JPH0666825U - タレットパンチプレス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ワークの裏傷の発生を防ぐ。 【構成】 この考案のタレットパンチプレスは、可動テ
ーブルの固定テーブルに面する側で、かつ下タレットの
加工位置近くに、上面位置がフリーベアリングおよび下
タレットに取り付けられた下金型の上面よりもやや高い
位置になるように柔軟な弾性材で成る柔軟材ローラを支
承することによって、タレットの加工位置近くではワー
クがこの柔軟材ローラに支持されながらスライドするこ
とになり、裏側に傷が発生することがなく、またパンチ
ング加工時にワークの加工部位近くが下タレットの金型
に押しつけられる力が働いても柔軟材の変形によってそ
の力を吸収することができ、フリーベアリングをストラ
イカと連動させて引っ込ませる機構がない簡単な構造な
がら、ワークを裏面側からソフトに支持しながらパンチ
ング加工することによって裏傷の発生を防止する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案はタレットパンチプレスに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、多数の金型を支持した回転自在に支承される上下のタレットと、下タレ ットの直径とほぼ等しい幅を有し、当該下タレットとほぼ面一になるように固定 された固定テーブルと、固定テーブルの両側に配置され、当該固定テーブルの両 側縁に沿い、下タレットに近づく方向と遠ざかる方向との間で往復移動可能な可 動テーブルと、可動テーブルと共に移動し、下タレットの加工位置に対してワー クを前後、左右に移動位置決めするワーク位置決め装置とを備えたタレットパン チプレスでは、ワークをワーク位置決め装置によってクランプしながら固定テー ブルと可動テーブルの上を前後、左右に移動させ、所望の加工部位がタレットの 加工位置に来るように位置決めし、上タレットに装着されている所定の形状の上 金型（パンチ）をストライカによって打圧し、下タレットに装着されている下金 型（ダイ）との間でワークに所定形状のパンチング加工を行なうようにしている 。

【０００３】 そこで、このようなタレットパンチプレスでは、ワークをワーク位置決め装置 によってテーブル上をスライドさせて位置決めする必要があるが、そのスライド 時にワークの裏面（下面）側にすり傷がつきやすいために、それを防ぐべく、固 定テーブルおよび可動テーブルに一面にフリーベアリングを取り付け、このフリ ーベアリングを介してワーク全体を支持することによってワーク移動時の摩擦抵 抗を小さくすると共にすり傷が付かないように配慮している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、このような従来のタレットパンチプレスでは、フリーベアリングを 用いることによってワークに付きやすいすり傷の発生が少なくなるが、それでも 、パンチング加工時にはタレットの加工位置近くには大きな力が働いてワークの 裏面（下面）側にすり傷が付きやすい問題点があった。

【０００５】 そこでこの問題点を解消するために、固定テーブルの下タレットの加工位置近 くの部位に設けられたフリーベアリングを上側のパンチ金型を打圧するためのス トライカの動きと連動させてパンチング加工時には固定テーブル内に引っ込める 機構にしてワークの裏面側にすり傷が付かないように工夫したタレットパンチプ レスが提案されているが、本来、フリーベアリングとしてただテーブルに取り付 けるだけの簡単な構造のものが、ストライカという可動部と連動させる必要があ るために機構的に複雑なものとなる問題点があった。

【０００６】 この考案はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、機構、構造を簡 単化してワークの裏傷の発生を防止することができるタレットパンチプレスを提 供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

この考案は、多数の金型を支持した回転自在に支承される上下のタレットと、 下タレットの直径とほぼ等しい幅を有し、当該下タレットとほぼ面一になるよう に固定された固定テーブルと、固定テーブルの両側に配置され、当該固定テーブ ルの両側縁に沿い、下タレットに近づく方向と遠ざかる方向との間で往復移動可 能な可動テーブルと、可動テーブルと共に移動し、下タレットの加工位置に対し てワークを前後、左右に移動位置決めするワーク位置決め装置とを備え、センタ ーテーブルおよび可動テーブル上に一面にワーク支持のためのフリーベアリング を取り付けて成るタレットパンチプレスにおいて、可動テーブルの固定テーブル に面する側で、かつ下タレットの加工位置近くに、上面位置がフリーベアリング および下タレットに取り付けられた下金型の上面よりもやや高い位置になるよう に柔軟な弾性材で成る柔軟材ローラを支承したものである。

