JPH0662895B2 - 折りまげ加工性と耐スクラッチ性に優れた耐食性金属表面処理用組成物 - Google Patents

折りまげ加工性と耐スクラッチ性に優れた耐食性金属表面処理用組成物

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JPH0662895B2
JPH0662895B2 JP29855391A JP29855391A JPH0662895B2 JP H0662895 B2 JPH0662895 B2 JP H0662895B2 JP 29855391 A JP29855391 A JP 29855391A JP 29855391 A JP29855391 A JP 29855391A JP H0662895 B2 JPH0662895 B2 JP H0662895B2
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威安 伊東
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は金属の塗装下地処理組成物に係
り、さらに詳しくは特定の水溶性ポリマーを乳化剤とし
て使用し、α,β−モノエチレン系不飽和単量体を乳化
重合させて得られる特定粒径の内部ゲル化構造の硬い重
合体粒子からなる水性重合体エマルションと、全クロム
量中の特定%が3価クロムである水溶性クロム化合物を
主成分として含む、特に折りまげ加工性、耐スクラッチ
性、耐食性に優れた金属表面処理用組成物に関するもの
である。
【0002】
【従来技術】鉄、亜鉛メッキ鋼板、アルミニウムその他
の金属素地に対し耐食性や塗膜密着性を良好ならしめる
目的で各種の化成処理が行なわれてきたが、合成ラテッ
クスと水溶性クロム化合物を主成分とした処理液を単に
金属表面に塗布するだけの、所謂塗布型ノンリンスクロ
メート処理剤による金属表面処理法が、処理操作ならび
に管理の容易さ、排水汚染問題の回避、処理工程の短縮
化などの点から最近特に注目を集めている。
【0003】このようなエマルションと水溶性クロム化
合物を配合した処理液を使用する金属表面処理法として
例えば特開昭50−57931号;特公昭49−310
26号、同49−40865号、同50−1889号
等、数多くの提案がなされたが、初期のこういった処理
液で常に問題とされてきた点はエマルション製造におけ
る界面活性剤、乳化剤の存在であった。
【0004】すなわちエマルション自体の安定性を保持
する上で、非イオン系やアニオン系の界面活性剤の使用
は不可避的と考えられ、他方この界面活性剤の存在は下
地皮膜形成後引き続いて塗装した場合の塗膜の密着性、
耐食性、耐湿性等に著しい悪影響を及ぼすことはまた当
然であったからである。
【0005】そこでエマルションの化学的安定性を製造
時に界面活性剤を使用せずに解決し、あわせてクロム化
合物との安定な配合組成物を得る目的で研究が続けられ
た結果、水溶性有機高分子化合物をエマルション製造時
に乳化剤として使用する技術が提供されるに至った。
【0006】すなわち特開昭51−74934号では特
定のポリアクリル酸またはそのアンモニウム塩の特定量
を使用しα,β−エチレン性不飽和単量体を水溶性過硫
酸塩の存在下に特定温度で重合させて得られる重合体の
エマルションを6価クロム化合物と配合してなる組成物
が、また特公昭56−39393号では特定量のポリア
クリル酸および/またはアクリル酸コポリマーを乳化剤
としてα,β−モノエチレン系不飽和単量体を乳化重合
させて得られるエマルションと、水溶性クロム化合物と
水溶性ホワイトカーボンを主成分とした処理液を使用す
る金属の表面処理法が各々示されている。
【0007】このような水溶性有機高分子を乳化剤とし
て使用して得られるエマルションはそれ自体化学的安定
性にとみ、クロム化合物と配合した場合安定な処理液を
与え、耐食性、塗料密着性に優れた皮膜を与える金属表
面処理剤として有用である。
【0008】しかしながら金属素材の塗装下地処理方法
を考える場合、単に処理表面と塗料の密着性の良否のみ
ならず、塗装後の金属を折りまげその他加工した時の塗
膜密着性、耐スクラッチ性も充分考慮される必要があ
る。
【0009】そもそも折りまげ加工時の密着性と耐スク
ラッチ性とは互いに拮抗する要件であるが前記特開昭5
1−74934号発明では加工密着性にのみ注目し、耐
スクラッチ性には何ら考慮がはらわれていないし、また
特公昭56−39393号ではエマルションと水溶性ク
ロム化合物と水溶性ホワイトカーボン3成分の相乗作用
に基づく効果であって、エマルションとクロム化合物と
からなる系での耐スクラッチ性、耐折りまげ性に関して
は何ら言及されていない。
【0010】又前記3成分系での耐スクラッチ性、耐折
りまげ性についてもその効果が区々であり、常に良好な
結果を与えるわけでないことも判明した。
【0011】特に低温での耐折りまげ性には問題があ
り、また3価クロムの量が多いと原液の貯蔵安定性が劣
るなどの問題も認められている。
【0012】
【発明が解決しようとする問題点】従って本発明の目的
はエマルションとクロム化合物を主成分とする金属表面
処理用組成物であって、界面活性剤を含まずともエマル
ション自体が安定であり、クロム化合物と安定な配合物
を与え、特に希釈前の原液貯蔵安定性に優れ、塗膜化し
た場合耐食性、耐水性に優れた皮膜でしかも耐スクラッ
チ性および常温ならびに低温での耐折りまげ性の点で良
好にバランスされた処理皮膜を与えうる金属表面処理用
組成物を提供するにある。
【0013】
【問題点を解決するための手段】本発明に従えば上記発
明の目的が(a)ポリアクリル酸および/またはアクリ
ル酸とメタクリル酸、アクリルアミド類、メタクリルア
ミド類および一般式
【化1】 (式中Aは水素原子またはメチル基、RはC〜C
置換もしくは非置換アルキレン基、およびXは酸素原
子、リン原子および硫黄原子の少なくとも1個を有する
官能基を表す)で示される親水性モノマーの群から選ば
