JPH06293597A - ニオブ酸リチウム単結晶の製造方法および光素子 - Google Patents

ニオブ酸リチウム単結晶の製造方法および光素子

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JPH06293597A
JPH06293597A JP8185193A JP8185193A JPH06293597A JP H06293597 A JPH06293597 A JP H06293597A JP 8185193 A JP8185193 A JP 8185193A JP 8185193 A JP8185193 A JP 8185193A JP H06293597 A JPH06293597 A JP H06293597A
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lithium niobate
single crystal
crystal
wafer
niobate single
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Masazumi Sato
正純 佐藤
Satoshi Makio
諭 牧尾
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐光損傷特性に優れたニオブ酸リチウム単結
晶ウェハを得ること。これにより短波長光を用いる光素
子用基板にニオブ酸リチウム単結晶ウェハを用いるこ
と。ニオブ酸リチウム単結晶の持つ大きな非線形光学定
数を生かしたSHG素子の安定性と高出力化の特性向上
をすること。また、従来0.8μm程度以下の波長の光
源を使用した場合、長期に渡る安定性で問題があるとさ
れていた光変調器等の基板として使用できるようにする
こと。 【構成】 ニオブ酸リチウム単結晶ウェハの耐光損傷特
性を向上させる目的で、裏面荒らし加工後に500〜1
150℃の温度範囲において熱処理することにより耐光
損傷特性を向上させたことを特徴とするニオブ酸リチウ
ム単結晶ウェハの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザ光を使用する情
報処理分野あるいは光応用計測制御および通信分野に利
用する単結晶に関するものであり、特には耐光損傷特性
に優れたニオブ酸リチウム単結晶ウェハに係る。
【0002】
【従来の技術】ニオブ酸リチウム単結晶は融点約125
0℃、キュリー温度約1150℃の強誘電体結晶で、通
常大気中もしくは酸素を含む雰囲気中で白金坩堝を用
い、融液からチョクラルスキー法により育成されてい
る。育成された単結晶は多分域状態であるので、結晶温
度をキュリー温度以上に保ち電界印加徐冷法により、結
晶の単一分域化処理が行われる。この後、結晶はウェハ
状に加工され、たとえば表面弾性波素子用の基板として
大量に用いられている。近年、ニオブ酸リチウム結晶は
光学的品質に優れ、比較的安価で大口径の結晶が育成可
能で、しかも低損失な光導波路が容易に形成可能なこと
から、非線形光学効果及び電気光学効果等を用いた各種
光学素子の基板材料としてよく用いられている。しかし
ながら、そのような光学用途の実用に際しては、光損傷
の発生が実用化を妨げる大きな問題であることが明らか
にされてきた。ここで言う光損傷とは、レーザ光入射に
より結晶の屈折率が局所的に変化する現象で光誘起屈折
率変化と呼ばれるものである。この光損傷の発生原因は
結晶内に含まれる遷移金属不純物によるものとされてお
り、特に結晶内のFeイオンの原子価の変化によりその
現象が説明されている。すなわち結晶のZ軸(光学軸)
に並行でない方向に光を入射した際に、光の照射部内の
光強度の強い部分に存在するFe2+イオンが励起されて
電子を放出しFe3+に変わる。このようにして発生した
電子は、結晶内の非照射部もしくは照射の弱い領域内に
ある他のFe3+によって一般に捕獲され、このようなイ
オンはFe2+に変えられてしまう。このような現象によ
る全体的効果は、結晶内電荷分布の変化として現れ、そ
の結果、結晶自身のもつ電気光学効果を介しての局所的
屈折率分布の不均一性として現れる。結晶を光変調器や
