JPH0678619A - マルチング式芝刈機及びマルチング式芝刈機用切刃 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 芝を刈取りまた刈取った芝片を効率よくマル
チングするためのマルチング式芝刈機用切刃と、該切刃
を用いた電動マルチング式芝刈機を提供すること。 【構成】 刈取り用刃先３６、３８が設けられた切刃部
先端部３２を短く折り曲げ形成すると共に、切刃の長手
状部分に前縁４６と後縁４８を形成する。前縁と後縁と
の間には長手状部分に沿って延びる長尺リブ４４を下方
に突設して設ける。 【効果】 該先端部により芝を刈取り刈取った芝を上方
に浮遊させるための上方空気流が形成されると共に、該
長尺リブにより、下方空気流が形成され、浮遊した芝片
が下方に導かれて前縁後縁により細分化される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は芝を刈取りまた刈取った
芝を細分化しいわゆるマルチとするためのマルチング式
芝刈機及びマルチング式芝刈機用切刃に関し、特に、地
上から所定の高さで芝を刈るために水平方向切断平面内
で回転する切刃を有し一次駆動源が電動モータである回
転型のマルチング式芝刈機及びマルチング式芝刈機用切
刃に関する。

【０００２】

【従来の技術】芝や同種の植物を刈るための各種タイプ
の電動式芝刈機が知られている。これらの電動芝刈機は
一般的には切断チャンバ、切断チャンバ内で回転する切
刃及び切刃の回転を生じさせるための駆動手段を備えた
ハウジングを有している。典型的な芝刈機は、１又はそ
れ以上の芝排出ポートを実装するように設計されてお
り、芝排出ポートから切刃の動作により刈取られた芝が
排出される。刈取られた芝片（クリッピング）は芝生上
に堆積され、芝が長い場合には該芝片を熊手等でかき集
める必要がある。または、取付式バッグを排出ポートに
接続し、刈取られた芝片が排出ポートを通してバッグ内
に集めることが可能である。

【０００３】上記した芝片シュート方式やバッグ内収拾
方式のような芝刈機の他に、バッグへの収拾や芝片のか
き集めが不要な多くの種類のマルチング式芝刈機が従来
から提案されている。これらの芝片放出が不要な芝刈機
は、芝生の上に直接堆積することが可能なように細かい
マルチとなるまで芝片を微小片に切断する。

【０００４】芝生の上に芝の微小片であるマルチを堆積
させることは、刈取られなかった芝生にとって良好な肥
料となるので生態学的にも利点をもたらす。芝の微小片
は迅速に分解するが、微小片切断されていない長い芝片
の場合にはなかなか分解せずに芝片の束として長く地上
に残存する。それゆえ長い芝片は、袋詰めされて埋め立
て地に輸送されて、従来より懸案の固形廃棄物処理問題
を引き起こすこととなる。

【０００５】従来のマルチング式芝刈機は、芝を最初に
刈り、微細化のため再切断するために様々な構成が採用
されている。例えば切刃を内蔵する切断チャンバをトロ
イダル形状とし、切断チャンバ内で刈取られた芝片を動
かす空気流を生じさせている。そして刈取られた芝片
は、芝生上に堆積される前に切刃により複数回切断され
る。

【０００６】また米国特許第４，９５１，４４９号に記
載される構成では、切断チャンバの内壁に沿って配置さ
れた複数のキッカーと称する平面部材が設けられ、刈取
られた芝片は該平面部材により切刃方向に偏向され切刃
を通過する。切刃により微細化された微小片は切刃によ
り更に芝生上に向けられる。その他の例として、複数の
切刃又は切断要素の切断動作を促進させる構成を採用し
ている。

【０００７】更に従来のマルチング式芝刈機の切刃につ
いては、米国特許第３，０８５，３８６号及び米国特許
第４，１８９，９０３号に記載されている。これらの発
明ではマルチング式芝刈機の刃上に大きな空気流発生用
のフォイル又はセール部材を設けている。

