JPH07102296A - 脱脂洗浄剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ピロリドン２０〜９５重量％、水４．９〜５
０重量％及び炭素数３〜１５のアルコール０．１〜３０
重量％を含有してなることを特徴とする脱脂洗浄剤。 【効果】 油付着物の洗浄を効率的に行うことができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は脱脂洗浄剤に係り、特に
金属部品等の被洗浄物に付着した油分を効率的に洗浄除
去する油付着物の洗浄剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】精密機械部品、電気部品等を加工する場
合，製造工程において種々の油が使用されている。従っ
て、各種部品の表面に付着した油分を洗浄除去する必要
がある。通常、有機溶剤を用いて油分の洗浄除去を行な
っている。従来、このような油分の洗浄除去に用いられ
る有機溶剤としては、ケロシン、ベンゼン、キシレン等
の炭化水素系溶剤、トリクロロエチレン、テトラクロロ
エチレン等の塩素系溶剤、トリクロロトリフルオロエタ
ン等のフロン系溶剤が知られている。特に、電子、電
気、機械等の部品には高洗浄性、不燃性という特性を有
するフロン系又は塩素系の溶剤が使用されている。

【０００３】しかしながら、上記従来の有機溶剤のう
ち、炭化水素系溶剤、特にベンゼン、キシレン等は毒性
が高く、労働安全法上の有害物に指定されている化合物
であるため、これらを取り扱う作業の危険性及び煩雑さ
等の面で問題がある。また、上記塩素系又はフロン系の
溶剤は、安全性、毒性、環境汚染等の面で大きな問題を
有している。

【０００４】また、従来、種々の成分を混合した多くの
洗浄剤組成物が提案されているが、洗浄対象物の種類、
あるいは、要求される洗浄の度合いに応じてなお最適な
洗浄剤を開発していく必要がある。例えば、特開昭６３
−２５８９７４公報には、ベンジルアルコール、芳
香族ナフサ及びＮ−メチル−２−ピロリドン及びＮ−
ビニル−２−ピロリドンからなる群から選択された物質
の混合物からなる塗料剥離剤組成物が開示されている。
該組成物の具体的組成としては、が約２０〜３０重量
％、が約３０〜７０重量％、が約１０〜４０重量％
とされている。該組成物は塗料剥離剤として最適化され
たものであるから，必ずしもそのまま脱脂洗浄にも好適
に利用できるものではない。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題点を解決し、油類の脱脂洗浄性に優れ、且つ、安全性
及び作業環境衛生性が良好で、環境汚染の問題のない脱
脂洗浄剤を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記従来
の問題点を解決し、油類の脱脂洗浄性に優れ、且つ、安
全性及び作業環境衛生性が良好で、環境汚染の問題のな
い脱脂洗浄剤を提供することを目的とし、鋭意検討の結
果到達したものである。即ち本発明の脱脂洗浄剤は、ピ
ロリドン２０〜９５重量％、水４．９〜５０重量％及び
炭素数３〜１５のアルコール０．１〜３０重量％を含有
してなることを特徴とする。

【０００７】以下、本発明につき詳細に説明する。本発
明で用いるピロリドンとはピロリドン化合物を主成分と
する液体である。ここで，ピロリドン化合物としては２
−ピロリドン、３−ピロリドン、Ｎ−アルキル−２−ピ
ロリドン（例えば、Ｎ−メチル−２−ピロリドン、Ｎ−
エチル−２−ピロリドン、Ｎ−プロピル−２−ピロリド
ン）、５−アルキル−２−ピロリドン（例えば、５−メ
チル−２−ピロリドン、５−エチル−２−ピロリドン、
５−プロピル−２−ピロリドン）、Ｎ−ビニル−２−ピ
ロリドン、Ｎ−アルキル−３−ピロリドン（例えば、Ｎ
−メチル−３−ピロリドン、Ｎ−エチル−３−ピロリド
ン、Ｎ−プロピル−３−ピロリドン）等が例示される
が、特にＮ−メチル−２−ピロリドンが有効である。上
記ピロリドン化合物は単独で用いてもよく、また、２種
以上の混合物で用いてもよい。

【０００８】本発明の脱脂洗浄剤中のピロリドンの含有
量は２０〜９５重量％、好ましくは５０〜９０重量％、
更に好ましくは７０〜８５重量％であり、また、水を
４．９〜５０重量％、好ましくは１０〜３０重量％含有
する。

【０００９】該脱脂洗浄剤中の水の含有量が上記範囲で
は脱脂処理後、脱脂した油分を溶かさずに浮上分離し易
く、該混合物の繰返し使用が長時間可能であり、該混合
物の全量回収又は定期的入替えをしなくて良いばかりで
なく、特に、水含有量が約１５重量％以上では該混合物
は引火しないので、非危険物として取扱うことができる
ので好ましい。該混合物液中の水の含有量が５重量％未
満では、即ち繰返し使用する際、油分の洗浄剤への溶解
性が高いため、脱脂洗浄効果が低下しやすい。また、該
混合物の水の含有量が５０重量％より多いと脱脂洗浄効
果が著しく低下する。

