JPH06314607A - 高防錆性希土類ボンド磁石およびその製造方法 - Google Patents
高防錆性希土類ボンド磁石およびその製造方法Info
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- JPH06314607A JPH06314607A JP5103362A JP10336293A JPH06314607A JP H06314607 A JPH06314607 A JP H06314607A JP 5103362 A JP5103362 A JP 5103362A JP 10336293 A JP10336293 A JP 10336293A JP H06314607 A JPH06314607 A JP H06314607A
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- H01F1/01—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
- H01F1/03—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
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- H01F1/04—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys
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- H01F1/053—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals
- H01F1/0533—Alloys characterised by their composition containing rare earth metals in a bonding agent
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、希土類ボンド磁石の防錆を行う高
防錆性希土類ボンド磁石に関し、希土類ボンド磁石の防
錆力を簡単な処理で低コストかつ成形体の表面に薄い層
で十分な防錆力を得ることを目的とする。 【構成】 磁石粉体に樹脂を混練した混成物を圧縮成形
して成形体を成形した後、防錆油をこの成形体に薄く塗
布して当該成形体の空孔に防錆油を溜め込み、高防錆を
持たせた高防錆性希土類ボンド磁石およびその製造方法
である。
防錆性希土類ボンド磁石に関し、希土類ボンド磁石の防
錆力を簡単な処理で低コストかつ成形体の表面に薄い層
で十分な防錆力を得ることを目的とする。 【構成】 磁石粉体に樹脂を混練した混成物を圧縮成形
して成形体を成形した後、防錆油をこの成形体に薄く塗
布して当該成形体の空孔に防錆油を溜め込み、高防錆を
持たせた高防錆性希土類ボンド磁石およびその製造方法
である。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、希土類ボンド磁石の防
錆を行う高防錆性希土類ボンド磁石およびその製造方法
に関するものである。最近、モータなどに使用する永久
磁石として、希土類磁石粉体を樹脂で結合したボンド磁
石の防錆力を低コストで高めることが望まれている。
錆を行う高防錆性希土類ボンド磁石およびその製造方法
に関するものである。最近、モータなどに使用する永久
磁石として、希土類磁石粉体を樹脂で結合したボンド磁
石の防錆力を低コストで高めることが望まれている。
【０００２】
【従来の技術】従来、希土類ボンド磁石のなかで一般的
に用いられているＮｄ−Ｆｅ系ボンド磁石は、Ｎｄ−Ｆ
ｅ系急冷磁石粉体と２〜３ｗｔ％の樹脂を混合した混合
物（ペレット）を圧縮成形して成形体とする。そして、
この成形体の防錆力を実用に耐えるように向上させるた
めに、当該成形体の表面に塗装したり、メッキしたりし
ていた。
に用いられているＮｄ−Ｆｅ系ボンド磁石は、Ｎｄ−Ｆ
ｅ系急冷磁石粉体と２〜３ｗｔ％の樹脂を混合した混合
