JPH07203Y2 - 小形噴霧器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、手動操作式の小形噴霧器に関する。

「従来の技術」 この種噴霧器は周知のように、容器体口部にシリンダー
を内設し、このシリンダー底部から容器体内下方に吸上
げ管を連通垂下し、またこのシリンダーの筒状ピストン
に下端を連通固定し、かつ復帰ばねで付勢されて上方外
部に突き出た上下動可能なステム上端にノズル孔を開孔
した押下げヘッドを設け、前記シリンダー底部開口に吸
込み弁を、ステムに吐出弁を設けたものであり、復帰ば
ねに抗し押下げヘッドを押下げてシリンダー内液を加圧
し、この加圧液で吐出弁を開弁しノズル孔から液を霧状
に噴出させるものである。

「考案が解決しようとする課題」 上記説明から判るように、従来の手動操作形の噴霧器
は、押下げヘッドを押込んだときにのみ液を加圧して噴
霧でき、復帰ばねが戻る復帰時には噴霧しない不連続射
出形である。

これに対し、エアゾール形は押下げヘッドを操作してい
る間連続的に噴霧できるが、このエアゾール形は地球規
模の環境破壊につながると問題になっているフロンガス
を内容物と混ぜて封入、気化したガスの圧力を利用する
ものである。

本考案は手動操作形のものにおいて、復帰ばねの戻り時
においてもこのばねの戻り力を利用して加圧、噴霧でき
る構造とし、連続噴霧に近い噴霧を可能にした小形噴霧
器を得るにある。

「課題を解決するための手段」 本考案の小形噴霧器は、容器体１と、この容器体１の口
頸部７に内設された２重形であって、内側シリンダー2a
上部の透孔８で内、外シリンダー2a,2bが連通し、かつ
それぞれの底部開口をこれら開口に設けた吸込み弁9a,9
bを介し吸上げ管10に連通したシリンダー部材２と、貫
通孔11を開けて前記内側シリンダー2aに内嵌され、常時
復帰ばね12で上方に押上げられているピストン３と、こ
のピストン３上面から、このピストン３で仕切られた前
記内側シリンダー2a内の上下部に連通して上部外方に立
ち上げられたステム４と、このステム４上端に連通固定
され、一側にノズル孔13を開孔し、かつこのノズル孔13
に向う液路に吐出弁14を設けた押下げヘッド５と、前記
ステム４下端部に設けられ、押下げヘッド５の押下げ時
には内側シリンダー2a内のピストン３より下方部を、復
帰ばね12の戻り時にはピストン３より上方部をそれぞれ
ステム４に連通させるよう切替える切替え弁６とで構成
している。

「作用」 上記において、ピストン３、ステム４、押下げヘッド５
の可動部は復帰ばね12により上限位置まで押上げられて
おり、またピストン３上下部の内側シリンダー2a内には
液が満たされている（第１図ａ、第２図ａ）。

この状態で押下げヘッド５を介しピストン３を復帰ばね
12に抗して下方に押下げると、内側シリンダー2a内のピ
ストン３より下方部の液が加圧されて高圧化し、この高
圧液で動作する切替え弁６により当該下方部の加圧液が
ステム４を通し吐出弁14を開弁するので、ノズル孔13か
ら霧状に噴霧される（第１図ｂ、第２図ｂ）。

この噴霧時、ピストン３より上方の内側シリンダー2a内
が負圧化するので、吸込み弁9bが開弁し、吸上げ管10か
ら外側シリンダー2bを経て透孔８からピストン３上方の
内側シリンダー2a内に液が導入される（第１図ｃ、第２
図ｃ）。

この後、復帰ばね12が戻り装置を原状態に復帰させる
が、この復帰ばね12の戻り時、この戻る復帰ばね12がピ
ストン３を介しこのピストン３より上方の内側シリンダ
ー2a内液を加圧するので、この加圧液で動作する切替え
弁６により当該上方部の加圧液がステム４を経て吐出弁
14を開弁してノズル孔13から噴霧される（第１図ｄ、第
２図ｄ）。以上を１サイクルとして押下げヘッド５の押
下げ操作毎に操返すので、連続噴霧に近い状態に噴霧で
きる。

