JPH0635102U - 摩擦溶着型結束工具の熱可塑性帯後続余剰部切断装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 摩擦溶着型結束工具の、簡潔なメカニズムに
よる切断装置、適切な形状を適用した切断刃を提供す
る。 【構成】 重合する上側帯のみを帯幅方向に振動させる
加圧振動子に付随して下降する切断刃と、切断刃をハウ
ジングに対して摺動可能にサポートするカッターホルダ
ーと、切断刃を弾力的に昇降し、かつその下降並びに上
側帯押圧に際して、適当な押圧力を切断刃に付与するた
めの撓み力を有し、さらに切断刃を上昇させるときは加
圧振動子に接触してこれを引き上げるべく働くスプリン
グロッドと、スプリングロッドを保持してこれを介して
切断刃を下降押圧および上昇させると共に、加圧振動子
を引き上げるための、加圧シリンダに支持ピンで支持さ
れるニードルホルダーと、下降並びに重合帯加圧はニー
ドルホルダー下側との直接接触による作用を受け、上昇
についてはスプリングロッドを介して行われる加圧振動
子とを具備せしめて構成したものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、熱可塑性帯を用いて物品を結束する工具の改良に関し、より詳しく は、前記熱可塑性帯の溶着締結後の後続余剰部の切断装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来から、熱可塑性帯（本明細書において単に帯ということが多い）を用いて 、該帯の重合部を摩擦溶着して物品を結束する装置、特に携帯の便利な結束工具 は、物流過程において広く適用され、重宝な存在となっていた。例えば、旧くは 特公昭４２−１９２３８号公報に見られるようなよく使用される結束工具があっ たが、その後結束工具の各部位に改良が施されて、近年においては特公平２− １０００６号に見られるように、帯重合部の摩擦溶着のための帯幅方向高速振動 を利用して重合上側帯の後続余剰部を、切断刃を軽く押圧しただけで切断する切 断装置を具備した結束工具が適用されてきたところである。しかしながら、この ような切断装置はなかなかに便利ではあるがその機構が極めて複雑であり、製作 費の高騰は避けられないものであった。また、切断軌跡が円弧を画く構成であり 、切断効率において必ずしも満足すべき点ばかりではなかった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、前述のような情況に鑑み、結束工具の切断装置の構造が、従来の複 雑な機構を避けて、加圧振動子の昇降作動をも含めて、極めて簡潔な機構に改良 した切断装置、さらには、切断を加圧振動子の帯幅方向振動を利用しながらも、 その切断効率の高い押圧力付与並びに切断刃の形状を改良すべく、本考案者の鋭 意研究試行のもとに、その完成を見るに至った。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、前述の課題を解決するために次のような手段を適用して対処した。 すなわち、重合する上側帯のみを帯幅方向に振動させる加圧振動子に付随して下 降する切断刃と、該切断刃をハウジングに対して摺動可能にサポートするカッタ ーホルダーと、前記切断刃を弾力的に昇降し、かつその下降並びに上側帯押圧に 際して、付与するその押圧力のみでは上側帯を切断し得ない程度の適当な押圧力 を切断刃に付与するための撓み力を有し、さらに切断刃を上昇させるときは前記 加圧振動子に接触してこれを引き上げるべく働くスプリングロッドと、該スプリ ングロッドを保持してこれを介して切断刃を下降押圧および上昇させると共に、 加圧振動子を引き上げるための、加圧シリンダに支持ピンで支持されるニードル ホルダーと、下降並びに重合帯加圧はニードルホルダー下側との直接接触による 作用を受け、上昇については前記スプリングロッドを介して行われる加圧振動子 とを具備せしめて構成したものである。

【０００５】 さらに、重合する上側帯に、帯幅方向振動に対して、より効率的に切断作用を 受容させるために、弾性部材（本願実施例ではスプリングロッドを適用したが、 板バネ、つる巻バネ等の適用も可能）で重合上側帯を、その押圧力のみでは切断 し得ない程度の適当な押圧力で押圧される切断刃の刃形を、ノコギリ状に形成し て適用したものである。

