JPH06248067A - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents
ポリカーボネートの製造方法Info
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- JPH06248067A JPH06248067A JP3800393A JP3800393A JPH06248067A JP H06248067 A JPH06248067 A JP H06248067A JP 3800393 A JP3800393 A JP 3800393A JP 3800393 A JP3800393 A JP 3800393A JP H06248067 A JPH06248067 A JP H06248067A
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Abstract
たポリカーボネートを効率よく製造する方法を開発する
こと。 【構成】 (A)二価ヒドロキシ化合物と(B)カーボ
ネート化合物を用い、第一反応帯域と第二反応帯域との
反応温度を変え、不活性ガスを供給し、エステル交換反
応を行ってポリカーボネートを製造する方法である。
Description
の製造方法に関する。さらに詳しくは、エステル交換法
において、第一反応帯域及び第二反応帯域で不活性ガス
を供給し、エステル交換反応を行って色相や機械的強度
に優れたポリカーボネートを効率良く得ることができる
製造方法に関するものである。
ーボネート樹脂は、耐熱性,耐衝撃性などの機械的強
度,透明性などに優れ、エンジニアリングプラスチック
として、例えば、光学部品,機械部品,電気・電子部
品,自動車部品、さらには各種容器などの様々な分野で
利用されている。このような特性を有するポリカーボネ
ート樹脂の製造方法としては、界面重縮合法、溶液法、
エステル交換法等が知られている。これらの中で、界面
重縮合法及び溶液法は、ホスゲンを使用したり、また、
溶媒として使用する塩化メチレンが残存するなどの問題
がある。これに対して、エステル交換法は、上記のよう
な問題はないが、高温でエステル交換反応が行われ、機
械的問題を有する。同時に、エステル交換反応によって
生成するフェノールを除去しなければならない問題と、
高温による品質の低下が発生し易い問題等がある。従来
より、エステル交換法によるポリカーボネートの製造方
法における問題点の解決には、種々検討がなされてい
る。例えば、特公昭52−36159号公報,特開平2
−86618号公報,同2−153923号公報等に
は、装置の形式からの改良技術が開示されている。ま
た、特開平4−72327号公報等には、装置の材料に
ついての改良技術が開示されている。さらに、特開平1
−158033号公報,同3−59028号公報には、
高温による品質劣化を防ぐための固相重合法も開示さて
いるが、結晶化の操作を必要とし、また、反応速度が遅
く、生産性に問題を有する。そして、エステル交換法で
は、生成するフェノールを除去するには、高真空を必要
とし、工業的には操作が非常に困難となる。また、空気
の混入を完全に防止することはできず、酸化劣化による
着色の要因となり易い。このため、従来より反応系に窒
素ガスを利用し、着色の問題を解消するような工夫が行
われている。
に鑑み、エステル交換法における従来法の問題点を解消
し、色相や機械的強度に優れたポリカーボネートを効率
良く得ることができる製造方法を開発すべく鋭意研究を
重ねた。その結果、第一反応帯域と第二反応帯域の反応
温度を変え、不活性ガスを単に酸素除去の目的のみなら
ず、連続的にあるいは断続的に供給し、エステル交換反
応を進行させることによって、目的とする物性を備えた
ポリカーボネートを効率よく製造しうることを見出し
た。本発明はこのような知見に基づいてなされたもので
ある。すなわち、本発明は、第一反応帯域で、(A)二
価ヒドロキシ化合物と(B)カーボネート化合物を反応
温度100〜280℃にて、且つ、不活性ガスを二価ヒ
ドロキシ化合物に対して、0.01〜20(重量比)供給
し、エステル交換反応させて粘度平均分子量が1,000
〜25,000の低分子量ポリカーボネートを含む反応混
合物を生成させ、次いで、第二反応帯域で、上記反応混
合物の反応温度を第一反応帯域より高く、且つ、200
〜350℃にて、不活性ガスを二価ヒドロキシ化合物に
対して、0.002〜10(重量比)供給し、エステル交
換反応させて粘度平均分子量が10,000〜50,000
のポリカーボネートを製造することを特徴とするポリカ
ーボネートの製造方法を提供するものである。
ヒドロキシ化合物としては、各種のものがあり、例え
