JPH0720716Y2 - タッチレスポンス機能付楽音発生装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の技術分野］ この考案はタッチレスポンス機能付楽音発生装置に関す
る。

［従来技術とその問題点］ 従来におけるこの種の電子楽器では、キーの押鍵時にお
ける速度（イニシャルタッチ）やキーの押鍵中における
圧力（アフタータッチ）などのタッチデータを検出し、
このタッチデータに対応して楽音の音色や音量等を制御
するタッチレスポンス制御が行われている。

一般に、ピアノやハープシコードなどの自然楽器では、
同じタッチで演奏しても楽音に与える影響は異なるもの
である。そこで、選択される音色に対して前以って設定
されている修正タッチ情報により楽音を制御するものも
ある。

しかしながら、シンセサイザのように、ユーザーが自由
に波形データとエンベロープを設定できるものにおいて
は設定した波形データとエンベロープに対して最適のタ
ッチレスポンス制御を行うことは容易でなく、楽音につ
いての深い知識と、面倒な操作とが要求されるという問
題点があった。

［考案の目的］ この考案は上述した事情に鑑みてなされたもので、その
目的とするところは、自由に設定した波形データとエン
ベロープについて最適のタッチレスポンス制御が行える
タッチレスポンス機能付楽音発生装置を提供することに
ある。

［考案の要点］ この考案は、上述した目的を達成するために、前もって
ユーザーが設定した波形データとエンベロープとに従っ
て、複数のタッチカーブ波形の中から１つのタッチカー
ブ波形を選択し、その選択されたタッチカーブ波形と音
高指定手段の操作態様とに基づいてタッチデータを作成
するようにしたことを要点とする。

［実施例］ 以下、この考案の一実施例につき図面を参照して詳述す
る。

〈実施例の構成〉 第１図はこの考案を適用して構成した電子楽器の全体回
路を示し、１はこの回路全体を制御するCPUであって、C
PU1にはバスライン２を介して、スイッチ部３、タッチ
検出部４、表示部５、音色RAM6、タッチデータメモリ
７、波形メモリ８、プログラムROM9、ワーキングメモリ
10及び楽音作成部11が接続され、楽音作成部11の出力に
はサウンドシステム12が接続され、そしてタッチ検出部
４の入力には鍵盤13の出力が接続されている。

第２図は操作パネル面上での主な構成を示し、中央に表
示部５が配置され、その左側にはスイッチ部３の一部を
構成しているロータリ式のモード設定ノブ3a及びデータ
設定ノブ3bが設けられ、その右側には８つのオペレーシ
ョンスイッチ3cとライトスイッチ3dとが設けられてい
る。

モード設定ノブ3aは、第４図に示すモードNoを指定する
もので、各モードNoはその右側に示すモード内容に対応
しており、データ設定ノブ3bは、モード設定ノブ3aで指
定されたモードNoに対応するモード内容についてデータ
を設定するものである。例えば、モード設定ノブ3aがモ
ードNo20にセットされると、数値“20"が表示部５での
２桁のモード表示欄5aに表示されるとともに、表示部５
での２桁のデータ表示欄5bにはアタックタイムについて
の初期値（前に設定されていない場合）か又は既に設定
されている値が表示されるので、その値を確認し、その
ままで良ければモード設定ノブ3aを用いて別のモードNo
を指定する。もしも別なデータに変更したければ、デー
タ設定ノブ3bを操作して所望の値を指定することにな
る。この場合、データ設定ノブ3bの有効な回転範囲は指
定されたモードNoに対して前以って決められている設定
範囲（例えば、モードNo20のアタックタイムには０〜12
7の範囲）が割り当てられているため、データ設定ノブ3
bを少しでも回転させれば、前の表示に無関係に、その
機械的位置に対応した値に切り換わって表示部５でのデ
ータ表示欄5bに表示されることになる。

