JPH06288311A - 内燃機関の燃料供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 始動性を損なうことなく燃料タンク内で発生
する蒸発ガス量を減少することの可能な内燃機関の燃料
供給装置を提供する。 【構成】 燃料タンク１１内の燃料はインタンクポンプ
１２によって加圧され、供給側燃圧調整弁１４を介して
デリバリ管１５に至る。デリバリ管の余剰燃料は戻り側
燃圧調整弁１８を経て燃料タンクに回収される。内燃機
関が始動状態でなくかつデリバリ管内燃料温度が所定の
しきい値温度より高である場合には、バイパス管１６に
設置されたバイパス遮断弁１７は開弁し、燃料圧力は弁
１４によって弁１８の設定圧力以下に制御される。従っ
て余剰燃料はバイパス管１６および遮断弁１７を介して
燃料タンクに回収されるため蒸発ガスの発生が抑制され
る。なお始動時には燃料圧力は弁１８によって高圧に調
整され始動性を改善する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は内燃機関の燃料供給装置
に係わり、特に始動性を維持しつつ燃料蒸発ガス発生量
を減少することのできる内燃機関の燃料供給装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】自動車に搭載される燃料タンク内で発生
する燃料蒸発ガスは、車外に放出することはできないた
めにいったんキャニスタに吸着し、特定の運転で吸気管
内にパージを行うことが普通である。特に近年の燃料多
様化に適合するガソリンとアルコールとを混合した混合
燃料を使用するフレキシブルフューエル車にあっては、
ガソリンのみを使用する場合に比較して蒸発ガスの発生
量が多くなり、キャニスタの処理能力の増加あるいは頻
繁なパージが必要となる。

【０００３】しかしながらキャニスタの処理能力を増加
することはキャニスタの物理的な大きさの増加となり、
車両搭載性が悪化する。またパージを頻繁に行うことは
内燃機関に頻繁に外乱を与えることとなるため、いわゆ
るドライバビリティが悪化することは避けることができ
ない。さらにガソリンとアルコールとの混合燃料を使用
するフレキシブルフューエル車にあっては、内燃機関の
輻射熱によって燃料供給配管内において蒸発ガスが発生
し易く、いわゆるベーパーロックが発生する。

【０００４】この問題点を解決するために、供給燃料圧
力を高圧として蒸発ガスの発生を抑制し、始動性を改善
することのできる内燃機関の制御装置が提案されている
（特開昭６４−１２０４０公報参照）。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記提案にかかる内燃
機関の制御装置は、内燃機関に沿って配設されるデリバ
リ管から燃料タンクに燃料を回収する戻り配管に通常の
プレッシャレギュレータの他に高圧プレッシャレギュレ
ータを設置し、アイドリング状態において内燃機関回転
数が所定回転数以下に低下した場合には高圧プレッシャ
レギュレータによって燃料圧力を制御することにより燃
料圧力を高め、燃料配管内での蒸発ガスの発生を抑制す
るものである。

【０００６】しかしながら燃料タンクに回収される燃料
はデリバリ管近傍において内燃機関の輻射熱によって加
熱され高温となるため、燃料タンク内で蒸発ガスの発生
量が多くなることは避けることができない。本発明は上
記問題点に鑑みなされたものであって、始動性を損なう
ことなく燃料タンク内で発生する蒸発ガス量を減少する
ことの可能な内燃機関の燃料供給装置を提供することを
目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明にかかる内燃機関
の燃料供給装置は、燃料タンクと、燃料タンクから燃料
を汲み出す燃料ポンプと、燃料ポンプに接続され燃料を
導く燃料供給管と、燃料供給管に接続され燃料を燃料噴
射弁に分配する内燃機関に沿って配設されるデリバリ管
と、デリバリ管出口に設置されデリバリ管内の燃料圧力
を戻り燃料設定圧力に調整する戻り側燃圧調整弁と、戻
り側燃圧調整弁に接続され余剰燃料を燃料タンクに回収
する燃料戻り管と、燃料供給管に配設されデリバリ管に
供給される燃料の圧力を戻り側燃圧調整弁の設定圧力よ
り低圧である供給側燃料設定圧力に調整する供給側燃圧
調整弁と、供給側燃圧調整弁から分岐し余剰燃料を直接
燃料タンクに還流させるバイパス管と、バイパス管内の
燃料の流れを遮断するバイパス遮断弁と、内燃機関が始
動状態になくかつ前記デリバリ管内の燃料温度が所定の
しきい値温度以上である時にバイパス遮断弁を開弁する
制御部と、を具備する。

