JPH06267158A - テープ状記録媒体用の記録再生装置 - Google Patents

テープ状記録媒体用の記録再生装置

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JPH06267158A
JPH06267158A JP5052129A JP5212993A JPH06267158A JP H06267158 A JPH06267158 A JP H06267158A JP 5052129 A JP5052129 A JP 5052129A JP 5212993 A JP5212993 A JP 5212993A JP H06267158 A JPH06267158 A JP H06267158A
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JP
Japan
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tape
sliding
sliding material
video tape
recording medium
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JP5052129A
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English (en)
Inventor
Kikuji Kawakami
喜久治 川上
Hiroyuki Osaki
博之 大崎
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Priority to US08/205,802 priority patent/US5563755A/en
Priority to DE69412310T priority patent/DE69412310T2/de
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Priority to KR1019940004771A priority patent/KR100282495B1/ko
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    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B15/00Driving, starting or stopping record carriers of filamentary or web form; Driving both such record carriers and heads; Guiding such record carriers or containers therefor; Control thereof; Control of operating function
    • G11B15/60Guiding record carrier
    • G11B15/61Guiding record carrier on drum, e.g. drum containing rotating heads
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B15/00Driving, starting or stopping record carriers of filamentary or web form; Driving both such record carriers and heads; Guiding such record carriers or containers therefor; Control thereof; Control of operating function
    • G11B15/60Guiding record carrier

Abstract

(57)【要約】 【目的】 テープと摺動材との界面に存在する吸着水の
影響を小さくして、結露に近い状況であっても、テープ
の摺動材への貼り付きを防止し、テープを安定に走行さ
せる。 【構成】 固定ドラムや固定のテープガイド等のビデオ
テープTが接触摺動する摺動材1としてアルミ合金を用
い、更にその表面に多数の突起1aを形成する。そし
て、ビデオテープTと摺動材1の突起1aとの接触部a
及びその周辺(界面)に発生する吸着水Hの結合部bに
よる影響を低減するために、摺動材1の表面に溌水性の
大きい材料を形成する。具体的には、この摺動材1の表
面に、ポリテトラフルオロエチレン粒子2を含有したニ
ッケル無電解メッキ膜3を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビデオテープやオーデ
ィオテープ等のテープ状記録媒体に対して情報信号の記
録再生を行うテープ状記録媒体用の記録再生装置に関
し、特に、テープ状記録媒体が接触摺動する摺動材が設
けられたテープ状記録媒体用の記録再生装置における上
記摺動材の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】ビデオテープやオーディオテープ等のテ
