JPH0646547U - リクライニングシート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シートバックの後方への回動操作は迅速に、
前方への戻り回動はゆっくり且つ確実に行い得て、着座
者等に強く当たる不具合を無くせると共に、部品点数並
びに組立工数が少なく、シート全体の外観品質を損なう
ことがなく、機能性並びに意匠性ともに高級感が得られ
るリクライニングシートを安価に提供することにある。 【構成】 前方復帰ばねを備えたリクライニング機構４
を介してシートバック２をシートクッション１に対し前
後方向に回動調整可能としたリクライニングシートのシ
ートバック２のヒンジ３部に、シートバック２の前方復
帰方向の回動に対し大きな減衰力を発生する回転式オイ
ルダンパー１０を設け、リクライニング機構４のロック
解除によるシートバック２の後方への回動操作は迅速
に、前方復帰ばねによる戻り回動はゆっくり行わせる構
成としたことを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、主に自動車等の車両に設置利用されるリクライニングシートに関す る。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、この種のリクライニングシートは、図５及び図６に示す如く、シート クッション（座体）１に対しシートバック（背凭れ）２をヒンジ３とリクライニ ング機構４とで支持している。このリクライニング機構４は操作レバー５による ロック解除操作によりシートバック２の前後方向の回動を許容し、その所望角度 で操作レバー５を放せばシートバック２をロック保持する構成である。これにて シートバック２の起立角度を前後に多段階的に調整できる。またそのリクライニ ング機構４には枢軸回りに前方復帰ばね（渦巻きばね）６が設けられ、このばね 付勢力でシートバック２を後方に深く倒した状態から自動的に前方に跳ね上げ復 帰できるようになっている。

【０００３】 ところで、こうした従来のリクライニングシートにおいては、例えば運転手が 休憩などのためにシートバックを後ろに倒した状態から、運転再開に際し、ドラ イビングポジションを確保すべく、リライニング機構４のロック解除をしてシー トバック２を前方復帰ばね６による付勢で前方に起立回動せしめるが、その際、 リライニング機構４の前方復帰ばね６の付勢力が強く、シートバック２が勢いよ く加速されて跳ね上げられて運転手の背中に強く当たるなどの不具合があり、高 級感を損なう。そうかと言って、前方復帰ばね６のばね力を弱くすると、後傾し たシートバック２が戻りきらない等の不具合が生じてしまう問題があった。

【０００４】 そこで、その防止対策として、例えば実開昭６３−１０４２３８号公報に示さ れているような提案がある。これは、前述したリクライニングシートのシートバ ック２の背面側に伸縮式直管形のオイルダンパー（ショックアブソーバ）を併設 し、このオイルダンパーがシートバックと連動してリクライニング機構の回転軸 から後方に偏心した支点を中心に伸縮しながら回動する構成である。即ち、シー トバックの後方への回動操作はオイルダンパーの減衰力が小さく従来同様に迅速 に行い得るようになり、前方復帰ばねによるシートバックの戻り回動はオイルダ ンパーの減衰力が大きく働いてゆっくり行われ、シートバックが急速に跳ね上が って着座者等に強く当たるなどの不具合がなくなる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、前述の伸縮式直管形のオイルダンパー（ショックアブソーバ） をシートバック２の背面側に併設したリクライニングシートでは、該オイルダン パーをむき出しにしておくと危険であるので、当然にそのオイルダンパーをシー トバックの背面カバー内にパッドで囲って内蔵する状態とすることから、シート バックの背面が大きく出っ張って体裁が悪く、車両用シートとしての意匠的な外 観品質が保てないという問題があった。また、そのオイルダンパーを囲むパッド 内部に該オイルダンパーの最大可動域を見込んで空間的余裕を持たせた場合、ぺ こぺこして感触が悪く高級感を損なうという問題があり、逆にオイルダンパーを 囲むパッドを該オイルダンパー可動域に設定すると、シートバックを前倒しした 時に、オイルダンパーに押されてシートバックの外形形状が変化してしまうとい う問題がある。更に、オイルダンパーをシートバック背面側に併設するためにブ ラケット等の部品が多く必要で組立工数が多くコスト高を招くなどの問題がある 。

【０００６】 本考案は前記事情に鑑みなされ、その目的とするところは、シートバックの後 方への回動操作は迅速に、前方への戻り回動はゆっくり且つ確実に行い得て、着 座者等に強く当たる不具合を無くせると共に、部品点数並びに組立工数が少なく 、シート全体の外観品質を損なうことがなく、機能性並びに意匠性ともに高級感 が得られるリクライニングシートを安価に提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】 本考案は前記目的を達成するために、前方復帰ばねを備えたリクライニング機 構を介してシートバックをシートクッションに対し前後方向に回動調整可能とし たリクライニングシートにおいて、前記シートクッションに対するシートバック のヒンジ部に、該シートバックの前方復帰方向の回動に対し大きな減衰力を発生 する回転式オイルダンパーを設け、前記リクライニング機構のロック解除による シートバックの後方への回動操作は迅速に、前方復帰ばねによる戻り回動はゆっ くり行わせる構成としたことを特徴とする。