ば、芳香族ジヒドロキシ化合物や脂肪族ジヒドロキシ化
合物を用いることができる。例えば、芳香族ジヒドロキ
シ化合物としては、通常は一般式(I)
ン原子(例えば、塩素,臭素,フッ素,沃素)又は炭素
数1〜8のアルキル基であり、このR1 及びR2 が複数
の場合、それらは同一であってもよいし、異なっていて
もよく、m及びnは、それぞれ0〜4の整数である。X
は、単結合,炭素数1〜8のアルキレン基,炭素数2〜
8のアルキリデン基,炭素数5〜15のシクロアルキレ
ン基,炭素数5〜15のシクロアルキリデン基又は−S
−,−SO−,−SO2 −,−O−,−CO−結合もし
くは一般式(II)
子または1価の炭化水素基であり、R 5 は2価の炭化水
素基である。)で表わされる結合を示す。〕で表わされ
る化合物が挙げられる。上記一般式(I)で表わされる
化合物としては、様々なものがあるが、特に、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称:ビス
フェノールA〕が好適である。ビスフェノールA以外の
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)エタン;2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)オクタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)フェニルメタン;2,2−ビス(4−ヒドロキ
シ−1−メチルフェニル)プロパン;ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ナフチルメタン;1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン;2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン;
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラメチル
フェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3−クロロフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3,5−テトラクロロフェニル)プロパン;
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラブロモ
フェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)ア
ルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シ
クロペンタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等の
ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,
4’−ジヒドロキシフェニルエーテル;4,4’−ジヒ
ドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル等のジ
ヒドロキシアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキ
シジフェニルスルフィド;4,4’−ジヒドロキシ−
3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロ
キシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシ
ジフェニルスルホキシド;4,4’−ジヒドロキシ−
3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒド
ロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロ
キシジフェニルスルホン;4,4’−ジヒドロキシ−
3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキ
シジアリールスルホン類、4,4’−ジヒロキシジフェ
ニルなどのジヒドロキシジフェニル類などが挙げられ
る。また、該一般式(I)で表される芳香族ジヒドロキ
シ化合物以外に、ハイドロキノン,レゾルシノール,メ
チルヒドロキノンなどのジヒドロキシベンゼン類、フェ
ノールのエトキシ化またはプロポキシ化生成物、例え
ば、ビス−オキシエチル−ビスフェノールA;ビス−オ
キシエチル−テトラクロロビスフェノールA;ビス−オ
キシエチル−テトラクロロヒドロキノン、1,5−ジヒ
