JPH07149788A - 新規16員環マクロリド誘導体及びそれらの効率的製造法 - Google Patents

新規16員環マクロリド誘導体及びそれらの効率的製造法

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JPH07149788A
JPH07149788A JP5300686A JP30068693A JPH07149788A JP H07149788 A JPH07149788 A JP H07149788A JP 5300686 A JP5300686 A JP 5300686A JP 30068693 A JP30068693 A JP 30068693A JP H07149788 A JPH07149788 A JP H07149788A
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och
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JP5300686A
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Keiichi Ajito
慶一 味戸
Nobue Kikuchi
伸江 菊地
Osamu Hara
修 原
Masayuki Shibahara
聖至 柴原
Shigeharu Inoue
重治 井上
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Meiji Seika Kaisha Ltd
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Meiji Seika Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、3”位の水酸基がメチル化されて
おり、ラクトン環の3位がアシル化された水酸基である
新規16員環マクロリド誘導体及びそれらの新規製造法
に関し、それ自体抗菌剤として有用な化合物を効率良く
提供することを目的とする。 【構成】 式(II)で表される天然に存在する公知の1
6員環マクロリド抗生物質を出発原料として、3”位の
水酸基がメチル化されており、ラクトン環の3位がアシ
ル化された水酸基である、それ自体抗菌剤として有用な
式(III)で表される新規16員環マクロリド誘導体
を、効率良く製造できた。 【化9】 【化10】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はグラム陽性菌に有効な新
規16員環マクロリド誘導体とそれらの効率的製造法に
関する。
【0002】
【従来の技術】臨床における有用性を向上させることを
目的として、現在各国のグループが積極的に16員環マ
クロリド抗生物質の誘導体研究を行なっている。それら
の内のある種の誘導体は、特定の水酸基をアシル化する
ことによりin vitroの抗菌活性及び/あるいは体内動態
を改善しようとして合成されたものである。しかしなが
ら最近の誘導体研究の主流は、16員環ラクトンへの置
換されたアミノ基の導入(ジャーナル・オブ・アンチビ
オチックス, 44(4), 448(1991))、又は特定の水酸基の
デオキシ化(ジャーナル・オブ・アンチビオチックス,
45(1), 144(1992))あるいはアルキル化に集中してき
た。
【0003】本発明者らは、エリスロマイシンの構成糖
の一つであるL-クラジノースの化学構造を発想の基礎に
誘導体研究を重ね、ラクトン環の9位がsp3炭素であり
中性糖部分である3"位の水酸基がメチル化されている1
6員環マクロリド誘導体(4"位は遊離の水酸基であって
もアシル化された水酸基であってもよい)を、グリコシ
ル化反応を経由することによって調製し、それらが優れ
た抗菌活性を有することを明らかにし特許出願した(特
願平5-169418)。一方で、9位がsp2炭素であり3"位の
水酸基がメチル化されている16員環マクロリド誘導体
の合成及び抗菌活性については、本発明者らの出願(特
願平5-3545)に先立ち既に報告がある(ケミストリー・
レターズ, 769(1977))。
【0004】一方当社は、天然より得られる16員環マ
クロリド抗生物質であるメデマイシン(ミデカマイシン
1)(ジャーナル・オブ・アンチビオチックス, 24
(7), 452 (1971))のin vivo効果を改善することを目的
に、誘導体研究を続けていた。それらの研究の過程にお
いて数種の優れたメデマイシン誘導体を造出しており、
その中の一つとして中性糖部分である3"位の水酸基がメ
チルチオメチル(-CH2SCH3)化された16員環マクロリ
ド誘導体、即ち本願における鍵中間体の合成を既に発表
していた(ジャーナル・オブ・アンチビオチックス, 33
(1), 61(1980))。他方糖質化学において、2級水酸基
に導入されたメチルチオメチル基が還元を受け、結果と
してメトキシ基に化学変換される事実は1960年代より知
られていた(カーボハイドレート・リサーチ, 7, 474(1
968))。
【0005】ところで、ラクトン環の3位水酸基が遊離
である16員環マクロリド抗生物質を出発原料として用
いて、中性糖部分である4"位の水酸基及び3"位の水酸基
に順次アルキル基を導入する合成法に関しては、本発明
者らが既に特許出願した(特願平5-206731)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】中性糖部分である3"位
の水酸基がメチル化されていて、4"位の水酸基が遊離で
あるか又はアシル化されている16員環マクロリド誘導
体を、グリコシル化反応を経由することなく調製する方
法については、9位の構造の如何にかかわらず現在まで
のところ全く知られていない。そこで特にラクトン環の
9位がsp3炭素である当該化合物を、グリコシル化反応
を経由することなく調製する方法の発見が期待されてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の期待
に応えるべく合成化学的研究を重ね、ラクトン環の3位
水酸基にアシル基を有する天然の16員環マクロリド抗
生物質を出発原料として用いて、3"位のメチルチオメチ
ルエーテル合成中間体を経由し、ラクトン環の3位水酸
基がアシル化されており中性糖部分である3"位の3級水
酸基がメチル化された16員環マクロリド誘導体を、グ
リコシル化反応を経由することなく効率的に製造する方
法を確立することに成功した。しかも本発明製造法を用
いて調製した誘導体は、臨床上重要なグラム陽性菌の発
育を阻止するとともに、優れたinvivo効果を有すること
を見い出し、本発明を完成した。さらに本発明に至る研
究過程において、16員環マクロリド誘導体のラクトン
環9位の水酸基に関する優れた保護・脱保護法を見い出
した。
【0008】第一の本発明の要旨とするところは、新規
化合物としての次の式(I)
【化4】
【0009】[式中、R1は炭素数1〜3の直鎖のアルキ
ル基であり、R2は水素原子又は水酸基を修飾(あるいは
保護)する置換基であり、R3は水素原子又は炭素数2〜
5の直鎖又は分枝鎖の脂肪族アシル基]で表される化合
物、又はその薬学的に許容し得る塩に関するものであ
る。
【0010】第二の本発明の要旨とするところは、次の
式(II)
【化5】
【0011】[式中、R1は炭素数1〜3の直鎖のアルキ
ル基であり、R4は炭素数2〜5の直鎖又は分枝鎖の脂肪
族アシル基]で表される化合物、又はその塩を出発原料
として用いて、3"位のメチルチオメチルエーテル合成中
間体を経由し、次の式(III)
【化6】
【0012】[式中、R1は炭素数1〜3の直鎖のアルキ
ル基であり、R2は水素原子又は水酸基を修飾(あるいは
保護)する置換基であり、R4は炭素数2〜5の直鎖又は
分枝鎖の脂肪族アシル基]で表される化合物、又はその
塩を効率良く化学合成することのできる新規製造法に関
するものである。本発明による一般式(III)で表され
る化合物は、工程図1に示す方法により以下の様に製造
される(なお、一般式(III)で表される化合物は、工
程図1においては式(VIII)又は式(IX)によって表さ
れている)。
【0013】
【化7】
【0014】
【化8】
【0015】16員環マクロリド誘導体において中性糖
部分である3"位の水酸基に選択的にメチル基を導入した
化合物が、抗菌剤としていかに有望であるかについては
先願(特願平5-169418)において記述した。一方16員
環マクロリド化合物、特にロイコマイシン類に関して
