JPH0678110B2 - ドラム缶のバンド拡開装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はドラム缶の蓋を締め付けているバンドを自動的
に拡開することができるドラム缶のバンド拡開装置の改
良に関するものである。

（従来の技術） 原子力発電所等から発生する雑固体廃棄物はドラム缶に
収納した状態で一次的に保管されたうえ、ドラム缶から
取り出して焼却処理や固化処理がなされるのが普通であ
るが、この際にはドラム缶の蓋を締め付けているバンド
を拡開する必要がある。従来、この作業は人手によって
行われていたが、作業員の被曝を避けるために自動化す
ることが望まれていた。

このため出願人は特開昭59-226900号公報に示されたと
おりのドラム缶のバンド自動拡開装置を既に開発してい
る。この装置は自動的にバンドの端部を押し拡げる一対
の拡開爪を持つものであるが、バンドの円周上の一箇所
だけで拡開が行われるので拡開爪の裏側方向にはバンド
が拡がらず、この部分でひっかかりを生じ易い問題があ
った。そこで出願人はドラム缶の蓋の上面に、先端部に
ドラム缶のバンドと係合する拡開爪を備えた多数の軸を
放射状に設け、全周方向にバンドの拡開ができるように
した装置を先に発明し、特願昭63-290839号として出願
済みである。

この出願の装置は第５図及び第６図に示されるように、
放射状の軸の先端に縦軸（14）を弾性的に支持させ、こ
の縦軸（14）の下端に拡開爪（16）を取付けたもので、
一方その外側には下端にバンド受けローラー（19）を備
えた多数の軸（18）を内側に向かって弾発されるように
設けて拡開爪（16）により拡開されたバンドＢをバンド
受けローラー（19）によって受ける構造のものであり、
バンド拡開の効果は十分にあった。しかしながら、この
出願の装置では、いかなるバンドの取付状態並びにバン
ドの制作寸法を考慮した場合、第５図のようにバンドＢ
が外れてバンドＢを均一に受けることができない場合が
あることや、バンドＢの寸法誤差によっては第６図に示
すようにバンドに拡開爪（16）が正しく掛からず、拡開
機能が発揮されない場合のあることが判明した。

（発明が解決しようとする課題） 本発明は上記した問題点を解決して、拡開されたバンド
Ｂをつねに正しくバンド受けローラーで受けて均一な拡
開を可能とし、またバンドＢに寸法誤差のある場合にも
正確な拡開が可能なドラム缶のバンド拡開装置を提供す
るために完成されたものである。

（課題を解決するための手段） 上記の課題は、ドラム缶の蓋の上方に位置する支持板の
下面に、先端部にドラム缶のバンドＢと係合する拡開爪
を備えた多数の軸を放射状に設けるとともに、この支持
板の外周部には下端にバンド受けローラーを備えた多数
の軸を設け、また各拡開爪の上部に外側に向かってほぼ
水平に伸びるシャフトを突設して、各シャフトを各軸の
バンド受けローラーの上部に透設されたスリットに貫通
させたことを特徴とするドラム缶のバンド拡開装置によ
って達成することができる。

以下に本発明を図示の実施例によって詳細に説明する。

（実施例） 第１図は本発明のバンド拡開装置を備えたドラム缶の蓋
開き装置の全体を示す図であり、（１）はフレーム、
（２）はドラム缶移送用のコンベヤ、（３）はコンベヤ
（２）からドラム缶を持ち上げるためのテーブル、
（４）はドラム缶の胴部センタリング機構、（５）はド
ラム缶の首部センタリング機構である。（６）はフレー
ム（１）の上部からドラム缶の蓋の上方に位置するよう
に吊り下げられた平板であり、シリンダ（6a）によって
上下動することができる。そしてこの平板（６）の下方
に支持板（７）がスプリングを介して弾性的に支持され
ている。支持板（７）は第２図と第３図に示されるよう
な略円板形状のもので、本発明のバンド拡開装置はこの
支持板（７）上に設けられている。

これらの図面に示されるように、支持板（７）の中央に
は星型のカム（８）が設けられており、このカム（８）
を中心として放射状に多数（実施例では５本）の軸
（９）が配置されている。各軸（９）の基端はカムロー
ラ（10）によってカム（８）と接しており、カム（８）
がシリンダ（11）によって所定角度だけ回転されると、
各軸（９）は同時に外側へ突出することができる。また
各軸（９）の先端にはブラケット（12）が取付られてお
り、その内部にスプリング（13）により縦軸（14）が支
持されている。そしてこの縦軸（14）の下端には、第４
図に拡大して示したように止め輪（15）と拡開爪（16）
とが取付けられている。

一方、支持板（７）の周囲にはスプリング（17）により
所定位置まで内向きに弾発されている多数の軸（18）が
設けられており、各軸（18）の下部にはバンド受けロー
ラー（19）が取付けられている。