【００１０】更に、脱脂洗浄剤をピロリドンを水との混
合液として用いる場合の予想外の効果として、ピロリド
ンに水を添加することにより、大気中での酸化による過
酸化物の生成が著しく抑制できる点が挙げられる。洗浄
剤は、通常、繰返し使用されるので、かかる過酸化物の
生成が抑制されることは、洗浄剤としての性能の安定性
という面においても極めて有利である。

【００１１】ピロリドンと水との混合液は、それ自体、
脱脂洗浄剤として使用することができるが、本発明の脱
脂洗浄剤は、該混合液に特定のアルコールを含有させる
ことにより、より一層優れた洗浄効果を得ることを特徴
とする。

【００１２】即ち、本発明の脱脂洗浄剤では、ピロリド
ンと水に加えて、更に、アルコールを０．１〜３０重量
％、好ましくは０．５〜１５重量％の範囲で含有させ
る。アルコールの含有効果は０．１重量％程度のごく少
量でも発現し、比較的広い範囲で含有させることが可能
である。但し、その含有量が３０重量％を越える程度と
なると洗浄効果の更なる改良が認められないほか、油分
とエマルジョン化して付着油分が多くなる場合があるの
で好ましくない。また、ピロリドンとアルコールの総含
有量は、通常５０重量％以上、好ましくは７０重量％以
上である。

【００１３】また、本発明で使用するアルコールは炭素
数が３〜１５、好ましくは４〜１０のものである。かか
る範囲以外の炭素数のアルコールについては洗浄効果が
充分ではなく、特に、炭素数が１５を越えるようなアル
コールでは洗浄剤の他の成分との相溶性が充分でなくな
ったり、洗浄剤への油分の溶解度高くなり洗浄剤として
繰り返し使用することが困難になったりするなどの問題
が生じる。

【００１４】以上の本発明で使用するアルコールとして
は、１‐プロパノール、イソプロパノール、イソノニル
アルコール、２−エチルヘキサノール、１−ヘプタノー
ル、１−ノナノール、１−ウンデカノール等の脂肪族モ
ノアルコール類、４−アセトキシー１−ブタノール等の
脂肪族置換モノアルコール類、１，４−ブタンジオール
等の脂肪族ジアルコール類、ベンジルアルコール、β−
フェネチルアルコール等の芳香族アルコール類などが例
示される。これらのアルコールは単独で使用するほか，
２種以上の混合物で使用してもよい。

【００１５】なお、本発明の洗浄剤においては、他の溶
媒も、それらが望ましくない程度まで洗浄剤に悪影響を
与えない範囲で少量含有させることができる。他の溶媒
としてはエーテル類、エステル類、芳香族炭化水素類、
脂環式炭化水素類などである。更に、洗浄効果改良のた
めに、場合によっては、アルカリ金属又はアルカリ土類
金属の塩、有機アミン、界面活性剤を含有させてもよい
し、その他、公知の酸化防止剤、防錆剤、増粘剤などを
含めてもよい。

【００１６】このような本発明の脱脂洗浄剤を用いる洗
浄方法としては、具体的には、次のような方法を採用す
るのが望ましいが、本発明の脱脂洗浄剤は何ら下記の方
法に限定されるものでないことはいうまでもない。

【００１７】即ち、まず、本発明の脱脂洗浄剤を用いて
被洗浄物である油付着物を浸漬法、超音波洗浄法、揺動
法、スプレー法等の各種の洗浄方法によって、２０〜１
００℃、望ましくは４０〜８０℃の温度で洗浄処理して
被洗浄物に付着した油分を脱脂洗浄する。この脱脂洗浄
にあたり、浸漬法を採用する際には、洗浄剤中に空気や
窒素等を通してバブリングすることにより、洗浄効果を
より一層高めることができる。

【００１８】次いで、脱脂洗浄された被洗浄物に付着す
る洗浄剤を空気又は窒素ガス等の不活性ガスを吹き付け
て吹き飛ばして除去する。これにより、洗浄剤を回収し
て、洗浄による洗浄剤のロスを極力低減させると共に、
次工程での水洗浄による洗浄剤の溶解量を極力減少させ
て廃水処理の負担を軽減させる。この場合、ガスの吹き
付け量は被洗浄物に付着する洗浄剤が短時間で吹き飛ば
されて除去される量であればよい。

