JPH07223141A - 切粉回収装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 縦型工作機械の乾式ドリル加工等において発
生する切粉を、加工領域で連続的に回収する切粉回収装
置を提供し、同時に工具自動交換時のノズル退避機能お
よびワークの高さ計測機能を付与する。 【構成】 工具径ｄに対応する穴径Ｄの工具挿入穴１５
ａを中心とする環状外形のノズル先端部１５と、ノズル
先端部の吸引口に接続されて横方向に延びるノズルダク
ト１４と、ノズルダクトの他端に接続され、主軸ヘッド
４に取り付けられて上方に延びる吸引パイプ１１と、ホ
ース１６を介して吸引パイプに接続された吸引装置と、
吸引パイプに設けられ、工具自動交換の際、ノズル先端
部を移動させるノズル退避装置２１，２２，２３と、吸
引パイプに取り付けたドッグ２７と主軸ヘッドに取り付
けた近接スイッチ２６を含むワーク高さ計測装置とから
なる切粉回収装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、縦型工作機械における
ドリル加工、タップ加工、エンドミル加工などの乾式に
よる鋳物ワークの加工のための切粉回収装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】縦型工作機械におけるドリル加工、タッ
プ加工、エンドミル加工などの乾式による鋳物ワークの
加工の場合は、加工領域で発生する切粉をチップコンベ
アまたはスクリューで受け取って機械の外に搬出するも
のや、加工工具の周辺にカップ状の覆いを設けて吸引装
置で切粉を吸引するものがある。

【０００３】しかしながら、チップコンベアの場合は、
搬送の途中で切粉がこぼれ落ち、これの処理に機械を止
めて作業者が相当の時間と工数をかけて切粉の回収と清
掃をしなければならない。この場合、加工に対して切粉
が支障をきたさないようにするため、短い時間間隔でこ
のような切粉処理しなければならず、無人化加工という
目標に対して大きな障害となっている。さらに加工され
たワークにも切粉が堆積しているので、これの除去にま
た人手を要し、平面ＦＭＳの場合は棚の中に切粉を持ち
込んでしまうので、これの清掃も頻繁に行う必要があ
る。また工具の周囲にカップ状の覆いを設ける方法は、
工具自動交換（ＡＴＣ）の障害となって加工の自動化の
方向と矛盾することになる。切粉の問題とは別に、従
来、ドリル加工やタップ加工などの深穴加工において
は、タッチセンサツールによってワークの高さ計測を行
った後、加工工具と交換して機械加工を行っている。こ
のように計測ツールと加工工具が別々であるため、ワー
クチェックおよび加工のサイクルタイムが長くなり、タ
クトタイムの短いワーク加工には大きな障害となってい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、縦型工作機
械の乾式ドリル加工等において発生する切粉を、加工領
域で連続的に回収する切粉回収装置の提供を目的とす
る。また本発明は、工具自動交換におけるＡＴＣの作動
と干渉しないように、ノズル退避機能を有する切粉回収
装置の提供を目的とする。さらに本発明は、ワークの高
さ計測機能を有する切粉回収装置の提供を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題は、工具径ｄに
対応する穴径Ｄの工具挿入穴１５ａを中心とする環状外
形のノズル先端部１５と、ノズル先端部の吸引口に接続
されて横方向に延びるノズルダクト１４と、ノズルダク
トの他端に接続され、主軸ヘッド４に取り付けられて上
方に延びる吸引パイプ１１と、ホース１６を介して吸引
パイプに接続された吸引装置と、吸引パイプに設けら
れ、工具自動交換の際、ノズル先端部を移動させるノズ
ル退避装置２１，２２，２３と、吸引パイプに取り付け
たドッグ２７と主軸ヘッドに取り付けた近接スイッチ２
６を含むワーク高さ計測装置とからなる切粉回収装置に
よって解決される。

