JPH07173073A - 液状フィブリノゲン製剤 - Google Patents

液状フィブリノゲン製剤

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JPH07173073A
JPH07173073A JP6292190A JP29219094A JPH07173073A JP H07173073 A JPH07173073 A JP H07173073A JP 6292190 A JP6292190 A JP 6292190A JP 29219094 A JP29219094 A JP 29219094A JP H07173073 A JPH07173073 A JP H07173073A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 凍結を避けた低温保存条件下において、溶液
状態で安定に保存されうるフィブリノゲンを主成分とす
る製剤を供する。 【構成】 フィブリノゲンを主成分とし、アルギニンを
初めとするグアニジノ基を有する物質を含有し、付加的
に血液凝固第XIII因子およびアプロチニンを含有し、さ
らに付加的に少なくとも1種類の増粘剤を含有する液状
フィブリノゲン製剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は2成分製剤として存在す
る組織接着剤の構成成分であるフィブリノゲン含有製剤
に関する。より詳細には、溶液状態で保存が可能な液状
フィブリノゲン製剤に関する。
【0002】
【従来技術および発明が解決しようとする問題点】繊維
素原(フィブリノゲン)は、いわゆる凝固カスケードの最
終段階に存在する非常に重要な凝固因子である。フィブ
リノゲンは、例えば損傷後の凝固系の活性化において、
トロンビンによりその可溶性形態から止血および損傷治
癒に重要な寄与をする不溶性のフィブリンに変換され
る。
【0003】フィブリノゲンは止血および創傷治癒に対
して重要性を有し、例えば敗血症における汎発性血管内
凝固症候群(DIC)のような血液凝固因子の消費反応、
あるいは先天性および後天性のフィブリノゲン欠乏症に
おける補充療法で静脈投与製剤として臨床的に使用さ
れ、血液中のフィブリノゲン濃度を高めることによって
重篤な出血を阻止する。さらに、近年、フィブリノゲン
はトロンビンと混合させることにより、外科手術におい
て肝臓または脾臓のような軟部器官の縫合代用の接着剤
として、または縫合補助剤として使用されていると同時
に、幅広い臨床の現場で応用されている。
【0004】日本国特許公報 昭和63-40546号
の特許請求の範囲並びに発明の詳細な説明の記載により
明らかにされているように、フィブリノゲンおよび血液
凝固第XIII因子(第XIII因子)を含有する組織接着剤の製
造方法が公知であり、この方法の場合には、フィブリノ
ゲンと第XIII因子および場合によってはアルブミンとの
特定の濃度比が調整され、そして凍結乾燥される。凍結
乾燥されたフィブリノゲンもしくはフィブリノゲンを高
い割合で含有する血漿蛋白質混合物の凍結乾燥物は、溶
解液による再構成の際、高められた温度においてのみ徐
々に再溶解することが知られている。
【0005】フィブリン接着剤としての接着作用を十分
に得るためには、フィブリノゲンをできるだけ高濃度
に、少なくとも凝固しうるフィブリノゲン濃度として6
%(w/v)以上に溶解させることが必要であり、凝固し
うるフィブリノゲン濃度は高濃度であるほど有利であ
る。ところが、このような高濃度フィブリノゲン溶液を
フィブリノゲン凍結乾燥物から調製するには時間を要
し、緊急使用に対応できない。さらに、フィブリノゲン
凍結乾燥物の溶解操作に要した時間が長くなった場合は
患者に悪影響を及ぼすことも危惧される。
【0006】そこで、日本国特許公報 昭和63-40
547号には上述の組成のフィブリノゲン溶液を低温氷
結して安定性を高めようとする技術が開示されている。
さらに、高濃度のフィブリノゲンを含有する製剤を供す