ドロキシナフタレン;2,6−ジヒドロキシナフタレン
などのジヒドロキシナフタレン類等が挙げられる。
は、各種のものがある。例えば、ブタン−1,4−ジオ
ール;2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール;
ヘキサン−1,6−ジオール;ジエチレングリコール;
トリエチレングリコール;テトラエチレングリコール;
オクタエチレングリコール;ジプロピレングリコール;
N,N−メチルジエタノールアミン;シクロヘキサン−
1,3−ジオール;シクロヘキサン−1,4−ジオー
ル;1,4−ジメチロールシクロヘキサン;p−キシリ
レングリコール;2,2−ビス−(4−ヒドロキシシク
ロヘキシル)−プロパン及び二価アルコールのエトキシ
化またはプロポキシ化生成物などが挙げられる。
として、一般式(III) 〜(VI)
合物から水酸基を2個除いた残基を示す。また、Rは、
脂肪族ジヒドロキシ化合物から水酸基を2個除いた残基
を示す。R6 は、炭素原子1〜6個を有するアルキル基
または炭素原子4〜7個を有するシクロアルキル基を示
す。〕で表される芳香族ジヒドロキシ化合物のビスエス
ル類,脂肪族ジヒドロキシ化合物のビスエスル類,芳香
族ジヒドロキシ化合物のカーボネート類,または脂肪族
ジヒドロキシ化合物のカーボネート類等も用いることが
できる。これらの二価ヒドロキシ化合物は、それぞれ単
独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても
よい。
ボネート化合物は、様々なものがあるが、好ましくは、
一般式(VII) で表される炭酸ジアリール化合物、一般式
(VIII)で表される炭酸ジアルキル化合物、または一般式
(IX)で表される炭酸アルキルアリール化合物である。こ
こで、上記一般式(VII) 〜(IX)は、次のように表され
る。
はアリール基を示す。〕上記一般式(VII) で表される炭
酸ジアリール化合物としては、例えば、ジフェニールカ
ーボネート,ジトリルカーボネート,m−クレジルカー
ボネート,ジナフチルカーボネート,ビス(ジフェニ
ル)カーボネート等が挙げられる。また、上記一般式(V
III)で表される炭酸ジアルキル化合物としては、例え
ば、ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネート,ジ
ブチルカーボネート,ジシクロヘキシルカーボネート等
が挙げられる。そして、上記一般式(IX)で表される炭酸
アルキルアリール化合物としては、例えば、メチルフェ
ニルカーボネート,エチルフェニルカーボネート,ブチ
ルフェニルカーボネート,シクロヘキシルフェニルカー
ボネート等が挙げられる。これらのカーボネート化合物
は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合
わせて用いてもよい。
物とカーボネート化合物を用い、エステル交換反応を行
うにあたって、エステル交換触媒は、必ずしも必要では
ないが、使用することが好ましい。ここで、エステル交
換触媒としては、例えば、アルカリ金属またはアルカリ
土類金属の単体,酸化物,水酸化物,アミド化合物,ア
ルコラート,フェノラート、あるいはZnO,PbO,
Sb2 O3 のような塩基性金属化合物、有機チタン化合
物、可溶性マンガン化合物、Ca,Mg,Zn,Pb,
Sn,Mn,Cd,Coの酢酸塩または含窒素塩基性化
合物と硼素化合物、含窒素塩基性化合物とアルカリ(土
類)金属化合物と硼素化合物などの併用系触媒などが挙
げられる。また、イオン交換樹脂や無機イオン交換体を
含む固形触媒であってもよい。これらの触媒は、それぞ
れ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用い
てもよい。触媒の使用量は、二価ヒドロキシ化合物に対
して、通常、0〜10-1モル、好ましくは0〜10-2モ
ルの範囲で使用することができる。この使用量が10-1
モルを超えると、ポリマー中に残存する触媒によって品
質の劣化や機械的物性に悪影響を及ぼす。
ないが、末端停止剤として、通常、ポリカーボネートの
重合に用いられている各種のものを用いることができ
る。その末端停止剤としては、具体的には、一価フェノ
ールとして、例えば、フェノール,o−n−ブチルフェ
ノール,m−n−ブチルフェノール,p−n−ブチルフ
ェノール,o−イソブチルフェノール,m−イソブチル
フェノール,p−イソブチルフェノール,o−t−ブチ
ルフェノール,m−t−ブチルフェノール,p−t−ブ
チルフェノール,o−n−ペンチルフェノール,m−n
−ペンチルフェノール,p−n−ペンチルフェノール,
o−n−ヘキシルフェノール,m−n−ヘキシルフェノ
