JPH063056U - 自動撒水器 - Google Patents

Abstract

(57)【構成】 【目的】 本考案は、撒水ノズルを用いることなく、又
コスト高を招来することなく、１本の撒水ホースによっ
て長い距離、広い範囲の多数の植木に均等に撒水を行う
ことができる自動撒水器を提供することを目的とする。 【構成】 本考案は、一端が封鎖された撒水ホースの他
端を開閉弁を介して給水源に接続する一方、撒水ホース
途中には複数の撒水口を間隔をあけて形成して植物に対
し撒水を自動的に行う自動撒水器であって、上記撒水ホ
ースの少なくとも上記撒水口形成部を弾性材から形成
し、上記撒水口が常態では閉鎖状態にあり、上記撒水ホ
ース内が所定水圧以上に達した時に該水圧によって上記
各撒水口が上記弾性材の弾性力に抗して略同時に開口さ
れ、撒水ホース内の水を各撒水口から噴出させるように
したことを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、自動撒水器に関し、特に１本の撒水ホースによって多数の植木に 撒水できるようにした撒水器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

例えば、高速道路の分離帯や農園等では、多数の植木が長い距離、広い範囲に わたって植えられている。かかる多数の植木を維持管理する場合、植木に適切に 撒水を行う必要があるが、手作業で撒水を行うと、長い作時間を必要とするばか りでなく、作業者にとって非常に負担となる。 これに対し、撒水すべき箇所に撒水ホースを這わせ、撒水ホースに多数の撒水 口をあけ、あるいは多数の撒水ノズルを取付け、季節や降雨状況に応じて開閉弁 を開閉し、各撒水口や撒水ノズルから自動的に撒水を行うようにした自動撒水器 が提案されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする問題点】

しかし、ドリル等を用いて単に撒水ホースに多数の撒水口をあけた場合には、 給水源に近い部分では勢よく水が噴出するものの、給水源から遠い部分では手前 の撒水口から大部分の水が噴出されてしまうので、ホース内の水圧が充分に上昇 せず、水がほとんど噴出されず、撒水できるホースの長さに限界があり、例えば 直径２ｃｍの市販のホースを用いて水道水を撒水する場合にはホース長さは１ｍ 程度が限界であった。その結果、長い距離、広い範囲にわたって撒水を行う場合 には、比較的短い撒水ホースと給水源とを複数用意する必要があり、コスト高を 招来していた。 他方、撒水ノズルを用いる場合には撒水ノズルの工夫によって比較的長い距離 にわたる撒水が可能であるものの、ノズルの製造及び取付けを必要とし、コスト 高となる。 この考案は、かかる問題点に鑑み、撒水ノズルを用いることなく、１本の撒水 ホースによって長い距離、広い範囲にわたる多数の植木に撒水できるようにした 自動撒水器を提供することを課題とする。

【０００４】

【問題を解決するための手段】

そこで本考案に係る自動撒水器は、撒水ホースの一端が封鎖され、他端が開閉 弁を介して給水源に接続される一方、撒水ホース途中には複数の撒水口が間隔を あけて形成されて植物に対し撒水を自動的に行う自動撒水器であって、撒水ホー スが少なくとも撒水口形成部を弾性材から形成され、撒水口が常態では閉鎖状態 にあり、撒水ホース内が所定水圧以上に達した時に該水圧によって各撒水口が弾 性材の弾性力に抗して略同時に開口され、撒水ホース内の水が各撒水口から噴出 されるようにしたことを要旨とする。 ここで水道を給水源とした場合、開閉弁を設けてもよいが、蛇口を開閉弁とし て利用する、即ち撒水ホースを直接水道の蛇口に連結して使用してもよい。

【０００５】

【作用】

撒水ホースに給水源から水を供給すると、撒水ホース内には水が充満するが、 撒水ホース内が所定水圧に達するまでは撒水口は弾性材の弾性力によって閉鎖さ れている。 撒水ホース内に水がさらに充満すると、撒水ホースの一端が封鎖されているの で、撒水ホース内の水圧は長手方向に略均等に所定圧に達し、各撒水口がホース 内の水圧によって弾性材の弾性力に抗して略同時に開口され、各撒水口から略同 時に水が噴出される。 この撒水ホースは所定の弾性を有するホース、例えばゴムホース等を使用でき るが、上述のように撒水口は常態で弾性力によって閉鎖され所定水圧以上で開口 すればよいので、撒水口の形成部、例えば金属管の撒水口の形成すべき部分に、 撒水口を有する弾性材を固着して構成することもできる。

