JPH0643388Y2 - 解錠位置拘束型扉用ロックハンドル装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、ハンドル本体の施錠軸の先端部に固着した止
め金板をキャビネット本体等の固定枠体側の受金部に係
合させることによって扉を錠止する扉用ロックハンドル
装置に関するものである。

［従来の技術］ 従来の扉用ロックハンドル装置は、扉に固着される受座
の軸受筒部にハンドル本体の施錠軸を回転可能に嵌挿
し、止め金板を該施錠軸の先端部に固着したものであ
り、止め金板を受金部に係合させた扉の施錠位置におい
て施錠軸の回転を阻止する錠前機構はハンドル本体に設
けてあるが、止め金板を受金部から離脱させて扉を開放
した解錠位置において施錠軸の回転を阻止する機構は何
等装備されていない。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、止め金板には偏心部位に鎖錠用ロッド棒
が連結されているため、該ロッド棒の片寄り重量に因る
回転モーメントによって、扉の開放後施錠軸が解錠位置
から施錠位置に無意図的に移行回転し、止め金板やロッ
ド棒が扉の側方に突出した施錠位置に移動してしまう。

このような状態のまま扉を閉鎖したときには、該突出し
た止め金板やロッド棒の先端部が固定枠体の正面枠部に
衝突して傷付けたり塗装を剥離させる危険がある。

従って本考案の目的は、ハンドル本体を解錠位置に的確
に拘束保持できるため、扉閉鎖時における固定枠体や止
め金板の損傷等を防止できる扉用ロックハンドル装置を
提供することである。

［課題を解決するための手段］ 以下、添付図面中の参照符号を用いて説明すると本考案
の解錠位置拘束型扉用ロックハンドル装置は、扉１に固
着される受座２の軸受筒部３にハンドル本体４の施錠軸
５を回転可能及び軸方向に摺動可能に嵌挿し、固定枠体
８の受金部６と係脱して扉１を施解錠する止め金板７を
該施錠軸５に固着し、該施錠軸５の横断孔10に錠止棒11
を挿入し、ハンドル本体４に設けた錠前12のロータ13を
該錠止棒11と連動させ、止め金板７が施錠位置にあると
き錠止棒11の一端部11aが係合する錠止溝14を軸受筒部
３の内面に設け、該ロータ13を鍵19で回転操作したとき
錠止棒11の他端部11bが係合する受溝15を該錠止溝14と
対向させて軸受筒部３の内面に設け、止め金板７が解錠
位置にあるとき錠止棒11の他端部11bが係合する停止溝1
6を仕切壁部17を介して軸受筒部３の内面に設け、ハン
ドル本体４を受座２に向って摺動したとき錠止棒11が停
止溝16から脱出するよう仕切壁部17の軸方向長さを設定
し、ハンドル本体４をバネ18によって受座２より遠ざか
る方向に摺動付勢したものである。

［作用］ 第１図と第２図に示したように扉１を閉鎖して止め金板
７をキャビネット本体８の受金部６に係合させた施錠位
置では、第５図に示したように錠止棒11の一端部11aが
軸受筒部３の錠止溝14に係合しており、そのためハンド
ル本体４の施錠軸５は受座２に対して回転不能に錠止さ
れている。

ハンドル本体４の錠前12に所定の鍵19を挿入してロータ
13を回転操作すると、ロータ13に連動装備された錠止棒
11が横断孔10に案内されて施錠軸５の直径方向に摺動
し、錠止棒11の一端部11aが錠止溝14から脱出して横断
孔10に没入する一方、錠止棒11の他端部11bが横断孔10
から突出して軸受筒部３の受溝15に係合する。この段階
では、錠止棒11の一側面が仕切壁部17の一側面17aに当
接するため、施錠軸５の解錠方向への回転は依然として
不可能である。

第４図に示したようにバネ18の付勢に抗してハンドル本
体４を受座２の方向に押すと、第７図に示したように止
め金板７が受金部６の後方に距離ｇだけ後退して両者の
接触が直ちに解除される一方、錠止棒11の他端部11bが
受溝15から脱出して仕切壁部17の背面側に突出した位置
に来るため、施錠軸５の解錠方向への回転が可能とな
る。ハンドル本体４押し続けながら解錠方向に回転操作
したとき、錠止棒11の他端部11bは仕切壁部17の背面に
沿いながら回動する。

止め金板７が受金部６から完全に離脱した解錠位置まで
到達した段階でハンドル本体４の回転操作を停止し、ハ
ンドル本体４から手を離したとき、バネ18の復帰付勢に
よってハンドル本体４が受座２から遠ざかる方向に摺動
し、第９図に示したように錠止棒11の他端部11bが軸受
筒部３の停止溝16に係合する。この段階では、錠止棒11
の他側面が仕切壁部17の他側面17bに当接するため、施
錠軸５の施錠方向への回転は不可能である。

