JPH07228941A - 耐熱鋳造合金 - Google Patents
耐熱鋳造合金Info
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- JPH07228941A JPH07228941A JP1917194A JP1917194A JPH07228941A JP H07228941 A JPH07228941 A JP H07228941A JP 1917194 A JP1917194 A JP 1917194A JP 1917194 A JP1917194 A JP 1917194A JP H07228941 A JPH07228941 A JP H07228941A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】ラジアントチューブ,バーナノズル等の構成材
料として有用な、高温クリープ強度,耐酸化性,低熱膨
張率,高熱伝導率等を備えた耐熱鋳造合金を提供する。 【構成】(1)Cr:68〜75%、(2)Mo:4%
以下,W:2%以下,Nb:4%以下,Ta:4%以下
の群から選ばれる1種ないし2種以上、(3)Ni:2
%以下,Ti:2%以下,Zr:0.5%以下の群から
選ばれる1種もしくは2種以上、(4)Si:0.5〜
3%,Al:0.3〜2%の群から選ばれる1種もしく
は2種、(5)Mn:2%以下,B:0.02〜0.3
%の群から選ばれる1種もしくは2種、(6)Co:4
%以下、の(1)〜(6)の各元素を含有し、C:0.
2%以下の混在が許容され、残部は実質的にFeからな
る。所望により、4%以下のCoが添加される。
料として有用な、高温クリープ強度,耐酸化性,低熱膨
張率,高熱伝導率等を備えた耐熱鋳造合金を提供する。 【構成】(1)Cr:68〜75%、(2)Mo:4%
以下,W:2%以下,Nb:4%以下,Ta:4%以下
の群から選ばれる1種ないし2種以上、(3)Ni:2
%以下,Ti:2%以下,Zr:0.5%以下の群から
選ばれる1種もしくは2種以上、(4)Si:0.5〜
3%,Al:0.3〜2%の群から選ばれる1種もしく
は2種、(5)Mn:2%以下,B:0.02〜0.3
%の群から選ばれる1種もしくは2種、(6)Co:4
%以下、の(1)〜(6)の各元素を含有し、C:0.
2%以下の混在が許容され、残部は実質的にFeからな
る。所望により、4%以下のCoが添加される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ラジアントチューブ、
バーナノズル等の部材料として有用な耐火性、耐酸化
性、高温強度等に優れた耐熱鋳造合金に関する。
バーナノズル等の部材料として有用な耐火性、耐酸化
性、高温強度等に優れた耐熱鋳造合金に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼材熱処理炉等に配設されるラジアント
チューブは、高温燃焼ガスの直接接触に耐え得る酸化抵
抗性、耐焼損性、および高温クリープ変形抵抗性、耐熱
衝撃性等の諸特性を具備するものであることが要求され
る。また、ラジアントチューブ(U字形状,W字形状等
を有する)の異型管形状は、伸直形状の管体(遠心力鋳
造管等の直管)とU字型管とを突き合わせ溶接すること
により組み立てられるので、溶接性にも優れていること
が必要である。従来より上記管材料として、20Ni−
25Cr−Fe(ASTM HK40,JIS G5122 SC
H22)、35Ni−25Cr−Fe(ASTM HP45,J
ISG5122 SCH24)、あるいは50Ni−30Cr
−13W−Fe等の高Ni−高Cr系耐熱鋳造合金が使
用されてきた。
チューブは、高温燃焼ガスの直接接触に耐え得る酸化抵
抗性、耐焼損性、および高温クリープ変形抵抗性、耐熱