物（ペレット）を圧縮成形して成形体とする。そして、
この成形体の防錆力を実用に耐えるように向上させるた
めに、当該成形体の表面に塗装したり、メッキしたりし
ていた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】上述したように圧縮成
形した成形体の防錆力を得るのに必要な膜厚１０〜２０
μｍ以上の塗装を施していた。これよりも薄い数μｍの
塗装を施した場合には、成形体の表面の凹凸や空孔が有
るため、連続した膜を形成できず、必要な防錆力が得ら
れず、高温高湿試験で錆びが早期に発生してしまうとい
う問題があった。また、２０μｍ位の塗装を成形体に施
してしまうと、表面に凹凸が発生し、特に小型精密モー
タのロータなどはその空隙が狭く、厚すぎてしまうとい
う問題もあった。
形した成形体の防錆力を得るのに必要な膜厚１０〜２０
μｍ以上の塗装を施していた。これよりも薄い数μｍの
塗装を施した場合には、成形体の表面の凹凸や空孔が有
るため、連続した膜を形成できず、必要な防錆力が得ら
れず、高温高湿試験で錆びが早期に発生してしまうとい
う問題があった。また、２０μｍ位の塗装を成形体に施
してしまうと、表面に凹凸が発生し、特に小型精密モー
タのロータなどはその空隙が狭く、厚すぎてしまうとい
う問題もあった。
【０００４】また、圧縮成形した成形体の表面にメッキ
を施す場合、メッキは電解、無電解などの方法があり、
薄くて十分な防錆力が得られるが、反面、設備およびそ
の処理コストが磁石１個当たり３〜１５円程度かかり、
高コストになってしまうという問題があった。
を施す場合、メッキは電解、無電解などの方法があり、
薄くて十分な防錆力が得られるが、反面、設備およびそ
の処理コストが磁石１個当たり３〜１５円程度かかり、
高コストになってしまうという問題があった。
【０００５】また、従来、一般に鉄などの錆びやすい部
品に防錆油を塗布して防錆力を持たせることが行われて
いる。この防錆油の塗布は一時的な防錆を目的としたも
のであって、半永久的な防錆には適していなかった。
品に防錆油を塗布して防錆力を持たせることが行われて
いる。この防錆油の塗布は一時的な防錆を目的としたも
のであって、半永久的な防錆には適していなかった。
【０００６】本発明は、これらの問題を解決するため、
希土類ボンド磁石の防錆力を簡単な処理で低コストかつ
成形体の表面に薄い層で十分な防錆力を得ることを目的
としている。
希土類ボンド磁石の防錆力を簡単な処理で低コストかつ
成形体の表面に薄い層で十分な防錆力を得ることを目的
としている。
【０００７】
【課題を解決するための手段】図１を参照して課題を解
決するための手段を説明する。図１において、混練工程
１は、磁石粉体に樹脂を混練した混練物を生成する工程
である。
決するための手段を説明する。図１において、混練工程
１は、磁石粉体に樹脂を混練した混練物を生成する工程
である。
【０００８】圧縮成形工程３は、混練物を圧縮成形して
成形体を成形する工程である。組立工程５は、圧縮成形
した成形体を組み立てる工程である。着磁工程６は、組
み立てた成形体を着磁する工程である。
成形体を成形する工程である。組立工程５は、圧縮成形
した成形体を組み立てる工程である。着磁工程６は、組
み立てた成形体を着磁する工程である。
【０００９】防錆油塗布工程７は、成形体に薄く防錆油
を塗布する工程である。
を塗布する工程である。
【００１０】
【作用】本発明は、図１に示すように、混練工程１によ
って磁石粉体に樹脂を混練した混練物を生成し、圧縮成
形工程３によって混練物を圧縮成形して成形体を成形
し、防錆油塗布工程７によって防錆油を成形体に薄く塗
布し、高防錆を持たせた高防錆性希土類ボンド磁石を作
成するようにしている。
って磁石粉体に樹脂を混練した混練物を生成し、圧縮成
形工程３によって混練物を圧縮成形して成形体を成形
し、防錆油塗布工程７によって防錆油を成形体に薄く塗
布し、高防錆を持たせた高防錆性希土類ボンド磁石を作
成するようにしている。
【００１１】この際、組立工程５によって圧縮成形した
成形体を組み立て、着磁工程６によって組み立てた成形
