JPH06206505A - 振動を緩和するルーフライニングの構造及び吸音性のモールド部分 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ２００ヘルツ以下、特に３０−１５０ヘルツ
の領域の振動をシステム重量を増すことなく効果的に緩
和し、吸音効果を非常に広範囲に亘って維持し得るル−
フライニングの構造を完成させることを目的とする。 【構成】 少なくとも車体部分と、多孔性の材料、とり
わけプレス加工された不織布から形成され、音を吸収す
るモ−ルド部分とを備え、前記車体部分の低周波の振動
緩和のために、前記モ−ルド部分が自己支持に形成さ
れ、前記車体部分に向けられた前記モ−ルド部分の側面
が異方性の空気抵抗構造をなしており、とりわけ格子に
似た構造を有する表面と該構造の側面を有する前記自己
支持のモ−ルド部分が車体部分に密着していることを特
徴とする、振動を緩和するル−フライニングの構造。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも、車体部分
及び吸音性のモ−ルド部分の振動を緩和するル−フライ
ニングの構造に関する。また、本発明は、このような、
振動を緩和するル−フライニングに適合した吸音性のモ
−ルド部分に関する。

【０００２】

【従来技術及びその問題点】このようなモ−ルド部分を
有するル−フライニングの構造は、全ての種類の車両、
主として乗用車、観光バス、トラック運転手のボック
ス、鉄道や飛行機に適用され、あらゆる種類の機械の運
転室にも利用できる。ル−フライニングは、元来、単に
美的な理由、つまり車体又はボックスの天井の装飾を目
的として取付られたものである。しかし、今日ル−フラ
イニングは技術的課題を果たすため、とりわけ音の吸収
のために利用されている。個々の車体部分に通気孔の多
いフォ−ムプラスチックマットあるいは不織布マットを
張り付けると、乗客ボックス内部に生じる音場を非常に
良く吸収することが知られている。しかしながら、個々
の車体部分、とりわけ車両の屋根の振動によって生じる
音場の緩和は、この伸縮性に富むマットによっては不十
分であったり全く不可能であったりすることが見出ださ
れた。この音は低周波の振動で不愉快なものである。そ
のため、振動する車体部分に梁を付設したり、適切な材
料を広い面積に亘って張り付けたりする等の補強措置が
既に試みられている。だが、このような措置は、或る限
度までしか振動緩和に役立たず、ル−フライニングの総
重量を増し、個々の車両の製造コストを高めている。

【０００３】

【発明が解決使用とする課題】本発明の課題は、それゆ
え、従来の振動緩和システムを否定するのではなく、２
００ヘルツ以下、特に３０−１５０ヘルツの領域の振動
をシステム重量を増すことなく効果的に緩和し、吸音効
果を非常に広範囲に亘って維持し得るル−フライニング
の構造を完成させることにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、前記課
題は、少なくとも車体部分と、多孔性の材料、とりわけ
プレス加工された不織布から形成され、音を吸収するモ
−ルド部分とを備え、前記車体部分の低周波の振動緩和
のために、前記モ−ルド部分が自己支持に形成され、前
記車体部分に向けられた前記モ−ルド部分の側面が異方
性の空気抵抗構造をなしており、とりわけ格子に似た構
造を有する表面と該構造の側面を有する前記自己支持の
モ−ルド部分が車体部分に密着していることを特徴とす
る、振動を緩和するル−フライニングの構造により解決
される。また、多孔性の材料、とりわけプレス加工され
た不織布から形成され、前記モ−ルド部分が自己支持で
あり、前記モ−ルド部分の少なくとも１つの側面が、側
面方向の空気の動きが斜めのそれより空気抵抗が小さ
く、とりわけ前記モ−ルド部分が格子に似た構造を有す
る表面を備えていることを特徴とする吸音性のモールド
部分によって解決される。