【０００６】

【作用】加工ワークにノズル先端部１５を軽く当接させ
て近接スイッチ２６で計測し、その後、ノズル先端部の
工具挿入穴１５ａにドリル、エンドミルなどの工具３を
挿入して加工を行う。この加工実施中、吸引装置を作動
させ、加工領域で発生する切粉を連続的に吸引する。自
動工具交換の際は、ノズル退避装置２１，２２，２３の
作動により、ノズルを主軸中心線Ｌより外側に旋回また
は直線移動させ、ＡＴＣの作動を妨害しないようにす
る。

【０００７】

【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明
する。図１は、本発明の切粉回収装置の側面図、図２は
同じく正面図である。図示した工作機械１は縦型マシニ
ングセンタで、主軸先端２にはドリル３が装着されてい
る。主軸ヘッド４は加工の際、図示しない作動機構によ
り上下動可能になっている。主軸ヘッド４の正面５には
切粉回収装置１０の吸引パイプ１１が取り付けられてい
る。この吸引パイプ１１の下端部１１ａには切粉吸引ノ
ズル１２が取り付けられている。切粉吸引ノズル１２
は、吸引パイプ１１と直結される短管部１３とその下端
部から斜め下方に延びる長方形断面のダクト１４とその
先端に水平に取り付けられたノズル先端部１５からな
る。ノズル先端部１５は、図４の拡大図に示すように、
工具３の直径ｄに対応した大きさの直径Ｄを有する貫通
穴１５ａが開けられ、工具３が適当な隙間を置いて挿入
可能になっている。一方、吸引パイプ１１の上部１１ｂ
はフレキシブルホース１６に接続され、このホース１６
はこの縦型マシニングセンタの外部に設けられた吸引装
置（図示しない）に連通している。

【０００８】次に図３の断面図も参照して吸引パイプ１
１の取り付けを詳細に説明する。吸引パイプ１１は主軸
ヘッド正面５の上下２箇所にスライダ部材２１により上
下摺動可能に保持されている。スライダ部材２１は水平
方向に貫通穴が開けられ、主軸ヘッド４に固定されたガ
イドロッド２２に挿通されている。主軸ヘッド正面５の
下部のガイドロッド２２の上方にはエアシリンダ２３が
取り付けられ、シリンダロッド２４の先端は下部スライ
ダ部材２１に結合されている。エアシリンダ２３は、エ
ア配管２５から供給されるエアによりガイドロッド２２
に沿って吸引パイプ１１を横方向に摺動させる。

【０００９】また主軸ヘッド正面５にはワーク高さ確認
近接スイッチ２６が取り付けられ、吸引パイプ１１に固
定されたドッグ２７の上方移動時の接触によりワーク上
面の高さを感知する。吸引パイプ１１の両側には圧縮ス
プリング２８がそれぞれ配置され、その各上端は上部ス
ライダ部材２１に取り付けられ、各下端はドッグ２７に
取り付けられ、工具による加工時の主軸ヘッド４の下降
に際して圧縮され、加工後主軸ヘッド４が上昇する際復
元する。このようにして吸引パイプ１１を主軸ヘッド４
に対して相対移動させ、ノズル先端部１５を常時ワーク
上面に接近した位置に保持する。

【００１０】上記のように構成されたスライド方式のノ
ズル退避機構を有する切粉回収装置１０の作用を説明す
る。加工に際して吸引ノズル１２の工具挿入穴１５ａは
工具中心線Ｌの真下に位置し、ノズル先端部１５が工具
先端から下方に少し離れた状態で、主軸ヘッド４の下降
とともにワーク上面にアプローチする。ノズル下面がワ
ーク上面に接触し、さらに設定量だけ主軸ヘッド４が下
降すると、吸引パイプ１１が主軸ヘッド４に対して上方
に相対移動し、ドッグ２７がワーク高さ確認センサ２６
に接触して、その信号により工具３の作動が開始され
る。これと同時に切粉回収装置１０の吸引装置（図示し
ない）が作動し、工具周囲から発生する切粉を吸引ノズ
ル１２が次々に吸引し、吸引パイプ１１、フレキシブル
ホース１６を通って切粉回収タンク（図示しない）に回
収される。加工中の工具３の上下動に即応して圧縮スプ
リング２８が伸縮するので吸引パイプ１１は抵抗なく主
軸ヘッド４に対して相対移動し、吸引ノズル１２は常時
ワークの加工領域に対して適正位置を保ち、確実に切粉
を吸い取ることができる。さらにエンドミル加工におい
ても、ワーク表面の高さの変動に追随してノズル位置が
上下動し、ワーク表面に密着して加工を継続することが
できる。