第４図に示したように、本発明では各軸（18）のバンド
受けローラー（19）の上部にスリット（20）が透設され
ている。また前記の各拡開爪（16）の上部の止め輪（1
5）の側面には外側に向かってほぼ水平に伸びるシャフ
ト（21）が突設されており、各シャフト（21）は各軸
（18）のバンド受けローラー（19）の上部に透設された
スリット（20）に貫通されている。

なお、（22）は支持板（７）の下面に突設されたドラム
缶の蓋との接触子、（23）は支持板（７）に本発明のバ
ンド拡開装置とは独立に設けられたナットランナーであ
る。

（作用） 次に上記の装置の作動を説明する。

まずコンベヤ（２）により搬送されてきた蓋がされたド
ラム缶が第１図に示すようにテーブル（３）により持ち
上げられ、ドラム缶の胴部センタリング機構（４）によ
りセンタリングされる。この状態でシリンダ（6a）が作
動し、支持板（７）の下面に設けられた接触子（22）が
ドラム缶の蓋と接するまで平板（６）と支持板（７）が
下降し、同時に首部センタリング機構（５）がドラム缶
の首部をセンタリングする。

このように支持板（７）が下降すると、支持板（７）の
外周部に設けられた多数の軸（18）の下端のバンド受け
ローラー（19）は第３図、第４図のようにドラム缶のバ
ンドＢの外側に位置することとなる。また支持板（７）
の下面に放射状に設けられた多数の軸（９）の先端部の
拡開爪（16）がドラム缶のバンドＢの内側に位置するこ
ととなる。このとき、本発明においては各拡開爪（16）
の上部に外側に向かってほぼ水平に伸びるシャフト（2
1）を突設してあるので、仮にバンドＢに多少の寸法誤
差のある場合にもバンドＢの上端部はこのシャフト（2
1）に押さえられて第４図のように正しく拡開爪（16）
と同一高さの位置を取る。

次にナットランナー（23）が自動的にバンドＢを締め付
けていたボルトを緩める。ナットランナー（23）の構造
は本発明と直接の関係がなく、また従来技術の説明の項
で述べた公開公報に記載されているので、説明を省略す
る。

次にバンド拡開装置のカム（８）がシリンダ（11）によ
って所定角度だけ回転されると、その周囲に設けられて
いる各軸（９）は同時に外側へ動き、各軸（９）の先端
部の拡開爪（16）がドラム缶のバンドＢの内側に係合し
てバンドＢを均一に拡径する。この際にもバンドＢはシ
ャフト（21）にガイドされつつ第４図に破線で示すよう
に正しくバンド受けローラー（19）の内部に移動し、バ
ンドＢを受けたバンド受けローラー（19）はその軸（1
8）のスプリング（17）の弾発力に逆らって軸（18）と
ともに外向きに揺動する。なおシャフト（21）は軸（1
8）のバンド受けローラー（19）の上部に透設されたス
リットに貫通されているので、このような軸（18）の移
動を妨げない。従って本発明によれば、拡径されたバン
ドＢを均一状態を保ったままでバンド受けローラー（1
9）に保持させることができ、従来のようなひっかかり
を生ずるおそれがない。

その後、シリンダ（6a）により支持板（７）を上昇させ
れば、バンドＢは蓋から自動的に外されることとなり、
また電磁石等によって蓋をドラム缶から開くことが可能
となる。

（発明の効果） 以上に説明したように、本発明のバンド拡開装置は、各
拡開爪の上部に外側に向かってほぼ水平に伸びるシャフ
トを突設し、各シャフトをバンド受けローラーの上部に
透設されたスリットに貫通させたことにより、バンドＢ
に寸法誤差のある場合にも正確な拡開を可能とし、また
拡開されたバンドＢをつねに正しくバンド受けローラー
で受けて均一な拡開を可能としたものである。よって本
発明は従来の問題点を解決したものとして、産業の発展
に寄与するところは極めて大きいものがある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のバンド拡開装置を含む蓋開き装置全体
を示す正面図、第２図は本発明部分の平面図、第３図は
その断面図、第４図は要部の拡大断面図、第５図と第６
図は従来のバンド拡開装置の要部の拡大断面図である。 （７）：支持板、（９）：軸、（16）：拡開爪、（1
8）：軸、（19）：バンド受けローラー、（20）：スリ
ット、（21）：シャフト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ドラム缶の蓋の上方に位置する支持板
   （７）の下面に、先端部にドラム缶のバンドＢと係合す
   る拡開爪（16）を備えた多数の軸（９）を放射状に設け
   るとともに、この支持板（７）の外周部には下端にバン
   ド受けローラー（19）を備えた多数の軸（18）を設け、
   また各拡開爪（16）の上部に外側に向かってほぼ水平に
   伸びるシャフト（21）を突設して、各シャフト（21）を
   各軸（18）のバンド受けローラー（19）の上部に透設さ
   れたスリット（20）に貫通させたことを特徴とするドラ
   ム缶のバンド拡開装置。