衝撃性等の諸特性を具備するものであることが要求され
る。また、ラジアントチューブ(U字形状,W字形状等
を有する)の異型管形状は、伸直形状の管体(遠心力鋳
造管等の直管)とU字型管とを突き合わせ溶接すること
により組み立てられるので、溶接性にも優れていること
が必要である。従来より上記管材料として、20Ni−
25Cr−Fe(ASTM HK40,JIS G5122 SC
H22)、35Ni−25Cr−Fe(ASTM HP45,J
ISG5122 SCH24)、あるいは50Ni−30Cr
−13W−Fe等の高Ni−高Cr系耐熱鋳造合金が使
用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の耐熱合金からな
るラジアントチューブは、実使用過程で酸化による損傷
および熱応力による変形や、自重によるクリープ変形等
を生じ易く、特にバーナ近傍領域のように高温燃焼フレ
ームにより約1300℃前後ないしそれ以上に加熱昇温
する領域では、変形・亀裂等の他に、焼損や溶損等を生
じ、チューブの耐用寿命の大きな影響を与えている。こ
のため、バーナの燃焼条件を抑制(例えば、加熱温度を
約1000℃以下に制限)すること等も行われている
が、ラジアントチューブの耐用寿命は約2〜3年程度に
留まり、またバーナノズル約3〜6カ月程度の使用で廃
却を余儀なくされることも多い。近時は、熱効率の向上
の要請から、バーナの高温燃焼技術が進み、ラジアント
チューブの使用条件は更に苛酷化しつつある。この対策
として、セラミックスチューブを適用する試みもなされ
ているが、熱応力や、燃焼運転のオン・オフに伴う昇降
温過程でのクラック,スポーリング等の問題があり、実
用化には程遠いのが実情である。本発明は、上記に鑑
み、従来の耐熱合金を凌ぐ耐火・耐熱性を有し、高温ク
リープ強度に優れ、かつ熱衝撃に対する抵抗性等を具備
し、ラジアントチューブやバーナノズル等の燃焼部構成
材料として有用な耐熱鋳造合金を提供しようとするもの
である。
るラジアントチューブは、実使用過程で酸化による損傷
および熱応力による変形や、自重によるクリープ変形等
を生じ易く、特にバーナ近傍領域のように高温燃焼フレ
ームにより約1300℃前後ないしそれ以上に加熱昇温
する領域では、変形・亀裂等の他に、焼損や溶損等を生
じ、チューブの耐用寿命の大きな影響を与えている。こ
のため、バーナの燃焼条件を抑制(例えば、加熱温度を
約1000℃以下に制限)すること等も行われている
が、ラジアントチューブの耐用寿命は約2〜3年程度に
留まり、またバーナノズル約3〜6カ月程度の使用で廃
却を余儀なくされることも多い。近時は、熱効率の向上
の要請から、バーナの高温燃焼技術が進み、ラジアント
チューブの使用条件は更に苛酷化しつつある。この対策
として、セラミックスチューブを適用する試みもなされ
ているが、熱応力や、燃焼運転のオン・オフに伴う昇降
温過程でのクラック,スポーリング等の問題があり、実
用化には程遠いのが実情である。本発明は、上記に鑑
み、従来の耐熱合金を凌ぐ耐火・耐熱性を有し、高温ク
リープ強度に優れ、かつ熱衝撃に対する抵抗性等を具備
し、ラジアントチューブやバーナノズル等の燃焼部構成
材料として有用な耐熱鋳造合金を提供しようとするもの
である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の耐熱鋳造合金
は、(1)Cr:68〜75%、(2)Mo:4%以
下,W:2%以下,Nb:4%以下,Ta:4%以下の
群から選ばれる1種ないし2種以上、(3)Ni:2%
以下,Ti:2%以下,Zr:0.5%以下の群から選
ばれる1種もしくは2種以上、(4)Si:0.5〜3
%,Al:0.3〜2%の群から選ばれる1種もしくは
2種、(5)Mn:2%以下,B:0.02〜0.3%
の群から選ばれる1種もしくは2種、の(1)〜(5)