るために、フィブリノゲンの溶解性を上昇させる溶媒に
着目し、種々のフィブリノゲン溶解促進剤を添加した6
〜10%(w/v)のフィブリノゲン溶液を調製し、凍結
状態で保存し、用時に融解して使用する技術が開発され
ている(日本国公開特許公報 昭和57-149229
号)。ところが、上述の凍結製剤は凍結乾燥製剤に比較
して使用時の利便性は向上したとはいえ、用時融解に際
して時間を要する点、さらに、凍結状態で保存するため
の設備を必要とする点等、なお問題を含むものであっ
た。
【0007】このような状況下、本発明の課題は、組織
接着剤の構成成分として、また、さらには静脈投与を想
定したフィブリノゲン濃厚物として、緊急使用に対応で
きるように、凍結を避けた低温保存条件下において、溶
液状態で安定に保存されうるフィブリノゲンを主成分と
する製剤を調製することである。
【0008】上記課題の中で最も問題となるのは、フィ
ブリノゲン溶液、特に高濃度のフィブリノゲン溶液が、
凍結を避けた低温保存条件下において、フィブリノゲン
の重合によりゲル化する点である(表1参照のこと、表
1はpH7.0の0.02Mクエン酸緩衝液で希釈された
各種濃度のフィブリノゲン溶液の4℃保存での経時的性
状変化を示す。)。このゲル化は、37℃前後の高めら
れた温度で加温することにより溶液状態に復帰する可逆
的な変化であるが、加温操作に長時間を要するとともに
得られた溶液が大きな粘性増加を生じるという不利益を
伴う。
【0009】
【表1】
【0010】また、組織接着剤の構成成分として使用さ
れるフィブリノゲン溶液は、患部に塗布される際、一旦
注射器のような塗布用装置中に移されるが、移し換え等
の操作に手間がかかり、さらに移し換える間に細菌汚染
が起こる可能性もある。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、本願発明者等は
上述の諸問題に鑑み鋭意検討した結果、フィブリノゲン
溶液にアルギニンを代表とするグアニジノ基を有する物
質を共存させると、低温保存時にゲル化を伴わずフィブ
リノゲンを安定に保つ効果を生じる知見を得、さらに、
注射器を利用した塗布用装置中にあらかじめ無菌的にフ
ィブリノゲン溶液を分注し、低温下に保存することが有
用であることを見出し、10℃以下の凍結を避けた低温
保存条件下において溶液状態で安定にしかも簡便性を伴
って保存されうるフィブリノゲン製剤を提供する本発明
を完成した。以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0012】本発明の溶液状態で安定に保存されるフィ
ブリノゲン製剤は好適な緩衝液、例えば0.45M塩化
ナトリウムを含むpH7.0の0.02Mクエン酸緩衝液
中の6%(w/v)以上の濃度のフィブリノゲン溶液にグ
アニジノ基を有する物質を含有することを大きな特徴と
する。ここでいうグアニジノ基を有する物質とは特に限
定されるものではないが、とりわけ、アルギニン、グア
ニジン等が好ましい態様であり、これらは単独であるい
は組み合わせて添加することができる。また、添加量は
0.1〜2.0Mの濃度が好ましく、0.2〜1.0Mの濃
度での添加は最適な態様である。これらの添加剤の作用
機序については、なお、検討の余地が残っているが、お
そらくフィブリノゲンの溶解性を上昇させてゲル化(フ
ィブリノゲンの自己会合)を妨げているものと推定され
る。また、これらの添加剤によりフィブリノゲン溶液の
動粘度を低下させ得ることも明らかになった。
【0013】なお、本発明に係る製剤の主成分であるフ
ィブリノゲンは公知の方法で調製される。そのようなも
のとして、例えば冷エタノール沈澱法にグリシンによる
フィブリノゲンの溶解度低下効果を組み合わせた方法(B
lomback,B. and Blomback,M., Arkiv Kemi,
10,p.415〜443,(1956))およびグリシンを
単独で使用するグリシン沈澱法(Kazal,L.A., et al.,
Proc.Soc.Exp.Biol.Med.,113,p.
