JPH0631939U - 切削工具のエンド刃ギャッシュ研削装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 一般に市販されている万能工具研削盤を用い
て、エンドミル等切削工具のギャッシュ研削を楽にす
る。 【構成】 一般に市販されている万能工具研削盤１１の
テーブル１８の案内溝２７に、組付部３１の係合子３５
を着脱自在に取り付ける。取付位置はテーブル１８の任
意の位置とする。ワークへッド３３を旋回部３２に取付
軸Ｐ３周りに回動自在に取り付け、旋回部３２を組付部
３１に対して横軸Ｐ１周りに旋回自在に取り付ける。ワ
ークヘッド３３のスピンドル３６に回転角が微調整でき
る割り出し板３７を組付ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、主にエンドミル底刃部（エンド刃）のギャッシュ研削やドリルのシ ンニング研削を行うための万能工具研削盤の付属装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、図４〜７に示すエンドミル底刃部（エンド刃）Ｅ１のすくい面（ギャッ シュ）Ｇ１１，Ｇ１２（斜線部）の研削時には、図８の如く、ワークへッド１に 工具２を取り付け、ワークへッド１をその進退軸Ｑ１に対して角度σだけ位相さ せ、そのまま工具２を円盤状回転砥石３へ進退軸Ｑ１方向に押し付けていた。

【０００３】 あるいは、図９の如く、ワークへッド１の固定角度をその進退軸Ｑ１に一致さ せ、ただワークへッド１の固定高さ位置等を砥石３の中心位置からずらすことで 、円盤状砥石３の外周（輪郭）を斜めに当接させ、工具を押し付け加工して、砥 石形状の転写研削が行われている場合が多い。

【０００４】 また、一般の工具研削盤で行われる他の方法として、ワークヘッド１を上方に 向ける方法、すなわちトラバース研削を試みる場合もある。

【０００５】 なお、図５中、α１は外周部すくい角、θａは外周部逃げ角である。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

従来の研削方法では、砥石３の形状がそのまま転写される結果となる。そうす ると、次の（１）〜（５）の課題が残される。

【０００７】 （１）ギャッシュやシンニング（ウェブの先端を特に薄くした部分で、切削抵抗 を少なくするためのもの）の中心合わせが難しい。

【０００８】 （２）砥石３の消耗が早く、仕上がり面が悪くなる。

【０００９】 （３）工具が大径のときには、押し込み加工の終了時点では過大な力が働き、と きとして、砥石モータの停止や砥石３の損傷を起こしかねないという点で、安全 性にも問題がある。

【００１０】 （４）ワークへッドに、回転方向の徴調整装置がない場合、ギャッシュを所望の 形状に研削するのは極めて難しい。そのため、評価される研削コストのわりには 、熟練を要し品質向上を求める場合難点がある。

【００１１】 （５）トラバース研削の場合、ギャッシュ研削を目的として製作されていないた め、ワークヘッド１の上方への旋回中心がテーブル上の高い位置となり、短寸で 小さいエンドミルしか対応できず、さらに簡単に底刃のすくい角αを研削するた めの機構を持たないため、簡単に理想的なギャッシュ研削を行うことができない という欠点がある。

【００１２】 本考案は、上記課題に鑑み、ギャッシュやシンニングの中心合わせが容易で、 工具の底刃のすくい面を任意な角度で研削加工でき、かつ、一般に市販されてい る万能工具研削盤に取付可能な切削工具のエンド刃ギャッシュ研削装置の提供を 目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】

本考案による課題解決手段は、図１，２の如く、研削盤本体１３と、該研削盤 本体１３上で砥石１２を取り付ける砥石台１４と、該砥石台１４に隣接した取付 テーブル１８とを備えた万能工具研削盤１１の付属装置として着脱自在に取り付 け可能とされるもので、前記万能工具研削盤１１の取付テーブル１８へ組み付け られる組付部３１と、該組付部３１に支持される旋回部３２と、該旋回部３２に 支持されるワークへッド３３とを備え、該ワークへッド３３は回転角度を微調整 可能、かつ等分に分割可能なワークスピンドル３６を有し、該ワークへッド３３ は前記旋回部３２に対して取付軸Ｐ３周りに回動自在に取り付けられ、前記旋回 部３２は前記組付部３１に対して横軸Ｐ１周りに旋回自在に取り付けられ、前記 組付部３１に、取付テーブル１８に着脱自在に取り付けるための取付手段３５が 設けられ、該取付手段３５は、取付テーブル１８のトラバース方向２６ａの任意 位置に取付自在とされたものである。

【００１４】

【作用】

上記課題解決手段において、一般に市販されている万能工具研削盤１１の取付 テーブル１８に、組付部３１を取付手段３５にて着脱自在に取り付ける。

【００１５】 そして、取付手段３５を、取付テーブル１８のトラバース方向の任意の位置に 設置し、砥石１２に対して取付テーブル１８を移動調整し、工具を位置決めする 。

