JPH067175Y2 - 壁パネル取付け装置用把持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案は、例えば積層状態の壁パネルを上部のものから
１枚ずつ把持して起立させ、建築物の所定位置に立掛け
設置する台車式の壁パネル取付け装置用把持装置に関す
る。

《考案の背景》 例えば建築現場等において、積層状態の壁パネルを上部
のものから１枚ずつ把持して起立させ、建築物の所定位
置に立掛け設置するような場合には、クレーン等を用い
るのが一般的である。即ち、クレーンで吊下したワイヤ
下端に壁パネル把持用のクランプ装置を取付け、このク
ランプ装置によって壁パネル両側縁を把持させるもので
ある。

そしてこのような場合に用いられるクランプ装置とし
て、例えば実開昭６２−５９６８１号公報等に示されて
いるように、棒状アームの一端に固定式クランプを取付
けるとともに、他端に油圧ジャッキ等の加圧動作式クラ
ンプを取付け、壁パネルを両クランプによって強力に把
持できるようにしたものが知られている。

ところで建築現場によっては、スペース的制約等からク
レーン設置が困難な場合がある。このため近年、床面上
で移動できる台車上に壁パネル取上げ用治具を設け、比
較的狭い床面積でも容易に壁パネルを取上げて立掛け設
置できるようにした台車式の壁パネル取付け装置が種々
開発されている（例えば特開昭６４−２１１７３号公報
等）。

しかしながら、これまでの壁パネル取付け装置では、壁
パネル取上げ用治具が、吸盤と、この吸盤を支持して３
次元的動作を行なう特別の首振り機構とを備えた構成と
されている。そして、水平載置状態の壁パネル上面を吸
盤で吸着した後、複雑な首振り動作を行なって、壁パネ
ルを所定の据付け位置に立掛け設置するようになってい
る。

従って、吸盤では保持力が弱く、重量の大きい壁パネル
の確実な保持が困難となる。また前記の実開昭６２−５
９６８１号公報に示されたクランプ装置を組込めば、壁
パネルの確実な保持が期待できるが、台車式の場合はク
レーン式の場合と異なって自由な横方向の動きができな
い。このため、固定式クランプよりも先に加圧動作式ク
ランプが壁パネルに当接すると、その反力が台車側方に
向かって発生する。したがって、この反力に耐え得るよ
うに、台車に過度の強度設定が必要になる等の不都合が
ある。

また、３次元的動作を行なう特別の首振り機構を備えた
構成とされているため、装置構成が複雑となり、操作も
比較的面倒である。

本考案はこのような事情に鑑みてなされたもので、比較
的狭い床面積でも容易に壁パネルを取上げて立掛け設置
できる台車式構成であって、台車強度を過度に高める必
要なく壁パネルを確実に保持することができ、しかも構
成が簡単で、操作も容易に行なえる壁パネル取付け装置
用把持装置を提供することを目的とする。

《課題を解決するための手段》 本考案に係る壁パネル取付け装置用把持装置は、各支持
アームに支持された横長なクランプ保持部材と、このク
ランプ保持部材の両端側に配置されて互いに対向する方
向にスライド可能に保持された一対のクランプと、この
各クランプにそれぞれ一体的に設けられたプーリ等の回
転部材と、この両回転部材に亘って巻装されたワイヤ等
の索体と、この索体を巻き取ることにより前記回転部材
を介して前記各クランプに壁パネル把持方向の締付け力
を与えるウィンチ等の巻き取り部材とを設けた。

《作用》 壁パネルを立掛け設置する場合には、まず門形の基枠を
水平載置状態の壁パネルに股がせる位置に配置する。こ
の状態で支持アームを下降させ、クランプ装置の各クラ
ンプを対向方向接近側に移動し、このクランプで壁パネ
ルの対向する側縁を把持させる。

この場合、クランプ装置は、各クランプをともにスライ
ド可能に保持するクランプ保持部材と、各クランプにそ
れぞれ一体的に設けられた回転部材と、この各回転部材
に亘って巻装された索体と、この索体を巻き取ることに
より回転部材を介して各クランプに壁パネル把持方向の
締付け力を与える巻き取り部材とを有することから、締
付け時に一方のクランプが先に壁パネルに当接しても、
その反力は他方のクランプの締付け力に転換されるだけ
で、クランプ保持部材ひいては台車には反力が生じな
い。したがって、台車の強度を過度に大きく設定する必
要がない。