「実施例」 以下図面を参照して実施例を説明するに、本考案の小形
噴霧器は容器体１、２重形のシリンダー部材２、内側シ
リンダー2aに内嵌されたピストン３、ステム４、押下げ
ヘッド５及び、前記ピストン３で仕切られた内側シリン
ダー2a内の加圧液を押下げ操作時、復帰時に切替える切
替え弁６の主要部で構成している。

第１の実施例（第１図） 容器体１は、口頸部７外面にねじを形成している。

シリンダー部材２は、内側シリンダー2aと外側シリンダ
ー2bの２重形のものである。内側シリンダー2aの上部一
側に透孔８を開孔し、また底部の左寄りの個所に開口15
を開けている。外側シリンダー2bは底部開口を２つに分
け、それぞれに吸込み弁9a,9bを設けて前記内側シリン
ダー2aにすっぽり被せてあり、この被せた状態で吸込み
弁9a側は内側シリンダー2aの底部開口15に連通し、吸込
み弁9b側は一側内面に凹設した溝路16、前記透孔８を介
し内側シリンダー2aのピストン３より上方の内部に連通
する。吸込み弁9a,9bは共通の吸上げ管10で容器体１内
下方に連通する。このシリンダー部材２は、外側シリン
ダー2b上端の外向きフランジ17をパッキング18を介して
容器体１の口頸部７口頂部に吊り掛けしてこの口頸部７
部分に内設され、口頸部７外面に螺合装着したキャップ
状の装着部材19で押え固定される。

前記装着部材19の頂壁の中央部からは筒部20を貫通立設
し、また周縁部からは案内筒21を立設しており、筒部20
には筒状の補助シリンダー22が内嵌され、この補助シリ
ンダー22は前記外向きフランジ17上面に重ねた下端の基
板23を装着部材19で押えることにより固定されている。
補助シリンダー22の上部一側及び重合状態の基板23と外
向きフランジ17の一部にそれぞれ外気吸入孔24,25は開
孔され、これら両吸入孔24,25は筒部20内面の溝路26で
連通され、容器体１内を外気に通じさせる吸気路を形成
している。

ピストン３は断面略Ｕ字形の形状のもので、上端に内側
シリンダー2a内面に圧接する弾性周壁27を有し、かつ内
部に断面Ｕ字形の弁筒28を内嵌固定している。この弁筒
28の図示右寄り底部から貫通垂設した細管がピストン３
底部を貫通して貫通孔11を形成し、また図示左寄り底部
には別の貫通孔29が開通し、この貫通孔29はこの弁筒28
外面周方向とびとびに凹設した溝30によりピストン３よ
り上方の内側シリンダー2a内に連通している。

ステム４は、下端を前記弁筒28に連通固定して前記補助
シリンダー22内を貫通しており、中間部外面に上限位置
を定めるつば31を設け、また上部を細身にしている。

押下げヘッド５は、吐出弁14を設けた加圧液導入筒部を
結合筒32により前記ステム４上部の細身部に連通結合
し、一側にノズル孔13を開孔して外部周壁33を介し案内
筒21を昇降するよう設けてある。

吐出弁14は、筒体の上端を山形に閉塞してこの山形部を
弁体34とし、この弁体34直下部に数個の貫通孔35を開
け、その下方外面に加圧液導入筒内面を摺接する弾性周
壁36を設け、ばね37で常時上方に押下げて開弁状態とす
る構造のものであり、加圧液がステム４から送られると
貫通孔35から加圧液が弁体34をばね37に抗して弁座38か
ら離間させることで開弁する。39は液旋回溝を持つノズ
ルキャップで、加圧液を旋回させてノズル孔13から霧状
に噴霧させる。

