JPH06232775A - Ｆｍ多重受信機のデータ誤認識防止回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 受信中にマルチパス妨害信号等の妨害信号の
影響を受けた場合に、多重データを誤って認識して誤表
示することを防止する。 【構成】 ノイズ検出・基準レベル設定部８がマルチパ
ス妨害信号等の妨害信号によって発生するノイズを検出
し、検出されたノイズレベルに基づき所定の基準レベル
を設定する。そこで、比較器９がその基準レベルと副搬
送波に重畳された多重データ信号レベルとを比較し結果
を出力する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ＦＭ多重受信機のデー
タ誤認識防止回路に係わり、特にマルチパス等の妨害信
号に対するデータチャンネルの妨害耐性を強めることが
できるＦＭ多重受信機のデータ誤認識防止回路に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来より、移動体受信機としてのカーラ
ジオでは、交通情報等のデータ情報を容易に入手できる
ことに加えて、その他の有益なデータ情報の提供が求め
られている。現状において、ヨーロッパでは、ＥＢＵ
（ヨーロッパ放送連合）によりＲＤＳ（ラジオデータシ
ステム）が実用化されている。一方、日本では電気通信
技術審議会により既存のＦＭ放送電波、設備を有効活用
し、可能な範囲で付加情報を提供するためのＦＭ多重放
送が提案され、実用化されつつある。

【０００３】このＦＭ多重放送は、ＦＭ放送信号にデジ
タルの各種データ情報を重畳して伝送する方式であり、
伝送内容としては、 （１）文字、および図形 （２）受信機制御信号（付加情報） がある。

【０００４】符号化方式は現在実用化されているＴＶ多
重文字放送と共通化されていると共に、簡略化されてい
る。すなわち、ＴＶ多重文字放送とＦＭ多重文字・図形
放送との番組制作などにおける番組交換を容易にするた
めである。符号化され伝送されてくる文字や図形集合の
概要とその制御を以下に示す。また、現在考えられてい
る付加情報内容を以下に示す。 （１）文字集合 漢字、ひらがな、カタカナ、英数字、動的再定義キャラ
クタセット、モザイク、ジオメトリック、その他。 （２）図形 画素で伝送するフォトグラフィック図形、文字符号で伝
送するモザイク図形・動的再定義キャラクタセット図
形、図形記述命令符号で伝送するジオメトリック図形。 （３）文字制御 文字サイズ制御、色制御、フラッシング、コンシールな
ど。 （４）付加情報 放送局名、番組のカテゴリー、時刻、番組識別、交通情
報フラグ、放送局識別、代替周波数リストなど。

【０００５】このように、ＦＭ多重放送では受信してい
るＦＭ放送に各種メッセージが多重送信されてくるた
め、今までにない情報の入手が可能となる。また、移動
受信用ＦＭ多重放送はＦＭ放送信号のベースバンド上の
７６ｋＨｚの副搬送波にディジタルデータ信号（多重デ
ータ信号）を多重するものでステレオサブ信号レベルに
応じて多重レベルを可変するＬ−ＭＳＫ（レベル・コン
トロールド・モジュレーション・シフト・キーイング）
変調方式がとられている。また、多重データ信号のビッ
トレートは１６ｋｂｐｓであり、その変調度としては４
〜１０％である。

【０００６】図４はＬ−ＭＳＫ変調方式に関する多重デ
ータ信号変調度コントロールカーブの一例を示す説明図
である。図４を参照すると、縦軸は多重データ信号変調
度を示し、横軸はステレオサブ信号変調度を示してい
る。すなわち、この図ではステレオサブ信号変調度が
２．５％までは多重データ信号変調度は４％一定であ
り、該変調度が２．５％から５％に到るまでは多重デー
タ信号変調度は４％から最大１０％まで変化する。該変
調度が５％を越えると、多重データ変調度は最大１０％
一定となることを示している。このようにステレオサブ
信号の変調度に応じて多重データ信号の変調度が変化す
るような変調方式になっている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Ｌ−Ｍ
ＳＫ変調方式で多重データ信号を重畳している従来のＦ
Ｍ多重受信機において、このように多重データ信号の変
調度を可変する目的はステレオサブ信号によるデータチ
ャンネルへの妨害をなくすためであるが、マルチパス妨
害信号等の外来の妨害信号に対しては何等の効力もない
ので、マルチパス妨害信号の影響を受けた場合には多重
データを誤認識してしまうという問題点があった。以上
から本発明の目的は、このように受信中にマルチパス妨
害信号等の妨害信号の影響を受けた場合に、多重データ
を誤って認識して誤表示することを防止するＦＭ多重受
信機のデータ誤認識防止回路を提供するにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題は本発明におい
ては、ＦＭ多重放送信号の中の副搬送波に重畳されてい
る多重データ信号を復調し、利用するＦＭ多重受信機に
おいて、マルチパス妨害信号等の妨害信号によって発生
するノイズを検出するノイズ検出手段と、該ノイズ検出
手段により検出されたノイズレベルに基づき所定の基準
レベルを設定する基準レベル設定手段と、該基準レベル
設定手段により設定された前記基準レベルと副搬送波に
重畳された多重データ信号レベルとを比較し結果を出力
する比較器とを備え、前記ノイズ検出手段によりノイズ
が検出されたとき、前記多重データ信号に含まれるノイ
ズを除去するようにしたことにより達成される。