の各元素、および所望により、(6)Co:4%以下、
を含有し、C:0.2%以下の混在が許容され、残部は
実質的にFeからなる化学組成を有している。
は、(1)Cr:68〜75%、(2)Mo:4%以
下,W:2%以下,Nb:4%以下,Ta:4%以下の
群から選ばれる1種ないし2種以上、(3)Ni:2%
以下,Ti:2%以下,Zr:0.5%以下の群から選
ばれる1種もしくは2種以上、(4)Si:0.5〜3
%,Al:0.3〜2%の群から選ばれる1種もしくは
2種、(5)Mn:2%以下,B:0.02〜0.3%
の群から選ばれる1種もしくは2種、の(1)〜(5)
の各元素、および所望により、(6)Co:4%以下、
を含有し、C:0.2%以下の混在が許容され、残部は
実質的にFeからなる化学組成を有している。
【0005】
【作用】上記成分構成を有する本発明の耐熱鋳造合金
は、従来の高Ni−高Cr系耐熱合金(融点約1400
℃)を超える高融点と、強力な酸化抵抗性を有すると共
に、高温域でのクリープ変形抵抗性が高く、かつ高熱伝
導率と低熱膨張率とを兼備し、ラジアントチューブやバ
ーナノズル等に要求される耐火・耐熱性、耐焼損・溶損
性、および耐熱衝撃性等の諸特性を高めるものである。
は、従来の高Ni−高Cr系耐熱合金(融点約1400
℃)を超える高融点と、強力な酸化抵抗性を有すると共
に、高温域でのクリープ変形抵抗性が高く、かつ高熱伝
導率と低熱膨張率とを兼備し、ラジアントチューブやバ
ーナノズル等に要求される耐火・耐熱性、耐焼損・溶損
性、および耐熱衝撃性等の諸特性を高めるものである。
【0006】本発明の耐熱鋳造合金の成分限定理由は次
のとおりである。成分含有量を示す%はすべて重量%で
ある。 Cr:68〜75% Cr基組成は本発明合金の最大の特徴である。Cr含有
量の下限を68%とするのは、ラジアントチューブやバ
ーナノズル等としての使用に耐え得る高融点を確保する
と共に、クリープ変形に対する高い抵抗性を確保するた
めである。また、この高Cr組成の本発明合金(フェラ
イト系合金)は、オーステナイト基地を有する通常の耐
熱合金に比し、高熱伝導率と低熱膨張率とを併せ有して
いる。Cr量を高くする程、融点および高温クリープ強
度は向上するが、高融点化に伴う合金の溶解および鋳造
操業の困難が増すので、75%を上限とする。
のとおりである。成分含有量を示す%はすべて重量%で
ある。 Cr:68〜75% Cr基組成は本発明合金の最大の特徴である。Cr含有
量の下限を68%とするのは、ラジアントチューブやバ
ーナノズル等としての使用に耐え得る高融点を確保する
と共に、クリープ変形に対する高い抵抗性を確保するた
めである。また、この高Cr組成の本発明合金(フェラ
イト系合金)は、オーステナイト基地を有する通常の耐
熱合金に比し、高熱伝導率と低熱膨張率とを併せ有して
いる。Cr量を高くする程、融点および高温クリープ強
度は向上するが、高融点化に伴う合金の溶解および鋳造
操業の困難が増すので、75%を上限とする。
【0007】Mo:4%以下 Moは、高温クリープ強度を高める効果を有する。Bと
複合添加される場合のクリープ特性改善効果は顕著であ
る。しかし、4%を超えると、合金が脆化し、鋳造割れ
を生じ易く、機械加工も困難となる。このため、4%を
上限とする。好ましくは、0.5〜4%である。
複合添加される場合のクリープ特性改善効果は顕著であ
る。しかし、4%を超えると、合金が脆化し、鋳造割れ
を生じ易く、機械加工も困難となる。このため、4%を
上限とする。好ましくは、0.5〜4%である。
【0008】W:2%以下 Wは、高温クリープ強度の改善に奏効する。2%を超え
ると、合金の耐酸化性を悪くするので、これを上限とす
る。好ましくは、0.1〜2%である。
ると、合金の耐酸化性を悪くするので、これを上限とす
る。好ましくは、0.1〜2%である。
