JPH06343400A - 飼料用油中水型乳化油脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

飼料用油中水型乳化油脂組成物およびその製造方法

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JPH06343400A
JPH06343400A JP5166248A JP16624893A JPH06343400A JP H06343400 A JPH06343400 A JP H06343400A JP 5166248 A JP5166248 A JP 5166248A JP 16624893 A JP16624893 A JP 16624893A JP H06343400 A JPH06343400 A JP H06343400A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸性領域の水相の油相に対する乳化状態が、
より長期にわたって安定的に維持せしめられ得る飼料用
油中水型乳化油脂組成物と、その有利な製造方法を提供
すること。 【構成】 酸性物質及び/又はその塩類を溶解してなる
水相が、ショ糖エルシン酸エステル、ソルビタンオレイ
ン酸エステル及びポリオキシエチレンヒマシ油からなる
乳化剤組成物を含む油相に対して、水相:10〜90重
量%、油相:90〜10重量%の割合にて混合され、乳
化せしめられるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、飼料用油中水型乳化油脂組成物
及びその製造方法に係り、特に酸性状態下の水相が、油
相に対して、長期間、安定的に乳化せしめられてなる飼
料用油中水型乳化油脂組成物と、その有利な製造方法に
関するものである。
【0002】
【背景技術】一般に、配合飼料を製造するに際しては、
品質の安定した製品を得る上で、添加される飼料原料を
すべて均一に混合する必要があるが、添加量の少ない飼
料原料をそのままの状態で、その他の多量の飼料原料に
対して均一に混合せしめることは、非常に難しい。そこ
で、そのような少量の飼料原料を、飼料中に均一に混在
させるために、従来から、種々の方法が採られている。
例えば、配合飼料中の微量成分たる各種ビタミンやミネ
ラル等のうち、ビタミンA,Eや油溶性色素等の油溶性
物質にあっては、先ず、それらが、飼料原料の一つとし
て配合される油脂に溶解され、その後、かかる油脂が他
の飼料原料と混合されており、また、ビタミンB群、C
やそれらの塩類、及び各種のミネラル等の水溶性物質
は、所定の賦形剤で希釈したり、水に溶解したりした
後、飼料中に添加、混合せしめられている。
【0003】ところが、上述の如き従来手法にあって
は、水溶性物質の混合操作において、様々な問題が内在
していた。即ち、かかる水溶性物質を所定の賦形剤で希
釈した後、飼料中にて混合する場合にあっては、各飼料
原料の混合操作とは別に、それら水溶性物質と賦形剤と
を混合するための操作が新たに加えられることとなり、
それが、操作過程を煩雑化せしめていたのであり、ま
た、かかる水溶性物質を水に溶解して混合する場合にお
いては、水量が少ないと吸着ムラが生じ易く、逆に水量
が多ければ飼料中の含有水分が増加する等して、安定し
た品質のものを恒常的に得ることが難しかったのであ
る。
【0004】このため、最近では、そのような少量の水
溶性物質を飼料中に添加するに際して、先ず、かかる水
溶性物質を水溶液と為し、次いで、所定の飼料用乳化剤
を用いて、この水溶液を、一般的に飼料中に添加される
各種の油脂に対して乳化せしめることにより、乳化油脂
組成物、中でも保存性に優れた油中水型乳化油脂組成物
を製造し、これを他の飼料原料と混合することが頻繁に
行なわれている。
【0005】ところで、そのような水溶性物質におい
て、水溶液が酸性を呈するものを飼料中に添加するこ
と、即ち飼料に対して酸味を付与することは、給餌され
る動物の嗜好性を高める上で、極めて有用であり、また
そのような飼料を給与することによって、動物の健康の
維持、増進や飼育成績の向上が効果的に図られる得るこ
とは、従来より種々の報告にて明らかなところである。
【0006】しかしながら、よく知られているように、
酸性状態下においては、従来より使用されている飼料用
乳化剤を用いて、長期間安定な油中水型乳化油脂組成物
を得ることが難しいため、飼料に対して酸味を付与すべ
く、水溶性の酸性物質等を、上述の如き油中水型乳化油
脂組成物の形態で飼料中に添加することが非常に困難で
あった。尤も、特公昭63−36727号公報(特開昭
58−5142号公報)には、ポリグリセリンとヒマシ