れた少なくとも1種とのコポリマーを乳化剤として、分
子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和
結合を有する多官能性単量体とα,β−モノエチレン系
不飽和単量体とを、但し後者単量体100重量部に対し
上記乳化剤を固形分で5〜100重量部の割合で使用
し、乳化重合させて得られる、粒径が0.1〜3μの範
囲内にある、内部ゲル化硬質重合体粒子のエマルション
と、(b)全クロム量中の30〜50重量%が3価クロ
ムである水溶性クロム化合物を主成分とし、エマルショ
ン固形分と金属クロムの重量割合が2:1〜5:1であ
ることを特徴とする折りまげ加工性と耐スクラッチ性に
優れた耐食性金属表面処理用組成物により達成される。
【0014】本発明は界面活性剤を含むことなしにエマ
ルション自体の安定性ならびに化学的安定性を保持し、
耐食性、耐水性、塗膜密着性に優れた処理皮膜を与える
ものとして先に述べた特開昭51−74934号、特公
昭56−39393号発明の延長線上にあるものである
が、折りまげ加工性と耐スクラッチ性との相反する要件
をバランスさせる上で処理表面における応力緩和に注目
してなされたものである。
【0015】近年プレコートメタル用被塗原板として加
工後耐食性の向上を目的とした原板すなわち折りまげ加
工時に表面にクラックが全く入らないか又は入りにくい
原板が市販されている。
【0016】この場合には本来的にクラックによる応力
緩和を拒否することであるから従来の均一皮膜では塗膜
密着性が悪くなるのは当然で対応不可能である。
【0017】しかしながらもし不均一皮膜で粒子の接着
点を意図的に分散することができるなら応力緩和に役立
つことは充分考えられる。
【0018】金属表面は当然ながらミクロ的には極めて
凹凸に富む。
【0019】そこで樹脂粒子径を充分に小さくして、そ
れらのくぼみに粒子がはまりこむことができ、しかも粒
子自体をある程度硬いものとすれば、剪断応力に対する
抵抗は大となり粒子近傍の応力緩和に役立つこととなろ
う。
【0020】上記の如き理論考察に基づき種々検討を続
けた結果(該理論には何ら拘束されるものではない
が)、本発明者らはエマルションの重合体粒子の粒径が
ある特定の範囲内にあり、かつ重合体粒子自体が内部ゲ
ル化されていて硬いものを選択するならば耐食性、耐折
りまげ加工性、耐スクラッチ性等の点で極めて優れた皮
膜を与える塗布型ノンリンスクロメート処理剤の得られ
ることを知り本発明を完成するに至った。
【0021】本発明におけるエマルションは乳化剤とし
て特定の水溶性ポリマーを特定割合で使用し通常のα,
β−モノエチレン系不飽和単量体から、但し単量体の一
部として分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレ
ン性不飽和基を有する単量体(以下多官能性単量体と称
す)の少なくとも1種を存在させ、乳化重合手段により
製造せられる。
【0022】上記水溶性ポリマーはポリアクリル酸およ
び/またはアクリル酸とメタクリル酸、アクリルアミド
類(例えばアクリルアミド、およびN−メチロールアク
リルアミド)、メタクリルアミド類(例えばメタクリル
アミドおよびN−メチロールメタクリルアミド)、およ
び上記一般式で示される親水性モノマー(例えばXが酸
素原子を有する官能基である場合のモノマーとして、ア
クリル酸2−ヒドロキシルエチル、アクリル酸3−ヒド
ロキシブチル、アクリル酸2,2−ビス(ヒドロキシメ
チル)エチル、メタクリル酸2,3−ジヒドロキシプロ
ピル、メタクリル酸3−ヒドロキシブチル等;Xがリン
原子を有する官能基である場合のモノマーとしてモノ
(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)アシドホスフ
ェートおよびモノ(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピ
ルメタクリレート)アシドホスフェート等;またXが硫
黄原子を有する官能基である場合のモノマーとしてスル
ホニルエチルメタクリレート等)から選ばれた少なくと
も1種とのコポリマーであり、それらの1種または2種
以上の混合物で使用せられる。
【0023】上記コポリマーにおけるアクリル酸と他の
親水性モノマーとの割合はエマルションの系の安定性お
よび金属素地に対する密着性等の点から通常全モノマー
中アクリル酸含有量が50重量%以上、好ましくは60
重量%以上になるよう適宜選択される。
【0024】また乳化重合せしめらるべきα,β−モノ
エチレン系不飽和単量体としては例えばアクリル酸エス
テル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸
2−エチルヘキシル、アクリル酸−デシル、アクリル酸
イソオクチル、アクリル酸2−エチルブチル、アクリル
酸オクチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エ
トキシエチル、アクリル酸3−エトキシプロピル等)、
メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル
酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸
n−ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸デ
シルオクチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸
2−メチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタク
リル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸セチル、メタ
クリル酸ベンジル、メタクリル酸3−メトキシブチル
等)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビ
ニル、塩化ビニル、ビニルケトン、ビニルトルエンおよ
びスチレンがあげられる。
【0025】これらの1種もしくは2種以上の混合物で
使用に供する。
【0026】またこれらに加えて上述の水溶性コポリマ
ーの構成モノマーであるアクリルアミド類,メタクリル
アミド類および上記一般式で示される親水性モノマーを
少量添加してもよい。
【0027】特にメタクリル酸2−ヒドロキシエチルな
どのOH基を有するモノマーを添加することにより、エ
マルション重合体は上記乳化剤中のCOOH基と架橋構
造をとることから、形成される下地皮膜は金属素地との
著しい密着性の向上が認められる。
【0028】尚本発明において必須ではないが、アクリ
ロニトリルを全モノマー中に5〜10%存在させればエ
マルション粒子と金属表面との接着性が一段と改善せら
れ好ましいことも見出されている。
【0029】本発明では後述の如く硬い内部ゲル化重合
体微粒子のエマルションを使用するが、そのためα,β
−エチレン系不飽和単量体の一部として、分子内に2個
以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有する
多官能性単量体が用いられる。
【0030】かかる多官能性単量体としては、多価アル
コールの重合性不飽和モノカルボン酸エステル、多塩基
酸の重合性不飽和アルコールエステル、および2個以上
のビニル基で置換された芳香族化合物などがあり、代表
例としては下記のものがあげられる。
【0031】エチレングリコールジアクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコ
ールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメ
タクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリ
レート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ト
リメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブ
タンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコール
ジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレ
ート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエ
リスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトール
テトラアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリ
レート、ぺンタエリスリトールトリメタクリレート、ペ
ンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセロー
ルジメタクリレート、グリセロールジアクリレート、グ
リセロールアリロキシジメタクリレート、1,1,1−
トリスヒドロキシメチルエタンジアクリレート、1,
1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリアクリレー
ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジメタ
クリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタ
ントリメタクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシ
メチルプロパンジアクリレート、1,1,1−トリスヒ
ドロキシメチルプロパントリアクリレート、1,1,1
−トリスヒドロキシメチルプロパンジメタクリレート、
1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリメタ
クリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソ
シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルテ
レフタレート、ジアリルフタレートおよびジビニルベン
ゼン。
【0032】本発明における乳化重合は水性媒体中、ア
ルカリ金属イオンを有しない水溶性フリーラジカル触
媒、例えば過硫酸アンモニウムおよび2,2−アゾビス
−(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライドの存在
下、通常の条件ならびに手法により実施せられる。
【0033】例えば重合温度に保持された当該乳化剤の
全部もしくは一部を含む水(好ましくは脱イオン水)中
に、多官能性不飽和単量体、およびα,β−モノエチレ
ン系不飽和単量体とアルカリ金属イオンを有さない水溶
性触媒(例えば過硫酸アンモニウム)および要すれば当
該乳化剤の残部を含む水(好ましくは脱イオン水)とを
別々の滴下ロートから同時滴下せしめ、要すれば同温度
で熟成すればよい。
【0034】重合は攪拌状態で行われ、重合温度として
は通常50℃〜90℃が用いられる。
【0035】重合時間(滴下時間+熟成時間)は通常3
〜7時間である。
【0036】乳化剤の使用量は乳化重合に供するα,β
−モノエチレン系不飽和単量体100重量部に対して固
形分で5〜100重量部の範囲内に選定せられる。
【0037】上記使用量が5重量部未満であるとエマル
ション自体の貯蔵安定性が低下し、また100重量部を
こえて用いても、エマルション自体の貯蔵安定性および
水溶性クロム化合物に対する化学的安定性が特に良好に
なるということはなく、かえってエマルションの発泡と
いった問題が生じる。
【0038】本発明ではしかしながらかかる乳化重合手
段で得られるエマルション粒子についてその粒径が0.