波長変換素子等の光学用途の基板として用いるときに
は、このような光照射部の屈折率変化により素子が安定
に動作しないことや、本来結晶が有している特性を十分
生かしきれないという非常に大きな問題が生じる。この
光損傷は使用する光波長が短波長であるほど顕著になる
ので、短波長の光を用いる素子用途ほど光損傷の問題が
大きくなる。この問題を改善するため、種々の提案がな
されている。一つには結晶内に含まれるFe等の遷移金
属不純物を低減することである。その他として、マグネ
シアを添加することにより光損傷を低減する方法が報告
されている(D.A.Bryan,et,al.,「Appl.Phys.Let
t.」,vol.44、P.847、1984)。この報告によれば、マグ
ネシアを添加したニオブ酸リチウム結晶においては、マ
グネシアの添加量とともに耐光損傷強度が増加し、この
強度は添加マグネシアが4.5mol%以上で一定値と
なることが知られている。また、最近では亜鉛を添加す
ることにより耐光損傷性の改善効果があることが報告さ
れている。近年、マグネシアを添加したニオブ酸リチウ
ム結晶を用い、チェレンコフ方式により第二高調波出力
がcwレーザで0.4mW程度発生することのできる波
長変換素子が製品開発されている(谷内;LiNbO3
のSHGデバイス;応用物理学会、第93回結晶工学分
科会、P23(1990))。また、オゾンアニールに
よりニオブ酸リチウム薄膜の光吸収特性が改善すること
については、最近報告されている(応用物理学会27a
−P−5、1990年秋)。報告によると、酸化マグネ
シウムを添加したニオブ酸リチウム単結晶の表面上にL
PE法によりニオブ酸リチウム薄膜光導波路を形成する
と、LPEで用いたLi2O−V25フラックスからV
が薄膜中にV3+として取り込まれるため、これによる波
長約0.5μm近傍の光吸収が生じ、導波光の大きな伝
搬損失の原因となる。伝搬損失の大きな薄膜を600
℃、1h程度オゾンアニールすると、+3価のVイオン
に起因する光吸収が減じ、伝搬損失特性が向上するとい
うものである。このようにオゾンアニールにより結晶の
光吸収特性が改善することが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術による酸
化物単結晶育成においては、購入可能な原料の純度は4
N〜5N程度であり、また坩堝材や炉内の耐火保温材等
から育成結晶への不純物取り込みもあるので半導体並み
の高純度化する事は不可能である。従ってFe不純物の
低減にも限界がある。結晶中のFe不純物濃度を例えば
0.5ppm以下に低減すると確かに耐光損傷特性が向
上する効果はあるものの、短波長光を用いる素子用途に
おいては耐光損傷強度は不十分である。また、上記従来
技術における酸化マグネシウムまたは酸化亜鉛を添加し
た結晶においては、耐光損傷に対する大幅な特性向上は
認められたが、添加する酸化マグネシウムおよび酸化亜
鉛の量を例えば5mol%以上にしても、例えば波長変
換素子用基板として用いたときには出力される高調波光
のパワー密度が200W/cm2以上程度になると損傷
は完全には対策できないとの問題が生じた。一方、この
ような添加による耐光損傷改善を行う結晶では次のよう
な別の問題が生じてきた。すなわち、上記従来技術にお
ける酸化マグネシウム添加ニオブ酸リチウム単結晶は、
結晶中のマグネシウムの偏析係数が1より大きいために
結晶中のマグネシウム濃度は不均一であることや、育成
する場合クラックが発生しやすく、またサブグレインバ
ウンダリーも多く光学用途としての品質均一性の面では
使用には耐えない品質になり易く、これによる素子作製
上の不安定性や低歩留り等の問題があった。酸化亜鉛を
添加した場合にも、偏析係数が1でないため結晶内分布
の不均一性とこれに起因する屈折率不均一性という、前
記酸化マグネシウムの場合と同様の問題がある。また、
大気中もしくは酸素含有中での熱処理は結晶の無色化に
対し効果があることが知られているが、高温での熱処理
であり、Li成分の蒸発等のため耐光損傷強度の顕著な
向上には寄与することは出来ない。さらに、オゾン雰囲
気下での熱処理も耐光損傷性の向上に有効であることが
確認されているが、オゾン発生装置を必要とし、かつ発
生オゾンの安全面からの処理が必要であるため簡便な方
