JPH0639107U - 沈殿仕切板付き使い捨てカプセル型フイルター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】この考案は、フイルターカートリッジを多段に
用いる煩わしさをなくすと共に、フイルター寿命が長
く、また手足、衣服、周囲等を汚染することなく目詰ま
りした際のフイルター交換を行うことができる使い捨て
カプセル型フイルターを提供することを目的とする。 【構成】この考案に於いては、上部に液体の流入口と排
出口を形成し、内部にフイルターカートリッジを収容し
た使い捨てカプセル型フイルターに於いて、前記フイル
ターカートリッジの下方に多数の貫通孔を形成した沈殿
仕切板を設け、該沈殿仕切板の貫通孔を通って沈殿した
粒子が沈殿仕切板より上方に吹き上がるのを防止したこ
とを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、被処理液中の異物の含有濃度が高く、且つ粒子が濾過しようとす る液体中に於いて沈降し得る大きさ、比重を有する場合に極めて有効なフイルタ ーに係り、特に最近普及目覚ましいウオータージエット工作機械によって生ずる 排水処理等に用いるのに好適な使い捨てカプセル型フイルターに関するものであ る。

【０００２】

【従来の技術】

高圧ウオータージエットによる切削等の加工は、２０００ｋｇ／ｃｍ²程度の 高圧水に、ガーネット等の硬金属粉を注入しながら被切削物に噴射して加工する 方法である。この切削加工に使用した噴射水は、切削物の切削粉体とガーネット の破砕粉等によって、ＳＳ濃度が概ね１０００〜２０００ＰＰＭに汚染されてい るので、公害防止の見地からこの排水は濾過処理しなければならない。この濾過 処理としては、従来、数段階のフイルターカートリッジを使用し、粗粒子は第１ 番目のフイルターカートリッジで、そして次第に精密なフイルターで微粒子を濾 過し、排水基準を満たす方法がとられてきた。この理由は、排水基準を満たすた めに必要な精密なフイルターを使用して一段で濾過しようとすると、ガーネット 等を含む粗粒子によって、フイルターカートリッジが極く短時間で目詰まりして しまうからである。

【０００３】 また、従来の濾過方法は、一般的には、金属製フイルタ−容器中に、フイルタ ーカートリッジをセットし、目詰まりを起こすと、フイルターカートリッジのみ をフイルター容器中から取り出して廃棄する方法が取られている。 しかしながら、ウオータージエットによる切削加工水中には、粗粒子に混じっ てサブミクロンクラスの微粒子が大量に含まれているため、フイルターカートリ ッジ交換の際、その微粒子が衣服、手足、周囲等に付着し、その付着した微粒子 の除去に意外な時間と手間を要すると共に、フイルター容器の洗い水が排水公害 につながる等の問題があった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

この考案は、フイルターカートリッジを多段に用いる煩わしさをなくすと共に 、フイルター寿命が長く、また手足、衣服、周囲等を汚染することなく目詰まり した際のフイルター交換を行うことができる使い捨てカプセル型フイルターを提 供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的に沿う本考案の構成は、上部に液体の流入口と排出口を形成し、内部 にフイルターカートリッジを収容した使い捨てカプセル型フイルターに於いて、 前記フイルターカートリッジの下方に多数の貫通孔を形成した沈殿仕切板を設け 、該沈殿仕切板の貫通孔を通って沈殿した粒子が沈殿仕切板より上方に吹き上が るのを防止したことを特徴とする。

【０００６】 要するにこの考案は、被処理液中の粒子を沈殿仕切板の下方に沈殿させ、沈殿 させた粒子を沈殿仕切板の上方に舞い上がらないようにして、フイルターの目詰 まりを防止したことを要旨とするものである。 本考案に於ける被処理液中の粒子の沈降は、下記のようにして行われる。 （１）フイルターエレメントに付着されなかった粒子が、自重沈降により沈殿仕 切板を通ってフイルター底面に沈降する。 （２）図４の回路図に於いて、ポンプＰの間欠運転によって、フイルターエレメ ントに付着した粒子を沈降させる。例えば、１０分間ポンプからフイルターに原 液を圧送し、次に３分間運転を停止させた場合、フイルター表面に付着した異物 は自重で凝集しながら下方に沈降し、３分間で相当量の異物が沈殿仕切板の下方 に沈殿する。

【０００７】 （３）図４の回路図に於いて、上記１０分運転、３分停止の繰り返し動作の際、 ポンプ停止と同時に、フイルター二次側から空気若しくは水によるインパルスを フイルターカートリッジに与えることによって、フイルターカートリッジに付着 していた粒子を強制的に剥離させ、停止時間の３分間内により多くの異物を沈殿 仕切板の下方に沈殿させる。 このようにして、沈殿仕切板の下方に沈降した沈殿物は、ハニカム構造体の沈 殿仕切板の作用により、原液導入による脈動の影響を受けないから、殆ど沈殿仕 切板の上方に舞い上がらない。