は、特別な合成中間体を経由することなく水酸基を直接
アルキル化しようとすると、困難な問題を生ずることが
知られている(特願平5-206731)。本願は、ラクトン環
の3位水酸基と中性糖部分である4"位の水酸基が共にア
シル化された化合物に関して、中性糖部分である3"位の
3級水酸基に対し間接的にメチル基を導入する合成法に
ついて記述されており、本発明製造法等により調製した
新規誘導体の抗菌活性及びin vivo効果等についても記
載されている。
【0016】合成法を述べるに先立ち、16員環マクロ
リド誘導体におけるラクトン環9位の水酸基に関する構
造とin vitroの抗菌活性及び薬物動態との相関について
簡単に触れる。当該誘導体において、9位の水酸基だけ
を選択的にアシル化、例えばアセチル化した化合物は、
原体と比較してin vitroの抗菌活性が同等かあるいは僅
かに減弱し、同活性が明確に増強された報告はほとんど
なされていない。一方小動物、例えば実際にマウスを用
いてin vivo試験を行なうと、9位水酸基だけがアセチ
ル化された化合物は原体と比較して、体内動態あるいは
感染治療効果が向上する誘導体もあれば向上しない化合
物もあり、9位の構造の違いによるin vivo効果への影
響は、該当する16員環マクロリド誘導体の構造それ自
身に大きく関与している。
【0017】然るに16員環マクロリド誘導体を実際に
効率良く製造する合成法をデザインするにあたっては、
一つの鍵反応で、9位の水酸基が何らかの置換基で修飾
された化合物と、9位の水酸基が遊離である化合物とを
作り分けることのできる製造ルートを構築することが望
まれる。
【0018】ところでアシル基、例えばアセチル基を9
位の水酸基の保護基と考え製造法をデザインすれば、保
護工程における反応条件の上から比較的好都合である。
しかしながら16員環マクロリド誘導体に関する化学合
成において、他の副反応を完全に抑制し収率良く9位の
水酸基に結合したアシル基を除去し、遊離の水酸基を再
生する方法はあまり知られていない。一方で16員環マ
クロリド誘導体において、放線菌を用いた微生物変換を
行なうことにより、ラクトン環の9位水酸基に結合した
アセチル基を除去する例も報告されている(ジャーナル
・オブ・ファーメンテーション・アンド・ビオエンジニ
アリング, 71(5), 370(1991))が、その変換率には改善
の余地が残されている様である。
【0019】本発明者らは当該研究を通じ、あくまで穏
和な条件で16員環マクロリド誘導体の中性糖部分であ
る3"位の3級水酸基にメチル基を導入する合成法に加
え、同マクロリド誘導体におけるラクトン環の9位水酸
基に関わる定量的保護・脱保護法を見い出したので、工
程図1に沿って以下にその詳細を述べる。なお、工程図
1においては、その製造法の一例としてラクトン環の9
位がsp3炭素である天然の16員環マクロリド抗生物質
を出発原料として用いているが、9位がカルボニル基で
ある化合物を出発原料として用いた場合も同様の方法論
によって、間接的に3"位の3級水酸基に効率良くメチル
基を導入することが可能である。
【0020】第一に、式(II)で表された化合物の遊離
水酸基のうち、3"位以外の二つの水酸基、即ち9位及び
2'位の水酸基に置換基を導入して、式(V)で表される
化合物を得る。始めに式(II)(式中、R1は炭素数1〜
3の直鎖のアルキル基であり、R4は炭素数2〜5の直鎖
又は分枝鎖の脂肪族アシル基である)で表される化合物
のラクトン環の9位水酸基を適当な置換基で修飾(ある
いは保護)して、式(IV)(式中、R1は炭素数1〜3の
直鎖のアルキル基であり、R4は炭素数2〜5の直鎖又は
分枝鎖の脂肪族アシル基であり、R5は水酸基を修飾(あ
るいは保護)する置換基である)で表される化合物を得
る。
【0021】置換基R5としては、低級脂肪族アシル基
(発酵と工業, 37(12), 1171(1979))は勿論のこと通常
の水酸基の修飾に用いることのできる置換基、例えばメ
トキシメチル基及びエトキシエチル基等でよい。さらに
置換基R5を16員環マクロリド誘導体の水酸基の保護基
として取扱う予定のある場合は、不斉炭素を有するアセ
タール系の置換基、例えば1-エトキシエチル基、テトラ
ヒドロフラニル基あるいはテトラヒドロピラニル基等が
好都合である。
【0022】その一例として、メデマイシン(式(II)
において、R1がエチル基であり、R4がプロピオニル基で
ある化合物)を無水塩化メチレン中ピリジニウム p-ト
ルエンスルホネート(PPTS)の存在下にエチルビニルエ
ーテルと反応させて、化合物(7)(式(IV)におい
て、R1がエチル基であり、R4がプロピオニル基であり、
R5が1-エトキシエチル基である化合物)を収率良く合成
した。なお、当該工程において用いることのできる置換
基の種類及び置換基を導入する際の反応条件はここに記
述したものに限定されることなく、水酸基の保護基とし
て用いられている一般の置換基(Theodora W. Greene;
Peter G. M. Wuts. Protective Groups inOrganic Synt
hesis, 2nd ed., Wiley: New York, 1991)はもとよ
り、保護基として用いることが困難な置換基に関して
も、それらの種類とそれらを導入する反応条件の全てを
包含するものである。
【0023】ところで不斉炭素を有するアセタール系の
保護基、例えば1-エトキシエチル基等をラクトン環の9
位の水酸基に導入すると、当該置換基の導入されている
間は、誘導体は二種類のジアステレオ異性体の混合物と
して存在する。しかしながらこれらの異性体は分離して
もしなくともよい。又、当該置換基をラクトン環の9位
水酸基の修飾基としてとらえている場合も、これらの異
性体は分離してもしなくともよい。
【0024】次いで式(IV)で表される化合物の、マイ
カミノース(アミノ糖)部分である2'位の水酸基をアセ
チル基により保護し、式(V)(式中、R1は炭素数1〜
3の直鎖のアルキル基であり、R4は炭素数2〜5の直鎖
又は分枝鎖の脂肪族アシル基であり、R5は水酸基を修飾
(あるいは保護)する置換基である)で表される化合物
を得る。例えば化合物(7)を無水アセトニトリル中無
水酢酸と反応させて化合物(8)(式(V)において、R
1がエチル基であり、R4がプロピオニル基であり、R5が1
-エトキシエチル基である化合物)を定量的に得た。こ
の時式(V)で表される化合物のうち、R5がアセチル基
である化合物は、式(II)で表される化合物より一工程
で調製することが可能である。また、式(V)で表され
る化合物は、式(II)で表される化合物のマイカミノー
ス部分の2'位水酸基を選択的にアセチル化した後に、ラ
クトン環9位の水酸基に置換基を導入しても容易に調製
することが可能である。
【0025】第二に鍵化合物であるメチルチオメチルエ
ーテル合成中間体の調製法について記す。始めに中性糖
である3"位の3級水酸基にメチルチオメチル基を導入す
る。2級水酸基をカルボニル基に酸化すべく、ジメチル
スルホキシド(DMSO)と無水酢酸を反応させた際に、副
生成物としてメチルチオメチルエーテルが得られること
は1960年代より知られていた(ジャーナル・オブ・アメ
リカン・ケミカル・ソシエチー, 89(10), 2416(196
7))。1970年代中頃には、天然有機化合物の合成におい
てメチルチオメチル基が3級水酸基の保護基として最適
であることも日本の研究グループにより報告されている
(テトラヘドロン・レターズ, 65(1976))。1970年代後
半に入ると、酸化に優先してメチルチオメチル化を進行
させるために反応系中に酢酸を添加することの理論的な
解釈も発表された(オーストラリアン・ジャーナル・オ
ブ・ケミストリー, 31, 1031(1978))。
【0026】まず当社研究グループの方法(ジャーナル
・オブ・アンチビオチックス, 33(1), 61(1980))に従
い、式(V)で表される化合物の3"位の水酸基をメチル
チオメチル化し、収率60〜70%程度で、式(VI)(式
中、R1は炭素数1〜3の直鎖のアルキル基であり、R4
炭素数2〜5の直鎖又は分枝鎖の脂肪族アシル基であ
り、R5は水酸基を修飾(あるいは保護)する置換基であ
る)で表される化合物を合成する。例えば化合物(8)
にDMSOと無水酢酸を反応させて、化合物(9)(式(V
I)においてR1がエチル基であり、R4がプロピオニル基
であり、R5が1-エトキシエチル基である化合物)を合成
した。水酸基へのメチルチオメチル基の導入法に関して
は多くの既知の方法(Theodora W. Greene; Peter G.