油脂肪酸の重合物とをエステル化したポリグリセロール
重合脂肪酸エステル(ポリグリセリン縮合リシノレイン
酸エステル)を乳化剤として用いることによってのみ、
酸性状態下においても、比較的安定な油中水型乳化油脂
組成物が得られることが明らかにされているが、かくし
て得られる組成物においても、実用上、十分に満足し得
る程、長期にわたって安定な状態を維持することは困難
であった。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
に鑑みて為されたものであって、その解決課題とすると
ころは、酸性領域の水相が、油相に対して安定的に混
合、乳化せしめられ得ると共に、かかる安定的な乳化状
態がより長期にわたって維持せしめられ得る飼料用油中
水型乳化油脂組成物と、その有利な製造方法を提供する
ことにある。
【0008】
【解決手段】そして、上記した課題を解決するために、
本発明者らが、鋭意研究を重ねた結果、特定の飼料用乳
化剤が組み合わされてなる乳化剤組成物を含む油相を用
いることによって、酸性状態とされた水相が、該油相に
対して良好に乳化、分散せしめられ、しかもかかる状態
が、長期にわたって維持され得ることを見出したのであ
る。
【0009】すなわち、本発明は、かかる知見に基づい
て完成されたものであって、その特徴とするところは、
酸性物質及び/又はその塩類を溶解してなる水相が、シ
ョ糖エルシン酸エステル、ソルビタンオレイン酸エステ
ル及びポリオキシエチレンヒマシ油からなる乳化剤組成
物を含む油相に対して、水相:10〜90重量%、油
相:90〜10重量%の割合にて混合され、乳化せしめ
られてなる飼料用油中水型乳化油脂組成物にある。
【0010】また、本発明にあっては、水相に対して酸
性物質及び/又はその塩類を溶解する一方、油相に対し
てショ糖エルシン酸エステル、ソルビタンオレイン酸エ
ステル及びポリオキシエチレンヒマシ油からなる乳化剤
組成物を添加し、その後、それら水相と油相とを、水
相:10〜90重量%、油相:90〜10重量%の割合
で混合して、該水相を該油相中に乳化、分散せしめるよ
うにした飼料用油中水型乳化油脂組成物の製造方法を
も、その特徴とするものである。
【0011】さらに、本発明においては、有利には前記
油相が、ショ糖エルシン酸エステルを0.1〜30重量
%、ソルビタンオレイン酸エステルを0.1〜20重量
%、ポリオキシエチレンヒマシ油を0.1〜30重量%
の割合で、それぞれ含有するようにされることとなる。
【0012】
【具体的構成】ところで、このような本発明に従う乳化
油脂組成物は、連続相としての油相に対して、分散相た
る水相が混合、乳化せしめられてなる、所謂油中水型エ
マルジョンの形態を為すものであり、それによって、そ
の保存性と安定性が確保され得るようになっている。即
ち、かくの如き形態とされることによって、水相が油相
中に均一に分散すると共に、該油相により被覆され、乳
化油脂組成物自体の保存性が、水中油型のものに比し
て、有利に高められ得るようになっているのであり、ま
た、例えばアスコルビン酸等のように還元力の強い組成
成分等が空気中の酸素と接触して酸化せしめられるよう
なことが可及的に回避せしめられ得、以てそのような組
成成分の安定性が有効に確保され得るようになっている
のである。しかも、かかる乳化油脂組成物にあっては、
水産動物の飼料用として用いられる場合、それの有する
油中水型エマルジョンの形態が、水中への有効成分の溶
出に対して、優れた防止効果を発揮するのである。
【0013】そして、そのようなエマルジョン形態を有
する乳化油脂組成物にあっては、分散相たる水相に、酸
性物質及び/又はその塩類が溶解せしめられているので
あるが、そのような酸性物質やその塩類としては、飼料
中に含有せしめて有用なものが何れも使用され得る。具
体的には、酸性物質としては、例えばクエン酸、乳酸等
の有機酸、リン酸等の無機酸、アスコルビン酸やパント
テン酸等の水溶性ビタミン、及び果汁、醸造酢、木酢酸
等の天然酸性物質等が用いられ得るのであり、またそれ
ら酸性物質の塩類としては、カルシウム塩、ナトリウム
塩及びカリウム塩等の各種塩類が使用され得るのであ
る。そして、かかる乳化油脂組成物においては、それら
の酸性物質やその塩類がそれぞれ単独で若しくは種々組
み合わされて、分散相たる水相に溶解せしめられている
のであり、それによって、かかる水相が酸性状態とされ
ているのである。
【0014】一方、そのような水相を乳化、分散せしめ
る連続相たる油相には、飼料原料の一つとして従来から
飼料中に添加せしめられる油脂が各種用いられ得るが、
好ましくは大豆油、コーン油、ナタネ油等の液体植物油