【０００８】米国特許第４，３１８，２６８号にも電動
マルチング式芝刈機が開示されている。ここでは、同心
型スカート壁によって境界付けられるトロイダル形状の
切断チャンバを設け、電気モータにより駆動されるシュ
ーティング無しの回転マルチング式芝刈機について記載
している。このマルチング式芝刈機の切刃は、切刃が回
転している間上方への空気流を生じさせるための上方捻
れ部分が設けられている。マルチング式切刃はまた、切
刃を通過して芝の切片を下方の芝生上に落とすために下
方空気流を生じさせるための下方捻れ部分も設けてい
る。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】従来のマルチング式芝
刈機では、切断チャンバ内に芝の切片を保持すること、
及びマルチング工程において該切片を複数回切断断する
必要があることから、非マルチング式芝刈機と比較し
て、切刃を駆動する駆動源に大きな負荷が課されること
になる。そのため、一次駆動源として電気モータを用い
るマルチング式芝刈機は、内燃エンジンを用いるマルチ
ング式芝刈機よりも馬力が小さいために特有の問題に直
面する。

【００１０】非マルチングのシュート式芝刈機には、通
常はハウジング上に位置する排出シューティング路に接
線方向の空気流が生じる。これとは対照的に、シューテ
ィングの設けられていないマルチング芝刈機は、切断チ
ャンバ内部には空気流が生じ難く、そのためシューティ
ング式非マルチング芝刈機のように簡単に熱を放散させ
ることができない。

【００１１】以上のように、切断要素を回転させるため
の一次駆動源として電気モータを用いるマルチング式芝
刈機を設計する場合には、電気モータに関連する固有の
問題に対処する必要がある。まず動作時に切断要素によ
り生じる全体的な抵抗力について配慮しなければならな
い。従来のマルチング式の切刃を設計する場合には、マ
ルチング式芝刈機の切断チャンバ内に上方への空気流を
生じさせるためにフォイル部材又はセール部材が設けら
れることがある。この空気流により、芝切片を切断チャ
ンバ内全体に分配させ循環させて、該切片が芝生上に堆
積される前に多数回切断が受けられるようにしている。

【００１２】また米国特許第３，０８５，３８６号及び
米国特許第４，１８９，９０３号に記載された芝刈機の
刃上に大きな空気流発生用のフォイル又はセール部材を
設けると、通常の芝刈機と比較して切刃を駆動するため
に大きな馬力を必要とする。また芝切片を浮遊させるの
に必要な空気流を生じさせるために、空気抵抗に打ち勝
つような切刃を回転させるための馬力が更に必要とな
る。

【００１３】米国特許第４，３１８，２６８号は更に、
電気モータを用いた電動マルチング式芝刈機にも言及し
ている。しかし、バッテリー駆動の電動マルチング式芝
刈機を設計する場合に直面する重要な問題には触れてい
ない。マルチング式芝刈機に必要な馬力を得るという観
点から、これまでにバッテリー駆動のマルチング式芝刈
機は実現されていない。というのも、マルチング式芝刈
機が要求する電気エネルギーに対して、バッテリー電源
の寸法及び重量が問題となるからである。平均的な寸法
の芝を刈取り細分化するために、電動マルチング式芝刈
機に連続的にエネルギーを供給するに十分な電気エネル
ギー蓄電容量を備えたバッテリー源は、実際に消費者が
使用するには余りに大きく余りにも重いものとなるから
である。

【００１４】従って本発明は、一次駆動源として電動モ
ータを用い、刈取られた芝を効率よくマルチングするこ
とが可能な電動マルチング式芝刈機用の新規かつ改良さ
れた切刃を提供することを目的とする。

【００１５】本発明の他の目的は、刈取られた芝を効率
よくマルチングすることが可能であり、マルチング切刃
を駆動するために必要な馬力を減じることによりバッテ
リー駆動の芝刈機の全体的な刈取り時間を延長すること
が可能な新規かつ改良されたマルチング用切刃を提供す
ることにある。

