントは、図
１，図２に示すように、横設した内筒１と、この内筒１
を偏心して軸平行に取り囲む外筒２と、これら内外筒
１，２間に、中間筒３、及びオリフィス形成部材４とを
介して介装せしめた弾性体本体としてのゴム弾性体５
と、このゴム弾性体５によって内筒１の下方に形成され
た下側液室６と、下部にゴム膜からなるダイヤフラム７
を具備せしめて上記内筒１の上方に形成された上側液室
８と、前記オリフィス形成部材４により外筒２の内側に
沿い形成され、上記上下の各液室６，８を連通させるオ
リフィス流路９とを備えている。

【００１７】なお上記オリフィス流路９は、図６，図７
に示すように、所々でＳ字状やうずまき状に蛇行してい
るために、図２においては断片的にしか現れていない。
また、上記オリフィス流路９は通孔１６によって上下の
各液室６，８を連通させている。

【００１８】また、この防振マウントは、上記ダイヤフ
ラム７の下方にダイヤフラムカバー１０を、さらに下側
液室６の内部にストッパ部材１１を夫々備え、内筒１の
上下動の範囲を制限している。ストッパ部材１１はオリ
フィス形成部材４の後述するオリフィス金具１２によっ
て一体に形成され、内部にはゴムが充填されている。

【００１９】一方、オリフィス形成部材４は、図４，図
５に示すように一部が欠切した、側面視概略Ｃ字状の弾
性変形可能な筒状体によって形成され、またこの筒状体
は図１，図２にも示すように異形半円筒状のオリフィス
金具１２と、このオリフィス金具１２に加硫接着された
一部が切れた円筒状のオリフィス用ゴム弾性体１３とに
よって構成されている。オリフィス形成部材４の上記切
欠部４ａは、この実施例では図２に示す如く、中間筒３
の凸部３ａに嵌合して一体化するようになっているが、
この切欠部４ａは上記オリフィス形成部材４を単に軸方
向に切った切れ目状のものでもよい。すなわち、上記オ
リフィス形成部材４は、上記切欠部４ａによって自由に
動くことのできる上半部（図４参照）のオリフィス用ゴ
ム弾性体１３を外側に押し拡げることにより、中間筒３
に外嵌させることができる。

【００２０】他方、図１および図３に示す如く上記オリ
フィス形成部材４には、オリフィス金具１２またはオリ
フィス用ゴム弾性体１３の夫々の一部からなり、上記オ
リフィス流路９を区画形成する仕切壁１４が立設されて
いる。そして図１に示す如くこの仕切壁１４には、前記
外筒２に圧接され仕切壁１４と外筒２との間を密封する
ゴムのシール弾性体１５が一体に形成されている。な
お、上記仕切壁１４がオリフィス用ゴム弾性体１３によ
って構成される場合は、上記シール弾性体１５もこのオ
リフィス用ゴム弾性体１３によって一連一体に形成され
ている。

【００２１】また、上記シール弾性体１５は、図３，図
４に示すように、外壁となる軸方向外側の仕切壁１４に
おいては、この実施例では中間筒３の外周部にまで延設
されており、このシール弾性体１５が上記中間筒３と外
筒２との間に挟着されることによってさらにシール効果
を高めている。なお、この実施例では、図１に示す如く
上側液室８の一部も上記オリフィス形成部材４の仕切壁
１４′によって区画していることから、上記シール弾性
体１５は、この部分においても中間筒３の外周部まで延
設されている。

【００２２】しかして、上記構成を有する本発明実施例
の防振マウントは、エンジンマウントして使用した際に
は、エンジンからの振動が伝わると、ゴム弾性体も併せ
振動して内部の上下液室６，８間に容積変化を生じ液体
がオリフィス９を可逆的に流動し、これによって、液体
の粘性により低周波数振動領域では高い振動減衰特性を
発揮し、他方、高周波数振動領域では液体流動は入力振
動と同期し難くなって液自体が共振し、低い動的バネ定
数により振動伝達率を下げて車室内での振動、騒音の低
減を行わしめる。

【００２３】そして、上記本発明実施例の防振マウント
においては、オリフィス形成部材４の上記仕切壁１４に
シール弾性体１５を一体形成したことにより従来品にお
ける外筒内面へのシールゴムのコーティングを廃止し、
これによりこのゴムコーティングの欠肉等への配慮を不
要にすると共に、外筒を縮管した際の上記コーティング
ゴムの歪の問題もなくすことができる。