そしてクランプによって壁パネルの対向する側縁を把持
した後は、支持アームを上昇させるとともに、基枠を壁
パネルから外れる位置に移動する。

《実施例》 以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明する。

第１図〜第３図はこの実施例に係る壁パネル取付け装置
の全体構成を示し、第４図および第５図はクランプ装置
を拡大して示し、第６図はその作用を示している。

第１図〜第３図に示すように、門形をなす基枠１が備え
られている。この基枠１は、左右一対の支柱部２と、こ
の各支柱部２の上端を連結固定する複数本の横架枠部３
と、各支柱部２の下端をそれぞれ床面４上で回転方向自
在に支持する台車５とからなっている。

この基枠１の各支柱部２に、互いに平行な一対の支持ア
ーム６がそれぞれ昇降可能に取付けられている。この、
各支持アーム６は略Ｌ字形をなし、それぞれの一辺がガ
イドローラ７を介して中空枠状の支柱部２にスライド可
能に支持されている。また各支持アーム６は、支柱部２
内にてワイヤ８で吊下され、ワイヤ８はプーリ９を介し
て昇降操作機構としての手巻きまたは電動式のウィンチ
１０に巻装されている。そしてこのウィンチ１０でのワ
イヤ８の巻取操作により、支持アーム６が昇降し得るも
のである。なお、支持アーム６とワイヤ８との接続部分
には、引張りコイルスプリング等からなる調整スプリン
グ１１が介在されている。また、支柱部２の後側中間部
位には、基枠押動操作用の取手１２が取付けられてい
る。

そして、各支持アーム６の先端部間には、考案の要部で
ある水平載置状態の壁パネルの対向側縁を把持する把持
装置たるクランプ装置１４が設けられている。このクラ
ンプ装置１４は、第４図〜第６図に示すように長手方向
両端が各支持アーム６に水平な軸１５を介して回動可能
に支持された横長板状のクランプ保持部材１６を有して
いる。クランプ保持部材１６は例えば２本の略Ｌ字状の
クランプ保持部材エレメントを接合したもので、中央部
および両端部がフレーム１７ａ，１７ｂによってそれぞ
れ保持されている。そしてこのクランプ保持部材１６の
一側面（水平状態における下面）の両端側に互いに対向
する逆Ｌ字形をなす一対のクランプ１８がこれと一体の
保持枠１９により、互いに対向する方向にスライド可能
に保持されている。そして、各クランプ１８の対向する
立下り片の内面には、例えば溝付き壁パネル３１等の溝
３１ａに符号する凸条１８ａが形成されている。これに
より把持力が向上する。

また、クランプ装置１４には、各クランプ１８を互いに
接近する方向に動作させる壁パネル挾持機構２０と、逆
に各クランプ１８を互いに離間する方向に動作させる壁
パネル開放機構２１とが設けられている。壁パネル挾持
機構２０は、各クランプ１８にそれぞれ一体的に設けら
れたプーリ２２と、クランプ保持部材１６中央部を保持
するフレーム１７ａに設けられたハンドル２３およびド
ラム２４からなるウィンチ２５と、フレーム１７ａに止
着部２６ａを介して止着され両プーリ２２の外側を巻回
してウィンチ２５のドラム２４に巻き付けられる挾持用
ワイヤ２６（第４図〜第６図の一点鎖線）とからなって
いる。

一方、壁パネル開放機構２１は、クランプ保持部材１６
両端部の各フレーム１７ｂにそれぞれ一体的に設けられ
たプーリ２７と、各クランプ１８の保持枠１９に一体的
に設けられたプーリ２８と、フレーム１７ａに止着部３
０ａを介して止着された解放用ワイヤ３０（第４図〜第
６図の破線）とを有し、この解放用ワイヤ３０は、フレ
ーム１７ｂのプーリ２７の外側およびクランプ１８のプ
ーリ２８の内側を巻回して前記ドラム２４に壁パネル挾
持機構２０の場合と逆方向から巻装されている。なお、
ウィンチ２５は電動式等の自動操作機構としてもよい。