【００１６】本発明のその他の目的は、刈取られた芝を
切断面を通過させて芝生上に強制付勢させるための空気
流を切断チャンバ内に生じさせることが可能な新規かつ
改良されたマルチング用切刃を提供することにある。

【００１７】本発明のその他の目的は、芝片（クリッピ
ング）を芝生に強制付勢しつつも、電動源に大きな抗力
や負荷が作用することなく空気流を生じさせることが可
能な新規かつ改良されたマルチング式切刃及びハウジン
グ備えたマルチング式芝刈機を提供することにある。

【００１８】本発明のその他の目的は、トロイダル形状
の切断チャンバ内において空気流を形成して芝片を強制
的に内側上方に指向させる比較的短い端部と、切断面で
芝片を下方に引き込むための中間部分とを備えたマルチ
ング切刃と、ハウジングとの新規かつ改良された組合せ
構成を提供することにある。

【００１９】本発明のその他の目的は、芝片を芝生上に
効率よく引き落とすために使用されかつ切刃の機械的強
度を上げるために、切刃の中間部分に沿って長尺リブを
配置し、それにより切刃を駆動するために必要な馬力を
最小限にする目的から肉厚の薄い切刃とすることが可能
な、新規かつ改良されたマルチング式切刃及びハウジン
グの構成を提供することにある。

【００２０】

【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
め本発明は駆動軸１８を有する電動モータ１６と、該電
動モータ１６に電力供給するためのバッテリー電源６６
収容部と、該電動モータ１６を支持し、トロイダル形状
の内側切断チャンバ６４を備えたハウジング１２と、回
転軸３０を備えた切刃とを有し、芝を切断するため該切
刃が該駆動軸１８に固定され、該切刃は該切刃の該回転
軸３０周りを該トロイダル形状の内側切断チャンバ６４
内において回転可能な複数の切刃部１４を有し、該切刃
部１４の端部３２は芝切断手段３８、４６と該切刃の回
転時に切断された芝片を上方内側に指向させるための指
向手段３２、５４とを備え、各切刃部１４は更に該回転
軸３０と該端部３２との間に位置する中間部３４を備
え、該中間部３４は前縁４６と後縁４８とを備え、該中
間部３４は更に該前縁４６と該後縁４８との間に配置さ
れ半径方向に延びる長尺リブ４４を備えているマルチン
グ式芝刈機を提供している。

【００２１】好ましくは該ハウジング１２は、外側の環
状頂部壁部分５８と中央に向けて傾斜する内側の傾斜頂
部壁部分６０とを備え、該環状頂部壁部分５８は上方に
突出する円弧状断面を有し、該傾斜頂部壁部分６０と該
環状頂部壁部分５８とが一体となってトロイダル形状の
内側切断チャンバ６４を形成している。

【００２２】本発明は更に、芝や草を刈取るため芝生面
に対してほぼ垂直な回転軸３０周りを回転するように構
成されたマルチング式芝刈機用切刃において、該回転軸
から半径方向に延びる複数の切刃部１４から構成され、
各々の切刃部１４は先端に設けられた端部３２と、該端
部３２と該回転軸３０との間に形成された中間部３４と
が設けられ、該端部３２には芝切断手段３８、４６と該
切刃部１４の回転時に切断された芝片を芝生から離れる
方向に付勢する上方気流発生手段３２、５４とが具備さ
れ、該中間部３４は該回転軸３０にほぼ垂直な回転平面
内に位置し、ほぼ該回転平面内に位置する前縁４６と後
縁４８と、該前縁４６と後縁４８との間にあって該回転
平面から下方に突出し半径方向に延びる長尺リブ４４と
を備え、該長尺リブ４４は該切刃部１４の回転時に切断
された芝片を芝生方向に向けるための偏向手段を形成す
るマルチング式芝刈機用切刃を提供している。

