JPH0724030A - 医療容器用基材 - Google Patents

医療容器用基材

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JPH0724030A
JPH0724030A JP5165741A JP16574193A JPH0724030A JP H0724030 A JPH0724030 A JP H0724030A JP 5165741 A JP5165741 A JP 5165741A JP 16574193 A JP16574193 A JP 16574193A JP H0724030 A JPH0724030 A JP H0724030A
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ethylene
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crystalline
copolymer
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Abstract

(57)【要約】 【目的】透明性および柔軟性とを兼ね備えた医療容器用
基材を提供することを目的とする。 【構成】エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンアク
リル酸エステルコポリマーもしくはエチレン−メタクリ
ル酸エステルコポリマー(A)、ポリプロピレン系アタ
クチックポリマー(B)および/または結晶性ポリプロ
ピレン系ポリマーもしくは結晶性ポリブテン−1系ポリ
マー(C)の重合体組成物を形成層として含む医療容器
用基材。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は血液、医薬液等医療にお
いて扱われる液体を貯蔵、保存する軟質容器(バッグ)、
搬送するチューブ(連結管)等に適した、透明性と柔軟
性に優れた医療容器用基材に関する。
【従来の技術】採血、輸血、輸液等の医療において用い
られる容器やチューブの素材としては安全性、衛生性の
他に種々の性能が要求されるが、なかでも取り扱いの容
易さという意味で透明性と柔軟性は特に重要視される項
目である。この用途でのポリマー材料としては軟質ポリ
塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、低密度
ポリエチレンのようなポリエチレン系ポリマーおよびポ
リプロピレンが代表例であるが、軟質ポリ塩化ビニルは
可塑剤の種類や量の調節によって良好な柔軟性と透明性
を発揮するものの、可塑剤の溶出に留意する必要があ
り、また使用後の廃棄処理の問題も生じやすい。ポリエ
チレン系やポリプロピレンのようなポリオレフィン類の
場合、本質的に結晶性ポリマーであるため透明性と柔軟
性はおのずと限界があり、軟質ポリ塩化ビニルに対して
見劣りするのは否めず、共重合成分の導入、オレフィン
系エラストマーあるいはスチレン系エラストマーの如き
透明性、柔軟性付与剤の添加などによってもおのずと限
界があり、その用途に制限を受けているのが実状であ
る。ポリオレフィン類のうちでエチレン酢酸ビニルコポ
リマー、エチレン−メタクリル酸メチルコポリマーなど
のエチレン系コポリマーは比較的透明性や柔軟性に優れ
ているが、やはり十分とは言えない。
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述の如き従
来技術における諸問題を解決した、柔軟性と透明性とを
兼備する医療容器用基材の提供を課題としてなされたも
のである。
【課題を解決するための手段】本発明者の検討で明らか
になったのは、エチレン系コポリマーとアタクチックポ
リプロピレンとの重合体組成物、およびこれらの成分と
結晶性ポリプロピレンあるいは結晶性ポリプロピレンと
からなる重合体組成物が上記課題の解決をもたらすこと
である。すなわちエチレン−酢酸ビニルコポリマー、エ
チレン−アクリル酸エステルコポリマーもしくはエチレ
ン−メタクリル酸エステルコポリマー(A)、ポリプロ
ピレン系アタクチックポリマー(B)および/または結
晶性ポリプロピレン系ポリマーもしくは結晶性ポリブテ
ン−1系ポリマー(C)の重合体組成物を形成層として
含む医療容器用基材を要旨とし、ポリプロピレン系アタ
クチックポリマー(B)の優れた相溶性、柔軟性、透明
性付与効果が上記組合せにおいて良好に発現することを
利用したものである。まず(A)について説明すると、
エチレン−酢酸ビニルコポリマー(以下EVAと称す)