【００１６】 同時に、組付部３１上で、旋回部３２を横軸Ｐ１周りに、またワークヘッド３ ３を旋回部３２上で取付軸Ｐ３周りに旋回調整させながら、工具を砥石１２に対 して位置決めする。

【００１７】 そうすると、工具のギャッシュ中心合わせが容易で、工具の底刃のすくい面お よびギャッシュの傾斜面を任意な角度で研削加工できる。

【００１８】

【実施例】

本実施例のエンド刃ギャッシュ研削装置１０は、図１，２の如く、一般に市販 されている万能工具研削盤１１に着脱自在に取付可能とされ、特に棒状切削工具 の底刃部（エンド刃）のギャッシュを研削するものである。

【００１９】 まず、万能工具研削盤１１の構成を説明する。

【００２０】 該万能工具研削盤１１は、図１〜３の如く、円盤状砥石１２の外周面等を擦り つけて様々な種類の工具を研削するもので、研削盤本体１３と、該研削盤本体１ ３上で砥石１２を取り付ける砥石台１４と、該砥石台１４を縦軸１５に沿って上 下動させる砥石台上下動手段１６と、砥石台１４を縦軸１５周りに旋回させる砥 石台旋回手段１７と、前記研削盤本体１３上の砥石台１４に隣接した位置で前記 ギャッシュ研削装置１０等を取り付ける取付テーブル１８とから構成される。

【００２１】 前記砥石台１４は、図２，３の如く、砥石１２を回転中心軸２１周りに回転さ せながら支持するもので、回転用モータ（図示せず）が内蔵されている。

【００２２】 前記砥石台上下動手段１６は、例えば、一般的なピニオンおよびラック等が使 用され、前記研削盤本体１３内に配置される。

【００２３】 前記砥石台旋回手段１７は、砥石台１４を旋回自在に支持する螺旋ロッド２３ と、該螺旋ロッド２３の外周螺旋部に嵌合する嵌合孔２３ａとからなる。また、 砥石台１４には、螺旋ロッド２３上での任意の旋回位置に固定するための締めネ ジ２４が設けられている。

【００２４】 前記取付テーブル１８には、図３の如く、ギャッシュ研削装置１０等に保持さ れた研削工具の中心軸２５（図１，２参照）が前記砥石台１４の旋回縦軸１５を 横切るよう、ギャッシュ研削装置１０等を左右方向（以下、トラバース方向とい う）２６ａに案内する案内溝２７が形成されている。

【００２５】 また、該取付テーブル１８には、図３の如く、前記研削盤本体１３上で砥石台 １４の旋回縦軸１５に向かって軸方向２６ｂに進退自在となる進退手段２８が設 けられている。該進退手段２８は、例えば、研削盤本体１３内に収納された図示 しない螺旋棒と、取付テーブル１８に固着された図示しないナットとが互いに係 合されてなるものである。

【００２６】 次に、本実施例のギャッシュ研削装置１０の構成を説明する。

【００２７】 該ギャッシュ研削装置１０は、前記万能工具研削盤１１の付属装置として使用 されるもので、図１，２の如く、前記万能工具研削盤１１の取付テーブル１８へ 組み付けるための組付部３１と、該組付部３１に対して横軸Ｐ１周りに旋回する ための旋回部３２と、該旋回部３２に支持されるワークへッド３３とからなる。

【００２８】 前記組付部３１の下面には、前記案内溝２７に着脱自在に取り付けるための取 付手段として、側面視逆Ｔ字形の係合子３５が形成されている。これにより、組 付部３１はトラバース方向２６ａへ取付テーブル１８と共に摺動可能とされる。

【００２９】 前記ワークヘッド３３は、図２の如く、前記旋回部３２に対して取付軸Ｐ３周 りに旋回自在に支持され、取付軸Ｐ３周りの任意の旋回角度βで停止できるよう 、締め付けネジ等の締め付け手段（図示せず）が設けられる。また、該ワークヘ ッド３３の下端部は、図１の如く、旋回部３２に横軸Ｐ１周りに回動自在に支持 される。

【００３０】 前記旋回部３２は、前記組付部３１の一端部に、横軸Ｐ１周りに回動自在に組 み付けられる。そして、該旋回部３２は、横軸Ｐ１周りの任意の回動角度αで停 止できるよう、横軸クランプ部Ｐ２等の締め付け手段が設けられる。