【００２３】

【作用】本発明のマルチング式芝刈機によれば、切刃部
の端部によって芝生を刈取りかつ切刃の回転時に上昇空
気流を生じさせる。前縁と後縁との間にある中間部は切
刃の回転軸にほぼ直角な平面内にあるが、そこから下方
に突出した長尺リブが一体的に形成され、切刃の回転時
に刈取られた芝片を芝の方向に偏向させるように機能す
る。このような芝片の流れは切刃部を取り囲むハウジン
グ形状との協働により確保される。

【００２４】

【実施例】本発明の切刃及びマルチング式芝刈機の一実
施例について図面に基づき説明する。図１においてマル
チング式芝刈機１０はハウジング１２と、切刃１４と、
切刃を回転させるための駆動源とから構成され、駆動源
はバッテリー電源による電動モータである。図２には、
ハウジング１２上に設置された電動モータ１６と、バッ
テリー６６と、スイッチ６８が示されている。駆動軸１
８が電動モータ１６から下方に延出し、切刃１４の開口
２０を貫通している。図２に示すように、インデックス
ワッシャ２２が、切刃１４の上部に配置されている切刃
スペーサ２４の上部に設けられる。切刃１４は切刃保持
具２６とナット２８により駆動軸１８に固定されてい
る。

【００２５】切刃１４は図２に示すように中心軸３０を
有する。切刃１４は中心「Ｃ」に対して対称形をなして
いる。動作時の切刃の回転方向は、図３に矢印「Ｄ」で
示している。切刃１４は端部３２と中間部３４から構成
される。端部３２の長さは図２及び図３において「Ｅ」
により示されている。端部３２は刃先３８を形成する傾
斜面部３６を備えている。

【００２６】中間部３４も刃先４２を形成する傾斜面部
４０を備えている。図５に示すように、傾斜面部３６及
び４０の角度αは好ましくは約２５゜ないし３５゜の範
囲であり、更に好ましくはαは３０゜である。

【００２７】動作時、駆動源により切刃が回転し、刈取
り動作のほとんどは端部３２においてなされる。芝がハ
ウジング１２の下に来ると刃先３８により刈取りが行な
われる。切刃１４は好ましくは０．１２５インチ乃至
０．１４５インチの範囲の厚みを有しており、冷間圧延
鋼ＳＡＥ等級１０Ｂ３８により形成される。

【００２８】長尺リブ４４が中間部３４の前縁４６と後
縁４８の中間に位置している。リブ４４は、図５に示す
ように第１の傾斜面５０と第２の傾斜面５２を有してい
る。セール部材５４が、図３に示すように、切刃１４の
端部３２上において中間部と対向するように配置されて
いる。セール部材５４は、切刃の後縁４８に対して角度
φ分傾斜した折れ線に沿って上方に切刃の端部の隅を折
り曲げることにより形成され、この場合角度φは約４５
゜である。また図６に示すように、セール部材５４は角
度βが４０゜ないし５０゜の範囲に端部３２位置で折り
曲げられる。好ましくは角度βは４５゜である。切刃１
４の端部３２は図３に示すように、角度γだけ中間部３
４からずれている。角度γは７゜ないし１２゜の範囲に
あり、好ましくは角度γは１０゜である。

【００２９】セール部材５４は、刈取られた芝切片の上
昇を促進するためのものである。しかしながら、セール
部材を設けない切刃を製造することも可能である。セー
ル部材を省略する場合には、芝切片の上昇や微細粉効果
は減少するが負荷が低減するので、所与のモータ寸法及
びバッテリー容量に対する刈取り可能時間を延ばすこと
ができる。

【００３０】本実施例の切刃の特有の構成により、切刃
を回転させるために使用される駆動源にかかる負荷又は
抵抗力が大幅に減じられ、芝切片微細粉化のための切刃
としても効果的に動作する。端部３２が、図７に角度Δ
で示すように、約１０゜切刃の回転面から上方に角度を
もって設けられる。端部３２を角度Δをもって設けるこ
とにより切刃の回転時に上昇気流が生じ、それにより刃
先３８により最初に切断された芝が切断チャンバの頂部
に送られる。本実施例においては、角度Δは約８゜ない
し１０゜である。