は通常公知の方法で製造されるポリマーであるが、本発
明の目的とする柔軟性と透明性の向上効果((B)との
相溶性)を考えると、酢酸ビニル含量が15〜40重量
%、より好ましくは18〜35重量%程度のものがよ
い。また、成形性、加工性、成形物の力学的性質などか
ら温度190℃、荷重2,160gにおけるMFR(メ
ルトフローレイト)が0.2〜20、より好ましくは
0.5〜10のものがよい。エチレン−アクリル酸エス
テルコポリマー、エチレン−メタクリル酸エステルコポ
リマーとしては、エチレン−アクリル酸メチルコポリマ
ー(EMA)とエチレン−アクリル酸エチルコポリマー
(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチルコポリマー
(EMMA)およびエチレン−メタクリル酸エチルコポ
リマー(EEMA)が代表例であり、特にEEAとEM
MAが汎用性という意味から好ましい。これらのコポリ
マーはEVAと同様の理由でアクリル酸エステルもしく
はメタクリル酸エステル含量が15〜35重量%、より
好ましくは18〜33重量%、MFRが0.1〜20、
より好ましくは0.2〜15程度のものが薦められる。
次に、本発明におけるポリプロピレン系アタクチックポ
リマー(B)は非晶性ポリプロピレンあるいはアモルフ
ァスポリプロピレンなどとも呼ばれるもので、アタクチ
ックポリプロピレンを主成分とするコポリマーも含ま
れ、ポリプロピレン系結晶性ポリマーの製造工程で副生
する他、ラジカル重合等でも製造され得る。コポリマー
の場合、コモノマーとしてはエチレン、ブテン−1、ペ
ンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−
1、ドデセン−1、4−メチルペンテン−1など炭素原
子数2〜12のγ−オレフィン類がよく、コモノマー量
は2〜40モル%程度、より好ましくは5〜35モル%
程度が適当である。本発明で用いられるポリプロピレン
系アタクチックポリマーの性質としては、190℃にお
ける溶融粘度が300〜200,000cps、より好
ましくは500〜150,000cps、環球法で測定
した軟化点が100〜160℃、より好ましくは110
〜150℃であることが、成形性や組成物の性質から薦
められる。次に本発明における(B)のうち結晶性ポリ
プロピレン系ポリマーとは結晶性ホモポリプロピレンま
たはこれを主成分とする結晶性コポリマーを意味し、通
常立体規則性重合触媒を用いて得られるアイソタクチッ
クもしくはシンジオタクチックタイプのポリプロピレン
を主成分とするポリマーである。これらは適宜選択され
るが、柔軟性の点でコポリマー特にランダム性に富むコ
ポリマーが有利である。コモノマーの種類・量は前述の
アタクチックポリマー(B)の場合とほぼ同様である。
特に好ましいポリプロピレン系結晶性ポリマーは、曲げ
弾性率(JISK7203)が8,000kg/cm2
以下でビカット軟化点(JISK7206)が100℃
以上のものであり、柔軟性、透明性および耐熱性のバラ
ンスの点から好適である。そして結晶性ポリプロピレン
系ポリマーは成形性、成形物の力学的性質などから、温
度230℃、荷重2,160gにおけるMFRが0.3
〜40、より好ましくは5〜30であるのがよい。また
(A)のうち結晶性ポリブテン−1またはこれを主成分
とする結晶性コポリマー(以下ポリブテン−1結晶性ポ
リマーと称す)はいわゆるアイソタクチックポリブテン
−1またはこれを主成分とするコポリマーを意味し、通
常公知の方法で製造されている。コポリマーの場合用い
られるコモノマーはエチレン、プロピレン、ペンテン−
1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン
−1などのγ−オレフィン類が好適である。これらは結
晶性ポリブテン−1の柔軟性、透明性などの改良のため
に導入されるが、成形性や組成物の性質を考えると、共
重合成分の導入量は10モル%程度以下、より好ましく
は5モル%以下に抑えるのがよい。そして成形性や製品
の力学的性質を考慮するとポリブテン−1系結晶性ポリ
マーは温度190℃、荷重2,160gにおけるMFR
が0.2〜30、より好ましくは0.5〜25のものが
よい。なお、ポリプロピレン系結晶性ポリマーとポリブ
テン−1系結晶性ポリマーは任意の混合割合において相
溶性・混和性に優れるので(C)はこれら両方の成分か
ら構成されていても差し支えない。冒頭に記載した如
く、本発明の基材は、(A)および(B)から構成さ
れる重合体組成物を形成層として含むか、(A)、
(B)および(C)から構成される重合体組成物を形成