989〜994,(1963))等が報告されている。
【0014】本発明のフィブリノゲン製剤は、さらにフ
ィブリンゲル-マトリックス内の架橋形成および線溶阻
害の目的で付加的に血液凝固第XIII因子およびアプロチ
ニンを各々20〜100単位/ml、1,000〜5,0
00KIE/mlの濃度で含有することができる。ま
た、組織接着剤の構成成分として本発明のフィブリノゲ
ン溶液が使用される際は、溶液の粘性が高く患部から垂
れ流れない方が有利である場合もあるため、その他にグ
リセロールを代表とする増粘剤が添加され得る。この場
合の増粘剤の添加量は1〜50%(v/v)の濃度域で適
宜調整することができるが、25%(v/v)の濃度での
添加が実際的である。本発明に係る添加剤並びに付加的
な添加剤の添加工程の順序については、最終製剤中に上
記諸添加剤が所定の濃度で含有されるものであれば特別
な制約はないが、例えば、夾雑ウイルスの不活性化のた
めの凍結乾燥加熱後の再溶解後の最終溶液調製時の添加
は好ましい態様である。
【0015】上記溶液組成において、フィブリノゲン溶
液は10℃以下の凍結を避けた低温保存条件下において
溶液状態で安定に保存されうる。そのような温度は、低
温保存製剤にとっては、習慣的には冷蔵庫の温度である
4℃付近である。
【0016】さらに、この液状フィブリノゲン製剤は注
射器を利用した塗布用装置中にあらかじめ分注され使用
することもできる。本発明のフィブリノゲン溶液を無菌
濾過後、滅菌済みの注射器に分注し、先端をキャップし
ておくことにより臨床使用時に製剤を他の容器に移し換
えることなく、直接使用することができる。この際の注
射器はその利便性の観点からポリプロピレン等の合成樹
脂性のものが好適に使用され得る。
【0017】また、本発明の上記液状フィブリノゲン製
剤は、単独で使用されるのみならず、トロンビンを主成
分とする成分と組み合わせることにより、ヒトおよび動
物組織の生物学的接着剤を構成し、幅広い臨床の現場で
応用される。
【0018】本発明はさらに、フィブリノゲンを主成分
とする凍結乾燥粉末または沈澱を、グアニジノ基を有す
る物質、好ましくはアルギニンを含有する溶解液で可溶
化し、高濃度フィブリノゲン溶液の無菌濾過に代表され
る濾過性を向上させることを特徴とする、フィブリノゲ
ン製剤の製法を提供する。アルギニンに代表される物質
を添加することにより、フィブリノゲン溶液の動粘度が
低下し、従来困難であった製造工程の最終段階における
高濃度フィブリノゲン溶液の無菌濾過を可能とする濾過
性の向上効果が得られることが明らかとなった。
【0019】本発明の液状フィブリノゲン製剤は、異常
毒性否定試験および筋肉障害性試験によってその安全性
が確認されたが、いずれも問題視され得る毒性は観察さ
れなかった。なお、異常毒性否定試験は、厚生省告示"
生物学的製剤基準"に収載の一般試験法異常毒性否定試
験法1を準用して実施し、筋肉障害性試験は、ウサギの
仙棘筋内に検体を注射し、経時的に肉眼的観察および病
理組織学的観察を行なう方法で実施した。
【0020】
【発明の効果】本発明の利点は、フィブリノゲン製剤が
溶解操作等を必要とせず、さらに注射器等への移し換え
を要しない注射器分注という形態をも可能とし、緊急時
に直ちに使用できる状態にある液状フィブリノゲン製剤
を提供し得ることである。
【0021】以下に、試験例並びに実施例を挙げて本発
明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に何等限
定されるものではない。
【0022】
【実施例】試験例1 0.45M塩化ナトリウムを含むpH7.0の0.02M
クエン酸緩衝液に、8%(w/v)濃度で溶解されたフィ
ブリノゲン溶液に対し、各種濃度のアルギニンが添加さ
れ、4℃の温度で経時的に安定性が試験された。安定性
