JPH06257162A - 植生用ポーラスブロック - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】河川等の法面に植生を施す際に、取扱いが容易
で、植物の成育に必要な水分、土壌を充分に確保し、か
つ歩行や車両の通行をし易くすること。 【構成】普通コンクリートから成る枠ブロック１１の植
生空間１２の形状に対応して形成された籠状の補強籠２
の上面２ａには、植生開口部６を形成し、底面２ｂに
は、排出孔７を多数形成する。そして、補強籠２内全体
に亙り、植生部材３として、多数の空隙３３を有するポ
ーラスコンクリート３０を打設して構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、河川の法面の土壌が風
雨等により流出することを防止する植生ブロック等に使
用するのに好適な植生用ポーラスブロックに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、河川の法面の土壌流出等を防止す
るために、コンクリートブロックで土壌流出を防止すべ
き法面全面を覆っていたので、河川の法面の景観が悪く
なり、緑化による景観の改善の要望が強かった。そこ
で、コンクリートブロックを枠だけとして内部に植生空
間が形成された枠ブロックを河川の法面に設置し、該枠
ブロックの植生空間に土嚢を詰めて、該土嚢内に植物を
成育させることにより、法面を緑化する方法がとられて
いた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、該枠ブロック
の植生空間に土嚢を詰めたのでは、該土嚢が直接風雨や
日光に曝されるので、該土嚢内の水分や土が流出し易
く、植生のために必要な水分や土が該土嚢内に充分確保
されないばかりか、土嚢内の土が法面の傾斜に沿って垂
れ下がるので、植生された法面の表面の凹凸が大きく、
歩行や車両の通行が不便であった。そこで、土嚢等の代
わりとして、取扱いが容易で、植物の成育に必要な水
分、土壌を確保し、変形等せずに歩行や車両の通行がし
易い確実な土壌の開発が望まれている。

【０００４】そこで、本発明は、上記事情に鑑み、取扱
いが容易で、植物の成育に必要な水分、土壌を充分に確
保し、かつ歩行や車両の通行がし易い植生用ポーラスブ
ロックを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、植生空
間（１２）が形成された枠ブロック（１１）の該植生空
間に設置される植生用ポーラスブロックにおいて、前記
枠ブロックの植生空間の形状に対応させて形成された補
強枠体（２）を有し、前記補強枠体の上面（２ａ）に、
植生開口部（６）を設け、また、前記補強枠体の底面
（２ｂ）に、排出孔（７）を多数形成し、更に、前記補
強枠体内に、ポーラスコンクリート（３０）から成る植
生本体（３）を充填設置して構成される。

【０００６】なお、括弧内の番号等は、図面における対
応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述
は図面上の記載に限定拘束されるものではない。以下の
「作用」の欄についても同様である。

【０００７】

【作用】上記した構成により、本発明は、植生部材
（３）を形成するポーラスコンクリート（３０）内に水
分を確保し得るように作用する。また、植生部材（３）
を形成するポーラスコンクリート（３０）が植生に要す
る土壌の働きをするように作用する。更に、植物が植生
開口部（６）から地上に向けて成育することができるよ
うに作用する。更に、排出孔（７）を介して、植物の根
が地面に伸びることができるばかりか、余分な水を排出
し得るように作用する。更に、植生部材（３）を形成す
るポーラスコンクリート（３０）が所定形状を維持する
ように作用する。更に、補強枠体（２）が植生部材
（３）を形成するポーラスコンクリート（３０）の強度
を補強するように作用する。更に、補強枠体（２）の形
状を枠ブロック（１１）の植生空間（１２）に対応させ
て形成したことにより、本発明による植生用ポーラスブ
ロックを該植生空間に簡単に設置し得るように作用す
る。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。図１は、本発明による植生用ポーラスブロックの一
実施例を示す斜視図、図２は、図１に示した植生用ポー
ラスブロックに適用される補強籠を示す斜視図、図３
は、図１に示した植生用ポーラスブロックを枠ブロック
に係合して植生ブロックを形成した例を示す図であり、
（ａ）は、植生ブロックの平面図である。（ｂ）は、植
生ブロックの側面図である。図４は、図３に示した植生
ブロックに植物が成育したところを示す模式図である。

【０００９】本発明が適用される植生ブロック１０は、
河川の法面等に設置される普通コンクリート等から成る
枠ブロック１１を有しており、枠ブロック１１は、図３
に示すように、外形が、高さＨ、縦の長さＬ１、横の長
さＬ２なる寸法で形成され、更に枠ブロック１１の内周
面１１ａは、高さＨ、縦の長さＤ１（Ｄ１＜Ｌ１）、横
の長さＤ２（Ｄ２＜Ｌ２）なる寸法で形成されている。
（もちろん、Ｌ１＝Ｌ２、Ｄ１＝Ｄ２でも良い）即ち、
枠ブロック１１は、四角形の枠状に形成されている。ま
た、枠ブロック１１内には、植生空間１２が枠ブロック
１１の内周面１１ａに囲まれる形で形成されており、植
生空間１２の大きさは、高さＨ、縦の長さＤ１、横の長
さＤ２となる。

