JPH06331046A - 機能モジュールを用いた湯水混合装置の組立方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】多様な寸法・デザインの湯水混合装置を製造す
るにあたり、温調や切換え制御を行う混合装置機能部を
共通化することを目的とする。 【構成】機能モジュール（30；100）を使用して異なる
寸法の湯水混合装置（10；10A；10B）を組立るに当り、
所定の半径方向寸法の本体（12）に適合した半径方向寸
法を有する機能モジュール（30；100）を準備し、前記
所定寸法より大きな半径方向寸法を有する本体（12A；1
52）に機能モジュールを装着するに際しては、本体とモ
ジュールとの間に半径方向アダプター（140、142、15
6）を配置することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の目的】

【産業上の利用分野】本発明は、湯水混合装置などの水
栓装置に係り、より詳しくは、モジュール型の機能部を
用いた湯水混合装置の組立方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】湯水混合装置は、水道等からの水と給湯
機等からの湯を混合して所望温度の湯水混合物を形成
し、得られた湯水混合物を任意の流量でシャワーや蛇口
に供給するようになっている。このため、湯水混合装置
には、自動温度調節機能部や、開閉や流量制御や切換え
を行うための流体制御機能部が備わっている。

【０００３】湯水混合装置の使用条件や混合装置に対す
る使用者の要望は多様に異なる。このため、寸法、外
観、材質、機能、価格、等の異なる多種多様なデザイン
の湯水混合装置が製造されている。従来、デザインの異
なる湯水混合装置は、夫々の機種毎に設計され、製造さ
れているのが現状である。従って、装置の部品は、機種
毎に異なるのが一般的である。

【０００４】特公昭５６−２４１４７号には、湯水混合
装置の温度調節機能部をカートリッジ（モジュール）の
形に製作し、このカートリッジを混合装置本体に装着す
ることが開示されている。また、流体制御機能部をモジ
ュール化することも考えられる。このように湯水混合装
置の種々の機能部をモジュール化できれば、同一規格の
モジュールを異なるデザインの湯水混合装置に共通に使
用することができるので、使用者の要請に応じた多様な
ヴァライエティーの湯水混合装置を提供しながらも、構
成部品を大量生産することが可能となり、コストを低減
することができるであろう。また、使用に伴い部品が劣
化したり摩耗した場合には、モジュールを容易に交換す
ることができよう。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このような機能モジュ
ールを用いて多様なデザインの湯水混合装置を提供する
に際しては、機能モジュールを大小任意の寸法の混合装
置に組み込むことができることが望ましい。本発明の目
的は、機能モジュールを使用して湯水混合装置を組立る
に当り、同一規格の機能モジュールを異なる半径方向寸
法の装置本体に適合させることにより、機能モジュール
の共通化を促進することにある。

【０００６】

【発明の構成】

【課題を解決するための手段】本発明は、機能モジュー
ルを使用して湯水混合装置を組立るに当り、所定の半径
方向寸法の本体に適合した半径方向寸法を有する機能モ
ジュールを準備し、前記所定寸法より大きな半径方向寸
法を有する本体に機能モジュールを装着するに際して
は、本体とモジュールとの間に半径方向アダプターを配
置することを特徴とするものである。

【０００７】

【作用】機能モジュールは、所定の複数の異なる機種に
共通する最大公約数的な寸法を有するように設計するこ
とができ、その半径方向寸法は予定する最小寸法の本体
に適合させることができる。より大きな半径方向寸法の
装置を提供する場合には、本体とモジュールとの間に半
径方向アダプターを配置することにより、機能モジュー
ルをより大径の本体に適合させることができる。

【０００８】

【実施例】添付図面を参照しながら、本発明をより詳し
く説明する。先ず、図１は、機能モジュールを組み込む
に適した最小限の半径方向寸法を有する湯水混合装置の
一例を示すもので、機能モジュールの寸法はこの湯水混
合装置に適合させてある。この湯水混合装置１０は本体
１２を有し、この本体１２には湯側脚金具１４および水
側脚金具１６から湯水が夫々供給される。本体１２内に
は、機能モジュールとして、後述する自動温調モジュー
ルと制御弁モジュールが収蔵してあり、温調ハンドル１
８を操作することにより湯水混合物の温度が増減され、
切換えハンドル２０を操作することによりスパウト２２
又はシャワーホース２４への湯水混合物の供給の切換え
と流量制御が行われるようになっている。