体を着磁し、防錆油塗布工程７によって防錆油を着磁し
た成形体に薄く塗布し、高防錆を持たせた高防錆性希土
類ボンド磁石を作成するようにしている。
成形体を組み立て、着磁工程６によって組み立てた成形
体を着磁し、防錆油塗布工程７によって防錆油を着磁し
た成形体に薄く塗布し、高防錆を持たせた高防錆性希土
類ボンド磁石を作成するようにしている。
【００１２】また、防錆油を成形体に薄く塗布する際
に、含油マットあるいは含油ロータの防錆油を成形体に
転写し、防錆油を成形体に薄く塗布するようにしてい
る。従って、圧縮成形した希土類ボンド磁石の成形体に
防錆油を薄く塗布、更に成形体を組み立てて着磁した後
に防錆油を薄く塗布（特に転写によって薄く塗布）する
ことにより、防錆力を簡単な処理で低コストかつ成形体
の表面に薄い層で形成した高防錆性希土類ボンド磁石を
製造することが可能となる。
に、含油マットあるいは含油ロータの防錆油を成形体に
転写し、防錆油を成形体に薄く塗布するようにしてい
る。従って、圧縮成形した希土類ボンド磁石の成形体に
防錆油を薄く塗布、更に成形体を組み立てて着磁した後
に防錆油を薄く塗布（特に転写によって薄く塗布）する
ことにより、防錆力を簡単な処理で低コストかつ成形体
の表面に薄い層で形成した高防錆性希土類ボンド磁石を
製造することが可能となる。
【００１３】
【実施例】次に、図１から図３を用いて本発明の実施例
の構成および動作を順次詳細に説明する。
の構成および動作を順次詳細に説明する。
【００１４】図１は、本発明の１実施例構成図を示す。
図１において、混練工程１は、磁石粉体に樹脂及び溶剤
を一緒にして混練し、ペレットを作成する工程である。
ここで、磁石粉体として、Ｎｄ−Ｆｅ−Ｂ系の急冷磁石
粉体を用い、粒径が最大３００μｍ程度のものを用い
る。樹脂としては、エポキシ樹脂を用い、２ｗｔ％位を
混ぜる。これらＮｄ−Ｆｅ−Ｂ系の急冷磁石粉体に対し
て、２ｗｔ％のエポキシ樹脂および溶媒を入れて混練す
る。この混練中などに溶媒は徐々に蒸発する。
図１において、混練工程１は、磁石粉体に樹脂及び溶剤
を一緒にして混練し、ペレットを作成する工程である。
ここで、磁石粉体として、Ｎｄ−Ｆｅ−Ｂ系の急冷磁石
粉体を用い、粒径が最大３００μｍ程度のものを用い
る。樹脂としては、エポキシ樹脂を用い、２ｗｔ％位を
混ぜる。これらＮｄ−Ｆｅ−Ｂ系の急冷磁石粉体に対し
て、２ｗｔ％のエポキシ樹脂および溶媒を入れて混練す
る。この混練中などに溶媒は徐々に蒸発する。
【００１５】篩別工程２は、混練工程１で混練した後、
大きな固まりなどを除去するために篩別を行う工程であ
る。この篩別工程２で用いる篩の目開きとして例えば３
００μｍを用いてこれよりも大きい固まりを除去する。
大きな固まりなどを除去するために篩別を行う工程であ
る。この篩別工程２で用いる篩の目開きとして例えば３
００μｍを用いてこれよりも大きい固まりを除去する。
【００１６】圧縮成形工程３は、篩別工程２によって篩
別した後の混合物のペレットを、金型に入れて圧縮し、
成形体を成形する。ここでは、例えば６０００Ｋｇ／ｃ
ｍ2位の圧力で圧縮成形する。
別した後の混合物のペレットを、金型に入れて圧縮し、
成形体を成形する。ここでは、例えば６０００Ｋｇ／ｃ
ｍ2位の圧力で圧縮成形する。
【００１７】キュア工程４は、圧縮成形工程３によって
成形された成形体（例えばリング状の成形体）を加熱し
て樹脂を硬化および含まれている溶剤を完全に蒸発させ
たりする。ここで、キュアによる加熱時間は、樹脂を硬
化させるのに十分な温度および時間であって、エポキシ
樹脂の場合には例えば２００°Ｃ、１時間である。この
キュアした後の成形体は、防錆力が十分でない。
成形された成形体（例えばリング状の成形体）を加熱し
て樹脂を硬化および含まれている溶剤を完全に蒸発させ
たりする。ここで、キュアによる加熱時間は、樹脂を硬
化させるのに十分な温度および時間であって、エポキシ
樹脂の場合には例えば２００°Ｃ、１時間である。この
キュアした後の成形体は、防錆力が十分でない。
【００１８】組立工程５は、キュア工程４によって成形
体の含まれる樹脂を硬化した後、成形体を組み立てる工