法ではないという問題があった。本発明は、上述した如
き従来のニオブ酸リチウム単結晶または酸化マグネシウ
ムおよび酸化亜鉛を添加したニオブ酸リチウム単結晶の
光損傷の問題を解決すべくなされたものであって、いわ
ゆるゲッタリング処理による耐光損傷特性に優れたニオ
ブ酸リチウム単結晶ウェハおよびマグネシア添加ニオブ
酸リチウム単結晶ウェハおよび酸化亜鉛添加ニオブ酸リ
チウム単結晶ウェハを提供し、これを用いた光素子を安
定に作製、動作させんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、ニオブ酸リチ
ウム単結晶ウェハの耐光損傷特性を向上させる目的で、
裏面荒らし加工後に500〜1150℃の温度範囲にお
いて熱処理することにより耐光損傷特性を向上させたこ
とを特徴とするニオブ酸リチウム単結晶ウェハの製造方
法である。また、本発明は、電界印加徐冷法あるいはそ
の他の方法の単一分域化処理により既に単一分域化され
たニオブ酸リチウム単結晶ウェハを、500〜1150
℃の温度範囲で、少なくとも10分以上の熱処理をする
ことにより耐光損傷特性を向上させたことを特徴とする
ニオブ酸リチウム単結晶ウェハの製造方法である。更に
本発明は、C面に分域反転層が形成されたニオブ酸リチ
ウム単結晶を、500〜1150℃の温度範囲で、少な
くとも10分以上の熱処理をより耐光損傷特性を向上さ
せたことを特徴とするニオブ酸リチウム単結晶ウェハの
製造方法である。本発明に於て、Li2O/(Li2O+
Nb25)のモル比が0.483〜0.50の結晶組成
であることが望ましい。あるいは、(Li2O+Mg
O)/(Li2O+MgO+Nb25)のモル比が0.
483〜0.50の結晶組成が望ましい。あるいは、
(Li2O+ZnO)/(Li2O+ZnO+Nb25
のモル比が0.483〜0.50の結晶組成が望まし
い。本発明は、以上のような製造方法によるので、レー
ザー光源から結晶への入射光、または結晶内における光
のパワー密度が1平方cmあたり10W以上である光素
子であつて、前記結晶として請求項記載の1項から6項
のいずれかの項に記載のニオブ酸リチウム単結晶ウェハ
を用いたことを特徴とする光素子が得られる。 又、本
発明は、レーザー光源からの出射光を基本波として非線
形光学結晶への通過により第二高調波を発生する光素子
であって、前記非線形光学結晶として前記製造方法で得
られたニオブ酸リチウム単結晶ウェハを用いたことを特
徴とする光素子である。
【0005】
【作用】各種ニオブ酸リチウム単結晶を育成し、結晶の
耐光損傷特性を向上させるために、ウェハ加工後にウェ
ハの片面を荒らし加工し、500〜1150℃の温度に
10分以上保持することにより、ウェハ中の光損傷の原
因となる不純物、特に鉄をこの荒らし加工により生じた
歪領域に集める、いわゆるゲッタリング効果を利用し、
ウェハの光用途に使用されるもう一方の面側の不純物、
特に鉄とクロムを減らすことである。上記の構成によ
り、ニオブ酸リチウム単結晶ウェハのゲッタリング効果
を十分に促進し結晶ウェハ中に含まれる不純物、特に鉄
を十分にウェハの光用途として機能する面側から除去す
ることにより耐光損傷強度の大幅に改善することができ
る。さらに、得られた結晶ウェハは、耐光損傷強度が向
上しているので特に短波長光を用いる波長変換素子、光
変調器、光偏向器などの種々の光学素子が安定に動作さ
せることが可能である。
【0006】
【実施例】
(実施例1)試料を次の作製法により作成した。まずチ
ョクラルスキ法により、種々のLiNbO3単結晶を育
成した。直径100mm深さ100mmの白金坩堝に原
料粉をいれ高周波加熱によりこれを溶かし、融液を作
り、その後シード付けを行い、所定の方位に約3日間
で、2インチの単結晶を育成した。この時の育成速度は
1〜4mm/h、回転速度は8〜30rpmである。上
記方法により育成した結晶は無添加高純度結晶、マグネ
シウム添加結晶、亜鉛添加結晶である。育成に用いた原
料は純度99.99%のLi2O,Nb25,MgO,
ZnOである。つぎに上記引き上げ法により育成した結
晶体を単一分域化処理を行った。結晶を結晶と非反応性
の導電性粉末を介して、結晶のZ軸方向に対向するよう
