JPH0672129U - 硬質照光式押釦スイッチ用カバー部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 本考案は着色遮光層が摩耗、剥離、汚染する
ことがなく、キートップ部が硬度をもつ硬質照光式押釦
スイッチ用カバー部材の提供を目的とするものである。 【構成】 本考案の硬質照光式押釦スイッチ用カバー部
材は照光式押釦スイッチ用カバー部材のキートップ部２
天面上に文字、意匠層を設けた透視性の着色がなく透明
な硬質プラスチック層７を接着一体化して設けてなるも
のである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は硬質照光式押釦スイッチ用カバー部材、特にはキートップ部天面に所 定形状に穿設された透光部を有し、着色遮光層が摩耗、剥離、汚染することのな い、キートップ部が硬度をもつ硬質照光式押釦スイッチ用カバー部材に関するも のである。

【０００２】

【従来の技術】

照光式押釦スイッチ用カバー部材については、図４に示したようにキートップ 部22、薄肉部23、ベース部24、導電性接点部25からなる押釦スイッチ用カバー部 材21のキートップ天面部に透光性着色層28を設け、その上からさらに全表面部に 着色遮光層26を設けると共に、キートップ部の天面に文字、記号、絵柄などの符 号27を設け、その下部に光源（図示せず）を配置し、その光によってキートップ 部に設けられている文字、記号、絵柄などの符号27などを暗所でも視認できるよ うにしたものが汎用されている。なお、図中の29は貫通孔である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、この種の照光式押釦スイッチ用カバー部材については、遮光性インキ または塗料で作られた着色遮光層26が使用しているうちに摩耗したり、先端のと がったもの、例えばシャープペンシルの先端で突いたり、カッターの刃があたる と剥落したり、破れたりして遮光性が失われるという不利があるし、これはまた 使用中に汚れて美観が失われるという問題点もある。

【０００４】 そのため、本考案者らはさきにこの照光式押釦スイッチ用カバー部材のキート ップ部天面の着色遮光層上に耐摩耗性向上層としての透視性硬質プラスチック層 を設けたものを提案している（特願平 5-29910号明細書参考）が、この種の硬質 照光式押釦スイッチ用カバー部材はその着色遮光層が遮光性インキまたは塗料な どの塗布によって設けられるために、キー色について一色しか選択できず、多種 のキー色とすることができないという欠点がある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案はこのような不利、問題点を解決した硬質照光式押釦スイッチ用カバー 部材に関するもので、これは照光式押釦スイッチ用カバー部材のキートップ部天 面上に文字、意匠層を設けた透視性の着色ないし透明な硬質プラスチック層を接 着一体化して設けてなることを特徴とするものである。

【０００６】 すなわち、本考案者は硬質照光式押釦スイッチ用カバー部材における着色遮光 層の多色化および文字、意匠層の多色化について種々検討した結果、これについ ては透視性硬質プラスチック層に多色の文字、意匠層を施す際に、スクリーン印 刷などの手段を用いれば各キーについて任意の色を使うことができることを見出 して本考案を完成させた。

【０００７】

【作用】

本考案は硬質照光式押釦スイッチ用カバー部材に関するものであり、これは前 記したように押釦スイッチ用カバー部材のキートップ部天面上に文字、意匠層を 設けた透視性の着色ないし透明な硬質プラスチック層を接着一体化して設けてな ることを特徴とするものであるが、このものはキートップ部天面上に文字、意匠 層を有する硬質プラスチック層が設けられているので着色透光層が摩耗、剥離、 汚染されることがないし、キートップ部が硬度をもつものとなり、さらにはこの 硬質プラスチック上に設けられる文字、意匠層はスクリーン印刷などで多色に印 刷してもよく、これはここに抜き文字、意匠を施してもよいのでキー天面の色合 いを任意の多色とすることができるという有利性をもつものになる。

【０００８】 本考案の硬質照光式押釦スイッチ用カバー部材は例えば耐摩耗性向上層として の透視性硬質プラスチック層の少なくとも一表面にスクリーン印刷などで文字、 意匠層を施したのち、これをキートップ部天面と接着することによって製造され るが、この処理に当ってはこの文字、意匠層の表面をコロナ放電処理するか、プ ライマーを塗布して表面を改質したのち、この改質表面にシリコーン接着剤を塗 布し、このシリコーン接着剤を加硫成形することによりこの文字、意匠層を押釦 スイッチ用カバー部材のキートップ部天面と接着一体化するとよい。

【０００９】 本考案の硬質照光式押釦スイッチ用カバー部材は図１〜図３に示されたものと される。図１〜図３はいずれも本考案の硬質照光式押釦スイッチ用カバー部材の 縦断面図を示したものであるが、図１に示されている本考案の硬質照光式押釦ス イッチ用カバー部材１は、キートップ部２、薄肉部３、ベース部４、導電性接点 部５、着色遮光層６を有しており、このキートップ部２の天面上には文字、意匠 層８を配設した透明硬質プラスチック層７が設けられているが、この文字、意匠 層８はその表面がコロナ放電処理またはプラマー処理による改質面９を有してい て、これがシリコーン系接着剤10で加硫成形接着一体化されたものとされており 、これは透光部11を有するものとされている。