【００３１】 該ワークへッド３３の前端面にはワークスピンドル３６が形成される。

【００３２】 該ワークスピンドル３６には、任意の割り出し位置で回転角を徴調整可能な微 調整装置（図示せず）としての割り出し板３７が設けられる。該割り出し板３７ は、例えば等分に配置された１２個の穴３８が形成され、外部からこの穴３８の 任意の位置にピン３９を挿入することで、スピンドル３６をその位置で固定する ことができる。そして、ピン３９を抜き、スピンドル３６を回転させ、穴３８の 真反対側にピン３９を挿入すると、スピンドル３６は２等分に割り出されたこと になる。すなわち、１２の穴数は２、３、４、６、１２等分に割り出しができる 。このような手順を経て、ギャッシュ研削はスピンドルの回転を固定した状態で 行えばよい。

【００３３】 そうすると、例えば研削軸に対しワークスピンドルを僅かに回転させても、常 にその中心と研削軸は変わらず、工具の軸中心に対する向心性を保つことができ 、工具研削のための任意の回転角度が調整できる。

【００３４】 また、該ワークスピンドル３６には、ミーリングチャック等の保持具（図示せ ず）が取り付けられ、これに工具を挿入できるよう構成される。

【００３５】 次に、上記構成のギャッシュ研削装置１０を用いたギャッシュ研削方法を説明 する。なお、ＮＣ制御工具研削盤、あるいは専用機等を用いてもギャッシュ研削 が可能であるが、ここでは、一般の工場の工具再研磨部門でよく行われているエ ンドミルのエンドギャッシュ研削を行う例について説明する。

【００３６】 工具としては、例えば、図４〜６のような螺旋（スパイラル）溝を有する二枚 刃フラットエンドミル４１の底刃部Ｅ１を例にとって説明する。

【００３７】 まず、図１の如く、一般に市販されている万能工具研削盤１１の取付テーブル １８に、組付部３１を取付手段３５にて着脱自在に取り付ける。

【００３８】 同時に、組付部３１上で、旋回部３２を横軸Ｐ１周りに回動させ、またワーク ヘッド３３を取付軸Ｐ３周りに旋回、調整させながら、工具を砥石１２に対して 位置決めする。そして、テーブル１８を軸２６ａ，２６ｂ方向に移動させ、工具 のエンド部砥石１２に対して位置決めする。研削はテーブルを軸２６ｂ方向にト ラバースさせながら行い、研削の深さは砥石を軸１５方向で決める。すなわち砥 石を上方から下方に向かって研削量を決め、任意のギャッシュ形状を研削加工す る。

【００３９】 そうすると、工具のギャッシュ中心合わせが容易で、工具の底刃のすくい面（ ギャッシュ）Ｇ１１を任意な角度でギャッシュ研削できる。

【００４０】 ここで、一般に、エンドミルを用いてフライス盤、マシニングセンタ等で機械 加工を行う場合、例えば横方法のみの加工（すなわちエンドミルの外周刃による 切削加工）の場合において、工具のエンド刃軸中心部付近は切削にあまり寄与し ないため、センタ穴付きのエンドミルが用いられることもある。しかし、溝加工 や、軸方向（底刃方法）に向かって加工が行われる場合、センタ穴付きエンドミ ルでは、中央部分が切削不能となる。よって最近は、図４，５に示すようなセン タカットエンドミルが多用されている。

【００４１】 この場合、エンドミルは、図４の如く、外周刃部と底刃部の交点部分、いわゆ るエンド刃（底刃）コーナＥＣの部分が最も損傷が激しい。そこで、上記のギャ ッシュ研削後、図６の如く、底刃の第一逃げ角θ１およびこれに隣接する底刃の 第二逃げ角θ２を頻繁に研削することで、エンド刃コーナＥＣの強化を図る必要 がある。

【００４２】 すなわち、最近、切削性能の向上を目的として、図４のように、外周のねじれ 角φの強いエンドミルが多用されているが、この場合、図５の如く、エンド刃コ ーナＥＣは、軸方向、径方向とも、鋭利なすくい角をもつようになってきている 。そして、外周部すくい角α１とねじれ角φとが合成されると、その合成すくい 角は大となり、鋭利な刃先となる。このため、エンド刃コーナＥＣの刃先の強度 は弱くなる。そこで、刃先の損傷を防ぐため、すくい角の修整を必要とする場合 がある。つまり、研削の際、前述のワークスピンドル回転徴調整装置を用い、ギ ャッシングのすくい面Ｇ１１側をエンド刃コーナ部分まで研削することにより、 エンド刃コーナＥＣの刃先の強化を図ることが必要となる。

【００４３】 この点、本実施例のエンド刃ギャッシュ研削装置１０は、図６に示したような 底刃の任意のすくい角αを、図１に示した横軸Ｐ１周りの回動角度αの調整を行 うだけで調整でき、また、図４に示したトラバース研削方向の工具軸に対する傾 角（ギャッシュ角）βを、図１に示した取付軸Ｐ３周りの旋回角度βの調整を行 うだけで調整でき、エンド刃コーナの強化を簡単にしかも精度よく実現できる。