【００１１】工具自動交換に際しては、エアシリンダ２
３にエア配管２５から圧縮空気を供給し、ガイドロッド
２２に沿ってスライダ部材２１を摺動させ、ノズル１２
を主軸中心線Ｌから外方にシフトさせる。これによりＡ
ＴＣ（図示しない）がノズル１２と干渉することなく、
円滑に工具交換を行うことができる。工具自動交換終了
とともにエアシリンダ２３を逆作動させ、ノズル先端部
１５の工具挿入穴１５ａを主軸中心線Ｌの真下に復元さ
せる。

【００１２】図５ないし図７は、工具自動交換時におけ
る別のノズル退避方式を採用した実施例を示す。この実
施例では、吸引パイプ１１は主軸ヘッド４の上下に設け
られた軸受３１に回動可能に支持されたセクタ部材３２
に保持されている。セクタ部材３２は軸受３１を回転中
心とし、連結棒３３によってエアシリンダ２３に結合さ
れ、エアシリンダ２３の作動によって外方に旋回され
る。上記実施例と同様に吸引パイプ１１の中間にはワー
ク高さ確認用ドッグ２７が取り付けられ、主軸ヘッド正
面５には対応する近接スイッチ２６が設けられている。
ドッグ２７と上側セクタ部材３２の間には圧縮スプリン
グ２８が装着されている。

【００１３】本実施例の作用は上記実施例とほぼ同様で
あるが、工具自動交換時のノズル退避方式が、上記構成
によってスライド式から旋回式に変わっている。すなわ
ちＡＴＣ作動時にノズル１２を退避するため、エアシリ
ンダ２３の作動により、セクタ部材３２が軸受３１を中
心として回動され、切粉吸引ノズル１２が工具３の外側
に移動する。工具自動交換が終了すると、エアシリンダ
２３の逆作動によりノズル先端部１５の工具挿入穴１５
ａが主軸中心線の真下に戻される。

【００１４】図８ないし図１１は、工具径の変化に対応
してノズルの工具挿入穴径を変化させる機構を備えた実
施例の構成を示す。この実施例では、ノズル先端部１５
にステッピングモータ取付部１５ｂを有し、ステッピン
グモータ４１を備えている。工具挿入穴１５ａの周囲に
は外周の一部に歯車の歯を形成した絞りプレート４２を
複数枚（本実施例では１２枚）配置し、各プレート４２
はそれぞれ軸４３の周りに回動可能になっている。絞り
プレート４２の外周には図１３に示す形状の内歯歯車４
４が配置され、絞りプレート４２の歯と噛み合ってい
る。内歯歯車４４の上面に外歯歯車４５がねじ４６で結
合され、ラックベルト４７を介してステッピングモータ
４１の軸に結合された駆動歯車４８に連結されている。

【００１５】Ｍコード指令によりステッピングモータ４
１を回転させると、駆動歯車４８、ラックベルト４７、
外歯歯車４５を介して内歯歯車４４が回動し、絞りプレ
ート４２の開度が調節される。これによって吸引ノズル
１２の工具挿入穴径Ｄが工具径ｄに対応して変えられ、
吸引装置の吸引力を一定に維持することができ、効率的
に切粉が吸引される。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の切粉回収
装置は加工領域で発生する切粉を連続的にノズルで吸引
して機械の外部に排出するので、従来のように溜った切
粉の除去のため加工作業を中断する必要がない。また本
発明の切粉回収装置はノズル退避機能を有するので、工
具自動交換の際、ノズルがＡＴＣの作動を妨害すること
がない。さらに本発明の切粉回収装置はワーク高さ計測
機能を内蔵しているので、加工工具を計測ツールに交換
する必要がなく、短いタクトタイムのワーク加工にも対
応できる。本発明の切粉回収装置は以上の効果を奏する
ので、工作機械の自動化および無人化の目標達成に寄与
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】縦型マシニングセンタに取り付けられた本発明
の切粉回収装置の側面図である。

