JPH07243140A - 複合紡績糸およびその製造方法 - Google Patents

複合紡績糸およびその製造方法

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JPH07243140A
JPH07243140A JP3244294A JP3244294A JPH07243140A JP H07243140 A JPH07243140 A JP H07243140A JP 3244294 A JP3244294 A JP 3244294A JP 3244294 A JP3244294 A JP 3244294A JP H07243140 A JPH07243140 A JP H07243140A
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fiber
yarn
spun yarn
short
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JP3244294A
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Kakuji Murakami
確司 村上
Akio Yamane
昭男 山根
Seiichi Yamagata
誠一 山形
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】炭素繊維および/またはガラス繊維から構成さ
れる短繊維Aと、該短繊維Aより低い融点を有する熱可
塑性合成繊維から構成される短繊維Bとからなる無撚の
短繊維束状物の外周部に連続糸状物Cが捲回しているこ
とを特徴とする複合紡績糸。炭素繊維および/またはガ
ラス繊維をケン切法にてスライバSA とし、次いで該ス
ライバSA と、該スライバSA を構成する繊維より低い
融点を有する熱可塑性合成繊維の短繊維Bからなるスラ
イバSB とをダブリングし、ドラフトしてフリースとな
し、次に中空スピンドルに装着された連続糸状物Cをワ
インドしたパッケージを回転させながら解舒して前記フ
リースの外周部に捲回せしめ、次いで引取ることを特徴
とする複合紡績糸の製造方法。 【効果】糸形成時の単糸切れや毛羽切れを極少化させ、
優れた耐シゴキ性能を有する繊維強化熱可塑複合基材に
適した複合紡績糸とその製造方法を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は繊維強化熱可塑複合基材
(繊維強化プラスチックス)に適した複合紡績糸および
その製造方法に関する。さらに詳しくは、炭素繊維やガ
ラス繊維等の剛直性に富んだ短繊維と前記剛直性短繊維
の融点より低い熱可塑性合成繊維の短繊維を混用した無
撚の短繊維束状物の外周部に、連続糸が捲回した繊維強
化熱可塑複合基材に適した複合紡績糸に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、比強度、比弾性、引張り強度面に
おいて優れた性能を示す炭素繊維やガラス繊維は繊維強
化複合材用の繊維として活用されている。これらに用い
られる強化繊維の形態としては、フィラメント糸、ミル
ドファイバあるいはチョップドファイバである。また、
紡績糸の展開においては、炭素繊維やガラス繊維のト
ウ、サブトウあるいは連続フィラメント糸をケン切して
スライバとなし、次いで該スライバをドラフトしてフリ
ースとし、該フリースに撚を挿入して紡績糸とするもの
が知られている。
【0003】しかしながら、炭素繊維やガラス繊維の連
続フィラメント糸での展開におけるフィラメントワイン
ディング、一方向プリプレグやクロスプリプレグなどが
見受けられるが比較的薄物の複合基材としての展開が多
いために、原料となる繊維の総繊維繊度が太い場合は使
用できないことになる。
【0004】また、チョップドファイバとしての展開に
は、湿式抄紙によるマットにマトリックス樹脂を含浸さ
せ該樹脂を焼成して炭化せしめた、いわゆるC/C複合
材とした燃料電池用電極基材(GP)などへの活用、あ