【００３１】動作時刈取られた芝片は、リブ４４により
生じた下方への気流により中間部３４に設けられた刃先
４２の方向へ引き込まれる。即ち切刃１４の回転によ
り、リブ４４が図２に矢印で示すような気流を発生させ
る。はじめに上方に方向づけられた芝片はこの下方への
気流により、次の切断経路に乗り、刃先４２にて再切断
を受ける。端部３２とセール部材５４による上方内側へ
の気流とリブ４４による下方への気流の組合わせによ
り、空気と芝片のトロイダル状の流れが容易に形成さ
れ、芝切片の再切断及び堆積等の「マルチング処理」が
効果的に行われる。

【００３２】従来のマルチング式芝刈機の切刃と比較し
て、本発明のマルチング式芝刈機の切刃は低い輪郭を有
しており、そのことにより切刃の回転により受ける空気
抵抗を減らし切刃を駆動する駆動源に作用する抵抗力や
負荷を少なくしている。かかる構造によると駆動源が少
ない馬力しかない場合に特に効果的であり、また、搭載
されるバッテリー電源により電動モータが駆動される場
合にはさらに効果的である。

【００３３】上述のようにマルチング式芝刈機は、芝を
芝生上に散らす前に刈られた芝片を循環させ再切断する
必要があるので、標準的な排出式芝刈機よりも通常は大
きな馬力を必要とする。またそのことにより電動タイプ
とりわけ電池を電源とする電動タイプのマルチング式芝
刈機の場合には馬力確保が困難である。本発明は刈取ら
れた芝に効果的にマルチング処理を施す際に、切断要素
を駆動するために用いられる駆動源への負荷を減じるこ
とが可能な最適な低い輪郭を有するマルチング式芝刈機
の切刃を使用することにより、これらの障害を克服して
いる。更に、本発明のマルチング式芝刈機の切刃は、切
刃の回転時に芝偏向部材として機能するばかりでなく切
刃を構造的に強化するようにも機能する長尺のリブを備
えるように構成される。この構造強化によりマルチング
切刃の全体的な耐用年数を延長することができる。

【００３４】図３及び図４に示すマルチング式切刃の好
適な実施例においては、端部３２の長さ「Ｅ」は切刃の
長さ「Ｌ」の約１７％である。切刃に作用する相対的な
抗力を最小に保ちつつ、芝片（クリッピング）にマルチ
ング処理を施すためには、約１５％乃至２０％の範囲に
することが効果的である。切刃全体に対して比較的小さ
な部分によりマルチング工程に必要な上方内側への気流
を形成しやすくしており、その結果、切刃の回転面に対
して接線方向の面積部分を小さくすることができる。こ
の小さな接線方向面積部分は、切刃の回転に対する空気
抵抗又は抗力を減じるのに効果があり、本発明のマルチ
ング切刃に低い輪郭を具備させている。

【００３５】従来のマルチング切刃は、切刃全長の１／
４乃至１／２に及ぶセール部材又はエアフォイル部分を
有している。しかし本発明では図４に示すように、鋭角
な下方屈曲切刃部５６が、中間部３４と端部３２の間に
短く配置されており、本発明の低い輪郭の切刃の特徴の
一部をなす。この鋭角下方屈曲切刃部５６は、長さが短
く形成されているので、切刃の回転時に生じる抗力は小
さいものとなる。