【０００６】

【実施例】

以下、本考案を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。 図１及び図２は本考案の一実施例による自動撒水器を示す。図において、１は 給水源である水道の蛇口で、該蛇口１には連結ホース２が連結され、該連結ホー ス２の先端には開閉器３が接続され、該開閉器３内には電磁弁、その制御用ＩＣ バッテリ（図示せず）、及び照度センサ３０等が内蔵され、制御用ＩＣは夏期に は朝の９時及び夕方の６時に電磁弁を開いて所定量、例えば３００リットルの水 を、冬期には朝の９時に３５０リットルの水を流す一方、照度センサ３０の検出 信号を受けて降雨時には降雨状況に応じて水量が２／３、１／３、０となるよう に電磁弁を開閉する。なお、上述の開閉時間や給水量は適宜設定できるようにな っている。 また、開閉器３の上面には支柱３２が立設され、該支柱３２の上部には収容ケ ース３３が形成されている。この収容ケース３３の頂部には太陽電池３４が固着 され、又収容ケース３２には風力ファン３５が外側面に露出して回転自在に支承 され、その回転軸には小型の発電機（図示せず）が連結され、上記太陽電池３４ 及び発電機の出力は上記バッテリに接続され、僅かな太陽光又は車輛の走行風等 によってバッテリが充電可能に設けられ、こうして独立電源が構成されている。 従って、ゴルフ場、農園、高速道路等、適当な電源がないような場合、バッテリ が消耗すると撒水が行われず、植木が枯れ始めるまでその発見が困難であるが、 このように独立電源とするとにも安心して使用できる。 また、支柱３２には高さ調整機構３６が設けられ、支柱３２が太陽電池３４や 風力ファン３５に適した高さに調整されている。即ち、支柱３２は上側部分と下 側部分とからなり、上側支柱部分の下端は下側支柱部分の上端内にスライド可能 に挿入され、下側支柱部分の上端部には割り筒が形成され、該割り筒の外周面に は締め付け金具が螺合され、上記割り筒が締め付けられて上記上側支柱部分を固 定するようになっている。 さらに、開閉器３の吐水口３１には撒水ホース４の後端が連結されている。こ の撒水ホース４には耐圧糸入りのゴムホースが使用され、該撒水ホース４は約１ ０ｍ以上の長さを有し、その先端は封鎖金具４０や針金等によって封鎖され、又 撒水ホース４の途中には所定の間隔、例えば３０ｃｍ間隔で撒水口４１が多数あ けられている。なお、撒水口４１の間隔は植木５の間隔に応じて適宜変更しても よい。また、撒水ホースの材料は所望の弾性を有するものであればゴム以外であ ってもよい。 この撒水口４１は鋭利な刃物、例えば千枚通しを完全な穴があかないように挿 通させて形成されており、撒水ホース４内の所定水圧以下で撒水ホース４の弾性 によって撒水口４１が封鎖され、撒水ホース４が水の充満によって膨張してホー ス４内が所定水圧以上に達した時に各撒水口４１が略同時に開口されて撒水ホー ス４内の水が各撒水口４１から噴出されるようになっている。