ール,p−n−ヘキシルフェノール,p−t−オクチル
フェノール,o−シクロヘキシルフェノール,m−シク
ロヘキシルフェノール,p−シクロヘキシルフェノー
ル,o−フェニルフェノール,m−フェニルフェノー
ル,p−フェニルフェノール,o−n−ノニルフェノー
ル,m−ノニルフェノール,p−n−ノニルフェノー
ル,o−クミルフェノール,m−クミルフェノール,p
−クミルフェノール,o−ナフチルフェノール,m−ナ
フチルフェノール,p−ナフチルフェノール;2,5−
ジ−t−ブチルフェノール;2,4−ジ−t−ブチルフ
ェノール;3,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,5
−ジクミルフェノール;3,5−ジクミルフェノール;
p−クレゾール,ブロモフェノール,トリブロモフェノ
ールなどが挙げられる。その他、式(IV)
る。これらの一価フェノールは、それぞれ単独で用いて
もよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。そし
て、これらの一価フェノールのなかでは、p−t−ブチ
ルフェノール,p−クミルフェノール,p−フェニルフ
ェノールなどが好ましく用いられる。その他、分岐剤と
して、例えば、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフ
ェニル)エタン;α,α’,α”−トリス(4−ヒドロ
キシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼ
ン;1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニ
ル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロ
キシフェニル)エチル〕ベンゼン;フロログリシン,ト
リメリト酸,イサチンビス(o−クレゾール)等の官能
基を3つ以上有する化合物を用いることもできる。
テル化合物を状況に応じて使用することができる。この
ような炭酸ジエステル化合物の末端停止剤としては、例
えば、カルボブトキシフェニルフェニルカーボネート,
メチルフェニルブチルフェニルカーボネート,エチルフ
ェニルブチルフェニルカーボネート,ジブチルジフェニ
ルカーボネート,ビフェニルフェニルカーボネート,ジ
ビフェニルカーボネート,クルミフェニルフェニルカー
ボネート,ジクルミフェニルカーボネート,ナフチルフ
ェニルフェニルカーボネート,ジナフチルフェニルカー
ボネート,カルボプロポキシフェニルカーボネート,カ
ルボヘプトキシフェニルカーボネート,カルボメトキシ
−t−ブチルフェニルフェニルカーボネート,カルボプ
ロトキシフ,ニルメチルフ,ニルフェニルカーボネー
ト,クロマニルフェニルカーボネート,ジクロマニルカ
ーボネート等が挙げられる。
化合物とカーボネート化合物を用い、必要に応じて前記
末端停止剤あるいは触媒を配合して、エステル交換法で
ポリカーボネートを得るものであるが、このエステル交
換反応を第一反応帯域と第二反応帯域とで反応温度を変
え、不活性ガスを連続的にあるいは断続的に供給して反
応を進行させることを特徴とするものである。すなわ
ち、エステル交換反応にあたって、原料である(A)芳
香族ジヒドロキシ化合物,脂肪族ジヒドロキシ化合物,
芳香族ジヒドロキシ化合物のビスエステル類,脂肪族ジ
ヒドロキシ化合物のビスエステル類,芳香族ジヒドロキ
シ化合物のカーボネート類,または脂肪族ジヒドロキシ
化合物のカーボネート類である二価ヒドロキシ化合物
と、(B)炭酸ジアリール化合物,炭酸ジアルキル化合
物または炭酸アルキルアタール化合物であるカーボネー
ト化合物の比が、二価ヒドロキシ化合物に対して、カー
ボネート化合物を1〜1.5倍モルになるように配合す
る。なお、状況に応じて、カーボネート化合物の量は、
二価ヒドロキシ化合物に対して、多少過剰とする程度の
1.02〜1.20倍モルが好ましい。エステル交換反応
は、初期には粘度が低く、後半に粘度が高くなるので、
本発明においては、第一反応帯域と第二反応帯域あるい
はそれ以上にして、それぞれに適した装置を用い反応を
進行させる。この場合、第一反応帯域では、通常の攪拌
槽や横型攪拌機を使用することができる。また、第二反
応帯域では、横型の一軸あるいは二軸攪拌機やそのセル
フクリーニング型を使用することができる。更には、第
二反応帯域では、真空フラッシュ槽を設け、反応の途中
または最後に副生するフェノールを除去できるようにす
ると効果的である。
ボネート化合物とは、上記のように配合され、第一反応
帯域では、反応温度100〜280℃で溶解される。次
いで、不活性ガスを二価ヒドロキシ化合物に対して、0.