るいはシートモールディングコンパウンド(SMC)な
どへの展開がなされているが、生産ロットが比較的小さ
いこともあって工業的意味合いは小さい。
【0005】さらにまた、実ヨリを挿入し紡績糸とする
ケースにおいては、原料繊維は引張強度において優れた
性能を有するものの剪断的な外力に対しては極めて脆弱
である。このような観点から紡績糸は素材の強力利用率
が極端に低くなり布帛や複合基材として用いると種々の
問題が発生する。さらに紡績工程上の問題として、施撚
やトラベラによる擦過作用を受けることによる短繊維の
損傷や切断が多発し粉塵飛散が著しく、これによる糸切
れ、風綿混入等の工程トラブルが発生する。加えて、撚
による大きなトルクが発生し、単糸では製編織工程に投
入できないという課題があり、必然的に双糸加工(諸
糸)加工をせざるをえないということになる。
【0006】双糸加工するには精紡単糸の紡出番手を細
くすることが必要となり可紡性がますます悪化しコスト
高になる。また、双糸加工工程でも精紡工程同様極めて
多くの短繊維切れや毛羽切れを生起することになるばか
りでなく撚糸コストがさらに加算されるという悪循環を
生む。糸表面毛羽が極めて多い紡績糸は製編織工程等に
供給する場合、解舒不良に伴なう糸切れに加え耐シゴキ
性に乏しいため毛羽切れ・脱落・飛散が多発し操業性の
低下を余儀なくされるという問題がある。
【0007】このような紡績糸を用いた編織物に樹脂を
含浸させた複合材や一軸複合材にあっては樹脂のマイグ
レーションが不均一となりがちで、目標とする繊維強化
性能が十分発揮し得ないという課題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、剛直
な炭素繊維やガラス繊維の持つ優れた引張強力を損なう
ことなく、また糸形成時の単糸切れや毛羽切れを極少化
させ、かつ極めて優れた耐シゴキ性能を有する繊維強化
熱可塑複合基材に適した複合紡績糸とその製造方法を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来技術の
課題を解決するため次の構成を有する。
【0010】すなわち、炭素繊維および/またはガラス
繊維から構成される短繊維Aと、該短繊維Aより低い融
点を有する熱可塑性合成繊維から構成される短繊維Bと
からなる無撚の短繊維束状物の外周部に連続糸状物が捲
回していることを特徴とする複合紡績糸である。
【0011】また、炭素繊維および/またはガラス繊維
をケン切法にてスライバSA とし、次いで該スライバS
A と、該スライバSA を構成する繊維より低い融点を有
する熱可塑性合成繊維の短繊維BからなるスライバSB
とをダブリングし、ドラフトしてフリースとなし、次に
中空スピンドルに装着された連続糸状物をワインドした
パッケージを回転させながら解舒して前記フリースの外
周部に捲回せしめ、次いで引取ることを特徴とする複合
紡績糸の製造方法である。
【0012】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0013】本発明における無撚の短繊維束状物とは、
炭素繊維やガラス繊維あるいはこれらを混用した繊維か
ら構成される短繊維Aと、短繊維Aの融点より低い融点
を有する熱可塑性合成繊維の短繊維Bとからなるもので
ある。
【0014】本発明で用いる炭素繊維やガラス繊維は、
特に限定されるものではなく、要は耐熱性に優れかつ引
張強度や引張弾性率に優れた性能を有する繊維のものを
用いることができ、たとえば芳香族ポリアミド繊維やS
iC繊維などが採用できる。なかでも、複合材料の強化
繊維として軽量かつ優れた性能を発揮することのできる
PAN系炭素繊維が好ましい。
【0015】これら短繊維Aは、炭素繊維、ガラス繊
維、あるいはこれらの混用した繊維のトウ、サブトウあ
るいはフィラメント糸をケン切して得られるスライバを
混紡し、所望する太さにドラフトして得られるフリース
などを用いることができる。
【0016】一方、短繊維Bは、前記短繊維Aの融点よ
り低い融点を有する熱可塑性合成繊維であり、ポリエス