モード設定スイッチ3aとデータ設定スイッチ3bとによる
一連の設定操作は１つの音色を指定したことになり、後
述する１組のオペレーションデータとして扱われる。

また、オペレーションスイッチ3cは、モード設定ノブ3a
及びデータ設定ノブ3bを使用して設定した８種類の音色
に対応するオペレーションデータを音色RAM6から読み出
すときに使用するもので、各オペレーションデータの音
色RAM6への書き込みは、その一連の設定操作の都度、１
つのオペレーションスイッチ3cとライトスイッチ3dとを
同時に押すことによって行われる。

第５図は波形メモリ８に記憶されている波形の種類とそ
の波形Noとの対応を示している図で、波形No1〜４は第
４図でのモードNo1でのデータ１〜４に夫々対応してお
り、この実施例ではNo1が正弦波、No2が三角波、No3が
矩形波そしてNo4が鋸歯状波となっている。

第６図は、選択された波形１〜４に対して、第４図での
モードNo23で設定されるリリースタイムが０〜83、84〜
127の２つの範囲でどのタッチカーブが自動的に選択さ
れるのかを示す表で、タッチカーブはＡ〜Ｆの６種類
で、各タッチカーブでの押鍵速度とタッチデータとの関
係は第７図に示されており、これら６種類のタッチカー
ブＡ〜Ｆはタッチデータメモリ７に記憶されていて、オ
ペレーションスイッチ3cによる音色データの読み出しに
際していづれか１つが読み出されるようになっている。

さて、第１図に戻って、鍵盤13に押鍵操作があると、タ
ッチ検出部４はその押鍵速度を検出してCPU1に伝達す
る。そこで、CPU1はその押鍵速度と既に選択されている
タッチカーブとからタッチデータを作成して楽音作成部
11に送出するとともに、前以って指定されているオペレ
ーションデータすなわち音色データを音色RAM6から読み
出して楽音データの作成に必要なパラメータ及び波形デ
ータを楽音作成部11に転送することになる。そこで、楽
音作成部11は、第３図に示しているように、エンベロー
プ作成部11aにおいてその入力されたパラメータのうち
特にエンベロープデータに対応する第４図でのモードNo
20〜23のデータをパラメータとして所定のエンベロープ
波形を作成し、第１の乗算器11bにおいて、一方の入力
である波形データにエンベロープ作成部11aからのエン
ベロープ波形を乗算し、その後、第２の乗算器11cにお
いて、所定のタッチデータを乗算して所定の楽音データ
を作成する。この楽音データは、サウンドシステム12
（第１図）から、選択された音色に最適のタッチデータ
の加味された楽音として放音されて行く。

なお、プログラムROM9には、CPU1が回路全体を制御する
ためのプログラムが記憶されており、そしてワーキング
メモリ10は中間処理結果などを一時的に記憶するために
使用されている。

〈実施例の動作〉 次に実施例の動作について述べる。

第８図は、第７図に示す６種類のタッチカーブＡ〜Ｆ
が、第６図に示すようにその波形の種類とリリースタイ
ムとの関係に基づいて如何にして選択されるのかの動作
の流れを示すフローチャートであって、このフローチャ
ートは８つのオペレーションスイッチ3cのいづれか１つ
のオン操作によってスタートし、CPU1はステップS1にお
いて第５図に示されている波形No1〜４のうち、いづれ
が設定されているかに従って、４つのルートに分岐す
る。

ステップS1の判断で、波形No1の正弦波が選択されてい
るならば、CPU1はステップS2において、設定されている
エンベロープデータのリリースタイム（第４図でのモー
ドNo23に対応）が84に等しいか又はそれよりも大きいか
（リリースタイム84）を判断し、YESであれば、ステ
ップS3に進み、そこで、第６図の表に基づいて第７図で
のタッチカーブＢを指定するが、NOであれば、ステップ
S4において、タッチカーブＡを指定してエンドとなる。