【００１０】また、枠ブロック１１と共に植生ブロック
１０を構成する本発明による植生用ポーラスブロック１
は、図１に示すように、樹脂等から成る直方体形の籠状
の補強籠２を有しており、補強籠２の外形は、図２に示
すように、高さＣ、縦の長さＤＤ１、横の長さＤＤ２な
る寸法で形成されている。ここで、補強籠２の縦と横の
長さＤＤ１とＤＤ２は、枠ブロック１１の植生空間１２
に嵌合し得るように、植生空間１２の縦と横の長さＤ１
とＤ２よりそれぞれ若干小さい寸法となる。また、枠ブ
ロック１１の植生空間１２に、図４に示すように、枠ブ
ロック１１が河川の法面に沿って滑り落ちたりしないよ
うに土３９等を詰めた際に、枠ブロック１１の表面１１
ｂから補強籠２が突出しないように、補強籠２の高さＣ
は、枠ブロック１１の植生空間１２の高さＨよりも小さ
くする。また、補強籠２内には、植生部形成空間５が形
成されており、植生部形成空間５には、図１に示すよう
に、植生部材３が、多孔質なポーラスコンクリート３０
等が該植生部形成空間５全体に亙り打設される形で充填
設置されている。なお、植生部形成空間５に打設された
植生部材３の表面３ａは、平滑な所定形状を形成してい
る。更に、補強籠２の上面２ａには、図２に示すよう
に、植生開口部６が植生部形成空間５と外部を連通する
形で形成されており、補強籠２の底面２ｂには、排出孔
７が植生部形成空間５と外部を連通する形で多数形成さ
れている。なお、補強籠２は、植生部形成空間５が外部
と上下方向に連通されていれば良く、エキスパンドメタ
ル等の金網から形成されても良いし、補強籠２の上面２
ａに網状の蓋等を設けても良い。

【００１１】ところで、ポーラスコンクリート３０は、
セメント量の少ないセメントミルク３２に、10〜20mmの
粒径から成る砕石や１〜３cmの長さのビニロン、アラミ
ドチョップ等の粗骨材３１を混入したものから成ってお
り、粗骨材３１間には多数の空隙３３が形成され、植物
の根が通る程度の多孔性に形成される。また、ポーラス
コンクリート３０自体は、普通コンクリートに比べて強
度は小さいが、補強籠２内の植生部形成空間５全体に、
ポーラスコンクリート３０を打設することにより、植生
ポーラスブロック１としては、補強籠２に支持される形
で、ブロック１の設置作業及びその後の保守等に支障の
無い程度に補強される。なお、粗骨材３１は、10〜20mm
の砕石等の粗骨材としたが、ポーラスコンクリート３０
は高強度を必要とせず、植物の根がはれる程度の多孔性
に形成できれば良く、例えば、骨材は、10〜20mm同程度
の粒径から成る軽石、粘土の焼成品、スラグ等の軽量骨
材を使用しても良く、軽量骨材を使用すれば、ポーラス
コンクリート部分の軽量化を図れる利点が加わる。ま
た、骨材は、ビル等を取り壊した際に発生する建設廃材
を、10〜20mm同程度の粒径に粉砕して使用しても良く、
建設廃材を使用すれば、建設廃材を粉砕するだけで廃材
の再利用化が容易にでき、環境保全等の利点が加わる。

【００１２】本発明は、以上のような構成を有するの
で、河川の法面に防災のために植生する際は、まず、植
生ポーラスブロック１のポーラスコンクリート３０から
成る植生部材３に植物３５の種子を撒き発芽させる。即
ち、撒いた種子は、植生部材３を形成するポーラスコン
クリート３０の空隙３３に入り込み、また、植生部材３
に散布する水、肥料等も空隙３３に入り込み蓄えられる
ので、空隙３３に入り込んだ種子は、これら空隙３３に
蓄えられた水、肥料を充分に得ることができ、植生部材
３のポーラスコンクリート３０を土壌として、良好に発
芽することができる。また、種子が発芽しても、植生ポ
ーラスブロック１の補強籠２の上面２ａには、植生用開
口部６が形成されているので、発芽した植物３５は、該
植生用開口部６を通って、太陽の光を受け、植生ポーラ
スブロック１の上方に向けて元気良く成長することがで
きる。