【０００８】

【作用】

前記構成のリクライニングシートによれば、前方復帰ばねを備えたリクライニ ング機構と、シートバックの前方復帰方向の回動に対し大きな減衰力を発生する 回転式オイルダンパーとを併用したことにより、リクライニング機構をロック解 除操作して、シートバックをシートクッションに対し後方へ回動操作するときは オイルダンパーの減衰力が小さく、従来と略同様に迅速にシートバックを後方に 倒せる。その状態から逆にリクライニング機構の前方復帰ばねによるシートバッ クの前方への戻り回動時は、オイルダンパーの減衰力が大きく作用して、シート バックがゆっくり且つ確実に前方に回動復帰するようになり、シートバックが急 速に跳ね上がって着座者等に強く当たるなどの不具合がなくなる。また、その回 転式オイルダンパーは、伸縮式直管形のオイルダンパーに比べ、小型で且つシー トバックのヒンジ部に少ないスペースで簡単に組付け可能で、部品点数並びに組 立工数が少なくて済むと共に、シート全体の外観品質を損なうことがなく、前述 した従来の諸問題を解消し得るようになる。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図１乃至図４により説明する。なお図中前記図５及 び図６に示した構成と重複するものには同一符号を付して説明の簡略化を図るこ とにする。

【００１０】 まず、図１及び図２に示す如く、シートクッション１の後部に対しシートバッ ク２がヒンジ３と多段階ロック調整方式のリクライニング機構４とで前後方向に 回動可能に支持されている。このリクライニング機構４は従来同様に操作レバー の回動操作によりロック解除してシートバック２の前後方向の回動を許容し、そ の所望角度で操作レバーを放せばシートバック２を機械的にロック保持する構成 で、且つ枢軸回りに前方復帰ばね（渦巻きばね）が設けられ、このばね付勢力で シートバック２を後方に深く倒した状態から自動的に前方に跳ね上げ復帰できる ようになっている。

【００１１】 一方、前記リクライニング機構４と反対側のヒンジ３は、シートクッション１ の側部から立設された固定ヒンジプレート７と、この固定ヒンジプレート７から 内側に突設されたヒンジピン８と、シートバックフレーム２ａの下部に一体に形 成され前記ヒンジピン８に回動可能に嵌合された可動ヒンジプレート９とで構成 されている。

【００１２】 ここで、そのヒンジ３の固定ヒンジプレート７と可動ヒンジプレート９との相 互間部のヒンジピン８回りに、シートバック２の前方復帰方向の回動に対し大き な減衰力を発生する回転式オイルダンパー１０が設けられている。この回転式オ イルダンパー１０は緩衝器の一種で、図３及び図４に示す如く、インナー１１と 、この外周に回転可能に被嵌されたアウター２１とを主体とするものである。

【００１３】 そのインナー１１は、中心部に角形軸穴１２を貫通して有する円筒形ボス部１ ３と、このボス部１３の外周面から周方向に等間隔を存して放射状に突設された 複数枚の羽根１４とよりなる羽根車状の構成である。その各羽根１４には適当大 きさのオリフィス穴１４ａがそれぞれ形成されてると共に、各羽根１４の一側面 に該オリフィス穴１４ａを一方向から開閉可能に閉成するオリフィス弁１５がピ ン１６を介し枢着されている。この各オリフィス弁１５は舌片状をなし、それぞ れ複数の微細穴１５ａを有して、オリフィス穴１４ａを閉成した状態でも液体の 流通を少量であるが可能にしている。なお、その各オリフィス弁１５はストッパ １７により開度が略４５゜程度の範囲内に規制されている。

【００１４】 前記アウター２１は、両側中央に開口部２２ａを有した断面Ｕ字形円環状のハ ウジング２２と、このハウジング２２の内周面から周方向に等間隔を存して突設 された複数枚の羽根２３とよりなる構成である。これら各羽根２３はハウジング ２２内を円周方向に区画する隔壁となっている。こうしたハウジング２２内の各 羽根２３相互間に前記インナー１１の羽根１４が一枚ずつ介在する状態に、該ハ ウジング２２がインナー１１の外周に一定角度内（羽根１４のワンピッチの範囲 内）で回転可能に被嵌されている。

【００１５】 また、このハウジング２２内の羽根２３相互空間には適度な粘性の作動油Ｐが 封入されている。この作動油Ｐの液漏れを防ぐべく、ハウジング２２の両側の開 口部２２ａが前記インナー１１のボス部１３の両端外周縁のシール段部１３ａに Ｏリング等のシール材（図示せず）を介して回転可能に摺嵌されている。また、 ハウジング２２内の各羽根２３は先端がインナー１１のボス部１３外周面に隙間 なく摺接され、そのインナー１１の各羽根１４も先端及び両側端がハウジング２ ２内面に隙間なく摺接されている。 なお、前記アウター２１のハウジング２２の外周部に突部２４が一体に突設さ 、この突部２４に結合穴２４ａが形成されている。