しかして、ウィンチ２５を挾持用ワイヤ２６のドラム２
４への巻取り方向（第４図の矢印Ａ方向）に回動させれ
ば、各クランプ１８のプーリ２２が互いに引き寄せら
れ、これにより各クランプ１８が接近方向に移動する。
このとき、壁パネル解放機構２１の解放用ワイヤ３０
は、逆にドラム２４から繰出されて緩むので、保持枠１
９ひいてはクランプ１８の接近方向の移動を許容する。

一方逆に、ウィンチ２５のハンドル２３を解放用ワイヤ
３０の解放方向（第４図の矢印Ｂ方向）に回動させれ
ば、各クランプ１８の保持枠１９のプーリ２８が互いに
離間方向に引張られ、これにより各クランプ１８が離間
方向に移動する。このとき、壁パネル挾持機構２０の挾
持用ワイヤ２６は、逆にドラム２４から繰出されて緩む
ので、クランプ１８の離間方向の移動を許容する。

また、ハンドル２３を固定したまま、一方のクランプ１
８に力を加えて移動させようとすると、他方のクランプ
１８は、一定間隔を保持したまま同じ方向に移動する。

次に第７図を参照して壁パネル１３の立掛け設置作用を
説明する。

まず、第７図（Ａ）に示すように、クランプ装置１４を
水平状態として、門形の基枠１を積載状態の壁パネル３
１に股がせる位置に配置する。この状態で支持アーム６
を下降させ、各クランプ１８をウィンチ２５のハンドル
２３操作により、互いに接近する方向に移動させ、この
クランプ１８で壁パネル３１の対向する側縁を把持させ
る。

このとき、各クランプ１８を互いに接近する方向に動作
させる壁パネル挾持機構２０は、ウィンチ２５のハンド
ル２３を挾持用ワイヤ２６のドラム２４への巻取り方向
（第４図の矢印Ａ方向）に回動させることで、各クラン
プ１８のプーリ２２を互いに引き寄せ、各クランプ１８
同士を接近方向に移動するものであるから、締付け時に
クランプ１８の一方が壁パネル３１に当接しても、その
反力はクランプ１８の他方の締付け力に転換されるだけ
で、クランプ保持部材１６ひいては台車５には反力が生
じない。

次に、同図（Ｂ）に示すように、支持アーム６を上昇さ
せるととに、基枠１を残りの壁パネルから外れる位置に
移動する。なお、支持アーム６の上昇および基枠１の移
動と同時的に、または移動後に、把持した壁パネル３１
の端部を押し下げる等により、クランプ１８を回動さ
せ、その壁パネル３１を垂直に近い起立状態とする。

その後、同図（Ｃ）に示すように、基枠１を例えば水平
面上で約１８０度回転させ、起立した壁パネル３１が所
定の据付け位置に向くように配置する。そして、例えば
予め天井壁３２等に取付けた上部ランナ３３に壁パネル
３１の上端を当接し、なおも前進させて壁パネル３１を
押動して回転部材ランナ３４に当接させ、これにより垂
直状態に設置する。なお、このとき、壁パネル３１が垂
直状態となるため、クランプ１８の把持位置が下がる
が、支持アーム６を支持している前記の調整スプリング
１１が伸びることで、壁パネル３１の傾斜状態から垂直
状態への移行は容易に行われる。

その後、ウィンチ２５のハンドル２３を解放用ワイヤ３
０の解放方向（第４図の矢印Ｂ方向）に回動操作して、
各クランプ１８を対向方向離間側に移動し、このクラン
プ１８を壁パネル３１の側縁から外し、壁パネル３１据
付けを完了する。

なお、支持アームの上昇および基枠の移動と同時的に、
または移動後に、クランプを回動させて壁パネルを起立
状態とする。そして、起立した壁パネルが所定の据付け
位置に向くように基枠を配置した後、各クランプを対向
方向離間側に移動し、このクランプを壁パネルの側縁か
ら外し、壁パネル据付けを行なえばよい。