【0009】Ta:4%以下 Taは、高温クリープ強度の改善に有効な元素である。
その含有量を4%以下とするのは、これを超えると、合
金の耐酸化性が悪くなるからである。好ましくは0.5
〜4%である。
その含有量を4%以下とするのは、これを超えると、合
金の耐酸化性が悪くなるからである。好ましくは0.5
〜4%である。
【0010】Nb:4%以下 Nbは、高温クリープ強度の改善効果を有する。しか
し、4%を超えて多量に添加すると、耐酸化性の低下を
きたすので、これを上限とする。好ましくは0.5〜4
%である。
し、4%を超えて多量に添加すると、耐酸化性の低下を
きたすので、これを上限とする。好ましくは0.5〜4
%である。
【0011】Ni:2%以下 Niは、高温クリープ強度を高める元素である。この効
果を得るための添加量は、2%までとすべきである。こ
れを超えると、合金溶湯の流動性が悪く、鋳造品質の確
保が困難となるほか、機械加工の困難が増すからでる。
好ましくは、0.1〜2%である。
果を得るための添加量は、2%までとすべきである。こ
れを超えると、合金溶湯の流動性が悪く、鋳造品質の確
保が困難となるほか、機械加工の困難が増すからでる。
好ましくは、0.1〜2%である。
【0012】Ti:2%以下 Tiは、高温クリープ強度の改善に奏効する。その添加
量を2%以下とするのは、これを超えると、上記Niと
同様に、合金の湯流れ性の低下による鋳造性の悪化、お
よび機械加工の困難をきたすからである。好ましくは、
0.1〜2%である。
量を2%以下とするのは、これを超えると、上記Niと
同様に、合金の湯流れ性の低下による鋳造性の悪化、お
よび機械加工の困難をきたすからである。好ましくは、
0.1〜2%である。
【0013】Zr:0.5%以下 Zrは、高温クリープ強度を高め、また合金溶製工程に
おいては脱窒効果を奏する。しかし、0.5%を超えて
多量に添加すると、熱間塑性加工性(例えば、U字型管
の曲げ加工等)が悪くなるので、これを上限とする。好
ましくは、0.05〜0.5%である。
おいては脱窒効果を奏する。しかし、0.5%を超えて
多量に添加すると、熱間塑性加工性(例えば、U字型管
の曲げ加工等)が悪くなるので、これを上限とする。好
ましくは、0.05〜0.5%である。
【0014】Si:0.5〜3% Siは、高温酸化雰囲気において合金表面に緻密な酸化
被膜を形成する。その酸化被膜は合金の酸化損傷を抑制
防止する保護膜として機能する。この効果は、0.5%
以上の添加により得られる。添加増量により効果は高め
られ、その増量は鋳造工程における合金溶湯の流動性の
改善にも役立つ。しかし、過度に添加すると、溶接性が
低下し、溶接割れ防止のための予熱温度を高くすること
が必要となる等の不利を招く。このため、3%を上限と
する。
被膜を形成する。その酸化被膜は合金の酸化損傷を抑制
防止する保護膜として機能する。この効果は、0.5%
以上の添加により得られる。添加増量により効果は高め
られ、その増量は鋳造工程における合金溶湯の流動性の
改善にも役立つ。しかし、過度に添加すると、溶接性が
低下し、溶接割れ防止のための予熱温度を高くすること
が必要となる等の不利を招く。このため、3%を上限と
する。
【0015】Al:0.3〜2% Alは、合金溶製工程における脱酸・脱窒作用を有する
ほか、高温使用環境における合金表面に保護膜となる緻
密な酸化被膜を形成し、酸化損傷の抑制防止に奏効す
る。この効果を得るためには0.3%以上を必要とす
る。しかし、多量に添加すると、合金溶湯の流動性が著
しく低下し、2%を超えると大気鋳造が困難となるの
で、これを上限とする。
ほか、高温使用環境における合金表面に保護膜となる緻
密な酸化被膜を形成し、酸化損傷の抑制防止に奏効す
る。この効果を得るためには0.3%以上を必要とす
る。しかし、多量に添加すると、合金溶湯の流動性が著