【図２】図１の切粉回収装置の正面図である。

【図３】図２のＡ−Ａ線による断面図である。

【図４】図１の切粉吸引ノズルの拡大図である。

【図５】別の方式のノズル退避機構を備えた本発明の切
粉回収装置の側面図である。

【図６】図５の切粉回収装置の正面図である。

【図７】図６のＢ−Ｂ線による断面図である。

【図８】工具挿入穴径絞り機構を備えたノズル先端部の
上面図（ノズル先端部上板を省略）である。

【図９】図８のＣ−Ｃ線による断面図である。

【図１０】絞りプレートを閉じた状態の絞り機構の上面
図である。

【図１１】絞りプレートを開いた状態の絞り機構の上面
図である。

【符号の説明】

１１ 吸引パイプ １４ ノズルダクト １５ ノズル先端部 １５ａ 工具挿入穴 １６ ホ−ス ２１ スライダ部材（ノズル退避装置） ２２ ガイドロッド（ノズル退避装置） ２３ エアシリンダ（ノズル退避装置） ２６ 近接スイッチ ２７ ドッグ ３１ 軸受（ノズル退避装置） ３２ セクタ部材（ノズル退避装置） ３３ 連結棒（ノズル退避装置） ４１ ステッピングモータ（絞り機構） ４２ 絞りプレート（絞り機構） ４４ 内歯歯車（絞り機構） ４５ 外歯歯車（絞り機構） ４７ ラックベルト（絞り機構） ４８ 駆動歯車（絞り機構） ｄ 工具径 Ｄ 工具挿入穴径

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 乾式によるドリル加工、エンドミル加工
   等を行う縦型工作機械の切粉回収装置であって、 工具径に対応する穴径の工具挿入穴を中心とする環状外
   形のノズル先端部と、 前記ノズル先端部の吸引口に接続されて横方向に延びる
   ノズルダクトと、 前記ノズルダクトの他端に接続され、主軸ヘッドに取り
   付けられて上方に延びる吸引パイプと、 ホースを介して前記吸引パイプに接続された吸引装置
   と、 前記吸引パイプに設けられ、工具自動交換の際、前記ノ
   ズル先端部を移動させるノズル退避装置と前記吸引パイ
   プに取り付けたドッグと前記主軸ヘッドに取り付けた近
   接スイッチを含むワーク高さ計測装置とからなる切粉回
   収装置。
2. 【請求項２】 前記ノズル退避装置が、前記主軸ヘッド
   側面の上部および下部において前記吸引パイプを上下方
   向に摺動可能に保持するスライダ部材と、このスライダ
   部材を横方向に摺動させるガイドロッドと、前記スライ
   ダ部材の一方に結合されて前記吸引パイプを前記ガイド
   ロッドに沿って摺動させるエアシリンダとからなる、請
   求項１に記載の切粉回収装置。
3. 【請求項３】 前記ノズル退避装置が、前記主軸ヘッド
   側面の上部および下部において前記吸引パイプを上下方
   向に摺動可能に保持するセクタ部材と、前記主軸ヘッド
   に設けられて前記セクタ部材の一端を回転中心として支
   持する軸受と、前記両セクタ部材の他端を連結する連結
   棒と、この連結棒に結合されて前記吸引パイプを前記軸
   受を中心として回動させるエアシリンダとからなる、請
   求項１に記載の切粉回収装置。
4. 【請求項４】 前記ノズル先端部に、工具径に対応して
   工具挿入穴の穴径を調節する絞り機構を備えた、請求項
   １に記載の切粉回収装置。