JPH0628111B2 - 対物レンズ駆動装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は対物レンズ駆動装置、特にリング状永久磁石と
制御用コイルにより対物レンズを駆動する装置に関する
ものである。

［従来の技術］ 近年、極めて高密度でしかも安定性良く多量の情報を記
憶することのできる光学式情報記録システムが光ディス
ク，コンパクトディスク、あるいはコンピュータの外部
記憶装置として普及してきている。

このような光学式情報記録システムにおいては、光スポ
ットを光学式情報記録媒体の情報記録面に集光し情報の
読取りないし書込みを行うために対物レンズが必須の構
成要件とされており、該対物レンズを位置制御し、光ス
ポットのトラックずれ及び焦点ずれを制御するため対物
レンズ駆動装置が極めて重要な役割を果たす。

第３図には、一般的な対物レンズ駆動装置が示されてい
る。

同図に示す対物レンズ駆動装置は、可動ホルダ（１）
と、ベースヨーク（２）と、を含む。

そして、前記可動ホルダ（１）は上面が偏平八角形に形
成され、その略中央部に円筒状の軸受部（３）が形成さ
れている。また、可動ホルダ（１）の一翼には軸受部
（３）より所定距離偏心した位置に対物レンズ（４）が
保持固定されている。さらに、可動ホルダ（１）の下部
には、リング状突出部（５）が形成され、該突出部
（５）にはラジアル方向に４極着磁されたリング状の永
久磁石（６）が固定される。

一方、ベースヨーク（２）は略円筒状に形成され、その
外周が外側突出部（７）を構成し、またほぼ中央部には
支軸（８）が立設されている。また、外側突出部（７）
と支軸（８）の間には同心円状に内側突出部（９）が形
成されている。

そして、前記外側突出部（７）の内周面にはトラッキン
グ制御用コイル（１０ａ），（１０ｂ）が接着固定さ
れ、内側突出部（９）の外周面には焦点制御用コイル
（１１）が接着固定されている。

なお、ベースヨーク（２）と内側突出部（９）は磁性材
料からなり、底面部で結合されている。

以上のように構成された可動ホルダ（１）及びベースヨ
ーク（２）は、ベースヨーク（２）の中央部に突出した
支軸（８）が可動ホルダ（１）の中心部に設けられた軸
受部（３）に挿入され、可動ホルダ（１）はベースヨー
ク（２）に対し矢印Ａに示す軸線方向に摺動自在、かつ
矢印Ｂ方向に回動自在に支持される。

ここで、永久磁石（６）はトラッキング制御用コイル
（１０ａ），（１０ｂ）及び焦点制御用コイル（１１）
の間に所定のギャップを有して位置し、前記トラッキン
グ制御用コイル（１０ａ），（１０ｂ）の矢印Ａ方向の
一辺はそれぞれ他の同一周面と磁極が異なるように着磁
されている。

図示例に係る対物レンズ駆動装置は以上のように構成さ
れ、次にその動作について説明する。

対物レンズ（４）からはレーザ光等が出射され、光ディ
スク等の光学式情報記録媒体の情報記録面に光スポット
を形成するか、該光スポットに焦点ずれが生じた場合に
は、該焦点ずれ量に応じた制御電流を焦点制御用コイル
（１１）に導通し、永久磁石（６）を介して可動ホルダ
（１）を矢印Ａ方向に摺動し、対物レンズ（４）の焦点
制御を行うことができる。

また、光スポットにトラックずれを生じた場合には、そ
のトラックずれ量に応じた制御電流をトラック制御用コ
イル（１０ａ），（１０ｂ）に導通することにより、永
久磁石（６）を介して可動ホルダ（１）が矢印Ｂ方向に
回動し、対物レンズ（４）のトラック位置制御を行うこ
とが可能となる。

［発明が解決しようとする問題点］ ところが、従来の対物レンズ駆動装置は前述したように
リング状永久磁石が要求され、該リング状永久磁石はプ
ラスチック磁石で構成されていた。

このため、リング状永久磁石の成形を行うにあたり、い
ずれかの位置にゲート位置を設ける必要がある。

第４図には従来のリング状永久磁石（６）が示されてお
り、その上部にゲート位置Ｇが、またゲート位置Ｇの対
向位置にウエルド位置Ｗが形成されている。

そして、第５図に示す永久磁石（１）と磁束密度分布の
関係図より明らかなように、ゲート位置Ｇではやや磁束
密度が大きくなり、一方ウエルド位置Ｗにおいてはやや
磁束密度が小さくなるという傾向がある。

この結果、磁束密度分布の非対象性により永久磁石
（６）の不平衡磁気吸引力が生じ、支軸（８）と軸受部
（３）の摺動面に垂直抗力が発生し、摩擦が大きくな
る。

このため、良好な摺動特性を得ることが難しいという問
題点があった。

本発明は前記従来技術の問題点に鑑み為されたものであ
り、構成が簡単でしかも支軸と軸受の良好な摺動特性を
得ることのできる対物レンズ駆動装置を提供することに
ある。

［問題点を解決するための手段］ 前記目的を達成するために、本発明にかかる対物レンズ
駆動装置は、リング状永久磁石と、ヨークと、焦点制御
用コイル及びトラッキング制御用コイルを含む。

