JPH067864A - ろう付けハニカムパネル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 パネル作製時に生じるパネル枠の変形及びパ
ネル全体の反りを抑えることができ、しかもパネルの曲
げ加工及び運搬作業を簡単に行なうことができるろう付
けハニカムパネルを提供する。 【構成】 外枠１と仕切板３とからなるパネル枠５内に
ハニカムコア７を配設し、その表裏面に面板９をろう付
けすることにより形成されるハニカムパネルにおいて、
パネル枠５を構成する外枠１の内、仕切板３がＴＩＧ溶
接にて仮止めされる長手方向の外枠１ａ，１ｂに、従来
より使用されている断面コの字状に形成されたアルミ押
し出し形材に代えて、断面ロの字状に形成されたアルミ
押し出し形材を使用する。そしてこの外枠１ａ，１ｂの
両端部分に、吊上げ用治具や端曲げ用治具を取り付ける
ための孔部１１を穿設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、仕切板により内部が複
数に分割されたパネル枠内にハニカムコアを配設し、そ
の表裏面に夫々面板をろう付けしてなるろう付けハニカ
ムパネルに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、例えば図５に示す如く、外枠
８１の内部を仕切板８３により複数に分割したパネル枠
８５内にハニカムコア８７を配設し、その表裏面に夫々
面板８９をろう付けすることにより形成されたろう付け
ハニカムパネルが知られている。

【０００３】またこの種のろう付けハニカムパネルにお
いては、パネル枠８５を構成している外枠８１及び仕切
板８３に、図６に示すような断面コの字状の押し出し形
材が使用されている。そして、ろう付け前のパネル枠８
５は、図７に示すように、まず押し出し形材の断面開放
端側（図６に示す矢印方向）を外側にして、パネル形状
である矩形状に配置し、その端部Ｐ１をＴＩＧ溶接にて
仮止めることにより、外枠８１を組み立て、次に、仕切
板８３を外枠８１の平行な２辺間に入れて、仕切板８３
と外枠８１とが接する部分Ｐ２をＴＩＧ溶接にて仮止め
することにより作製されている。

【０００４】なお、押し出し形材の断面開放端側を外側
にして外枠８１を形成するのは、外枠８１を、パネルを
他の部材と接続する際の継手として使用できるようにす
るためである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このように従来のろう
付けハニカムパネルにおいては、パネル枠８５が、断面
コの字状の押し出し形材を溶接することにより作製され
ている。このため、仕切板８３を外枠８１に仮止めする
際、その仮止め部分Ｐ２の溶着金属の熱応力により、仕
切板８３が仮止めされる外枠８１ａ、８１ｂが仕切板方
向に引っ張られ、パネル枠８５が、図７に示すように、
外枠８１ａ、８１ｂが長さ方向に変形するといった問題
があった。

【０００６】そしてこのように変形した枠内にハニカム
コアを配設して、規定寸法に裁断した面板８９でサンド
イッチすると、外枠８１ａ，８１ｂと面板８９とが完全
に接触しない部分が生じ、ろう付け後、ハニカムパネル
として正常に機能しないことがあった。

【０００７】一方、上記のように構成された従来のハニ
カムパネルを、中央の加圧ローラ９３と左右の支持ロー
ラ９５，９７とからなる図８に示すロールベンダを用い
て、３点ロール曲げ加工を行なうと、曲げ加工中、外枠
８１の高さ方向（パネルの板厚方向）に枠材が座屈する
ことがあった。そしてこの状態では、ロール荷重を僅か
に増加させるだけでパネルが大きく曲るため、ロールベ
ンダのロール荷重を制御して曲げ加工精度を確保する周
知の曲げ加工制御を実行することができなかった。

【０００８】そこで従来では、こうした外枠８１の曲げ
加工中における座屈防止策として、図６に一点鎖線で示
すような板材９９を外枠８１の長さ方向に沿って挿入す
ることが行なわれている。しかし、ろう付け後のパネル
は、ろう付け時に受ける熱や圧力の影響により、長手方
向に数ｍｍ反っているため、曲げ加工のために板材９９
を外枠８１に挿入する際には、板材９９を外枠８１に無
理に押し込まなければならず、作業性が悪いといった問
題があった。

【０００９】また、この板材９９は、曲げ加工後、外枠
８１の２つのフランジ部分に挟み込まれた（食い込ん
だ）格好となるので、取り外しが困難で、場合によって
は、板材９９の中心を長さ方向に沿って切断しなければ
ならないといった問題もある。また次に、従来では、パ
ネル枠８５を含むハニカムコア８７の表裏面に面板８９
を配設したろう付け前のパネルを複数段積みして、ろう
付け炉に入れることにより、複数のハニカムパネルを同
時にろう付けするようにし、また、ろう付け後は、次の
工程の作業場所に一括して運搬することにより、ハニカ
ムパネルの生産効率を向上している。そしてこのため
に、ろう付け前及びろう付け後のハニカムパネルを複数
積層して載置可能なパネル搬送用台座を使用し、専用の
組立式治具を用いて、この台座の上にハニカムパネルを
積層するようにしている。