テル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリビニルアルコ
ール、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビ
ニルやポリウレタンなどの一般的な合成繊維や液晶繊維
も含むものである。
【0017】次に、上記短繊維A,Bからなる無撚の短
繊維束状物の外周部に捲回する連続糸状物とは、特に限
定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート
やポリアミド等に代表されるいわゆる合成繊維や半合成
繊維からなるフィラメント糸が好ましく適用できる。さ
らに、連続糸状物として紡績糸、マルチフィラメント糸
あるいはモノフィラメント糸の延伸糸、半延伸糸、未延
伸糸であっても良いし、捲縮の有無、繊維断面形状など
何ら制約されるものでない。
【0018】本発明において、連続糸条物のヤング率
が、無撚の短繊維束状物を構成する繊維のヤング率より
小さいことが好ましい。これは、連続糸条物の捲回にお
いて短繊維束状物が波状形態となるのを防止できるから
である。
【0019】また、本発明の短繊維A,Bからなる無撚
の短繊維束状物についてさらに詳しく述べると、短繊維
Aの繊維長は、糸品質、糸品位面で優れることから、不
揃いの繊維長の短繊維を用いるのが好ましい。たとえ
ば、前述のケン切法によるカットによって繊維長が異な
る短繊維から構成されるものが得ることができる。
【0020】繊維長の異なる短繊維Aにおいて、その平
均繊維長はドラフト斑による糸筋の悪化を防止する観点
から30mm以上が好ましい。ドラフト域内の浮遊繊維の
制御および糸ムラ防止の観点から平均繊維長の範囲は2
0〜2000mmであることがさらに好ましい。
【0021】一方、短繊維Bは等長にカットされた短繊
維であっても、繊維長が異なる短繊維(たとえば、トウ
状物をケン切したスライバ)であっても良い。
【0022】したがって、混紡態様としては、原綿、ス
ライバ、粗糸などどの段階でもよい。むろん精紡のドラ
フト工程内で混紡してもよいことはいうまでもない。
【0023】本発明における無撚の短繊維束状物Aおよ
びBの混合比率は、重量比でA:B=5:95〜95:
5であることが好ましく、20:80〜80:20であ
ることがさらに好ましい。なお、繊維強化という観点か
らすれば重量比でA>Bの関係にあることが好ましい。
【0024】また、上記短繊維束状物の総繊維繊度は、
糸筋品位面・操業面の観点から20デニール以上である
ことが好ましい。さらに好ましくは、30デニール以上
である。
【0025】本発明の複合紡績糸は、剛直な短繊維を含
む無撚短繊維束状物に連続糸状物が整然と捲回されてい
るので、剛直な無撚束状物であるが故に困難であった糸
軸方向の繊維配向度の向上が確保でき、また該糸条を捲
回することにより工程安定性、繊維相互の密着性向上に
大きく寄与し、複合糸としての均斉性はもちろんのこと
剛直な無撚の短繊維束を構成する単繊維のもつ強力を最
大限活かせるため、糸強力の向上に大きな効果を奏する
ものである。
【0026】さらに本発明の複合紡績糸は、剛直性を有
する炭素繊維、ガラス繊維に加えて、熱可塑性合成繊維
を短繊維束状物の構成繊維として有するため、繊維強化
複合材料に用いる繊維として好適なものとなる。すなわ
ち、本発明の複合紡績糸を編織物などに一旦布帛にした
後プレス成形することにより容易に複合材となるもので
あって、例えば本発明の複合糸を用いた織物、編地、一
軸方向に配列した基材の場合には成形時に繊維ずれ現象
を伴なうこともあって曲面成形性の良い複合材が得られ
る。
【0027】以下、図面を参照しながら説明する。
【0028】図1は、本発明の複合紡績糸の一例を示す
拡大模式図である。図1では、剛直性を有する炭素繊維
および/またはガラス繊維の短繊維Aと、短繊維Aの融
点より低い融点を有する短繊維Bとからなる無撚の短繊
維束状物の外周部に、1本の連続糸状物Cが螺旋状に捲
回されている状態を示されており、無撚の短繊維束状物
が波状形態をとることなく直線性を示し、また毛羽Kも