程である。例えば成形体がモータのロータの場合には図
２の（ａ）に示すようにロータとして組み立てる工程で
ある。
体の含まれる樹脂を硬化した後、成形体を組み立てる工
程である。例えば成形体がモータのロータの場合には図
２の（ａ）に示すようにロータとして組み立てる工程で
ある。
【００１９】着磁工程６は、組立工程５によって組み立
てた後の成形体（ここではロータ）に着磁する工程であ
る。着磁は、ロータを例えば所定の磁界を発生するよう
にコイルを巻いた円筒状の容器に入れ、電流を流して強
磁界を発生させて所望の極に着磁させる。この際、成形
体が着磁する容器に接触し、キズなどが発生する恐れが
あるので、着磁前に防錆油を塗布することなく、着磁後
に本発明は塗布し、防錆油が拭き取られたり、成形体に
キズがついて防錆油の塗布されていない箇所が発生する
ことを防止している。
てた後の成形体（ここではロータ）に着磁する工程であ
る。着磁は、ロータを例えば所定の磁界を発生するよう
にコイルを巻いた円筒状の容器に入れ、電流を流して強
磁界を発生させて所望の極に着磁させる。この際、成形
体が着磁する容器に接触し、キズなどが発生する恐れが
あるので、着磁前に防錆油を塗布することなく、着磁後
に本発明は塗布し、防錆油が拭き取られたり、成形体に
キズがついて防錆油の塗布されていない箇所が発生する
ことを防止している。
【００２０】防錆油塗布工程７は、着磁後の成形体に防
錆油を塗布する工程である。防錆油を塗布する方法とし
ては、図２に示すように、含油マット１０や含油ローラ
１１の防錆油を成形体に転写することにより、薄く防錆
油を均一に塗布すると共に、成形体を組み立てた後に塗
布し、必要な部分のみに塗布して不要な部分に塗布しな
いようにする。防錆油としては、後述する図３の実測例
で説明するように、 ・溶剤希釈型さび止め油 ・一般さび止め油 ・指紋除去型さび止め油 ・ペトロラタム ・気化性さび止め油 などを使用し、防錆力を実測したがいずれも良好な結果
が得られた。
錆油を塗布する工程である。防錆油を塗布する方法とし
ては、図２に示すように、含油マット１０や含油ローラ
１１の防錆油を成形体に転写することにより、薄く防錆
油を均一に塗布すると共に、成形体を組み立てた後に塗
布し、必要な部分のみに塗布して不要な部分に塗布しな
いようにする。防錆油としては、後述する図３の実測例
で説明するように、 ・溶剤希釈型さび止め油 ・一般さび止め油 ・指紋除去型さび止め油 ・ペトロラタム ・気化性さび止め油 などを使用し、防錆力を実測したがいずれも良好な結果
が得られた。
【００２１】組立工程８は、防錆油を薄く塗布した成形
体を、装置に組み立てる。ここでは、成形体であるロー
タを組み立ててモータの完成品にする。以上によって、
磁石粉体に樹脂を混練、篩別、圧縮成形、キュア、組み
立て、着磁した後、防錆油を薄く塗布する。そして、完
成品として組み立てる。この際、防錆油を薄く塗布する
ときに転写によって塗布するため、余分な部分に防錆油
が付着することがなく、浸漬する場合に余分な防錆油を
拭き取る手間が不要となる。特に、希土類ボンド磁石
は、成形体の磁石粉体の間に空孔（穴やスキ間）があ
り、この部分に防錆油がたまり、実測の結果、従来一般
に言われていた一時的な防錆のために使用するというこ
とでなく、半永久的に防錆力を発揮することが、本願発
明者によって各種実験の結果判明した。このことは、後
述する図３の実施例７、８に示すように、圧縮成形、キ
ュア後の成形体の表面に膜厚５μｍの薄い塗膜を形成し
た後、防錆油を転写した場合、十分な防錆力を持たせる
ことができなかった事実から、防錆油が成形後の希土類
ボンド磁石の表面の空孔（穴やスキ間）に十分溜まり、
長期間の防錆力を発揮できることとなったものである。
体を、装置に組み立てる。ここでは、成形体であるロー
タを組み立ててモータの完成品にする。以上によって、
磁石粉体に樹脂を混練、篩別、圧縮成形、キュア、組み
立て、着磁した後、防錆油を薄く塗布する。そして、完
成品として組み立てる。この際、防錆油を薄く塗布する
ときに転写によって塗布するため、余分な部分に防錆油
