JPH0732562U - 水分測定器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】静電容量式液体水分計の指示において、液体の
汚れによる誤差を改善する。 【構成】金属電極Ｐ内に入れた液体に対する静電容量測
定手段Ａの出力Ｃから、コンダクタンス測定器Ｂの出力
Ｇに適当な係数を掛けた値を減算した値Ｈを出力する。
また、コンダクタンス測定値Ｇを静電容量測定値Ｃによ
って除算した値Ｆを汚れの監視に使う。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、燃料油や潤滑油、あるいは洗浄液などの含有水分を測定する液体用 水分測定器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

燃料油や潤滑油中の含有水分を測定する手段として、効果的で汎用的なものに 、赤外線吸収スペクトル方式、静電容量測定方式がある。前者は水の赤外線領域 の電磁波に対する特異な誘電分散を検出して水分測定を行い、後者は水の誘電率 が８０と大きいことを利用して水分測定を行うものである。

【０００３】 フロン代行洗浄液の中には、洗浄対象の汚れ、例えばフラックスの濃度と合せ て、混入水分の監視が必要なものがあり、この水分測定には従来の油中水分計と 同様の技術が使われる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

油中水分計において、繰り返し使用する潤滑油などを対象にした場合、混入し てくる汚れによって、赤外線吸収スペクトル方式、静電容量測定方式とも水分測 定に誤差が生じてくる。前者は油の透過度と反射率が変化するため、後者は油の 誘電率が変る為である。

【０００５】 フロン代行洗浄液では水分を測定対象にした場合、用途からして大量の汚れが混 入してくる為、繰り返し使用するうちには、上と同じ理由で水分測定に大幅な誤 差が生じてくる。

【０００６】 汚れそのものについても、監視がそれ自体で要求される場合もあるが、水分測 定器の信頼性の点検のためにも必要なことがある。

【０００７】 本考案はこのような状況に鑑みてなされたもので、含水液体の誘電率に起因す る静電容量測定値（Ｃ）とコンダクタンス測定値（Ｇ）との間に、水分及び汚れ に対する変化率に大きな差異があることを利用し、コンダクタンス測定値Ｇを用 いて、静電容量測定値Ｃが示す水分測定値の不純物の混入による誤差を補正し、 同時に静電容量測定値Ｃとコンダクタンス測定値Ｇとを用いて、不純物の濃度を も監視しようとするものである

【０００８】

【問題を解決するための手段】

まず請求項１の解決手段について、図を参照しながら説明する。図１が構成図 である。

【０００９】 電極（Ｐ）は液体を２枚の金属板に挟み込む形に構成され、具体的には図２の ように平行板形状のもの（Ｐ１）、図３のように同軸円筒形状のもの（Ｐ２）な どが在り得る。

【００１０】 この電極に接続された静電容量測定手段（Ａ）から液体の静電容量値（Ｃ）が得 られ、コンダクタンス測定手段（Ｂ）からコンダクタンス量（Ｇ）が得られて、 演算ユニット（Ｕ）に送られる。

【００１１】 図４が液体水分値と静電容量値Ｃとの関係であり、図５が水分値とコンダクタ ンス値との関係の代表的な表示であるが、適切な定数（Ｋ）を定めれば、 Ｈ０ ＝ Ｃ − ＫＧ という演算によって、ほぼ実際の水分値に比例するＨ０が得られる。これに適切 なキャリブレーションを施せば、誤差の少ない水分表示値（Ｈ）が得られる。

【００１２】 図１の構成例では、Ａ／Ｄ変換器とＣＰＵ演算ユニットによってこの補正演算 を行っているが、リニア回路によっても実行できる。

【００１３】 中には、フラックス等の汚れに対するコンダクタンス変化の非線形な液体があ るが、この場合は、ＫをＧによって変化させる非線形係数Ｋ｛Ｇ｝、ないしＣに よって変化させるＫ｛Ｃ｝を使う。非線形度合いはあらかじめ実測データに基づ いてＲＯＭテーブルに書き込んでおき、ＣＰＵで読み込めば良い。

【００１４】 コンダクタンス値はおおむね水分と、汚れないしフラックス濃度の双方に比例 するので、第１図の演算ユニット内で Ｆ０ ＝ Ｇ／Ｃ または Ｆ０ ＝ Ｇ／Ｈ’ という演算を実行し、これに適当なスパン定数を乗じれば、ほぼ汚れやフラック ス濃度に対応した出力（Ｆ）が得られる。これによって請求項２の液体純度測定 器が実現できる。

【００１５】 この場合も、フラックス濃度対コンダクタンス出力関係や、水分濃度対コンダ クタンス出力関係が非線形であれば、テーブルに書き込んだ直線性補正係数を合 せて乗算ないし除算すれば良い。

【００１６】 図６が Ｈ０ ＝ Ｃ − ＫＧ という補正演算をより簡素に実行する請求項３の構成図である。

【００１７】 アドミッタンス測定器（Ａ２）は単一の位相同期検出器（Ｄ）を持ち、この基 準位相を０−９０度の範囲で可変する機構（Ｊ）を含んでいる。この検出器Ｄで 直流変換された出力は、 Ｃ − ＫＧ に比例し、定数Ｋは位相調整器Ｊで可変できる。