M. Wuts. Protective Groups in Organic Synthesis, 2
nd ed., Wiley: New York, 1991)があるので、本発明
製造法はメチルチオメチル基の導入法について限定され
るものではなく、当該導入法に関する全ての既知の方法
を包含する。
【0027】次いで、式(VI)で表される化合物の2'位
の水酸基に結合していたアセチル基を脱保護し、式(VI
I)(式中、R1は炭素数1〜3の直鎖のアルキル基であ
り、R 4は炭素数2〜5の直鎖又は分枝鎖の脂肪族アシル
基であり、R5は水酸基を修飾(あるいは保護)する置換
基である)で表される鍵化合物、即ちメチルチオメチル
エーテル合成中間体を定量的に得る。例えば化合物
(9)をメタノール中で反応することにより化合物(1
0)(式(VII)において、R1がエチル基であり、R 4
プロピオニル基であり、R5が1-エトキシエチル基である
化合物)を得た。
【0028】第三に、式(VII)で表される鍵中間体の
中性糖部分である3"位の3級水酸基に導入されたメチル
チオメチル基を選択的に還元して、3"位の3級水酸基が
メチル化された16員環マクロリド誘導体を効率的に合
成する。糖質化学においてメチルチオメチル化された2
級水酸基がラネーニッケルにより還元されメトキシ基に
化学変換されることが報告(カーボハイドレート・リサ
ーチ, 7, 474(1968))されて以来、同様の反応例が紹介
されている(テトラヘドロン・レターズ, 43(1969)、カ
ーボハイドレート・リサーチ, 15, 101(1970))。又比
較的最近では、メチルチオメチル基以外の置換基として
アリールチオメチル基の導入された1級及び2級の水酸
基がラジカル還元等を受け、メトキシ基に化学変換され
るという報告がなされた(ジャーナル・オブ・オーガニ
ック・ケミストリー, 54(25), 5998(1989))。
【0029】以上述べた様に、メチルチオメチル化され
た水酸基をメトキシ基に還元する方法論それ自身は決し
て新しいものではないが、当該還元反応の多くは2級の
水酸基に関してなされたものであった。さらに反応基質
には二重結合や遊離のアルデヒド基等、接触還元に対し
て反応性を示す官能基を有しない場合がほとんどであっ
た。
【0030】本発明者らは、適度に活性をコントロール
したラネーニッケルを用いて、式(VII)で表される化
合物の二重結合及び遊離のアルデヒド基が還元を受ける
ことなく、メチルチオメチル化された3"位の3級水酸基
をメトキシ基に化学変換し、式(VIII)(式中、R1は炭
素数1〜3の直鎖のアルキル基であり、R4は炭素数2〜
5の直鎖又は分枝鎖の脂肪族アシル基であり、R5は水酸
基を修飾(あるいは保護)する置換基である)で表され
る化合物を選択的に合成する実質的な調製法を見い出し
た。例えば、化合物(10)をエタノール中、適度に活
性をコントールしたラネーニッケルとともに室温で短時
間撹拌することにより、選択的に化合物(11)(式
(VIII)中、R1がエチル基であり、R4がプロピオニル基
であり、R5が1-エトキシエチル基である化合物)を合成
した。当該選択的還元反応は、R5がアセタール系以外の
置換基、例えば化合物(1)の如くアセチル基で修飾
(あるいは保護)されていた場合にも効率良く進行する
(実施例1参照)。
【0031】当該選択的還元反応においては、ラネーニ
ッケルの活性のコントロール方法、反応溶媒、反応後の
後処理の方法等に関しては、後述した実施例1、4、1
0及び11において記載したが、本発明製造法は、それ
らの反応条件等に限定されるものではなく、それらの修
飾手段もまた本製造法に包含されるものである。
【0032】即ち、ラネーニッケルの活性をコントロー
ルするには、本発明の実施例1において記載したアセト
ンによる方法に限定する必要はなく、酢酸エチルや熱水
を用いて当該コントロールを実施してもよい。あるいは
反応系中に窒素原子又は硫黄原子等を含むある種の有機
化合物ないしは無機化合物を添加して、反応の選択性を
向上させることも可能である。一方反応溶媒もまた、エ
タノールの如く低級アルコールに限定されることはな
く、1,4-ジオキサンの如くエーテル系の有機溶媒を用い
て、当該反応を実施することが可能である。更に反応後
の後処理の方法に関しても、反応生成物を分解させるこ
となく、それらをラネーニッケルより効率良く抽出が可
能であるなら、その方法は限定されるものではない。
【0033】以上の如く調製した式(VIII)で表される
化合物は、それ自身で臨床上重要なグラム陽性菌の発育
を阻止し、優れたin vivo効果を示す。又この時R5があ
る種のアセタール系の置換基、例えば1-エトキシエチル
基、テトラヒドロフラニル基あるいはテトラヒドロピラ
ニル基等の場合は、さらにこれらの置換基を収率良く脱
保護することが可能である。
【0034】すなわち、式(VIII)で表される化合物の
ラクトン環の9位水酸基に導入されている置換基を、そ
の置換基に相応しい条件(Theodora W. Greene; Peter
G. M. Wuts. Protective Groups in Organic Synthesi
s, 2nd ed., Wiley: New York, 1991)を用いて脱保護
し、式(IX)(式中、R1は炭素数1〜3の直鎖のアルキ
ル基であり、R4は炭素数2〜5の直鎖又は分枝鎖の脂肪
族アシル基である)で表される化合物を定量的に得る。
例えば化合物(11)を5%酢酸水溶液:アセトニトリル
(3:1)の混合溶媒で反応させることにより、化合物
(12)(式(IX)において、R1がエチル基であり、R4
がプロピオニル基である化合物)を得た。以上の如く製
造した式(IX)で表される化合物も又、それ自身で臨床
上重要なグラム陽性菌の発育を強く阻止する。
【0035】工程図1においては、式(VII)で表され
る化合物より式(IX)で表される化合物を合成する際
は、始めに中性糖部分である3"位のメチルチオメチルエ
ーテルをメトキシ基に還元した後に、ラクトン環の9位
水酸基に結合している置換基を脱保護した。一方、始め
に9位を脱保護した後に3"位の還元を行なった場合も、
式(IX)で表される化合物を製造することが可能であ
る。しかしながら、3"位の当該選択的還元反応における
収率及び選択性は、基質として式(VII)で表される化
合物を用いた場合の方がより優れている。
【0036】ところで式(IX)で表される化合物、又は
その塩に対しては、希薄な酸の存在下に9位又は2'位の
水酸基を選択的にアシル化する公知の方法(発酵と工
業, 37(12), 1171(1979))又は希薄な酸の存在下に9位
の水酸基を11位又は13位へアリル転位させる公知の方法
(ケミカル・アンド・ファーマシューチカル・ブレタ
ン, 18(8), 1501(1970)、明治製菓研究年報, 12, 85(19
72)、ジャーナル・オブ・アンチビオチックス, 35(11),
1521(1982))あるいは9位の水酸基を選択的に酸化す
る公知の方法(ジャーナル・オブ・アンチビオチック
ス, 24(8), 526(1971))等を実施して、本発明を基軸と
した新規有用物質を造出することが可能である。次に本
発明を実施例によって詳細に記述する。
【0037】
【実施例】
実施例1 化合物(2)(式(VIII)において、R1がエチル基で表
され、R4がプロピオニル基で表され、R5がアセチル基で
表される化合物)(特願平5-169418)の製造法 始めにラネーニッケルの活性をコントロールした。すな
わちラネーニッケル 6 mlを各 10 mlの水で2回洗浄し
た後、発熱を抑えつつ各 10 mlのアセトンで3回洗浄し
活性を適度に調整した。次いで各 10 mlのエタノールで
2回洗浄し反応に用いることにした。化合物(1)(式
(VII)において、R1がエチル基で表され、R4がプロピ
オニル基で表され、R5がアセチル基で表される化合物)