は、保存した検体の目視による状態判定、ならびに10
ヶ月後までの6点の保存期間におけるpH、凝固性蛋白
質純度、およびトロンビン添加後の接着力を保存前(対
照)の値と比較することによって評価された。凝固性蛋
白質純度は、厚生省告示"生物学的製剤基準"収載の、乾
燥人フィブリノゲン小分製品の試験である凝固性蛋白質
含量及び純度試験に従って測定した。接着力について
は、プラスチック板にフィブリノゲン溶液とカルシウム
塩を加えたトロンビン溶液を、それぞれ0.02ml/
cm2ずつ順番に重層塗布し、もう一枚のプラスチック
板を密着してフィブリンゲルを形成させ、1時間後にそ
のプラスチック板を引き剥すのに必要な力(g/cm2)
をバネバカリで測定し、フィブリンゲルの接着能とし
た。
【0023】その結果は表2(フィブリノゲン溶液を4
℃保存した際の経時的性状変化のアルギニン濃度依存
性)、表3(フィブリノゲン溶液を4℃保存した際のpH
の経時的測定値)、表4(フィブリノゲン溶液を4℃保存
した際の凝固性蛋白質純度の経時的測定値)、および表
5(フィブリノゲン溶液を4℃保存した際の接着力の経
時的測定値)のとおりである。アルギニンの添加は0.1
M以上の濃度で4℃保存でのフィブリノゲン溶液のゲル
化抑制効果を発揮し、より高濃度(好ましくは0.2M以
上の濃度)のアルギニンの添加で18ヶ月以上の長期に
わたり有効であった。pHおよび凝固性蛋白質純度につ
いては、試験したいずれのアルギニン濃度についても保
存中の経時的変化は認められなかったが、アルギニン非
添加検体の接着力は経時的に有意な低下傾向を示した。
その接着力の低下はアルギニンの添加により抑制され、
特に0.1〜0.5Mアルギニン添加検体では長期にわた
り好ましい接着力を保持し得ることが判明した。
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】試験例2 0.45M塩化ナトリウムを含むpH7.0の0.02M
クエン酸緩衝液に8%(w/v)濃度で溶解されたフィブ
リノゲン溶液に対し、各種濃度のグアニジンが添加さ
れ、4℃の温度で経時的に安定性が試験された。安定性
は、保存した検体の目視による状態判定によって評価さ
れた。その結果は表6(フィブリノゲン溶液を4℃保存
した際の経時的性状変化のグアニジン濃度依存性)のと
おりであり、グアニジンについてもアルギニン同様、フ
ィブリノゲン溶液のゲル化抑制効果が認められた。
【0029】
【表6】
【0030】試験例3 0.45M塩化ナトリウムを含むpH7.0の0.02M
クエン酸緩衝液に、8%(w/v)濃度で溶解されたフィ
ブリノゲン溶液に対し、各種濃度のアルギニンが添加さ
れ、室温での濾過性が試験されるとともに、37℃での
動粘度(cSt)が測定された。濾過性はMILLEX-GV(商品
名:ミリポアー社)0.22μmフィルターを通過させる
ことができた液量で評価された。図1に示すように、
フィブリノゲン溶液の動粘度はアルギニンの添加により
低下し、それに対応して濾過量はアルギニン濃度依存的
に増加した。
【0031】実施例1 クエン酸塩血漿から得られた寒冷沈澱物を可溶化し1.
5Mグリシン溶液を用いて沈澱させたフィブリノゲン沈
澱を0.15M塩化ナトリウムを含むpH8.0の0.0
25Mクエン酸緩衝液に37℃で溶解させた。このフィ
ブリノゲン溶液を−2℃に冷却した後、8%(v/v)エ
タノールを添加し沈澱を回収した。得られた沈澱を0.
3M塩化ナトリウム、0.5Mアルギニンおよび3,00
0KIE/mlアプロチニンを含むpH7.0の0.02
Mクエン酸緩衝液に37℃で溶解させた。溶解しなかっ
た部分は遠心分離して除去した。フィブリノゲン濃度を
約8%(w/v)に調整した後、無菌濾過し、容器に分注
した。
【0032】実施例2 クエン酸塩血漿から得られた寒冷沈澱物を可溶化し1.