層として含むが、ここで「形成層として含む」とは、基
材が(イ)またはの重合体組成物のみからなる場合
と、(ロ)またはの重合体組成物を少なくとも1層
とし、他のポリマーを少なくとも1層とする多層体であ
る場合があるという意味である。(ロ)の場合は容器の
力学的性質(柔軟性、強度など)、成形性、熱シール
性、耐ブロッキング性((A)、(B)および(C)の
重合体組成物は粘着性がありブロッキングすることがあ
る)などを調節、改良するために採用され、多層体を形
成する上記「他のポリマー」としてはポリエチレン、エ
チレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸
エステルコポリマー、エチレン−メタクリル酸エステル
コポリマー、結晶性ポリプロピレン系ポリマー、結晶性
ポリブテン−1系ポリマー、ポリ−4−メチルペンテン
−1、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルエステ
ル(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、
エチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマー、ポ
リテトラメチレンオキシドなどのポリエーテルとポリエ
ステルとのブロックコポリマー)、ポリエーテルアミド
(上記の如きポリエーテルとポリアミドとのブロックコ
ポリマー)、ポリウレタン(特にポリエーテルタイプが
よい)が挙げられる。ここで注意すべきは「他のポリマ
ー」の厚さである。すなわち本発明の目的である柔軟性
と透明性の発現のためには「他のポリマー」の層を薄く
することが重要であり、1層当たり0.08mm以下、
より好ましくは0.05mm以下であるのがよい。そし
て重合体組成物の構成は、組成物が上記かか、基材
が(イ)単層か(ロ)複層か、用途などによって異なる
が、一般には(A)と(B)との重量割合が85〜2
5:15〜75、より好ましくは80〜30:20〜7
0で、(C)が重合体組成物中の60重量%以下、より
好ましくは50重量%以下であるのがよい。(C)の添
加は組成物の力学的性質の向上につながるが、剛性が高
くなることに注意を要する。また複層の場合には、重合
体組成物中の(B)の割合を比較的多くしたほうがよい
のは言うまでもない。また、基材の全体の肉厚はシート
の場合0.05〜1.0mm、より好ましくは0.08
〜0.8mm位が適当であり、チューブの場合0.5〜
3.0mm、より好ましくは0.8〜2.0mm位がよ
い(チューブの内径は1〜20mm、より好ましくは2
〜15mm位が一般的である)。本発明において医療容
器とは血液、医薬液等医療において扱われる液体を保存
あるいは搬送する容器やチューブを意味するが、かよう
な製品は通常公知の方法で得られる。容器の場合は
(A)、(B)および/または(C)からなる重合体組
成物を単独であるいは他のポリマーと同時にTダイある
いはサーキュラーダイを介して押出し(溶融温度はポリ
マーの組合せによって異なるが、一般的には160〜2
50℃位の範囲がよい)、得られたフラット状のシー
ト、チューブ状のシート、パリソンなどについてサーモ
フォーシング、ブロー、延伸、裁断、融着(熱シール)
などの手法を適宜活用して所定の形状、形態に加工すれ
ばよい。シートは無延伸物、延伸物のいずれでもよい。
多層シートを製造するにはラミネート法を適用すること
も差し支えない。またシート間のブロッキングを防ぐた
めに容器の内面や外面を粗面化(エンボス加工)した
り、ブロッキング防止剤、スリップ剤などを添加しても
良いことは言うまでもない。また本発明の趣旨を損なわ
ない範囲で、スチレン系エラストマー、オレフィン系エ
ラストマーなどを添加することも有り得る。なお、チュ
ーブの製造には押出し成形法が最適である。本発明の基
材は血液成分(特に血小板、血漿)の保存用容器とし
て、また生理食塩水、電解質液、デキストラン製剤、マ
ンニトール製剤、糖類製剤、アミノ酸製剤などの薬液容
器として特に有用である。
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものでは
ない。なおここで使用したシート(フィルム)はすべて
無延伸物である。 (実施例1〜6、比較例1,2) (1)シートについて 重合体組成物の調整:EVA(A)、EMMA(A
2)、ポリプロピレン系アタクチックポリマー(B)、
結晶性ポリプロピレン系コポリマー(C1)および結晶
性ポリブテン−1(C2)の中から適宜選択し、二軸溶
融混合押出機に供給し、160〜210℃の温度範囲で