(ジャーナル・オブ・アンチビオチックス, 33(1), 61
(1980)) 227 mgをエタノール 20 mlに溶解した後、活
性をコントロールした上記ラネーニッケルを 5 mlのエ
タノールと共に反応溶液に加えた。これを室温で20分
間激しく撹拌した後、不溶物を濾過し、1%(v/v)の濃ア
ンモニア水を含むエタノール各 20 mlで2回洗浄した。
濾液と洗液を合わせ、減圧濃縮して得られた残さ 290 m
gを分離用TLC(展開系:ベンゼン−アセトン(3:1))で
精製して化合物(2) 79 mgを得た。
【0038】実施例2 化合物(4)(式(VI)において、R1がメチル基で表さ
れ、R4がイソバレリル基で表され、R5がアセチル基で表
される化合物)の製造法 化合物(3)(式(V)において、R1がメチル基で表さ
れ、R4がイソバレリル基で表され、R5がアセチル基で表
される化合物)(テトラヘドロン・レターズ,609(196
7)) 2.0 gをDMSO 63 mlと無水酢酸 6.3 mlの混合溶液
に溶解した後、 33℃で3日間反応させた。反応液にト
ルエン 2.0 Lを加えた後、水 2.0 Lで4回洗浄した。ト
ルエン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後これを濾過し、
濾液を減圧濃縮して得られた残さ 3.0 gをシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(300 g:ヘキサン−酢酸エチル
(3:1)→(1:1))で精製して、化合物(4) 1.4 gを得
た。化合物(4)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C4877NO17S (3) マススペクトル (SIMS) : m/z 972 (M+H)+ (4) 比旋光度 : [α]D 24 -85°(c1.0, CHCl3) (5) 融点 : 明瞭な融点を示さず、118〜122℃で
熔融 (6) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.25(br d, 2-H), 2.72(dd, 2-H), 5.09(br
d, 3-H), 3.16(br d, 4-H), 3.50(s, 4-OCH3), 3.94(br
d, 5-H), 0.85(br ddd, 7-H), 1.46(br dt, 7-H), 5.0
5(dd, 9-H), 5.56(dd, 10-H), 6.70(dd, 11-H), 6.05(b
r dd, 12-H), 5.85(ddd, 13-H), 2.45(br dt, 14-H),
4.99(ddq, 15-H), 1.26(d, 16-H3), 2.55(br dd, 17-
H), 2.81(br dd, 17-H), 9.63(br s, 18-H), 0.96(d, 1
9-H3), 2.30(s, 3-OCOCH3), 2.00(s, 9-OCOCH3), 4.59
(d, 1'-H), 4.91(dd, 2'-H), 2.68(t, 3'-H), 3.16(t,
4'-H), 3.26(dq, 5'-H), 1.14(d, 6'-H3), 2.00(s, 2'-
OCOCH3), 2.42(s, 3'-N(CH3)2), 4,81(d, 1"-H), 1.68
(dd, 2"-Hax), 1.18(s, 3"-CH3), 4.63(d, 4"-H), 4.56
(dq,5"-H), 1.05(d, 6"-H3), 4.50(d, 3"-OCH 2SCH3),
4.64(d, 3"-OCH 2SCH3), 2.20(s, 3"-OCH2SCH3 ), 0.98
(d, 4"-OCOCH2CH(CH3)2 )
【0039】実施例3 化合物(5)(式(VII)において、R1がメチル基で表
され、R4がイソバレリル基で表され、R5がアセチル基で
表される化合物)の製造法 化合物(4) 1.30 gをメタノール 39 mlに溶解した
後、 33℃で1晩反応させた。反応液を減圧濃縮して得
られた残さ 1.29 gをシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(125 g:ヘキサン−酢酸エチル(1:1))で精製し
て、化合物(5) 964mgを得た。 化合物(5)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C4675NO16S (3) マススペクトル (SIMS) : m/z 930 (M+H)+ (4) 比旋光度 : [α]D 24 -77°(c1.0, CH3OH) (5) 融点 : 明瞭な融点を示さず、115〜118℃で
熔融 (6) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.27(br d, 2-H), 2.75(dd, 2-H), 5.00(br
d, 3-H), 3.25(br d, 4-H), 3.57(s, 4-OCH3), 3.96(br
d, 5-H), 0.93(br ddd, 7-H), 1.57(br dt, 7-H), 4.9
7(dd, 9-H), 5.57(dd, 10-H), 6.71(dd, 11-H), 6.09(b
r dd, 12-H), 5.86(ddd, 13-H), 2.47(br dt, 14-H),
5.00(ddq, 15-H), 1.27(d, 16-H3), 2.59(br dd, 17-
H), 2.84(br dd, 17-H), 9.66(br s, 18-H), 0.96(d, 1
9-H3), 2.29(s, 3-OCOCH3), 2.01(s, 9-OCOCH3), 4.50
(d, 1'-H), 3.21(dd, 2'-H), 2.42(t, 3'-H), 3.42(t,
4'-H), 3.28(dq, 5'-H), 1.15(d, 6'-H3), 2.58(s, 3'-
N(CH3)2), 4,92(d, 1"-H), 1.74(dd, 2"-Hax), 1.20(s,
3"-CH3), 4.66(d, 4"-H), 4.56(dq, 5"-H), 1.08(d,
6"-H 3), 4.52(d, 3"-OCH 2SCH3), 4.65(d, 3"-OCH 2SC
H3), 2.18(s, 3"-OCH2SCH3 ), 0.98(d, 4"-OCOCH2CH(C
H3)2 )
【0040】実施例4 化合物(6)(式(VIII)において、R1がメチル基で表
され、R4がイソバレリル基で表され、R5がアセチル基で
表される化合物)の製造法 化合物(5) 300 mgをエタノール 7 mlに溶解した後、
ラネーニッケル 15 mlを実施例1と同様の方法で活性を
コントロールし、 7.5 mlのエタノールと共に反応溶液
に加えた。これを室温で20分間激しく撹拌した後、不
溶物を濾過し、1%(v/v)の濃アンモニア水を含むエタノ
ール各 30 mlで2回洗浄した。濾液と洗液を合わせ、減
圧濃縮して得られた残さ 297 mgを分離用TLC(展開系:
トルエン−アセトン(3:1))で精製して化合物(6) 81
mgを得た。 化合物(6)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C4573NO16 (3) マススペクトル (SIMS) : m/z 884 (M+H)+ (4) 比旋光度 : [α]D 26 -74°(c1.0, CH3OH) (5) 融点 : 明瞭な融点を示さず、115〜119℃で
熔融 (6) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.75(dd, 2-H), 5.12(br d, 3-H), 3.25(br
d, 4-H), 3.57(s, 4-OCH3), 3.96(br d, 5-H), 0.92(br