しく低下し、2%を超えると大気鋳造が困難となるの
で、これを上限とする。
【0016】Mn:2%以下 Mnは、高Cr合金である本発明合金の融点を、溶解精
錬の円滑な遂行を妨げない程度(約1650℃以下)に
下げる効果を有する。また、合金溶湯の脱酸・脱硫作用
を奏する。この効果を得るための添加量は2%までとす
る。これを超えて多量に添加すると、融点の低下が大き
くなり、合金の高温特性を損なうことになるからであ
る。好ましくは、0.5〜2%である。
錬の円滑な遂行を妨げない程度(約1650℃以下)に
下げる効果を有する。また、合金溶湯の脱酸・脱硫作用
を奏する。この効果を得るための添加量は2%までとす
る。これを超えて多量に添加すると、融点の低下が大き
くなり、合金の高温特性を損なうことになるからであ
る。好ましくは、0.5〜2%である。
【0017】B:0.02〜0.3% Bは、合金の融点を下げ、合金の溶解精錬の容易化に奏
効する元素である。また、前記Moとの共存下に、合金
のクリープ強度を高める効果を有する。この効果は0.
02%の添加により得られる。しかし、多量に添加する
と、合金の耐酸化性が悪くなるので、0.3%を上限と
する。
効する元素である。また、前記Moとの共存下に、合金
のクリープ強度を高める効果を有する。この効果は0.
02%の添加により得られる。しかし、多量に添加する
と、合金の耐酸化性が悪くなるので、0.3%を上限と
する。
【0018】Co:4%以下 Coは、合金の高温伸び特性を高め、溶接施工における
高温割れの防止、高温使用環境における熱応力の吸収緩
和に奏効する。また、遠心力鋳造された直管をU字型管
形状に成形するための塑性加工性を高めるのにも有効で
ある。添加量を4%以下としたのは、これを超えると、
高温クリープ変形が大きくなるからである。好ましく
は、0.5〜4%である。
高温割れの防止、高温使用環境における熱応力の吸収緩
和に奏効する。また、遠心力鋳造された直管をU字型管
形状に成形するための塑性加工性を高めるのにも有効で
ある。添加量を4%以下としたのは、これを超えると、
高温クリープ変形が大きくなるからである。好ましく
は、0.5〜4%である。
【0019】C:0.2%以下 本発明合金におけるCは、必須の成分ではなく、合金原
料に付随して混入が許容される元素である。耐熱合金に
おけるCは、炭化物を形成し高温強度を高める元素とし
て添加されるのが通常であるが、本発明合金の主たる用
途であるラジアントチューブ等のように約1250℃を
超える高温環境では、炭化物を析出させても、クリープ
強度の改善効果は得られず、またC量の増加は、合金の
鋳造割れの発生傾向を高める原因となり、かつ熱衝撃性
や機械加工性の低下を伴う等の不利を招く。しかし、
0.2%以下の量であれば、そのような実害を回避で
き、またその混在は合金の融点を下げ、溶解精錬・鋳造
操業の容易化にも役立つ。このため、0.2%を限度と
してその混在を許容することとした。
料に付随して混入が許容される元素である。耐熱合金に
おけるCは、炭化物を形成し高温強度を高める元素とし
て添加されるのが通常であるが、本発明合金の主たる用
途であるラジアントチューブ等のように約1250℃を
超える高温環境では、炭化物を析出させても、クリープ
強度の改善効果は得られず、またC量の増加は、合金の
鋳造割れの発生傾向を高める原因となり、かつ熱衝撃性
や機械加工性の低下を伴う等の不利を招く。しかし、
0.2%以下の量であれば、そのような実害を回避で
き、またその混在は合金の融点を下げ、溶解精錬・鋳造
操業の容易化にも役立つ。このため、0.2%を限度と
してその混在を許容することとした。
【0020】本発明の耐熱合金は、高周波溶解炉等での
大気溶解法により溶製され、またラジアントチューブ
や、バーナ部を構成するバーナノズル、バーナガン等の