ープ状記録媒体に対して情報信号の記録再生を行うテー
プ状記録媒体用の記録再生装置、例えばビデオテープレ
コーダは、例えば円筒形の回転ヘッドが、シャーシ基板
に対して、所定角度傾いて設置され、ビデオテープに対
してヘリカルスキャン方式による直線トラックにて情報
信号を記録するように構成されている。
【0003】一般に、上記ビデオテープレコーダのロー
ディング機構は、Mローディング方式を採用しており、
上記回転ヘッドの周辺には、ビデオテープを回転ヘッド
のリードに正確に導くための複数本のテープガイド及び
一対の傾斜ガイドポストが設けられている。
【0004】そして、ビデオテープに対する情報信号の
記録再生は、巻取りリール(及び供給リール)並びに回
転ヘッドの回転によって、ビデオテープが回転ヘッドの
リードに沿って走行することにより行われる。
【0005】このとき、上記ビデオテープは、固定のテ
ープガイドの表面及び回転ヘッドのリード面に接触摺動
することになり、その接触摺動によって摩擦力を受ける
ことになる。この接触摺動に伴う摩擦力が大きくなる
と、ビデオテープは、その走行がスムーズにいかなくな
り、その結果、ビデオテープは、記録再生装置内におい
て、ジャミングが生じたり、最悪の場合、損傷を受ける
という問題があった。
【0006】そこで、従来では、図5に示すように、上
記回転ヘッドや固定のテープガイド等のビデオテープT
が接触摺動する摺動材1としてアルミ合金を用い、更に
その表面に多数の突起1aを形成してビデオテープTと
の接触面積を低減する形状にすることにより、ビデオテ
ープTとこのビデオテープTが摺動する部分との間に生
じる摩擦力を低減するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
摺動材1の摩擦に対する検討においては、テープTに与
えるダメージや摺動回数によって摩擦係数がどう変動す
るかについてのみ着目し、加工精度や加工のし易さ、硬
度といった機械的見地からのみ検討するだけであった。
従来のテープTの表面性や張力ではそれで十分であった
が、現在のように、テープTの表面性が向上し、かつテ
ープTの張力が小さくなると、以下のような不都合が生
じる。
【0008】テープTの表面性が向上し、かつテープT
の張力が小さくなると、テープTと摺動材1との界面に
存在する吸着水Hがテープ走行に大きく影響することが
判明した。即ち、テープ表面に水分子が物理吸着したと
きの、吸着水Hの膜厚と温度湿度との関係をみると、図
6に示すように、高温多湿になればなるほど吸着水Hの
膜厚が増加することがわかった。
【0009】そして、テープの走行においては、通常、
図5に示すように、テープTと摺動材1の突起1aの先
端が接触して金属同士の接触部aを形成する。摩擦は、
この接触部aをせん断する際に生じる。そして、上記図
6の特性から高温多湿になると、吸着水Hの膜厚が増加
するため、上記金属同士の接触部a周辺に吸着水の結合
部bが発生する。このことは、高温多湿下におけるテー
プTの摺動においては、金属同士の接触部aのせん断に
吸着水Hの結合部bのせん断も含むことになり、摩擦力
(摩擦係数)が上昇することになる。
【0010】ここで、1つの実験例を示す。この実験で
は、従来のアルミ合金製摺動材1を用いた場合におい
て、以下の表1で示す2種類のビデオテープ(市販塗布
型テープ及び市販蒸着テープ)の摺動材1に対する摩擦
係数Yが、相対湿度の変化に応じてどのように変化する
かを測定した(環境温度40°)。
【0011】
【表1】
【0012】この実験の結果を図7に示す。この実験結
果から表面粗さが高い塗布型テープについては、全湿度
において、摩擦係数Yがほぼ一定となっているが、表面
粗さが低い蒸着テープについては、湿度78%付近から
急激に摩擦係数Yが上昇し、湿度94%付近の高湿度下
においては、摩擦係数Yが0.85にまで跳ね上がる。
【0013】従って、従来においては、高温多湿下で、
VTRを作動させると、ビデオテープTと摺動材1との
摩擦係数が急激に上昇し、その結果、ビデオテープTが
摺動材1に貼り付いて良好なテープ走行を確保できない
という問題があった。
【0014】本発明は、上記の課題に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、テープと摺動材との界
面に存在する吸着水の影響を小さくすることができ、結
露に近い状況であっても、テープが摺動材に貼り付くこ
とがなく、テープを安定に走行させることができるテー
プ状記録媒体用の記録再生装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、テープ状記録
媒体Tが接触摺動する摺動材1が設けられたテープ状記
録媒体用の記録再生装置において、摺動材1表面の対純
水接触角θを97°以上に設定して構成する。
【0016】この場合、例えば摺動材1の表面をポリテ
トラフルオロエチレン粒子を含有したニッケル無電解メ
ッキ膜2にて構成する。
【0017】
【作用】例えばビデオテープレコーダにおいては、回転
ヘッドの周辺に配された複数本のテープガイド及び一対
の傾斜ガイドポストによって、ビデオテープTが回転ヘ
ッドに導かれ、巻取りリール(及び供給リール)並びに