に例えばPt電極板を設け、電気炉内に挿入して単一分
域化処理を行う。その後、それぞれの結晶から0.2〜
2mmの種々の厚さのウェハを作成した。このようにし
て種々のニオブ酸リチウム単結晶ウェハを準備し、それ
ぞれに対し500℃〜1050℃で10分以上、熱処理
を実施し、この処理による耐光損傷強度の向上について
調べた。耐光損傷強度の測定法は結晶ウェハ中もしくは
荒らし加工を施さなかった面側に作成した光導波路中に
波長0.488μmのアルゴンレーザーを入力し、その
入出力特性を評価した。光損傷が発生しなければ入出力
特性は直線上に乗るが、光損傷が発生すると出力は飽和
するので光損傷を検出することができる。その結果の一
例を図1に示す。
【0007】(実施例2)コングルエント組成で育成し
た結晶を用い、厚さ0.5mmのウェハを通常の研磨加
工により作成した。その後、z板ウェハの+z面を#2
40で荒らし加工し、900℃で4時間の熱処理を加え
た後のウェハの+z面近傍と−z面近傍における54Fe
52CrをO2+をイオン源としたイオンマイクロアナラ
イザーにより分析した結果を図2に示す。+z面、−z
面いづれにおいても表面から約200nmまではFe,
Crとも濃度が深さと共に急減し、より深いところでは
ほぼ一定となっている。一定となったところでのFeの
濃度は+z面近傍の方が−z面近傍でのそれより約4倍
大きく、Crの方は約6倍大きい。丁度表面の所では+
z面、−z面いづれにおいてもFe,Crの濃度はほぼ
同じ値となっている。これらの結果は表面近傍約200
nmでは汚染による影響があるが、それより深いところ
では荒らし加工を行った面の方でFe,Crが多くなっ
ており、荒らし加工による加工歪がこれら不純物を集め
る働き、いわゆるゲッタリング効果を示していると結論
される。この効果は半導体では確認されているが、酸化
物結晶においても同じ効果があることが初めて確認され
た。
【0008】(実施例3)コングルエント組成で育成し
た結晶を用い、厚さ0.3mm、および0.5mmのウ
ェハを通常の研磨加工により作成した。その後、ウェハ
の+z面を#240で荒らし加工し、400℃から10
00℃の種々の温度で10時間の熱処理を加えた後のウ
ェハの−z面表面から約25nmの位置における54Fe
をO2+をイオン源としたイオンマイクロアナライザーに
より分析した結果を図3に示す。縦軸の濃度は未処理結
晶中のFeの濃度に対する相対値で示して有る。熱処理
温度が高いほどFeの濃度は低くなり、この現象はウェ
ハが薄いほど顕著となる。ウェハの厚さが0.5mmの
場合、700℃の熱処理により荒らし加工をしなかった
−z面におけるFeの濃度は検出限界以下になる。ウェ
ハの厚さが0.3mmの場合には600℃の処理温度で
検出限界以下になる。なを、処理温度が800℃以上に
なると未処理面(研磨面)における表面荒れが顕著にな
ってくる。これはいわゆるLiの外部拡散によるものと
思われる。
【0009】(実施例4)コングルエント組成で育成し
た結晶を用い、厚さ0.5mmのウェハを通常の研磨加
工により作成した。その後、z板ウェハの+z面を#2
40で荒らし加工し、500℃、600℃、700℃で
時間を3時間から24時間の間で種々変えて熱処理を加
えた。その後、ウェハの−z面表面から約25nmの位
置における54FeをO2+をイオン源としたイオンマイク
ロアナライザーにより分析した結果を図4に示す。縦軸
の濃度は未処理結晶中のFeの濃度に対する相対値で示
して有る。熱処理時間とともにFeの濃度は低下し、こ
の現象は熱処理温度が高いほどより顕著になる。500
℃の場合、24時間の熱処理でFeの濃度はほぼ検出限
界程度になるが、700℃では5時間の熱処理でほとん
ど検出されなくなる。一方、500℃の処理温度では2
4時間後でも十分な量のFeが検出される。
【0010】(実施例5)コングルエント組成で育成し
た結晶を用い、厚さを0.2mmから2mmの範囲で種
々作成し、これらのウェハを通常の研磨加工により作成
した。その後、z板ウェハの+z面を#240で荒らし
加工し、700℃で3時間から24時間の熱処理を加え
た。その後、ウェハの−z面表面から約25nmの位置
における54FeをO2+をイオン源としたイオンマイクロ
