JPH06232474A - 積層型圧電素子の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 積層型圧電素子の製造において、不良および
工数を低減し、環境問題も解消する。 【構成】 圧電材料と内部電極とが交互に積層されてい
る積層型圧電素子を製造するにあたり、スライス加工後
に、少なくとも内部電極が露出する素子側面にショット
ブラスト処理を施す。これによって、スライス加工され
た面の研削屑を取り除くラップ工程を省略することがで
き、また、内部電極端部が圧電材料の端面より突出しそ
の表面積も多いため、外部電極との接続も確実に行なわ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、圧電材料の薄膜を多数
枚積層し、電圧を印加することにより縦方向の変位を得
る積層型圧電素子の製造方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】積層型圧電素子を製造する場合、焼結状
態から最終的な形状にするまでに数種類の加工工程があ
る。例えば、図１に示すような外観の圧電素子の場合、
両端面および側面の６つの面は全て加工により得られる
面である。通常、図２に示すような焼結積層体の上下面
に平面加工およびラップ加工を施し、その後、ダイヤモ
ンドカッター等でスライス加工を行い、素子１個分の大
きさ（以下、素子片と称する）にする。このスライス加
工は、積層された内部電極を横切るために電極材料の研
削屑が塑性変形により長く延びた状態になり、内部電極
同士が短絡してしまう場合もある。このため、内部電極
を横切ってスライス加工した後、ＷＡ等の遊離砥粒でラ
ップ加工を行い、内部電極の研削屑の除去を行ってい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、素子の
スライス面は複数あるため、全てのスライス面をラップ
加工するには、素子片を数回取り付け直してラップ加工
しなければならず、工数が多くなりコストが高くなる。
また、圧電材料は磁性がないため、マグネットチャック
は不可能であり、素子片はワックス等で固定することに
なるが、加工後ワックスを除去するために洗浄が必要に
なり、さらに工数が増すだけでなく、洗浄液等の環境保
全の問題がある。また、ラップ加工後の素子面は、図３
に示すように内部電極端部と圧電材料の端面とが平坦面
になっており、希に外部電極とつながりきらず、接続不
良を起こす場合もあった。

【０００４】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、ラップ工程を省略することによ
り、不良および工数を低減しコストを下げるとともに、
洗浄工程にともなう環境問題に対処することを目的とし
ている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の積層型圧電素子の製造方法は、少なくとも内
部電極が露出する素子側面にショットブラスト処理を施
すようにしている。

【０００６】

【作用】上記の構成を有する本発明の製造方法によれ
ば、ワックス等を用いることなく、スライス加工された
面の研削屑を取り除くことができる。また、これと同時
に、内部電極端部を圧電材料の端面から突出させ、投射
材の衝突により内部電極端部を押し広げ表面積を増加さ
せる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面を
参照して説明する。

【０００８】先ず、ＰＺＴを主成分とする圧電材料を所
望の組成に混合した後、８５０℃で仮焼成した粉末に５
重量部のバインダーと微量の可塑材および消泡剤を添加
し、有機溶媒中に分散させスラリー状にする。このスラ
リーをドクターブレード法により所定の厚さに成形しグ
リーンシートとする。このグリーンシート上に内部電極
としてＰｄペーストをスクリーン印刷し、所定寸法に打
ち抜いたものを所定枚数積層し熱プレスにより一体化す
る。５００℃で脱脂後、約１２００℃で焼結を行い、図
２に示すように数十ミリ角の焼結ブロック（焼結積層
体）２０とする。

【０００９】焼結ブロック２０は、最初に上下面２１、
２２を内部電極１１と平行に平面研削をし、必要により
ラッピングをして素子の高さを揃える加工を行う。次に
ダイヤモンドカッターにより、内部電極荷と垂直に短冊
状にスライス加工をする。切り出された素子片は、数十
〜数百個単位でブラスト機に備え付けてあるバレルに入
れ、回転させながら均一に投射材が当たるようにセッテ
ィングする。投射材は＃３００（約６０μｍ）のガラス
ビーズを用い、エアー圧２ｋｇｆ／平方ｃｍで約３分間
ショットブラスト処理を行う。次に、バレルを回転させ
たままで数十秒間エアーを吹きかけてガラスビーズを取
り除く。

【００１０】このショットブラスト処理によって、図４
に示すように、処理前は同図二点鎖線で示す位置にあっ
た圧電材料１２の端面が同図実線で示す位置まで削ら
れ、結果としてブラスト処理によっても削られなかった
内部電極１１の端部が圧電材料１２の端面から突出し、
かつその突出した内部電極１１の端部が投射材の衝突に
よって押し広げられ、表面積が増加する。

【００１１】このようにして得られた素子片は、ＰＺＴ
を主成分とする圧電材料１１の膜とパラジュウム（Ｐ
ｄ）を主成分とする内部電極１２とが交互に重なる積層
体をなしており、外部電極によって内部電極１２を一層
おきに接続した後、エポキシ樹脂等で外装され、分極処
理を施して積層型圧電素子として完成する。

【００１２】例えば、図１に示すように、素子片の対向
する側面１６、１７上にそれぞれ積層方向に連続する絶
縁層１３を形成し、その絶縁層１３上に連続する外部電
極１４を形成するとともに、その外部電極１４を、複数
の接続層１５によってそれぞれの面で層をずらして一層
おきに内部電極１２に接続する。

【００１３】この内部電極１２の接続は、図１に示され
る方法に限定されることなく、例えば、特開５８−１９
６０６８号公報などに示されるように、素子片の対向す
る一対の側面において、露出する内部電極の周りにそれ
ぞれの面で層をずらして一層おきに絶縁層を形成し、絶
縁層を形成していない露出したままの内部電極を、それ
ぞれ連続する外部電極によって接続するようにしてもよ
い。

【００１４】尚、本発明は上述した実施例に限定される
ものではなく、その主旨を逸脱しない限り種々の変更を
加えることができる。例えば、ガラスビーズの代わりに
ＷＡの砥粒を用いると、内部電極の周辺を残して圧電材
料の端面をさらに掘り下げることができる。また、バレ
ルの代わりに専用の治具を用いてもよい。

【００１５】

【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明の積層型圧電素子の製造方法は、特にスライス加
工された面の研削屑を取り除くにあたって、素子片を付
け替える必要もなく、ワックス等を用いず加工すること
ができるため工数が低減でき、洗浄工程にともなう環境
問題も解消する。また、内部電極端部が圧電材料の端面
より突出しその表面積も多いため、外部電極との接続不
良も皆無とし得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は積層型圧電素子完成品の斜視図である。

【図２】図２は焼結後の積層ブロックの斜視図である。

【図３】図３はラップ加工後の素子側面部の拡大断面図
である。

【図４】図４は本発明のブラスト処理を施した素子側面
部の拡大断面図である。

【符号の説明】

１１ 圧電材料 １２ 内部電極 １３ 絶縁層 １４ 外部電極 １５ 接続層

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】圧電材料と内部電極とが交互に積層されて
   いる積層型圧電素子の製造方法において、少なくとも内
   部電極が露出する素子側面にショットブラスト処理を施
   すことを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
2. 【請求項２】ショットブラスト処理により内部電極端部
   を圧電材料の端面より突出させることを特徴とする請求
   項１に記載の積層型圧電素子の製造方法。