そして、前記リング状永久磁石は、対物レンズを保持し
たホルダに設けられる。

また、ヨークは、前記リング状永久磁石の内側側面及び
外側側面に対向して設けられる。

焦点制御用コイル及びトラッキング制御用コイルは、前
記リング状永久磁石とヨークで形成されたキャップ中
に、ヨーク側に固定される。

そして、前記リング状永久磁石のゲート位置に対向し
て、該リング状永久磁石に凹部を設け、あるいはリング
状永久磁石と対面したヨーク面に凹部の形成する。

また、リング状永久磁石のウエルド位置に対向して、該
リング状永久磁石に凸部を形成し、あるいはヨークのリ
ング状永久磁石対向面に凸部を形成する。

［作用］ 本発明にかかる対物レンズ駆動装置は、前述した手段を
有するので、リング状永久磁石のゲート位置対応部に
は、リング状永久磁石ないしヨークに凹部が形成され、
該部分の磁束密度が若干低下し、他の部分と同等の磁束
密度とすることができる。

また、リング状永久磁石のウエルド位置対応部には、該
リング状永久磁石ないしヨークに凸部が形成されている
ので、若干磁束密度が上昇し、該ウエルド位置における
磁束密度を他の部分と同等まで向上させることができ
る。

このように、リング状永久磁石を成形する際に生ずるゲ
ート位置ないしウエルド位置での磁束密度の乱れを補正
するため、磁束密度分布が全周において対象となり、ホ
ルダを支持する支軸と、該ホルダとの摺動部に加わる垂
直抗力が解消され、良好な摺動特性を得ることが可能と
なる。

［実施例］ 以下、図面に基づいて本発明の好適な実施例を説明す
る。

第１図には本実施例にかかる対物レンズ駆動装置に使用
されるリング状永久磁石が示され、第２図には第１図に
示したリング状永久磁石の磁束密度分布が示されてい
る。

本発明において特徴的なことは、リング状永久磁石を形
成する際に生ずるゲート位置ないしウエルド位置での磁
束密度の乱れを補正するため、該ゲート位置ないしウエ
ルド位置対応部分の形状を変更したことであり、このた
めに、本実施例においては、リング状永久磁石（６）の
ゲート位置Ｇに凹部（２０）を形成し、ウエルド位置Ｗ
に凸部（２１）を形成している。

この結果、前記第４図に示した従来のリング状永久磁石
と比較し、ゲート位置での磁束密度が低下し、逆にウエ
ルド位置Ｗでの磁束密度が上昇することとなる。

この結果、第２図に示す磁束密度分布からも明らかなよ
うに、等価的にゲート位置Ｇあるいはウエルド位置Ｗに
おける磁束密度分布の乱れを取り除くことができる。

なお、リング状永久磁石の内側面に同様の凹凸を設け、
磁束密度分布を補正することも好適である。

また、本実施例では永久磁石（６）の形状を変更するこ
とで磁束密度分布の均一化を図ったが、これに限られる
ものではなく、リング状永久磁石のゲート位置ないしウ
エルド位置に対応するヨークに凸部ないし凹部を設ける
ことによっても前記同様の作用を得ることができる。

［発明の効果］ 以上説明したように、本発明によれば、リング状永久磁
石ないしヨークの若干の形状変更により、磁束密度分布
の乱れを取り除き、ホルダと該ホルダ支軸との垂直抗力
による摩擦力が小さくなり良好な摺動特性を得ることが
可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例にかかる対物レンズ駆動装置
に用いられるリング状永久磁石の平面図、第２図は前記
第１図に示したリング状永久磁石の磁束密度分布の説明
図、第３図は一般的な対物レンズ駆動装置の分解斜視
図、第４図は従来の対物レンズ駆動装置に用いられるリ
ング状永久磁石の平面図、第５図は第４図に示したリン
グ状永久磁石の磁束密度分布の説明図である。 図において、（１）は可動ホルダ、（２）はベースヨー
ク、（４）は対物レンズ、（６）はリング状永久磁石、
（８）は支軸、（１０）はトラッキング制御用コイル、
（１１）は焦点制御用コイル、（２０）は凹部、（２
１）は凸部である。 なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】支軸に対し回動かつ摺動可能に保持された
   ホルダと、 前記ホルダの前記支軸と偏心した位置に設けた対物レン
   ズと、 前記ホルダを回動及び摺動する駆動装置と、 を備え、光学式情報記録媒体上の光スポットを焦点制御
   及びトラッキング制御する対物レンズ駆動装置におい
   て、 前記駆動装置は、前記ホルダに固定されたリング状永久
   磁石と、前記リング状永久磁石の内側面及び外側側面に
   対向して固定側に設けられるヨークと、該ヨークに固定
   され前記永久磁石とヨークで形成されるギャップ中に配
   置される焦点制御用コイル及びトラッキング制御用コイ
   ルと、含み、前記リング状永久磁石のゲート位置に対応
   して該リング状永久磁石ないしヨークの永久磁石対向面
   に凹部を形成し、前記リング状永久磁石のウエルド位置
   に対応して該リング状永久磁石ないしヨークの永久磁石
   対向面に凸部を形成したことを特徴とする対物レンズ駆
   動装置。
2. 【請求項２】特許請求の範囲（１）記載の装置におい
   て、リング状永久磁石のゲート位置には凹部が設けら
   れ、ウエルド位置には凸部が設けられたことを特徴とす
   る対物レンズ駆動装置。
3. 【請求項３】特許請求の範囲（１）または（２）記載の
   装置において、リング状永久磁石のゲート位置に対向す
   るヨーク面に凹部が形成され、リング状永久磁石のウエ
   ルド位置に対応したヨーク面に凸部が形成されたことを
   特徴とする対物レンズ駆動装置。