アナライザーにより分析した結果を図5に示す。縦軸の
濃度は未処理結晶中のFeの濃度に対する相対値で示し
てある。ウェハの厚さが0.2mmと0.3mmの場合
には、3時間の熱処理時間で既に未処理面におけるFe
の濃度はかなり低下している。0.5mm厚さのウェハ
では5時間の処理時間でFeの濃度がかなり減少してい
る。一方、1mm厚さのウェハでは24時間の熱処理後
でもかなりの量のFeが検出され、また2mm厚さのウ
ェハでは24時間の処理でもほとんどFe低減の効果は
見られなかった。
【0011】(実施例6)請求項5および請求項6の結
晶から作成した厚さ0.4mmのウェハにおいても同様
の荒らし加工を施し、実施例2と同じ熱処理を実施し、
同じくウェハの両面におけるFe濃度を測定したところ
ほとんど無添加LN結晶と同じ効果が見られた。一方、
添加したMgあるいはZnの濃度にはウェハの両面にお
いて有意の差は見られなかった。一例として請求項5の
モル比が0.5の結晶から作成したウェハにたいして同
様の処理をし、荒らし加工処理面から未処理面までのM
gの量をEPMAで測定した結果を図6に示す。測定精
度の範囲で一定である。
【0012】(実施例7)通常の光素子用基板として用
いるニオブ酸リチウム単結晶は、Li2O/(Li2O+
Nb25)のモル比が0.483のいわゆるコングルエ
ント組成のものが用いられている。ニオブ酸リチウム単
結晶を特に光導波路を作成する光学素子用の基板として
用いる場合、結晶組成により屈折率が変化するので、任
意の屈折率を持つ種々の結晶が必要とされる。上記結晶
組成比をコングルエント組成からストイキオメトリ組成
(上記モル比が0.50)へと変えていくと、異常屈折
率のみが単調に減少することが知られている。そこで、
光導波路型光素子へのニオブ酸リチウム単結晶基板の応
用を考え、Li成分がコングルエント組成より多い請求
項4の組成を持つ結晶を育成し、同じく厚さ0.5mm
のウェハを作成し、実施例3と同じ熱処理とFeの分析
を行った結果を図3に示す。このウェハでは未処理面で
のFeの濃度の変化は、基本的にはコングルエント組成
で育成した結晶と同じ熱処理温度依存性を示すが、おな
じ温度におけるFeの減少量はより少ない。これはLi
成分がコングルエント組成より多い結晶ではFeの拡散
が押さえられていることに対応する。さらに、Li2
/(Li2O+Nb25)のモル比が0.5のいわゆる
ストイキオメトリ組成の結晶を育成したところ、Liの
欠損はコングルエントメルト組成の結晶よりも大幅に少
ないため、価数バランスをとるための酸素欠損は少ない
と思われるが、先述したように酸素を若干含む雰囲気中
で高温で育成されるため、酸素欠損を含んでいる。この
結晶から作成したウェハに同様ゲッタリング処理を施し
た後にプロトン交換導波路を形成し、耐光損傷特性を評
価したところ特性の向上がみられた。このように種々の
組成のニオブ酸リチウム単結晶ウェハにたいして加工歪
による不純物の集積効果を利用することによる耐光損傷
特性の向上は光学素子用途への応用にとって好ましい事
が判った。特に光導波路用基板として用いる場合にはL
2O/(Li2O+Nb25)のモル比がコングルエン
ト組成比の0.483より大きいことが好ましが、結晶
育成の難易さの点からかんがえると組成比は0.483
から0.50の範囲にあることが望ましく、従って、上
記組成範囲にあるニオブ酸リチウム単結晶ウェハをゲッ
タリング処理して用いることが光素子への応用上好まし
い。
【0013】(実施例8)ゲッタリング処理により耐光
損傷強度が向上したコングルエント組成結晶から作成し
たウェハにプロトン交換法により光導波路を形成し、チ
ェレンコフ位相整合方式のSHG素子を作成した。波長
0.86μmの半導体レーザー200mWに対して、波
長0.43μm、出力が約4mWの第二高調波が安定に
得られた。
【0014】(実施例9)ゲッタリング処理により耐光
損傷強度が向上したウェハにTi拡散導波路を通常と同
じ条件、即ち−z面上に25nm厚さで8μm幅のTi
をパターニングした後、拡散温度990℃、拡散時間3
時間、バブリング温度75℃で形成することによりマッ
ハツエンダー型光スウィッチを作成し、波長0.85μ
mの半導体レーザーを入力したところ半波長電圧21.
