JPH0726777Y2 - タキシーメータ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、タキシーの乗車料金を演算して表示するタキ
シーメータに関する。

〔従来の技術〕

タキシーの乗車料金は、一般にタキシー車両が所定の基
本走行距離を走行するまで、あるいはこの基本走行距離
を所定車速で走行したと仮定したときに要する所定時間
が経過するまで基本料金（例えば470円）とし、それを
越えると所定走行距離（じ後距離）を走行する毎に、あ
るいは所定時間（じ後時間）が経過する毎に所定料金
（じ後料金）が追加される。そしてこの乗車料金がタキ
シーメータの表示器に表示され、乗客が降車するときに
その表示された料金を支払う。

また、夜間（例えば午後10時以降）の乗車になると上記
料金が所定割合（例えば２割）割増され、この割増料金
が表示される。

タキシーメータはタリフスイッチと称するスイッチを操
作することにより、迎車営業の開始、乗車料金の計算開
始、割増計算の開始、目的地での料金の計算などの各種
の機能を選択するようになっており、運転車は所定の機
能に対応するタリフスイッチを状況に応じて操作して営
業を行う。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、前記のような夜間割増については割増開始の
時刻が決められているので、適正な料金の支払や領収を
行うためにも、運転車は割増開始時刻に注意を払う必要
がある。また、割増開始のタイミングを誤ると、トラブ
ルの原因にもなりかねない。このため、タキシーメータ
に時計機能を持たせて、この内蔵時計が割増開始時刻に
なると、自動的に割増料金の計算に切り換えるようにし
たものもある。

しかしながら、このように時計機能を持たせたタキシー
メータであっても、時計の調整が正確でなかったり、時
計のくるいや精度のばらつきがあると、適正な料金の計
算が行われなくなるという問題がある。特に、タキシー
会社は多くのタキシー車両で営業を行うため、各タキシ
ーにそれぞれ搭載したタキシーメータで割増開始のタイ
ミングが正確に一致していることが要求される。

本考案は、夜間割増など所定時刻からの乗車料金に割増
量を追加するようなタキシーメータにおいて、割増開始
のタイミングを正確にすることによって適正な料金の計
算を行なえるようにすることを課題とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記の課題を解決するためになした本考案のタキシーメ
ータは、第１図の基本構成図に示したように、割増時間
前の予め決められた基準時刻に予め決められた時刻設定
信号を送信する送信機１からの時刻設定信号を受信する
受信機２に接続され、タキシーの料金計算と表示を行う
タキシーメータ３であって、計時時刻の書換えが可能な
時計33aと、営業中で時計33aの計時時刻が割増時間内の
ときは割増料金計算を行う料金演算手段33₁と、受信機
２が時刻設定信号を受信したときに時計33aの現在の計
時時刻を前記基準時刻に設定する時刻設定手段33₂とを
備えたことを特徴とする。

〔作用〕

本考案のタキシーメータ３において、料金演算手段33₁
は、営業中で時計33aの計時時刻が割増時間内のときは
割増料金計算を行う。

一方、送信機１は割増時間前の予め決められた基準時刻
に予め決められた時刻設定信号を送信し、この送信され
る時刻設定信号は受信機２で受信され、この時刻設定信
号の受信によって時刻設定手段33₂は時計33aの現在の計
時時刻を前記基準時刻に設定する。

したがって、時計33aは割増時間前の基準時刻において
時刻合わせされることになり、料金演算手段33₁により
正しい割増時間内で割増料金計算が行われる。

〔実施例〕

第２図は本考案実施例のタキシーメータを用いた無線タ
キシーメータシステムを示す図である。

図において、１はタキシー会社などの事務所等に配設さ
れた送信機、２はタキシー車両に搭載された受信機、３
は受信機２に接続されたタキシーメータであり、この実
施例では、事務所側の送信機１およびタキシー車両側の
受信機２として、通常の親無線機とタキシー無線機をそ
れぞれ利用している。また、第４図に示したように、タ
キシーメータ３の表面パネル31には表示器32と、各種の
タリフスイッチSW₁〜SW₅が設けられており、このタリフ
スイッチSW₁〜SW₅は、通常のタキシーメータのものと同
様に乗務中の状況に応じて運転車が操作するためのもの
である。なお、各タリフスイッチSW₁〜SW₅は、それぞれ
累計タリフ用、空車タリフ用、迎車タリフ用、支払タリ
フ用および賃送タリフ用のものである。