が付着することがなく、浸漬する場合に余分な防錆油を
拭き取る手間が不要となる。特に、希土類ボンド磁石
は、成形体の磁石粉体の間に空孔（穴やスキ間）があ
り、この部分に防錆油がたまり、実測の結果、従来一般
に言われていた一時的な防錆のために使用するというこ
とでなく、半永久的に防錆力を発揮することが、本願発
明者によって各種実験の結果判明した。このことは、後
述する図３の実施例７、８に示すように、圧縮成形、キ
ュア後の成形体の表面に膜厚５μｍの薄い塗膜を形成し
た後、防錆油を転写した場合、十分な防錆力を持たせる
ことができなかった事実から、防錆油が成形後の希土類
ボンド磁石の表面の空孔（穴やスキ間）に十分溜まり、
長期間の防錆力を発揮できることとなったものである。
【００２２】図２は、本発明の防錆油の塗布（転写）例
を示す。図２の（ａ）は、成形体であるロータ９を含油
マット１０の上で転がして防錆油を転写するときの様子
を表したものである。
を示す。図２の（ａ）は、成形体であるロータ９を含油
マット１０の上で転がして防錆油を転写するときの様子
を表したものである。
【００２３】図２の（ａ）において、ロータ９は、図１
の着磁工程６によって着磁した後の成形体である。ここ
では、円筒状の成形体に心棒および中間リングを組み立
ててモータのロータ９とし、図示外の着磁器によって着
磁した後のロータ９である。
の着磁工程６によって着磁した後の成形体である。ここ
では、円筒状の成形体に心棒および中間リングを組み立
ててモータのロータ９とし、図示外の着磁器によって着
磁した後のロータ９である。
【００２４】含油マット１０は、防錆油を含油するマッ
トである。以上の構成のもとで、組み立ておよび着磁後
のロータ９を、図示のように、平坦な含油マット１０上
を転がして防錆油をロータ９の表面に薄く転写する。こ
れにより、余分な部分に防錆油が塗布されることがな
く、浸漬した場合に余分な防錆油を拭き取る工程が不要
となる。
トである。以上の構成のもとで、組み立ておよび着磁後
のロータ９を、図示のように、平坦な含油マット１０上
を転がして防錆油をロータ９の表面に薄く転写する。こ
れにより、余分な部分に防錆油が塗布されることがな
く、浸漬した場合に余分な防錆油を拭き取る工程が不要
となる。
【００２５】図２の（ｂ）は、成形体であるロータ９を
含油ローラ１１と相互に回転して防錆油を転写するとき
の様子を表したものである。図２の（ｂ）において、ロ
ータ９は、図１の着磁工程６によって着磁した後の成形
体であって、図２の（ａ）のロータ９と同じものであ
る。
含油ローラ１１と相互に回転して防錆油を転写するとき
の様子を表したものである。図２の（ｂ）において、ロ
ータ９は、図１の着磁工程６によって着磁した後の成形
体であって、図２の（ａ）のロータ９と同じものであ
る。
【００２６】含油ローラ１１は、防錆油を含油するロー
ラである。以上の構成のもとで、組み立ておよび着磁後
のロータ９を、図示のように、含油ローラ１１と相互に
回転させて防錆油をロータ９の表面に薄く転写する。こ
れにより、余分な部分に防錆油が塗布されることがな
く、浸漬した場合に余分な防錆油を拭き取る工程が不要
となる。
ラである。以上の構成のもとで、組み立ておよび着磁後
のロータ９を、図示のように、含油ローラ１１と相互に
回転させて防錆油をロータ９の表面に薄く転写する。こ
れにより、余分な部分に防錆油が塗布されることがな
く、浸漬した場合に余分な防錆油を拭き取る工程が不要
となる。
【００２７】図３は、本発明の防錆力の実測例を示す。
ここでは、実施例１から１０は、下記の条件の成形品を
表す。２４０時間、８００時間は、耐湿試験仕様である
８０°Ｃ、９５％ＲＨで２４０時間経過後、８００時間
経過後の錆の発生の状態を示す。ここでは、右側に記載
したように、 ○：錆発生無し △：点錆発生有り ×：錆多 を表す。
ここでは、実施例１から１０は、下記の条件の成形品を
表す。２４０時間、８００時間は、耐湿試験仕様である
８０°Ｃ、９５％ＲＨで２４０時間経過後、８００時間
経過後の錆の発生の状態を示す。ここでは、右側に記載
したように、 ○：錆発生無し △：点錆発生有り ×：錆多 を表す。