【０００９】図２および図３を参照するに、本体１２は
アウタ・ケース２６とインナ・チューブ２８を液密に嵌
合してなり、インナ・チューブ２８の内側には温調モジ
ュール３０が装着してある。アウタ・ケース２６とイン
ナ・チューブ２８との間にはシール部材により湯入口通
路と水入口通路と湯水混合物出口通路が画成されてい
る。より詳しくは、インナ・チューブ２８の外周には、
半径方向外側に突出する夫々１対の環状突起により、略
円周方向に延長する左右のＯリング溝３２および３４
と、略軸方向に延長する閉鎖ループ状の２つの中間Ｏリ
ング溝３６および３８が形成してある。左右のＯリング
溝３２および３４には、夫々、Ｏリング４０および４２
（図４に現れる）が配置してあると共に、中間Ｏリング
溝３６および３８には、夫々、Ｏリング（図３に現れな
い）とＯリング４４（図４に現れる）が配置してある。

【００１０】アウタ・ケース２６内周面とインナ・チュ
ーブ２８外周面と溝３６に装着されたＯリング（図３に
現れない）とにより湯入口通路４６が形成される。この
湯入口通路４６は湯側脚金具１４に連通しており、イン
ナ・チューブ２８に形成された開口４８を介して温調モ
ジュール３０の湯入口ポート５０に湯を供給するように
なっている。左右のＯリング４０と４２の間においてア
ウタ・ケース２６内周面とインナ・チューブ２８外周面
との間には水入口通路５２が形成してある。この水入口
通路５２は水側脚金具１６に連通しており、インナ・チ
ューブ２８に形成された開口５４を介して温調モジュー
ル３０の水入口ポート５６に水を供給するようになって
いる。また、アウタ・ケース２６内周面とインナ・チュ
ーブ２８外周面とＯリング４４により湯水混合物出口通
路５８が形成され、この出口通路５８は一方において、
インナ・チューブ２８に形成された開口６０を介して制
御弁モジュール（図４に基づいて後述する）に連通して
おり、湯水混合物をスパウト２２に供給するようになっ
ている。

【００１１】温調モジュール３０は、ケーシング６２
と、このケーシングにスナップ嵌合された弁座インサー
ト６４とを備え、ケーシング６２には湯入口ポート５０
に連通する湯側弁座６６が形成してあり、弁座インサー
ト６４には水入口ポート５６に連通する水側弁座６８が
形成してある。ケーシング６２には、可動混合弁体７０
が摺動可能に嵌合してあり、弁座６６および６８と協動
して湯水入口ポート５０および５６の開口面積を制御す
ることにより湯水混合物の温度を制御するようになって
いる。混合弁体７０には中央開口７２が形成してあり、
湯入口ポート５０から弁室７４および中央開口７２を介
して湯水混合室７６内に流入した湯と、水入口ポート５
６から混合室７６内に流入した水とがこの混合室内で混
合され、湯水混合物を形成するようになっている。

【００１２】図示した実施例では、可動混合弁体７０
は、湯水混合室７６内に配置された感温コイルばね７８
と、弁室７４内に配置されたバイアス・コイルばね８０
との釣り合いにより位置決めされるようになっている。
感温コイルばね７８は、温度に応じてばね定数が変化す
る形状記憶合金で形成してあり、その付勢力は湯水混合
室７６内の温度に応じて増減する。何等かの原因によ
り、湯水混合室７６内の混合物の温度が温調ハンドル１
８により設定された目標温度より上昇した場合には、感
温コイルばね７８が発生する付勢力が増加し、可動混合
弁体７０を図２において左側に変位させるので、これに
応じて湯の流入量が減少し、混合物温度を低下させる。
反対に、湯水混合室７６内の混合物の温度が目標温度よ
り低下した場合には、感温コイルばね７８が発生する付
勢力が減少し、可動混合弁体７０が図２において右側に
変位するのを許容するので、湯の流入量が増加し、混合
物温度が上昇する。

【００１３】湯水混合物の目標温度の設定は、温調ハン
ドル１８を回転させて感温コイルばね７８およびバイア
ス・コイルばね８０の予荷重を増減させることにより行
われる。このため、バイアス・コイルばね８０は可動ば
ね受け８２により支承してあり、この可動ばね受け８２
は、その外周とモジュール・ケーシング６２の内周に形
成された軸方向スプライン８４により、軸方向摺動可能
に但し回転不能にケーシング６２に嵌合されている。可
動ばね受け８２の軸方向位置は、温調ハンドル１８を介
してスピンドル８６を回転させることにより調節され
る。このため、ばね受け８２の内周には内ねじ８８が形
成してあると共に、スピンドル８６の外周には外ねじ９
０が形成してあり、スピンドル８６は可動ばね受け８２
にねじ嵌合されている。スピンドル８６はサークリップ
９２によりケーシング６２に回転可能に、かつ、軸方向
変位不能に装着してある。温調ハンドル１８はセレーシ
ョン９４とビス９６によって取り外し自在にスピンドル
８４に固定してあり、両者が一体的に回転するようにな
っている。