やイワシ油、スケソウダラ油、イカ油等の液体魚油等
が、それぞれ単独で若しくは種々混合されて使用される
こととなる。また、必要に応じて、それらの油相(油
脂)に対して、牛脂、パーム油等の固体脂や前記の如き
動植物液体油の硬化油等を添加、混合して、用いること
も可能である。
【0015】そして、かかる乳化油脂組成物にあって
は、上述の如き油相に対して、所定の乳化剤組成物が添
加せしめられている。ここにおいて、かかる乳化剤組成
物を構成する乳化剤は、飼料用乳化剤として、従来から
一般に使用されているショ糖脂肪酸エステル、ソルビタ
ン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレングリセリン脂
肪酸エステルが用いられており、本発明にあっては、特
にそれら各乳化剤の中でも、特定の脂肪酸と結合してい
るものが、それぞれ、選択され、使用されている。即
ち、本発明において用いられる乳化剤組成物とは、ショ
糖分子に結合した脂肪酸の90%以上がエルシン酸(エ
ルカ酸)であり、且つ該エルシン酸が2分子以上結合し
たショ糖エルシン酸エステルと、ソルビタン分子にオレ
イン酸が結合したソルビタンオレイン酸エステルと、更
にはヒマシ油にエチレンオキサイドを5〜100モル付
加したポリオキシエチレン付加物の混合組成物たるポリ
オキシエチレンヒマシ油とが、組み合わされて成るもの
である。なお、本発明においては、ソルビタンオレイン
酸エステルの中でも、ソルビタントリオレイン酸エステ
ルが、またポリオキシエチレンヒマシ油の中でも、ヒマ
シ油にエチレンオキサイドを5モル付加したものが主体
となっているものや硬化型のものが、それぞれ、好適に
用いられることとなる。
【0016】また、本発明に係る乳化油脂組成物にあっ
ては、有利には、そのような乳化剤組成物を構成する各
乳化剤において、ショ糖エルシン酸エステルが0.1〜
30重量%、ソルビタンオレイン酸エステルが0.1〜
20重量%、ポリオキシエチレンヒマシ油が0.1〜3
0重量%の割合となる量にて、それぞれ、油相中に含有
されることとなる。それによって、乳化剤の大量使用に
よる製造コストの高騰が有利に抑制されつつ、乳化油脂
組成物の安定的な乳化状態が確保され得ることとなるの
である。なお、乳化に影響を与えない量の範囲内であれ
ば、上述の如き乳化剤組成物の他に、従来より使用され
る別の飼料用乳化剤を添加することも、勿論可能であ
る。
【0017】そして、本発明に係る乳化油脂組成物にお
いては、そのような油相と水相とが、水相:10〜90
重量%、油相90〜10重量%の割合となる量にて混合
されている必要がある。けだし、水相が10重量%未満
で、油相が90重量%を越える割合となる量にて、それ
ら水相と油相とが混合される場合にあっては、水相中に
添加される酸性物質及び/又はその塩類の量が少なくな
り、それらを添加することによって得られる効果が充分
に享受され得なくなるからであり、また水相が90重量
%を越えて、油相が10重量%未満の割合となる量に
て、それら両相が混合されると、油中水型エマルジョン
の形態をとり難く、転相して、水中油型エマルジョンの
形態となって、乳化油脂組成物自体の保存性やその組成
成分の安定性が低下するといった問題が惹起されるから
である。なお、それら油相と水相との混合における好適
な混合比は、水相:30〜70重量%、油相:70〜3
0重量%である。
【0018】このように、本発明に従う飼料用油中水型
乳化油脂組成物にあっては、油相中に特定の飼料用乳化
剤の組み合わせから成る乳化剤組成物が含有せしめられ
ているところから、酸性状態でありながら、水相が油相
に対して所定の割合において良好に混合、乳化せしめら
れ、しかもかかる乳化状態が長期間にわたって安定的に
維持され得るようになっているのである。
【0019】従って、かかる乳化油脂組成物を飼料に添
加、混合せしめることによって、該飼料全体に対して酸
味が均一に付与され得て、動物の嗜好性が高められ得る
と共に、該乳化油脂組成物の有する安定性により、その
品質が長期間にわたって良好に維持され得、以て給餌さ
れる動物の健康の維持、増進や飼育成績の向上が効果的
に図られ得るのである。
【0020】ところで、このような優れた特徴を有する
飼料用油中水型乳化油脂組成物は、以下のようにして製
造されることとなる。
【0021】すなわち、先ず、前述した如き酸性物質及
び/又はその塩類を水に溶解して、水相を調製する。そ
の際、溶解せしめられる酸性物質とその塩類の合計量
は、最終的に得られる乳化油脂組成物全体に対して1〜
30重量%の割合となる範囲内の量であることが望まし
い。それによって、かかる乳化油脂組成物が添加、混合