【０００６】

【考案の作用】

本考案の摩擦溶着型結束工具の熱可塑性帯後続余剰部切断装置（以下単に本切 断装置という）の作用について、図面の図16を主に引用しながら詳しく述べる。

【０００７】 ニードルホルダー30に加わる加圧力Ｐは、スプリングロッド孔35、35を貫通す るスプリングロッド50を、スプリングロッド孔35、35の両内側部でP'、P'の力で 押圧するが、該スプリングロッド50の一端に取付けた切断刃10の反力Ｑにより、 極めて優れた可撓性の影響からスプリングロッド50の中央部が下方に撓み、切断 刃10に対しては、該切断刃10が重合上側帯90ａを、そのままの状態では切断し得 ない程度の適当な押圧力として作用する。かくて、重合上側帯90ａが、図16にお いて手前と奥行の方向、すなわち帯90の幅方向に高速微小振動（この振動は帯重 合部の摩擦溶着のためのものであるが、この振動をうまく上側帯90ａの切断に利 用したものである）すると、切断刃10の刃部15のノコギリ状刃形が、直線平刃よ りも極めて有効に、前記適当な押圧力（矢印Ｑの反力）と相俟って上側帯90ａを 逐次切断して行くものであり、前述の重合帯摩擦溶着完了までに完全に上側帯90 ａが切断されるものである。そして、切断刃10の刃部15が帯幅方向固定の下側帯 90ｂにタッチすると、前述のとおり、これを切断すべく作用しないものである。

【０００８】 かくて、ピストンロッド40が上昇すると切断刃10はスプリングロッド50の上昇 に伴って上昇するものであるが、図２で判るように、このスプリングロッド50の 上昇が、加圧振動子60の引き上げを併せて行うものである。つまり、スプリング ロッド50の端部が加圧振動子60の鍔67（図17に示す）に接して引き上げを行うも のである。 そもそも加圧振動子60が、ピストンロッド40との直接連結でなく、下降、加圧 のみ、ピストンロッドの接触押圧によって直接的に作用を受け、上昇は別個の作 用ルートで引き上げられる構造とした理由は、該加圧振動子60を仮にピストンロ ット40と直接連結したとき、帯幅方向高速振動に対して、その加圧と共に行う振 動が、帯幅方向中央部と両端部に対して加圧力の差異を生ぜしめることになるか らである。すなわち、連結部を中心として加圧振動子60の端部（重合帯加圧位置 ）は厳密に申すならば所謂円弧状運動をなすからである。したがって、本考案で は、このような不合理を排除して完全な振動の平行性を確保するものであるが、 このことによって、ピストンロッド40と加圧振動子60との接触係合が必要となっ てきて、加圧振動子60の上昇に対する手段が問題となるが、この上昇を極めて簡 潔な機構によって処理したものである。このことは、前述のスプリングロッド50 の可撓性を利用した切断刃10の押圧と相俟って１つの大きな特徴である。

【０００９】

【実施例】

以下本考案の好適な実施例を図面に従って詳しく説明する。 図１に、本切断装置１を装着した摩接溶着型結束工具（以下単に結束工具とい う）80の側面図を示し、図２に図１のＡ−Ａ矢視による正面断面図、図４に図２ のＣ−Ｃ矢視による側面断面図を示し、さらに図３に図１のＢ−Ｂ矢視によるベ ースプレート81の平面図を示したが、結束工具80は、一般的に知られているよう に、ベースプレート81にハウジング82を直立装着して、該ハウジング82上部に加 圧シリンダ84、前部に振動用モータ88を設け、後部には、帯引締装置85を引締用 モータ86を伴って搖動可能に設けている。引締用モータ86および振動用モータ88 は勿論電動モータとすることも可能であるが、本実施例では加圧シリンダ84と共 にエアを用いた結束工具80とした。

【００１０】 そして、図２でよく判るように、ハウジング82の内部には、加圧振動子60が、 ピストンロッド40にロッドピン45で連結されたニードルホルダー30に、ローラ65 を介して接触し、下降および加圧の力を受けるよう構成している。ここでローラ 65は該加圧振動子60が帯幅方向に偏心軸62によって高速振動するに際して、高い 加圧力のもとに水平振動するための摺動を確実に保持し助長するものである。そ して、該加圧振動子60の上昇は、後述のスプリングロッド50の上昇によって引き 上げられる構造としている。