【００１０】従って、従来では、ハニカムパネルの運搬
の際に、上記組立式治具をハニカムパネルに装着した
り、脱着したりするために、鋼製の重い治具部材を組み
立てたり、分解したりしなくてはならず、また、組立に
用いるねじも相当数あることから、作業者に相当の負担
を与えていた。

【００１１】本発明は、こうした問題に鑑みなされたも
ので、パネル作製時に生じるパネル枠の変形及びパネル
全体の反りを抑えることができ、しかもパネルの曲げ加
工及び運搬作業を簡単に行なうことができるろう付けハ
ニカムパネルを提供することを目的としている。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
になされた本発明は、複数の枠材によりパネルの外形に
沿って形成された外枠と、両端が該外枠を形成する２つ
の枠材に溶接されて外枠内部を複数に分割する仕切板と
からなるパネル枠を備え、該パネル枠内にハニカムコア
を配設して、その表裏面に夫々面板をろう付けしてなる
ろう付けハニカムパネルにおいて、上記パネル枠の少な
くとも上記仕切板が溶接される枠材が、断面ロの字状の
中空の枠材であることを特徴としている。

【００１３】

【作用及び発明の効果】このように本発明のろう付けハ
ニカムパネルにおいては、パネル枠の外枠を構成する枠
材のうち、少なくとも仕切板が溶接される枠材に、断面
ロの字状の中空の枠材が使用されている。

【００１４】断面ロの字状の枠材は、従来より使用され
ている断面コの字状の枠材に比べて曲げモーメントに対
する断面係数が大きい。このため、本発明によれば、外
枠への仕切板の溶接に伴う外枠の変形、及び、ろう付け
によるパネル全体の反りを軽減することができるように
なる。

【００１５】また断面ロの字状の外枠は、上記のように
曲げモーメントに対する断面係数が大きいため、曲げ加
工により座屈し難い。このため、パネルの曲げ加工を行
なう際には、従来、パネルの曲げ加工を行なう際に外枠
材に座屈防止用として挿入していた板材が不要となる。
従って、本発明によれば、ハニカムパネルの曲げ加工を
簡単に行なうことができるようになる。

【００１６】一方、本発明のように外枠に断面ロの字状
の枠材を使用すると、パネル枠の外側が枠材により閉塞
した状態となり、その外壁に孔を空けることができる。
従って、この孔に台座への吊上げ用治具を挿入すること
により、従来のような組立式治具を使用することなく、
パネルを運搬用の台座に簡単に積層することが可能とな
る。

【００１７】またハニカムパネルの端部を、ロールベン
ダを用いて、３点ロール曲げする場合（所謂、端（は
な）曲げを行なう場合）には、その端部に端曲げ用の治
具を設ける必要があるが、上記のように外枠の外壁に孔
を空けておけば、この孔を利用して端曲げ用の治具を装
着することもできる。

【００１８】次に、断面ロの字状の外枠は、その中央部
を長さ方向に切断することにより、従来と同様の断面形
状（コの字状）の外枠にすることができるため、この外
枠を従来と同様の継手として利用することもできる。ま
た更に、パネル枠の仮止め溶接によるパネル枠が変形し
たとしても、パネルの端部（各辺）を規定寸法に切断す
るトリミング作業において、外枠の切断代を充分にとる
ことができるため、パネル端部の仕上り向上を図ること
もできる。

【００１９】

【実施例】以下に本発明の実施例を図面と共に説明す
る。まず図１は、本発明が適用されたアルミ合金製のろ
う付けハニカムパネルの構成を表す分解斜視図である。

【００２０】図１に示すように、本実施例のハニカムパ
ネルは、図５に示した従来のハニカムパネルと同様、外
枠１と仕切板３とからなるアルミ合金製のパネル枠５内
に、アルミ合金製のハニカムコア７を配設し、その表裏
面にアルミ合金製の面板９をろう付けすることにより形
成されている。

【００２１】パネル枠５は、図７に示した従来のパネル
枠８５と同様、アルミ押し出し形材を枠材として使用
し、まず枠材をパネル形状である矩形状に配置し、その
端部をＴＩＧ溶接にて仮止めることにより外枠１を組み
立て、次に、仕切板３を外枠の平行な２辺間に入れて、
仕切板３と外枠１とが接する部分をＴＩＧ溶接にて仮止
めすることにより作製されているが、外枠１の内、仕切
板３がＴＩＧ溶接にて仮止めされるパネル長手方向の外
枠１ａ、１ｂには、図６に示した断面コの字状に形成さ
れた従来のアルミ押し出し形材に代えて、図２に示す如
く、断面ロの字状に形成されたアルミ押し出し形材が使
用されている。