【００２８】実施例１：これは、圧縮成形したボンド磁
石に、防錆油を塗布していない前の状態のときの防錆力
を示す。ここで、ボンド磁石は、ＧＭ社製ＭＱパウダー
１００重量部に対して溶剤希釈型エポキシ樹脂ワニス２
重量部を混合し、乾燥後、解砕してペレットを作成す
る。このペレットを金型に充填して成形圧力６０００Ｋ
ｇ／ｃｍ2で圧縮成形した後、１８０°Ｃで１時間加熱
してエポキシ樹脂を硬化してボンド磁石を得た。このボ
ンド磁石は、表面に多くの空孔（孔やスキ間）を持って
いる。この防錆油を塗布していない状態では、当然なが
ら、２４０時間、８００時間のいずれも×で錆が多く発
生した。
石に、防錆油を塗布していない前の状態のときの防錆力
を示す。ここで、ボンド磁石は、ＧＭ社製ＭＱパウダー
１００重量部に対して溶剤希釈型エポキシ樹脂ワニス２
重量部を混合し、乾燥後、解砕してペレットを作成す
る。このペレットを金型に充填して成形圧力６０００Ｋ
ｇ／ｃｍ2で圧縮成形した後、１８０°Ｃで１時間加熱
してエポキシ樹脂を硬化してボンド磁石を得た。このボ
ンド磁石は、表面に多くの空孔（孔やスキ間）を持って
いる。この防錆油を塗布していない状態では、当然なが
ら、２４０時間、８００時間のいずれも×で錆が多く発
生した。
【００２９】実施例２：これは、実施例１で成形したボ
ンド磁石に、溶剤希釈型さび止め油を塗布したときの防
錆力を示す。この場合には、２４０時間、８００時間の
いずれも○で錆が発生しなく、十分な防錆力が得られて
いる。
ンド磁石に、溶剤希釈型さび止め油を塗布したときの防
錆力を示す。この場合には、２４０時間、８００時間の
いずれも○で錆が発生しなく、十分な防錆力が得られて
いる。
【００３０】実施例３：これは、実施例１で成形したボ
ンド磁石に、一般さび止め油を塗布したときの防錆力を
示す。この場合には、２４０時間、８００時間のいずれ
も○で錆が発生しなく、十分な防錆力が得られている。
ンド磁石に、一般さび止め油を塗布したときの防錆力を
示す。この場合には、２４０時間、８００時間のいずれ
も○で錆が発生しなく、十分な防錆力が得られている。
【００３１】実施例４：これは、実施例１で成形したボ
ンド磁石に、指紋除去型さび止め油を塗布したときの防
錆力を示す。この場合には、２４０時間、８００時間の
いずれも○で錆が発生しなく、十分な防錆力が得られて
いる。
ンド磁石に、指紋除去型さび止め油を塗布したときの防
錆力を示す。この場合には、２４０時間、８００時間の
いずれも○で錆が発生しなく、十分な防錆力が得られて
いる。
【００３２】実施例５：これは、実施例１で成形したボ
ンド磁石に、さび止めペトロラタムを塗布したときの防
錆力を示す。この場合には、２４０時間、８００時間の
いずれも○で錆が発生しなく、十分な防錆力が得られて
いる。
ンド磁石に、さび止めペトロラタムを塗布したときの防
錆力を示す。この場合には、２４０時間、８００時間の
いずれも○で錆が発生しなく、十分な防錆力が得られて
いる。
【００３３】実施例６：これは、実施例１で成形したボ
ンド磁石に、気化性さび止め油を塗布したときの防錆力
を示す。この場合には、２４０時間、８００時間のいず
れも○で錆が発生しなく、十分な防錆力が得られてい
る。
ンド磁石に、気化性さび止め油を塗布したときの防錆力
を示す。この場合には、２４０時間、８００時間のいず
れも○で錆が発生しなく、十分な防錆力が得られてい
る。
【００３４】実施例７：これは、実施例１で成形したボ
ンド磁石に、磁石表面の凹凸、空孔を少なくするために
エポキシ樹脂を約５μｍスプレー塗装したときの防錆力
を示す。この場合には、２４０時間で△で点錆が発生
し、８００時間で×で錆が多く発生し、防錆力がなかっ
た。
ンド磁石に、磁石表面の凹凸、空孔を少なくするために
エポキシ樹脂を約５μｍスプレー塗装したときの防錆力
を示す。この場合には、２４０時間で△で点錆が発生
し、８００時間で×で錆が多く発生し、防錆力がなかっ
た。
【００３５】実施例８：これは、実施例７で得たボンド
磁石に、一般さび止め油を塗布した。この場合には、２
４０時間で○で錆が発生しなかったが、８００時間で△