ddd, 7-H), 1.58(br dt, 7-H), 5.06(dd, 9-H), 5.57
(dd, 10-H), 6.71(dd, 11-H), 6.09(br dd, 12-H), 5.8
6(ddd, 13-H), 4.99(ddq, 15-H), 1.26(d, 16-H3), 2.5
9(br dd, 17-H), 2.84(br dd, 17-H), 9.66(br s, 18-
H), 0.96(d, 19-H3), 2.29(s, 3-OCOCH3), 2.01(s, 9-O
COCH3), 4.51(d, 1'-H), 3.19(dd, 2'-H), 2.42(t, 3'-
H), 3.46(t, 4'-H), 3.29(dq, 5'-H), 1.16(d, 6'-H3),
2.58(s, 3'-N(CH3)2), 4,93(d, 1"-H), 1.67(dd, 2"-H
ax), 1.11(s, 3"-CH3), 4.72(d,4"-H), 5.54(dq, 5"-
H), 1.08(d, 6"-H3), 3.26(s, 3"-OCH3), 0.97(d, 4"-O
COCH2CH(CH3)2 )
【0041】実施例5 化合物(7)(式(IV)において、R1がエチル基で表さ
れ、R4がプロピオニル基で表され、R5が1-エトキシエチ
ル基で表される化合物)の製造法 メデマイシン 20 gを塩化メチレン 600 mlとエチルビニ
ルエーテル 22 mlの混合溶液に溶解した後、PPTS 9.4 g
を加え、室温で1晩反応させた。反応液を飽和炭酸水素
ナトリウム水溶液 2.0 Lに徐々に加え、クロロホルム
1.8 Lで抽出した。クロロホルム層を5%硫酸水素カリウ
ム水溶液 2.0 L、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 2.0 L
及び飽和塩化ナトリウム水溶液 2.0 Lで順次洗浄した。
クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後これを濾
過し、濾液を減圧濃縮して得られた残さ 23 gをシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(200 g:クロロホルム−
メタノール(50:1))で精製して、化合物(7) 20 gを
得た。 化合物(7)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C4575NO16 (3) マススペクトル (EIMS) : m/z 885 (M)+ (4) 比旋光度 : [α]D 21 -61°(c1.0, CH3OH) (5) 融点 : 明瞭な融点を示さず、100〜103℃で
熔融 (6) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.28(br d, 2-H), 2.73(dd, 2-H), 2.74(dd,
2-H), 5.13(br d, 3-H), 3.24(br d, 4-H), 3.53(s, 4
-OCH3), 3.87(br d, 5-H), 1.44(br dt, 7-H), 1.90(m,
8-H), 3.78(dd, 9-H), 3.92(dd, 9-H), 5.47(dd, 10-
H), 5.56(dd, 10-H), 6.57(dd, 11-H), 6.61(dd, 11-
H), 6.09(br dd, 12-H), 5.78(br ddd, 13-H), 5.82(br
ddd, 13-H), 2.15(br dt, 14-H), 5.02(ddq, 15-H),
2.82(br dd, 17-H), 2.83(br dd, 17-H),9.64(br s, 18
-H), 9.65(br s, 18-H), 0.99(d, 19-H3), 1.00(d, 19-
H3), 2.63(br dq, 3-OCOCH 2CH3), 4.64(q, 9-OCH(OCH2C
H3)CH3), 4.66(q, 9-OCH(OCH2CH3)CH3), 3.44(dq, 9-OC
H(OCH 2CH3)CH3), 3.63(dq, 9-OCH(OCH 2CH3)CH3), 4.41
(d,1'-H), 2.51(s, 3'-N(CH3)2), 5.07(d, 1"-H), 1.85
(dd, 2"-Hax), 2.01(d, 2"-Heq), 1.12(s, 3"-CH3), 4.
62(d, 4"-H), 4.46(dq, 5"-H), 1.13(d, 6"-H3), 2.44
(apparent q, 4"-OCOCH 2CH3), 2.46(ap. q, 4"-OCOCH 2C
H3), 1.18(t, 4"-OCOCH2CH3 )
【0042】実施例6 化合物(8)(式(V)において、R1がエチル基で表さ
れ、R4がプロピオニル基で表され、R5が1-エトキシエチ
ル基で表される化合物)の製造法 化合物(7) 12 gをアセトニトリル 370 mlに溶解した
後、無水酢酸 2.7 mlを加え40℃で1晩反応させた。1
規定アンモニア水溶液 42 mlを滴下し、室温で10分間
放置した。反応液を減圧濃縮して得られた残さをクロロ
ホルム 1.0 Lに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液
1.0 Lおよび飽和塩化ナトリウム水溶液1.2 Lで順次洗
浄した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後
これを濾過し、濾液を減圧濃縮して、化合物(8)13 g
を得た。 化合物(8)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C4777NO17 (3) マススペクトル (SIMS) : m/z 928 (M+H)+ (4) 比旋光度 : [α]D 21 -64°(c1.0, CHCl3) (5) 融点 : 明瞭な融点を示さず、104〜107℃で
熔融 (6) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.24(br d, 2-H), 2.70(dd, 2-H), 5.11(br
d, 3-H), 3.17(br d, 4-H), 3.47(s, 4-OCH3), 3.89(br
d, 5-H), 1.42(br t, 7-H), 3.75(dd, 9-H), 3.88(dd,
9-H), 5.45(dd, 10-H), 5.54(dd, 10-H), 6.57(dd, 11
-H), 6.61(dd, 11-H), 6.05(br dd, 12-H),5.79(ddd, 1
3-H), 5.83(ddd, 13-H), 2.15(br dt, 14-H), 2.26(br
dd, 17-H),2.81(br dd, 17-H), 9.62(br s, 18-H), 9.6
3(br s, 18-H), 0.98(d, 19-H3),0.99(d, 19-H3), 2.65
(dq, 3-OCOCH 2CH3), 4.64(q, 9-OCH(OCH2CH3)CH3), 4.6
5(q, 9-OCH(OCH2CH3)CH3), 3.35(dq, 9-OCH(OCH 2CH3)CH
3), 3.43(dq, 9-OCH(OCH 2CH3)CH3), 3.49(dq, 9-OCH(OC
H 2CH3)CH3), 3.62(dq, 9-OCH(OCH 2CH3)CH3), 4.61(d,
1'-H), 4.98(dd, 2'-H), 2.02(s, 2'-OCOCH3), 2.41(s,
3'-N(CH3)2), 5.06(d, 1"-H), 1.84(dd, 2"-Hax), 2.0
0(d, 2"-Heq), 1.12(br s, 3"-CH3), 4.62(d,4"-H), 4.