このように本実施例の壁パネル取付け装置によれば、壁
パネル３１取上げ時の挾持の際に、クランプ１８の一方
が壁パネル３１に当接しても、その反力がクランプ１８
の他方の締付け力に転換されるだけで、クランプ保持部
材１６ひいては台車５には反力が生じないので、台車５
に過度の強度を与える必要がなく、また固吸着機構や首
振り機構を等の複雑な構成を特に必要としないので、水
平載置状態の壁パネル３１を順次に立掛け設置でき、構
成の簡単化、操作の容易化および能率向上等が図れるよ
うになる。

なお、前記実施例ではクランプ１８を操作するための回
転部材にプーリ、索体にワイヤ、巻き取り部材にドラム
等を適用したが、これに限らず、回転部材および巻き取
り部材にスプロケット、索体にチェーン等を適用しても
よい。

また、索体は、とくにチェーンを用いる場合には、必ず
しも前記実施例の如く、複数本により構成する必要はな
く、一本構成としてもよいものである。

さらにまた、上記実施例では止着部のうち、解放用ワイ
ヤ用止着部３０ａをフレーム１７ａに設けたが、本考案
はこれに限らず、例えばフレーム１７ｂに取付けてもよ
い。その場合には連繋する最後のプーリ２７は不要であ
る。

なおまた、前記実施例では、支持アーム６の昇降操作機
構をウィンチ式とし、基枠１の支柱部２から独立して支
持アーム６を昇降させるようにしたが、例えば第８図に
示すように、支柱部２を下側支柱エレメント２ａと、こ
れにスライド可能に挿入した上部支柱エレメント２ｂと
からなるものとし、この上部支柱エレメント２ｂをシリ
ンダ機構３４によって昇降させるとともに、支持アーム
６を、上部支柱エレメント２ｂ上端のプーリ３５を介し
て一端固定のワイヤ３６に接続し、上部支柱エレメント
２ｂの昇降に伴って昇降させるようにしてもよい。

《考案の効果》 以上のように、本考案に係る壁パネル取付け装置用把持
装置によれば、たとえ一方のクランプが先にパネルに当
接したとしても、その反力は他方のクランプの締付に転
換される。

その結果、反力が台車に作用することがない。従って、
台車の強度を過度に大きく設定する必要がなく、しかも
吸着機構や首振り機構を等の複雑な構成を特に必要とし
ないで、水平載置状態の壁パネルを容易かつ確実に立掛
け設置できる等の優れた効果が奏される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る壁パネル取付け装置用把持装置の
一実施例を示す全体側面図、第２図は同正面図、第３図
は同平面図、第４図はクランプ装置部を拡大して示す平
面図、第５図は第４図のＶ−Ｖ線断面図、第６図はその
斜視図、第７図は作用説明図、第８図は変形例を示す図
である。 １……基枠 ２……支柱部 ５……台車 ６……支持アーム １０、１８……昇降操作機構（ウィンチ、レバー） １８……クランプ １４……クランプ装置 １６……クランプ保持部材 ２２……回転部材（プーリ） ２５……巻き取り部材（ウィンチ） ２６……索体（ワイヤ） ３１……壁パネル

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】門形をなし、その各支柱部の下端に移動方
   向自在な台車が設けられた基枠と、この基枠の各支柱部
   にそれぞれ昇降可能に取付けられた互いに平行な一対の
   支持アームとを備えた壁パネル取付け装置の前記各支持
   アームに取付けられ、水平載置状態の壁パネルの対向す
   る側縁を把持して立上げる把持装置において、前記把持
   装置は、前記各支持アームに支持された横長なクランプ
   保持部材と、このクランプ保持部材の両端側に配置され
   て互いに対向する方向にスライド可能に保持された一対
   のクランプと、この各クランプにそれぞれ一体的に設け
   られたプーリ等の回転部材と、この両回転部材に亘って
   巻装されたワイヤ等の索体と、この索体を巻き取ること
   により前記回転部材を介して前記各クランプに壁パネル
   把持方向の締付け力を与えるウィンチ等の巻き取り部材
   とを有することを特徴とする壁パネル取付け装置用把持
   装置。