切替え弁６は球状弁で、押下げヘッド５押下げ時には内
側シリンダー2a内のピストン３より下方部の加圧液によ
り図示左側に移動して貫通孔11を開通すると共に貫通孔
29を閉塞し、当該下方部に加圧液を選択し、復帰ばね12
の戻り時には逆に内側シリンダー2a内のピストン３より
上方部の加圧液により図示右側に移動して貫通孔29を開
通すると共に貫通孔11を閉塞し、当該上方部の加圧液を
選択する。

なお、ステム４上部の細身部外面には筒状ピストン40が
固定しており、常時はａ図のように外気吸入孔24を閉塞
し外気吸気路を遮断しているが、b,c,d図の作動時には
ステム４と同体に下方に移動して吸気孔24を開通し、容
器体１内への外気吸入を許容する。

この実施例によれば、押下げヘッド５の押下げ時には内
側シリンダー2a内のピストン３より下方部の液を加圧
し、貫通孔11−ステム４−吐出弁14−ノズル孔13−の経
路で噴霧でき、また押下げ停止の復帰ばね12の戻り時に
は内側シリンダー2a内のピストン３より上方部の液を加
圧し、貫通孔29−ステム４−吐出弁14−ノズル孔13の経
路で噴霧できる。

第２の実施例（第２図） この実施例は内側、外側シリンダー2a,2bにそれぞれ専
用の吸上げ管10a,10bを設け、また切替え弁の２個6a,6b
を設けて専用とし、さらに外気吸気系は、シリンダー部
材２上面を塞ぐ基盤23の一部を上方に突出させて外向き
フランジ17との間に小部屋をつくり、この小部屋の上壁
に吸気孔24を設け、この吸気孔24を、小部屋に格納した
ばね41で押上げられる球状の弁42で閉塞させ、作動時に
外気圧で弁42を開弁させて外気を容器体１に導入する構
造としている。この第２図実施例も第１図実施例と同様
の作用、効果を奏する。

「考案の効果」 上記したように、本考案では、内側シリンダー2a内のピ
ストン３より上方部に、外側シリンダー2bを介して液吸
上げ系と切替え弁６によるステム４への加圧液吐出系と
を形成し、押下げヘッド５の押下げによる通常の液加
圧、噴霧動作の復帰時においても、復帰ばね12の戻り力
による液加圧、噴霧を可能としたので、手動操作形であ
りながら連続的噴霧に近い噴霧が可能な便利で小形噴霧
器が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図a,b,c,dは本考案小形噴霧器の第１の実施例の構
造と作用を示す縦断面図、第２図は第２の実施例の構造
と作用を示す縦断面図である。 １……容器体、２……シリンダー部材、３……ピストン ４……ステム、５……押下げヘッド、６……切替え弁

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】容器体１と、この容器体１の口頸部７に内
   設された２重形であって、内側シリンダー2a上部の透孔
   ８で内、外シリンダー2a,2bが連通し、かつそれぞれの
   底部開口をこれら開口に設けた吸込み弁9a,9bを介し吸
   上げ管10に連通したシリンダー部材２と、貫通孔11を開
   けて前記内側シリンダー2aに内嵌され、常時復帰ばね12
   で上方に押上げられているピストン３と、このピストン
   ３上面から、このピストン３で仕切られた前記内側シリ
   ンダー2a内の上下部に連通して上部外方に立ち上げられ
   たステム４と、このステム４上端に連通固定され、一側
   にノズル孔13を開孔し、かつこのノズル孔13に向う液路
   に吐出弁14を設けた押下げヘッド５と、前記ステム４下
   端部に設けられ、押下げヘッド５の押下げ時には内側シ
   リンダー2a内のピストン３より下方部を、復帰ばね12の
   戻り時にはピストン３より上方部をそれぞれステム４に
   連通させるよう切替える切替え弁６とからなる小形噴霧
   器。