【００３６】長尺リブ４４は中間部３４から下方に延
び、切刃の回転時に下方気流を生じさせる。そのことに
より芝の切片を再切断平面に再度引き込んで、芝の切片
を芝生の方に向けている。長尺リブ４４は、第１の傾斜
部分５０と第２の傾斜部分５２とから構成される。第１
の傾斜部分５０と第２の傾斜部分５２の傾斜角度は、切
刃の回転時に駆動源にかかる抗力を減じるように構成さ
れる。回転面からそれているリブ４４の全表面積は、下
方気流生成部材を有する従来の切刃構成と比較して、相
対的に小さいものである。長尺リブ４４は切刃の全長の
約４０乃至４５％にわたって延設され、切刃の回転時に
十分な下方流を生じさせる。図３に示す本発明の実施例
では、切刃の全長の４２％にわたる長尺リブ４４が延設
されている。

【００３７】本発明の実施例においては、第１の傾斜部
分５０は切断平面に対して傾斜角度θを有するように形
成され、これは、図５に示すように、第２の傾斜部分の
傾斜角度λよりも小さい。本発明の実施例では、切刃の
回転面からの傾斜角度θを１５゜とし回転面からの第２
の傾斜角度λを５０゜としている。

【００３８】長尺リブ４４の低い輪郭要素と、下方流を
生じさせるために用いられてきた従来の部材とは極めて
対比的である。従来の切刃も再度再切断平面を通るよう
に芝の切片を引き込むに十分な下方気流を生じさせるた
めの長尺部材を有していたが、切刃を駆動するのに必要
な相対的な駆動限の馬力を問題にしてはいなかった。従
来は内燃機関を用いており、切刃を駆動するために十分
な馬力を有していたからである。

【００３９】長尺リブ４４の低い輪郭特性に加えて、該
リブ４４は切刃１４を構造的に強化し、使用時に切刃の
破損を生じにくくしている。この補強特性のために、切
刃の肉厚を小さくすることができ、薄い肉厚の切刃１４
を製造することで、切刃の回転時に電動駆動源に作用す
る負荷をさらに減じることができる。

【００４０】図２は、切刃１４の上に配置されるハウジ
ング１２を備えた本発明の好適な実施例を示している。
ハウジング１２は環状の外側頂部壁部分５８と中央側に
配置される傾斜内側頂部壁部分６０を備えている。環状
頂部壁部分５８は上方に延びる円弧状断面６２を有す
る。傾斜頂部壁部分６０は環状頂部壁部分５８と共にト
ロイダル形状の内側切断チャンバ６４を形成する。

【００４１】図８は、延長曲線部分１６６と接続部分６
８を備えたハウジング１２の一部を示している。延長曲
線部分１６６は最初に芝に接触し、トロイダル形状の切
断チャンバ６４に芝が導入される前に芝を曲げるように
作用する。芝は端部３２の切断縁３８により切断される
前で接続部分６８の下を通過した後瞬間的に直立する。

【００４２】切刃１４の端部３２は内側頂部壁部分６０
の下方に配置される。端部３２は芝の切片を、図２に示
すように、環状頂部壁部分５８に向けて上方内側に方向
付ける。中間部３４は内側頂部傾斜壁部分６０の下に設
けられる。芝がトロイダル形状の切断チャンバ６４内を
上方内側に移動するにつれて、図２に示すように長尺リ
ブ４４により芝の切片が回転する切刃１２の切断経路を
通して下方に引き込まれ、芝生上に押される。

【００４３】芝の切片及び気流の方向は、トロイダル形
状の切断チャンバ６４内において図２に示すような矢印
で示されている。本発明に基づいて構成された切刃１４
とトロイダル形状の切断チャンバ６４組合せにより、芝
の切片を搬送するための内側トロイダル状の気流が生
じ、そのことにより切片はマルチング工程に付される。

【００４４】切刃及びトロイダル形状の切断チャンバと
の組合せにより、マルチング工程の間駆動源に作用する
全体的な負荷を減じることができる。環状外側頂部壁部
分５８と内側傾斜頂部壁部分６０は、切断された芝の切
片の偏向手段として作用して、マルチング処理をするた
めにマルチング式芝刈機の切刃の回転により生じたトロ
イダル形状の内側切断チャンバ内の気流により芝の切片
を搬送し方向付ける際に、芝は該壁部分５８、６０に接
触したり跳ね返される。これにより、駆動源の馬力要求
がさらに減じられ、バッテリー駆動の電動マルチング式
芝刈機の場合には、芝刈機の刈取り時間を延長可能にす
ることができる。