【００２２】そしてこのように断面ロの字状に形成され
たアルミ押し出し形材からなる外枠１ａ，１ｂの両端部
分には、後述の吊上げ用治具２１や端曲げ用治具３１を
取り付けるための複数の孔部１１が穿設されている。こ
のように本実施例のろう付けハニカムパネルにおいて
は、パネル枠５を構成する外枠１の内、仕切板３がＴＩ
Ｇ溶接にて仮止めされる外枠１ａ，１ｂに、断面ロの字
状に形成されたアルミ押し出し形材が使用されている。
このため従来のパネルに比べ、外枠１ａ，１ｂの曲げモ
ーメントに対する断面係数が大きくなり、仕切板３をＴ
ＩＧ溶接にて仮止めすることに伴う外枠１の変形、及
び、ろう付けに伴うパネル全体の反り、を軽減すること
ができるようになる。

【００２３】また外枠１ａ，１ｂは、曲げモーメントに
対する断面係数が大きいため、曲げ加工を行なっても座
屈し難い。このため、図８に示したロールベンダを使用
して曲げ加工を行なう場合に、従来のように外枠１ａ，
１ｂ内に座屈防止用の板材を挿入する必要はなく、パネ
ルの曲げ加工を簡単に行なうことができるようになる。

【００２４】また、外枠１ａ，１ｂの端部には、複数の
孔部１１が穿設されているため、図３（ａ）に示す如
く、複数のハニカムパネルを積層し、その最下段のハニ
カムパネルの各端の孔部１１に吊上げ用治具２１を固定
し、これをワイヤ２３を介して引き揚げるようにすれ
ば、複数のハニカムパネルを運搬用の台座に簡単に載置
することができるようになる。

【００２５】なお、この場合に使用する吊上げ用治具２
１は、例えば図３（ｂ）に示す如く、外枠１ａ，１ｂに
形成された各孔部１１に挿入可能な複数（図では２つ）
の爪部２１ａと、ワイヤ端部に設けられた接続部材２５
を装着するための孔部２１ｂと、を備えていればよいの
で、従来のように組立式の大きな治具を使用する必要が
なく、吊上げ用治具の構成を簡素化できるといった効果
もある。

【００２６】またロールベンダを用いて、ハニカムパネ
ルを端曲げする場合には、従来より、ハニカムパネルの
端部を延長させる端曲げ用治具が使用されているが、本
実施例のハニカムパネルでは、外枠１ａ，１ｂに孔部１
１が穿設されているので、図４に示す如く、この孔部１
１を利用して端曲げ用治具３１を直接取り付けることが
でき、端曲げ加工時の作業性を向上することもできる。

【００２７】また更に、外枠１ａ，１ｂは、図２に二点
鎖線で示す如く、その中央部を長さ方向に切断すること
により、従来と同様の断面形状（コの字状）にすること
ができるため、外枠１ａ，１ｂを継手として利用するこ
ともできる。また、外枠１ａ，１ｂへの仕切板３の仮止
めにより、パネル枠５が変形したとしても、パネルの端
部（各辺）を規定寸法に切断するトリミング作業におい
て、外枠の切断代を充分にとることができるため、パネ
ル端部の仕上り向上を図ることもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例のろう付けハニカムパネルの構成を表す
分解斜視図である。

【図２】実施例の外枠１ａ，１ｂに使用した枠材の断面
形状を表す断面図である。

【図３】実施例のハニカムパネルを運搬用の台座に複数
同時に載置する状態及びこの作業に使用する吊上げ用治
具の構成を表す説明図である。

【図４】実施例のハニカムパネルに端曲げ用治具を取り
付けた状態を表す説明図である。

【図５】従来のろう付けハニカムパネルの構成を表す分
解斜視図である。

【図６】従来のパネル枠に使用されている枠材の断面形
状を表す断面図である。

【図７】従来のパネル枠の組立手順及びその変形状態を
表す説明図である。

【図８】ハニカムパネルの曲げ加工時に使用されるロー
ルベンダを表す説明図である。

【符号の説明】

１（１ａ，１ｂ），８１（８１ａ，８１ｂ）…外枠
３，８３…仕切板 ５，８５…パネル枠 ７，８７…ハニカムコア
９，８９…面板 １１…孔部 ２１…吊上げ用治具 ３１…端曲げ用
治具

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の枠材によりパネルの外形に沿って
   形成された外枠と、両端が該外枠を形成する２つの枠材
   に溶接されて外枠内部を複数に分割する仕切板とからな
   るパネル枠を備え、該パネル枠内にハニカムコアを配設
   して、その表裏面に夫々面板をろう付けしてなるろう付
   けハニカムパネルにおいて、 上記パネル枠の少なくとも上記仕切板が溶接される枠材
   が、断面ロの字状の中空の枠材であることを特徴とする
   ろう付けハニカムパネル。