JPH0688891B2

JPH0688891B2 - 養毛皮膚化粧料

Info

Publication number: JPH0688891B2
Application number: JP62137017A
Authority: JP
Inventors: 純一秋山; 幸三川俣
Original assignee: 株式会社加美乃素本舗; 株式会社ビメーク
Priority date: 1987-05-30
Filing date: 1987-05-30
Publication date: 1994-11-09
Anticipated expiration: 2009-11-09
Also published as: JPS63301807A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本発明は、ホルモン剤等のように生体に対する著しい副
作用を有さず、皮膚機能の昂進作用と養毛効果をもつ卵
白の加水分解物を配合してなる養毛化粧料に関するもの
である。

〔従来の技術〕

脱毛症には先天性の無毛症やはん痕性脱毛症などは別と
して、円形脱毛症や男性型脱毛症は毛根が皮膚中に存在
するにもかかわらず、毛を産生する機能が低下あるい
は、停止してしまい、薄毛・ハゲの発生が起きるもので
ある。脱毛症の発症病因にはいくつかの説があり、今日
まで多くの研究がなされてきたが、病因論の定説はな
く、また確立した治療法のない疾患である。

現代社会において、成人男子の約３割の人が脱毛症で悩
んでいるといわれ、当世相において毛髪のもつ美容的な
意味は大きく、脱毛症患者は大きな精神的苦痛を強いら
れている。

本発明は、皮膚の新陳代謝を活性化し、また毛根の消失
を伴わない各種脱毛症に対して有効である養毛皮膚化粧
料の開発をめざし、種々研究した結果成功したものであ
る。

〔発明の構成〕

本発明の養毛皮膚化粧料は、養毛皮膚化粧料基剤に卵白
加水分解物を必須成分として配合したことを特徴とする
ものである。

卵白加水分解物は、鶏卵等の卵白を加水分解して得られ
るもので、その特徴として、イソロイシン、ロイシン、
リジン、メチオニン、シスチン、フェニルアラニン、チ
ロシン、スレオニン、トリプトファン、バリンの必須ア
ミノ酸をバランスよく含むものである。

卵白自体は、既に知られているように、生体種々の諸器
官にかかる血管の発達を促進させる成分を含有するもの
であり、本発明の皮膚機能の昂進作用と養毛効果は、こ
れら有効成分に関係あるものによって発揮するものと推
察される。

本発明者らは、卵白加水分解物を化粧料基剤に配合した
場合の有効性を検討した結果、養毛効果を有することを
見い出し、又その安全性が確かめられたので、本発明を
完成したものである。

卵白は約10％、乾燥重量で約83％タンパク質を含むもの
であり、水には易溶であるが、外用養毛剤の基剤として
汎用されるエタノール水溶液には大部分の成分が不溶で
あり、また高分子量であるため、その有効成分自体の経
皮吸収がされにくい欠点がある。それ故、本発明では卵
白加水分解物として、卵白をそのまま加水分解するか、
または卵白タンパク質として抽出したものを加水分解し
アルコール水溶液として用いるものである。

卵白タンパク質の主たる成分（約65％）である卵白アル
ブミンは、平均分子量45000、１分子中のアミノ酸モル
数316の物質で、このものは熱、酸、アルカリ、エタノ
ーエル、界面活性剤で変性しやすい物質である。それ
故、卵白を加水分解して卵白加水分解物を得るには、化
粧料基剤に配合したときは勿論、その後の長期間の貯蔵
などで沈澱の生じないものとすることが必要である。

本発明で使用する卵白加水分解物は、卵白ペプタイドと
もいわれるもので、ニワトリの卵の卵白を酵素、例えば
アルカリプロテアーゼなどのプロテアーゼで加水分解
し、加熱処理して酵素を失活させ、冷却後乾燥したもの
で、おおよそ次ぎの如き物性を有するものである。

この卵白加水分解物は、黄色味を帯びた白色の粉末で僅
かに特有臭を持つもので、水によくとけ、黄色透明な水
溶液となる。この加水分解物1gは30％（重量）アルコー
ル10mlに溶解し（10％）、40％エタノールには約３％溶
解する。このほか、80％プロピレングリコール、50％グ
リセリンの水溶液に同様に10％の溶解性を示す。また、
ラウリル硫酸トリエタノールアミン（０〜100％水溶
液）、ポリオキシエチレンラウリルエール硫酸ナトリウ
ム（０〜90％水溶液）に20％溶解する。この加水分解物
は、定量したとき窒素として11％以上を含むもので、水
分６％以下、粗タンパク70％以上、粗脂肪0.3％以下、
灰分10％以下、重金属10ppm以下であり、10％溶液のpH
は5.5〜7.5を示す。全窒素／アミノ態窒素の値が約２〜
９で、アミノ酸平均分子量約129、加水分解物の平均分
子量約250〜1150で、２〜９個のアミノ酸からなるペプ
タイドと推定されるものである。