極めて少ないことを示す。
【0029】図2は、本発明の複合紡績糸の他の一例を
示す拡大模式図である。図1と異なる点は2本の連続糸
状物Cがそれぞれ異なる方向に捲回されている点であ
る。糸形状は波状形態をとることなく、また毛羽Kが極
めて少ない状況にあることは図1と同様である。
【0030】図3は、従来の実ヨリを挿入した紡績糸を
示す拡大模式図である。毛羽Kの出現頻度が極めて多く
なることを示している。
【0031】次に、本発明の複合紡績の製造方法につい
て図面を参照しながら説明する。
【0032】図4は、本発明の複合紡績糸の製造方法の
一例を示す工程概略図である。
【0033】剛直性のある炭素繊維、ガラス繊維あるい
はこれらを混用した短繊維Aと、短繊維Aの融点より低
い融点をもつ熱可塑性合成繊維からなる短繊維Bとから
構成されたスライバ1は、バックローラ3に供給され、
エプロンローラ4を経てフロントローラ5に送られる。
この際バックローラ3とフロントローラ5の間で所望の
ドラフトが与えられフリースFを得る。
【0034】次に連続糸状物(フィラメント糸)Cをワ
インドしたパッケージ6を装着する中空スピンドルSに
仕掛け、ベルトZによりパッケージ6を回転させながら
連続糸状物Cを解舒しつつ前記フリースFの外周部に捲
回して糸形成せしめ、引取りローラ7にテイクアップロ
ーラ8に接触して回転するパッケージ9に巻取り、本発
明の複合紡績糸を得る。
【0035】ここにおいて、フロントローラ5と引取り
ローラ7の間は+5%〜−5%の範囲のフィード率とす
ることが好ましい。より好ましくは−5%以上0%未満
のアンダーフィードの範囲である。
【0036】本発明のフリースのフィード率は、次式に
より算出されるものである。
【0037】 フィード率[%]=100×(VF −VD )/VD ただし、 VF :フロントローラの表面速度[m/分] VD :引取りローラの表面速度[m/分] 従って、本発明のアンダフィードとは上記フィード率が
負(マイナス)、一方オーバフィードとは該フィード率
が正(プラス)になる場合であり、すなわちフロントロ
ーラの表面速度より引取り速度の方が速い場合をいう。
【0038】次に、連続糸状物の捲回係数kは、可紡性
と糸強力面、生産性、ハンドリング、工程通過性または
布帛の品質・品位の観点から、T=k×(Nm)1/2
おいてk=25〜500の範囲が好ましい。ただし、
T:連続糸条物の捲回数(T/m)、k:連続糸状物の
捲回係数、Nm:本発明の複合糸のメートル番手を表
す。
【0039】図5は、本発明の複合糸の製造方法の他の
一例を示す工程概略図であって、図4と異なる点は剛直
性を有する炭素繊維および/またはガラス繊維のトウ状
物、サブトウ状物あるいは連続糸条1′を、精紡機のバ
ックローラ3に供給する前にケン切用のインフィードロ
ーラ11とストレッチローラ12、メインケン切ローラ
13、修正ケン切ローラ14を備えていることにある。
【0040】なお、スライバ15は、前記短繊維Aの融
点より低い融点をもつ熱可塑性合成繊維からなる短繊維
Bからなるスライバである。
【0041】この図5に示す態様によれば、炭素繊維お
よび/またはガラス繊維のトウ状物、サブトウ状物ある
いは連続糸条(ロービングともいう)1′を出発原料と
しながらも、これらの短繊維Aを精紡工程にて得られ、
短繊維Bと合流させることによって混紡が可能となる。
むろん図5には記載していないが、スライバ15をイン
フィールドローラ11に供給する態様であってもよいこ
とはいうまでもない。
【0042】
【作用】短繊維AとBからなる無撚の短繊維束状物とす
るために、短繊維束状物を構成する繊維に対して捩り力
を与えていない。従って、引張強力も短繊維束状物を構
成する繊維A,Bの性能を十分発揮できるし、さらに短
繊維束状物は連続糸条物で強固に捲回されているため
に、無撚短繊維束状物は最密充填をとり、よって繊維間
に作用する摩擦力も最大限活かせることになり、糸引張
強力の向上に寄与するものである。
【0043】また、連続糸条物で捲回しているために、
無撚短繊維束状物を構成する短繊維端を安定的に包み込