【０００８】

【作用】本発明にかかる内燃機関の燃料供給装置にあっ
ては、内燃機関が始動状態になくかつデリバリ管内の燃
料温度が所定のしきい値温度以上である時はバイパス遮
断弁が開弁されるため、デリバリ管内の燃料圧力は低圧
である給側燃料設定圧力に調整される。

【０００９】逆に内燃機関が始動状態にあるか、あるい
はデリバリ管内の燃料温度が所定のしきい値温度以下で
ある時はバイパス遮断弁が閉弁されるため、デリバリ管
内の燃料圧力は高圧である戻り燃料設定圧力に調整され
る。

【００１０】

【実施例】本発明にかかる内燃機関の燃料供給装置の実
施例の構成図であって、燃料タンク１１内の燃料はイン
タンクポンプ１２によって汲み上げられ、フィルタ１３
を介して供給側燃圧調整弁１４に供給される。供給側燃
圧調整弁１４はダイヤフラム１４１で区切られた２つの
室１４２および１４３を有している。

【００１１】一方の室１４２には燃料流入口１４４と燃
料流出口１４５とが設置され、燃料流入口１４４からは
インタンクポンプ１２から供給された燃料が流入し、燃
料流出口１４５から流出した燃料は燃料供給管を介して
デリバリ管１５に供給される。一方の室１４２にはバイ
パス管１６が挿入されており、ダイヤフラム１４１に接
して開口する。

【００１２】他の一方の室１４３には吸気管負圧ＰＭが
導入されるとともに、バネ１４６が設置されている。供
給側燃圧調整弁１４の設定圧力である供給側燃料設定圧
力はバネ１４６のバネ定数によって定まり、例えば２．
５Ｋｇ／ｃｍ² に設定される。即ち一方の室１４２内の
燃料圧力が上昇すると、ダイヤフラム１４１は吸気管負
圧ＰＭの助成によってバネ１４６の付勢力に抗して押し
下げられ、バイパス管１６の開口が開状態となる。

【００１３】すると一方の室１４３内の燃料はバイパス
管１６によって排出され燃料圧力は降下し、ダイヤフラ
ム１４１は開口を閉塞する。以上の動作が繰り返されて
燃料流出口１４５から流出する燃料が、供給側燃料設定
圧力に維持される。なおバイパス管１６に設置されるバ
イパス遮断弁１７が閉弁状態にあれば供給側燃圧調整弁
１４は機能しない。

【００１４】デリバリ管１５から流出する余剰燃料は戻
り側燃圧調整弁１８および戻り燃料管を介して燃料タン
ク１１に回収される。戻り側燃圧調整弁１８は供給側燃
圧調整弁１４と同様の構造をもち、設定圧力は供給側燃
料設定圧力より高い設定圧力、例えば３．０Ｋｇ／ｃｍ
² に設定される。

【００１５】なお供給側燃圧調整弁１４に挿入されてい
るバイパス管１６の他の一方は戻り燃料管に接続され、
バイパス管１６を介して排出される余剰燃料を燃料タン
ク１１に回収する。また燃料タンク内で発生した蒸発ガ
スはキャニスタ２１に導かれ、さらにキャニスタ２１に
吸着した蒸発ガスはバイメタルバキュームスイッチ弁
（以下ＢＶＳＶと記す。）２２を介して吸気管内にパー
ジされる。

【００１６】即ち内燃機関の冷却水温度および吸気管負
圧が所定の値となった時にＢＶＳＶ２２が開弁してパー
ジが実行される。上記の燃料供給装置は、例えばマイク
ロコンピュータシステムとして構成される制御部３０に
よって制御される。なお制御部３０はデリバリ管１５上
流に設置された燃料温度センサ３１で検出される燃料温
度ＴＦを取り込み、バイパス遮断弁１７の開閉状態を制
御する。

【００１７】図２は制御部３０で実行されるバイパス遮
断弁制御ルーチンのフローチャートであって、一定時間
毎に割り込み処理として実行される。ステップ２０１に
おいて内燃機関が始動状態であるか否かが判定され、否
定判定されればステップ２０２に進み燃料温度センサ３
１で検出される燃料温度ＴＦを読み込む。

