JPH0635724Y2 - 車両のウェザーストリップ取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は車両のウェザーストリップの取付構造に関し、
詳しくは、ドアパネルの上縁部たるドアウエストライン
に取付けられてウインドガラスとの間でシールするよう
にしたものに関する。

（従来の技術） 従来より、この種車両のウェザーストリップ取付構造と
して、例えば実開昭62−4421号公報に開示されるよう
に、ウェザーストリップに所定間隔置きのクリップ部材
をそれぞれ設け、該各クリップ部材に、ドアパネルの上
縁部に設けられた所定間隔置きの開口部内に挿通可能な
突起部が設けられていて、上記各クリップ部材の突起部
をドアパネルの上縁部の各開口部に対してそれぞれ上方
から挿通により保持することによって、ウェザーストリ
ップがドアパネルの上縁部（ドアウエストライン）に取
付けられているものは知られている。そして、ウェザー
ストリップの各クリップ部材は、ウェザーストリップの
端部をドアパネルの上縁部の前後の端部のうち、どちら
か一方の端部に合わせて順次端から取付けられている。

（考案が解決しようとする課題） ところで、運転者の着座位置の高いキャブオーバトラッ
クなどの車両には、第６図に示すように、ドアパネルａ
の上縁部ｂを、その上縁部ｂの前側に位置する前側上縁
部と、上縁部ｂの後側に位置する後側上縁部と、上記前
側上縁部および後側上縁部の間に設けられ、該前側上縁
部および後側上縁部の高さを異ならせる段差部ｃとで形
成し、運転者の側方視界が十分に確保されるよう，例え
ば前側上縁部が後側上縁部よりも低くなるにしている。

この場合、ドアパネルａの段差部ｃは上下の曲部d,dお
よび略垂直状の傾斜部ｅによって構成されるため、特に
傾斜部ｅに第１開口部ｆを設けたものでは、該第１開口
部ｆに対するクリップ部材（図示せず）の上方からの挿
通が可能となるように第１開口部ｆの前後方向の幅を他
の第２開口部ｈ（ドアパネルａの略水平状の上縁部ｂに
設けられた第２開口部ｈ）の前後方向の幅に合わせて拡
げなければならない。このため、クリップ部材を前後で
高さの異なる開口部ｆ内に挿通させて係合（取付）する
のが難しいものになる上、開口部ｆによってドアパネル
ａの上縁部ｂの開口面積が大きなものになってドアパネ
ルａの上縁部ｂの剛性強度が低下するという問題があ
る。

そこで、上記の如く諸事情を加味した上で、ドアパネル
の上縁部に段差部が設けられた車両のウェザーストリッ
プ取付構造としては、段差部（曲部および傾斜部）に開
口部を設けず、ウェザーストリップの上記段差部に対応
する部位のクリップ部材を不要にすることによって、段
差部におけるクリップ部材を介したウェザーストリップ
の取付けがなされないようにすることが考えられる。

かくすることによって、ウェザーストリップのドアパネ
ルの上縁部に対してクリップ部材を段差部の開口部内に
挿通させて保持（取付）する難しさから解放されたもの
となる上、ドアパネルの上縁部の開口面積が小さなもの
となってドアパネルの上縁部の剛性強度を高いものにす
ることができる。

しかしながら一方では、段差部におけるクリップ部材を
介したウェザーストリップの取付けがなされないため
に、ウェザーストリップの段差部（ドアパネル）に対す
る取付剛性強度が自ずと低いものになり、車両走行時に
は、段差部におけるウェザーストリップのガタ付きが発
生するという問題がある。

本考案はかかる諸点に鑑みてなされたもので、その目的
とするところは、ドアパネルの段差部におけるウェザー
ストリップの取付けが開口部を設けなくとも容易になさ
れるような部材を段差部とウェザーストリップとの間に
設けることにより、ウェザーストリップの段差部（ドア
パネル）に対する取付剛性強度を確保して、車両走行時
の段差部におけるウェザーストリップのガタ付きを確実
に防止しようとするものである。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本考案の解決手段は、ドアパ
ネルの上縁部にウェザーストリップが取付けられている
車両のウェザーストリップ取付構造として、上記ドアパ
ネルの上縁部を、その上縁部の前側に位置する前側上縁
部と、上縁部の後側に位置する後側上縁部と、上記前側
上縁部および後側上縁部の間に設けられ、該前側上縁部
および後側上縁部の高さを異ならせる段差部とで構成
し、上記前側上縁部および後側上縁部に対応するウェザ
ーストリップの前後部分を、その前側上縁部および後側
上縁部に対してのみクリップ部材を介して取付けるとと
もに、上記段差部に対応するウェザーストリップの中途
部分を、その段差部におけるドアパネルの上縁部とウェ
ザーストリップとの間に挿通されるスペーサ部材を介し
て段差部に対して取付ける。そして、上記クリップ部材
を、上記前側上縁部および後側上縁部に設けられた切欠
開口部に対して嵌合固定する一方、上記スペーサ部材
を、上記ドアパネルの上縁部に対して非固定とする構成
としたものである。