37(dq, 5"-H), 2.43(apparent q, 4"-OCOCH 2CH3), 2.44
(ap. q, 4"-OCOCH 2CH3), 1.18(t, 4"-OCOCH2CH3 )
【0043】実施例7 化合物(9H)(式(VI)において、R1がエチル基で表
され、R4がプロピオニル基で表され、R5が1-エトキシエ
チル基で表される化合物のうち後述した展開系における
TLCにおいてRf値の大きい方の異性体)及び化合物(9
L)(式(VI)において、R1がエチル基で表され、R4
プロピオニル基で表され、R5が1-エトキシエチル基で表
される化合物のうち同Rf値の小さい方の異性体)の製造
法 化合物(8) 305 mgをDMSO 9.1 mlと無水酢酸 0.91 ml
の混合溶液に溶解した後、30℃で1晩反応させた。反応
液をトルエン 60 mlに徐々に加え、水 60 mlで3回洗浄
した。トルエン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後これを
濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残さ 300 mgを
シリカゲルクロマトグラフィー(30 g:ヘキサン−酢酸
エチル(1:1))で精製して、化合物(9) 195 mgを得
た。このうち106 mgを分離用TLC(展開系:ヘキサン−
酢酸エチル(1:1))で再精製し、化合物(9H) 56 mg
及び化合物(9L) 39 mgを得た。 化合物(9H)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C4981NO17S (3) マススペクトル (FDMS) : m/z 988 (M+H)+ (4) TLCにおけるRf値 : 0.50(展開系:ヘキサ
ン−酢酸エチル(1:1)) (5) 比旋光度 : [α]D 19 -71°(c1.0, CHCl3) (6) 明瞭な融点を示さず、94〜96℃付近で熔融 (7) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.24(br d, 2-H), 2.72(dd, 2-H), 5.11(br
d, 3-H), 3.17(br d, 4-H), 3.49(s, 4-OCH3), 3.87(br
d, 5-H), 0.85(br dt, 7-H), 1.41(br dt, 7-H), 1.87
(m, 8-H), 3.88(dd, 9-H), 5.45(dd, 10-H), 6.61(dd,
11-H), 6.06(br dd, 12-H), 5.82(ddd, 13-H), 2.15(d
t, 14-H), 4.99(ddq, 15-H), 1.26(d, 16-H3), 2.83(br
dd, 17-H),9.62(br s, 18-H), 0.98(d, 19-H3), 2.50
(dq, 3-OCOCH 2CH3), 2.65(dq, 3-OCOCH 2CH3), 1.21(t,
3-OCOCH2CH3 ), 3.42(dq, 9-OCH(OCH 2CH3)CH3), 3.50(d
q, 9-OCH(OCH 2CH3)CH3), 1.14(t, 9-OCH(OCH2CH3 )CH3),
1.22(d, 9-OCH(OCH2CH3)CH3 ),4.60(d, 1'-H), 4.92(d
d, 2'-H), 2.68(t, 3'-H), 3.16(t, 4'-H), 3.26(dq,
5'-H), 1.14(d, 6'-H3), 2.01(s, 2'-OCOCH3), 2.43(s,
3'-N(CH3)2), 4.81(d, 1"-H), 1.68(dd, 2"-Hax), 2.2
5(d, 2"-Heq), 1.17(s, 3"-CH3), 4.56(dq, 5"-H),1.05
(d, 6"-H3), 4.51(d, 3"-OCH 2SCH3), 4.64, 4.65(2×d,
4"-H, 3"-OCH 2SCH 3), 2.20(s, 3"-OCH2SCH3 ), 2.42(q,
4"-OCOCH2 CH3), 1.18(t, 4"-OCOCH2CH3 ) 化合物(9L)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C4981NO17S (3) マススペクトル (FDMS) : m/z 988 (M+H)+ (4) TLCにおけるRf値 : 0.46(展開系:ヘキサ
ン−酢酸エチル(1:1)) (5) 比旋光度 : [α]D 19 -87°(c1.0, CHCl3) (6) 明瞭な融点を示さず、90〜94℃付近で熔融 (7) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.25(br d, 2-H), 2.72(dd, 2-H), 5.11(br
d, 3-H), 3.18(br d, 4-H), 3.49(s, 4-OCH3), 3.87(br
d, 5-H), 0.87(br dt, 7-H), 1.43(br dt, 7-H), 1.86
(m, 8-H), 3.74(dd, 9-H), 5.54(dd, 10-H), 6.58 (dd,
11-H), 6.06(br dd, 12-H), 5.80(ddd, 13-H), 2.15(d
t, 14-H), 5.00(ddq, 15-H), 1.26(d, 16-H3), 2.84(br
dd, 17-H),9.63(br s, 18-H), 0.98(d, 19-H3), 2.52
(dq, 3-OCOCH 2CH3), 2.65(dq, 3-OCOCH 2CH3), 1.23(t,
3-OCOCH2CH3 ), 4.65(q, 9-OCH(OCH2CH3)CH3), 3.35(dq,
9-OCH(OCH 2CH3)CH3), 3.63(dq, 9-OCH(OCH 2CH3)CH3),
1.14(t, 9-OCH(OCH2CH3 )CH3),1.25(d, 9-OCH(OCH2CH3)C
H3 ), 4.60(d, 1'-H), 4.92(dd, 2'-H), 2.68(t, 3'-H),
3.16(t, 4'-H), 3.26(dq, 5'-H), 1.14(d, 6'-H3), 2.
01(s, 2'-OCOCH3), 2.43(s, 3'-N(CH3)2), 4.81(d, 1"-
H), 1.69(dd, 2"-Hax), 2.26(d, 2"-Heq), 1.17(s, 3"-
CH3), 4.57(dq, 5"-H), 1.05(d, 6"-H3), 4.51(d, 3"-O
CH 2SCH3), 4.64, 4.65(2×d, 4"-H, 3"-OCH 2SCH3), 2.2
0(s, 3"-OCH2SCH3 ), 2.42(q, 4"-OCOCH2 CH3), 1.18(t,
4"-OCOCH2CH3 )
【0044】実施例8 化合物(10H)(式(VII)において、R1がエチル基
で表され、R4がプロピオニル基で表され、R5が1-エトキ
シエチル基で表される化合物のうち化合物(9H)より
誘導される異性体)の製造法 化合物(9H) 50 mgをメタノール 1.5 mlに溶解した
後、30℃で1晩反応させた。反応液を減圧濃縮し、得ら
れた残さ 47 mgを分離用TLC(展開系:ヘキサン−酢酸
エチル(1:1))で精製し、化合物(10H) 36 mgを得
た。 化合物(10H)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C4779NO16S (3) マススペクトル (SIMS) : m/z 946 (M+H)+ (4) TLCにおけるRf値 : 0.24(展開系:ヘキサ
ン−酢酸エチル(1:1)) (5) 比旋光度 : [α]D 19 -55°(c1.0, CH3OH) (6) 融点 : 明瞭な融点を示さず、95〜98℃付近
で熔融 (7) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.26(br d, 2-H), 2.75(dd, 2-H), 5.13(br
d, 3-H), 3.26(br d, 4-H), 3.57(s, 4-OCH3), 3.88(br
d, 5-H), 0.93(br ddd, 7-H), 1.53(br dt, 7-H), 1.8
9(m, 8-H), 3.90(dd, 9-H), 5.46(dd, 10-H), 6.62(dd,
11-H), 6.10(br dd, 12-H), 5.83(ddd, 13-H), 5.01(d
dq, 15-H), 2.85(br dd, 17-H), 9.63(br s, 18-H), 0.
98(d, 19-H3), 2.51(dq, 3-OCOCH 2CH3), 2.64(dq, 3-OC
OCH 2CH3), 4.64(q, 9-OCH(OCH2CH3)CH3), 3.43(dq, 9-O
CH(OCH 2CH3)CH3), 3.50(dq, 9-OCH(OCH 2CH3)CH3), 4.51
(d, 1'-H), 3.41(t, 4'-H), 3.28(dq, 5'-H), 2.58(s,
3'-N(CH3)2), 4.92(d, 1"-H),1.75(dd, 2"-Hax), 2.28