【００１８】ステップ２０３で燃料温度ＴＦが予め定め
られたしきい値温度Ｔthより高であるか否かが判定され
肯定判定された場合はステップ２０４に進み、バイパス
遮断弁１７に対して開弁指令を出力してこのルーチンを
終了する。ステップ２０１で肯定判定された場合、およ
びステップ２０３で否定判定された場合はステップ２０
５に進み、バイパス遮断弁１７に対して閉弁指令を出力
してこのルーチンを終了する。

【００１９】図３は内燃機関が始動状態でなくかつ燃料
温度ＴＦがしきい値温度Ｔth以上であるときの燃料の流
れ図（その１）であって、太線は燃料の流路を示す。即
ちバイアス遮断弁１７は開弁状態にありデリバリ管１５
内の燃料圧力は供給側燃圧調整弁１４によって２．５Ｋ
ｇ／ｃｍ² に調整される。なお戻り側燃圧調整弁１８の
設定圧力は３．０Ｋｇ／ｃｍ² であるので戻り側燃圧調
整弁１８は閉弁状態を維持し、余剰燃料はバイパス管１
６およびバイパス遮断弁１７を介して燃料タンク１１に
回収される。

【００２０】従って燃料タンク１１に回収される燃料は
内燃機関の輻射熱によって加熱されることはなく、燃料
タンク１１内での蒸発ガスの発生が抑制される。図４は
内燃機関が始動状態であるか、あるいは燃料温度ＴＦが
しきい値温度Ｔth以下であるときの燃料の流れ図（その
２）であって、バイアス遮断弁１７は閉弁状態にありデ
リバリ管１５内の燃料圧力は戻り側燃圧調整弁１８によ
って３．０Ｋｇ／ｃｍ² に調整される。

【００２１】従って燃料を高圧で気筒内に噴射すること
が可能となり、内燃機関の始動性を向上することが可能
となる。

【００２２】

【発明の効果】本発明にかかる内燃機関の燃料供給装置
によれば、内燃機関が始動状態でなくかつ燃料温度がし
きい値温度以上である時は、燃料はデリバリ管上流に設
置される供給側燃圧調整弁を介してバイパス管から直接
燃料タンクに回収されるため、燃料は内燃機関によって
加熱されることはなく燃料タンク内での蒸発ガスの発生
を抑制できる。

【００２３】始動時にはバイパス遮断弁を閉弁し燃料圧
力をデリバリ管下流に設置される戻り側燃圧調整弁によ
って高圧に調整することにより始動性を向上することが
可能となる。なお単一のバイパス遮断弁によって上記効
果を得ることもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は実施例の構成図である。

【図２】図２はバイパス遮断弁制御ルーチンのフローチ
ャートである。

【図３】図３は燃料の流れ図（その１）である。

【図４】図４は燃料の流れ図（その２）である。

【符号の説明】

１１…燃料タンク １２…インタンクポンプ １３…フィルタ １４…供給側燃圧調整弁 １５…デリバリ管 １６…バイパス管 １７…バイパス遮断弁 １８…戻り側燃圧調整弁 ３０…制御部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃料タンクと、 該燃料タンクから燃料を汲み出す燃料ポンプと、 該燃料ポンプに接続され燃料を導く燃料供給管と、 該燃料供給管に接続され燃料を燃料噴射弁に分配する内
   燃機関に沿って配設されるデリバリ管と、 該デリバリ管出口に設置されデリバリ管内の燃料圧力を
   戻り燃料設定圧力に調整する戻り側燃圧調整弁と、 該戻り側燃圧調整弁に接続され余剰燃料を燃料タンクに
   回収する燃料戻り管と、から構成される内燃機関の燃料
   供給装置であって、 前記燃料供給管に配設され前記デリバリ管に供給される
   燃料の圧力を前記戻り側燃圧調整弁の設定圧力より低圧
   である供給側燃料設定圧力に調整する供給側燃圧調整弁
   と、 該供給側燃圧調整弁から分岐し、余剰燃料を直接燃料タ
   ンクに還流させるバイパス管と、 該バイパス管内の燃料の流れを遮断するバイパス遮断弁
   と、 内燃機関が始動状態になくかつ前記デリバリ管内の燃料
   温度が所定のしきい値温度以上である時に前記バイパス
   遮断弁を開弁する制御部と、を具備する内燃機関の燃料
   供給装置。