【０００８】

【作用】 この考案のタレットパンチプレスでは、可動テーブルの固定テーブルに面する 側で、かつ下タレットの加工位置近くに、上面位置がフリーベアリングおよび下 タレットに取り付けられた下金型の上面よりもやや高い位置になるように柔軟な 弾性材で成る柔軟材ローラを支承することによって、タレットの加工位置近くで はワークがこの柔軟材ローラに支持されながらスライドすることになり、裏側に 傷が発生することがなく、またパンチング加工時にワークの加工部位近くが下タ レットの下金型に押しつけられる力が働いても柔軟材の変形によってその力を吸 収することができ、フリーベアリングをストライカと連動させて引っ込ませる機 構がなくても、ワークを裏面側からソフトに支持しながらパンチング加工するこ とができて裏傷の発生を防止することができる。

【０００９】

【実施例】

以下、この考案の実施例を図に基づいて詳説する。図１に示すように、タレッ トパンチプレス１は門型フレーム３を備えており、この門型フレーム３内の中央 位置において、上タレット５と下タレット７とで構成されるタレット９が門型フ レーム３に支承されている。タレット９の上タレット５と下タレット７のそれぞ れの周縁部には上金型としてのパンチ（図示せず）、下金型としてのダイ（図示 せず）から成る金型が多数相対向するように装着されている。

【００１０】 タレット９の所定の場所（図１では左側）が加工位置１１に設定されており、 タレット９を回転駆動してこの加工位置１１に多数の金型から割り出された１組 の金型を位置決めし、またワークＷの所定の部分をこの加工位置１１に来るよう に位置決めし、門型フレーム３の上部フレームに設けられた駆動装置によって加 工位置１１の上方位置に設けられたストライカ（図示せず）を駆動し、パンチの ヘッドを打撃することによって、パンチとダイとの間でワークＷのパンチング加 工を行なうことができる。

【００１１】 図１および図２に示すように、門型フレーム３の下部にはセンターテーブル１ ３が固定されており、このセンターテーブル１３の両側にはＹ軸方向（図１にお いて左右方向）へ移動自在な可動テーブル１５が設けられている。これらのセン ターテーブル１３および可動テーブル１５には一面にワークＷの移動時の摩擦抵 抗を小さくして円滑にスライドができるようにフリーベアリング１６が多数取り 付けられている。また、この移動テーブル１５がＹ軸方向へ移動する際にスムー ズに移動できるように、複数のガイド１７がＹ軸方向へ延伸するように設けられ ている。

【００１２】 可動テーブル１５の一端部の上側にはキャリッジベース１９がＸ軸方向（図１ において前後方向）に延伸するように設けられており、ワークＷの移動位置決め を行なうためのワーク移動位置決め装置２１がこのキャリッジベース１９に設け られている。すなわち、キャリッジベース１９にＸ軸方向へ移動自在なキャリッ ジ２３が設けられており、このキャリッジ２３にワークＷをクランプするための ワーククランパ２５が取り付けられているのである。したがって、可動テーブル １５がＹ軸方向へ移動させられると共にキャリッジ２３がＸ軸方向へ移動させら れることにより、ワーククランパ２５にクランプされたワークＷが同じようにＸ 軸、Ｙ軸方向へ移動させられ、加工すべき所望の部分が加工位置１１に位置決め されてパンチング加工がなされることになる。

【００１３】 図１において、タレット９を中央にしてその左側にワーク移動位置決め装置２ １が設けられており、このワーク移動位置決め装置２１の反対側である右側の門 型フレーム３内に金型保持領域２７が形成されている。この金型保持領域２７に は、上金型と下金型で構成される複数組の金型セット２９がＹ軸方向へ適宜の間 隔をおいて配置され、かつ上下にも相対向して配置された金型セット収納部３１ が設けられている。

