JPH0730467Y2 - 車両用仕切板 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案は、特にロック装置を装着している車両用仕切板
に関する。

《従来の技術》 この種の仕切板は、例えば自動車のラゲージフロアに設
けられてスペアタイヤ等を格納しておく収納部を閉じる
カバーボードなどとして構成される。

このような仕切板は、設置部に脱着可能に設けられるこ
とに加えて比較的大きな平面板状となっているので、設
置状態を使用目的などに応じて表裏何れの面を上にする
か選択できるようにしたり、野外に持ち出してテーブル
等として使用することが提案され、両面使用可能なリバ
ーシブルタイプとしたものが知られている。

第８図，第９図はそのような従来の車両用仕切板を示し
ている。

第８図は自動車１のトランクルーム２内をトランクリッ
ド３を開けた状態で示し、第９図はラゲージフロア４に
設けられた収納部５および仕切板６を示したものであ
る。仕切板６は、ボード７の表面にカーペット８を接着
材等を介して一体化したもので、収納部５の上部開口段
部5aに着脱可能に設置される。また、仕切板６には、走
行中の振動等によりガタ付いたり飛び出すことがないよ
う、車体側の段部5aに突設した係止ピン９に対して係脱
するロック装置10が設けられている。

このロック装置10は、第10図に示す如く仕切板６の切欠
部6aに装着されるハウジング11と、ハウジング11の上側
開口部に設けられた操作用レバー12と、係止ピン９と係
合するロック片13と、ロック片13を係合方向へ付勢する
スプリング14などから構成されている。そして、スプリ
ング14のバネ圧に抗してレバー12を回動操作することに
より、ロック片13が回動されて係止ピン９に対する係合
状態を解除するものである。

《考案が解決しようとする課題》 ところで、従来の仕切板６は、ロック装置10が仕切板６
の片側からのみ係合を解除する設定となっていて、操作
レバー12を仕切板６の表側にしか設けていない。このた
め、仕切板６をカーペット８を下にして設置する場合に
は、車体側に対して非ロック状態となってしまうので、
リバーシブルタイプであってもロック機能の点では半分
しか満足していなかった。

また、第10図に示す如く係止ピン９が段部5aにあって垂
直壁5bから突設されていたので、ハウジング11の前端面
と垂直壁5bとの間に所定の隙間を設けなければならず、
設置状態での見た目も悪かった。

本考案は、以上の背景に鑑みてなされたもので、係合を
解除する操作用レバーを仕切板の表と裏側に設定し、仕
切板の何れの面を上にした場合も係脱できる車両用仕切
板を提供することを目的とする。

《課題を解決するための手段》 上記目的を達成するために、本考案は、実施例に示す如
く車体側の収納部26に着脱可能に設置されるとともに、
収納部26側に突設された係止ピン28に対して係脱するロ
ック装置23を略面一に装着してなる車両用仕切板20にお
いて、前記ロック装置23は、仕切板20に装着されて、収
納部26に対し仕切板20を表裏何れの面を上にして設置し
たときにも係止ピン28を下側から内部に挿通可能な貫通
孔29aを有するハウジング29と、前記係止ピン28の軸先
端側に形成されたくびれ部28aに係脱可能な略Ω形をな
し、ハウジング29内にあって略Ω形の左右中間部を固定
した状態に配置されて、貫通孔29aから侵入する係止ピ
ン28のくびれ部28aと弾性的に係合する線状のロックバ
ネ30と、前記ハウジング29内に摺動可能に配置されて、
ロックバネ30の両端と当接する傾斜面を有し、摺動され
ることによりロックバネ30の両端部間を拡径するスライ
ド部材31と、前記ハウジング29の表と裏側に取り付けら
れ、スライド部材31をロックバネ30の付勢力に抗して摺
動操作してロックバネ30の両端部間を拡径することによ
り、ロックバネ30を係合解除状態とする１対の操作レバ
ー33とを備えている。

《作用》 以上の構成によれば、ハウジングの表と裏側に操作レバ
ーが設けられており、何れの操作レバーによっても係止
ピンに対するロックバネの係合状態を解除できる。

したがって、仕切板は、表裏何れの面を上にして設置し
てもロック装置により収納部側の係止ピンと係合固定さ
れ、逆に操作レバーの一方により係合を解除できるの
で、リバーシブルタイプとして高品質化が図られる。

