JPH0731069Y2 - 揺動式吹出口 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、スポットクーラなどの吹出開口に気密かつ回
転自在に取り付けられる揺動式吹出口に関する。

〈従来の技術〉 従来、この種の揺動式吹出口として、例えば第５図に示
すようなものが知られている（実開昭61-101333号公
報）。この揺動式吹出口は、先端に吹出ダクト32を接続
した揺動筒33を、スポットクーラの吹出開口31aの周縁
に立設した一対のブラケット34に渡した軸35によって、
揺動自在に直径方向に枢支するとともに、出力軸を上記
軸35と平行に配置してスポットクーラのケース31内にモ
ータ36を固定し、このモータの出力軸の先端に直角に固
定したレバー37の先端と上記揺動筒33の基端を、リンク
板38によりヒンジ39,40を介して連結する一方、吹出ダ
クト32の基端外周と吹出開口31aの周縁部との間を蛇腹
ダクト41によって密封してなる。そして、モータ36の回
転によるレバー37の旋回運動を、上記リンク機構によっ
て揺動筒33の軸35を中心とする往復角運動に変換して、
吹出ダクト32を図中の矢印Ｄの如く揺動させるようにな
っている。

〈考案が解決しようとする課題〉 ところが、上記従来の揺動式吹出口は、旋回運動するレ
バー37の先端に基端を枢着したリンク板38の先端が、揺
動筒33の一定箇所に枢着されていて、枢着点を変えるこ
とができないため、吹出ダクト32の揺動角が一定角度に
固定されてしまい、揺動角を変化させることができない
という欠点がある。そのため、例えばスポットクーラで
は、冷気の届く範囲が一定に限られ、室の情況や使用者
の好みに合わせた冷房範囲の設定ができない。

そこで、本考案の目的は、吹出口の揺動角度を複数の値
に切り換えることによって、室の情況や使用者の好みに
合わせて空気調和範囲を設定することができる揺動式吹
出口を提供することにある。

〈課題を解決するための手段〉 上記目的を達成するため、本考案の揺動式吹出口は、第
１図，第２図に例示するように、放射状に半径方向に伸
びる複数のアーム４によって回転筒３の基端内周3bに連
結される中心部５を、空気調和機１の吹出開口1aの周縁
部にアーム2cによって連結された中心部2dに枢着して、
上記回転筒３を上記吹出開口1aに気密かつ回転自在に取
り付けてなるものにおいて、出力軸8aを上記中心部５と
平行に配置して上記空気調和機１に固定したモータ８
と、上記出力軸8aに垂直に固定したレバー９と、上記回
転筒３のアーム４に長手方向に設けた揺動角調整用の穴
10と、一端11bが上記レバー９の先端に枢着されるとと
もに他端11aが上記穴10に回動自在に嵌合する連結棒11
と、上記連結棒11の他端11aと上記穴10との取付位置を
アーム４の長手方向に沿って可変調整する調整部材18を
備えたことを特徴とする。

また、上記揺動式吹出口のアームの穴を長穴10とし、上
記調整部材を、アーム４に設けられた複数の溝15a,15b
に選択的に係止する係止部18bを有して、アーム４に沿
って移動するようにアーム４に埋設されたロッド18とし
てもよい。

〈作用〉 回転筒３は、放射状のアーム４を介して筒壁に連なるそ
の中心部５を、空気調和機１の吹出開口1aの周縁部にア
ーム2cを介して連なる中心部2dに枢着されて、上記吹出
開口1aに気密かつ回転自在に取り付けられている。上記
回転筒３のアーム４には長手方向に揺動角調整用の穴10
が設けられ、この穴10に連結棒11の先端11aが回動自在
に嵌合する一方、連結棒11の基端11bは、上記中心部５
と平行をなして空気調和機１に固定したモータ８の出力
軸8aに垂直に固定したレバー９の先端に枢着されてい
る。従って、モータ８によるレバー９の旋回運動は、連
結棒11（リンク機構）を介して中心部５の回りのアーム
４の往復角運動に変換され、回転筒３は、上記中心部５
の回りに一定角度で往復揺動する。いま、調整部材18に
よって連結棒11の先端11aと上記穴10との取付位置を、
アーム４上で中心部に近づくように変化させると、連結
棒11からの揺動力の作用点が中心部に近づくので、上記
アーム４と回転筒３は、上記一定角度よりも大きい所定
角度θ₁で往復揺動する。逆に、調整部材18によって上
記取付位置をアーム４上で外周部に近づくように変化さ
せると、上記作用点が外周部に近づいて、アーム４と回
転筒３は、上記一定角度よりも小さい所定角度θ₂で往
復揺動する。