【００１４】図示した実施例では内ねじ８８と外ねじ９
０は左ねじになっており、温調ハンドル１８を介してス
ピンドル８６を図１において矢印９８の方向に回転させ
ると可動ばね受け８２が図２において右方に移動するよ
うになっている。これにより、感温コイルばね７８とバ
イアス・コイルばね８０は予荷重を増大させながら圧縮
され、これらのばねの釣り合いにより定まる可動混合弁
体７０の位置は図２中右方に変位するので、湯水混合物
の目標温度が上昇する。スピンドル８６を逆方向に回転
させれば、目標温度を低下させることができる。

【００１５】このようにして温調モジュール３０により
形成された湯水混合物は、制御弁モジュール１００に送
られる。図示した実施例では、この制御弁モジュール１
００は、開閉機能と流量制御機能と切換え機能を有し、
湯水混合物を流量制御しながらスパウト２２又はシャワ
ーホース２４に供給するようになっている。図４から図
７を参照するに、制御弁モジュール１００は切換えハン
ドル２０と連動するスピンドル１０２と、このスピンド
ル１０２を回転可能に軸支するケーシング１０４を有
し、ケーシング１０４は本体１２のインナ・チューブ２
８に装着されている。図示した実施例では、この制御弁
モジュール１００は、湯水混合物の流れの締め切りと流
量制御は精密加工されたセラミック製の固定ディスク１
０６と回転ディスク１０８により行い、混合物供給先の
切換えはプラスチック製のスピンドル１０２に形成され
た半円筒形の回転閉鎖部材１１０により行うようになっ
ている。

【００１６】即ち、図４からよく分かるように、ケーシ
ング１０４には、シム１１２、回転ディスク１０８、固
定ディスク１０６、弾性リング１１４、固定ディスク押
え１１６がこの順に装着してあり、固定ディスク押え１
１６はケーシング１０４にスナップ嵌めしてある。図４
および図７からよく分かるように、これらの部材１１
６、１０６、１０８には、直径方向に対向する２つのポ
ート１１８が貫通形成してある。回転ディスク１０８
は、スピンドル１０２に形成された軸方向延長部１２０
によって回転されるもので、回転ディスク１０８が図４
および図７に示した位置にある時には、温調モジュール
３０によって形成された湯水混合物がポート１１８を通
って制御弁モジュール１００の内部空間１２２に流入す
るのを許容する。切換えハンドル２０を廻すことにより
回転ディスク１０８をこの位置から９０°回転させる
と、混合物の流れは遮断される。固定ディスク１０６と
回転ディスク１０８は精密加工されたセラミックで形成
されているので、締め切り性能に優れている。

【００１７】更に、ケーシング１０４の外周に装着され
たＯリング１２４、１２６、１２８により、ケーシング
１０４とインナ・チューブ２８との間には軸方向に分離
された環状通路１３０と１３２が形成されている。環状
通路１３０は、一方において、ケーシング１０４に形成
されたポート１３４を介して内部空間１２２に臨んでい
ると共に、他方において、開口６０を介して湯水混合物
出口通路５８に連通している。また、環状通路１３２
は、一方において、ケーシング１０４に形成されたポー
ト１３６を介して内部空間１２２に臨んでいると共に、
他方において、インナ・チューブ２８の湯水混合物出口
を介してシャワーホース２４に連通している。従って、
回転閉鎖部材１１０が図４から図６に示した角位置にあ
る時には、回転ディスク１０８を通過した湯水混合物は
シャワーホース２４に供給される。切換えハンドル２０
の操作によりこの位置からスピンドル１０２を１８０°
回転させると、ポート１３６が閉鎖されると共に、ポー
ト１３４が開放され、湯水混合物はスパウト２２に供給
される。