【００１１】 本考案の主体である本切断装置１は、図４および図２である程度理解される（ 詳しくは後述）ように、ニードルホルダー30に係支されたスプリングロッド50に 懸架支持され、カッターホルダー20によって帯引締装置85の直前部位においてハ ウジング82に上下摺動可能に取付けられている。 なお、ベースプレート81は図３でよく判るように、帯90の端部をグリップする ためのアンビル816を嵌着するアンビル嵌着孔812および重合下側帯90ｂを帯幅方 向並びに帯長方向に固定するためのアンビル815 を嵌着するためのアンビル嵌着 孔811 を穿設している。

【００１２】 図５に本切断装置１の組立構造を詳しく示す側面断面図を提示したが、後述す る各構成部品によって組立てられる構造すなわち加圧シリンダ84のピストンロッ ド40にニードルホルダー30がロッドピン45で連結ピン孔31、41において連結され 、該ニードルホルダー30はスプリングロッド50を、スプリングロッド孔35、35に 貫通しており、スプリングロッド50の片側に切断刃10の上部の取付孔13で支持し ている。切断刃10は、カッターホルダー20によってハウジング82に上下摺動可能 にサポートされる。

【００１３】 切断刃10の詳細を図６に正面図、図７に図６のＥ−Ｅ矢視側面断面図として示 したが、上部に取付孔13を穿設し、刃部15はノコギリ状を形成して、重合上側帯 90ａの帯幅方向微小高速振動に対して、切断効率のすぐれた構成としている。

【００１４】 カッターホルダー20は、図８に正面図、図９に図８のＦ−Ｆ矢視による側面断 面図、図10に平面図として示したように、ハウジング82への取付固着のための取 付孔25を両側に穿設しており、中央部は切断刃10のハウジング82への密着と円滑 摺動を果たさせるための凹部形成をなしている。

【００１５】 ニードルホルダー30は、図11に正面図、図12に図11のＧ−Ｇ矢視による側面断 面図、図13に平面図として示したように、上部のピストンロッド40への嵌合を容 易にするための嵌合突出部32と、該嵌合突出部32に連結ピン孔31を穿設しており 、下部にはスプリングロッド50、50を貫通するためのスプリングロッド孔35を、 スプリングロッド50の１本に対して２ケ所、従って計４個穿設している。なお、 該スプリングロッド孔35は、スプリングロッド50の柔軟な撓みを考慮した逃げの ためのヌスミを施している。

【００１６】 ピストンロッド40は、図14に側面図、図15に図14のＨ−Ｈ矢視による円筒部の 平面断面図として示したように、ニードルホルダー30の嵌合突出部32が嵌合する ための嵌合孔42を穿設し、該嵌合孔42の外筒部に連結ビン孔41を設けている。

【００１７】 スプリングロッド50は、特別に個別図示しなかったが、可撓性ならびに靭性、 に優れた市販のピアノ線を熱処理加工して使用した。

【００１８】 加圧振動子60は、図17に正面図、図18に図17のＩ−Ｉ矢視による側面断面図と して示したように、上部の鍔67は、加圧振動子60の引き上げに際して前述のスプ リングロッド50に係合するごとく構成（図２をも参照されたし）しており、上面 凹部には、ローラ65を装填して、ピストンロッド40の加圧接触を、高速振動に対 して力学的に処理するごとく構成している。中央部には空胴69を形成して、偏心 軸62、ベアリング63、カラー64等を収容すると共に、振動用モータ88の駆動軸61 を前記偏心軸62に軸着せしめて、高速帯幅方向微小振動を達成せしめると共に前 記偏心軸62に対して上下の昇降、加圧に対応するため上下長孔としている。

【００１９】 本切断装置１の作動については、これを装着する結束工具80の作動が既に一般 に知られている上に、本切断装置１自体の作用について前項「０００６」乃至「 ０００８」の本考案の作用の項で詳述しており、ここでは省略する。

【００２０】

【考案の効果】

本考案を実施することによって、重合する上側帯のみを切断し、下側帯には何 ら損傷を与えない自動切断、すなわち上側帯の帯幅方向高速微小振動を利用した 後続余剰帯切断装置において、加圧振動子の昇降機構をも含めて、従来にない極 めて簡潔にして安価な、そして製作そのものにも特に厳しい寸法精度を要求され ず、作動制御に心労をわずらわすことのない結束工具の切断装置が提供され、実 際の結束作業においても確度の高い上側帯切断が達せられ、したがって今後の摩 擦溶着型結束工具の発展と更なる活用に大きく貢献するものである。