混練して押出されたストランドを水冷、カッティング、
乾燥してペレット状重合体組成物(D1)〜(D6)を得
た。原料(A)、(B)(C)および重合体組成物
(D)の概要を表1に示す。 シートの作製:上記(A1)、(C1)、(C2)、お
よび重合体組成物(D1)〜(D6)のペレットを用い、
単層用もしくは多層用のTダイから170〜210℃で
シート状物を押出し、20℃に保たれたキャスティング
ローラーで冷却後、トリミングして厚さ0.32mm、
巾200mmのシートを6m/分の速度で巻取った。 シートの物性測定、評価:で得られたシートについ
て、波長450nmにおける水中透過率を島津ダブルビ
ーム型自記分光光度計UV−300にて測定し透明性の
尺度とした。またで得られたシートをダンベル状に裁
断しJISK7113に準じて引張弾性率を測定し、柔
軟性の尺度とした。これらの結果を表2に示す。 シートの重金属及び溶出物試験:で得られたシート
について、日本薬局方一般試験法「輸液用プラスチック
容器試験法」に準じて行った。
【表1】 (2)物性評価結果(表2参照) シートの作製は全て順調に行われ、いずれの組成にお
いても、異物、発泡などは観察されず均一性に富むシー
トが得られた。 また表2にシートの組成と光線透過率、引張弾性率と
の関係を示した通り、EVAやEMMAの透明性を保っ
たまま柔軟化されていることが確認された。 いずれの組成においても、重金属および溶出物は日本
薬局方に適合することが確認された。
【表2】
【発明の効果】以上記述したごとく、本発明の医療容器
用基材は、EVA、EMMAなどのポリエチレン系ポリ
マー(A)と、ポリプロピレン系アタクチックポリマー
(B)間、さらに(A)、(B)および結晶性ポリプロ
ピレンあるいは結晶性ポリブテン−1系ポリマー(C)
間の良好な相溶性を巧みに利用して生じたものであり、
良好な透明性と柔軟性を有し、衛生性や成形性も良好な
ため医療容器用基材としてその工業的価値は高いものが
ある。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年10月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は血液、医薬液等医療にお
いて扱われる液体を貯蔵、保存する軟質容器(バッグ)、
搬送するチューブ(連結管)等に適した、透明性と柔軟
性に優れた医療容器用基材に関する。
【0002】
【従来の技術】採血、輸血、輸液等の医療において用い
られる容器やチューブの素材としては安全性、衛生性の
他に種々の性能が要求されるが、なかでも取り扱いの容
易さという意味で透明性と柔軟性は特に重要視される項
目である。
【0003】この用途でのポリマー材料としては軟質ポ
リ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、低密
度ポリエチレンのようなポリエチレン系ポリマーおよび
ポリプロピレンが代表例であるが、軟質ポリ塩化ビニル
は可塑剤の種類や量の調節によって良好な柔軟性と透明
性を発揮するものの、可塑剤の溶出に留意する必要があ
り、また使用後の廃棄処理の問題も生じやすい。
【0004】ポリエチレン系やポリプロピレンのような
ポリオレフィン類の場合、本質的に結晶性ポリマーであ
るため透明性と柔軟性はおのずと限界があり、軟質ポリ
塩化ビニルに対して見劣りするのは否めず、共重合成分
の導入、オレフィン系エラストマーあるいはスチレン系
エラストマーの如き透明性、柔軟性付与剤の添加などに
よってもおのずと限界があり、その用途に制限を受けて
いるのが実状である。ポリオレフィン類のうちでエチレ
ン酢酸ビニルコポリマー、エチレン−メタクリル酸メチ
ルコポリマーなどのエチレン系コポリマーは透明性に優
れているが、柔軟性の点で要求を満たさないことがあ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述の如き従
来技術における諸問題を解決した、柔軟性と透明性とを
兼備する医療容器用基材の提供を課題としてなされたも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者の検討で明らか
になったのは、エチレン系コポリマーとアタクチックポ
リプロピレンとの重合体組成物、およびこれらの成分と
結晶性ポリプロピレンあるいは結晶性ポリプロピレンと
からなる重合体組成物が上記課題の解決をもたらすこと
である。すなわちエチレン−酢酸ビニルコポリマー、エ
チレン−アクリル酸エステルコポリマーもしくはエチレ
ン−メタクリル酸エステルコポリマー(A)、ポリプロ