1〜3μの範囲内にあることを必須とする。
【0039】既に述べた如く不均一皮膜の形成において
はエマルション粒子が粗に分布し金属表面の微細な凹凸
のくぼみ部分にはまりこんで接着せられることが金属面
との良好な接着性の上で必要であり、本発明者らの研究
によればエマルション粒子の粒径が0.1〜3μの範囲
内にあるときに顕著な接着力が得られ、特に好ましい粒
径は0.3〜2μであることも確かめられた。
【0040】一般に乳化重合に於いては高速攪拌下に加
熱手段が用いられ微細なエマルション粒子が得られる
が、操作条件により粒子径の制御が可能であることも知
られている。
【0041】従って粒子径を上記範囲内とするための最
適条件は当業者により適宜選択せられよう。
【0042】本発明ではさらに別の重要な条件としてエ
マルション粒子を剪断応力に対し抵抗の比較的大きい硬
い粒子のものとするため、重合体の内部ゲル化により規
定した。
【0043】エマルション粒子はその特定粒径の故に金
属表面の微細なくぼみ部分にはまりこむが、該粒子が比
較的硬質であれば粒子近傍の応力緩和に役立つことが考
えられる。
【0044】本発明で使用される重合体粒子は重合すべ
き単量体成分の一部に前記の如き多官能性不飽和単量体
を存在させ、内部ゲル化を生ぜしめることによって硬質
化せられる。
【0045】この場合多官能性単量体の量に関しては重
合体粒子の内部ゲル化で硬質化が行われる限り特に制限
されるものではないが、通常本発明目的に対しては、全
単量体の0.01〜20重量%、特に好ましくは0.1
〜10重量%の範囲内で選択されれば十分である。
【0046】上記の如くして得られたエマルションに対
し本発明では特定量の水溶性クロム化合物が加えられ金
属表面処理用組成物が調整せられる。
【0047】なお本発明にあって上記水溶性クロム化合
物中の3価クロムの含有比率が全クロム量中30〜50
重量%、好ましくは35〜45重量%の範囲に設定され
ていることが重要である。
【0048】従って、かかる条件を満足させる範囲でC
rOなどのクロム化合物を予めホルマリン、過酸化水
素等で部分還元すればよい。
【0049】3価クロムの含有比率が30重量%未満で
あると対折りまげ性などが劣化する。
【0050】また50重量%をこえると処理剤として配
合した場合原液安定性が不良となる。
【0051】本発明の金属処理用組成物は、水(好まし
くは脱イオン水)に上記エマルションおよび水溶性クロ
ム化合物を一括混合して調整される。
【0052】水の量を比較的少量として濃厚な原液組成
物として貯蔵し、使用に際しこれを水で適当に希釈する
ことも、あるいは水の量を比較的多量にし直接処理液を
調製することもできる。
【0053】エマルションと水溶性クロム化合物の配合
割合は、エマルションの固形分と金属クロムの重合割合
で2:1〜5:1の範囲内になることが必要であり、最
も好ましい割合は3:1である。
【0054】金属クロムの割合が上記範囲より小さいと
塗装板の耐食性が低下し、かつ下地皮膜と金属表面との
密着性も充分でなく、また上記範囲より大きいと塗装板
の密着性に問題が生じる。
【0055】尚、本発明の金属表面処理用組成物には、
所望により微粒子シリカ(7〜60mμ)をクロムと同
程度の量まで加え、耐スクラッチ性をさらに一段と良好
ならしめることもできる。
【0056】またその安定性をそこなわない範囲で各種
の金属イオン(アルカリ金属イオンを除く)や無機イオ
ンの供給源を添加してもよい。
【0057】このイオン添加により、金属表面により均
一で密着性の良い下地皮膜を形成することができる。
【0058】かかる添加イオンとしては例えばZ