回転ヘッドの回転によって、ビデオテープTが回転ヘッ
ドのリードに沿って走行することにより、ビデオテープ
Tに対する情報信号の記録再生が行われる。
【0018】このとき、テープTが上記テープガイド、
特に固定のテープガイドや一対のガイドポスト並びに回
転ヘッドのリード面に接触摺動することになる。本発明
においては、これら固定のテープガイドや一対のガイド
ポスト並びに回転ヘッド等のようにテープTが接触摺動
する摺動材1を、その表面の対純水接触角θが97°以
上である高撥水性の材料によって構成するようにしてい
るため、テープTと摺動材1との界面に存在する吸着水
Hの影響を小さくすることができ、結露に近い状況であ
っても、テープTが摺動材1に貼り付くことがなく、テ
ープTを安定に走行させることができる。これは、テー
プTに与えるダメージの低減にもつながり、テープTへ
の損傷を最小限に食い止めることができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明に係るテープ状記録媒体用の記
録再生装置を例えばVHS方式のビデオテープレコーダ
に適用した実施例(以下、実施例に係る記録再生装置と
記す)を図1〜図4を参照しながら説明する。
【0020】この実施例に係る記録再生装置は、円筒形
の回転ヘッドが、シャーシ基板に対して、所定角度傾い
て設置され、ビデオテープに対してヘリカルスキャン方
式による直線トラックにて情報信号を記録するように構
成されている。
【0021】一般に、上記VHS方式のVTRビデオテ
ープレコーダのローディング機構は、Mローディング方
式を採用しており、上記回転ヘッドの周辺には、ビデオ
テープを回転ヘッドのリードに正確に導くための複数本
のテープガイド及び一対の傾斜ガイドポストが設けられ
ている。
【0022】ビデオテープに対する情報信号の記録再生
は、巻取りリール(及び供給リール)並びに回転ヘッド
の回転によって、ビデオテープが回転ヘッドのリードに
沿って走行することにより行われる。
【0023】このとき、上記ビデオテープは、固定のテ
ープガイドの表面及び回転ヘッドのリード面に接触摺動
することになり、その接触摺動によって摩擦力を受ける
ことになるため、図1に示すように、回転ヘッドや固定
のテープガイド等のビデオテープTが接触摺動する摺動
材1としてアルミ合金を用い、更にその表面に多数の突
起1aを形成する。ここまでは、従来の構成と同じであ
る。
【0024】そして、本実施例においては、ビデオテー
プTと摺動材1の突起1aとの接触部a及びその周辺
(界面)に発生する吸着水Hの結合部bによる影響を低
減するために、拡大図に示すように、摺動材1の表面に
撥水性の大きい材料を形成する。具体的には、この摺動
材1の表面に、ポリテトラフルオロエチレン粒子2を含
有したニッケル無電解メッキ膜3を形成する。市販品で
は、ニムフロン(商品名)を用いることができる。
【0025】ここで、1つの実験例を示す。まず、アル
ミ合金製の摺動材1の表面にポリテトラフルオロエチレ
ン粒子2を含有したニッケル無電解メッキ膜3を形成し
たもの(実施例)と、その比較としてアルミ合金製の摺
動材1に上記メッキ膜3を形成しないものを2種類(比
較例1及び比較例2)用意し、これら実施例、比較例1
及び比較例2に係る各摺動材の対純水接触角θを測定し
た。対純水接触角の測定は、図2に示すように、常温常
湿下において、摺動材上に、純水をその摺動材上での拡
散幅が約0.5mmとなる量ほど滴下し、そのときの接
触角θを対純水接触角θとした。
【0026】この測定の結果、各摺動材の対純水接触角
は、以下の表2に示すように、実施例が117°、比較
例1が92°、比較例2が85°であった。
【0027】
【表2】
【0028】通常、対純水接触角θは、常温常湿下にお
いては、温度が数℃、湿度が20%程度ずれても、その
値は変わらない。従って、上記測定結果から、実施例に
係る摺動材が大きな撥水性を有することがわかる。
【0029】更に、この実験では、上記実施例、比較例
1及び比較例2における各摺動材において、市販蒸着テ
ープ(表面粗さ:最大粗さRmax=50nm,平均粗
さRa=4nm)の上記各摺動材に対する摩擦係数Y
が、相対湿度の変化に応じてどのように変化するかを測
定した(環境温度40°)。測定結果を図3に示す。
【0030】この図3で示す測定結果から、実施例の摺
動材については、全湿度において、摩擦係数Yがほぼ一
定の値となっているが、比較例1及び比較例2について
は、湿度75%付近から急激に摩擦係数Yが上昇してい
る。そして、湿度94%の高湿度下においての摩擦係数
Yをサンプリングすると、以下の表3に示すように、実
施例は0.24で全湿度にわたってほぼ一定であり、比
較例1は0.74にまで跳ね上がり、比較例2は1.0
2にまで跳ね上がっている。
【0031】
【表3】
【0032】上記表3で示す値に基づいて、対純水接触
角θの変化に伴う摩擦係数Yの変動をグラフ化してみる
と、図4に示すように、その特性は、ほぼ直線状にな
り、対純水接触角θの変化に対する摩擦係数Yの変化の
度合は、以下の数1で表すことができる。
【0033】
【数1】Y=2.94−0.023θ
【0034】ここで、摩擦係数Yは、実用的には、0.