01〜2(重量比)の割合で供給し、エステル交換反応
させ、低分子量ポリカーボネートを含む反応混合物を生
成させる。ここで、各原料の溶解と反応は、同一の装置
で行ってもよいし、別々の装置で行ってもよい。また、
不活性ガスの供給方法は、特に制限されず、原料の溶解
時から行ってもよい。そして、反応温度が100℃未満
では、反応速度が遅くなり、また、280℃を超える
と、劣化などの副反応が起こり易くなり好ましくない。
エステル交換反応で副生するフェノールは、不活性ガス
流通下、常圧,加圧,もしくは減圧で除去される。エス
テル交換法の連続プロセスにおいては、同伴される原料
を反応器へ戻すため、反応器の上部もしくは外部に蒸留
塔を設けるのが好ましい。
連続的にあるいは断続的に供給して反応を進行させる
が、不活性ガス量は、副生するフェノールの生成量に応
じて供給される。この不活性ガス量は、上記の通り、二
価ヒドロキシ化合物に対して、0.01〜20(重量比)
の割合で供給し、エステル交換反応させる。不活性ガス
量が0.01(重量/重量)未満では、副生するフェノー
ルを充分に除去することができない。また、不活性ガス
量が20(重量/重量)を超えると、回収されるフェノ
ールに対して、不活性ガス量が増加し、回収が困難とな
る。そして、供給される不活性ガスは、不活性ガス中の
酸素濃度が10ppm以下、好ましくは2ppm以下、
さらに好ましくは0.2ppm以下のものが用いられる。
この不活性ガスを供給する際、圧力は、通常、−500
mmHg〜10kg/cm2 でよい。本発明において、
不活性ガスとしては、例えば、N2 ,He,Ar,N
e,CO2 等が使用できるが、工業的にはN2 が最も有
利である。第一反応帯域のエステル交換反応は、連続プ
ロセスもしくはバッチプロセスのいずれであってもよ
い。そして、このエステル交換反応は、必要に応じて、
装置の条件(温度,圧力等)に合わせて、反応器を二つ
以上に分けることもできる。このようにエステル交換反
応によって、第一反応帯域では、粘度平均分子量が1,0
00〜25,000の低分子量ポリカーボネートを含んだ
反応混合物が生成される。ここで、粘度平均分子量が1,
000未満では、次の第二反応帯域での反応負荷が大き
くなり、また、25,000を超えると、粘度が高くなり
過ぎて、通常の攪拌機では処理が困難となる。
帯域で、前記第一反応帯域で生成した反応混合物を、第
一反応帯域での反応温度より高く、且つ、200〜35
0℃の範囲で選定し、不活性ガスを二価ヒドロキシ化合
物に対して、0.002〜1(重量比)の割合で供給し、
エステル交換反応させることによって目的のポリカーボ
ネートを得ることができる。第二反応帯域でのエステル
交換反応を行う場合、その反応温度は、前記第一反応帯
域での反応温度である100〜280℃より高く、且
つ、200〜350℃の範囲である。第二反応帯域での
反応温度が200℃未満では、粘度が高過ぎてエステル
交換反応が困難となり、また、350℃を超えると、副
反応等によって品質の劣化があり好ましくない。そし
て、第二反応帯域においても、エステル交換反応にあた
っては、不活性ガスを二価ヒドロキシ化合物に対して、
0.002〜10(重量比)の割合で供給し、エステル交
換反応させる。ここで、不活性ガス量が0.002(重量
/重量)未満では、副生するフェノールを充分に除去す
ることができない。また、不活性ガス量が10(重量/
重量)を超えると、同伴される副生フェノールの回収困
難となる。
副生フェノールは、コンデンサーによって凝縮したり、
あるいは吸着法等、通常の回収方法によって回収され、
再使用することができる。また、副生フェノールを除去
した後、不活性ガスは、第1反応帯域でのエステル交換
反応に再使用することができる。第二反応帯域での圧力
は、通常、−500mmHg〜10kg/cm2 、好ま
しくは−300mmHg〜5kg/cm2 である。この
圧力が−500mmHg未満では、真空装置のコスト高
とあり、さらには酸素等の機器からのもれ込みが増える
可能性がある。また、10kg/cm2 を超えると、装
置コストが高くなり好ましくない。第二反応帯域のエス
テル交換反応は、連続プロセスもしくはバッチプロセス
のいずれであってもよい。そして、このエステル交換反
応にあって、反応器としては、通常の攪拌機能を有する
ものであれば、型式には制限はないが、第一反応帯域よ
り粘度が上昇するので、高粘度型の攪拌機能を有するも
のがよい。これらには、一軸または二軸の横型攪拌機や