5Mグリシン溶液を用いて沈澱させたフィブリノゲン沈
澱を0.15M塩化ナトリウムを含むpH8.0の0.0
25Mクエン酸緩衝液に37℃で溶解させた。このフィ
ブリノゲン溶液を−2℃に冷却した後8%(v/v)エタ
ノールを添加し沈澱を回収した。得られた沈澱を0.0
75M塩化ナトリウムを含むpH7.0の5mMクエン
酸緩衝液に37℃で溶解させた。フィブリノゲン濃度を
約2%(w/v)に調整した後、フィブリノゲン溶液1m
lあたり25単位の第XIII因子が添加された。この溶液
を無菌濾過し、凍結乾燥およびそれに続く乾燥加熱処理
を行なった後、得られた凍結乾燥粉末を0.5Mアルギ
ニンおよび3,000KIE/mlアプロチニンを含む
pH7.0の溶液でフィブリノゲン濃度約8%(w/v)
となるように可溶化した。この溶液を無菌濾過し、滅菌
済みのポリプロピレン製5ml容注射器に3ml分注し
先端にキャップを付け、注射器入りの液状フィブリノゲ
ン製剤を得た。
【0033】実施例3 実施例2と同様にして得られた8%(w/v)濃度の液状
フィブリノゲン中に各種濃度のグリセロールを添加する
ことにより、添加濃度に依存して高い動粘度(cSt)が
得られた。特に25%(v/v)のグリセロールを添加す
ることにより、非添加に比べ有意に高い動粘度が得られ
た。その結果は表7-A(0.5Mアルギニンを含む8%
フィブリノゲン溶液の粘性に及ぼすグリセロールの影
響)のとおりである。また、この粘性の増加がフィブリ
ノゲン溶液の適用部位での有効量に反映することは、以
下の測定により確認された。ブタ肉片(6×6cm、厚
さ2mm)の中心に直径2cmの円形のマーキングを施
し、30度の傾斜の斜面上に置く。ブタ肉片上の直径2
cmの円に対して0.6mlのフィブリノゲン溶液(各種
濃度のグリセロールを含有)を塗布し、塗布開始から1
0秒後までに流れ落ちた液量を測定し、その値と塗布容
量との差からブタ肉片上のフィブリノゲン溶液の有効量
を求め、塗布容量に対するパーセンテージ(%)で表し
た。その結果は表7-B(0.5Mアルギニンを含む8%
フィブリノゲン溶液の組織上での有効量に及ぼすグリセ
ロールの影響)のとおりである。このようにグリセロー
ルを添加することにより、組織接着剤の構成成分として
使用される際に適用患部から垂れ流れにくいフィブリノ
ゲン溶液が得られた。
【0034】
【表7】
【図面の簡単な説明】
【図1】 アルギニンの添加による濾過性並びに動粘度
の変化を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 38/55 47/16 J // C07K 14/75 8318−4H A61K 37/54 37/64

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィブリノゲンを主成分とし、グアニジ
    ノ基を有する物質を含有することを特徴とする、低温保
    存条件下において溶液状態で保存され得る液状フィブリ
    ノゲン製剤。
  2. 【請求項2】 前記グアニジノ基を有する物質がアルギ
    ニンおよびグアニジンより選択される請求項1記載の液
    状フィブリノゲン製剤。
  3. 【請求項3】 グアニジノ基を有する物質を0.1〜2.
    0Mの濃度で含有する請求項1または請求項2記載の液
    状フィブリノゲン製剤。
  4. 【請求項4】 グアニジノ基を有する物質を0.2〜1.
    0Mの濃度で含有する請求項3記載の液状フィブリノゲ
    ン製剤。
  5. 【請求項5】 付加的に血液凝固第XIII因子およびアプ
    ロチニンを含有する請求項1記載の液状フィブリノゲン
    製剤。
  6. 【請求項6】 付加的に少なくとも1種類の増粘剤を含
    有することを特徴とする請求項1または請求項5に記載
    の液状フィブリノゲン製剤。
  7. 【請求項7】 前記増粘剤がグリセロールである請求項
    6に記載の液状フィブリノゲン製剤。
  8. 【請求項8】 トロンビンを主成分とする成分と組み合
    わせることにより、ヒトおよび動物組織の生物学的接着
    剤を構成することを特徴とする請求項1から請求項6の
    いずれかに記載の液状フィブリノゲン製剤。
  9. 【請求項9】 注射器を利用した塗布用装置中にあらか
    じめ分注される請求項1から請求項8のいずれかに記載
    の液状フィブリノゲン製剤。
  10. 【請求項10】フィブリノゲンを主成分とする凍結乾燥
    粉末または沈澱を、グアニジノ基を有する物質、好まし
    くはアルギニンを含有する溶解液で可溶化し、高濃度フ
    ィブリノゲン溶液の濾過膜通過性を向上させることを特
    徴とする、フィブリノゲンを主成分としグアニジノ基を
    有する物質を含有する液状フィブリノゲン製剤の製法。
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