また、上記アーム４の穴を長穴10とし、上記調整部材を
係止部18bをもつロッド18にすれば、ロッド18をアーム
４に沿って移動させて、上記係止部18bをアーム４の複
数の溝15a,15bに選択的に係止することによって、アー
ム４上での上記作用点の移動で上述と同様に回転筒３の
揺動角を大，小に変化させることができる。

〈実施例〉 以下、本考案を図示の実施例により詳細に説明する。

第１図において、スポットクーラのケース１に設けられ
た吹出開口1aの周縁部には、鍔部2aを有する固定筒２を
気密に固定し、固定筒２の周壁2bに複数の半径方向のア
ーム2cを介して連なるボス部2dに平座金21を挟んで小径
のシャフト６を突設している。一方、フレキシブルな嵌
合継手22を介して先端にエルボ状の吹出ダクト23を気密
に接続した回転筒３は、周壁3bに複数の半径方向のアー
ム４を介して連なるボス部５を有し、このボス部５をす
べり軸受24を介して上記シャフト６に回転自在に外嵌
し、シャフト６の両端に夫々平座金21,ばね座金25を介
してナット26を螺合して、ボス部５が固定筒のボス部2d
の平座金21に適度な力で押し付けられて軸方向には動か
ないようにしている。

スポットクーラのケース１には、出力軸8aを上記回転筒
３の中心部５と平行に内方へ突出させてモータ８を固定
し、この出力軸8aの先端にレバー９を垂直に固定する一
方、上記回転筒３の１本のアーム４に揺動角調整用の長
穴10（第２図参照）を長手方向に貫設し、この長穴10に
連結棒11の先端を11aを回動自在に嵌合するとともにそ
の基端11bを上記レバー９の先端にピン12により枢着す
る。上記アーム４には、第２図に示すように、長穴10に
沿って延在する広幅のブロック摺動溝13と、この先端側
に連なるロッド摺動溝14と、この溝の側方に連なる２つ
の係止溝15a,15bを設ける一方、ピン状の突起16aを上記
長穴10および連結棒の先端11aのピン穴11cに嵌合し、抜
け止めのねじ17を螺着したブロック16を、上記ブロック
摺動溝13に摺動自在に嵌め込むとともに、先端18aを上
記ブロック16に回転自在に嵌合した調整部材としてのロ
ッド18を上記ロッド摺動溝14に嵌め込んで、ロッド18の
側部の突起18bを上記係止溝15a,15bに選択的に嵌合する
ことにより、連結棒11の先端11aと長穴10と取付位置を
アーム４の長手方向に沿って２段に調整できるようにし
ている。なお、第２図に示す部分の詳細平面図，詳細側
面図は、第３図（ａ），（ｂ）に示すとおりである。ま
た、回転筒３の３本のアーム４は、揺動時に固定筒２の
３本のアーム2cと当接しないように第４図の如く配置さ
れ、固定筒２の周壁2bにも、運動する連結棒11に当たら
ぬように切欠きが設けられている。

上記構成の揺動式吹出口の動作について、次に述べる。

環状の固定筒２のボス部2dにボス部５を枢着して、吹出
開口1aに気密かつ回転自在に取り付けられた回転筒３の
アーム４の長穴10（第２図，第３図参照）には、第４図
に示すように、ブロック16の突起16aを介して連結棒11
の先端11aが回動自在に嵌合し、連結棒11の基端11bは、
スポットクーラのケース１に固定したモータ８の出力軸
8aに垂直に固定したレバー９の先端にピン12で枢着され
ている。従って、モータ８によるレバー９の旋回運動
（同図中矢印Ａ参照）は、連結棒11を介してボス部５の
回りのアーム４の往復角運動（同図中矢印Ｂ参照）に変
換され、回転筒３は、ボス部５の回りに一定角度で往復
揺動する。

いま、上記ブロック16の後端に連結したロッド18の突起
18bが、第３図に示すようにアーム４の外周側の係止溝1
5bに嵌合している場合、連結棒の先端11aと長穴10との
取付位置即ちブロックの突起16aの位置は、第４図
（ｂ）に示すように外周側となり、連結棒11からの揺動
力の作用点が外周部に近づいて、アーム４と回転筒３
は、小さな角度θ₂で往復揺動する。次に、第３図のロ
ッド18を回して突起18bを係止溝15bから外し、ロッド18
を第３図（ｂ）の矢印Ｃ方向に前進させて突起18bを中
心側の係止溝15aに嵌合させると、ブロック16の突起16a
の位置は、第４図（ａ）に示すように中心側となり、連
結棒11からの揺動力の作用点がボス部５に近づき、アー
ム４と回転筒３は、大きな角度θ₁で往復揺動する。