通常の押出機等を用いることができる。このように第一
反応帯域で生成した反応混合物を、第二反応帯域でエス
テル交換反応を行うことによって、粘度平均分子量が1
0,000〜50,000のポリカーボネートを得ることが
できる。そして、得られたポリカーボネートは、そのま
ま造粒し、あるいは各種添加剤を加えてから造粒し、適
宜所望の成形品の成形に供される。
反応帯域と第二反応帯域は、厳密には区別されるもので
は無いが、反応が効率よく行われるよう設定される。こ
のため、通常は、前記の通り、第二反応帯域の反応温度
は、第一反応帯域の反応温度より高く設定される。この
結果、第一反応帯域で、二価ヒドロキシ化合物の添加率
は、通常、4〜99%、第二反応帯域で、40〜100
%とされる。なお、第一反応帯域と第二反応帯域は、条
件に応じて、2工程あるいはそれ以上にしてもよい。そ
して、本発明におけるエステル交換反応の時間は、目標
の分子量となるまで行えばよく、通常、0.2〜10時間
である。また、エステル交換反応にあたっては、必要に
応じて、反応の全工程、または後工程(第二反応帯域)
で酸化防止剤を使用することができる。この酸化防止剤
としては、例えば、トリス(ノニルフェニル)ホスファ
イト,トリスフェニルホスファイト,2−エチルヘキシ
ルジフェニルホスファイト,トリメチルホスファイト,
トリエチルホスファイト,トリクレジルホスファイト,
トリアリールホスファイト等のリン系酸化防止剤が挙げ
られる。さらに、それぞれの反応帯域に供給されるN2
等の不活性ガスは、そのまま供給されてもよいが、反応
温度の低下をさけるため、予め反応温度前後に加熱して
おくと、反応を効率的に進める上で好ましい。
スを供給することによる効果としては、判然とはしない
が、次の理由が考えられる。すなわち、不活性ガス、溶
融物に含まれることによって、見掛け粘度が低下し、反
応を迅速に進めることができる。また、気相界面が増加
し、効率的に副生物を除去できるため、反応性を向上さ
せることができる。そして、反応後期(第二反応帯域)
において、超高真空(0.01〜1torr) を必要としない
ため、空気のもれ等を殆ど皆無とすることができる等が
推察される。本発明の製造方法の一例の概略を示すと、
図1のようになる。
詳しく説明する。 実施例1 内容積1.4リットルのステンレス(SUS316)製の
オートクレーブ(ヘリカル型攪拌翼付き)に、ビスフェ
ノールA228g(1モル)と、ジフェニルカーボネー
ト(炭酸ジフェニル)257g(1.2モル)を仕込み、
窒素ガスで充分にパージさせた後、180℃まで加熱
し、溶解した。次いで、180℃から220℃まで昇温
し、同時に窒素ガスを800ミリリットル/min (1g
/min )で連続的に吹き込んだ。なお、窒素ガスは、オ
イルパス中の加熱コイルによって、220℃まで昇温し
た。ほどなく、オートクレーブ上部より抜き出している
窒素ガス中に、フェノールが存在することを分析によっ
て確認した。この状態で、約2.5時間エステル交換反応
を行って反応混合物を生成させた。この反応混合物の生
成したポリカーボネートの粘度平均分子量は、2,200
と低分子量ポリカーボネートであった。続いて、220
℃から280℃まで昇温すると同時に、窒素ガスを50
0ミリリットル/min (約0.63g/min )で連続的に
吹き込み、エステル交換反応を進めた。この反応を3.5
時間行い、オートクレーブ内に粘稠で透明なポリカーボ
ネートを得た。得られたポリカーボネートを塩化メチレ
ンに溶解し、粘度平均分子量を測定した結果、このポリ
カーボネートの粘度平均分子量は、22,500であっ
た。得られたポリカーボネートを粉砕し、220〜27
0℃で押出機で造粒、ペレット化した。このペレットを
射出成形し、得られた成形品のYI(Yellowness Inde
x)及び温水引張強度を測定した。得られた結果を第3
表に示す。
表および第2表に従って変更した以外は、実施例1と同
様に実施した。得られた結果を第3表に示す。なお、粘
度平均分子量,YI及び温水引張強度の測定は、次に従
った。 1)粘度平均分子量(Mv) ウベローデ型粘度管にて、20℃における塩化メチレン
溶液の粘度を測定し、これより極限粘度〔η〕デシリッ
トル/gを求めた後、次式にて算出した。 〔η〕=1.23×10-5Mv0.83 2)YI(Yellowness Index) カラーメーターSM−3〔スガ試験機(株)製〕を用
い、JIS K−7103−77に準拠して測定した。 3)温水引張強度 80℃の温水に16時間浸漬した後、2時間後にJIS