【００４４】 また、一般に市販されている万能工具研削盤１１の取付テーブル１８上に着脱 自在に設置することができ、しかも、万能工具研削盤１１の取付テーブル１８の 前後軸２６ｂ方向への移動にて、工具の中心軸合わせ等を簡単に行うことができ る。

【００４５】 ここで、一般の万能工具研削盤を用いて手動でギャッシュ研削を行う場合、研 削状態を確かめながら、すなわち少しづつ研削しながら途中で機械や装置を調整 し最終的に理想的な形状に研削仕上げを行う場合が多い。この点、砥石台１４の 縦軸１５を研削の切り込み軸として利用し、軸２６ｂ方向にトラバース移動しな がら研削するトラバース研削では、砥石が完全に抜け切り、砥石に過大な負担を かけることが少ないため、砥石の摩損が少なくなる。

【００４６】 また、研削粉塵を一方向に飛ばすことができ、集塵装置の取り付けも容易であ り、抜群の作業性、安全性の向上を図り得る。

【００４７】 以上のように、ワークスピンドル回転微調整装置の使用、底刃すくい角、ギャ ッシュ角の調整も含めて、理想的なギャッシュ研削が可能となる。

【００４８】 なお、本考案は、上記実施例に限定されるものではなく、本考案の範囲内で上 記実施例に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。

【００４９】 例えば、本考案のエンド刃ギャッシュ研削装置１０は、上記以外の目的、例え ば、ドリルのシンニング作業（切削抵抗を少なくするためウェブの先端を特に薄 くする作業）、ドリル・座繰りカッタ切れ刃のすくい面研削、直刃ボールエンド ミル円弧部ギャッシュ研削、アングルカッタのすくい面研削、サイドミーリング カッタ側面切れ刃のすくい面研削等に対しても、作業性、品質等格段の向上を図 ることができることは言うまでもない。

【００５０】

【考案の効果】

以上の説明から明らかな通り、本考案によると、ワークへッドを旋回部に取付 軸周りに回動自在に取り付け、また旋回部を組付部に対して横軸周りに旋回自在 に組み付けているので、工具のギャッシュ中心合わせが容易で、また、工具の底 刃のすくい面を任意な角度で研削加工できる。

【００５１】 また、取付手段にて、組付部を取付テーブルに着脱自在に取り付けることがで きるので、一般に市販されている万能工具研削盤を利用でき、新たな工具研削盤 を必要としないで済む。

【００５２】 さらに、取付手段を、工具の底刃部を上方に向かうようにセットするため、工 具のトラバース方向に対する中心合わせおよびすくい面角度調整が楽になるのみ ならず、トラバース研削によれば、砥石が完全に抜け切り、砥石に過大な負担を かけることが少ないため、砥石の摩損が少なくなるといった優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すエンド刃ギャッシュ研
削装置の正面図

【図２】本考案の一実施例を示すエンド刃ギャッシュ研
削装置の側面図

【図３】一般的な万能工具研削盤の斜視図

【図４】センタカットエンドミルの側面図

【図５】センタカットエンドミルの正面図

【図６】エンドミルの底刃の斜視図

【図７】エンドミルの側面図

【図８】従来のエンド刃ギャッシュ研削装置の平面図

【図９】従来のエンド刃ギャッシュ研削装置の正面図

【符号の説明】

１１ 万能工具研削盤 １２ 砥石 １３ 研削盤本体 １４ 砥石台 １８ 取付テーブル ２６ａ トラバース方向 ３１ 組付部 ３２ 旋回部 ３３ ワークへッド ３５ 取付手段 ３６ ワークスピンドル Ｐ１ 横軸 Ｐ３ 取付軸

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 研削盤本体と、該研削盤本体上で砥石を
   取り付ける砥石台と、該砥石台に隣接した取付テーブル
   とを備えた万能工具研削盤の付属装置として着脱自在に
   取り付け可能とされるもので、前記万能工具研削盤の取
   付テーブルへ組み付けるための組付部と、該組付部に支
   持される旋回部と、該旋回部に支持されるワークへッド
   とを備え、該ワークへッドは回転角度を微調整可能、か
   つ等分に分割可能なワークスピンドルを有し、該ワーク
   へッドは前記旋回部に対して取付軸周りに回動自在に取
   り付けられ、前記旋回部は組付部に対して横軸周りに旋
   回自在に取り付けられ、前記組付部に、取付テーブルに
   着脱自在に取り付けるための取付手段が設けられ、該取
   付手段は、前記取付テーブルのトラバース方向の任意位
   置に取付自在とされたことを特徴とする切削工具のエン
   ド刃ギャッシュ研削装置。