JPH062827A - 噴流層ごみ焼却炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 複雑な構造及び制御方法を必要としない、噴
流層炉を利用した都市ごみ焼却炉を提供する。 【構成】 炉本体（１０）内において、投入されたごみ
を蒸し焼きにするための移動層（１２）と、移動層（１
２）内に縦方向に挿入して設けられたドラフトチューブ
（１４）と、炉本体（１０）の下部に接続された燃焼用
空気を供給するためのスロート（１６）と、ドラフトチ
ューブ（１４）とスロート（１６）との間に形成され
る、蒸し焼きにされたごみを噴流状態で瞬間的に燃焼さ
せるためのスパウト部（１８）とから構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複雑な構造及び制御方
法を必要としない、噴流層炉を利用した都市ごみ焼却炉
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、ごみ中に占めるプラスチック類の
割合が増加しており、そのために、ストーカ炉等に比べ
て、プラスチック類の燃焼に適している流動層ごみ焼却
炉が注目を集めている。しかし、このような流動層ごみ
焼却炉では、アルミニウム等の低融点物質の溶融を防止
するために、層内の温度を６５０℃以下にしなければな
らないが、炉内での燃焼速度が速いことや、投入される
ごみの燃料としての質が安定しないことから、層内の温
度制御が困難であり、アルミニウム等の低融点物質の溶
融が生じることがある。上記の問題点を解決するため
に、従来は、炉内への水噴霧によって温度調整を行なっ
ていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】近年、ごみが高カロリ
ー化するとともに、ごみ焼却炉が大型化しているので、
これらに対処する必要がある。また、発電システムに組
み込むことも考えられ、さらに、ダイオキシン等の有害
物質を抑制しなければならないという環境規制上の問題
もある。本発明は、上記の諸点に鑑みなされたもので、
燃焼炉本体に噴流層を採り入れた焼却炉であって、投入
されたごみを６５０℃以下の低温で蒸し焼きにするため
の移動層と、蒸し焼きにされたごみを高温で燃焼させる
ためのスパウト部とからなる構造を有するために、不燃
物の抜き出しがきわめて容易であり、ごみのカロリーが
急激に変わっても燃焼状態があまり変化しないので、従
来の焼却炉のような複雑な構造、制御方法を必要としな
い噴流層ごみ焼却炉を提供することを目的とするもので
ある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の請求項１の噴流層ごみ焼却炉は、図１を
参照して説明すれば、炉本体１０内において、投入され
たごみを蒸し焼きにするための移動層１２と、移動層１
２内に縦方向に挿入して設けられたドラフトチューブ１
４と、炉本体１０の下部に接続された燃焼用空気を供給
するためのスロート１６と、ドラフトチューブ１４とス
ロート１６との間に形成される、蒸し焼きにされたごみ
を噴流状態で高温で燃焼させるためのスパウト部１８
と、からなることを特徴としている。

【０００５】また、本発明の請求項２の噴流層ごみ焼却
炉は、図１を参照して説明すれば、下部に燃焼用空気を
供給するための空気供給口２０及びバーナ２２を、上部
に排ガス出口２４を、側部又は上部にごみ投入口２６
を、内部にごみを蒸し焼きにするための移動層１２を有
する炉本体１０と、移動層１２内に縦方向に挿入して設
けられたドラフトチューブ１４と、空気供給口２０に接
続されたスロート１６と、ドラフトチューブ１４下端と
スロート１６上端との間に形成される、蒸し焼きにされ
たごみを噴流状態で瞬間的に燃焼させるためのスパウト
部１８と、スロート１６に接続された燃焼用空気供給口
２８及び不燃物排出口３０と、からなることを特徴とし
ている。

【０００６】請求項１又は２記載の噴流層ごみ焼却炉に
おいて、図３に示すように、移動層１２表面の一部をご
み投入ゾーン３２とし、残りの移動層１２表面の内部に
伝熱管３４を設けることも可能である。また、請求項
１、２又は３記載の噴流層ごみ焼却炉において、図４に
示すように、本体１０のフリーボード３６に空気を吹き
込むためのエアノズル３８を高さ方向に１段又は多段に
わたって取り付けることも可能である。さらに、請求項
１、２、３又は４記載の噴流層ごみ焼却炉において、図
５に示すように、本体１０のフリーボード３６を絞り構
造とすることも可能である。