扉１を閉鎖するには、バネ19の前記付勢に抗してハンド
ル本体４を受座２の方向に押して、錠止棒11の他端部11
bを停止溝16から脱出させ、仕切壁部17による拘束を解
除する必要がある。このようにハンドル本体４を押しな
がら施錠方向に回転させ、止め金板７が受金部６の背後
に到達した段階でハンドル本体４から手を離すと、施錠
軸５がバネ18の付勢によって直ちに前進摺動して、錠止
棒11の他端部11bが受溝15に係合し、止め金板７が受金
部６に衝接して扉１を固定枠体８に対して錠止する。

最後に鍵19によってロータ13を逆転操作すると、錠止棒
11の他端部11bが受溝15から脱出して横断孔10に没入
し、錠止棒11の一端部11aが横断孔10から突出して錠止
溝14に係合する。そのため、扉１は本格的に鎖錠され、
鍵19を所持しない者は扉１を解錠開放することができな
くなる。

［実施例］ 図示の実施例では、錠前12としてはディスクタンブラー
型シリンダー錠が使用され、ロータ13の先端部に設けた
カム突起20は錠止棒11の中間部の受動溝部21に係合して
おり、ロータ13の180度の正逆回転によって錠止棒11の
一端部11aと他端部11bが横断孔10から交互に出没するよ
うになっている。尚、錠止棒11の出没ストロークを大き
く設定するため、ロータ13と錠止棒11の間に連動カム部
材を挿入することもでき、錠前12としてはピンタンブラ
ー型シリンダー錠や軸方向ピンタンブラー錠等も使用す
ることができる。

ハンドル本体４の上端正面部には枢軸22によって回転蓋
板23が装着されており、回転蓋板23は該枢軸22に嵌合し
た圧縮コイルバネ24と背面に固着した磁石板によって、
ハンドル本体の正面に密着する。ハンドル本体４の施錠
軸５は大径軸部5aと中径軸部5bと小径軸部5cの段軸に構
成され、錠前12の本体部分は大径軸部5aに収容され、横
断孔10は小径軸部5cに形成され、中径軸部5bには防水用
Ｏ−リング25が嵌合されている。止め金板７は小径軸部
5cの先端角軸部5dに嵌合され、ボルト26によって締付け
固着されている。

第13図と第14図に示したように軸受筒部３の空洞部は前
端部の大径洞部3aと中間部の中径洞部3bと後半部の小径
洞部3cの３段に構成されている。大径洞部3aはハンドル
本体４の前後摺動時にＯ−リング25が追随移動できる余
裕を残して深く形成されている。大径洞部3aと中径洞部
3b間の段差面27にＯ−リング25が当接したとき、錠止棒
11の他端部11bが受溝15と停止溝16から完全に脱出した
位置に来る。

付勢用バネ18は圧縮コイルバネで構成され、該バネ18は
施錠軸５の小径軸部5cに嵌合されている。該バネ18の前
端は小径軸部5cと中径軸部5b間の段差面28に圧接し、バ
ネ18の他端は小径洞部3cと中径洞部3b間の段差面29に圧
接している。施錠軸５の前方への抜脱は止め金板７が軸
受筒部３の後端面に当接することによって阻止されてい
る。錠止溝14と受溝15と停止溝16及び仕切壁部17は小径
洞部3cの内面に形成されている。

この扉用ロックハンドル装置は、ハンドル本体４を所定
角度左回転したとき止め金板７が扉解錠位置に来てハン
ドル本体４の回転が停止する左回転停止型の作動方式
と、ハンドル本体４を所定角度右回転したとき止め金板
７が扉解錠位置に来てハンドル本体４の回転が停止する
右回転停止型の作動方式の両方に兼用されるものである
ため、停止溝16及び仕切壁部17は錠止溝14と受溝15より
共に90度の位置にある中央隔壁部30に関して左右対称に
は２個ずつ設けられている。

軸受筒部３の中径洞部3bの内面には、中央隔壁部34の左
右両側に２個の円弧状凹部31,32を対称的に形成してあ
り、該円弧状凹部31、32の末端部は錠止溝14と受溝15に
連通するよう前後方向に開口されている。施錠軸５の中
径軸部5bの外面には規制突起３が突設されており、該規
制突起33は該円弧状凹部31,32の選択された一方に嵌込
まれる。

第１図と第２図に示したように左回転停止型の作動方式
で使用したとき、規制突起33は第６図と第10図に示した
ように円弧状凹部32の端壁面32a,32bに当接することに
よって、ハンドル本体４の回転角度を所定角度に規制し
ている。第17図と第18図に示したように受座２を180度
反転して固着することによって右回転停止型の作動方式
で使用したとき、規制突起33は円弧状凹部32の端壁面32
a,32bに当接することによってハンドル本体４の回転角
度を所定角度に規制する。