【００１３】そして、植生部材３に撒いた種子が発芽し
たら、次に、植生すべき河川の地盤４０の法面４０ａに
設置された枠ブロック１１の植生空間１２に、植生ポー
ラスブロック１を嵌合設置することにより、植生ブロッ
ク１０を形成する。即ち、植生ポーラスブロック１の補
強籠２の縦及び横の長さＤＤ１、ＤＤ２を、枠ブロック
１１の植生空間１２の縦及び横の長さＤ１、Ｄ２に対応
させて若干小さく形成したので、植生ポーラスブロック
１は、枠ブロック１１の植生空間１２に、嵌合すること
ができる。また、植生ポーラスブロック１の補強籠２の
高さＣを、枠ブロック１１の植生空間１２の高さＨより
も小さく形成したので、河川の地盤４０の法面４０ａに
設置された枠ブロック１１の植生空間１２に、図４に示
すように、枠ブロック１１が法面に沿って滑り落ちたり
しないように土３９等を予め詰めてあっても、枠ブロッ
ク１１の表面１１ｂと、植生ポーラスブロック１のポー
ラスコンクリート３０の表面３０ａとが略一致して、植
生ブロック１０全体として平滑な表面が形成される。従
って、植物が成育することが可能な土壌と成り得る植生
部材３を、河川の地盤４０の法面４０ａ全体に亙り、平
滑な面を形成する形で設置することができる。なお、法
面４０ａに設置された枠ブロック１１の植生空間１２
に、植生ポーラスブロック１を嵌合設置した後、植生部
材３に種子を撒いて成育させても良いことは言うまでも
ない。

【００１４】すると、植生ブロック１の植生部材３を形
成するポーラスコンクリート３０の空隙３３には、雨水
等の水分が蓄えられる。しかし、植生部材３は所定強度
を有するポーラスコンクリート３０から形成されている
ので、土壌の働きをするポーラスコンクリート３０は風
雨等により流出することはなく、また、該空隙３３に蓄
えられた水分は、風雨、日光等に直接曝されることなく
保水されるので、植生部材３に発芽した植物３５は、確
実に形状を保持された土壌の基でこれら空隙３３に蓄え
られた水分を充分に得ることができ、良好に成育する。
また、植物３５の成長に伴い、植物３５の根３６が植生
部材３の空隙３３に入り込むので、空隙３３は塞がれ、
植物３５が風雨等に曝されても流出したりせず、確実に
根付く。更に、植物３５の根３６が成長しても、植生ポ
ーラスブロック１の補強籠２の底面２ｂには、多数の排
出孔７が形成されているので、植物３５の根３６は、該
排出孔７を通って、植生ポーラスブロック１の下方の法
面４０ａの地盤４０に達することができる。また、大
雨、長雨等により多量の水が植生部材３中に流れ込んで
も、植物３５の成育に必要以上の余分な水は、排出孔７
を通って排出されるので、植物３５が根腐れするような
ことはない。更に、植物３５の根３６が法面４０ａの地
盤４０に達すると、植生ブロック１が法面４０ａに確実
に固定されるようになる。更に、植生部材３の表面３ａ
を、凹凸が小さい所定形状に形成しておくことにより、
法面の傾斜、風雨等により変形しないので、凹凸が小さ
い所定形状の表面３ａを長期に亙り保持でき、歩行や車
両の通行のし易さを確保することができる。更に、植生
部材３を形成する強度の小さいポーラスコンクリート３
０を、通常の強度を有する補強籠２内に打設したことに
より、植生部材３は補強籠２に支持される形で補強され
るので、植生ポーラスブロック１は、輸送、敷設等の際
に欠損したり変形したりせず、取扱いが容易になる。

【００１５】ところで、補強籠２は、籠状に形成され、
多数の排出孔７が形成されているので、補強籠２の植生
部形成空間５に、ポーラスコンクリート３０から成る植
生部材３を充填設置する際、補強籠２の植生部形成空間
５に、直接粗骨材３１を充填しセメントミルク３２を吹
き付ける等すると、余分なセメントミルク３２がこれら
排出孔７から排出されるので、ポーラスコンクリート３
０を簡単に形成することができる。即ち、補強籠２の植
生部形成空間５全体に亙り、ポーラスコンクリート３０
を打設することになるので、植生部形成空間５に植生部
材３を充填設置することが可能となる。従って、籠状の
補強籠２は、植生部材３を形成するポーラスコンクリー
ト３０の補強となるばかりか、植生部形成空間５に植生
部材３を充填設置する際に、補強籠２を型枠的扱いがで
きて、ポーラスコンクリート３０を形成するのにも便利
である。