《実施例》 以下、本考案の実施例について図面を参照しながら説明
する。

第１図（イ），（ロ）は本考案を適用した仕切板の表裏
面を示す斜視図、第２図は前記仕切板の設置状態として
示す第１図のＡ−Ａ断面図である。

図において、車両用仕切板20は、ボード21と、ボード21
の一方の面に設けられたトリム部材としてのカーペット
22と、ロック装置23などからなっている。

ボード21は内部中空の樹脂成形体であり、後側中間部に
は切欠部が設けられ、同切欠部の端面に突設された取付
部21aを利用してロック装置23を略面一に装着してい
る。

カーペット22は、ラゲージフロア24に敷かれたカーペッ
ト24aと同一のものが用いられ、ボード21の一方の面を
覆う大きさに裁断されている。カーペット22には開口部
22aが設けられ、ボード21に接着材等を用いて貼着固定
したときにロック装置23が露出される。

そして、仕切板20は、ボード21の前側周囲部に突設され
た１対の係止部材25を有し、図に示す如くラゲージフロ
ア24に設けられた収納部26の上部開口段部26aに仕切板2
0を設置するときに、係止部材25を段部26aの前側に設け
られた対応する嵌合穴27に差し込むとともに、ロック装
置23により段部26aの前側に設けられた係止ピン28と係
脱する構造となっている。

ここで、係止部材25と嵌合穴27とは、仕切板20を表裏何
れの面を上にして段部26aに設置しても係合可能となっ
ている。また、係止ピン28は円柱状の先端部にくびれ部
28aを形成したものであり、後側の段部26aにあって水平
部26bの中間部に突設されている。

前記ロック装置23は、２個の半体からなるハウジング29
と、係止ピン28と係合するロックバネ30と、ロックバネ
30を変形するスライド部材31と、スライド部材31を保持
する２枚のプレート32と、スライド部材31を移動する１
対の操作レバー33とを備えている。

ハウジング29は樹脂成形体であり、ボード21の取付部21
aに対して各半体を前後から配置するとともに、取付部2
1aと平行に２枚のプレート32を間に挟持状態に固定され
て一体化される。前記各半体には、貫通孔29aが設けら
れ、収納部26に対し仕切板20を表裏何れの面を上にして
設置したときにも係止ピン28を下側から貫通孔29aを通
って内部に挿通する。

前記各半体は貫通孔29aの右側に設けられた大きな矩形
の開口部29bを有し、開口部29bに操作レバー33を略面一
に配置している。操作レバー33は軸34により回転自在に
枢支されている。そして、軸34回りに設けられたスプリ
ング35により時計回りと逆方向へ付勢されるとともに、
前記半体内壁に一体に設けられたストッパ部36により水
平状態を保持している。

操作レバー33の裏面側にあつて軸34と接近する端部に
は、開口部29bの底部へ延びる突出部33aが設けられてお
り、ロックバネ30の係合状態で突出部33a、当接片37を
介してスライド部材31と連携している。

ロックバネ30、スライド部材31、プレート32等の関係は
第３図に示されており、２枚のプレート32の間にロック
バネ30とスライド部材31とを配置し、プレート32の上下
面に１対の当接片37を連結軸38により一体化した構造と
なっている。

ロックバネ30は、係止ピン28の先端を挿通してくびれ部
28aと弾性的に係合する略Ω形の線細工バネが用いられ
ている。そして、略Ω形の中間部30aが固定ビス39によ
りプレート32に固定され、Ω形の両端部30b間にスライ
ド部材31を位置させた構成となっている。

プレート32には貫通孔29aと同軸に孔32aが設けられ、ま
た各対抗面には一段深く形成された窪み部32bが孔32aを
含む部位に形成されている。

窪み部32bには、ロックバネ30を孔32aの周縁部に沿って
配置するとともに、ロックバネ30の両端部30b間へ移動
可能にスライド部材31を配置している。また、スライド
部材31が配置される下部側にスリット32cが設けられて
おり、スリット32cを通じて連結軸38が移動可能に挿通
される スライド部材31は、台形状の水平部31aに長方形状の垂
直部31bを一体化した略Ｔ字状となっている。水平部31a
は、ロックバネ30を孔32aの周縁部に沿って配置た状態
で両端部30b間に当接状態で位置している。垂直部31b
は、連結軸38を上下に通す孔31cを有するとともに、窪
み部32bに突設された３個のリブ40に移動方向を規制さ
れる設計となっている。つまり、スライド部材31は、連
結軸38の移動によりロックバネ30の両端部30b間を拡径
させる方向へ移動される。