む。従って、糸段階で極めて毛羽の少ないものになるこ
とはもちろんのこと、耐シゴキ性が飛躍的に向上する。
よって、工程通過性においても毛羽切れ、粉塵飛散が著
しく改善される。また、本発明の複合糸は波状形態をと
ることなく、直線性を有しているために、布帛の品質、
品位上極めて優れたものとなる。
【0044】さらに、本発明で得る糸で作成した編織物
や一軸方向材は、繊維強化熱可塑複合材の中間基材とし
て適したものとなり、成形時において、本発明の短繊維
Bおよび連続糸状物を溶融することによって成形性に優
れた複合材が得られるという優れた作用効果を奏するも
のである。
【0045】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明する。
【0046】[実施例1、比較例1]3デニールで平均
繊維長89mmのナイロンステープルを用いカード方式に
て0.5g/mのスライバSB を得た。
【0047】一方、PAN系の炭素繊維(東レ(株)製
T300−3K)を脱サイジング処理し、4本引揃えて
ケン切機に仕掛けてケン切をし、平均繊維長132mmの
スライバSA を得た。このスライバの太さは0.507
g/mであった。
【0048】次に、得られたスライバSA 、SB のスラ
イバを3線式のドラフト装置に供給し、無撚の短繊維束
状物であるフリースとした。この0.05g/m(Nm
=20)の太さのフリースを12.5m/分で送り出
し、次にフリースに対し、連続糸条物としてナイロンフ
ィラメント糸(70デニール−34フィラメント、ブラ
イト糸)をワインドしたパッケージを7500r.p.m.に
て回転させながら解舒して捲回しナイロン57%、炭素
繊維43%の複合紡績糸を得た(実施例1)。この時の
連続糸条の捲回係数kは90であった(T=402T/
m)。
【0049】フロントローラと引取りローラの間のフィ
ード率は−0.3%とした。
【0050】得られた複合紡績糸は波状形態をとること
なく直線性を有する均斉な糸筋の糸となった。
【0051】一方比較として、本実施例と同一の短繊維
素材構成にて紡出した実ヨリ挿入による紡績糸(太さ:
0.025g/m、下ヨリ数:506T/m)の双糸加
工品(上ヨリ数:355T/m)を紡出した(比較例
1)。
【0052】次に、本発明の複合紡績糸(実施例1)を
20Gの丸編機に供し、編地を作成したところ編地にな
った。また工程通過時毛羽切れが至って少なく、従って
粉塵発生も極めて少なかった。この編地をベースにナイ
ロン樹脂を含浸し、熱可塑複合材(繊維の体積比率45
%、樹脂の体積比率55%)を作成したところ、表面の
平滑性に優れた複合材を得た。この複合材は曲率の大き
い深絞り成形において金型曲面沿い性に優れたものとな
った。
【0053】これに対して前記比較の実ヨリ紡績糸(N
m40番手の双糸)の場合は、ノックオーバーする際に
糸切れによる穴あき欠点が発生した。また工程通過性に
おいても、解舒性不良による糸切れ、毛羽切れによる多
量の落面発生を生じ、粉塵飛散が著しいものとなった。
特に落綿繊維はほとんどが剛直繊維であった。
【0054】また、本発明の複合紡績糸をタテ47本/
25mm、ヨコ47本/25mmの平織物を試作した。目付
は220g/m2 であった。得られた織物は表面スムー
スな高品位な布帛に仕上がった。また整経工程、製織工
程とも風綿脱落も極めて少なく安定かつ高生産性が得ら
れた。そして、この織物にナイロン樹脂を含浸させ、熱
可塑複合材(繊維の体積比率47%、樹脂の体積比率5
3%)を作成した。得られた熱可塑複合材は、表面平滑
性に優れたものとなり、フラット材や曲率の小さい深絞
り成形材として、また引き抜き材として優れた中間基材
となった。
【0055】一方、前記比較の実ヨリ紡績糸は整経工程
での糸切れ、毛羽切れが多発し、安定した整経性が得ら
れなかった。また製織工程にあっては筬でのシゴキによ
り多数の毛羽落ちが見られたのを始め、開口での糸さば
き性も不良であった。従って得られた織物は風綿混入の
多い表面品位不良な布帛となった。