【図面の簡単な説明】

【総括】図面はすべて本考案の実施例を示すものであ
る。

【図１】本考案の切断装置を具備した摩擦溶着型結束工
具の側面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ矢視による結束工具の正面断面図
である。

【図３】図１のＢ−Ｂ矢視によるベースプレートの平面
図である。

【図４】図２のＣ−Ｃ矢視による結束工具の側面断面図
である。

【図５】図２のＤ−Ｄ矢視による本切断装置の組立関連
を示す側面断面図である。

【図６】本切断装置の切断刃を示す正面図である。

【図７】図６のＥ−Ｅ矢視による切断刃の側面断面図で
ある。

【図８】カッターホルダーの正面図である。

【図９】図８のＦ−Ｆ矢視によるカッターホルダーの側
面断面図である。

【図10】カッターホルダーの平面図である。

【図11】ニードルホルダーの正面図である。

【図12】図11のＧ−Ｇ矢視によるニードルホルダーの側
面断面図である。

【図13】ニードルホルダーの平面図である。

【図14】ピストンロッドの側面部分断面図である。

【図15】図14のＨ−Ｈ矢視によるピストンロッドの円筒
部断面図である。

【図16】スプリングロッドの切断刃押圧時の説明図であ
る。

【図17】加圧振動子の正面図である。

【図18】図17のＩ−Ｉ矢視による加圧振動子の側面断面
図である。

【符号の説明】

１ 本切断装置 10 切断刃 13
取付孔 15 刃部 20 カッターホルダー 25
取付孔 30 ニードルホルダー 31 連結ピン孔 32
嵌合突出部 40 ピストンロッド 41 連結ピン孔 42
嵌合孔 45 ロッドピン 50 スプリングロッド 60
加圧振動子 61 駆動軸 62 偏心軸 63
ベアリング 64 カラー 65 ローラ 66
押圧面 67 鍔 69 空胴 80
結束工具 81 ベースプレート 82 ハウジング 84
加圧シリンダ 85 帯引締装置 86 引締用モータ 88
振動用モータ 90 帯 811 アンビル嵌着孔 81
2 アンビル嵌着孔 815 アンビル 816 アンビル。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 物品を回周した熱可塑性帯を引締め、該
   帯の重合部を摩擦溶着接合し、後続余剰帯を切断除去し
   て結束を行う摩擦溶着型結束工具の後続余剰部切断装置
   において、重合する上側帯のみを帯幅方向に振動させる
   加圧振動子に付随して下降する切断刃と、該切断刃をハ
   ウジングに対して摺動可能にサポートするカッターホル
   ダーと、前記切断刃を弾性的に昇降し、かつその下降並
   びに上側帯押圧に際して、付与するその押圧力のみでは
   上側帯を切断し得ない程度の適当な押圧力を切断刃に付
   与するための撓み力を有し、さらに切断刃を上昇させる
   とき前記加圧振動子の上部鍔下側と接触してこれを引き
   上げるべく働くスプリングロッドと、該スプリングロッ
   ドを保持してこれを介して切断刃を下降押圧および上昇
   させると共に加圧振動子を引き上げるための、加圧シリ
   ンダーに支持ピンで支持されるニードルホルダーと、下
   降並びに重合帯加圧はニードルホルダー下側との直接接
   触による作用を受け、上昇については前記スプリングロ
   ッドを介して行なわれる加圧振動子とを具備せしめたこ
   とを特徴とする摩擦溶着型結束工具の熱可塑性帯後続余
   剰部切断装置。
2. 【請求項２】 物品を回周した熱可塑性帯を引締め、該
   帯の重合部を摩擦溶着接合し、後続余剰帯を切断除去し
   て結束を行う摩擦溶着型結束工具の後続余剰部切断装置
   において、弾性部材で重合上側帯を、その押圧力のみで
   は切断し得ない程度の適当な押圧力で押圧される切断刃
   の刃形をノコギリ状に形成して、帯幅方向に高速微小振
   動する重合上側帯に対して、より効率的に切断作用を受
   容せしめるごとく構成したことを特徴とする摩擦溶着型
   結束工具の熱可塑性帯後続余剰部切断装置。