K−7113−81に準拠して測定した。
ボネート257g(1.2モル),ジフェニルエーテル2
8.2g(0.17モル,10重量%)及び末端停止剤とし
て、p−クミルフェノール6.8g(ビスフェノールAに
対して、0.05モル)を仕込んだこと以外は、実施例1
と同様に実施した。第一反応帯域で生成したポリカーボ
ネートの粘度平均分子量は、1,800と低分子量ポリカ
ーボネートであった。最後に、オートクレーブに残った
粘稠で透明なポリカーボネートについて、同様に粘度平
均分子量を測定した結果、20,500であった。
ボネート257g(1.2モル),ジフェニルエーテル2
8.2g(0.17モル,10重量%)及び触媒として、ホ
ウ酸0.018g,15%のテトラメチルアンモニウムヒ
ドロキサイド水溶液0.18g及び炭酸水素ナトリウム0.
003gを仕込んだこと以外は、実施例1と同様に実施
した。第一反応帯域で生成したポリカーボネートの粘度
平均分子量は、2,100と低分子量ポリカーボネートで
あった。最後に、オートクレーブに残った粘稠で透明な
ポリカーボネートについて、同様に粘度平均分子量を測
定した結果、24,000であった。
8と同様に実施した。第一反応帯域で生成したポリカー
ボネートの粘度平均分子量は、650と低分子量ポリカ
ーボネートであった。得られたポリカーボネートについ
て、同様に粘度平均分子量を測定した結果、9,200で
あった。
オートクレーブ(アンカー型攪拌翼付き)に、ビスフェ
ノールA4,000gを仕込み、窒素ガスで充分にパージ
させた後、180℃まで加熱し、溶解した。また、同じ
サイズの別のオートクレーブに、ジフェニルカーボネー
ト8,000gを仕込み、窒素ガスで充分にパージさせた
後、180℃まで加熱し、溶解した。上記各原料を小型
のギヤー式ポンプにて、内容積5リットルのステンレス
(SUS316)製のオートクレーブ(ヘリカル型攪拌
翼付き)に連続的に供給した。供給速度は、ビスフェノ
ールAは342g/時間、ジフェニルカーボネートは1,
885g/時間で供給した。同時に、窒素ガスを1,20
0ミリリットル/分(1.51g/min )の速度でオート
クレーブの底部より供給した。なお、オートクレーブは
220℃に加熱しておいた。また、窒素ガスも220℃
に加熱した。オートクレーブでの滞留時間を約3時間程
度となるように、連続的に混合物を底部より抜き出し、
KRCニーダー〔栗本鉄工所(株)製,(2inch,L/
D=12,1.2リットル)に供給し、第一反応帯域での
エステル交換反応を行い、反応混合物を生成させた。な
お、ジャケットは、240℃に加熱し、混合物供給部に
窒素ガスを750ミリリットル/分で供給し、吐出口付
近のベント部よりガスを排出した。第一反応帯域で生成
したポリカーボネートの粘度平均分子量は、2,800と
低分子量ポリカーボネートであった。次いで、得られた
反応混合物を上記と同じサイズのKRCニーダーに供給
し、同じように窒素ガスを750ミリリットル/分の速
度で供給し、エステル交換反応を行った。なお、KRC
ニーダーは280℃に加熱した。得られたポリカーボネ
ートについて、同様に粘度平均分子量を測定した結果、
19,300であった。
れぞれモノマー、窒素ガスの量、反応時間等の反応条件
を第4表及び第5表に示す。また、実施例8〜10及び
比較例5で得られたポリカーボネートについては、実施
例1と同様にして成形し、成形品のYI(Yellowness I
ndex)及び温水引張強度を測定した。その結果を第6表
に示す。
化合物とカーボネート化合物を用い、第一反応帯域と第
二反応帯域での反応温度を変え、不活性ガスを供給し
て、エスル交換反応を行うことによって、容易にポリカ
ーボネートを得ることができる。本発明の製造方法によ
って得られるポリカーボネートは、色相や機械的強度に
優れ、光学部品,機械部品,電機・電子部品,自動車部
品などに好適に用いられる。
る。
一反応槽, D:熱交換器(第一反応の窒素ガス
用),E:モノマー回収装置, F:第二反応槽,
G:熱交換器(第二反応の窒素ガス用), H:モノマ
ー回収装置,J:第一反応槽, K:熱交換器(第三
反応の窒素ガス用),L:造粒装置,1:BPA,
2:DPC,3:窒素ガス(第一反応用),4:窒素ガ
ス(第二反応用), 5:窒素ガス(第三反応用)
Claims (3)
- 【請求項1】 第一反応帯域で、(A)二価ヒドロキシ
化合物と(B)カーボネート化合物を反応温度100〜