【００１０】 なお、図２のものは図１における透明硬質プラスチック７を着色硬質プラスチ ック12として文字、意匠層８の下に配置したものであり、図３のものは図１にお けるシリコーン系接着層10の上に透光性着色層13を設けてその上に透明硬質プラ スチック７を配置し、さらにその上に文字、意匠層８を設けたものである。

【００１１】 本考案の硬質照光式押釦スイッチ用カバー部材は上記したように押釦スイッチ 用カバー部材の天面に文字、意匠層を配設した透視性硬質プラスチック層を設け たものであるが、この押釦スイッチ用カバー部材自体はシリコーンゴム、天然ゴ ム、ＥＰＤＭ、ＮＢＲ、アクリルゴム、イソプレンゴムなどの絶縁性ゴムに加硫 剤、顔料、充填剤などを配合したものから圧縮成形、射出成形、トランスファー 成形などで作られたものとすればよいが、このものは図１〜３に示したように通 常キートップ部、薄肉部およびベース部とからなるものとされ、これはまたこれ を照光性とするためにキートップ部外周、薄肉部、ベース部に着色遮光層を設け たものとされる。

【００１２】 この着色遮光層は従来公知のものでよく、したがってこれは透明または半透明 の押釦スイッチ用カバー部材のキートップ部天面以外の全表面に、天然ゴムまた はポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン系ゴム、ネオプレン などのジエン系合成ゴム、エチレン−プロピレン系、ウレタン系、ポリエステル 系、シリコーン系などの合成ゴムあるいはポリウレタン、アクリル、ポリイミド 、ポリエステル系の樹脂、さらにはこれらの組合せからつくられた、好ましくは キートップ部と同材質の遮光性インキまたは塗料などを塗布することによって設 ければよい。

【００１３】 また、この硬質照光式押釦スイッチ用カバー部材にはこの耐摩耗性向上層とし ての硬質プラスチック層が設けられるのであるが、この硬質プラスチック層はポ リアルキルメタクリレート系シート、例えばメタクリレート、エチルメタクリレ ート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレートなどを主材料とするもの 、アクリレート、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、アクリロニトリル、メタ クロニトリルなどのホモポリマー、コポリマーなどを、透光部としての符号の視 認性を損なわない所望の形状、例えばシート状に成形したものとすればよい。こ の硬質プラスチック層の厚みは視認性を損なわないように 0.2〜3.0mm 程度とす れば十分であるが、これは好ましくは 0.3〜2.0mm のなかの材質による硬度に応 じて適宜選択すればデザイン的にも、また指触感など硬質機能的にも好適なもの とすることができる。なお、この透視性硬質プラスチック層は適宜な色で着色さ れていてもよい。

【００１４】 この透視性硬質プラスチック上には前記したように文字、意匠層が設けられる のであるが、この文字、意匠層は天然ゴムまたはポリブタジエン、ポリイソプレ ン、スチレン−ブタジエン系ゴム、ネオプレンなどのジエン系合成ゴム、エチレ ン−プロピレン系、ウレタン系、ポリエステル系、シリコーン系などの合成ゴム 、あるいはポリウレタン、アクリル、ポリイミド、ポリエステル系の樹脂、さら にはこれらの組合せから作られたインキまたは塗料などをスクリーン印刷などの 従来公知の手段で設ければよい。

【００１５】 また、本考案の硬質照光式押釦スイッチ用カバー部材ではこの透視性硬質プラ スチックと押釦スイッチの天面とが耐久性、電気特性の観点からシリコーン系接 着剤で接着されることが多いが、このシリコーン系接着剤としてはオルガノポリ シロキサン、ポリアクリルオキシアルキルアルコキシシラン系シリコーン樹脂、 ポリビニルシラン系シリコーン樹脂、ポリシルチオン、ポリシラザン、けい素含 有側鎖を有する炭素ポリマー、ポリシランなどからなるものとすればよく、これ には例えばシリコーン接着剤ＫＲ166、ＫＲ168、ＫＲ262、ＫＲ2038、ＫＲ-101-10 ［いずれも信越化学工業（株）製商品名］などが例示される。

【００１６】 しかし、このシリコーン接着剤は一般のプラスチック材料には接着性が必ずし も良好でないので、この文字、意匠層を設けた透明硬質プラスチックはシリコー ン接着剤で接着するに先立って、予めその表面をコロナ放電処理するか、あるい はその表面にプライマーを塗布してその表面を改質しておくことが好ましく、こ のように表面を改質しておけばシリコーン接着剤で十分に強く接着させることが できる。