2+、Co2+、Ni2+、Fe2+、PO 3−
、BF 、SiF 2−等があげられる。
【0059】本発明にかかる金属表面処理用組成物は各
種金属(例えば鉄、亜鉛メッキ鋼、アルミニウムなど)
の表面に通常の方法(例えばロールコート法、ミストス
プレー法およびディップ法)に従って塗布し、次いで適
宜乾燥することにより所望の下地皮膜を形成することが
できる。
【0060】かかる下地皮膜の形成量は通常金属クロム
皮膜量で5mg/m〜1g/m、好ましくは5mg
/m〜100mg/mの範囲で選定すればよく、こ
の範囲を逸脱すると、得られる塗装板の加工性能が低下
する傾向にある。
【0061】なお上記塗布法にあって亜鉛メッキ鋼や
鉄、アルミニウムのコイルコーティングラインでは、ロ
ールコート法が好適であり、色ムラ等の発生がなく薄く
且つ均一な下地皮膜が得られる。
【0062】上記乾燥条件としては、下地皮膜中の水分
を蒸発させる程度のものであればよく、最高板温度は1
20℃以下、好ましくは80℃〜110℃で1〜60秒
が本発明に適切である。
【0063】この範囲外では、塗装後の塗膜の密着性、
特に耐スクラッチ性の向上に好ましくない結果の出る場
合がある。
【0064】形成された皮膜は、当該処理液中のエマル
ションに界面活性剤等の混入がなく、塗装後の耐食性や
耐湿性が著しく良好であり、更に加工性やスクラッチ性
などの塗装密着性も著しく向上する。
【0065】このように本発明の処理用組成物は金属表
面処理に使用するに当たり、処理液のメインテナンスを
必要としないことから、同じ組成の処理液を定期的に補
充するだけでよく、連続的に均一塗装が容易に実施で
き、乾燥により所望の下地皮膜の形成が可能である。
【0066】また処理液塗布後の水洗、後処理工程は必
要がなく工程の短縮化を可能ならしめ、かつ汚染排水の
処理設備も不要である。
【0067】形成せられる皮膜は先に述べた如く良好な
諸性能を示し、特に耐加工性、耐スクラッチ性にすぐれ
ており、金属の表面処理に極めて有用である。
【0068】処理原液の貯蔵安定性、低温での加工性に
おいては特に従来のものより極めてきわだった効果を示
すことも本発明組成物の特徴である。
【0069】以下実施例、参考例および比較例により本
発明を説明する。
【0070】例文中「部」および「%」は「重量部」お
よび「重量%」を各々意味する。
【0071】エマルションの合成
【参考例1】攪拌器、還流冷却器、温度計および2個の
滴下ロートを備えたフラスコに脱イオン水150部およ
びアクリル酸とメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとを
重量比8:2の割合で共重合して得られる水溶性コポリ
マー(25%水溶液、分子量MW=66000)120
部とを入れ、攪拌下80℃〜85℃に昇温する。次いで
メタクリル酸メチル50部、スチレン27部、メタクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル10部、メタクリル酸n一ブ
チル10部およびジメタクリル酸エチレングリコール3
部からなる単量体混合物を一方のロートから、また過硫
酸アンモニウム2部および脱イオン水50部からなる触
媒溶液を他方のロートから3時間にわたり同時滴下す
る。滴下後さらに重合反応を完結させるため80℃〜8
5℃で約2時間熟成を行う。得られる水性重合体は固形
分30.0%、pH1.6で粒径0.55μの均一安定
なエマルションであり、このエマルション粒子はキシレ
ンに溶解しなかった。
【0072】
【実施例1】 処理液の調整:参考例1で得られたエマルション19.