（作用） 上記の構成により、本考案では、ドアパネル上縁部の前
側上縁部および後側上縁部に対するウェザーストリップ
の取付けは、前側上縁部および後側上縁部に設けられた
切欠開口部に対して嵌合固定されるクリップ部材によっ
てなされていて、前側上縁部および後側上縁部に対応す
るウェザーストリップの前後部分のみがクリップ部材に
より保持されている。

一方、例えば前側上縁部が後側上縁部よりも低くなるド
アパネル上縁部の段差部に対するウェザーストリップの
取付けは、その段差部におけるドアパネルの上縁部とウ
ェザーストリップ（ウインドガラス）との間に挿通され
るスペーサ部材によってなされていて、該スペーサ部材
によるウェザーストリップを介したウインドガラスから
の押圧力によってウェザーストリップの中途部分が段差
部に保持されている。これによって、クリップ部材を段
差部の開口部内に挿通させて保持（取付）する難しさか
ら解放されるとともに、ドアパネルの上縁部の剛性強度
を高いものとすることができることになり、これに加え
て、ウェザーストリップの段差部（ドアパネル）に対す
る取付剛性強度が高められることになる。

しかも、段差部に対するウェザーストリップの取付け
が、その段差部におけるドアパネルの上縁部とウェザー
ストリップとの間に挿通される，ドアパネルに対して非
固定のスペーサ部材により行われることから、例え段差
部がどのような角度で傾斜していても、スペーサ部材に
よるウェザーストリップの取付けが可能となり、車種に
よって異なる段差部の傾斜に則したスペーサ部材を用意
する必要はない。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第３図ないし第５図は本考案の一実施例に係るウェザー
ストリップ取付構造を備えたキャブオーバトラックタイ
プの自動車を示し、１は車体、２はドア（図では左側の
み示す）であって、該ドア２はインナパネル３とアウタ
パネル４とを一体に接合してなり、この上縁部５（ドア
ウエストライン）にはドア２内外を連通する開口部６が
形成され、その開口部６を介してウインドガラス７を昇
降移動させてウインドを開閉するようになされている。
また、上記インナパネル３（ドア２）の上縁部５は断面
略コ字状に形成されており、この上縁部５には、該イン
ナパネル３の上縁部５と同様に車体前後方向へ延びる断
面略Ｌ字状のレインフォースメント８が接合されて閉断
面が形成されている。さらに、上記ドア２内には、略上
下方向へ延びるインパクトバー９が設けられている。上
記インパクトバー９は、その上端部がアウタパネル４の
内面に接着機能を有する充填材（図示せず）を介して接
着されている一方、下端部がインナパネル３とアウタパ
ネル４とによって挾まれた状態で接合されており、該イ
ンパクトバー９によって車体側面衝突時のドア２の変形
を可及的に防止している。

また、上記ドア２の上縁部５は、その上縁部５の前側に
位置する前側上縁部12と、上縁部５の後側に位置する後
側上縁部13と、上記前側上縁部12および後側上縁部13の
間に設けられ、該前側上縁部12および後側上縁部13の高
さを異ならせる段差部11とからなり、この段差部11によ
って後側上縁部13よりも低くなる前側上縁部12により、
図示しない車室内の着座位置の高い運転席からの運転者
の側方視界が十分に確保されるようにしている。また、
上記段差部11は、上下の曲部14,14と、該両曲部14の間
に設けられた略垂直状の傾斜部15とからなる。さらに、
上記段差部11（両曲部14および傾斜部15）を除くドア２
の上縁部５、つまり前側上縁部12および後側上縁部13が
位置するインナパネル３には、前後方向所定間隔置きに
切り欠いた断面略コ字状の切欠開口部16,…が設けられ
ている。

さらに、第２図に示すように、上記ドア２の上縁部５に
は、ウインドガラス７との間でシールを行うウェザース
トリップ20（インナパネル３側のみ示す）が設けられて
いる。該ウェザーストリップ20は、金属製の芯材21と、
該芯材21を外方側から覆うゴム製のシール材22とからな
る。また、上記インナパネル３の各切欠開口部16に対
応、つまり前側上縁部12および後側上縁部13に対応する
ウェザーストリップ20の前後部分には、その前側上縁部
12および後側上縁部13に対してのみウェザーストリップ
20の下部を挾み込んで保持する断面略Ｊ字状の保持部23
を有してなるクリップ部材24（図では一つだけ示す）が
取付けられている。さらに、上記クリップ部材24の内面
側（インナパネル３側）には、上記インナパネル３の切
欠開口部16内に挿通可能な爪部25が設けられており、該
爪部25は、切欠開口部16内に挿通されてインナパネル３
を挾み込むことによって切欠開口部16に対して嵌合固定
されている。

そして、第１図に示すように、上記インナパネル３（ド
ア２）の上縁部５の段差部11の傾斜部15に対応するウェ
ザーストリップ20の中途部分には、上記クリップ部材24
の保持部23の形状と略一致するスペーサ部材26が取付け
られている。上記スペーサ部材26は、上記ウェザースト
リップ20とインナパネル３との間に挿通されていて、上
記段差部11の傾斜部15に対して非固定とされている。