【００１８】次に、図８を参照することにより、前述し
た温調モジュール３０および制御弁モジュール１００と
同一寸法のモジュールを使用してより大径の湯水混合装
置を組立る場合を説明する。この大径の湯水混合装置１
０Ａの本体１２Ａも前述したのと類似の構造のアウタ・
ケース２６Ａとインナ・チューブ２８Ａとで構成するこ
とができるが、より大径のものが使用される。操作ハン
ドル１８および２０も大径に設計される。この本体１２
Ａと夫々のモジュール３０および１００との間には、モ
ジュールの外径に適合した内径を有する半径方向アダプ
ター１４０および１４２が配置される。温調モジュール
３０側のアダプター１４０には、本体１２Ａの湯水入口
を温調モジュール３０の湯水通路に連通するポート１４
４および１４６が形成されると共に、制御弁モジュール
１００側のアダプター１４２には、スパウト側出口ポー
ト１４８とシャワー側出口ポート１５０が形成される。

【００１９】図９は更に大径の湯水混合装置１０Ｂを提
供する場合を示す。この場合には、本体１５２の内側に
は、図２から図４を参照しながら前述したのと同様の本
体１２Ｂがスペーサ１５４を介して位置決めされ、本体
１５２と本体１２Ｂは半径方向アダプター１５６により
接続される。図示した実施例では、アダプター１５６
は、本体１５２に固定された水入口金具１５８と本体１
２Ｂに固定された入口金具１６０とを接続するパイプ１
６２で構成されているが、このパイプ１６２に代えて伸
縮自在な蛇腹管を使用してもよい。湯入口金具との接
続、スパウト２２との接続、シャワーホース２４との接
続も同様の態様で行うことができる。

【００２０】以上には、本発明の特定の実施例を説明し
たが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の
設計変更を加えることができよう。例えば、温調モジュ
ール３０は形状記憶合金からなる感温素子７８を有する
ものとして説明したが、従来型のワックス感温素子を使
用してもよい。

【００２１】

【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
同一規格の機能モジュール３０および１００を異なる半
径方向寸法の本体に適合させることができるので、多様
な寸法の湯水混合装置を製造するに当り、機能モジュー
ルを共通化することができる。従って、機能モジュール
の大量生産と在庫管理が容易になり、より安価な湯水混
合装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、機能モジュールを組み込むに適した最
小限の半径方向寸法を有する湯水混合装置の一例を示
す。

【図２】図２は、図１のII−II線に沿った断面図であ
る。

【図３】図３は、インナ・チューブの外観を示すもの
で、図３(ａ)は正面図、図３(ｂ)は図３(ａ)のＢ矢視
図、図３(ｃ)は図３(ｂ)のＣ矢視図である。

【図４】図４は、図１のIV−IV線に沿った断面図であ
る。

【図５】図５は、図４のV−V線に沿った断面図である。

【図６】図６は、図４のVI−VI線に沿った断面図であ
る。

【図７】図７は、図４のVII−VII線に沿った断面図であ
る。

【図８】図８は、機能モジュールをより大径の湯水混合
装置に組み込んだところを示す断面図である。

【図９】図９は、図８のIX−IX線に沿った断面図で、機
能モジュールを更に大径の湯水混合装置に組み込んだと
ころを示す

【符号の説明】

１０： 最小半径方向寸法の湯水混合装置 １０Ａ、１０Ｂ： 大径の湯水混合装置 １２、１２Ａ、１５２： 湯水混合装置の本体 ３０： 温調モジュール １００： 制御弁モジュール １４０、１４２、１５６： 半径方向アダプター

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 湯水混合装置の機能部をモジュールの形
   に形成し、前記機能モジュールを装置本体に装着するこ
   とにより湯水混合装置を組立るに当り、 所定半径方向寸法の本体に適合した半径方向寸法を有す
   る機能モジュールを準備し、前記所定寸法より大きな半
   径方向寸法を有する本体に機能モジュールを装着するに
   際しては、本体とモジュールとの間に半径方向アダプタ
   ーを配置することを特徴とする湯水混合装置の組立方
   法。
2. 【請求項２】 前記本体をアウタ・ケースとインナ・チ
   ューブとにより形成し、前記アウタ・ケースとインナ・
   チューブとをシール部材を介して液密に嵌合することに
   より湯水の一次通路を形成することを特徴とする請求項
   １に基づく方法。
3. 【請求項３】 前記アウタ・ケースとインナ・チューブ
   とにより湯水混合物通路を形成することを特徴とする請
   求項２に基づく方法。
4. 【請求項４】 水栓装置の機能部をモジュールの形に形
   成し、前記機能モジュールを装置本体に装着することに
   より水栓装置を組立るに当り、 所定半径方向寸法の本体に適合した半径方向寸法を有す
   る機能モジュールを準備し、前記所定寸法より大きな半
   径方向寸法を有する本体に機能モジュールを装着するに
   際しては、本体とモジュールとの間に半径方向アダプタ
   ーを配置することを特徴とする水栓装置の組立方法。