7以下であればよいため、対純水接触角θは、97°以
上であればよいことが上記数1から求められる。
【0035】このように、本実施例に係る記録再生装置
においては、テープTが接触摺動する摺動材1の表面
に、対純水接触角θが97°以上である高撥水性の材
料、具体的には、摺動材1の表面にポリテトラフルオロ
エチレン粒子を含有したニッケル無電解メッキ膜3を形
成するようにしているため、テープTと摺動材1との界
面に存在する吸着水Hの影響を小さくすることができ、
結露に近い状況であっても、テープTが摺動材1に貼り
付くことがなく、テープTを安定に走行させることがで
きる。これは、テープTに与えるダメージの低減にもつ
ながり、テープTへの損傷を最小限に食い止めることが
できる。
【0036】上記実施例では、本発明に係るテープ状記
録媒体用の記録再生装置をVTRに適用した場合を示し
たが、その他、オーディオテープレコーダやDAT(デ
ィジタルオーディオテープレコーダ)等にも適用させる
ことができる。
【0037】
【発明の効果】上述のように、本発明に係るテープ状記
録媒体用の記録再生装置によれば、テープ状記録媒体が
接触摺動する摺動材が設けられたテープ状記録媒体用の
記録再生装置において、上記摺動材表面の対純水接触角
を97°以上に設定したので、テープと摺動材との界面
に存在する吸着水の影響を小さくすることができ、結露
に近い状況であっても、テープが摺動材に貼り付くこと
がなく、テープを安定に走行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るテープ状記録媒体用の記録再生装
置を例えばVHS方式のビデオテープレコーダに適用し
た実施例に用いられる摺動材の構成をビデオテープと共
に示す断面図である。
【図2】摺動材の対純水接触角の測定方法を示す説明図
である。
【図3】撥水性の異なる摺動材(実施例、比較例1及び
比較例2)における市販蒸着テープに対する摩擦係数と
相対湿度との関係を示す特性図である。
【図4】摺動材の対純水接触角と摩擦係数との関係を示
す特性図である。
【図5】従来の摺動材の構成をビデオテープと共に示す
断面図である。
【図6】ビデオテープ上に物理吸着した水分子(吸着
水)の膜厚と温度湿度との関係を示す特性図である。
【図7】アルミ合金製摺動材における市販塗布型テープ
及び市販蒸着テープに対する摩擦係数と相対湿度との関
係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 摺動材 1a 突起 2 ポリテトラフルオロエチレン粒子 3 ポリテトラフルオロエチレン粒子を含有したニッケ
ル無電解メッキ膜 T ビデオテープ a 金属同士の接触部 b 吸着水の結合部
【手続補正書】
【提出日】平成6年5月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 テープ状記録媒体用の記録再生装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビデオテープやオーデ
ィオテープ等のテープ状記録媒体に対して情報信号の記
録再生を行うテープ状記録媒体用の記録再生装置に関
し、特に、テープ状記録媒体が接触摺動する摺動材が設
けられたテープ状記録媒体用の記録再生装置における上
記摺動材の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】ビデオテープやオーディオテープ等のテ
ープ状記録媒体に対して情報信号の記録再生を行うテー
プ状記録媒体用の記録再生装置、例えばビデオテープレ
コーダは、ヘッドを搭載した例えば円筒形の回転ドラム
、シャーシ基板に対して、所定角度傾いて設置され、
ビデオテープに対してヘリカルスキャン方式による直線
トラックにて情報信号を記録するように構成されてい
る。
【0003】一般に、上記回転ドラム及び固定ドラム
周辺には、ビデオテープを固定ドラムのリードに正確に
導くための複数本のテープガイド及び一対の傾斜ガイド
ポストが設けられている。
【0004】そして、ビデオテープに対する情報信号の
記録再生は、巻取りリール(及び供給リール)並びに回
ドラムの回転によって、ビデオテープが固定ドラム
リードに沿って走行することにより行われる。
【0005】このとき、上記ビデオテープは、固定のテ
ープガイドの表面及び固定ドラムのリード面に接触摺動
することになり、その接触摺動によって摩擦力を受ける
ことになる。この接触摺動に伴う摩擦力が大きくなる
と、ビデオテープは、その走行がスムーズにいかなくな
り、その結果、ビデオテープは、記録再生装置内におい