5Vで安定した出力と動作が得られた。
【0015】
【発明の効果】本発明により耐光損傷特性に優れたニオ
ブ酸リチウム単結晶ウェハを得ることができた。これに
より短波長光を用いる光素子用基板にニオブ酸リチウム
単結晶ウェハを用いることができ、ニオブ酸リチウム単
結晶の持つ大きな非線形光学定数を生かしたSHG素子
の安定性と高出力化の特性向上ができる。また、従来
0.8μm程度以下の波長の光源を使用した場合、長期
に渡る安定性で問題があるとされていた光変調器等の基
板としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】種々のゲッタリング処理による耐光損傷強度の
向上の様子をアルゴンレーザーの入出力特性により測定
した結果を示した図である。
【図2】鉄とCrの濃度の荒らし加工面側と未処理面側
での違いを示した図である。
【図3】熱処理温度によるゲッタリング効果の違いを示
した図である。
【図4】熱処理時間によるゲッタリング効果の違いを示
した図である。
【図5】熱処理時間に対するゲッタリング効果のウェハ
厚さ依存性を示す図である。
【図6】Mgのウェハ厚さ方向における濃度均質さを示
した図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニオブ酸リチウム単結晶ウェハの耐光損
    傷特性を向上させる目的で、裏面荒らし加工後に500
    〜1150℃の温度範囲において熱処理することにより
    耐光損傷特性を向上させたことを特徴とするニオブ酸リ
    チウム単結晶ウェハの製造方法。
  2. 【請求項2】 電界印加徐冷法あるいはその他の方法の
    単一分域化処理により既に単一分域化されたニオブ酸リ
    チウム単結晶ウェハを、500〜1150℃の温度範囲
    で、少なくとも10分以上の熱処理をすることにより耐
    光損傷特性を向上させたことを特徴とするニオブ酸リチ
    ウム単結晶ウェハの製造方法。
  3. 【請求項3】 C面に分域反転層が形成されたニオブ酸
    リチウム単結晶を、500〜1150℃の温度範囲で、
    少なくとも10分以上の熱処理をより耐光損傷特性を向
    上させたことを特徴とするニオブ酸リチウム単結晶ウェ
    ハの製造方法。
  4. 【請求項4】 Li2O/(Li2O+Nb25)のモル
    比が0.483〜0.50の結晶組成である請求項1な
    いし3のいずれかの項に記載のニオブ酸リチウム単結晶
    ウェハの製造方法。
  5. 【請求項5】 (Li2O+MgO)/(Li2O+Mg
    O+Nb25)のモル比が0.483〜0.50の結晶
    組成である請求項1ないし3のいずれかの項に記載のニ
    オブ酸リチウム単結晶ウェハの製造方法。
  6. 【請求項6】 (Li2O+ZnO)/(Li2O+Zn
    O+Nb25)のモル比が0.483〜0.50の結晶
    組成である請求項1ないし3のいずれかの項に記載のニ
    オブ酸リチウム単結晶ウェハの製造方法。
  7. 【請求項7】 レーザー光源から結晶への入射光、また
    は結晶内における光のパワー密度が1平方cmあたり1
    0W以上である光素子であつて、前記結晶として請求項
    記載の1項から6項のいずれかの項に記載のニオブ酸リ
    チウム単結晶ウェハを用いたことを特徴とする光素子。
  8. 【請求項8】 レーザー光源からの出射光を基本波とし
    て非線形光学結晶への通過により第二高調波を発生する
    光素子であって、前記非線形光学結晶として請求項記載
    の1項から7項のいずれかの項に記載のニオブ酸リチウ
    ム単結晶ウェハを用いたことを特徴とする光素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010120821A (ja) * 2008-11-20 2010-06-03 Fuji Electric Holdings Co Ltd 結晶成長装置及び結晶成長方法

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