管体は、鋳造(遠心力鋳造等)により、任意の管サイズ
を有するものを製造することができる。鋳造材は、特別
の熱処理を必要とせず、管サイズ等に応じて応力除去の
ための焼鈍処理を施す程度の熱処理で十分である。ま
た、U字形状やW字形状の異型管に組み立てるための溶
接施工も容易であるほか、遠心力鋳造された直管を、高
周波曲げ加工等の熱間塑性加工に付して、所望の異型管
形状に仕上げることも可能である。
大気溶解法により溶製され、またラジアントチューブ
や、バーナ部を構成するバーナノズル、バーナガン等の
管体は、鋳造(遠心力鋳造等)により、任意の管サイズ
を有するものを製造することができる。鋳造材は、特別
の熱処理を必要とせず、管サイズ等に応じて応力除去の
ための焼鈍処理を施す程度の熱処理で十分である。ま
た、U字形状やW字形状の異型管に組み立てるための溶
接施工も容易であるほか、遠心力鋳造された直管を、高
周波曲げ加工等の熱間塑性加工に付して、所望の異型管
形状に仕上げることも可能である。
【0021】
〔実施例1〕 〔1〕供試材の製造 高周波溶解炉(大気雰囲気)により溶製した合金溶湯を
遠心力鋳造に付して供試管体を得る。管サイズ(機械加
工後)mm:外径200,肉厚10,管長さ2500。
表1に供試管体の化学組成(Wt%) を示し、表2にそれ
ぞれの諸特性を示す。表中のクリープ破断寿命(H
r)、耐酸化性(酸化減量,mm/ 年) 、および溶接性の
各特性は下記の試験による。
遠心力鋳造に付して供試管体を得る。管サイズ(機械加
工後)mm:外径200,肉厚10,管長さ2500。
表1に供試管体の化学組成(Wt%) を示し、表2にそれ
ぞれの諸特性を示す。表中のクリープ破断寿命(H
r)、耐酸化性(酸化減量,mm/ 年) 、および溶接性の
各特性は下記の試験による。
【0022】(1) 高温クリープ破断試験 JIS Z2272の規定による。試験温度:1250
℃,荷重:0.5Kg/cm2 。
℃,荷重:0.5Kg/cm2 。
【0023】(2) 高温酸化試験 管体から切出した試験片を、温度1250℃に設定した加熱
炉(大気雰囲気)中、100Hr保持した後、表面の酸
化スケールを除去して重量減少(酸化減量)を求める。
炉(大気雰囲気)中、100Hr保持した後、表面の酸
化スケールを除去して重量減少(酸化減量)を求める。
【0024】(3) 溶接試験 供試管体と同一管サイズを有するHK40耐熱鋼製管体
を相手材とし、U字開先を形成し、突き合わせ溶接によ
り管継手を形成。溶接完了後、ダイチェックおよび超音
波探傷により溶接部のクラックの有無を検出し溶接性の
良否を判定。 溶接法:TIG溶接 溶接電圧・電流:20V・200A 溶接棒:インコネル604 (0.03C-0.2Si-0.7Mn-73
Ni-15 Cr-2.2Nb-7.7Fe-0.3Ti) 溶接速度:約100m/分 肉盛層数:3層。 母材の予熱:800℃に予熱(溶接中加熱継続)溶接後
は徐冷。
を相手材とし、U字開先を形成し、突き合わせ溶接によ
り管継手を形成。溶接完了後、ダイチェックおよび超音
波探傷により溶接部のクラックの有無を検出し溶接性の
良否を判定。 溶接法:TIG溶接 溶接電圧・電流:20V・200A 溶接棒:インコネル604 (0.03C-0.2Si-0.7Mn-73
Ni-15 Cr-2.2Nb-7.7Fe-0.3Ti) 溶接速度:約100m/分 肉盛層数:3層。 母材の予熱:800℃に予熱(溶接中加熱継続)溶接後
は徐冷。
【0025】表中、No.1〜3 は発明例、No.11,12は比較
例(No.11 :HK40材、No.12 :HP相当材、いずれも
市販品)である。発明例の耐熱合金は、従来の代表的耐
熱合金であるHK40材(No.11 ),HP材(No.12 )を
大きく凌ぐ高いクリープ破断強度を有し、かつ著しく高
融点であると共に酸化抵抗性にも優れている。しかも、