【０００７】

【作用】ごみ投入口２６より投入されたごみは移動層１
２上に落下し、層内に飲み込まれて行く。ここでは伝熱
速度が低いので、ごみはゆっくり燃焼する。移動層１２
中である程度燃焼したごみは、移動層１２からスパウト
部１８に入り、ドラフトチューブ１４を抜けて行く間に
急激に燃焼する。ここで灰化したものはそのまま飛んで
いき、炉外のバグフィルタ（図示せず）などで捕集され
る。灰化せずに燃えた残りは再び移動層１２上に落下
し、灰化するまで同じことを繰り返す。また、不燃物は
移動層１２からスパウト部１８に移動する際に、空気の
流れにのれず、スロート部１６を通って落下する。

【０００８】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の好適な実施例
について詳細に説明する。ただし、この実施例に記載さ
れている構成機器の形状、その相対配置などは、とくに
特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみ
に限定する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎな
い。 実施例１ 図１は、本発明の噴流層ごみ焼却炉の一実施例を示して
いる。図１において、１０は炉本体であり、投入された
ごみを蒸し焼きにするための移動層１２と、移動層１２
内に縦方向に挿入して設けられたドラフトチューブ１４
と、炉本体１０の下部に接続された燃焼用空気を供給す
るためのスロート１６と、ドラフトチューブ１４とスロ
ート１６との間に形成される、蒸し焼きにされたごみを
噴流状態で瞬間的に燃焼させるためのスパウト部１８と
を有している。

【０００９】さらに詳しく説明すると、炉本体１０の下
部には、燃焼用空気を供給するための空気供給口２０及
びバーナ２２が、上部には排ガス出口２４が、側部又は
上部にはごみ投入口２６が、内部にはごみを蒸し焼きに
するための移動層１２が、それぞれ設けられている。そ
して、移動層１２内に縦方向に挿入して設けられたドラ
フトチューブ１４と、空気供給口２０に接続されたスロ
ート１６と、ドラフトチューブ１４下端とスロート１６
上端との間に形成される、蒸し焼きにされたごみを噴流
状態で瞬間的に燃焼させるためのスパウト部１８と、ス
ロート１６に接続された燃焼用空気供給口２８及び不燃
物排出口３０とが、それぞれ設けられている。４０はエ
アノズルであり、設けるのが望ましい。なお、移動層１
２を構成する移動媒体は、砂、ごみ等である。炉本体１
０、ドラフトチューブ１４の形状を、図２に示すような
円形の代わりに、角形とすることもできる。

【００１０】炉内では、スロート１６より吹き込まれた
空気により、噴流層を形成している。ごみはごみ投入口
２６より投入され、移動層１２の上に落下し、層中に飲
み込まれていく。ごみは移動層１２中を下方に向けて移
動していく間にゆっくりと燃焼する。移動層１２の最下
端まで来たごみは、燃焼用空気の流れにのって、スパウ
ト部１８を上昇しつつ燃焼する。ここで、不燃物は流れ
にのらず、そのままスロート１６を落下し、不燃物排出
口３０より、炉外へ排出される。ドラフトチューブ１４
内を上昇してきたごみのうち、燃えつきて灰化したもの
は、フリーボード３６から排ガス出口２４を経て、排ガ
スとともに炉外へ排出される。灰化しなかったものは、
再び移動層１２上に落下し、同様の工程を繰り返す。

【００１１】実施例２ 図３に示すように、移動層１２表面の一部をごみ投入ゾ
ーン３２とし、残りの移動層１２表面の内部に伝熱管３
４を設けることも可能である。この構造では、スプレッ
ダ等を用いて、ごみを移動層１２の表面の片側にまんべ
んなく投入し、他の側の移動層１２内に伝熱管３４を埋
設して、熱回収を図るとともに、移動層１２の温度を制
御する。なお、炉本体１０、ドラフトチューブ１４の形
状を角形の代わりに丸形とすることもできる。他の構
成、作用は実施例１の場合と同様である。