280℃にて、且つ、不活性ガスを二価ヒドロキシ化合
物に対して、0.01〜20(重量比)の割合で供給し、
エステル交換反応させて粘度平均分子量が1,000〜2
5,000の低分子量ポリカーボネートを含む反応混合物
を生成させ、次いで、第二反応帯域で、上記反応混合物
の反応温度を第一反応帯域より高く、且つ、200〜3
50℃にて、不活性ガスを二価ヒドロキシ化合物に対し
て、0.002〜10(重量比)の割合で供給し、エステ
ル交換反応させて粘度平均分子量が10,000〜50,0
00のポリカーボネートを製造することを特徴とするポ
リカーボネートの製造方法。 - 【請求項2】 第一反応帯域及び第二反応帯域において
用いられる不活性ガス中の酸素濃度が、10ppm以下
であることを特徴とする請求項1記載のポリカーボネー
トの製造方法。 - 【請求項3】 第一反応帯域及び第二反応帯域の圧力を
−500mmHg/cm2 以上とすることを特徴とする
請求項1記載のポリカーボネートの製造方法。
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---|---|---|---|
JP03800393A JP3334723B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | ポリカーボネートの製造方法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1095957A1 (en) * | 1998-06-05 | 2001-05-02 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | Process for producing aromatic polycarbonate |
US7084233B2 (en) * | 2002-04-22 | 2006-08-01 | Mitsubishi Chemical Corporation | Aromatic polycarbonate, process for producing the same, polycarbonate composition, and hollow container obtained from the same |
US7528213B2 (en) | 2004-06-14 | 2009-05-05 | Asahi Kasei Chemicals Corporation | Method for efficiently producing an aromatic polycarbonate |
CN103965456A (zh) * | 2013-01-30 | 2014-08-06 | 第一毛织株式会社 | 用于制备聚碳酸酯树脂的方法 |
-
1993
- 1993-02-26 JP JP03800393A patent/JP3334723B2/ja not_active Expired - Fee Related
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EP1095957A4 (en) * | 1998-06-05 | 2002-01-23 | Asahi Chemical Ind | PROCESS FOR PRODUCING AROMATIC POLYCARBONATE |
KR100420017B1 (ko) * | 1998-06-05 | 2004-02-25 | 아사히 가세이 가부시키가이샤 | 방향족 폴리카르보네이트의 제조 방법 |
US7084233B2 (en) * | 2002-04-22 | 2006-08-01 | Mitsubishi Chemical Corporation | Aromatic polycarbonate, process for producing the same, polycarbonate composition, and hollow container obtained from the same |
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CN103965456A (zh) * | 2013-01-30 | 2014-08-06 | 第一毛织株式会社 | 用于制备聚碳酸酯树脂的方法 |
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