【００４５】図２に示す実施例では、電動モータ１６を
駆動するためのバッテリー６６とスイッチ６８が使用さ
れている。前述のように、マルチング用切刃１４とハウ
ジング１２の構成により、動作時に電動モータ１６に作
用する全負荷を減じている。電動モータ１６は、最大出
力が１乃至２馬力、最適には１．５馬力の永久磁石式２
４ボルト直流モータである。モータの動作は従来のオン
オフリレースイッチにより制御され、これは従来より知
られているように切刃遮断器としても機能する。バッテ
リー６６は当業界において通常使用される密封型鉛蓄電
池であるのが好ましい。バッテリーの充電容量は好まし
くは１０ないし２０アンペアであり、最も好ましくは１
５アンペアである。本発明による高効率のマルチング式
切刃は、所要の切刃直径及び芝刈機動作時間に対して比
較的小さなバッテリーを用いることを可能にしている。

【００４６】請求項に記載された以外の実施例の特徴は
以下のとおりである。該前縁が芝を再切断するための切
縁を形成する傾斜部分を備えており、該切縁が該中間部
の半径方向延長部にわたり延びていること。該長尺リブ
は前記中間部と一体に構成されていること。該長尺リブ
が該切刃の該中間部を補強する補強部材を構成するこ
と。該端部が該長尺リブよりも短いこと。該端部の長さ
が該切刃部の長さのほぼ１７％であること。該長尺リブ
の長さが該切刃部の長さのほぼ４２％であること。該長
尺リブは該前縁の方向に延びる第１の傾斜面と該後縁の
方向に延びる第２の傾斜面とを備え、該中間部の平面に
対する該第１の傾斜面の傾斜角度が該中間部の平面に対
する該第２の傾斜面の傾斜角度よりも小さいこと。該回
転平面に対する該第１の傾斜面の傾斜角がほぼ１５゜で
あること。該回転平面に対する該第２の傾斜面の傾斜角
がほぼ５０゜であること。該切刃の端部が該上方気流を
発生する方向に該中間部の平面からほぼ１０゜の角度を
有する面を有すること。該端部は該中間部の反対側にお
いてセール部材を有し、該セール部材は該中間部の平面
からほぼ４５゜の角度で上方に傾斜していること。該切
刃が電動モータにより駆動されること。該電動モータは
バッテリー電源に接続されること。該中間部が該切刃の
該回転軸に対して概ね垂直の平面内にあるほぼ平坦な平
面で構成され、該長尺リブは該平面から下方に向けて突
出する傾斜壁部分を設け該切刃の回転時に切断された芝
片を該トロイダル形状の内側切断チャンバから芝生に向
けて偏向させるための偏向手段をなすこと。該電動モー
タが１〜２馬力の範囲の出力を有する永久磁石型直流モ
ータであること。該バッテリー電源がモータ馬力の定格
の８乃至１２倍の充電容量を備えた再充電可能なバッテ
リーであること。該端部が該上昇気流を発生する方向に
該中間部の平面からほぼ１０゜の角度を有する平面にて
構成されること。該端部は該中間部の反対側にセール部
材を有し、該セール部材がほぼ４５゜の角度で該平面か
ら上方に傾斜していること。