【0056】[実施例2、比較例2]実施例1で用いた
炭素繊維(東レ(株)製T300−3K、太さ0.19
8g/mの脱サイズ処理品)糸条1本をケン切可能なド
ラフト装置に仕掛けると同時に3デニールで平均繊維長
89mmのナイロンステープルからなるスライバ(太さ
0.507g/m)を仕掛け、1.53倍のケン切倍率
で一旦炭素繊維をケン切し、スライバ化せしめ(この場
合ナイロンステープル側はブレーキドラフトに相当す
る。)、次いで紡績の精紡工程に用いられているドラフ
ト装置に続いて供給し、13倍のドラフトを付与して炭
素繊維の短繊維とナイロンの短繊維からなる混紡フリー
ス(太さ0.0354g/m;これはメートル番手(N
m)の28.2番手に相当)とし、このフリースの外周
部に40デニール−24フィラメントのナイロンフィラ
メント糸を捲回しながら複合紡績糸としてNm25番手
を20m/分で紡出した(実施例2)。この時のフィラ
メント糸を巻いたパッケージの回転数を6000r.
p.m.とし、捲回数を600T/mとした。この捲回
係数kは113であった。
【0057】本実施例で得た複合紡績糸を株式会社三星
製作所製の手動横編機(12ゲージ=12本針/イン
チ、32インチ床)に仕掛け、天竺(平編)組織で編成
し、品位良好な編地を得た。得られた編地に実施例1と
同様にナイロン樹脂を含浸させ熱可塑型の複合材を得
た。この複合材はスタンパブルシート材として優れたも
のとなった。
【0058】また、経糸密度60本/25mm、緯糸密度
60本/25mmの平織物を作成したところ、目付195
g/m2 の表面品位良好な織物を得た。得られた織物に
実施例1と同様にナイロン樹脂を含浸させ、熱可塑型の
複合材とした。得られた複合材は、表面平滑性に優れ、
軽量にして高性能なものとなった。
【0059】一方比較として、本実施例で用いた同一の
短繊維組合せにより実ヨリ挿入型の紡績糸(Nm28.
2番手)を紡出した(比較例2)。この時のヨリ数を4
25T/mとしたが、精紡段階において、リング付近に
粉状の炭素繊維が堆積した。また、上記同様編織物に供
したところ工程通過時においてもヤーガイドとのシゴキ
により炭素繊維の折れが生起し、ガイド詰りによる糸切
れやデポジットの混入が散見され品位の悪い編地や織物
となった。
【0060】ここで得られた編織物にナイロン樹脂を含
浸させ、熱可塑複合材を作製したが、編織物基材から脱
落した炭素繊維の微粉状繊維が樹脂マトリックス内部や
表層部に多量に存在したものとなった。よって、熱可塑
複合材の生命である表面平滑性に欠けたものとなった。
【0061】
【発明の効果】本発明に係る複合紡績糸は、剛直性で、
捩り剪断応力に対して極めて脆弱であるる炭素繊維やガ
ラス繊維が混紡されているにもかかわらず、撚による集
束手段をとっていないために、強化繊維の特性を疎外す
ることがないし、さらに前記剛直性繊維以外の短繊維と
の混紡が安定して行なえるなどの効果を奏する。
【0062】また、連続糸状物で捲回しているため、編
織物等の製布化に際しても工程通過性がきわめて良好で
布帛品位の優れたものが得られる。
【0063】さらに、本発明に係る複合紡績糸を用いた
布帛は、加熱プレス成形性にも優れるばかりでなく、炭
素繊維強化熱可塑プラスチックス(CFRTP)やガラ
ス繊維強化熱可塑性プラスチックス(GFRTP)のご
とく複合材としての利用において、強化繊維と樹脂との
接着性がきわめて良好であるために、品質に優れた厚物
の複合材はもちろんのこと、従来技術では困難であった
薄物の複合材も自在に作れるということに加えて曲面成
形性がよいという素晴らしい効果を発揮するものであ
る。
【0064】また、品位面では成形後の表面平滑性が特
に優れているものであって、後工程のと塗装面が美しく
仕上がるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合紡績糸の一例を示す拡大模式図で
ある。
【図2】本発明の複合紡績糸の他の一例を示す拡大模式
図である。
【図3】従来の実ヨリを挿入した紡績糸を示す拡大模式
図である。
【図4】本発明の複合紡績糸の製造方法の一例を示す工