【０００７】 自動撒水器をセットする場合、撒水ホース４を多数の植木５に沿わせて這わせ る一方、連結ホース２の後端を水道の蛇口１に連結し、蛇口１を開栓しておく。 設定時間となって開閉器３が電磁弁を開くと、水道水が撒水ホース４に供給さ れるが、ホース４内の水圧が設定圧に達するまでは撒水ホース４が充分に膨張せ ず、撒水口４１はホース４の弾性によって閉じられたままである（図２の実線Ａ 参照）。 撒水ホース４内に水道水が充満してホース４内の水圧が設定圧以上に達すると 、撒水ホース４が大きく膨張し（図２の一点鎖線Ｂ参照）、複数の各撒水口４１ が略同時に開く。 その際、ホース先端側の撒水口４１には開閉器３側の撒水口４１と略同じ強さ の水圧が作用しているので、各撒水口４１からは略同じ強さで水道水が噴出され る。その結果、１本の撒水ホース４を用いることにより、長い距離、広い範囲に わたって植えられた多数の植木に均等に撒水を行うことができ、又撒水ノズルや 多数の撒水器を用いる必要がなく、コスト高を招来することもない。 本件考案者の実験によれば、ドリル等で撒水口をあけたホースを使用すると、 水道の蛇口から遠い植木については１〜２週間で枝葉が枯れ始めたが、本実施例 の自動撒水器を試験的に設置してから１年以上が経過しても枝葉の枯れは見られ ず、全ての植木が健全に育成していることが確認された。 また、撒水が植木の根元に適切に行われず、撒水量が不足して植木の成育が悪 い場合には、成育の悪い植木の根元に向けて水が噴出するように、千枚通し等を 用いて撒水ホース４に撒水口４１を形成でき、適切な撒水が可能であった。 さらに、一定の時刻になると、撒水を行うようにしたので、不定期に撒水を行 う場合に比して植木の育成が非常に良好であった。

【０００８】 次に、本件考案者は直径２０ｍｍの耐圧糸入りのゴムホースを使用し、撒水口 の形状及び寸法を変えて本考案の効果が得られるか否かの実験を行った。 撒水口の形状は上記実施例と同様に千枚通しを挿通させた形状（図３の(a) ） 、ナイフによって形成したホース長手方向に延びる形状（図３の(b) ）、同じく ナイフによって形成したホース径方向の、即ち輪切様の形状（図３の(c) ）とし 、各々図示の寸法とした。なお、図３の(a) の場合の直径は中心と最大疵の外縁 との間の距離の２倍（図１の拡大図に示す破線円の直径）としている。 図３の(a) (c) に示す形状の撒水口では寸法によって噴水量は異なるが、いず れの撒水口からも勢いよく水が噴出し、しかも水噴出の勢いはホース先端側の撒 水口と蛇口側の撒水口とで変わらなかった。 図３の(b) に示す撒水口では水の噴出の勢いがなく、特に２８ｍｍ以上の撒水 口は送水する前から、割れ目があって水洩れが生じていた。 このことから、撒水口は水圧をかける前にはホースの弾性で閉じており、所定 の水圧以上で開くものであればその形状及び寸法に関係なく、全ての撒水口から 均一に水が噴出され、撒水口の寸法は水の噴出量が変化するだけであることが分 かる。 他方、撒水口がホースの弾性で塞がらないような寸法になると、そこから水圧 が逃げるので、水が勢いがなくなると考えられる。そこで、図３の(b) に示す撒 水口について、２８ｍｍ以上のものを粘着テープで塞ぎ、撒水を行ったところ、 図３の(a) (c) に示す形状の撒水口と同様に効果が得られた。 また、水道の蛇口の開栓率を全開から５０％、３０％と変えたところ、水の噴 出量はほぼ８０％、５０％と変化したが、水噴出の勢い自体はほとんど差異はな かった。

【０００９】

【考案の効果】

以上のように、本考案に係る自動撒水器によれば、撒水ノズルを用いることな く、しかもコスト高を招来することなく、１本の撒水ホースによって長い距離、 広い範囲の多数の植木に均等に撒水を行うことができた。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の一実施例による自動撒水器を示す全
体構成図である。

【図２】 上記自動撒水器における撒水ホースの動作を
説明するための断面図である。

【図３】 本考案の効果を確認するために実験に使用し
た撒水口の形状及び寸法を示す図である。

【符号の説明】

１ 水道の蛇口（給水源） ３ 開閉器（開閉
弁） ４ 撒水ホース ４１ 撒水口 ５ 植木

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 撒水ホースの一端が封鎖され、他端が開
   閉弁を介して給水源に接続される一方、撒水ホース途中
   には複数の撒水口が間隔をあけて形成されて植物に対し
   撒水を自動的に行う自動撒水器であって、 上記撒水ホースが少なくとも上記撒水口形成部を弾性材
   から形成され、上記撒水口が常態では閉鎖状態にあり、
   上記撒水ホース内が所定水圧以上に達した時に該水圧に
   よって上記各撒水口が上記弾性材の弾性力に抗して略同
   時に開口され、撒水ホース内の水が各撒水口から噴出さ
   れることを特徴とする自動撒水器。