該円弧状凹部31,32の端壁面31a,32aは、ハンドル本体４
の後退摺動時においても規制突起33が当接できるように
軸方向に長く形成されている。受座２の軸受筒部３は扉
１の取付孔35に嵌挿され、受座２の円形鍔部36の背面の
位置決め突起37,38は扉１の受孔39,40に挿入される。軸
受筒部３の外周螺子部に螺合したナット９を締付けるこ
とによって、受座２は扉１に固着される。

［考案の効果］ 以上のように本考案の扉用ロックハンドル装置では、止
め金板７が受金部６から離脱した解錠位置にあるときに
は、錠止棒11の他端部11bが軸受筒部３の内面の停止溝1
6に係合しており、該錠止棒11と停止溝16との係合がバ
ネ18の付勢によって保持され、該バネ18に抗してハンド
ル本体４を受座２に向って強く押さない限り、錠止棒11
が停止溝16から脱出しないので、ハンドル本体４は当該
解錠位置に的確に拘束され、ロッド棒による回転モーメ
ントが作用してもハンドル本体４が施錠位置へと無意図
的に移行回転することがない。止め金板７やロッド棒の
先端部が扉１の側面より内側に退没保持されているた
め、扉１の閉鎖操作時にこれらが固定枠体に衝突して固
定枠体を傷付けたり、塗装を剥離させる危険が皆無とな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る解錠位置拘束型扉用ロ
ックハンドル装置を左回転停止型に使用したときの正面
図であり、第２図は該扉用ロックハンドル装置の施錠状
態の平面図であり、第３図は第１図のA-A線断面図であ
る。 第４図は鍵を回してハンドル本体を受座に向って押した
ときの該扉用ロックハンドル装置の縦断面図である。 第５図は第３図のB-B線断面図であり、第６図は第３図
のC-C線断面図であり、第７図は第４図のD-D線断面図で
あり、第８図は第４図のE-E線断面図である。 第９図は解錠位置にあるときの第５図に対応した断面図
であり、第10図は解錠位置にあるときの第６図に対応し
た断面図である。 第11図は該扉用ロックハンドル装置に使用した受座の正
面図であり、第12図は該受座の背面図であり、第13図は
第11図のF-F線断面図であり、第14図は第11図のG-G線断
面図である。 第15図は該扉用ロックハンドル装置に使用したハンドル
本体の左側面図であり、第16図は該ハンドル本体の背面
図である。 第17図は該扉用ロックハンドル装置を右回転停止型に使
用したときの第５図に対応した断面図であり、第18図は
第６図に対応した断面図である。 １……扉、２……受座、３……軸受筒部、3a……大径洞
部、3b……中径洞部、3c……小径洞部、４……ハンドル
本体、５……施錠軸、5a……大径軸部、5b……中径軸
部、5c……小径軸部、5d……角軸部、６……受金部、７
……止め金板、８……固定枠体、９……固着用ナット、
10……横断孔、11……錠止棒、11a……一端部、11b……
他端部、12……錠前、13……ロータ、14……錠止溝、15
……受溝、16……停止溝、17……仕切壁部、17a……一
側面、17b……他側面、18……付勢用バネ、19……鍵、2
0……カム突起、21……受動溝部、22……枢軸、23……
回転蓋板、24……圧縮コイルバネ、25……Ｏ−リング、
26……固着用ボルト、27……段差面、28……段差面、29
……段差面、30……中央隔壁部、31,32……円弧状凹
部、31a,31b……端壁面、32a,32b……端壁面、33……規
制突起、34……中央隔壁部、35……取付孔、36……円形
鍔部、37,38……位置決め突起、39,40……受孔

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】扉１に固着される受座２の軸受筒部３にハ
   ンドル本体４の施錠軸５を回転可能及び軸方向に摺動可
   能に嵌挿し、固定枠体８の受金部６と係脱して扉１を施
   解錠する止め金板７を該施錠軸５に固着し、該施錠軸５
   の横断孔10に錠止棒11を挿入し、ハンドル本体４に設け
   た錠前12のロータ13を該錠止棒11と連動させ、止め金板
   ７が施錠位置にあるとき錠止棒11の一端部11aが係合す
   る錠止溝14を軸受筒部３の内面に設け、該ロータ13を鍵
   19で回転操作したとき錠止棒11の他端部11bが係合する
   受溝15を該錠止溝14と対向させて軸受筒部３の内面に設
   け、止め金板７が解錠位置にあるとき錠止棒11の他端部
   11bが係合する停止溝16を仕切壁部17を介して軸受筒部
   ３の内面に設け、ハンドル本体４を受座２に向って摺動
   したとき錠止棒11が停止溝16から脱出するよう仕切壁部
   17の軸方向長さを設定し、ハンドル本体４をバネ18によ
   って受座２より遠ざかる方向に摺動付勢した解錠位置拘
   束型扉用ロックハンドル装置。