ピレン系アタクチックポリマー(B)および/または結
晶性ポリプロピレン系ポリマーもしくは結晶性ポリブテ
ン−1系ポリマー(C)の重合体組成物を形成層として
含む医療容器用基材を要旨とし、ポリプロピレン系アタ
クチックポリマー(B)の優れた相溶性、柔軟性、透明
性付与効果が上記組合せにおいて良好に発現することを
利用したものである。
【0007】まず(A)について説明すると、エチレン
−酢酸ビニルコポリマー(以下EVAと称す)は通常公
知の方法で製造されるポリマーであるが、本発明の目的
とする柔軟性と透明性の向上効果((B)との相溶性)
を考えると、酢酸ビニル含量が15〜40重量%、より
好ましくは18〜35重量%程度のものがよい。また、
成形性、加工性、成形物の力学的性質などから温度19
0℃、荷重2,160gにおけるMFR(メルトフロー
レイト)が0.2〜20、より好ましくは0.5〜10
のものがよい。エチレン−アクリル酸エステルコポリマ
ー、エチレン−メタクリル酸エステルコポリマーとして
は、エチレン−アクリル酸メチルコポリマー(EMA)
とエチレン−アクリル酸エチルコポリマー(EEA)、
エチレン−メタクリル酸メチルコポリマー(EMMA)
およびエチレン−メタクリル酸エチルコポリマー(EE
MA)が代表例であり、特にEEAとEMMAが汎用性
という意味から好ましい。これらのコポリマーはEVA
と同様の理由でアクリル酸エステルもしくはメタクリル
酸エステル含量が15〜35重量%、より好ましくは1
8〜33重量%、MFRが0.1〜20、より好ましく
は0.2〜15程度のものが薦められる。
【0008】次に、本発明におけるポリプロピレン系ア
タクチックポリマー(B)は非晶性ポリプロピレンある
いはアモルファスポリプロピレンなどとも呼ばれるもの
で、アタクチックポリプロピレンを主成分とするコポリ
マーも含まれ、ポリプロピレン系結晶性ポリマーの製造
工程で副生する他、ラジカル重合等でも製造され得る。
コポリマーの場合、コモノマーとしてはエチレン、ブテ
ン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、
デセン−1、ドデセン−1、4−メチルペンテン−1な
ど炭素原子数2〜12のγ−オレフィン類がよく、コモ
ノマー量は2〜40モル%程度、より好ましくは5〜3
5モル%程度が適当である。本発明で用いられるポリプ
ロピレン系アタクチックポリマーの性質としては、19
0℃における溶融粘度が300〜200,000cp
s、より好ましくは500〜150,000cps、環
球法で測定した軟化点が100〜160℃、より好まし
くは110〜150℃であることが、成形性や組成物の
性質から薦められる。
【0009】次に本発明における(B)のうち結晶性ポ
リプロピレン系ポリマーとは結晶性ホモポリプロピレン
またはこれを主成分とする結晶性コポリマーを意味し、
通常立体規則性重合触媒を用いて得られるアイソタクチ
ックもしくはシンジオタクチックタイプのポリプロピレ
ンを主成分とするポリマーである。これらは適宜選択さ
れるが、柔軟性の点でコポリマー特にランダム性に富む
コポリマーが有利である。コモノマーの種類・量は前述
のアタクチックポリマー(B)の場合とほぼ同様であ
る。特に好ましいポリプロピレン系結晶性ポリマーは、
曲げ弾性率(JISK7203)が8,000kg/c
2以下でビカット軟化点(JISK7206)が10
0℃以上のものであり、柔軟性、透明性および耐熱性の
バランスの点から好適である。そして結晶性ポリプロピ
レン系ポリマーは成形性、成形物の力学的性質などか
ら、温度230℃、荷重2,160gにおけるMFRが
0.3〜40、より好ましくは5〜30であるのがよ
い。
【0010】また(A)のうち結晶性ポリブテン−1ま
たはこれを主成分とする結晶性コポリマー(以下ポリブ
テン−1結晶性ポリマーと称す)はいわゆるアイソタク
チックポリブテン−1またはこれを主成分とするコポリ
マーを意味し、通常公知の方法で製造されている。コポ
リマーの場合用いられるコモノマーはエチレン、プロピ
レン、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4
−メチルペンテン−1などのγ−オレフィン類が好適で
ある。これらは結晶性ポリブテン−1の柔軟性、透明性
などの改良のために導入されるが、成形性や組成物の性
質を考えると、共重合成分の導入量は10モル%程度以
下、より好ましくは5モル%以下に抑えるのがよい。そ
して成形性や製品の力学的性質を考慮するとポリブテン
−1系結晶性ポリマーは温度190℃、荷重2,160
gにおけるMFRが0.2〜30、より好ましくは0.