低熱膨張率と高熱伝導率を兼備している。この改良され
た材料特性は、ラジアントチューブやバーナノズル材料
としての高温酸化性使用環境において、自重や熱応力等
による曲がり等の変形に対する抵抗性に優れ、また燃焼
火炎の直接接触による局所的損傷(溶損,酸化損耗等に
よる穴開き等)を生じ難く、更に急熱・急冷等の熱変化
に対しても亀裂等を生じ難く、部材の耐用寿命の向上が
可能であることを示している。
例(No.11 :HK40材、No.12 :HP相当材、いずれも
市販品)である。発明例の耐熱合金は、従来の代表的耐
熱合金であるHK40材(No.11 ),HP材(No.12 )を
大きく凌ぐ高いクリープ破断強度を有し、かつ著しく高
融点であると共に酸化抵抗性にも優れている。しかも、
低熱膨張率と高熱伝導率を兼備している。この改良され
た材料特性は、ラジアントチューブやバーナノズル材料
としての高温酸化性使用環境において、自重や熱応力等
による曲がり等の変形に対する抵抗性に優れ、また燃焼
火炎の直接接触による局所的損傷(溶損,酸化損耗等に
よる穴開き等)を生じ難く、更に急熱・急冷等の熱変化
に対しても亀裂等を生じ難く、部材の耐用寿命の向上が
可能であることを示している。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】〔実施例2〕ラジアント加熱方式の鋼板熱
処理炉におけるガスバーナのバーナノズルを、前記実施
例1の供試材No.1の耐熱合金(70Cr-2Mo-0.5W-1N
b-0.5Ni-0.1Zr-1Si-1Al-1Mn-0.2B−0.1 C
- Fe) を使用して製作し、実炉使用に供した(チュー
ブ表面温度:約1250℃)。この燃焼装置における従
来のバーナノズル(HK40材製) の平均耐用寿命は約3
〜4カ月(廃却原因:自重による曲がり・偏平化,局部
的溶け落ち)であるのに対し、上記バーナノズルは、使
用開始から1年経過後も、なんらの変形・損傷はなく、
引続き使用可能な状態を維持していることが観察され
た。
処理炉におけるガスバーナのバーナノズルを、前記実施
例1の供試材No.1の耐熱合金(70Cr-2Mo-0.5W-1N
b-0.5Ni-0.1Zr-1Si-1Al-1Mn-0.2B−0.1 C
- Fe) を使用して製作し、実炉使用に供した(チュー
ブ表面温度:約1250℃)。この燃焼装置における従
来のバーナノズル(HK40材製) の平均耐用寿命は約3
〜4カ月(廃却原因:自重による曲がり・偏平化,局部
的溶け落ち)であるのに対し、上記バーナノズルは、使
用開始から1年経過後も、なんらの変形・損傷はなく、
引続き使用可能な状態を維持していることが観察され
た。
【0029】
【発明の効果】本発明の耐熱合金は、高融点を有すると
共に、高温クリープ強度、耐酸化性等に優れ、しかも高
熱伝導率,低熱膨張率を兼備しているので、ラジアント
チューブ,ラジアントインナーチューブ,およびバーナ
ノズル等の耐火耐熱性を要求される部材料として好適で
あり、燃焼火炎の苛酷な熱影響に曝される高温使用環境
においても、クリープ変形や熱応力による変形等を生じ
難く、かつ溶損や酸化損傷に対する抵抗性も高く、この
改良された材料特性により、耐用寿命の向上、メンテナ
ンスの軽減,操炉効率の向上等の効果が得られる。
共に、高温クリープ強度、耐酸化性等に優れ、しかも高
熱伝導率,低熱膨張率を兼備しているので、ラジアント
チューブ,ラジアントインナーチューブ,およびバーナ
ノズル等の耐火耐熱性を要求される部材料として好適で
あり、燃焼火炎の苛酷な熱影響に曝される高温使用環境
においても、クリープ変形や熱応力による変形等を生じ
難く、かつ溶損や酸化損傷に対する抵抗性も高く、この
改良された材料特性により、耐用寿命の向上、メンテナ
ンスの軽減,操炉効率の向上等の効果が得られる。
Claims (3)