【０００９】

【作用】上記構成のＦＭ多重受信機において、ノイズ検
出手段がマルチパス妨害信号等の妨害信号によって発生
するノイズを検出する。そして、ノイズ検出手段により
検出されたノイズレベルに基づき基準レベル設定手段が
所定の基準レベルを設定する。そこで、比較器がその基
準レベルと副搬送波に重畳された多重データ信号レベル
とを比較し、多重データ信号に含まれるノイズを除去す
る。

【００１０】

【実施例】図１は本発明に係るデータ誤認識回路を具備
するＦＭ多重受信機の要部ブロック図である。まず、構
成を説明すると、１はＰＬＬ回路であり、受信すべき局
に応じた所定の電圧信号をＦＭフロントエンド２へ出力
する。ＦＭフロントエンド２は、電圧信号に基づいてア
ンテナＡＮＴから入力される放送局を受信し、所定の中
間周波数信号（ＩＦ）を発生する。３は中間周波検波増
幅器であり、ＦＭフロントエンド２により変換された中
間周波数信号を所定のレベルまで増幅し、検波する。

【００１１】４はＮＣ＋ＭＰＸ（ノイズキラーコントロ
ール回路＋マルチプレックス回路）であり、中間周波検
波増幅器３から検波信号を入力して検波信号に含まれる
イグニッショノイズ等のパルス性の自動車ノイズを除去
すると共に、該検波信号をステレオ信号に復調する。５
はＡＭＰ（増幅器）であり、ステレオ信号を図示しない
ボリューム設定値に応じて増幅する。６はスピーカーで
あり、ＡＭＰ５により駆動され、音声信号を出力する。
７は多重データ信号が含まれている副搬送波７６ｋＨｚ
を取り出すためのＢＰＦ（バンドパスフィルター）であ
る。

【００１２】８はマルチパス妨害信号等の妨害信号で、
検波信号が位相変調を受けることにより発生するノイズ
をＮＣ＋ＭＰＸ４から検出し、そのノイズレベルに基づ
き後述する比較器の基準レベルを設定するノイズ検出・
基準レベル設定部である。９は比較器であり、ノイズ検
出・基準レベル設定部８で設定された基準レベルと副搬
送波に重畳された多重データ信号レベルとの比較をして
結果を出力する。すなわち、ノイズ検出・基準レベル設
定部８により検出されたノイズレベルが大きいときには
比較器８の基準レベルを下げることで相対的に多重信号
レベルを増加して妨害信号によるデータチャンネルへの
妨害をなくすようにしている。

【００１３】ここで、この比較器９の動作に関して詳細
に説明する。図２は本発明に係る比較器９の動作を示す
第１の説明図である。図２を参照すると、比較器入力
（比較器の＋入力）はステレオサブ信号のレベルに応じ
て多重データ信号レベルが変化している状態を示してい
る。比較器９の基準レベルＶｒｅｆ．Ａは多重レベル最
低の４％に相当する電圧レベルに設定されており、この
設定レベルに基づき同図のような比較器出力を生ずる。
これが比較器９の動作の基本形である。

【００１４】図３は本発明に係る比較器９の動作を示す
第２の説明図である。図３を参照すると、比較器入力は
ステレオサブ信号に応じてレベルが変化している多重デ
ータ信号にノイズが重畳されている状態を示しており、
従来の基準電圧はＶｒｅｆ．Ａ固定であるので、同図
（ａ）のような断続的な信号となり、多重データの欠落
が多いと誤認識して誤表示する場合がある。本発明では
ノイズ検出・基準レベル設定部８からのノイズレベルに
基づき基準レベルを設定するので、ノイズレベルが大の
ときは基準レベルとしてはＶｒｅｆ．Ａより低いＶｒｅ
ｆ．Ｂとなる。したがって、同図（ｂ）のようなデータ
欠落のない一定した比較器出力が得られる。