(d, 2"-Heq), 4.56(dq, 5"-H), 1.08(d, 6"-H3), 4.52
(d, 3"-OCH 2SCH3), 4.65, 4.66(2×d, 4"-H, 3"-OCH 2SC
H3), 2.19(s, 3"-OCH2SCH3 ), 2.42(q, 4"-OCOCH2 CH3)
【0045】実施例9 化合物(10L)(式(VII)において、R1がエチル基
で表され、R4がプロピオニル基で表され、R5が1-エトキ
シエチル基で表される化合物のうち化合物(9L)より
誘導される異性体)の製造法 化合物(9L) 230 mgをメタノール 6.8 mlに溶解した
後、30℃で1晩反応させた。反応液を減圧濃縮し、得ら
れた残さ 204 mgを分離用TLC(展開系:ヘキサン−酢酸
エチル(1:1))で精製し、化合物(10L) 150 mgを得
た。 化合物(10L)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C4779NO16S (3) マススペクトル (SIMS) : m/z 946 (M+H)+ (4) TLCにおけるRf値 : 0.16(展開系:ヘキサ
ン−酢酸エチル(1:1)) (5) 比旋光度 : [α]D 19 -73°(c1.0, CH3OH) (6) 融点 : 明瞭な融点を示さず、91〜93℃で熔
融 (7) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.26(br d, 2-H), 2.75(dd, 2-H), 5.13(br
d, 3-H), 3.26(br d, 4-H), 3.57(s, 4-OCH3), 3.88(br
d, 5-H), 0.94(br ddd, 7-H), 1.53(br dt, 7-H), 1.8
8(m, 8-H), 3.76(dd, 9-H), 5.55(dd, 10-H), 6.59 (d
d, 11-H), 6.09(br dd, 12-H), 5.80(ddd, 13-H), 5.02
(ddq, 15-H), 2.25(br dd, 17-H), 2.85(br dd, 17-H),
9.64(br s,18-H), 2.52(dq, 3-OCOCH 2CH3), 2.65(dq,
3-OCOCH 2CH3), 3.36(dq, 9-OCH(OCH 2CH3)CH3), 3.63(d
q, 9-OCH(OCH 2CH3)CH3), 4.51(d, 1'-H), 3.41(t, 4'-
H), 3.28(dq, 5'-H), 2.59(s, 3'-N(CH3)2), 4.92(d,
1"-H), 1.75(dd, 2"-Hax), 2.28(d, 2"-Heq), 4.56(dq,
5"-H), 1.08(d, 6"-H3), 4.52(d, 3"-OCH 2SCH3), 4.6
5,4.66(2×d, 4"-H, 3"-OCH 2SCH3), 2.19(s, 3"-OCH2SC
H3 ), 2.42(q, 4"-OCOCH2 CH 3)
【0046】実施例10 化合物(11H)(式(VIII)において、R1がエチル基
で表され、R4がプロピオニル基で表され、R5が1-エトキ
シエチル基で表される化合物のうち化合物(10H)よ
り誘導される異性体)の製造法 化合物(10H) 30 mgをエタノール 0.35 mlに溶解し
た後、ラネーニッケル0.75 mlを実施例1と同様の方法
で活性をコントロールし、 0.4 mlのエタノールと共に
反応溶液に加えた。これを室温で20分間激しく撹拌し
た後、不溶物を濾過し、1%(v/v)の濃アンモニア水を含
むエタノール各 1.5 mlで2回洗浄した。濾液と洗液を
合わせ、減圧濃縮して得られた残さ 28 mgを分離用TLC
(展開系:トルエン−アセトン(2:1))で精製して化合
物(11H) 10 mgを得た。 化合物(11H)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C4677NO16 (3) マススペクトル (SIMS) : m/z 900 (M+H)+ (4) TLCにおけるRf値 : 0.32(展開系:トルエ
ン−アセトン(3:1)) (5) 比旋光度 : [α]D 19 -43°(c1.0, CH3OH) (6) 明瞭な融点を示さず、90〜93℃付近で熔融 (7) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.26(br d, 2-H), 2.74(dd, 2-H), 5.13(br
d, 3-H), 3.26(br d, 4-H), 3.57(s, 4-OCH3), 3.88(br
d, 5-H), 2.13(br t, 6-H), 0.93(br ddd, 7-H), 1.54
(br dt, 7-H), 1.89(m, 8-H), 3.90(dd, 9-H), 5.46(d
d, 10-H), 6.62(dd, 11-H), 6.10(br dd, 12-H), 5.83
(ddd, 13-H), 2.17(dt, 14-H), 5.00(ddq, 15-H), 1.26
(d, 16-H3),2.28(br dd, 17-H), 2.85(br dd, 17-H),
9.64(br s, 18-H), 0.98(d, 19-H3),2.50(dq, 3-OCOCH 2
CH3), 2.64(dq, 3-OCOCH 2CH3), 1.23(t, 3-OCOCH2CH3 ),
4.64(q, 9-OCH(OCH2CH3)CH3), 3.43(dq, 9-OCH(OCH 2CH
3)CH3), 3.50(dq, 9-OCH(OCH 2CH3)CH3), 1.14(t, 9-OCH
(OCH2CH3 )CH3), 1.22(d, 9-OCH(OCH2CH3)CH3 ), 4.53(d,
1'-H), 3.46(t, 4'-H), 3.29(dq, 5'-H), 1.16(d, 6'-
H3), 2.60(s, 3'-N(CH3)2), 4.93(d, 1"-H), 1.67(dd,
2"-Hax), 2.29(d, 2"-Heq), 1.11(s, 3"-CH3),4.73(d,
4"-H), 4.54(dq, 5"-H), 1.08(d, 6"-H3), 3.26(s, 3"-
OCH3), 2.43(apparent q, 4"-OCOCH 2CH3), 2.44(ap. q,
4OCOCH 2CH3), 1.20(t, 4"-OCOCH2CH3 )
【0047】実施例11 化合物(11L)(式(VIII)において、R1がエチル基
で表され、R4がプロピオニル基で表され、R5が1-エトキ
シエチル基で表される化合物のうち化合物(10L)よ
り誘導される異性体)の製造法 化合物(10L) 150 mgをエタノール 2.0 mlに溶解し
た後、ラネーニッケル3.8 mlを実施例1と同様の方法で
活性をコントロールし、 1.8 mlのエタノールと共に反
応溶液に加えた。これを室温で20分間激しく撹拌した
後、不溶物を濾過し、1%(v/v)の濃アンモニア水を含む
エタノール各 4.0 mlで2回洗浄した。濾液と洗液を合
わせ、減圧濃縮して得られた残さ 145 mgを分離用TLC
(展開系:トルエン−アセトン(2:1))で精製して化合
物(11L) 32 mgを得た。 化合物(11L)の理化学的性状 (1) 色および形状 : 無色固体 (2) 分子式 : C4677NO16 (3) マススペクトル (SIMS) : m/z 900 (M+H)+ (4) TLCにおけるRf値 : 0.32(展開系:トルエ
ン−アセトン(3:1)) (5) 比旋光度 : [α]D 19 -65°(c1.0, CH3OH) (6) 融点 : 明瞭な融点を示さず、87〜90℃付近
で熔融 (7) 1H NMRスペクトル (400MHz, CDCl3) δ
(ppm) : 2.26(br d, 2-H), 2.75(dd, 2-H), 5.13(br
d, 3-H), 3.26(br d, 4-H), 3.57(s, 4-OCH3), 3.88(br
d, 5-H), 2.13(br t, 6-H), 0.94(br ddd, 7-H), 1.55
(br dt, 7-H), 1.88(m, 8-H), 3.75(dd, 9-H), 5.55(d
d, 10-H), 6.59 (dd, 11-H), 6.09(br dd, 12-H), 5.80
(ddd, 13-H), 2.16(dt, 14-H), 5.01(ddq, 15-H), 1.26
(d, 16-H3),2.25(br dd, 17-H), 2.86(br dd, 17-H),
9.64(br s, 18-H), 2.52(dq, 3-OCOCH 2CH3), 2.64(dq,
3-OCOCH 2CH3), 1.23(t, 3-OCOCH2CH3 ), 3.36(dq, 9-OCH
(OCH 2CH3)CH3), 3.63(dq, 9-OCH(OCH 2CH3)CH3), 1.14
(t, 9-OCH(OCH2CH3 )CH3), 1.25(d, 9-OCH(OCH2CH3)C
H3 ), 4.52(d, 1'-H), 3.21(dd, 2'-H), 2.42(t, 3'-H),
3.45(t, 4'-H), 3.29(dq, 5'-H), 1.16(d, 6'-H3), 2.