【００１４】 タレット９の上タレット５および下タレット７それぞれの周縁部の一部には、 金型セット２９を装着するために、例えばほぼＵ字形状に切り欠かれた金型セッ ト装着領域３３が複数箇所（図示実施例では２箇所）適宜の間隔をおいて設けら れている。他方、金型セット収納部３１および金型交換位置３５の前側にＸ軸、 Ｙ軸両方向へ移動自在に金型自動交換装置３７が設けられている。この金型自動 交換装置３７は金型セットの自動交換を行なう金型セット交換装置３９が並列す るように複数体設けられている。したがって、金型セット２９を金型交換位置３ ５にある金型装着領域３３から取り外して金型セット収納部３１へ収納し、逆に 金型セット２９を金型セット収納部３１から取り出して金型交換位置３５にある タレット９の金型装着領域３３へ装着することによつて金型交換が行なわれるこ とになる。

【００１５】 上記のタレットパンチプレスにおいて、図２〜図４に詳しく示してあるように 固定されたセンターテーブル１３の両側の可動テーブル１５には、それらのセン ターテーブル１３に対向する側縁部の下タレット７に近い部分にＵ字形のローラ 取り付け凹部４１が形成されていて、ここに長さ方向両端面をスプリング４３に よって凹部４１の内壁に弾性的に支持されるようにしてスポンジローラ４５が取 り付けられている。図４に詳しいように、このスポンジローラ４５の上面の位置 は可動テーブル１５の上面位置、またフリーベアリング１６の上面位置、下タレ ット７に装着されている下金型のダイＤの上端面の位置のいずれよりも若干高く なるように設定されている。そして、フリーベアリング１６の上面位置とダイＤ の上端面の位置とはほぼ同じ高さに設定されている。

【００１６】 したがって、ワークＷの加工部位をタレット９の加工位置１１にセットする際 には、スポンジローラ４５によってワークＷの加工部位がダイＤの上端面の位置 よりも若干高めになり、位置決め移動の際にワークＷの裏面側にすり傷が発生し ないようになっている。

【００１７】 上記の構成のタレットパンチプレスでは、ワークＷに対してパンチング加工を 行なう際には、まずセンターテーブル１３と可動テーブル１５上に載置したワー クＷの端縁部をクランパ２５によって把持させる。そして、ワークＷの所望の加 工部位をタレット９の加工位置に位置決めするために、可動テーブル１５をＹ軸 方向に必要な距離だけスライド移動させ、これによってワーク位置決め装置２１ のキャリッジ１９とキャリッジベース２３のＹ軸方向の位置決めを行ない、さら にキャリッジ２３をキャリッジ１９に対してＸ軸方向に必要な距離だけスライド 移動させることによってＸ軸方向の位置決めを行なう。この際、ワークＷは可動 テーブル１５に対してＸ軸方向に相対的に移動するが、スポンジローラ４５のワ ーク支持位置がフリーベアリング１６やダイＤの上面位置よりも若干高くなって いるので、フリーベアリング１６やダイＤのすり痕がワークＷの裏面側に付くこ とがない。またスポンジローラ４５とワークＷの接触部分では、スポンジローラ ４５の接触面積が広く、また柔軟であるために、スポンジローラ４５によってワ ークＷの裏面に傷が付くこともない。

【００１８】 その後、ストライカを駆動することによってパンチのヘッドを打圧することに よって、ダイＤとパンチとの間でワークＷの所定の加工部位にパンチング加工を 行なう。この際、ワークＷはパンチの打圧時にダイ側に強く押さえつけられ、そ の力によってスポンジローラ４５が変形し、ワークＷの加工部位の裏面がダイＤ の上面側に密着した状態でパンチングが実行されることになり、スポンジローラ ４５の存在によって精度を損なうことがない。したがって、従来のようにストラ イカと連動して下タレット７の近くのフリーベアリング１６を昇降させる複雑な 機構を用いなくても済むことになる。