【００１６】 こうした構成の回転式オイルダンパー１０を前記シートバック２のヒンジ３部 分に組付けるには、図２に示す如く、固定ヒンジプレート７に角棒部８ａを有し たヒンジピン８を固設し、このヒンジピン８の角棒部８ａに回転式オイルダンパ ー１０のインナー１１中心の角形軸穴１２を嵌合し、その後から可動ヒンジプレ ート９の軸穴９ａを該ヒンジピン８の先端に回転可能に嵌合して止めリング３０ により抜け止めする。これでインナー１１を回り止め状態にヒンジピン８に固定 する一方、回転式オイルダンパー１０のアウター２１の突部２４の結合穴２４ａ にねじ３１を差し込んで前記可動ヒンジプレート９の結合穴９ｂ背面の溶接ナッ ト３２に螺合締付け、該アウター２１を可動ヒンジプレート９と一体的に前後方 向に回動するように結合する。これで回転式オイルダンパー１０の組付けが完了 する。

【００１７】 こうした回転式オイルダンパー１０を組付けたリクライニングシートによれば 、リクライニング機構４をロック解除操作して、シートバック２をシートクッシ ョン１に対し後方へ回動操作すると、そのシートバックフレーム２の可動ヒンジ プレート９と一体的に回転式オイルダンパー１０のアウター２１のハウジング２ ２が後方（図４の矢印Ａ方向）に回動する。このために、ハウジング２２内の作 動油Ｐが各羽根２３により押されて、固定のインナー１１の各羽根１４のオリフ ィス穴１４ａよりオリフィス弁１５を押し開くようにして隣の室にスムーズに流 れる。これで回転式オイルダンパー１０は小さな減衰力しか発生せず、シートバ ック２はリクライニング機構の前方復帰ばねに抗して迅速に後方に倒せるように なる。

【００１８】 このシートバック２を後方に倒した状態から逆に前方に回動復帰させるべく、 リクライニング機構４を再びロック解除操作すると、前方復帰ばねによる強い付 勢力でシートバック２が勢い良く前方に起立回動しようとするが、これと一体的 に回転式オイルダンパー１０のアウター２１のハウジング２２が前方（図４の矢 印Ｂ方向）に回動するので、そのハウジング２２内の作動油Ｐが各羽根２３によ り前回と逆方向に押され、固定のインナー１１の各羽根１４のオリフィス弁１５ を押して閉じる。これで作動油Ｐは各羽根１４のオリフィス弁１５の微細穴１５ ａを介してオリフィス穴１４ａより隣の室に少量ずつ流れることになり、この時 の流量抵抗により回転式オイルダンパー１０が大きな減衰力を発生し、シートバ ック２がゆっくり且つ確実に前方に回動復帰するようになり、シートバック２が 急速に跳ね上がって着座者等に強く当たるなどの不具合がなくなる。

【００１９】

【考案の効果】

本考案のリクライニングシートは、前述の如く構成したので、シートバックの 後方への回動操作は迅速に、前方への戻り回動は回転式オイルダンパーの減衰力 によりゆっくり且つ確実に行い得て、着座者等に強く当たるなどの不具合がなく なると共に、その回転式オイルダンパーは、伸縮式直管形のオイルダンパーに比 べ、小型で且つシートバックのヒンジ部に少ないスペースで簡単に組付け可能で 、部品点数並びに組立工数が少なくて済むと共に、シート全体の外観品質を損な うことがなく、機能性並びに意匠性ともに高級感が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のリクライニングシートの一実施例を示
す斜視図。

【図２】同上実施例の回転式ダンパーを備えたヒンジ部
分の分解斜視図。

【図３】同上実施例に用いた回転式オイルダンパーの斜
視図。

【図４】同上回転式オイルダンパーの一部省略した断面
図。

【図５】従来一般のリクライニングシートのフレーム並
びにリクライニング機構を概略的に示す斜視図。

【図６】同上従来例のリクライニング機構の拡大斜視
図。

【符号の説明】

１…シートクッション、２…シートバック、３…ヒン
ジ、４…リクライニング機構、６…前方復帰ばね、１０
…回転式オイルダンパー、１１…インナー、１３…ボス
部、１４…羽根、１５…オリフィス弁、２１…アウタ
ー、２２…ハウジング、２３…羽根。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 前方復帰ばねを備えたリクライニング機
   構を介してシートバックをシートクッションに対し前後
   方向に回動調整可能としたリクライニングシートにおい
   て、前記シートクッションに対するシートバックのヒン
   ジ部に、該シートバックの前方復帰方向の回動に対し大
   きな減衰力を発生する回転式オイルダンパーを設け、前
   記リクライニング機構のロック解除によるシートバック
   の後方への回動操作は迅速に、前方復帰ばねによる戻り
   回動はゆっくり行わせる構成としたことを特徴とするリ
   クライニングシート。