で点錆が発生し、防錆力が十分でなかった。これは、既
述したように、実施例７の約５μｍ厚のエポキシ樹脂を
スプレー塗布して、ボンド磁石の表面の凹凸や特に空孔
を無くしてしまい、さび止め油が十分に溜まらなく、長
期間の耐湿試験に耐えられなかったものである。従っ
て、ボンド磁石の表面に塗装やメッキなどしなく、空孔
（孔やスキ間）などが多い状態でさび止め油を塗布して
始めて、本願発明者が各種実験で発見した長期間のさび
止め効果を発揮できるものである。
磁石に、一般さび止め油を塗布した。この場合には、２
４０時間で○で錆が発生しなかったが、８００時間で△
で点錆が発生し、防錆力が十分でなかった。これは、既
述したように、実施例７の約５μｍ厚のエポキシ樹脂を
スプレー塗布して、ボンド磁石の表面の凹凸や特に空孔
を無くしてしまい、さび止め油が十分に溜まらなく、長
期間の耐湿試験に耐えられなかったものである。従っ
て、ボンド磁石の表面に塗装やメッキなどしなく、空孔
（孔やスキ間）などが多い状態でさび止め油を塗布して
始めて、本願発明者が各種実験で発見した長期間のさび
止め効果を発揮できるものである。
【００３６】実施例９：これは、実施例３で一般さび止
め油を塗布したボンド磁石を用いてロータを作成した後
に着磁したときの防錆力を示す。この場合には、２４０
時間で１０個中の１個に点錆が発生した。８００時間で
１０個中の３個に点錆が発生した。これは、ボンド磁石
に一般さび止め油を塗布した後、ロータを組み立て、着
磁したために、ボンド磁石に塗布したさび止め油が拭き
取られたり、ボンド磁石にきずがついてさび止め油の塗
布されていない部分が露出したために、点錆が発生した
ものである。
め油を塗布したボンド磁石を用いてロータを作成した後
に着磁したときの防錆力を示す。この場合には、２４０
時間で１０個中の１個に点錆が発生した。８００時間で
１０個中の３個に点錆が発生した。これは、ボンド磁石
に一般さび止め油を塗布した後、ロータを組み立て、着
磁したために、ボンド磁石に塗布したさび止め油が拭き
取られたり、ボンド磁石にきずがついてさび止め油の塗
布されていない部分が露出したために、点錆が発生した
ものである。
【００３７】実施例１０：これは、ボンド磁石を用いて
ロータを作成して着磁した後に防錆油を塗布したときの
防錆力を示す。この場合には、２４０時間、８００時間
のいずれも○で錆が発生しなく、十分な防錆力が得られ
ている。この十分な防錆力が得られたのは、ボンド磁石
を用いてロータを作成し、着磁した後に防錆油を塗布し
たので、実施例９の場合に比し、ボンド磁石の組み立て
時および着磁時に塗布した防錆油が拭き取られたり、ボ
ンド磁石にキズがついて防錆油が塗布されない部分が露
出したりしなかったためである。従って、本願では、ボ
ンド磁石を例えばロータとして組み立て、着磁した後に
防錆油を塗布しており、実施例１０に示すように、十分
な防錆力が得られた。
ロータを作成して着磁した後に防錆油を塗布したときの
防錆力を示す。この場合には、２４０時間、８００時間
のいずれも○で錆が発生しなく、十分な防錆力が得られ
ている。この十分な防錆力が得られたのは、ボンド磁石
を用いてロータを作成し、着磁した後に防錆油を塗布し
たので、実施例９の場合に比し、ボンド磁石の組み立て
時および着磁時に塗布した防錆油が拭き取られたり、ボ
ンド磁石にキズがついて防錆油が塗布されない部分が露
出したりしなかったためである。従って、本願では、ボ
ンド磁石を例えばロータとして組み立て、着磁した後に
防錆油を塗布しており、実施例１０に示すように、十分
な防錆力が得られた。
【００３８】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
圧縮成形した希土類ボンド磁石の成形体に防錆油を薄く
塗布、更に成形体を組み立てて着磁した後に防錆油を薄
く塗布（特に転写によって薄く塗布）する構成を採用し
ているため、防錆力を簡単な処理で低コストかつ成形体
の表面に薄い層で形成した高防錆性希土類ボンド磁石を
作成できると共に、防錆油を転写によって必要な部分の
みに塗布することができる。