57(s, 3'-N(CH3)2), 4.92(d,1"-H), 1.67(dd, 2"-Hax),
2.29(d, 2"-Heq), 1.10(s, 3"-CH3), 4.72(d, 4"-H),
4.55(dq, 5"-H), 1.08(d, 6"-H3), 3.26(s, 3"-OCH3),
2.43(apparent q, 4"-OCOCH 2CH3), 2.44(ap. q, 4"-OCO
CH 2CH3), 1.18(t, 4"-OCOCH2CH3 )
【0048】実施例12 化合物(12)(式(IX)において、R1がエチル基で表
され、R4がプロピオニル基で表される化合物)(特願平
5-169418)の製造法 化合物(11H) 60 mgを5%酢酸水溶液 4.5 mlとアセ
トニトリル 1.5 mlの混合溶液に溶解した後、室温で1
晩反応させた。反応液を減圧濃縮して得られた残さをク
ロロホルム 10 mlに溶解した後、飽和炭酸水素ナトリウ
ム水溶液 10 mlで3回および飽和塩化ナトリウム水溶液
各 10 mlで順次洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸ナ
トリウムで乾燥後これを濾過し、濾液を減圧濃縮して得
られた残さ 56 mgを分離用TLC(展開系:クロロホルム
−メタノール(10:1))で精製し、化合物(12) 50 mg
を得た。
【0049】実施例13 化合物(12)の製造法 化合物(11L) 30 mgを5%酢酸水溶液 2.4 mlとアセ
トニトリル 0.8 mlの混合溶液に溶解した後、室温で1
晩反応させた。反応液を減圧濃縮して得られた残さをク
ロロホルム 5.0 mlに溶解した後、飽和炭酸水素ナトリ
ウム水溶液各 5.0 mlで3回および飽和塩化ナトリウム
水溶液 5.0 mlで順次洗浄した。クロロホルム層を無水
硫酸ナトリウムで乾燥後これを濾過し、濾液を減圧濃縮
して得られた残さ 28 mgを分離用TLC(展開系:クロロ
ホルム−メタノール(10:1))で精製し、化合物(12)
24 mgを得た。
【0050】
【発明の効果】第一の本発明の効果とするところは、有
用な新規16員環マクロリド誘導体の造出にある。すな
わち本発明で得られる一般式(VIII)及び(IX)で表さ
れる化合物は臨床上重要なグラム陽性菌に対して、優れ
た抗菌力を有している。はじめに、一般式(VIII)で表
される化合物のうち9位の水酸基がアセチル化された化
合物(2)及び(6)は、優れた16員環マクロリド抗
菌剤であるミオカマイシン(MOM)(ジャーナル・オブ
・アンチビオチックス, 29(5), 536(1976))と比較し
て、同等あるいは同等以上のin vitroの抗菌活性を有し
ている。なお化合物(6)は化合物(2)と比較して、
Branhamella catarrhalisに対する抗菌活性が若干優れ
ていた。一方ラクトン環9位の水酸基が1-エトキシエチ
ル化されている化合物(11H)及び(11L)の抗菌
活性は、相当するラクトン環の9位が遊離の水酸基であ
る化合物(12)と比較して劣るものの、それ自体有効
な抗菌力を有していた。
【0051】また本発明製造法により合成した式(I)
で表される化合物は、マウス感染治療実験において既存
の16員環マクロリド抗菌剤と比べ優れたin vivo効果
を発揮する。その一例として本法で製造した化合物
(2)は、肺炎球菌Streptococcus pneumoniae DP-1 Ty
pe1によるマウス感染治療実験においてMOMの1/4以下の
量で、さらにロキタマイシン(ジャーナル・オブ・アン
チビオチックス, 34(8), 1001(1981))の1/8以下の量で
同等の感染治療効果を示した。この優れた効果は、3"位
の3級水酸基がアシル基によりエステル結合しているの
ではなく、メチル基によりエーテル結合していることに
直接関与している。すなわち化合物(2)の推定生体内
代謝物の一つである3"-O-メチルミデカマイシンM1(3"-
O-メチル-3-O-プロピオニルロイコマイシンV)(特願平
5-169418)が、MOMの相当物質であるミデカマイシンM1
(ジャーナル・オブ・バクテリオロジー, 174(15), 514
1(1992), 特願平48-10288)と比較し一段と優れた抗菌
活性を有していることに、卓越したin vivo効果の一因
があると考えられる。ところで4"位の水酸基に結合した
イソバレリル基は、ラット血漿中において、プロピオニ
ル基よりも切断されにくいことが報告されている(薬学
雑誌, 102(8), 781(1982))。それゆえ本発明化合物
(6)等は、マウス感染治療実験において化合物(2)
と同等以上のin vivo効果が期待される。
【0052】第二の本発明の効果とするところは、一般
式(III)で表される化合物を、一般式(II)で表され
る天然に存在する公知の16員環マクロリド抗生物質を
出発原料として、3"-メチルチオメチルエーテル合成中
間体を経由することにより、グリコシル化反応を経由す
ることなく、4工程ないしは6工程で効率良く調製する
新規製造法を提供する事にある。例えば、以前本発明者
らがミデカマイシンA3とエリスロマイシンを出発原料と
して本発明化合物(2)を調製した際は、グリコシル化
反応を含む9工程の化学反応と1段階の微生物変換を実
施して、ミデカマイシンA3からの全収率は最高でも5%
には満たなかった。しかしながら本発明の新規製造法に
よれば、メデマイシンを出発原料として全収率20%近く
で化合物(2)を合成することが可能となった。
【0053】第三の本発明の効果とするところは、化学
的安定性の良好でない化合物に存在する3級水酸基へあ
くまで穏和な反応条件により間接的にメチル基を導入す
る一般的な方法を提供することにある。メチルチオメチ
ルエーテル化された水酸基をメトキシ基に変換する反応
それ自身は前述した如く既に知られていた(カーボハイ
ドレート・リサーチ, 7, 474(1968))が、3級水酸基に
当該化学変換を適用した例はあまり知られていない。更
に二重結合或いは遊離のアルデヒド基等接触還元条件に
反応性の富む官能基を有する化合物に対し、本反応を展
開した例はほとんど報告されていない。
【0054】第四の本発明の効果とするところは、16
員環マクロリド抗生物質の誘導体研究におけるラクトン
環9位の水酸基の効率的な保護基を提供することにあ
る。天然より得られる化合物を出発原料として化学反応
により優れた誘導体を製造する際には、一般に特定の官
能基、例えばアミノ基或いは水酸基等を保護する必要の
ある場合が少なくない。16員環マクロリド化合物の合
成化学的誘導体研究において、9位の水酸基に関する能
率の良い保護基の使用例はほとんど知られていなかっ
た。本発明者らは不斉炭素を有するアセタール系の保護
基、特に1-エトキシエチル基が、保護基としての特性を
充分に備えていることを実証した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴原 聖至 神奈川県横浜市港北区師岡町760番地 明 治製菓株式会社薬品総合研究所内 (72)発明者 井上 重治 神奈川県横浜市港北区師岡町760番地 明 治製菓株式会社薬品総合研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の式(I) 【化1】 [式中、R1は炭素数1〜3の直鎖のアルキル基であり、
    R2は水素原子又は水酸基を修飾(あるいは保護)する置
    換基であり、R3は水素原子又は炭素数2〜5の直鎖又は
    分枝鎖の脂肪族アシル基]で表される化合物、又はその
    薬学的に許容し得る塩。
  2. 【請求項2】 請求項1の式(I)において、R1がメチ
    ル基で表され、R2がアセチル基で表され、R3がイソバレ
    リル基で表される化合物、又はその薬学的に許容し得る
    塩。
  3. 【請求項3】 請求項1の式(I)において、R1がエチ
    ル基で表され、R2が1-エトキシエチル基で表され、R3
    プロピオニル基で表される化合物、又はその薬学的に許
    容し得る塩。
  4. 【請求項4】 次の式(II) 【化2】 [式中、R1は炭素数1〜3の直鎖のアルキル基であり、
    R4は炭素数2〜5の直鎖又は分枝鎖の脂肪族アシル基]
    で表される化合物、又はその塩を出発原料として用い
    て、次の式(III) 【化3】 [式中、R1は炭素数1〜3の直鎖のアルキル基であり、
    R2は水素原子又は水酸基を修飾(あるいは保護)する置
    換基であり、R4は炭素数2〜5の直鎖又は分枝鎖の脂肪
    族アシル基]で表される化合物、又はその塩を得るため
    の効率的製造法。
  5. 【請求項5】 16員環マクロリド誘導体の化学合成等
    において、ラクトン環の9位水酸基の保護基として不斉
    炭素を有するアセタール系置換基、例えば1-エトキシエ
    チル基、テトラヒドロフラニル基あるいはテトラヒドロ
    ピラニル基等を用いる方法。
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JP5300686A Pending JPH07149788A (ja) 1993-07-08 1993-11-30 新規16員環マクロリド誘導体及びそれらの効率的製造法

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