て、ジャミングが生じたり、最悪の場合、損傷を受ける
という問題があった。
【0006】そこで、従来では、図5に示すように、上
固定ドラムや固定のテープガイド等のビデオテープT
が接触摺動する摺動材1としてアルミ合金を用い、更に
その表面に多数の突起1aを形成してビデオテープTと
の接触面積を低減する形状にすることにより、ビデオテ
ープTとこの摺動材1が摺動する部分との間に生じる摩
擦力を低減するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
摺動材1の摩擦に対する検討においては、テープTに与
えるダメージや摺動回数によって摩擦係数がどう変動す
るかについてのみ着目し、加工精度や加工のし易さ、硬
度といった機械的見地からのみ検討するだけであった。
従来のテープTの表面性や張力ではそれで十分であった
が、現在のように、テープTの表面性が向上し、かつテ
ープTの張力が小さくなると、以下のような不都合が生
じる。
【0008】テープTの表面性が向上し、かつテープT
の張力が小さくなると、テープTと摺動材1との界面に
存在する吸着水Hがテープ走行に大きく影響することが
判明した。即ち、テープ表面に水分子が物理吸着したと
きの、吸着水Hの膜厚と温度湿度との関係をみると、図
6に示すように、高温多湿になればなるほど吸着水Hの
膜厚が増加することがわかった。
【0009】そして、テープの走行においては、通常、
図5に示すように、テープTと摺動材1の突起1aの先
端が接触して金属同士の接触部aを形成する。摩擦は、
この接触部aをせん断する際に生じる。そして、上記図
6の特性から高温多湿になると、吸着水Hの膜厚が増加
するため、上記金属同士の接触部a周辺に吸着水の結合
部bが発生する。このことは、高温多湿下におけるテー
プTの摺動においては、金属同士の接触部aのせん断に
吸着水Hの結合部bのせん断も含むことになり、摩擦力
(摩擦係数)が上昇することになる。
【0010】ここで、1つの実験例を示す。この実験で
は、従来のアルミ合金製摺動材1を用いた場合におい
て、以下の表1で示す2種類のビデオテープ(テープA
及びテープB)の摺動材1に対する摩擦係数Yが、相対
湿度の変化に応じてどのように変化するかを測定した
(環境温度40°)。
【0011】
【表1】
【0012】この実験の結果を図7に示す。この実験結
果から表面粗さが高いテープAについては、全湿度にお
いて、摩擦係数Yがほぼ一定となっているが、表面粗さ
が低いテープBについては、湿度78%付近から急激に
摩擦係数Yが上昇し、湿度94%付近の高湿度下におい
ては、摩擦係数Yが0.85にまで跳ね上がる。
【0013】従って、従来においては、高温多湿下で、
VTRを作動させると、ビデオテープTと摺動材1との
摩擦係数が急激に上昇し、その結果、ビデオテープTが
摺動材1に貼り付いて良好なテープ走行を確保できない
という問題があった。
【0014】本発明は、上記の課題に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、テープと摺動材との界
面に存在する吸着水の影響を小さくすることができ、結
露に近い状況であっても、テープが摺動材に貼り付くこ
とがなく、テープを安定に走行させることができるテー
プ状記録媒体用の記録再生装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、テープ状記録
媒体Tが接触摺動する摺動材1が設けられたテープ状記
録媒体用の記録再生装置において、摺動材1表面の対純
水接触角θを97°以上に設定して構成する。
【0016】この場合、例えば摺動材1の表面をポリテ
トラフルオロエチレン粒子を含有したニッケル無電解
メッキ膜にて構成する。
【0017】
【作用】例えばビデオテープレコーダにおいては、図8
に示すように、固定ドラム4の周辺に配された複数本の
テープガイド及び一対の傾斜ガイドポストによって、ビ
デオテープTが固定ドラム4に導かれ、巻取りリール
(及び供給リール)並びに回転ヘッド6を搭載した回転
ドラム5の回転によって、ビデオテープTが固定ドラ
ム4のリードに沿って走行することにより、ビデオテ
ープTに対する情報信号の記録再生が行われる。
【0018】このとき、テープTが上記テープガイド、
特に固定のテープガイドや一対のガイドポスト並びに
定ドラムのリード面に接触摺動することになる。本発明
においては、これら固定のテープガイドや一対のガイド
ポスト並びに固定ドラム等のようにテープTが接触摺動
する摺動材1を、その表面の対純水接触角θが97°以
上である高撥水性の材料によって構成するようにしてい