- 【請求項1】 (1)Cr:68〜75%、 (2)Mo:4%以下,W:2%以下,Nb:4%以
下,Ta:4%以下の群から選ばれる1種ないし2種以
上、 (3)Ni:2%以下,Ti:2%以下,Zr:0.5
%以下の群から選ばれる1種もしくは2種以上、 (4)Si:0.5〜3%,Al:0.3〜2%の群か
ら選ばれる1種もしくは2種、 (5)Mn:2%以下,B:0.02〜0.3%の群か
ら選ばれる1種もしくは2種、の(1)〜(5)の各元
素を含有し、C:0.2%以下の混在が許容され、残部
は実質的にFeからなる耐熱鋳造合金。 - 【請求項2】 (1)Cr:68〜75%、 (2)Mo:4%以下,W:2%以下,Nb:4%以
下,Ta:4%以下の群から選ばれる1種ないし2種以
上、 (3)Ni:2%以下,Ti:2%以下,Zr:0.5
%以下の群から選ばれる1種もしくは2種以上、 (4)Si:0.5〜3%,Al:0.3〜2%の群か
ら選ばれる1種もしくは2種、 (5)Mn:2%以下,B:0.02〜0.3%の群か
ら選ばれる1種もしくは2種、 (6)Co:4%以下、の(1)〜(6)の各元素を含
有し、C:0.2%以下の混在が許容され、残部は実質
的にFeからなる耐熱鋳造合金。 - 【請求項3】 ラジアントチューブ、ラジアントインナ
ーチューブ、またはバーナノズルの鋳造材料であること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の耐熱鋳造
合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1917194A JPH07228941A (ja) | 1994-02-16 | 1994-02-16 | 耐熱鋳造合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1917194A JPH07228941A (ja) | 1994-02-16 | 1994-02-16 | 耐熱鋳造合金 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07228941A true JPH07228941A (ja) | 1995-08-29 |
Family
ID=11991915
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1917194A Pending JPH07228941A (ja) | 1994-02-16 | 1994-02-16 | 耐熱鋳造合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07228941A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011117636A (ja) * | 2009-12-01 | 2011-06-16 | Ihi Corp | スパットバーナ |
KR20210069829A (ko) * | 2019-12-04 | 2021-06-14 | (주)영신특수강 | 로부품용 고크롬 내열합금 및 그 제조방법 |
-
1994
- 1994-02-16 JP JP1917194A patent/JPH07228941A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011117636A (ja) * | 2009-12-01 | 2011-06-16 | Ihi Corp | スパットバーナ |
KR20210069829A (ko) * | 2019-12-04 | 2021-06-14 | (주)영신특수강 | 로부품용 고크롬 내열합금 및 그 제조방법 |
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