第２図において、送信機１は内部に基準時計1aを備えて
おり、この基準時計1aが予め設定された時刻（基準時
刻）になると、予め決められた一定周波数の高周波信号
（時刻設定信号）を送信する。また、受信機２は、送信
機１からの信号を受信して増幅した音声信号をスピーカ
2aに出力するとともに、送信機１から送信される時刻設
定信号も増幅した高周波数信号としてスピーカ2aへの出
力線2bに出力する。そして、この時刻設定信号は出力線
2bに接続されたタキシーメータ３に出力される。

第３図はタキシーメータ３の内部構造を示す図であり、
図において、33はCPU、33aはCPU33が内蔵している時
計、34はROM、35はRAM、36は走行センサ、37は前記受信
機２の出力線2bに接続されたインターフェースである。

時計33aは、CPU33の内部クロックのカウントによって現
在時刻を計時するとともに、内部レジスタの内容の更新
によって現在時刻をこの内部レジスタに保持している。
なお、CPU33はこの内部レジスタの内容を書き換えるこ
とにより、時計33aを任意の時刻に時刻合わせすること
ができる。

ROM34には前述の基本走行距離、基本走行距離に対応す
る基本時間、基本料金、じ後距離、じ後距離に対応する
じ後時間、じ後料金および夜間２割増料金等に関するデ
ータなど、従来の通常の営業処理と割増営業処理を行う
ための各種データが記憶されている。

さらにROM34には、夜間の２割増業務を開始する時刻
（割増開始時刻）を示すデータ、前記送信機１で時刻設
定信号を送信するときの時刻すなわち基準時刻を示すデ
ータ、時刻設定信号の周波数を示すデータ、時計33aの
時刻合わせが可能な時刻幅を設定するための時刻（修正
許容時刻）を示すデータがそれぞれ記憶されている。な
お、以下の例では、割増開始時刻を午後10時、基準時刻
を午後９時59分、修正許容時刻を午後９時50分と午後10
時10分として説明する。

走行センサ36は車両のトランスミッションの回転を検出
して走行パルスを発生し、CPU33はこの走行パルスと時
間とにより賃送中の乗車料金を演算し、料金上がり信号
を発生して乗車料金の更新等を行う。また、CPU33に
は、ROM34、RAM35、走行センサ36の他に、表示器32、タ
リフスイッチSW₁〜SW₅およびインターフェース37が接続
されている。なお、RAM35はCPU33が各種の処理を行うと
きのワーキングエリアとして使用される。

インターフェース37は、受信機２の出力線2bにおける電
圧レベルをTTLレベルにしてCPU33に入力し、CPU33はこ
のTTLレベル信号の周波数に基づいて、受信機２で受信
される時刻設定信号を検知する。

第５図はCPU33が行う制御フローを示すフローチャート
であり、同図（ａ）に示した自動割増制御は賃送などの
営業時に常時実行され、同図（ｂ）の時刻合わせ制御
は、上記自動割増制御を実行している間に、例えば5ms
に一回など一定間隔で発生するタイマー割り込みによっ
て実行される。

同図（ａ）に基づいて自動割増制御の動作を説明する。

自動割増制御を開始すると、賃送タリフスイッチSW₅が
操作されたか否かを検知して営業状態になったか否かを
監視し（ステップS₁）、営業状態になると時計33aの時
刻を読み取り（ステップS₂）、ROM34に記憶している割
増開始時刻（午後10時）を過ぎているか否かを判定する
（ステップS₃）。

ステップS₃において割増開始時刻を過ぎていない場合
は、走行距離と走行時間の測定、じ後距離およびじ後時
間による現在の乗車料金の計算、乗車料金の表示など、
通常の営業処理を行う（ステップS₄）。