【００２４】またさらに上記オリフィス形成部材４の取
付けも、略Ｃ字状の筒状体を拡げて中間筒３に外嵌する
との工程にてアッセンブリが極めて行い易くなり、しか
もオリフィス流路９はＣ字状オリフィス形成部材４の範
囲内で形成されることから、従来の如く別部材の流路同
士を突き合わせる必要もない。

【００２５】また、外筒のサイズも自由に選べることか
ら、マウントのサイズダウンを始め、設計の自由度が向
上する等、多くのメリットを有するものである。

【００２６】以上本発明の実施例を説明したが、上記各
ゴム（弾性体）は、例えば弾性を有する合成樹脂によっ
ても形成することが可能である。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の液封入防
振マウントは、マウントのオリフィス形成部材を、一部
が切れた概略Ｃ字状の弾性変形可能な筒状体により形成
すると共に、オリフィス流路を上記Ｃ字状筒状体の周方
向両端までの範囲内で形成せしめ、かつ上記オリフィス
流路を区画するオリフィス形成部材の仕切壁に、前記外
筒内面に圧接され仕切壁と外筒との間を密封するシール
弾性体を一体に形成せしめたものであり、オリフィス形
成部材の上記仕切壁にシール弾性体を一体形成したこと
により外筒内面へのシールゴムのコーティングを廃止
し、これによりこのゴムコーティングの欠肉等への配慮
を不要にすると共に、外筒を縮管した際の上記コーティ
ングゴムの歪の問題もなくすことが可能で、さらに上記
オリフィス形成部材の取付けも、上記略Ｃ字状の筒状体
を拡げて中間筒に外嵌するとの工程からアッセンブリが
極めて行い易くなり、しかもオリフィス流路はＣ字状オ
リフィス形成部材の範囲内で形成されることから、従来
の如く別部材の流路同士を突き合わせる必要もなく、ま
た、外筒のサイズも自由に選べることから設計の自由度
が向上する等、多くの効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例の円筒型液封入防振マウントを示
す軸平行断面図である。

【図２】同、軸直交断面図である。

【図３】外筒を縮管する前の同実施例マウントの下部を
示す要部拡大断面図である。

【図４】同実施例のオリフィス形成部材を示す側面図で
ある。

【図５】図４のＸ−Ｘ線断面図である。

【図６】図４のＡ方向矢視図である。

【図７】同、Ｂ方向矢視図である。

【図８】従来の円筒型液封入防振マウントを示す軸中央
縦断面図である。

【図９】図８のＸ−Ｘ線断面図である。

【図１０】図８に示す防振マウントの分解斜視図であ
る。

【符号の説明】

１内筒２外筒３中間筒３ａ中間筒の凸部４オリフィス形成部材４ａオリフィス形成部材の欠切部５ゴム弾性体本体６下側液室７ダイヤフラム８上側液室９オリフィス流路１０ダイヤフラムカバー１１ストッパ部材１２オリフィス金具１３オリフィス用ゴム弾性体１４仕切壁１５シール弾性体１６オリフィス流路の通孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者木村茂樹愛知県西加茂郡三好町大字打越字生賀山３番地東洋ゴム工業株式会社自動車部品技術センター内 (72)発明者濱手誠一愛知県西加茂郡三好町大字打越字生賀山３番地東洋ゴム工業株式会社自動車部品技術センター内 (72)発明者高岡政嗣愛知県西加茂郡三好町大字打越字生賀山３番地東洋ゴム工業株式会社自動車部品技術センター内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】横設した内筒と、この内筒をほぼ軸平行
に取り囲む中間筒および外筒と、上記内筒と中間筒の間
に介装した弾性体本体と、この弾性体本体により内筒の
下方に形成された下側液室と、一部に弾性膜からなるダ
イヤフラムを具備せしめて内筒の上方に形成された上側
液室と、上記中間筒と外筒の間に配設され、外筒の内面
とで上記両液室を連通させるオリフィス流路を形成する
オリフィス形成部材とを備えた円筒型液封入防振マウン
トにおいて、上記オリフィス形成部材を、一部が切れた
概略Ｃ字状の弾性変形可能な筒状体により形成すると共
に、上記オリフィス流路を上記Ｃ字状筒状体の周方向両
端までの範囲内で形成せしめ、かつ上記オリフィス流路
を区画するオリフィス形成部材の仕切壁に、前記外筒内
面に圧接され仕切壁と外筒との間を密封するシール弾性
体を一体に形成せしめたことを特徴とする円筒型液封入
防振マウント。