されてなる飼料に適度な酸味が付与されて、該飼料に対
する動物の嗜好性の向上がより効果的に図られ得ること
となる。なお、水相の油相に対する乳化に影響を及ぼさ
ない量の範囲内であれば、かかる水相に対して、ミネラ
ル類等を必要に応じて添加しても良い。
【0022】また、それとは別に、飼料原料として用い
られる油脂に、先に詳述したショ糖エルシン酸エステ
ル、ソルビタンオレイン酸エステル及びポリオキシエチ
レンヒマシ油からなる乳化剤組成物を添加して、油相を
調製する。なお、一般に、そのような油相の調製操作に
おいては、かかる乳化剤組成物を構成する各乳化剤が、
前述の如き含有量となるように、油相中に添加されるこ
ととなるが、それら添加せしめられる乳化剤の合計量
が、該油相中において、1.5〜50重量%の割合とな
る範囲内の量とされることが望ましく、更にはかかる合
計量が、最終的に得られる飼料用油中水型乳化油脂組成
物中において、2〜30重量%の割合となる量とされて
いることがより望ましい。それによって、製造コストの
低下や乳化状態の安定化が有利に図られ得るばかりでな
く、かかる乳化油脂組成物の粘度が必要以上に上昇する
ことが有効に抑制され得て、該乳化油脂組成物における
良好な使用状態が、効果的に確保され得ることとなる。
【0023】その後、かくして得られる油相と水相と
を、前述した所定の割合にて、常法に従って、混合し、
更に、該油相に対して該水相を乳化せしめ、以て目的と
する飼料用油中水型乳化油脂組成物を得るのである。そ
こにおいて、油相に対する水相の乳化に際しては、何等
特別な手法や装置が必要とされるものではなく、従来と
同様な手法及び装置を用いて行なわれ得るのであり、例
えば一般的なホモゲナイザーを用いる乳化手法やホモミ
キサー、ディスパーサー等を用いた攪拌、乳化操作によ
っても、それら両相は、十分に乳化せしめられ得るので
ある。
【0024】
【実施例】以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも
受けるものでないことは言うまでもないところである。
また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記
の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限り
において、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修
正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべ
きである。なお、以下の実施例中の重量比は、各実施例
における最終生成物に対する重量基準での割合を示す。
【0025】実施例 1 先ず、酸性物質として、L−アスコルビン酸を所定量準
備し、このL−アスコルビン酸10重量%を30℃の水
50重量%に溶解して、水相を調製した。次いでショ糖
エルシン酸エステル〔HLB(親水性親油性バランス、
以下同じ):1〕2.5重量%、ソルビタントリオレイ
ン酸エステル(HLB:1.7)0.625重量%、ポ
リオキシエチレン硬化ヒマシ油(HLB6.0,エチレ
ンオキサイドを5モル付加)1.875重量%をそれぞ
れ準備し、これらを乳化剤組成物として、大豆油35重
量%に添加して、油相を調製した。その後、かくして得
られた油相を30℃の温度にて500rpmで攪拌し、
これに、先に調製した水相を添加して、5分間の予備混
合を行なった。引き続き、ディスパーサーを用い、予備
混合により得られた混合物を10000rpmで3分間
攪拌して、かかる混合物の乳化を行なった。かくして、
L−アスコルビン酸を10重量%含み、安定な乳化状態
を有する飼料用油中水型乳化油脂組成物を製造した。そ
して、かかる乳化油脂組成物を常温にて放置して、その
乳化状態の変化を観察したところ、1ヶ月後において
も、安定な乳化状態が保持されていることが確認され
た。
【0026】実施例 2 先ず、木酢酸液(pH:3.5)15重量%と水15重
量%とを混合した後、加温して、50〜60℃の水相を
調製した。次いで、ショ糖エルシン酸エステル(HL
B:2)3重量%、ソルビタントリオレイン酸エステル
(HLB:1.7)0.75重量%、ポリオキシエチレ
ン硬化ヒマシ油(HLB6.0,エチレンオキサイドを
5モル付加)2.25重量%をそれぞれ準備し、これら
を乳化剤組成物として、イワシ油64重量%に添加し
て、油相を調製した。その後、かくして得られた油相を
50〜60℃の温度にて1000rpmで攪拌し、これ
に先に調製した水相を添加して、10分間の予備混合を
行なった。引き続き、ホモゲナイザーを用い、予備混合
