JPH064971Y2 - 多線圧延ラインの張力装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は多線圧延に用いられる線材の張力装置に関する
ものである。

［従来の技術］ 断面円形の線材を、板形状或いは断面略楕円形状に圧延
し、それにより、切断方式或いは打抜き方式等のような
バリを生じることなく、丸味を有し、しかも均一精度を
有した小片等を製作する要求がある。

このような線材の圧延は、従来、巻戻しリールと巻取り
リールとによって所要の張力を付与された線材に、圧延
ロールによる圧下力を作用させて、所要の圧延を行うよ
うにしている。

このような圧延において、複数の線材の圧延を同一の圧
延ロールで同時に行うようにすれば能率的な圧延が可能
である。しかし、このように多線を同時に圧延する場
合、線材が弛んでしまうようなことがないように各線材
の張力を一定に保持する必要があるが、各リールの巻き
径の変化等によって張力が変ってしまい、そのために従
来各巻戻しリールを別個に配置し、且つ該各巻戻しリー
ルに別個のブレーキ装置を備えて張力保持を行うように
している。

［考案が解決しようとする問題点］ しかし、上記従来方式においては、各巻戻しリールを線
材が干渉しないように位置をずらせて配置しなければな
らず、そのために占有スペース、レイアウト的に問題を
有すると共に、各巻戻しリールのための専用の軸受支持
機構、ブレーキ装置等を必要として設備が複雑、高価に
なる問題を有し、更に機械的ブレーキ装置を採用した場
合には夫々の調整も非常に大変であり、又ブレーキ力が
大きいと巻戻しリールに巻かれた線材が巻き締って巻戻
しが困難になる、等の問題を有していた。

本考案は、上記従来の問題点に着目してなしたもので、
磁力を利用した吸着摩擦によるブレーキ作用により線材
に張力を与え、張力の安定保持、構成の簡略、小型化を
図ることを目的としている。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、上記技術的課題を解決しようとしたもので、
巻戻しリールから巻出される線材をピンチロールを介し
て圧延機に導く線材の圧延ラインにおいて、巻戻しリー
ルとピンチロールとの間に、前記線材を掛け渡し巻戻し
リールの巻き径が変化してもピンチロールに対する線材
の搬送角度が変化しない位置にガイドロールを設置し、
前記ピンチロールとガイドロールとの間に、線材を磁力
により吸着するようにした吸着マグネットを設けたこと
を特徴とする多線圧延ラインの張力装置に係るものであ
る。

［作用］ 従って、本考案では、線材の搬送途中において線材をマ
グネットにより吸着し、その摩擦力によりブレーキ力を
生じさせて線材に安定した張力を与える。

［実施例］ 以下図面に基づいて本考案の実施例を説明する。

第１図は本考案の一例を示すもので、１つの軸１上に回
転可能に複数個のリールを並設した巻戻しリール2,3を
上下に設け、該各巻戻しリール2,3からの線材4,5をピン
チロール６により一列に並べて圧延機ロール７側に導
き、圧延を行うようにする。

上記構成において、巻戻しリール2,3の線材4,5の巻き径
が変化すると、ピンチロール６に導かれる線材4,5の搬
送角度がピンチロール６を支点として変化する。このた
め、巻戻しリール2,3とピンチロール６との間に、前記
巻き径が変化してもピンチロール６に導かれる線材4,5
の搬送角度を常に一定角度に保持するようにしたガイド
ロール8,9を設ける。

更に、前記ピンチロール６とガイドロール8,9との間に
おける線材4,5の搬送角度が変化しない位置に、第１、
２図に示す如く線材4,5に近接して該線材4,5を磁力によ
り吸着Ｆするようにした吸着マグネット10,11を固定部
材12に固定、或いは位置調整可能に設ける。図中13は線
材4,5を吸着マグネット10,11の吸着面と平行に保持させ
て吸着力を安定させるための案内ロールを示す。

上記した吸着マグネット10,11は、搬送される線材4,5を
磁力によって吸着Ｆし、その摩擦力によってピンチロー
ル６により搬送される線材4,5の搬送方向Ｓに対してブ
レーキ力を生じさせて線材4,5に所要の張力を与えるこ
とができる。

従って、前記吸着マグネット10,11の磁力を調整すれ
ば、ブレーキ力を任意に変えて線材4,5の張力を自在に
調整することができ、更に搬送途中の線材4,5に対して
吸着マグネット10,11による吸着Ｆによりブレーキ力を
生じさせる方式であるため、巻戻しリール2,3における
線材の巻き径に何等関係なく、常に一定した張力を線材
4,5に与えることができる。

又、ガイドロール8,9により線材4,5の搬送角度が常に一
定に保たれているので、吸着力を安定させて常に安定し
たブレーキ力を生じさせることができる。

尚、本考案は上記実施例にのみ限定されるものではな
く、吸着マグネットに電磁石を用いる以外に永久磁石を
採用することもできること、吸着マグネットの取付方式
等は任意に変更し得ること、その他本考案の要旨を逸脱
しない範囲内において種々変更を加え得ること、等は勿
論である。

［考案の効果］ 上記したように、本考案の多線圧延ラインの張力装置に
よれば、巻戻しリールから巻出される線材の搬送途中に
おいて、吸着マグネットにより線材を吸着し、その摩擦
力により線材にブレーキ力を与えて張力を付与するよう
にしており、且つ前記巻戻しリールにおける線材巻き径
の変化による線材の搬送角度の変化をガイドロールによ
って防止するようにしているので、簡単な構成で線材の
張力を常に安定して付与できる優れた効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一例を示す側面図、第２図は第１図の
吸着マグネット部分の詳細を示す説明図である。 2,3は巻戻しリール、4,5は線材、６はピンチロール、７
は圧延機ロール、8,9はガイドロール、10,11は吸着マグ
ネット、12は案内ロールを示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 長倉 信 神奈川県横浜市磯子区新中原町１番地 石 川島播磨重工業株式会社横浜第二工場内 (72)考案者 藤島 郁夫 神奈川県横浜市磯子区新中原町１番地 石 川島播磨重工業株式会社横浜第二工場内 (56)参考文献 特開 昭62−227516（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】巻戻しリールから巻出される線材をピンチ
   ロールを介して圧延機に導く線材の圧延ラインにおい
   て、巻戻しリールとピンチロールとの間に、前記線材を
   掛け渡し巻戻しリールの巻き径が変化してもピンチロー
   ルに対する線材の搬送角度が変化しない位置にガイドロ
   ールを設置し、前記ピンチロールとガイドロールとの間
   に、線材を磁力により吸着するようにした吸着マグネッ
   トを設けたことを特徴とする多線圧延ラインの張力装
   置。