【００１９】 さらにリポジショニングの時には、ワークＷを固定したまま可動テーブル１５ を数ミリ程度Ｙ軸方向に移動させることになるが、この場合には、スポンジロー ラ４５の両端にスプリング４３を設けてあるために、ワークＷのスライド時にス プリング４３の働きでスポンジローラ４５もＹ軸方向へ容易に動くことができ、 スポンジローラ４５によってワークＷの裏面にすり傷が付く恐れもない。

【００２０】 こうして、この実施例のタレットパンチプレスでは、単にスポンジローラ４５ を可動テーブル１５に取り付けるだけの簡単な構造ながら、ワークＷの裏面に傷 を付けないでパンチング加工が行なえるようになる。

【００２１】 なお、この考案は上記の実施例に限定されることはなく、特にスポンジローラ ４５の両端面に設けたスプリング４３は設計上必要に応じて使用すべきもので、 特になくてもすり傷が付かず、あるいは少し付いても許容できる場合には取り付 ける必要はない。

【００２２】 また柔軟材ローラとしてスポンジローラを使用したが、この素材は柔軟な弾性 材であれば特に限定されず、例えばウレタンフォームのような樹脂発泡材を素材 とするローラであってもよい。

【００２３】

【考案の効果】

以上のようにこの考案によれば、可動テーブルの固定テーブルに面する側で、 かつ下タレットの加工位置近くに、上面位置がフリーベアリングおよび下タレッ トに取り付けられた下金型の上面よりもやや高い位置になるように柔軟な弾性材 で成る柔軟材ローラを支承しているので、タレットの加工位置近くではワークが この柔軟材ローラに支持されながらスライドすることになり、ワークの裏側に傷 が発生することがなく、またパンチング加工時にワークの加工部位近くが下タレ ットの金型に押しつけられる力が働いても柔軟材の変形によってその力を吸収す ることができ、フリーベアリングをストライカと連動させて引っ込ませる複雑な 機構がない簡単な構造ながら、ワークを裏面側からソフトに支持しながらパンチ ング加工することができて裏傷の発生を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例のタレットパンチプレスの
斜視図。

【図２】上記実施例におけるワーク支持テーブル部分の
平面図。

【図３】上記実施例における可動テーブルの柔軟材ロー
ラ取り付け部分の構造を示す平面図。

【図４】上記実施例における可動テーブルと下タレット
との部分の構造を示す断面図。

【符号の説明】

１ タレットパンチプレス ３ 門型フレーム ５ 上タレット ７ 下タレット ９ タレット １１ 加工位置 １３ センターテーブル １５ 可動テーブル １６ フリーベアリング １９ キャリッジベース ２１ ワーク位置決め装置 ２３ キャリッジ ２５ クランパ ４１ ローラ取り付け用凹部 ４３ スプリング ４５ スポンジローラ Ｐ パンチ Ｄ ダイ Ｗ ワーク

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 多数の金型を支持した回転自在に支承さ
   れる上下のタレットと、前記下タレットの直径とほぼ等
   しい幅を有し、当該下タレットとほぼ面一になるように
   固定された固定テーブルと、前記固定テーブルの両側に
   配置され、当該固定テーブルの両側縁に沿い、前記下タ
   レットに近づく方向と遠ざかる方向との間で往復移動可
   能な可動テーブルと、前記可動テーブルと共に移動し、
   前記下タレットの加工位置に対してワークを前後、左右
   に移動位置決めするワーク位置決め装置とを備え、前記
   センターテーブルおよび可動テーブル上に一面にワーク
   支持のためのフリーベアリングを取り付けて成るタレッ
   トパンチプレスにおいて、 前記可動テーブルの固定テーブルに面する側で、かつ前
   記下タレットの加工位置近くに、上面位置が前記フリー
   ベアリングおよび下タレットに取り付けられた下金型の
   上面よりもやや高い位置になるように柔軟な弾性材で成
   る柔軟材ローラを支承して成ることを特徴とするタレッ
   トパンチプレス。