【０００８】

【実施例】

次に、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図１は、本考案の実施例を示す破断図であり、上端が開口した使い捨てカプセ ル１には、液体の導入口２と排出口３とを設けた蓋体４が冠着され、前記使い捨 てカプセル１内には、フイルターカートリッジ５が内装され、該フイルターカー トリッジ５下方には、多数の貫通口６をハニカム状に形成した沈殿仕切板７が固 定されている。 使い捨てカプセル１は、その材質は特に限定されないが、上記実施例に於いて は、ローコストとなるように、ポリプロピレン樹脂をインジエクション成型する ことにより形成されている。

【０００９】 フイルターカートリッジ５は、液体の汚濁度に応じた排水公害基準をパスする 精度を有すること、粒子がフイルターカートリッジの表面に付着しにくい濾材で 構成されていること、及び粒子が表面に付着しても静止状態や逆圧を掛けたとき に付着物が剥がれ易い等の性質を具備するものが好ましい。上記実施例に於いて は、表面が密で、濾過精度が高くしかもローコストであるという理由で、硅藻土 ５０％とセルロース繊維他５０％とで構成した濾材を使用した。

【００１０】 沈殿仕切板７の厚さ及び貫通孔６の大きさは特に限定されないが、導入口２か ら流入する液体の脈動の影響を受けないように、図３に示すｔの厚み寸法とＡ角 の大きさを設定するのが良い。上記実施例に於いては、ｔ＝２０ｍｍ、Ａ角＝３ ｍｍのアルミニウム製ハニカム構造体を使用した。沈殿仕切板７の材質は、濾過 する液体に対する耐性を有するなら特に限定されないが、使い捨てであるから安 価なものを使う必要がある。

【００１１】

【作用】

次に、本考案のフイルターの使用例を図４に基づいて説明する。 原液としてウオータージエットマシンから排出される汚濁水を使用し、その排 水は一旦タンク９に導入した。タンク９には、ＬＳ−Ｌ及びＬＳ−Ｈ即ち水面の 高さによってＯＮ・ＯＦＦされるレベルスイッチが取り付けられ、ポンプ１０に リレーされている。このレベルスイッチのＯＮ・ＯＦＦによって、ポンプのＯＮ ・ＯＦＦが生じ、カプセル１への液体の流入が間欠となる。この実施例に於いて は、１０分間ポンプを運転すると約３分間ポンプが停止するように条件設定した 。

【００１２】 フイルターの圧力損失（入口と出口の圧力差）が０．５ｋｇ／ｃｍ²に到達し た時点で、ポンプ１０の運転が停止し、電磁弁１１が開き、同時に電磁弁１２が 閉じる動作が０．５秒のサイクルで３度繰り返されるようにシーケンス制御され ており、フイルター表面に付着した粒子がパルスで払い落とされる。尚この時、 フイルターに加わったインパルス圧力は、リリーフバルブ１３を通ってタンク９ に逃げる回路が付いているので、カプセル１の破損を引き起こす恐れはない。

【００１３】 フイルターカートリッジ５表面に付着した粒子は、インパルスによって強制的 に剥離され、沈殿仕切板７の下方に沈殿する。沈殿仕切板７の下方に沈殿した沈 殿物は、ハニカム構造体の沈殿仕切板の作用によって、殆ど沈殿仕切板の上方に 舞い上がることなく蓄積されて行く。ポンプ１０の停止後３分間経過すると、ポ ンプは自動的に起動し、上記と同様の作動が繰り返される。

【００１４】 ＳＳ分１２００ＰＰＭの汚染水を使用し、５リットル／分の流速でタンク９に 汚染水を導入して上記のように実施すると、フイルターが目詰まりを起こすまで の時間は、９〜１０時間であった。沈殿仕切板を設けないで、同様のフイルター を使用し、同様に実施すると、フイルターは３時間で目詰まりを起こした。これ により、沈殿仕切板を設けることによって、濾過寿命が３倍以上延びることが確 認された。

【００１５】

【効果】

以上述べたごとく、本考案によれば、濾過中、被処理液中の粒子及びフイルタ ーに付着した粒子を沈降させることができ、しかも沈降した粒子は沈降仕切板の 作用によって、流入する原液の脈動の影響を受けないから、濾過中フイルター部 への再浮上が防止され、フイルターが目詰まりしにくくなり、フイルターの濾過 寿命が飛躍的に向上する。

【００１６】

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す破断図である。

【図２】図２のＡ−Ａ′矢視図である。

【図３】沈殿仕切板の断面図である。

【図４】本考案のフイルターの使用例を示す回路図であ
る。

【符号の説明】

１ 使い捨てカプセル ５ フイルターカートリッジ ７ 沈殿仕切板

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上部に液体の流入口と排出口を形成し、内
   部にフイルターカートリッジを収容した使い捨てカプセ
   ル型フイルターに於いて、前記フイルターカートリッジ
   の下方に多数の貫通孔を形成した沈殿仕切板を設け、該
   沈殿仕切板の貫通孔を通って沈殿した粒子が沈殿仕切板
   より上方に吹き上がるのを防止したことを特徴とする使
   い捨てカプセル型フイルター。