JPH062861Y2 - ステアリングギヤ比可変操舵装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、ステアリングギヤ比可変操舵装置に関するも
のである。

従来の技術 ステアリングホイールの回転操作によりステアリングギ
ヤボックスのギヤ装置に至る操舵系統に遊星歯車装置を
介在させると共に、上記遊星歯車装置のうちの１つの歯
車をコントローラからの信号によって回転する電動モー
タにて回転させることにより、入力軸の回転角に対する
出力軸の回転角の比即ちステアリングギヤ比を可変的に
制御するようにした自動車の遊星歯車式ステアリングギ
ヤ比可変操舵装置は、従来より開発され既に特開昭５９
−２０９９６６号公報にて公開されている。

考案が解決しようとする問題点 上記のような遊星歯車式ステアリングギヤ比可変操舵装
置は、ステアリングギヤ比を走行条件に応じて任意に変
更できる点において極めて有効あものであるが、従来は
遊星歯車装置とそれに組込まれた電動モータとがステア
リングホイールとステアリングギヤボックスとの途中に
設けられた構造となっているので、例えばステアリング
ギヤボックスとトーボードとの間の距離をあまり大きく
とれない自動車の場合は、遊星歯車装置および電動モー
タが運転席室内まで侵入した構造とならざるを得ず、運
転席前方の足元スペースが著しく窮屈になるばかりか、
ギヤ音やモータ音等の騒音が大きくなると言う問題を有
している。

問題点を解決するための手段 本考案は、ステアリングギヤ比可変操舵装置において、
ステアリングギヤ比可変機構を、一方の差動大歯車を入
力側とし他方の差動大歯車を電動モータにて回転制御さ
れる歯車とし差動小歯車の回転軸を支持する差動歯車箱
を出力側とした差動歯車機構にて構成し、該差動歯車機
構および電動モータを、上記差動歯車箱に設けられた出
力軸のステアリングホイール側とは逆の側においてステ
アリングギヤボックスに組付けた構造とすると共に、上
記出力軸の中心部に設けた中心穴に入力軸を相対的に回
転自由なるよう貫通させて該入力軸の先端部を上記差動
歯車機構の入力側の差動大歯車に固定したことを特徴と
するものである。

作用 上記により、ステアリングギヤボックスはその車体前方
側即ちテアリングホイール側とは逆側が差動歯車機構装
着スペース分け長大となるだけで、車体後方側即ちステ
アリングホイール側はステアリングギヤ比可変機構を持
たない一般的なギヤボックスと同じであるので、ステア
リングギヤボックス取付部からその後方のトーボードま
での距離が短かい自動車にも、差動歯車機構や電動モー
タを車室内に突出させることなく、トーボード前方部に
充分搭載すことができ、運転者の足元スペースを狭めた
り車室内騒音の増大をまねくと言う従来の不具合は完全
に解消され得る。

実施例 以下本考案の一実施例を第１，２図を参照して説明す
る。

第１，２図において、１はステアリングホイール、２は
ステアリングホイール１によって回転するステアリンシ
ャフト即ち入力軸であり、該入力軸２の先端部は、ステ
アリングギヤボックス３内に装着されラックシャフト７
のラック歯７ａに噛合うギヤ部６ａを有する出力軸６の
中心穴６ｂを相対的に回動自由なるよう貫通し該出力軸
６の裏側即ちステアリングホイール側とは逆の側におい
て差動歯車機構４の一方の差動大歯車の中心部に固定さ
れている。

差動歯車機構４は、互に相対抗する２つの差動大歯車４
１，４２と、その２つの差動大歯車４１，４２にまたが
って咬み合う２つの差動小歯車４３，４３と、該差動小
歯車４３，４３の回転軸を支持すると共に上記差動大歯
車４１，４２を内装する差動歯車箱４４とにより構成さ
れ、上記出力軸６は第１図示のように該差動歯車箱４４
と一体に構成されるか又は一体的に結合固定されてい
る。そして２つの差動大歯車４１，４２のうちの一方４
１には前述したように入力軸２の先端部が固定され、他
方４２に固定した軸４２ａにはウォームホイール４２ｂ
が固定され、該ウォームホイール４２ｂには電動モータ
５の駆動軸に固定したウォームギヤ５ａが噛合い、電動
モータ５の回転により差動大歯車４２を回転させること
ができるようになっている。