により得られた混合物に対して、80kg/cm2 の条件に
て乳化を行なった。かくして、木酢酸液を15重量%含
み、安定な乳化状態を有する飼料用油中水型乳化油脂組
成物を製造した。そして、かかる乳化油脂組成物を常温
にて放置して、その乳化状態の変化を観察したところ、
実施例1の乳化油脂組成物と同様、1ヶ月後において
も、安定な乳化状態が保持されていることが確認され
た。
【0027】実施例 3 先ず、本発明例として、実施例1と同様にして、L−ア
スコルビン酸を10重量%含む飼料用油中水型乳化油脂
組成物を製造し、これを乳化油脂組成物Aとした。ま
た、比較のために、実施例1と同様にして、水相を調製
し、次いで、テトラグリセリン縮合リシノレイン酸エス
テル5重量%を大豆油35重量%に添加して、油相を調
製した後、かくして得られた油相に対して水相を実施例
1と同様な手法により乳化せしめて、本発明とは異なる
乳化剤を含む飼料用油中水型乳化油脂組成物を得た。こ
れを乳化油脂組成物Bとした。更にそれとは別の比較例
として、L−アスコルビン酸5重量%を水95重量%に
溶解して、L−アスコルビン酸水溶液を製造した。
【0028】そして、それら2種類の乳化油脂組成物と
L−アスコルビン酸水溶液とを25℃の恒温器に入れ、
30日後と60日後における、それぞれのL−アスコル
ビン酸の残存率を測定し、その経時的な変化を観察し
た。その結果を、下記表1に示す。なお、乳化油脂組成
物A及びB中におけるL−アスコルビン酸の残存量の測
定は、先ず、それらの乳化油脂組成物に対して、ベンゼ
ンとエタノールとが1:1の割合にて混合されてなる溶
液をそれぞれ加えて乳化を破壊し、次いで、希メタリン
酸、酢酸溶液を用いて、かかる組成物中からL−アスコ
ルビン酸を抽出し、その後、かくして得られた抽出物の
量をインドフェノール滴定法によって測定することによ
って行なった。
【0029】
【表1】
【0030】かかる表1の結果から明らかなように、乳
化油脂組成物AにおけるL−アスコルビン酸の残存率と
乳化油脂組成物BにおけるL−アスコルビン酸の残存率
とを比較した場合、前者の方が明らかに高い値を示して
いる。このことから、本発明において用いられる乳化剤
組成物を使用することによって、経時的に安定な乳化油
脂組成物が得られることが確認される。
【0031】実施例 4 先ず、酸性物質としてクエン酸を用い、このクエン酸を
種々の量にて水に溶解して、クエン酸の含有量が種々異
なる水相を調製した。次いで、油脂としてナタネ油を用
い、これに各種の乳化剤を単独で若しくは種々組み合わ
せて、更には様々な添加量にて添加して、含有される乳
化剤の種類やその含有量が各々異なる油相を調製した。
その後、実施例1と同様の手法により、それら各種の油
相に対して、先に調製した種々の水相を乳化せしめて、
18種類の乳化油脂組成物を得た。そして、それら18
種類の乳化油脂組成物を、それぞれ、乳化油脂組成物1
〜18とし、それら乳化油脂組成物1〜18に対して、
常温での安定性試験を行なった。乳化油脂組成物1〜1
8の配合組成と、その安定性試験の結果を下記表2及び
表3に併せて示す。なお、かかる安定性試験は、常温に
て放置して、その乳化状態の経時的変化を観察すること
により行なった。また、表中、POEはポリオキシエチ
レンを、括弧内の数字は、付加したエチレンオキサイド
のモル数を、各々表し、更に◎は、乳化後10日間以上
安定であったことを、○は、乳化後24時間安定であっ
たことを、△は、乳化直後のみ安定であったことを、×
は、乳化直後に分離してしまったことを、それぞれ、表
す。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】かかる表2及び表3の結果から明らかなよ
うに、本発明において用いられる乳化剤組成物を含んで
なる乳化油脂組成物1〜3は、常温での安定性において
優れた特性を発揮することが確認される。これに対し
て、かかる乳化剤組成物を構成する乳化剤のうちの2種
類のもののみを含む乳化油脂組成物4〜6にあっては、
常温での安定性において劣るものであることが明らかで
ある。また、油相に対して添加される乳化剤が、本発明
において用いられるものとは異なるものが使用されてい
る乳化油脂組成物7〜13においても、常温での安定性
に欠けるものであることが確認される。
【0035】さらに、乳化油脂組成物1〜3と乳化油脂
組成物14〜17とを比較した場合、それらすべてが本
発明に従う乳化油脂組成物ではあるものの、ソルビタン
オレイン酸エステルとして、ソルビタンモノオレイン酸
エステルやソルビタンセスキオレイン酸エステルを用い
た乳化油脂組成物14,15よりも、ソルビタントリオ