本発明は卵白ペプタイドは、更に詳しくは、次の方法に
よって製造される。まず、イオン交換法または加塩法等
により卵白タンパク質当たりリゾチーム含量を２％以下
にした卵白をタンパク質濃度が３％以下になるように加
水希釈する。この加水希釈液に苛性ソーダ、苛性カリ等
のアルカリ剤を添加して、希釈卵白液をアルカリ域pH7.
5〜10の範囲に調整する。この際、pH8.0〜9.0の範囲内
に調整すると、分子量が200〜400のペプタイドの含量の
多い卵白分解物を得ることができる。次に、アルカリ域
に調整した卵白希釈液にタンパク分解酵素（プロテアー
ゼ）を終濃度0.1〜1.0％になるように添加して一定温度
条件（45℃〜50℃）下で、一定時間（20〜50時間）保持
することによりプロテアーゼ処理し、平均分子量250〜1
150のペプタイドである卵白分解物を得る。最後に、プ
ロテアーゼ処理液を90℃〜100℃で５〜20分間程加熱処
理することにより本発明の卵白分解物とする。

タンパク分解酵素（プロテアーゼ）としては、パパイ
ン、フイシン、プロメライン、ペプシン等の動植物組織
からの抽出酵素の他、アマノＡ、アマノＰ（天野製
薬）、デナチームAP（長瀬産業）、ネオビタラーゼNP
（東和酵素）、プロリシン５（上田化学工業）等の微生
物由来酵素等、種類を問わず使用できる。

卵白加水分解は、酵素添加量、pH、反応温度、反応時間
等を調整することにより目的とする加水分解が得られ
る。プロテアーゼ処理中の試料の平均分子量等を測定
し、所望の分子量、物性のものとなったときに酵素を失
活させることによって目的とする加水分解物が得られ
る。

〔発明の効果〕

本発明において使用する卵白加水分解物の養毛効果は、
次の試験例等によって確認した。

試験例 C₃Hマウス♂（８週令）の背部毛をほぼ完全にHand pluc
king法にて除毛（約4cm²）し、この部位に40％アルコー
ルに溶解した0.1％、１％、３％の卵白加水分解物溶液
および対照液を200μｌずつ毎日１回連日塗布投与し
た。すべての群の動物の背部毛が休止期に完全に移行し
た27日目に各動物より毛を15本ずつ採取し、その長さを
拡大測定法にて測定し、統計学的な解析を行なった。

その結果を次の表に示す。

これら実験の結果より、本発明による養毛成分は、生体
に対する毛の成長を促進するすぐれた養毛・育毛効果を
有することがわかる。

この効果のメカニズムは本発明の有効成分が皮膚内へ浸
透し、皮膚及び毛根の細胞を活性化し、また毛の成長に
大きく関与する毛細血管の発達を促しめ、皮膚全体を昂
進させることによるものと考えられる。

なお、本試験例に使用した卵白加水分解物は、水分5.55
％、粗タンパク71.01％、粗脂肪0.07％、灰分7.16％以
下、重金属10ppm以下であり、10％溶液のpHは5.5〜7.5
を示し、全窒素／アミノ態窒素の値が2.2で、アミノ酸
平均分子量129、加水分解物の平均分子量284で、2.2個
のアミノ酸からなるペプタイドである。

本発明は単独で用いるほか、養毛剤や皮膚化粧料に常用
される添加物と共に配合してもよく、次にそれらの処方
例を示すが、本発明はこれらのみに限定されるものでは
ない。

〔実例例〕実施例１次の処方により、常法にて養毛効果の優れたヘアトニッ
クを調製した。

サラチル酸 0.1g グリチルレチン酸 0.1g グリセリン 1.0g １−メントール 0.1g 卵白加水分解物 3.0g 変性アルコール 40.0ml 香料適量精製水適量（以上全量100mlとする。）実施例２次の処方により、常法にて養毛効果の優れたゲル製剤を
調製した。

１％水酸化ナトリウム酸 6.0ml カルボキシビニルポリマー 0.5g 変性アルコール 30.0g グリセリン 2.0g 塩酸ジフエンヒドラミン 0.01g 卵白加水分解物 3.0g 香料適量精製水適量（以上全量100mlとする。）

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】養毛皮膚化粧料基剤に卵白加水分解物を必
須成分として配合してなり、該卵白加水分解物が、窒素
11％以上、水分６％以下、粗タンパク70％以上、粗脂肪
0.3％以下、灰分10％以下、重金属10ppm以下、全窒素／
アミノ態窒素の値が約２〜９、加水分解物の平均分子量
が約250〜1150のペプタイドであり、10％水溶液のpHが
5.5〜7.5を示すものであることを特徴とする養毛皮膚化
粧料。