るため、テープTと摺動材1との界面に存在する吸着水
Hの影響を小さくすることができ、結露に近い状況であ
っても、テープTが摺動材1に貼り付くことがなく、テ
ープTを安定に走行させることができる。これは、テー
プTに与えるダメージの低減にもつながり、テープTへ
の損傷を最小限に食い止めることができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明に係るテープ状記録媒体用の記
録再生装置を例えば8mm方式のビデオテープレコーダ
に適用した実施例(以下、実施例に係る記録再生装置と
記す)を図1〜図4を参照しながら説明する。
【0020】この実施例に係る記録再生装置は、円筒形
の回転ドラムが、シャーシ基板に対して、所定角度傾い
て設置され、ビデオテープに対してヘリカルスキャン方
式による直線トラックにて情報信号を記録するように構
成されている。
【0021】一般に、上記8mm方式のVTRビデオテ
ープレコーダでは、上記回転ドラム及び固定ドラムの周
辺には、ビデオテープを固定ドラムのリードに正確に導
くための複数本のテープガイド及び一対の傾斜ガイドポ
ストが設けられている。
【0022】ビデオテープに対する情報信号の記録再生
は、巻取りリール(及び供給リール)並びに回転ドラム
の回転によって、ビデオテープが固定ドラムのリードに
沿って走行することにより行われる。
【0023】このとき、上記ビデオテープは、固定のテ
ープガイドの表面及び固定ドラムのリード面に接触摺動
することになり、その接触摺動によって摩擦力を受ける
ことになるため、図1に示すように、固定ドラムや固定
のテープガイド等のビデオテープTが接触摺動する摺動
材1としてアルミ合金を用い、更にその表面に多数の突
起1aを形成する。ここまでは、従来の構成と同じであ
る。
【0024】そして、本実施例においては、ビデオテー
プTと摺動材1の突起1aとの接触部a及びその周辺
(界面)に発生する吸着水Hの結合部bによる影響を低
減するために、拡大図に示すように、摺動材1の表面に
撥水性の大きい材料を形成する。具体的には、この摺動
材1の表面に、ポリテトラフルオロエチレン粒子2を含
有したニッケル無電解メッキ膜3を形成する。市販品で
は、ニムフロン(商品名)を用いることができる。
【0025】ここで、1つの実験例を示す。まず、アル
ミ合金製の摺動材1の表面にポリテトラフルオロエチレ
ン粒子2を含有したニッケル無電解メッキ膜3を形成し
たもの(実施例)と、その比較としてアルミ合金製の摺
動材1に上記メッキ膜3を形成しないものを2種類(比
較例1及び比較例2)用意し、これら実施例、比較例1
及び比較例2に係る各摺動材の対純水接触角θを測定し
た。対純水接触角の測定は、図2に示すように、常温常
湿下において、摺動材上に、純水をその摺動材上での拡
散幅が約0.5mmとなる量ほど滴下し、そのときの接
触角θを対純水接触角θとした。
【0026】この測定の結果、各摺動材の対純水接触角
は、以下の表2に示すように、実施例が117°、比較
例1が92°、比較例2が85°であった。
【0027】
【表2】
【0028】通常、対純水接触角θは、常温常湿下にお
いては、温度が数℃、湿度が20%程度ずれても、その
値は変わらない。従って、上記測定結果から、実施例に
係る摺動材が大きな撥水性を有することがわかる。
【0029】更に、この実験では、上記実施例、比較例
1及び比較例2における各摺動材において、テープB
(表面粗さ:最大粗さRmax=50nm,平均粗さR
a=4nm)の上記各摺動材に対する摩擦係数Yが、相
対湿度の変化に応じてどのように変化するかを測定した
(環境温度40°)。測定結果を図3に示す。
【0030】この図3で示す測定結果から、実施例の摺
動材については、全湿度において、摩擦係数Yがほぼ一
定の値となっているが、比較例1及び比較例2について
は、湿度75%付近から急激に摩擦係数Yが上昇してい
る。そして、湿度94%の高湿度下においての摩擦係数
Yをサンプリングすると、以下の表3に示すように、実
施例は0.24で全湿度にわたってほぼ一定であり、比
較例1は0.74にまで跳ね上がり、比較例2は1.0
2にまで跳ね上がっている。
【0031】
【表3】
【0032】上記表3で示す値に基づいて、対純水接触
角θの変化に伴う摩擦係数Yの変動をグラフ化してみる
と、図4に示すように、その特性は、ほぼ直線状にな
り、対純水接触角θの変化に対する摩擦係数Yの変化の
度合は、以下の数1で表すことができる。
【0033】
【数1】Y=2.94−0.023θ
【0034】ここで、摩擦係数Yは、実用的には、0.