【００１６】なお、上述の実施例においては、補強籠２
を四角形の籠状としたが、枠ブロック１１の植生空間１
２の形状に対応していればどのような形状でも良く、例
えば、三角形、六角形等の多角形、円形、四角錐、円錐
等でも良い。また、上述の実施例において、肥料は、ポ
ーラスコンクリート３０に散布したが、植物に肥料が供
給されれば良く、例えば、ポーラスコンクリート３０中
に遅効性の固形肥料等を混入させても良いし、補強籠２
に肥料を含浸させたり、肥料を含浸させたネット等を混
入させても良い。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、植生空
間１２等の植生空間が形成された枠ブロック１１等の枠
ブロックの該植生空間に設置される植生用ポーラスブロ
ックにおいて、前記枠ブロックの植生空間の形状に対応
させて形成された補強籠２等の補強枠体を有し、前記補
強枠体の上面２ａ等の上面に、植生開口部６等の植生開
口部を設け、また、前記補強枠体の底面２ｂ等の底面
に、排出孔７等の排出孔を多数形成し、更に、前記補強
枠体内に、ポーラスコンクリート３０等のポーラスコン
クリートから成る植生部材３等の植生本体を充填設置し
て構成したので、

【００１８】植生部材は所定強度を有するポーラスコン
クリートから形成されているので、土壌の働きをする植
生部材は風雨等により流出することはなく、また、植生
部材を形成するポーラスコンクリートの空隙に蓄えられ
た水分は、風雨、日光等に直接曝されることなく保水さ
れるので、植生部材に発芽した植物は、植生部材という
確実な土壌の基でこれら空隙に蓄えられた水分を充分に
得ることができ、良好に成育することができる。また、
植物の成長に伴い、植物の根が植生部材を形成するポー
ラスコンクリートの空隙に入り込むので、植物が風雨等
に曝されても流出したりせず、確実に根付く。更に、植
物が植生開口部から地上に向けて成育することができる
ので、太陽の光を充分に受けて良好に成育することがで
きる。更に、排出孔を介して、植物の根が地面に伸びる
ことができるばかりか、余分な水を排出することができ
るので、良好に成育することができる。更に、植生部材
の表面を、凹凸が小さい所定形状に形成しておくことに
より、法面の傾斜、風雨等により変形しないので、凹凸
が小さい所定形状の表面を長期に亙り保持でき、歩行や
車両の通行のし易さを確保することができる。更に、補
強枠体が植生部材を形成するポーラスコンクリートの強
度を補強することにより、本発明による植生用ポーラス
ブロックは、植生部材が欠損したり変形したりしないの
で、輸送、施工等の取扱いが容易になる。更に、補強枠
体の形状を枠ブロックの植生空間に対応させて形成した
ことにより、本発明による植生用ポーラスブロックを該
植生空間に簡単に設置することができ、本発明による植
生用ポーラスブロックを枠ブロックの植生空間に嵌合す
るだけで、緑化すべき河川の法面に、植生部材という植
物が成育し得る土壌を形成することができ、作業性が良
く、緑化工事は手間が掛からず短期間で施工することが
できる。従って、本発明による植生用ポーラスブロック
は、河川等の法面に植生を施す際に、取扱いが容易で、
植物の成育に必要な水分、土壌を充分に確保し、かつ歩
行や車両の通行がし易いものとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明による植生用ポーラスブロック
の一実施例を示す斜視図である。

【図２】図２は、図１に示した植生用ポーラスブロック
に適用される補強籠を示す斜視図である。

【図３】図３は、図１に示した植生用ポーラスブロック
を枠ブロックに係合して植生ブロックを形成した例を示
す図であり、（ａ）は、植生ブロックの平面図である。
（ｂ）は、植生ブロックの側面図である。

【図４】図４は、図３に示した植生ブロックに植生した
ところを示す模式図である。

【符号の説明】

２……補強枠体（補強籠） ２ａ……上面（上面） ２ｂ……底面（底面） ３……植生本体（植生部材） ６……植生開口部（植生開口部） ７……排出孔（排出孔） １１……枠ブロック（枠ブロック） １２……植生空間（植生空間） ３０……ポーラスコンクリート（ポーラスコンクリー
ト）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】植生空間が形成された枠ブロックの該植生
   空間に設置される植生用ポーラスブロックにおいて、 前記枠ブロックの植生空間の形状に対応させて形成され
   た補強枠体を有し、 前記補強枠体の上面に、植生開口部を設け、 また、前記補強枠体の底面に、排出孔を多数形成し、 更に、前記補強枠体内に、ポーラスコンクリートから成
   る植生本体を充填設置して構成した植生用ポーラスブロ
   ック。