【００１８】

【作用】

水の誘電率が８０と大きいことから、油中水分ないし洗浄液中水分による誘電 率増加を静電容量測定器を用いて検出することによって、水分を測定するのが静 電容量方式水分計である。しかし、繰り返し使用するうちには、大量の汚れや洗 浄対象のフラックスなどが混入してくる為、誘電率が増加して水分測定に大幅な 誤差が生じてくる。

【００１９】 これに対し、コンダクタンス測定値Ｇは、汚れに対する変化率が静電容量測定 値Ｃに比べて大きいので、静電容量測定手段Ａにコンダクタンス測定手段Ｂを組 合わせ、Ｇに一定の定数Ｋを乗じて静電容量測定値Ｃから減算した値Ｈを出力表 示することによって、水分測定値の不純物の混入による誤差を補正する。

【００２０】 汚れそのものについても監視が要求される場合もある。コンダクタンス測定値 Ｇは液体中の水分と汚れとの双方によって増加するが、静電容量測定値Ｃに比し て後者からの影響が大きいので、ＧをＣで除するか、Ｇを上で求めたＨで除した 値Ｆを出力表示すれば、汚れなど不純物の濃度をも監視できる。

【００２１】

【実施例】

実施例について、図面を参照して説明する。図７は代行フロン洗浄液の液質監 視用水分計である。

【００２２】 電極Ｐは同軸円筒形状のものに接合フランジを設けている。

【００２３】 変換器（Ｔ）は、発振器（Ｏ）と電流検出器（Ｉ）と、二つの位相同期検出器 （Ｄ１、Ｄ２）を含む。発振器Ｏが出力する交流電圧（ｅｉ）を電極Ｐに加え、 流入する電流（ｉｏ）を電流検出器Ｉで検出して、これを位相同期検出器で直流 に変換すれば、ｅ１を９０度位相シフト器（Ｓ）を介して９０度位相シフトした ものを基準位相とした、検出器（Ｄ１）から静電容量値Ｃが得られて静電容量測 定手段Ａを成し、基準位相をｅｉと同一位相にしたもの（Ｄ２）からコンダクタ ンス量Ｇが得られてコンダクタンス測定手段Ｂを成す。

【００２４】 Ａ／Ｄ変換器とＣＰＵコントローラとで構成された演算ユニットＵが誤差補正 演算を実行し、水分値表示器およびフラックス濃度表示器に送る。

【００２５】

【考案の効果】

良く使用される洗浄液では、静電容量測定手段単独によっては、洗浄対象のフ ラックス混入によって５％以上の水分表示誤差が発生するが、コンダクタンス測 定手段と組合わせ、 Ｈ ＝ Ｃ − ＫＧ の補正を施すことによって、もし対象フラックスの種類に応じた最適係数を選択 できるなら、１％以下の誤差に改善できる。また一律の係数による補正でも２％ 以下の誤差に軽減できる。

【００２６】 フラックスの濃度監視については、もしコンダクタンス測定手段単独なら、水 分量によるコンダクタンス変化のために、概略推定のためにも役立たないが、 Ｆ ＝ Ｇ／Ｃ の演算値の出力によって、汚れ度合いのモニターとして使用可能な相関値が得ら れる。

【００２７】

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１の概念的な構成図。

【図２】平行平板状電極。

【図３】同軸円筒状電極。

【図４】水分対静電容量の関係図。

【図５】水分対コンダクタンスの関係図。

【図６】請求項３の構成図。

【図７】本考案の実施例。

【符号の説明】

Ａ 静電容量測定器 Ａ２ アドミッタンス測定器 Ｂ コンダクタンス測定器 Ｃ 静電容量値 Ｄ 位相同期検出器 Ｄ１ 静電容量側位相同期検出器 Ｄ２ コンダクタンス側位相同期検出器 ｅｉ 電極への印加電圧 Ｆ 不純物濃度指示値 Ｇ コンダクタンス値 Ｈ 水分濃度指示値 Ｉ 電流検出器 ｉｏ 電極への流入電流 Ｊ 位相調整器 Ｏ 発振器 Ｐ 電極 Ｐ１ 平行板電極 Ｐ２ 同軸円筒電極 Ｓ 位相シフト器 Ｔ 変換器 Ｕ 演算ユニット

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 液体を挟み込む形を成した金属電極
   （Ｐ）と、 静電容量測定手段（Ａ）と、 電導度あるいはコンダクタンス測定手段（Ｂ）とから構
   成され、 電極内に入れた液体に対する静電容量測定値（Ｃ）か
   ら、コンダクタンス測定値（Ｇ）に一定の係数、ないし
   Ｃ又はＧによって変化させる係数を掛けた値を減算した
   値（Ｈ）を出力することによって、 不純物の混入による誤差を軽減した液体用水分測定器。
2. 【請求項２】 請求項１と同一構成を持ち、請求項１の
   手段によって知り得た水分値Ｈ、または静電容量測定値
   Ｃによって直接に、あるいはそれらに直線性補正をほど
   こした値によって、コンダクタンス測定値Ｇを除算した
   値（Ｆ）を出力することによって、液体中の不純物を測
   定する液体用純度測定器。
3. 【請求項３】 請求項１と同様の電極と、 位相同期検出ユニット（Ｄ）を内蔵したアドミッタンス
   測定手段（Ａ２）とから構成され、 アドミッタンス中の虚数項すなわち静電容量に比例した
   項と、実数項すなわちコンダクタンスとが、適切な比率
   で混合されるよう位相同期検出ユニットの基準位相が調
   整される機構（Ｊ）を有することによって、請求項１と
   同一効果を挙げる液体用水分測定器。