7以下であればよいため、対純水接触角θは、97°以
上であればよいことが上記数1から求められる。
【0035】このように、本実施例に係る記録再生装置
においては、テープTが接触摺動する摺動材1の表面
に、対純水接触角θが97°以上である高撥水性の材
料、具体的には、摺動材1の表面にポリテトラフルオロ
エチレン粒子を含有したニッケル無電解メッキ膜3を
形成するようにしているため、テープTと摺動材1との
界面に存在する吸着水Hの影響を小さくすることがで
き、結露に近い状況であっても、テープTが摺動材1に
貼り付くことがなく、テープTを安定に走行させること
ができる。これは、テープTに与えるダメージの低減に
もつながり、テープTへの損傷を最小限に食い止めるこ
とができる。
【0036】上記実施例では、本発明に係るテープ状記
録媒体用の記録再生装置をVTRに適用した場合を示し
たが、その他、オーディオテープレコーダやDAT(デ
ィジタルオーディオテープレコーダ)等にも適用させる
ことができる。
【0037】
【発明の効果】上述のように、本発明に係るテープ状記
録媒体用の記録再生装置によれば、テープ状記録媒体が
接触摺動する摺動材が設けられたテープ状記録媒体用の
記録再生装置において、上記摺動材表面の対純水接触角
を97°以上に設定したので、テープと摺動材との界面
に存在する吸着水の影響を小さくすることができ、結露
に近い状況であっても、テープが摺動材に貼り付くこと
がなく、テープを安定に走行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るテープ状記録媒体用の記録再生装
置を例えば8mm方式のビデオテープレコーダに適用し
た実施例に用いられる摺動材の構成をビデオテープと共
に示す断面図である。
【図2】摺動材の対純水接触角の測定方法を示す説明図
である。
【図3】撥水性の異なる摺動材(実施例、比較例1及び
比較例2)におけるテープBに対する摩擦係数と相対湿
度との関係を示す特性図である。
【図4】摺動材の対純水接触角と摩擦係数との関係を示
す特性図である。
【図5】従来の摺動材の構成をビデオテープと共に示す
断面図である。
【図6】ビデオテープ上に物理吸着した水分子(吸着
水)の膜厚と温度湿度との関係を示す特性図である。
【図7】アルミ合金製摺動材におけるテープA及びテー
プBに対する摩擦係数と相対湿度との関係を示す特性図
である。
【図8】回転ドラム及び固定ドラム上をビデオテープが
走行している状態を示す斜視図である。
【符号の説明】 1 摺動材 1a 突起 2 ポリテトラフルオロエチレン粒子 3 ポリテトラフルオロエチレン粒子を含有したニッケ
ル無電解メッキ膜 T ビデオテープ a 金属同士の接触部 b 吸着水の結合部
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】追加
【補正内容】
【図8】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テープ状記録媒体が接触摺動する摺動材
    が設けられたテープ状記録媒体用の記録再生装置におい
    て、 上記摺動材表面の対純水接触角が97°以上であること
    を特徴とするテープ状記録媒体用の記録再生装置。
  2. 【請求項2】 上記摺動材の表面が、ポリテトラフルオ
    ロエチレン粒子を含有したニッケル無電解メッキ膜であ
    ることを特徴とする請求項1記載のテープ状記録媒体用
    の記録再生装置。
JP5052129A 1993-03-12 1993-03-12 テープ状記録媒体用の記録再生装置 Pending JPH06267158A (ja)

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EP0615238A2 (en) 1994-09-14
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US5563755A (en) 1996-10-08
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