連結軸38の両端部には当接片37が固着されている。そし
て、操作レバー33を回転することにより、突出部33aが
当接片37を押圧する結果、連結軸38がスリット32cに沿
って移動し、同時にスライド部材31がロックバネ30の両
端部30b間に圧入して、ロックバネ30を係合解除状態へ
変形するようになっている。

以下、以上のロック装置の作動を第４図、第５図に基づ
いて説明する。

第４図（イ），（ロ）は、係合時における係止ピン28と
ロックバネ30の関係を示している。

仕切板20は、後方の係止部材25を段部26aの対応する嵌
合穴27に差し込み、保持している手を離すことにより操
作レバー33を操作することなくロックバネ30に係止ピン
28が係合し、段部26a側に係合固定される。

この係合は、係止ピン28の先端部がロックバネ30のΩ形
を弾性拡径させつつ通過し、通過したときにロックバネ
30がくびれ部28aを挟み込む。つまり、仕切板20は段部2
6aに設置することにより係合固定され、しかも仕切板20
の何れの面を上側にしても同様に行われる。

一方、仕切板20を取り外す場合には、先ず、上側に位置
している操作レバー33を同図（イ）の矢印方向へ押し、
操作レバー33と開口部29bとの間に隙間を形成した後、
同隙間に指を入れて第５図（イ）の矢印方向へ操作レバ
ー33を回転する。これにより、係止ピン28に対するロッ
クバネ30の係合が解除される。次に、操作レバー33を摘
んで仕切板20の片側を少し持ち上げ、段部26aとの間に
隙間を形成し、同隙間に手を差入れて仕切板20を取り外
す。

ここで、第４図（イ）の矢印方向へは操作レバー33をス
プリング35の付勢力に抗して押し込み回転する。また第
５図（イ）のように操作レバー33を大きく矢印方向へ回
転する場合は、同図（ロ）に示す如く突出部33aが当接
片37を押圧してスリット32cに沿って移動させ、同時に
スライド部材31が当接片37の移動に連結軸38を介して追
随移動される結果、ロックバネ30がその開口を押し広げ
られるよう変形して、係止ピン28に対して係合解除状態
となるのである。

また、この状態でロックバネ30は、中間部30aが固定さ
れているので、両端部30bを元へ復帰させる方向の付勢
力が働いている。したがって、操作レバー33に対する保
持あるいは摘みを解放することによって、操作レバー33
はスプリング35の付勢力で元の状態となり、またロック
バネ30は変形された状態から復帰力でスライド部材31を
後方へ移動して元の係合状態に復帰するのである。

このように、仕切板20は何れの面を上側にしも係合固定
され、しかも操作レバー33の一方により常に係合を解除
することができるので、リバーシブルタイプとして最適
なものとなる。

しかも、ロック装置26は構成部品が極力少なくなるよう
に工夫されているので、低コストで使い勝手のよい製品
を提供できる。

第６図，第７図は前記ロック装置の変形例を示したもの
である。

なお、同図では前記実施例と同一部品ないしは部位には
同一符号を用いており、重複した説明を省略する。

変形例のロック装置123は、係止ピン28に対するロック
バネ30の係合を解除する際における操作レバー33の回動
方向を逆にすことを目的としたものであり、プレート13
2にロックバネ30を保持するとともに、スライド部材131
を配置した構造となっている。

プレート132にはハウジング側の貫通孔29aと同軸に孔13
2aが設けられ、また一段深く形成された窪み部132bが孔
132aを含む部位に形成されている。

窪み部132bには、ロックバネ30を孔132aの周縁部に沿っ
て配置するとともに、スライド部材131を摺動自在に保
持するようになっている。また、スライド部材131が配
置される一端部側にスリット132cが設けられており、ス
リット132cを通じてスライド部材131の当接部131cが移
動可能に挿通される。