圧縮成形した希土類ボンド磁石の成形体に防錆油を薄く
塗布、更に成形体を組み立てて着磁した後に防錆油を薄
く塗布（特に転写によって薄く塗布）する構成を採用し
ているため、防錆力を簡単な処理で低コストかつ成形体
の表面に薄い層で形成した高防錆性希土類ボンド磁石を
作成できると共に、防錆油を転写によって必要な部分の
みに塗布することができる。
【図１】本発明の１実施例構成図である。
【図２】本発明の防錆油の塗布（転写）例である。
【図３】本発明の防錆力の実測例である。
１：混練工程 ２：篩別工程 ３：圧縮成形工程 ４：キュア工程 ５、８：組立工程 ６：着磁工程 ７：防錆油塗布工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 楠本 雅孝 東京都港区新橋５丁目36番11号 富士電気 化学株式会社内 (72)発明者 中野 廣文 東京都港区新橋５丁目36番11号 富士電気 化学株式会社内 (72)発明者 橋本 文男 東京都港区新橋５丁目36番11号 富士電気 化学株式会社内
Claims (3)
- 【請求項１】希土類ボンド磁石の防錆を行う高防錆性希
土類ボンド磁石において、 磁石粉体に樹脂を混練した混成物を圧縮成形して成形体
を成形した後、防錆油をこの成形体に薄く塗布して当該
成形体の空孔に防錆油を溜め込み、高防錆を持たせたこ
とを特徴とする高防錆性希土類ボンド磁石。 - 【請求項２】希土類ボンド磁石の防錆を行う高防錆性希
土類ボンド磁石において、 磁石粉体に樹脂を混練した混成物を圧縮成形して成形体
を成形し、組み立てて着磁した後、防錆油をこの成形体
に薄く塗布して当該成形体の空孔に防錆油を溜め込み、
高防錆を持たせたことを特徴とする高防錆性希土類ボン
ド磁石。 - 【請求項３】上記防錆油を成形体に薄く塗布する際に、
含油マットあるいは含油ローラの防錆油を成形体に転写
し、防錆油を成形体に薄く塗布して当該成形体の空孔に
防錆油を溜め込むように構成したことを特徴とする高防
錆性希土類ボンド磁石の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5103362A JPH06314607A (ja) | 1993-04-30 | 1993-04-30 | 高防錆性希土類ボンド磁石およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5103362A JPH06314607A (ja) | 1993-04-30 | 1993-04-30 | 高防錆性希土類ボンド磁石およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06314607A true JPH06314607A (ja) | 1994-11-08 |
Family
ID=14352022
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP5103362A Pending JPH06314607A (ja) | 1993-04-30 | 1993-04-30 | 高防錆性希土類ボンド磁石およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH06314607A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2005099048A (ja) * | 2004-12-13 | 2005-04-14 | Ntn Corp | 磁気エンコーダおよびそれを備えた軸受 |
-
1993
- 1993-04-30 JP JP5103362A patent/JPH06314607A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2005099048A (ja) * | 2004-12-13 | 2005-04-14 | Ntn Corp | 磁気エンコーダおよびそれを備えた軸受 |
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