5〜25のものがよい。
【0011】なお、ポリプロピレン系結晶性ポリマーと
ポリブテン−1系結晶性ポリマーは任意の混合割合にお
いて相溶性・混和性に優れるので(C)はこれら両方の
成分から構成されていても差し支えない。
【0012】冒頭に記載した如く、本発明の基材は、
(A)および(B)から構成される重合体組成物を形成
層として含むか、(A)、(B)および(C)から構
成される重合体組成物を形成層として含むが、ここで
「形成層として含む」とは、基材が(イ)またはの
重合体組成物のみからなる場合と、(ロ)またはの
重合体組成物を少なくとも1層とし、他のポリマーを少
なくとも1層とする多層体である場合があるという意味
である。
【0013】(ロ)の場合は容器の力学的性質(柔軟
性、強度など)、成形性、熱シール性、耐ブロッキング
性((A)、(B)および(C)の重合体組成物は粘着
性がありブロッキングすることがある)などを調節、改
良するために採用され、多層体を形成する上記「他のポ
リマー」としてはポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル
コポリマー、エチレン−アクリル酸エステルコポリマ
ー、エチレン−メタクリル酸エステルコポリマー、結晶
性ポリプロピレン系ポリマー、結晶性ポリブテン−1系
ポリマー、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリエーテルエステル(ポリエチレン
オキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド
−プロピレンオキシドコポリマー、ポリテトラメチレン
オキシドなどのポリエーテルとポリエステルとのブロッ
クコポリマー)、ポリエーテルアミド(上記の如きポリ
エーテルとポリアミドとのブロックコポリマー)、ポリ
ウレタン(特にポリエーテルタイプがよい)が挙げられ
る。
【0014】ここで注意すべきは「他のポリマー」の厚
さである。すなわち本発明の目的である柔軟性と透明性
の発現のためには「他のポリマー」の層を薄くすること
が重要であり、1層当たり0.08mm以下、より好ま
しくは0.05mm以下であるのがよい。
【0015】そして重合体組成物の構成は、組成物が上
記かか、基材が(イ)単層か(ロ)複層か、用途な
どによって異なるが、一般には(A)と(B)との重量
割合が85〜25:15〜75、より好ましくは80〜
30:20〜70で、(C)が重合体組成物中の60重
量%以下、より好ましくは50重量%以下であるのがよ
い。(C)の添加は組成物の力学的性質の向上につなが
るが、剛性が高くなることに注意を要する。また複層の
場合には、重合体組成物中の(B)の割合を比較的多く
したほうがよいのは言うまでもない。
【0016】また、基材の全体の肉厚はシートの場合
0.05〜1.0mm、より好ましくは0.08〜0.
