JPH0634941Y2 - エレベータの調速機用工具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はエレベータの調速機を点検する際に使用する調
速機用工具の改良に関するものである。

〔従来の技術〕

第４図及び第５図はエレベータ装置、特にエレベータ用
の調速機を示したもので、図中（１）は複数の主索
（２）に接続して懸吊したエレベータかご、（３）はエ
レベータの速度が規定値以上になったときに自動的にエ
レベータかご（１）を停止させる調速機で、この調速機
（３）は本体たる機枠（４）と、この機枠（４）の底板
に穿設された複数の孔（4a）と、機枠（４）に軸（５）
を介して回動自在に支承されたプーリ（６）と、このプ
ーリ（６）と同芯軸に且つ独立して支承された爪歯車
（７）と、この爪歯車（７）の一側面部にピンを介して
取着された連結棒（８）等を備え、昇降路上部の機械室
（９）に設置されている。そして上記孔（4a）が、機械
室（９）の床に穿設され昇降路に通じる複数の貫通孔
（9a）にそれぞれ重合されている。（10）は上記調速機
（３）のプーリ（６）に巻回したロープで、このロープ
（10）は上記孔（4a）及び貫通孔（9a）を貫通して昇降
路内に垂れ下がり、且つループ状に形成されている。そ
してこのロープ（10）のエレベータかご側のものは該エ
レベータかご（１）の背面部に係合されている。（11）
はこのループ状を呈したロープ（10）に支承させた張り
車、そして（12）はこの張り軸（11）の支承軸に設けた
錘である。

ところで、上記調速機（３）は上記において既説した様
にエレベータ速度の異常速度を検出し定格速度の130％
の速度において電気的に安全回路を断ち、140％の速度
の場合に機械的にエレベータ装置を停止させるという重
要な作用を営む。従って、エレベータ装置の安全確保の
見地から定期的に調速機を点検、具体的にはトリップ試
験を行う必要がある。この試験はエレベータかご（１）
とロープ（10）の係合を解除し、ロープ（10）に嵌着す
る図示しない複数のクワエ金、複数の座金及びクワエ金
に係合させる挺子棒を使用してプーリ（６）に巻回され
たロープ（10）を第４図に鎖線で示す様に上方に浮かせ
た後にプーリ（６）を回転させるのであるが、エレベー
タかご（１）とロープ（10）の係合の解除作業には手間
がかかり、又ロープ（10）をプーリ（６）から浮かせる
に際し使用する上記工具の点数も多く作業が煩雑になら
ざるを得なかった。

尚、この種の先行技術文献として実開昭62−47586号、6
0−3775号、63−67577号、63−56169号、61−20264号、
58−140053号、58−140052号及び特開昭62−269874号公
報等がある。

〔考案が解決しようとする課題〕

従来におけるエレベータ調速機の点検作業は以上の様に
なされ、点検作業に伴うエレベータかご（１）とロープ
（10）の係合の解除作業には長時間を要し、又点検作業
の際に使用する工具の点数も多くを要し作業が煩雑にな
らざるを得なかった。

本考案は叙上の点に鑑みてなされたもので、簡易な構成
で点検作業の作業性を著しく向上させることのできるエ
レベータの調速機用工具を提供することを目的としてい
る。

〔課題を解決するための手段〕

本考案においては上述の目的を達成するため、バイス・
プライヤと、このバイス・プライヤを構成する固定レバ
ーの先端上顎部と揺動レバーの先端下顎部とにそれぞれ
取着され対になってエレベータ調速機に巻回されたロー
プを挾持する一対の挾持ホルダと、上記上顎部側の該挾
持ホルダに設けられた当該挾持ホルダの前方に延出され
た挺子棒とからエレベータの調速機用工具を構成したこ
とを特徴としている。

（作用） 本考案によれば、プーリに巻回されたロープをバイス・
プライヤのクワエ金の機能を備えた挾持ホルダで挾持
し、調速機の底板に宛行った挺子棒を挺子に、バイス・
プライヤを上に引き上げれば、ロープをプーリから容易
に浮かせることができる。