【００１７】

【実施例】

つぎに本考案の実施例をあげる。 実施例１ シリコーンゴムコンパウンド・ＫＥ−78ＶＢＳ［信越化学工業（株）製商品名 ］100 重量部に加硫剤・Ｃ−８［信越化学工業（株）製商品名］ 0.7重量部を配 合したシリコーンゴム組成物を金型内に装入し、成形温度 170℃、成形圧力 200 kg/cm²、成形時間７分間という成形条件で圧縮成形してキートップ部、薄肉部、 ベース部からなる押釦スイッチ用カバー部材を製作し、ついでこのキートップ下 部に導電性シリコーンゴムをパッド印刷して導電性接点部を形成すると共に、こ の側面にシリコーン系材料からなる着色遮光層を設けて押釦スイッチ用カバー部 材を製作した。

【００１８】 他方、厚みが 0.2mmで幅が 400mmの透明ポリカーボネート樹脂・パンライト［ 帝人化成（株）製商品名］の片面に、アクリル系シルクスクリーン印刷用インク ・セリコール13（赤）［帝国インキ製造（株）製商品名］を 200メッシュの版を 用いて20μｍの厚みに塗布して、ここに抜き文字、意匠層を形成したのち、この 抜き文字、意匠層の表面にコロナ放電処理を施し、これにシリコーン系接着剤・ ＫＥ−1934Ａ／Ｂ［信越化学工業（株）製商品名］を60メッシュの版を用いて20 μｍの厚さに塗布してキートップ天面の形状に裁断し、これを押釦スイッチ用カ バー部材の天面と接着させたのち、温度 140℃、圧力 100kg/cm²、加熱時間５分 という条件で加圧、加熱してこのシリコーン系接着剤を硬化させたところ、この 抜き文字、意匠層を有する透明ポリカーボネートがキートップに接着一体化され た多色の硬質照光式押釦スイッチ用カバー部材が得られた。

【００１９】 実施例２ 実施例１における透明ポリカーボネート樹脂板を厚さ 0.2mm、幅 400mmの透視 性着色ポリカーボネート樹脂（グリーン色）・パンライト［前出］とし、この表 面にアクリル系シルクスクリーン印刷用インク・セリコール（黒）［前出］を 2 00メッシュの版を用いて20μｍの厚みに印刷して抜き文字、意匠層を形成した。

【００２０】 ついで、この非印刷面にプライマーＫＢＭ-403［信越化学工業（株）製商品名 ］をグラビアロールを用いて30g/m²の量に塗工したのち、シリコーン系接着剤・ ＫＥ−1934Ａ／Ｂ［前出］を60メッシュの版を用いて20μｍの厚さに塗布し、こ れを実施例１で作った着色遮光層を設けた押釦スイッチ用カバー部材のキートッ プ部天面に接着させ、実施例１と同じ条件で加圧、加熱してこのシリコーン系接 着剤を硬化させたところ、抜き文字、意匠層を有する透視性着色ポリカーボネー ト樹脂板がキートップ部天面に接着一体化された着色硬質照光式押釦スイッチ用 カバー部材が得られた。

【００２１】

【考案の効果】

本考案は硬質照光式押釦スイッチ用カバー部材に関するものであり、これは前 記したように照光式押釦スイッチ用カバー部材のキートップ部天面上に文字、意 匠層を設けた透視性の着色ないし透明な硬質プラスチック層を設けてなることを 特徴とするものであるが、このものはキートップ部天面に文字、意匠層を設けた 透視性の着色ないし透明な硬質プラスチック層が接着されているので耐摩耗性が よく、カラフルで、デザイン重視された硬質照光式押釦スイッチ用カバー部材と なるという有利性が与えられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の硬質照光式押釦スイッチ用カバー部材
の縦断面図を示したものである。

【図２】本考案の硬質照光式押釦スイッチ用カバー部材
の他の例の縦断面図を示したものである。

【図３】本考案の硬質照光式押釦スイッチ用カバー部材
のさらに他の例の縦断面図を示したものである。

【図４】従来公知の照光式押釦スイッチ用カバー部材の
縦断面図を示したものである。

【符号の説明】１ …硬質照光式押釦スイッチ用カバー部材、 ２，22…
キートップ部、３，23…薄肉部、
４，24…ベース部、５，25…導電性接点部、
６，26…着色遮光層、７…透明硬質プ
ラスチック、 ８，27…文字、意匠層、
９…コロナ放電またはプライマー処理部、 10…シリ
コーン系接着剤、11，29…透光部、
12…着色硬質プラスチック、13，28…透光性着
色層、21…照光式押釦スイッチ用カバー部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】照光式押釦スイッチ用カバー部材のキート
   ップ部天面上に文字、意匠層を設けた透視性の着色ない
   し透明な硬質プラスチック層を接着一体化して設けてな
   ることを特徴とする硬質照光式押釦スイッチ用カバー部
   材。