6部と、無水クロム酸の17%水溶液に37%ホルマリ
ンを加え6価クロムの40%を3価クロムに還元して得
られるクロム水溶液22.2部、10%アエロジル30
0(日本アエロジル社製、商品名、SiO)分散液1
0部および脱イオン水48.2部を室温で攪拌混合して
得た処理組成物原液を、脱イオン水で3.3倍希釈して
処理液を調整した。エマルション固形分と金属クロムの
重量割合は3:1であり、SiOと金属クロムの重量
割合は1:2であった。
【0073】金属表面処理および塗装 折りまげ時クラックの入りやすい通常の亜鉛メッキ鋼板
(ゼロスパングル板、スキンパス有)を予め市販のアル
カリ脱脂剤(日本ペイント社製、商品名リドリン15
5)で脱脂洗浄し、水洗乾燥したものの表面に上記処理
液を#3のバーにより金属クロム塗布量30mg/m
になるように塗布し、次いで70℃の温風により乾燥し
て均一な下地皮膜を得た。次に上記の如く表面処理した
スパングル板に下塗塗料として日本ペイント社製の商品
名「スーパーラックDIF P−75プライマー」を乾
燥膜厚3μになるよう塗付し、50秒で到達板温が20
4℃になるよう焼付け、次いで上塗塗料の日本ペイント
社製、商品名「スーパーラックDIF F−50赤さび
色」を乾燥膜厚11μに塗布し、50秒で到達板温20
4℃になるよう焼付けた。処理剤原液組成物および得ら
れた塗装板について下記方法により評価した。
【0074】
【実施例2】参考例1で得られたエマルション29.7
部と,実施例1で述べたクロム水溶液33.6部および
脱イオン水36.7部を用い実施例1と同様操作で処理
組成物原液を作り、これを脱イオン水で3.75倍に希
釈して処理液を調整した。エマルション固形分と金属ク
ロムの重量比は3:1であった。また金属クロム塗布量
は40mg/mであった。上記処理液を実施例1と同
様にゼロスパングル板に塗布し、次いで実施例1と同様
下塗塗料および上塗塗料で塗装した。原液安定性はで、
−5℃OT折りまげ試験結果は10であった。即ち、原
液安定性は、処理組成物原液をポリエチレン密封容器中
に20℃で1ケ月保持した後、原液の状態を目視観察し
て性能評価したものであり、異常のない場合をで、また
ゲル化物が発生している場合を×で示した。OT折りま
げ加工性は、折りまげ面を粘着テープで密着後、剥がし
10点(異常なし)〜1点(全面剥離)の10点法で評
価した。
【0075】コインスクラッチ性:円周に刻みのない1
0円硬貨で塗面をスクラッチし、5点(優)〜1点(不
良)の5点法で評価。試験結果は原液安定性が、20℃
OT折りまげ試験の結果は8、コインスクラッチ性は4
であり、これらデーターより、本発明組成物は耐食性、
耐水性等に優れた皮膜を与えるだけでなく、貯蔵安定性
にすぐれ、耐スクラッチ性、折りまげ加工性に優れた処
理皮膜を与えることが容易に理解されよう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 265/00 MQM 7308−4J

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)ポリアクリル酸および/またはアク
    リル酸とメタクリル酸、アクリルアミド類、メタクリル
    アミド類および一般式 【化1】 (式中Aは水素原子またはメチル基、RはC〜C
    置換もしくは非置換アルキレン基、およびXは酸素原
    子、リン原子および硫黄原子の少なくとも1個を有する
    官能基を表す)で示される親水性モノマーの群から選ば
    れた少なくとも1種とのコポリマーを乳化剤として、分
    子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和
    結合を有する多官能性単量体とα,β−モノエチレン系
    不飽和単量体とを、但し後者単量体100重量部に対し
    上記乳化剤を固形分で5〜100重量部の割合で使用
    し、乳化重合させて得られる、粒径が0.1〜3μの範
    囲内にある、内部ゲル化硬質重合体粒子のエマルション
    と、 (b)全クロム量中の30〜50重量%が3価クロムで
    ある水溶性クロム化合物を主成分とし、エマルション固
    形分と金属クロムの重量割合が2:1〜5:1であるこ
    とを特徴とする折りまげ加工性と耐スクラッチ性に優れ
    た耐食性金属表面処理用組成物。
  2. 【請求項2】水溶性クロム化合物中の3価クロムの含有
    率が全クロム量中の35〜45重量%である請求項1記
    載の組成物。
  3. 【請求項3】エマルション固形分と金属クロムとの重量
    割合が3:1である請求項1あるいは2記載の組成物。
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