【００１５】１０はＦＭ多重デコーダ回路であり、所定
の送信タイミングで送られてくるＬ−ＭＳＫ方式により
変調された多重データ信号を復調する。１１はエラー訂
正回路であり、ＦＭ多重デコーダ回路１０により復調さ
れたＦＭ多重データの誤りを、グループ毎に同期を取り
ながら検出し、その誤りを訂正する。

【００１６】１２はシグナルメータ回路であり、中間周
波検波増幅器３から出力される中間周波数信号の信号強
度（例えば電界強度）を監視することにより受信局の受
信状態のレベルを検出する。

【００１７】１３はＦＭ多重データから文字、図形等を
表示するための表示部である。１４はＦＭ多重受信機の
全体動作を制御する制御部であり、多重データに基づき
文字、図形等の表示を表示部１３に表示させる。

【００１８】以下、図１のデータ誤認識回路を具備する
ＦＭ多重受信機の動作を詳細に説明する。ＦＭ多重受信
機の操作部（図示せず）を操作してＰＬＬ回路１より出
力される所定の放送局の周波数に対応する電圧信号に基
づき多重データ信号が重畳されている放送電波をアンテ
ナＡＮＴを介してＦＭフロントエンド２が受信し、中間
周波数に変換して出力する。

【００１９】中間周波数検波回路３は前記中間周波数を
入力されて検波し、検波信号として出力する。検波信号
はＮＣ＋ＭＰＸ４に入力されると共に、他方ＢＰＦ７で
多重データ信号が重畳されている７６ｋＨｚの副搬送波
を取り出され比較器９に入力される。同時に、ノイズ検
出・基準レベル設定部８はＮＣ＋ＭＰＸ４からマルチパ
ス妨害信号等の妨害信号によるノイズを検出し、そのノ
イズレベルに対応した基準レベルを比較器９に設定す
る。比較器９はこの基準レベルと副搬送波に重畳された
多重信号レベルとの比較をして、該ノイズを除去し、デ
ータ欠落のない振幅一定の比較器出力を出力する。

【００２０】そして、比較器出力はＦＭ多重デコーダ回
路１０に入力され、多重データ信号に復調され、エラー
訂正回路１１でデータの誤りを訂正された後に制御部１
４に入力される。多重データ信号を入力された制御部１
４はこの多重データ信号に基づき表示部１３に文字、図
形等を表示させる。

【００２１】

【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、ＦＭ多重放送信号の中の副搬送波に重畳されている
多重データ信号を復調し、利用するＦＭ多重受信機にお
いて、マルチパス妨害信号等の妨害信号によって発生す
るノイズを検出するノイズ検出手段と、該ノイズ検出手
段により検出されたノイズレベルに基づき所定の基準レ
ベルを設定する基準レベル設定手段と、該基準レベル設
定手段により設定された前記基準レベルと副搬送波に重
畳された多重データ信号レベルとを比較し結果を出力す
る比較器とを備え、前記ノイズ検出手段によりノイズが
検出されたとき、前記多重データ信号に含まれるノイズ
を除去するようにしたたので、マルチパス妨害信号等の
妨害信号による多重データの誤認識をすることがなく、
正確な表示をするという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るデータ誤認識回路を具備するＦＭ
多重受信機の要部ブロック図である。

【図２】本発明に係る比較器９の動作を示す第１の説明
図である。

【図３】本発明に係る比較器９の動作を示す第２の説明
図である。

【図４】Ｌ−ＭＳＫ変調方式に関する多重データ信号変
調度コントロールカーブの一例を示す説明図である。

【符号の説明】

１ ＰＬＬ回路 ２ ＦＭフロントエンド ３ 中間周波検波増幅器 ４ ＮＣ＋ＭＰＸ（ノイズキラーコントロール回路＋マ
ルチプレックス回路） ７ ＢＰＦ（バンドパスフィルター） ８ ノイズ検出・基準レベル設定部 ９ 比較器 １０ ＦＭ多重デコーダ回路 １１ エラー訂正回路 １３ 表示部 １４ 制御部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ＦＭ多重放送信号の中の副搬送波に重畳
   されている多重データ信号を復調し、利用するＦＭ多重
   受信機において、 マルチパス妨害信号等の妨害信号によって発生するノイ
   ズを検出するノイズ検出手段と、 該ノイズ検出手段により検出されたノイズレベルに基づ
   き所定の基準レベルを設定する基準レベル設定手段と、 該基準レベル設定手段により設定された前記基準レベル
   と副搬送波に重畳された多重データ信号レベルとを比較
   し結果を出力する比較器とを備え、 前記ノイズ検出手段によりノイズが検出されたとき、前
   記多重データ信号に含まれるノイズを除去するようにし
   たこと、 を特徴とするＦＭ多重受信機のデータ誤認識防止回路。