スライド部材131は、窪み部132bよりも前後方向の長さ
が小さく設定された長方形状となっており、中間部から
当接部131c側に大きな開口部131aを形成している。開口
部131aは孔132aに対応する部分を含み、当接部131cと対
抗する端面形状が山形の突出部131bに設定されている。
突出部131bは、ロックバネ30を孔132aの周縁部に沿って
配置た状態で、両端部30b間に当接状態で位置してい
る。

つまり、スライド部材131は、当接部131cを操作レバー3
3により押圧することにより、ロックバネ30の両端部30b
間を拡径させる方向へ移動される。

具体的には、仕切板20を取り外す場合には、第７図に示
す如く、先ず、上側に位置している操作レバー33を同図
（イ）の矢印の如く逆時計方向へ押し、操作レバー33と
開口部29bとの間に隙間を形成した後、同隙間に指を入
れて同図（ロ）の矢印方向へ操作レバー33を回転する。
これにより、係止ピン28に対するロックバネ30の係合が
解除されるのである。

なお、本考案は、以上の実施例に限られることなく、種
々変形ないしは発展できることは勿論である。また、仕
切板はエンジンルームの開口を蓋するカバーボード、リ
アシートの背部に設置されて車室内とラゲージルームを
区画するトノボード等としても構成できる。

《考案の効果》 以上説明した通り、本考案に係る車両用仕切板は、仕切
板の表と裏側に係止ピンとロックバネとの係合を解除す
る操作レバーを有しているので、収納部にスペアタイヤ
や物を出し入れしたり、仕切板に物品を載せて置く場合
等に仕切板の表裏面を任意に選択して、何れの面を上に
して設置してもロック装置を共に機能できる。

また、従来のロック装置に対して、係止ピンをハウジン
グの下側から内部に挿通する構造となっているので、収
納部側に設けられる係止ピンとハウジングとの間に隙間
を設定する必要がなくなり、仕切板の設置状態は外観的
にも良好となる。

したがって、本考案は、特にリバーシブルタイプの仕切
板の場合に使い勝手を向上でき、高品質化を達成でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図（イ），（ロ）は本考案の一実施例として示す車
両用仕切板の各面を示す斜視図、第２図は同仕切板を設
置状態で示す第１図Ａ−Ａ線断面図、第３図はロック装
置の要部を示す分解斜視図、第４図（イ），（ロ）は同
ロック装置の係合時における係止ピンとロックバネ等と
の関係を示す模式図、第５図（イ），（ロ）は同じく係
合解除時の係止ピンとロックバネ等との関係を示す模式
図、第６図と第７図は前記ロック装置を変形した一例で
あり、同６図は同ロック装置の要部分解斜視図、第７図
（イ），（ロ）は操作レバーとの関係を示す模式図、第
８図は自動車のトランクルーム内を示す斜視図、第９図
は従来の車両用仕切板を示す斜視図、第10図は同仕切板
のロック装置を示す断面図である。 20……仕切板 23,123……ロック装置 26……収納部 28……係止ピン 29……ハウジング 30……ロックバネ 31,131……スライド部材 33……操作レバー

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車体側の収納部に着脱可能に設置されると
   ともに、前記収納部側に突設された係止ピンに対して係
   脱するロック装置を略面一に装着してなる車両用仕切板
   において、 前記ロック装置は、前記仕切板に装着されて、前記収納
   部に対し仕切板を表裏何れの面を上にして設置したとき
   にも前記係止ピンを下側から内部に挿通可能な貫通孔を
   有するハウジングと、 前記係止ピンの軸先端側に形成されたくびれ部に係脱可
   能な略Ω形をなし、前記ハウジング内にあって略Ω形の
   左右中間部を固定した状態に配置されて、前記貫通孔か
   ら侵入する係止ピンのくびれ部と弾性的に係合する線状
   のロックバネと、 前記ハウジング内に摺動可能に配置されて、前記ロック
   バネの両端と当接する傾斜面を有し、摺動されることに
   より前記ロックバネの両端部間を拡径するスライド部材
   と、 前記ハウジングの表と裏側に取り付けられ、前記スライ
   ド部材をロックバネの付勢力に抗して摺動操作してロッ
   クバネの両端部間を拡径することにより、ロックバネを
   係合解除状態とする１対の操作レバーとを備えているこ
   とを特徴とする車両用仕切板。