一方、ステップS₃において割増開始時刻を過ぎている場
合は、走行距離や走行時間の測定、じ後距離とじ後時間
および所定の割増率（２割）による現在の割増乗車料金
の計算、料金表示等の割増営業処理を行う（ステップ
S₅）。

ステップS₄の通常の営業処理またはステップS₅の割増営
業処理が終了すると支払タリフスイッチSW₄等が操作さ
れたか否かを検知して営業状態の終了か否かを検出し
（ステップS₆）、営業終了の場合は、空車タリフスイッ
チSW₂の操作による表示の消灯などの営業終了処理を行
い（ステップS₇）、ステップS₁に戻る。また、営業終了
でない場合は、ステップS₂に戻って時刻の読み取り以降
の処理を行う。

次に、第５図（ｂ）に基づいて時刻合わせ制御の動作を
説明する。

割り込みにより、時刻合わせ制御が開始されると、イン
ターフェース37から入力されるTTLレベル信号のパルス
を一定時間カウントし（ステップS₁₁）、このTTLレベル
信号の周波数がROM34に記憶している時刻設定信号の周
波数と一致するか否かを判定する（ステップS₁₂）。

上記判定で一致しない場合すなわち時刻設定信号が検出
されない場合は、この制御フローから復帰し、一致した
場合すなわち時刻設定信号を検出した場合は、時計33a
の時刻を読み取り（ステップS₁₃）、ROM34に記憶してい
る修正許容時刻のデータに基づいて、現在時刻が時刻合
わせを行なえる時間か否か、すなわち、時計33aの計時
時刻が午後９時50分から午後10時10分の間かを判定する
（ステップS₁₄）。

そして、修正許容時刻の範囲外の場合はこの制御フロー
から復帰し、修正許容時刻の範囲内の場合は、時計33a
の現在の時刻をROM34に記憶している基準時刻（午後９
時59分）にセットして復帰する（ステップS₁₅）。

タキシーメータ３では上記のように時刻合わせ制御が行
われるが、送信機１からは基準時刻（午後９時59分）に
時刻設定信号が送信されるので、この時刻設定信号を検
出したときの時計33aの時刻が上記基準時刻にセットさ
れる。したがって、前記自動割増制御を行うときに読み
取られる時刻は、送信機１側（タキシー会社側）の基準
時計1aに一致したものとなり、割増営業開始を正確なタ
イミングで行うことができる。また、多数のタキシーに
ついても基準時計1aに基づいて時刻合わせが行われるの
で、割増開始のタイミングを一致させることができる。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案のタキシーメータによれば、
割増時間前の予め決められた基準時刻に送信機から送信
される予め決められた時刻設定信号を受信できるように
し、この時刻設定信号を受信したときにタキシーメータ
の時計を基準時刻に設定し、この時計に基づいて割増料
金計算を行うようにしたので、夜間割増など割増開始の
タイミングを正確にすることができ、適正な料金の計算
を行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の基本構成を示す図、 第２図は本考案実施例の無線タキシーメータシステムを
示す図、 第３図は実施例におけるタキシーメータの内部構造を示
す図、 第４図は実施例におけるタキシーメータの表面パネルを
示す図、 第５図は実施例における制御フローを示すフローチャー
トである。 １……送信機、２……受信機、３……タキシーメータ、
33a……時計、33……CPU。

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平１−195387（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−4886（ＪＰ，Ａ) 実開 平３−113192（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−97171（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−19877（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−143974（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】割増開始時刻前の予め決められた基準時刻
   に予め決められた時刻設定信号を送信する送信機からの
   時刻設定信号を受信する受信機に接続され、タキシーの
   料金計算と表示を行うタキシーメータであって、 計時時刻の書換えが可能な時計と、営業中で上記時計の
   計時時刻が割増時間内のときは割増料金計算を行う料金
   演算手段と、前記受信機が時刻設定信号を受信したとき
   に上記時計の現在の計時時刻を前記基準時刻に設定する
   時刻設定手段とを備えたことを特徴とするタキシーメー
   タ。