程概略図である。
【図5】本発明の複合糸の製造方法の他の一例を示す工
程概略図である。
【符号の説明】
1:スライバ 1′:トウ状物、サブトウ状物あるいは連続糸条 2:連続糸状物 3:バックローラ 4:エプロンローラ 5:フロントローラ 6:パッケージ 7:引取りローラ 8:テイクアップローラ 9:パッケージ 11:インフィードローラ 12:ストレッチローラ 13:メインケン切ローラ 14:修正ケン切ローラ 15:スライバ A:短繊維A B:短繊維B C:連続糸状物 F:フリース K:毛羽 Z:ベルト

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素繊維および/またはガラス繊維から構
    成される短繊維Aと、該短繊維Aより低い融点を有する
    熱可塑性合成繊維から構成される短繊維Bとからなる無
    撚の短繊維束状物の外周部に連続糸状物が捲回している
    ことを特徴とする複合紡績糸。
  2. 【請求項2】連続糸条物のヤング率が短繊維Aのヤング
    率より小さいことを特徴とする請求項1記載の複合紡績
    糸。
  3. 【請求項3】短繊維Aが繊維長の異なる短繊維で構成さ
    れていることを特徴とする請求項1または2記載の複合
    紡績糸。
  4. 【請求項4】短繊維束状物の総繊維繊度が20デニール
    以上であることを特徴とする請求項1,2または3記載
    の複合紡績糸。
  5. 【請求項5】炭素繊維および/またはガラス繊維をケン
    切法にてスライバSA とし、次いで該スライバSA と、
    該スライバSA を構成する繊維より低い融点を有する熱
    可塑性合成繊維の短繊維BからなるスライバSB とをダ
    ブリングし、ドラフトしてフリースとなし、次に中空ス
    ピンドルに装着された連続糸状物をワインドしたパッケ
    ージを回転させながら解舒して前記フリースの外周部に
    捲回せしめ、次いで引取ることを特徴とする複合紡績糸
    の製造方法。
  6. 【請求項6】フリースに連続糸条物を捲回させるに際
    し、フリースを+5%〜−5%のフィード率で供給する
    ことを特徴とする請求項5記載の複合紡績糸の製造方
    法。
  7. 【請求項7】下記式における連続糸条物の捲回係数kが
    25〜500であることを特徴とする請求項5または6
    記載の複合紡績糸の製造方法。 T=k×(Nm)1/2 ただし、T:連続糸条物の捲回数(T/m) k:連続糸条物の捲回係数 Nm:複合紡績糸を構成する短繊維束状物のメートル番
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1411158A1 (en) * 2001-08-10 2004-04-21 Japan Basic Material Co., Ltd. Conjugated yarn and fiber reinforced plastic
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CN103014971A (zh) * 2012-12-18 2013-04-03 嘉兴学院 一种ab差异化多组份复合纺纱方法
US9404202B2 (en) 2010-02-05 2016-08-02 University Of Leeds Carbon fibre yarn and method for the production thereof
JP2018035492A (ja) * 2016-08-29 2018-03-08 ロッテ アドバンスト マテリアルズ カンパニー リミテッド 炭素繊維ステープルを含む紡績糸及びその製造方法
JP2018123438A (ja) * 2017-01-30 2018-08-09 国立大学法人岐阜大学 炭素繊維ストランドおよびそれを用いた炭素繊維強化複合材料成形体の製造方法

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