8mm位が適当であり、チューブの場合0.5〜3.0
mm、より好ましくは0.8〜2.0mm位がよい(チ
ューブの内径は1〜20mm、より好ましくは2〜15
mm位が一般的である)。
【0017】本発明において医療容器とは血液、医薬液
等医療において扱われる液体を保存あるいは搬送する容
器やチューブを意味するが、かような製品は通常公知の
方法で得られる。容器の場合は(A)、(B)および/
または(C)からなる重合体組成物を単独であるいは他
のポリマーと同時にTダイあるいはサーキュラーダイを
介して押出し(溶融温度はポリマーの組合せによって異
なるが、一般的には160〜250℃位の範囲がよ
い)、得られたフラット状のシート、チューブ状のシー
ト、パリソンなどについてサーモフォーシング、ブロ
ー、延伸、裁断、融着(熱シール)などの手法を適宜活
用して所定の形状、形態に加工すればよい。
【0018】シートは無延伸物、延伸物のいずれでもよ
い。
【0019】多層シートを製造するにはラミネート法を
適用することも差し支えない。
【0020】またシート間のブロッキングを防ぐために
容器の内面や外面を粗面化(エンボス加工)したり、ブ
ロッキング防止剤、スリップ剤などを添加しても良いこ
とは言うまでもない。
【0021】また本発明の趣旨を損なわない範囲で、ス
チレン系エラストマー、オレフィン系エラストマーなど
を添加することも有り得る。
【0022】なお、チューブの製造には押出し成形法が
最適である。
【0023】本発明の基材は血液成分(特に血小板、血
漿)の保存用容器として、また生理食塩水、電解質液、
デキストラン製剤、マンニトール製剤、糖類製剤、アミ
ノ酸製剤などの薬液容器として特に有用である。
【0024】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものでは
ない。
【0025】なおここで使用したシート(フィルム)は
すべて無延伸物である。
【0026】(実施例1〜6、比較例1,2) (1)シートについて
【0027】重合体組成物の調整:EVA(A1)、
EMMA(A2)、ポリプロピレン系アタクチックポリ
マー(B)、結晶性ポリプロピレン系コポリマー
(C1)および結晶性ポリブテン−1(C2)の中から適
宜選択し、二軸溶融混合押出機に供給し、160〜21
0℃の温度範囲で混練して押出されたストランドを水
冷、カッティング、乾燥してペレット状重合体組成物
(D1)〜(D6)を得た。原料(A)、(B)(C)お
よび重合体組成物(D)の概要を表1に示す。
【0028】シートの作製:上記(A1)、(C1)、
(C2)、および重合体組成物(D1)〜(D6)のペレ
ットを用い、単層用もしくは多層用のTダイから170
〜210℃でシート状物を押出し、20℃に保たれたキ
ャスティングローラーで冷却後、トリミングして厚さ
0.32mm、巾200mmのシートを6m/分の速度
で巻取った。
【0029】シートの物性測定、評価:で得られた
シートについて、波長450nmにおける水中透過率を
島津ダブルビーム型自記分光光度計UV−300にて測
定し透明性の尺度とした。またで得られたシートをダ
ンベル状に裁断しJISK7113に準じて引張弾性率
を測定し、柔軟性の尺度とした。これらの結果を表2に
示す。
【0030】シートの重金属及び溶出物試験:で得
られたシートについて、日本薬局方一般試験法「輸液用
プラスチック容器試験法」に準じて行った。
【0031】
【表1】
【0032】(2)物性評価結果(表2参照)
【0033】シートの作製は全て順調に行われ、いず
れの組成においても、異物、発泡などは観察されず均一
性に富むシートが得られた。
【0034】また表2にシートの組成と光線透過率、
引張弾性率との関係を示した通り、EVAやEMMAの
透明性を保ったまま柔軟化されていることが確認され
た。
【0035】いずれの組成においても、重金属および
溶出物は日本薬局方に適合することが確認された。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】以上記述したごとく、本発明の医療容器
用基材は、EVA、EMMAなどのポリエチレン系ポリ
マー(A)と、ポリプロピレン系アタクチックポリマー
(B)間、さらに(A)、(B)および結晶性ポリプロ
ピレンあるいは結晶性ポリブテン−1系ポリマー(C)
間の良好な相溶性を巧みに利用して生じたものであり、
良好な透明性と柔軟性を有し、衛生性や成形性も良好な
ため医療容器用基材としてその工業的価値は高いものが
ある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン
    アクリル酸エステルコポリマーもしくはエチレン−メタ
    クリル酸エステルコポリマー(A)、ポリプロピレン系
    アタクチックポリマー(B)および/または結晶性ポリ
    プロピレン系ポリマーもしくは結晶性ポリブテン−1系
    ポリマー(C)の重合体組成物を形成層として含む医療
    容器用基材。
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