【００４７】

【発明の効果】電動モータに作用する全体的な負荷を減
じることにより、バッテリー電源を使用する刈取り時間
を延長することが可能になる。動作する刈取り時間の延
長により、本発明のマルチング式芝刈機に対する全体的
な需要が拡大する。本発明の芝刈機を使用することで、
各種面積の芝生を有する消費者は、芝刈機を動作するた
めに使用されるバッテリー電源の偶発的な消耗に過度の
注意を払わなくともよい。１８インチの切刃を実装した
本発明のマルチング式芝刈機は、芝生が湿っておらず、
長すぎなければ、一回のバッテリー充電で１／２エーカ
ーの敷地の芝生を刈取ることが可能である。従来ガソリ
ン駆動の芝刈機のみが実用的な芝の刈取り手段であると
考えられてきが、高い効率の切刃を備えた本発明のマル
チング式芝刈機は、バッテリー駆動の芝刈機を駆動させ
るための一回のバッテリー充電で様々な状態の芝生を刈
取ることができる。なお上述した実施例に沿って本発明
を詳細に説明してきたが、特許請求の範囲に記載された
本発明の範囲内において種々の変更及び修正をなすこと
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施例によるマルチング式芝刈機の
底面側の平面図。

【図２】図１の２−２線に沿った部分断面図。

【図３】本発明の切刃の平面図。

【図４】図３の切刃の側面図。

【図５】図３の５−５線に沿った切刃の断面図。

【図６】図３の６−６線に沿った切刃の断面図。

【図７】図４の７−７線に沿った切刃の部分端面図。

【図８】図１の８−８線に沿った部分断面図である。

【符号の説明】

１０ マルチング式芝刈機 １２ ハウジング １４ 切刃 １６ 電動モータ １８ 駆動軸 ３０ 回転軸 ３２ 端部 ３４ 中間部 ４４ 長尺リブ ４６ 前縁 ４８ 後縁 ５８ 環状頂部壁部分 ６０ 内側頂部壁部分 ６２ 円弧状断面 ６４ 切断チャンバ ６６ バッテリー

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 駆動軸を有する電動モータと、 該電動モータに電力供給するためのバッテリー電源収容
   部と、 該電動モータを支持し、トロイダル形状の内側切断チャ
   ンバを備えたハウジングと、 回転軸を備えた切刃とを有し、芝を切断するため該切刃
   が該駆動軸に固定され、該切刃は該切刃の該回転軸周り
   を該トロイダル形状の内側切断チャンバ内において回転
   可能な複数の切刃部を有し、該切刃部の端部は芝切断手
   段と該切刃の回転時に切断された芝片を上方内側に指向
   させるための指向手段とを備え、各切刃部は更に該回転
   軸と該端部との間に位置する中間部を備え、 該中間部は前縁と後縁とを備え、 該中間部は更に該前縁と該後縁との間に配置され半径方
   向に延びる長尺リブを備えていることを特徴とするマル
   チング式芝刈機。
2. 【請求項２】 該ハウジングは、外側の環状頂部壁部分
   と中央に向けて傾斜する内側の傾斜頂部壁部分とを備
   え、該環状頂部壁部分は上方に突出する円弧状断面を有
   し、該傾斜頂部壁部分と該環状頂部壁部分とが一体とな
   ってトロイダル形状の内側切断チャンバを形成すること
   を特徴とするマルチング式芝刈機。
3. 【請求項３】 芝や草を刈取るため芝生面に対してほぼ
   垂直な回転軸周りを回転するように構成されたマルチン
   グ式芝刈機用切刃において、 該回転軸から半径方向に延びる複数の切刃部から構成さ
   れ、各々の切刃部は先端に設けられた端部と、該端部と
   該回転軸との間に形成された中間部とが設けられ、 該端部には芝切断手段と該切刃部の回転時に切断された
   芝片を芝生から離れる方向に付勢する上方気流発生手段
   とが具備され、 該中間部は該回転軸にほぼ垂直な回転平面内に位置し、
   ほぼ該回転平面内に位置する前縁と後縁と、該前縁と後
   縁との間にあって該回転平面から下方に突出し半径方向
   に延びる長尺リブとを備え、該長尺リブは該切刃部の回
   転時に切断された芝片を芝生方向に向けるための偏向手
   段を形成することを特徴とするマルチング式芝刈機用切
   刃。