上記差動歯車機構４および電動モータ５等はすべて出力
軸６のステアリングホイール側とは逆の側においてステ
アリングギヤボックス３に組付けられている。

尚第１図において８はラックシャフト７を出力軸６のギ
ヤ部６ａと噛合く方向に押圧保持するスプリングであ
る。

次に第２図を参照して電動モータ５の制御について説明
する。

第２図において９は制御回路であり、該制御回路９には
ステアリングホイール１の操舵角を検出しそれに応じた
入力角信号を発する入力角センサ１０，出力軸６の回転
角を検出しそれに応じた出力角信号を発する出力角セン
サ１１の各信号がインプットされると共に、例えば車速
やエンジン負荷等走行モードを検出すべき各種情報のう
ちの１つ又は複数を検出する走行モードセンサ１２の走
行モード信号がインプットされ、該制御回路９は上記入
力角信号と走行モード信号とから上記差動大歯車４２を
回転させるべき回転角（回転方向も含む）を演算にて求
め電動モータ５を回転駆動させるべき出力信号を発して
電動モード５の回転により上記演算にて求めた回転角度
通りに差動大歯車４２を回転させ、且つ出力角信号によ
ってフィードバック制御するものである。

上記において、入力側の差動大歯車４１の回転角をθ
ｉ，電動モータ５側の差動大歯車４２の回転角θｍ，差
動歯車箱４４即ち出力軸６の回転角をθｏとすると、入
出力回転角の関係は、 従って入力軸２と出力軸６との回転角比 は電動モータ側の差動大歯車４２の回転角θｍによって
任意に変化させることができ、出力軸６とラックシャフ
ト７とのギヤ比は一定であるから電動モータ５による差
動大歯車４２の回転制御によってステアリングギヤ比を
任意に可変制御することができるものである。

上記において、本考案では出力軸のステアリングホイー
ル側とは逆の側い差動歯車機構と電動とを配設し、上記
出力軸の中心部に中心穴を設けてこれに入力軸を相対的
に回転自由なるよう貫通させ該入力軸先端部を上記差動
歯車機構の一方の差動大歯車に固定した構造を採ったこ
とにより、ステアリングギヤボックスはステアリングホ
イール側とは逆側に長大となるだけで、ステアリングホ
イール側はステアリングギヤ比可変機構をもたない極く
一般的なギヤボックスと同じであるので、自動車車体の
ステアリングギヤボックス取付部からその後方のトーボ
ードまでの距離が短かい自動車にも、差動歯車機構や電
動モータ等を車室内側に突出させることなく、トーボー
ド前方部に充分搭載することができるものである。

尚図示実施例ではラックピニオン式ステアリング装置に
本考案を適用した例を示しているが、本考案はラックピ
ニオン式以外の例えば出力軸６の外周面に設けたウォー
ムにボールスクリューが嵌合し該ボールスクリューにて
ピットマンアームを揺動させて操舵輪を転舵作動させる
ボールスクリュー式等のステアリング装置にも適用可能
である。

考案の効果 以上のように本考案によれば、ステアリングギヤ比可変
操舵機構を、一方の差動大歯車を入力側とし他方の差動
大歯車を電動モータにて回転制御される歯車とし差動歯
車箱を出力側とした差動歯車機構にて構成すると共に、
該差動歯車機構および電動モータを、出力軸のステアリ
ングホイール側とは逆の側においてステアリングギヤボ
ックスに組付けた構造とすると共に、上記出力軸の中心
部に中心穴を設け、該中心穴に入力軸を相対的に回転自
由なるよう貫通させ、該入力軸先端部を上記差動歯車機
構の入力側の差動大歯車に固定したことにより、自動車
車体のステアリングギヤボックス取付部からその後方の
トーボードまでの距離を充分には採れない自動車にも、
差動歯車機構や電動モータ等を車室内側に突出させるこ
となく、トーボード前方部に充分搭載することが可能と
なり、運転者の足元スペースをを狭めたり或は車室内騒
音の増大と言う従来の不具合を完全に解消することがで
きるもので、実用上多大の効果をもたらし得るものであ
る。

【図面の簡単な説明】

附図は本考案の実施例を示すもので、第１図はステアリ
ングギヤボックス部の縦断側面図、第２図は操舵系統お
よびステアリングギヤ比制御系統を略示する系統説明図
である。 ２…入力軸、３…ステアリングギヤボックス、４…差動
歯車機構、５…電動モータ、６…出力軸、６ｂ…中心
穴、９…制御回路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ステアリングギヤ比可変操舵機構を、一方
   の差動大歯車を入力側とし他方の差動大歯車を電動モー
   タにて回転制御される歯車とし差動小歯車の回転軸を支
   持する差動歯車箱を出力側とした差動歯車機構にて構成
   し、該差動歯車機構および電動モータを、上記差動歯車
   箱に設けられた出力軸のステアリングホイール側とは逆
   の側においてステアリングギヤボックスに組付けた構造
   とすると共に、上記出力軸の中心部に設けた中心穴に入
   力軸を相対的に回転自由なるよう貫通させて該入力軸の
   先端部を上記差動歯車機構の入力側の差動大歯車に固定
   したことを特徴とするステアリングギヤ比可変操舵装
   置。