もしもステップS1での判断で、波形No2の三角波が選択
されていれば、ステップS5においてステップS2の内容と
同じく、リリースタイム84の条件を判断し、YESであ
ればタッチカーブＢを指定し（ステップS6）、NOであれ
ばタッチカーブＤを指定して（ステップS7）、エンドと
なる。

また、CPU1がステップS1で波形No3の矩形波が選択され
ているものと判断すれば、ステップS8において、前と同
様に、リリースタイム84の条件を判断し（ステップS
8）、YESであればタッチカーブＣを指定し（ステップS
9）、NOであればタッチカーブＥを指定して（ステップS
10）、エンドとなる。

最後に、ステップS1での判断でNo4の鋸歯状波が選択さ
れていれば、ステップS11において、リリースタイム8
4の条件を判断し、YESであればタッチカーブＣを指定し
（ステップS12）、NOであればタッチカーブＦを指定し
て（ステップS13）、エンドとなる。

なお、タッチカーブの指定は選択した波形の種類に応じ
て選択する様にしても差しつかえない。又、アタック、
ディケィの情報との組み合せで選択する様にしても差し
つかえない。

又、複数のタッチカーブを予めメモリに記憶させて、い
ずれか一つを選択してタッチデータを得ていたが、全て
演算によりタッチデータを得るようにしても差しつかえ
ない。

［考案の効果］ この考案は、以上詳細に説明したように、前もってユー
ザーが設定した波形データとエンベロープとに従って、
複数のタッチカーブ波形の中から１つのタッチカーブ波
形を選択し、その選択されたタッチカーブ波形と音高指
定手段の操作態様とに基づいてタッチデータを作成する
ようにしたため、例えば、エンベロープを異ならせた同
一波形データに基づく２つの楽音を設定したときに、そ
れぞれ異なるタッチカーブ波形を選択するという、きめ
細かい制御を行うことが可能で、常に設定したデータに
最適のタッチレスポンス制御が自動的に行われるという
効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を適用して構成した電子楽器の全体回
路図、第２図は操作パネル面の構成図、第３図は楽音作
成部の要部回路図、第４図はモードNoとデータとの対応
を示している図、第５図は波形Noと種類の対応を示して
いる図、第６図は波形の種類及びリリースタイムに対す
るタッチカーブの対応を示している図、第７図は６種類
のタッチカーブを示している図、第８図はタッチカーブ
を指定する動作のフローチャート図である。 １……CPU、３……スイッチ部、４……タッチ検出部、
５……表示部、６……音色RAM、７……タッチデータメ
モリ、８……波形メモリ、11……楽音作成部、12……サ
ウンドシステム、13……鍵盤。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】楽音の音色を決定する波形データを設定す
   る波形設定手段と、 楽音の音量を決定するエンベロープを設定するエンベロ
   ープ設定手段と、 楽音の音高を指定する音高指定手段と、 この音高指定手段で指定された音高、上記波形設定手段
   で設定された波形データ及び上記エンベロープ設定手段
   で設定されたエンベロープに基づいて楽音の発生を指示
   する楽音発生指示手段と、 上記音高指定手段の操作状態を検出する操作状態検出手
   段と、 複数のタッチカーブ波形を記憶するタッチカーブ記憶手
   段と、 上記波形設定手段で設定された波形データと、上記エン
   ベロープ設定手段で設定されたエンベロープとに対応し
   て上記タッチカーブ記憶手段に記憶されている複数のタ
   ッチカーブ波形のうちの１つを選択するタッチカーブ波
   形選択手段と、 このタッチカーブ波形選択手段により選択されたタッチ
   カーブ波形と、上記操作状態検出手段により検出された
   操作状態とに基づいてタッチデータを作成するタッチデ
   ータ作成手段と、 このタッチデータ作成手段により作成されたタッチデー
   タに基づいて、発生される楽音の特性を制御する楽音制
   御手段と、 を具備してなるタッチレスポンス機能付楽音発生装置。