【００１９】上記洗浄剤の除去処理がなされた被洗浄物
は、次いで、表面になお残存している洗浄剤を水洗浄に
よって除去する。この水洗浄は、浸漬法、超音波洗浄
法、揺動法、スプレー法等の各種の洗浄方法を採用する
ことができる

【００２０】水洗浄後の被洗浄物は、その表面に付着し
た水分を、常温又は加熱した空気又は窒素ガス等の不活
性ガスを吹きつけて吹き飛ばして除去することにより乾
燥する。これにより，被洗浄物を極めて清浄に脱脂洗浄
することができる。

【００２１】なお、本発明において洗浄処理対象となる
油分が付着した被洗浄物としては、電子部品、電機部
品、精密機械部品、樹脂加工部品、光学部品等の精密部
品、機械部品、自動車部品及びその組立加工工程に使用
される治工具類等の主として金属部品が挙げられる。具
体的には、電子部品としてはプリント配線基板、ＩＣリ
ードフレーム、コンデンサー、液晶表示器、半導体材料
等が挙げられる。電機部品としては、コータ用コア等の
部品、マグネット、ブラシ、ハウジングなどの電動機部
品等が挙げられる。精密機械部品としてはベアリング、
ミシン部品、加工用部品等が挙げられる。光学部品とし
ては、レンズ等が挙げられる。機械部品としては軸受、
歯車、各種機械部品等が挙げられる。自動車用部品とし
てはエンジン部品、ミッションギヤ、キャブレター等が
挙げられる。また、このような部品の組立加工工程で使
用される治具、工具類としては、上記精密部品を製造、
成形、加工、組立、仕上げ等の各種工程において取り扱
われる治具、工具等が挙げられる。

【００２２】これらの被洗浄物に付着する油分としては
油脂、機械油、切削油、熱処理油，グリース等が挙げら
れる。

【００２３】

【作用】ピロリドンは、油類等の脱脂洗浄性に著しく優
れるが、ピロリドンと水との混合液とすることにより、
脱脂洗浄効果の持続性に優れ、長期間繰り返し使用が可
能で、しかも、安全性及び作業環境衛生性が良好で環境
汚染性のない上に、性能安定性にも優れた洗浄剤が提供
される。しかして、このようなピロリドンと水との混合
液中に、更に、特定のアルコールを一定量添加すること
により、洗浄効果はより一層高められる。特に，種々の
形状を有する金属部品等の被洗浄物においては、被洗浄
物中の止まり穴など凹部分が一般に洗浄が完全に行われ
にくいが、本発明の洗浄剤ではかかる部分ヘの浸透，洗
浄も良好である。

【００２４】

【実施例】以下に具体的な実施例及び比較例を挙げて、
本発明をより具体的に説明するが，本発明はその要旨を
越えない限り，以下の実施例に限定されるものではな
い。

【００２５】実施例１〜１２ Ｎ−メチル−２−ピロリドン１６０ｇと水３５ｇの混合
液に、各々、表−１に示すアルコールを４ｇ加えて混合
して均一溶液とし、本発明の脱脂洗浄剤を調製した。次
に、得られた脱脂洗浄剤を、底部に空気の吹込管を有す
る５００ｍｌ容の洗浄器に入れ、６０℃に加温した。

【００２６】この洗浄器に、４カ所に３ｍｍ径の止まり
穴（深さ１０ｍｍ）を有するアルミ製テストピースの各
穴に熱処理油を注入したもの（油注入量１８５ｍｇ）を
浸漬し、空気吹込管より７ｌ／ｍｉｎで空気を吹き込ん
だ。１０分後、テストピースを洗浄器から取り出し、水
２００ｍｌ中に１分浸漬した。その後，四塩化炭素８０
ｇ中に洗浄後のテストピースを浸漬し、５分間超音波を
かけ、テストピース表面残存油分を抽出し、赤外分光光
度計にて分析し、残存油分量を求めた。結果を表−１に
示す。

【００２７】比較例１ 比較のため、Ｎ−メチル−２−ピロリドンと水との混合
液にアルコールを添加しなかったこと以外は、実施例１
と同様に洗浄を行い、同様に残存油分量を求め、結果を
表−１に示した。

【００２８】

【表１】

【００２９】

【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の脱脂洗浄剤
によれば、油が付着した被洗浄物を洗浄して良好な洗浄
処理品を得ることができる。しかも、本発明の脱脂洗浄
剤は、脱脂洗浄効果の持続性に優れ、長期間繰り返し使
用が可能であり、また、安全性及び作業環境衛生性が良
好で環境汚染性のない上に、性能安定性にも優れ、工業
的に極めて有用である。

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ１１Ｄ 7:02）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ピロリドン２０〜９５重量％、水４．９
   〜５０重量％及び炭素数３〜１５のアルコール０．１〜
   ３０重量％を含有してなることを特徴とする脱脂洗浄
   剤。