このように、ロッド18をアーム４に沿って前後に移動さ
せ、ロッドの突起18bを係止溝15a,15bに選択的に嵌合す
ることによって、連結棒11からの揺動力の作用点16aを
２段に可変調整して、回転筒３の揺動角をθ₁，θ₂と
大，小に変化させることができる。従って、この揺動角
の２段切換により、室の情況や使用者の好みに合わせて
冷房範囲を変化させることができ、揺動角が一定であっ
た従来の揺動式吹出口に比べて、便利で使用価値の高い
ものとなる。

上記実施例では、アーム４の揺動角調整用の穴を長穴10
とし、調整部材をブロック16に連結した係止溝15a,15b
に嵌合する突起18bを有するロッド18としたが、上記穴
をアーム４の第４図（ａ），（ｂ）に対応する２箇所に
設け、連結棒11の先端穴11cに挿通した調整部材として
のねじを上記２つの穴に選択的に螺合するようにして
も、上述と同様に回転筒３の揺動角の２段切換を行なう
ことができる。

なお、本考案が図示の実施例に限られないのではいうま
でもない。

〈考案の効果〉 以上の説明で明らかなように、本考案の揺動式吹出口
は、空気調和機の吹出開口の周縁部にアームによって連
結された中心部に、複数のアームによって基端内周に連
結される回転筒の中心部を枢着して、この回転筒を吹出
開口に気密かつ回転自在に取り付けたものにおいて、垂
直なレバーをもつ出力軸を上記中心部を平行に配置して
モータを空気調和機に固定し、回転筒のアームに揺動角
調整用の穴を長手方向に設け、この穴に他端を回動自在
に嵌合した連結棒の一端を上記レバーの先端に枢着する
ともに、連結棒と穴との取付位置を調整部材によってア
ームの長手方向に沿って可変調整するようにしているの
で、連結棒からアームへの揺動力の作用点を変えて回転
筒の揺動角を大，小に変化させることができ、調和空気
の吹出範囲を室の情況や使用者の好みに合わせて可変に
設定することができ、使用者にとって便利で使用価値の
高いものになる。

また、上記アームの穴を長穴とし、調整部材をアームに
設けられた複数の溝に選択的に係止する係止部を有し
て、アームに沿って移動するようにアームに埋設された
ロッドとすれば、アームへの揺動力の作用点を容易かつ
確実に多段に変化させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の揺動式吹出口の一実施例を示す一部破
断側面図、第２図は上記実施例のアーム部を示す分解斜
視図、第３図（ａ），（ｂ）は上記アーム部の夫々平面
図，側面図、第４図は上記アーム部の揺動状態を示す平
面図、第５図は従来の揺動式吹出口の断面図である。 １……ケース、２……固定筒、2c……アーム、2d……ボ
ス部、３……回転筒、3b……基端内周、４……アーム、
５……ボス部、６……シャフト、８……モータ、8a……
出力軸、９……レバー、10……長穴、11……連結棒、13
……ブロック摺動溝、14……ロッド摺動溝、15a,15b…
…係止溝、16……ブロック、16a……突起、18……ロッ
ド、18b……突起。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】放射状に半径方向に伸びる複数のアーム
   （４）によって回転筒（３）の基端内周（3b）に連結さ
   れる中心部（５）を、空気調和機（１）の吹出開口（1
   a）の周縁部にアーム（2c）によって連結された中心部
   （2d）に枢着して、上記回転筒（３）を上記吹出開口
   （1a）に気密かつ回転自在に取り付けてなる揺動式吹出
   口において、 出力軸（8a）を上記中心部（５）と平行に配置して上記
   空気調和機（１）に固定したモータ（８）と、上記出力
   軸（8a）に垂直に固定したレバー（９）と、上記回転筒
   （３）のアーム（４）に長手方向に設けた揺動角調整用
   の穴（10）と、一端（11b）が上記レバー（９）の先端
   に枢着されるとともに他端（11a）が上記穴（10）に回
   動自在に嵌合する連結棒（11）と、上記連結棒（11）の
   他端（11a）と上記穴（10）との取付位置をアーム
   （４）の長手方向に沿って可変調整する調整部材（18）
   を備えたことを特徴とする揺動式吹出口。
2. 【請求項２】請求項１に記載の揺動式吹出口において、
   上記アームの穴が長穴（10）であり、上記調整部材がア
   ーム（４）に沿って移動するようにアーム（４）に埋設
   されたロッド（18）であり、このロッド（18）には、ア
   ーム（４）に設けられた複数の溝（15a,15b）に選択的
   に係止する係止部（18b）がある揺動式吹出口。