レイン酸エステル使用した乳化油脂組成物1〜3の方
が、また、ポリオキシエチレンヒマシ油として、硬化型
でないものや硬化型ではあるもののヒマシ油にエチレン
オキサイドを10モル付加したものを用いた乳化油脂組
成物16,17よりも、硬化型で且つヒマシ油にエチレ
ンオキサイドを5モル付加したものを使用した乳化油脂
組成物1〜3の方が、それぞれ、常温での安定性に優れ
ていることが認められる。
【0036】更にまた、かかる乳化油脂組成物1〜3と
乳化油脂組成物18とを比較すると、常温での安定性に
おいて、前者の方が優れていることが認められ、このこ
とから、本発明に係る飼料用油中水型乳化油脂組成物
が、従来から酸性状態下における有用な乳化剤として使
用されているポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステ
ルを含む乳化油脂組成物よりも乳化安定性に優れたもの
であることが確認される。
【0037】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に従う飼料用油中水型乳化油脂組成物にあっては、酸性
状態とされた水相が、油相に対して安定的に乳化、分散
せしめられ得、しかもかかる安定的な乳化状態が、より
長期間にわたって維持され得るのである。
【0038】従って、かかる乳化油脂組成物を用いれ
ば、飼料全体に対して均一に酸味を付与することが可能
となるばかりでなく、安定した品質がより長期間確保さ
れ得ることとなって、動物の嗜好性の高い、飼料効率の
優れた飼料を製造することが出来、以て飼育成績の向上
に大きく寄与することとなるのである。
【0039】また、本発明手法によれば、そのように優
れた特徴を有する飼料用油中水型乳化油脂組成物が、何
等特別な操作を要することなく、従来と同様にして、有
利に製造され得るのである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸性物質及び/又はその塩類を溶解して
    なる水相が、ショ糖エルシン酸エステル、ソルビタンオ
    レイン酸エステル及びポリオキシエチレンヒマシ油から
    なる乳化剤組成物を含む油相に対して、水相:10〜9
    0重量%、油相:90〜10重量%の割合にて混合さ
    れ、乳化せしめられてなることを特徴とする飼料用油中
    水型乳化油脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記油相が、ショ糖エルシン酸エステ
    ル:0.1〜30重量%、ソルビタンオレイン酸エステ
    ル:0.1〜20重量%及びポリオキシエチレンヒマシ
    油:0.1〜30重量%の割合で含有していることを特
    徴とする請求項1に記載の飼料用油中水型乳化油脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 水相に対して酸性物質及び/又はその塩
    類を溶解する一方、油相に対してショ糖エルシン酸エス
    テル、ソルビタンオレイン酸エステル及びポリオキシエ
    チレンヒマシ油からなる乳化剤組成物を添加し、その
    後、それら水相と油相とを、水相:10〜90重量%、
    油相:90〜10重量%の割合で混合して、該水相を該
    油相中に乳化、分散せしめるようにしたことを特徴とす
    る飼料用油中水型乳化油脂組成物の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6190680B1 (en) 1998-04-01 2001-02-20 The Nisshin Oil Mills, Ltd. Oily composition and process for producing the same
US6193986B1 (en) 1997-02-25 2001-02-27 The Nisshin Oil Mills, Ltd. Oily composition with increased stability and process for producing the same
JP2016525371A (ja) * 2013-07-30 2016-08-25 ベネミルク オーワイBenemilk Oy 反芻動物用ミネラル舐食組成物およびこれを作成および使用する方法
CN111449170A (zh) * 2020-04-09 2020-07-28 苏州丰倍生物科技有限公司 一种饲用液体营养添加剂及其制备方法和应用

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