尚、第５図中、27,…は、インナパネル３とレインフォ
ースメント８とを接合するためのスポットガンの挿通可
能なスポット用開口部である。

次に、上記実施例の作用・効果について説明するが、前
側上縁部12および後側上縁部13に対するウェザーストリ
ップ20の取付けは、前側上縁部12および後側上縁部13が
位置するインナパネル３の前後方向所定間隔置きに設け
られた各切欠開口部16に対して嵌合固定されるクリップ
部材24によってなされていて、前側上縁部12および後側
上縁部13に対応するウェザーストリップ20の前後部分の
みが切欠開口部16に爪部25を挿通させてインナパネル３
を挾み込むクリップ部材24により保持されている。

一方、前側上縁部12が後側上縁部13よりも低くなるドア
２の上縁部５に設けられた段差部11に対するウェザース
トリップ20の取付けは、段差部11におけるインナパネル
３の上縁部５とウェザーストリップ20（ウインドガラス
７）との間に挿通されたスペーサ部材26によってなされ
ていて、該スペーサ部材26によるウェザーストリップ20
を介したウインドガラス７からの押圧力によってウェザ
ーストリップ20が段差部11に保持されている。これによ
って、クリップ部材を段差部の開口部内に挿通させて保
持（取付）する難しさから解放されるとともに、ドアパ
ネルの上縁部の剛性強度を高いものにすることができる
ことになり、これに加えて、ウェザーストリップ20の段
差部11（インナパネル３）に対する取付剛性強度が高め
られることになり、よって車両走行時の段差部11（両曲
部14および傾斜部15）におけるウェザーストリップ20の
ガタ付きを確実に防止することができる。

しかも、段差部11に対するウェザーストリップ20の取付
けが、その段差部11におけるドア２の上縁部５とウェザ
ーストリップ20との間に挿通される，段差部11の傾斜部
15に対して非固定のスペーサ部材26により行われること
から、例え段差部11がどのように傾斜していても、スペ
ーサ部材26によるウェザーストリップ20の取付けが可能
となり、車種によって異なる段差部の傾斜に則したスペ
ーサ部材を用意する必要がなく、スペーサ部材の汎用性
の向上を図ることができる。

尚、上記実施例では、段差部11の傾斜部15に対応するウ
ェザーストリップ20の中途部分に設けたスペーサ部材26
について述べたが、段差部の上下の曲部に対応するウェ
ザーストリップの対応部分にスペーサ部材を設けた場合
にも適用できるのは勿論である。

（考案の効果） 以上の如く、本考案における車両のウェザーストリップ
取付構造によれば、ドアパネル上縁部の段差部に対し、
ウェザーストリップとドアパネルの上縁部との間に挿通
するスペーサ部材によってウェザーストリップを取付け
たので、段差部に対応する部位のクリップ部材および開
口部が不要となって、ドアパネルの上縁部の剛性強度が
高いものになる。これにより、ウェザーストリップの段
差部に対する取付剛性強度が高められたものになって車
両走行時の段差部におけるウェザーストリップのガタ付
きを確実に防止することができるとともに、段差部の傾
斜に関係なくスペーサ部材の挿通のみで段差部に対する
ウェザーストリップの取付けを可能にしてスペーサ部材
の汎用性の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は本考案の第１実施例を示し、第１
図は第４図のＩ−Ｉ線における断面図、第２図は第４図
のII−II線における断面図、第３図は自動車の斜視図、
第４図はドアの正面図、第５図はドアの上縁部の斜視図
である。また、第６図は従来例を示す第４図相当図であ
る。 ２…ドア、３…インナパネル、11…段差部、16…切欠開
口部、20…ウェザーストリップ、24…クリップ部材、26
…スペーサ部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ドアパネルの上縁部にウェザーストリップ
   が取付けられている車両のウェザーストリップ取付構造
   であって、上記ドアパネルの上縁部は、その上縁部の前
   側に位置する前側上縁部と、上縁部の後側に位置する後
   側上縁部と、上記前側上縁部および後側上縁部の間に設
   けられ、該前側上縁部および後側上縁部の高さを異なら
   せる段差部とからなり、上記前側上縁部および後側上縁
   部に対応するウェザーストリップの前後部分は、その前
   側上縁部および後側上縁部に対してのみクリップ部材を
   介して取付けられているとともに、上記段差部に対応す
   るウェザーストリップの中途部分は、その段差部におけ
   るドアパネルの上縁部とウェザーストリップとの間に挿
   通されるスペーサ部材を介して段差部に対する取付けが
   なされており、上記クリップ部材は、上記前側上縁部お
   よび後側上縁部に設けられた切欠開口部に対して嵌合固
   定されている一方、上記スペーサ部材は、上記ドアパネ
   ルの上縁部に対して非固定とされていることを特徴とす
   る車両のウェザーストリップ取付構造。