【００１２】実施例３ 図４に示すように、本体１０のフリーボード３６に空気
を吹き込むためのエアノズル３８を高さ方向に１段又は
多段に取り付けることも可能である。この構造は、噴流
層ごみ焼却炉より発生した未燃揮発分を完全に燃焼させ
るために、空気吹き込み用のエアノズル３８を１段又は
多段に取り付けたものである。他の構成、作用は実施例
１の場合と同様である。 実施例４ 図５に示すように、本体１０のフリーボード３６を通路
を狭くした絞り構造とすることも可能である。この構造
は、二次空気と揮発分の混合をよくするために、絞り構
造としたものである。他の構成、作用は実施例１の場合
と同様である。

【００１３】

【発明の効果】本発明は上記のように構成されているの
で、つぎのような効果を奏する。 （１） 投入されたごみを蒸し焼きにするための移動層
と、蒸し焼きにされたごみを高温で燃焼させるためのス
パウト部とからなる構造を有するので、従来の焼却炉の
ような複雑な構造、制御方法を必要としない。 （２） 移動層では燃焼速度が遅いので、ごみの持つカ
ロリーが急激に変わっても燃焼状態があまり変わらな
い。このため、クリンカトラブルなどが生じにくい。移
動層に投入されたごみは、必ず移動層からスパウト部へ
と移るので、不燃物はここで確実に排除することができ
る。 （３） ごみの高カロリー化及びごみ焼却炉の大型化に
対処することが可能である。また、発電システムに組み
込むことも可能であり、さらに、ダイオキシン等の有害
物質の抑制という環境規制上の問題も解決することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の噴流層ごみ焼却炉の一実施例を示す断
面説明図である。

【図２】図１における２−２線断面図である。

【図３】図１における２−２線断面の他の例を示す図で
ある。

【図４】本発明の噴流層ごみ焼却炉の他の実施例を示す
断面説明図である。

【図５】本発明の噴流層ごみ焼却炉のさらに他の実施例
を示す断面説明図である。

【符号の説明】 １０ 炉本体 １２ 移動層 １４ ドラフトチューブ １６ スロート １８ スパウト部 ２０ 空気供給口 ２２ バーナ ２４ 排ガス出口 ２６ ごみ投入口 ２８ 燃焼用空気供給口 ３０ 不燃物排出口 ３２ ごみ投入ゾーン ３４ 伝熱管 ３６ フリーボード ３８ エアノズル ４０ エアノズル

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 炉本体（１０）内において、投入された
   ごみを蒸し焼きにするための移動層（１２）と、 移動層（１２）内に縦方向に挿入して設けられたドラフ
   トチューブ（１４）と、 炉本体（１０）の下部に接続された燃焼用空気を供給す
   るためのスロート（１６）と、 ドラフトチューブ（１４）とスロート（１６）との間に
   形成される、蒸し焼きにされたごみを噴流状態で瞬間的
   に燃焼させるためのスパウト部（１８）と、からなるこ
   とを特徴とする噴流層ごみ焼却炉。
2. 【請求項２】 下部に燃焼用空気を供給するための空気
   供給口（２０）及びバーナ（２２）を、上部に排ガス出
   口（２４）を、側部又は上部にごみ投入口（２６）を、
   内部にごみを蒸し焼きにするための移動層（１２）を有
   する炉本体（１０）と、 移動層（１２）内に縦方向に挿入して設けられたドラフ
   トチューブ（１４）と、 空気供給口（２０）に接続されたスロート（１６）と、 ドラフトチューブ（１４）下端とスロート（１６）上端
   との間に形成される、蒸し焼きにされたごみを噴流状態
   で高温で燃焼させるためのスパウト部（１８）と、 スロート（１６）に接続された燃焼用空気供給口（２
   ８）及び不燃物排出口（３０）と、 からなることを特徴とする噴流層ごみ焼却炉。
3. 【請求項３】 移動層（１２）表面の一部をごみ投入ゾ
   ーン（３２）とし、残りの移動層（１２）表面の内部に
   伝熱管（３４）を設けたことを特徴とする請求項１又は
   ２記載の噴流層ごみ焼却炉。
4. 【請求項４】 本体（１０）のフリーボード（３６）に
   空気を吹き込むためのエアノズル（３８）を高さ方向に
   １段又は多段にわたって取り付けたことを特徴とする請
   求項１、２又は３記載の噴流層ごみ焼却炉。
5. 【請求項５】 本体（１０）のフリーボード（３６）を
   絞り構造としたことを特徴とする請求項１、２、３又は
   ４記載の噴流層ごみ焼却炉。