〔実施例〕

以下、第１図〜第３図に示す実施例に基づき本考案を詳
述すると、図中、（13）はバイス・プライヤで、このバ
イス・プライヤ（13）は第１図に示すように固定レバー
（14）と、この固定レバー（14）の先端に設けられた上
顎部（15）と、固定レバー（14）に対し揺動自在に設け
られた揺動レバー（16）と、この揺動レバー（16）の先
端に設けられ上記上顎部（15）と相俟って被加工物を咬
持する下顎部（17）とから構成されている。（18）は上
記上顎部（15）及び下顎部（17）にそれぞれ取着された
一対の挾持ホルダで、この一対の挾持ホルダ（18）は、
その対向面に半円状の溝（18a）をそれぞれ備え、この
相俟って円状を呈す溝（18a），（18a）の中にロープ
（10）が隙間なく挾持されるようになっており、従来の
クワエ金の作用を営む。そして、この溝（18a）は、径
の異なるロープ（10）を複数挾持できるよう挾持ホルダ
（18）に異なった径でそれぞれ複数穿設されている。
（19）は上記上顎部（15）側の挾持ホルダ（18）の側部
に溶着された挺子棒で、この挺子棒（19）は当該挾持ホ
ルダ（18）の前方に水平に延出されており、その先端が
調速機（３）の底板に支点として宛行われて挺子の作用
を営むようになっている。

そして（20）は座金で、この座金（20）は第２図に示す
ように把手（20a）と、この把手（20a）の一端に設けら
れて機枠内のロープ（10）に嵌入される平面凹字状の係
合部（20b）とを備え、点検作業に際し機枠（４）の底
板に敷かれてバイス・プライヤ（13）の挺子作用を円滑
ならしめるようになっている。

従って、調速機（３）のトリップ試験を行うには、第３
図に示すようにエレベータかご側の機枠（４）内にバイ
ス・プライヤ（13）を挿入してその一対の挾持ホルダ
（18）にロープ（10）の一を挾持し、反エレベータかご
側の機枠（４）内に座金（20）を挿入してその係合部
（20b）をロープ（10）の他の一に嵌入し、これら座金
（20）及びバイス・プライヤ（13）を機枠（４）内の底
板にそれぞれ配置する。そして座金（20）を配した反エ
レベータかご側の機枠（４）内に別のバイス・プライヤ
（13）を挿入してその一対の挾持ホルダ（18）にロープ
（10）の他の一を挾持した後、挺子棒（19）の先端を底
板に宛行ってバイス・プライヤ（13）を上方に引き上げ
れば、プーリ（６）に巻回されたロープ（10）を容易に
上方に浮かせることができる。

以上のように本考案によれば、従来複数のボルトを介し
て機枠（４）内のロープに固定していたクワエ金と同等
の機能を有する挾持ホルダ（18）を挺子棒の作用を営む
バイス・プライヤ（13）に取着して一体化したので調速
機（３）のトリップ試験を極めて容易に行うことが可能
となる。そしてエレベータかご側程重量のかからない反
エレベータかご側の機枠（４）内に挺子棒（19）を備え
たバイス・プライヤ（13）を挿入し挺子として使用する
ので、エレベータかご（１）とロープ（10）の係合を解
除する必要がなく、さらにはロープ（10）を容易に浮か
せることが可能となる。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によれば、簡易な構成でエレベータ
調速機の点検作業の作業性を著しく向上させることので
きるエレベータの調速機用工具を提供することができ
る。

【図面の簡単な説明】 第１図（ａ），（ｂ）は本考案に係るエレベータの調速
機用工具を示す図、第２図は座金を示す斜視図、第３図
は調速機の点検作業の作業状態を示す説明図、第４図は
エレベータ装置を示す図、第５図は調速機を示す斜視図
である。 （13）はバイス・プライヤ、（14）は固定レバー、（1
5）は上顎部、（16）は揺動レバー、（17）は下顎部、
（18）は一対の挾持ホルダ、（19）は挺子棒である。 尚、図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 バイス・プライヤと、このバイス・プライヤを構成する
   固定レバーの先端上顎部と揺動レバーの先端下顎部とに
   それぞれ取着され対になってエレベータ調速機に巻回さ
   れたロープを挾持する一対の挾持ホルダと、上記上顎部
   側の該挾持ホルダに設けられ当該挾持ホルダの前方に延
   出された挺子棒とを備えたことを特徴とするエレベータ
   の調速機用工具。