【０００５】本発明に係るル−フライニングの構造は、
実質的に、多孔性の吸音部分が少なくとも車体部分に向
いた面において、例えば格子縞状構造の表面とされ、該
表面が車体部分に密着していることにより優れた吸音効
果を得ることができる。この際、吸音効果を得るための
表面の特殊な構造は標準的ではない。この構造の意図
は、車体部分の振動によって引き起こされた空気の動き
が、表面に平行な平面の方向では斜めの方向より妨げら
れることが少ないことにある。この空気抵抗構造の最善
の寸法は専門家の技術的能力と知識に任せられる。発明
における更に基本的な特徴は、モ−ルド部分が自己支持
である、すなわち車体部分に吊す必要がないことであ
る。モ−ルド部分が、とりわけ支え箇所の中の音と振動
を緩和する変形のまわりのモ−ルド部分の吸収凸部を強
化するために、個々に車体部分に固定され得るのは自明
のことである。

【０００６】特に好ましくは、吸音性のモ−ルド部分は
更に、格子縞を有する表面構造に対し強く作用するくぼ
みを形成するようにプレス加工された不織布から形成さ
れている。この格子形に取付られたくぼみの領域で、不
織布は強くプレス加工され、きわめて強固な構造が形成
される。

【０００７】モ−ルド部分のこの強固な内部構造によっ
て、該モ−ルド部分を車体部分に無理なく取付けること
ができる。好都合にも、前記くぼみはまた、電気ケ−ブ
ルあるいはアンテナケ−ブルの配設用溝として使用でき
る。また、前記くぼみは電気的絶縁材とグラスファイバ
−による強化材料、あるいはそれらのいずれか一つで覆
うことができる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例につき添付図面を参照
しつつ説明する。従来のル−フライニング１は、通常、
図１に示すように、鉄板から形成されている車体部分２
と、該部分２に付着している吸音マット３を備えてい
る。吸音マット３は、音響上の理由から多孔性の非常に
弾力に富む材料、例えばフォ−ムラバ−や柔らかい不織
布から形成されている。車体部分２のくぼみのために、
通常、車体部分と吸音マットとの接着面４は可能な限り
大きくされる。図２はこのように接着面４を大きく形成
したル−フライニングの構造を示す横断面である。これ
とは異なり、本発明に従ったモ−ルド部分５は自己支持
であり、車体部分２とは部分的にしか密着していない。

【０００９】図３は、本発明に従ったモ−ルド部分５を
示す横断面図である。該部分は特に好ましくは、適切な
方法でプレス加工された不織布とされ、総厚さ１４ｍｍ
以下である。このような不織布は、天然繊維及び合成繊
維を混合したものを適切な合成樹脂により相互に結合し
て形成されている。こうした不織布製品は、例えばＴＡ
ＣＡの商品名で市販されている。この不織布によるモー
ルド部分５の車体部分２に向いた面は特別な方法で構造
を与えられている。より好ましくは、この側面は、空気
の動きに対する平面方向の空気抵抗が厚さ方向のそれよ
り小さくなるように格子縞状に刻みがつけられている。
この際、約２ｍｍの凸部７の間の、格子形のモデルを形
成している刻みの付けられた表面６は、モ−ルド部分５
の中へ刻印により設けられている。

【００１０】本発明の実施例に係るモ−ルド部分５は自
己支持であり車体部分２に固定する必要がない。この場
合、重要なのは、自己支持をなすモ−ルド部分の特性
が、局部的に強化された領域あるいは層から生じている
のか、或いは支持能力を有する格子の嵌め込みによって
成立しているのかということである。しかし、本発明で
重要なのは、格子状組織の個々の凸部７が車体部分２に
密着していることである。そのため、補助手段として、
凸部７の少なくとも一部分を車体部分２に張り付ける、
或いは溶着することが可能である。

【００１１】さらに好ましくは、モ−ルド部分５は圧縮
度の異なる様々な層から形成されている。客室に向けら
れたモ−ルド部分の側面は、とりわけ強く圧縮され、そ
れによりモ−ルド部分５全体が自己支持をする建築部品
として、しっかりと組込まれるよう充分な強度を有する
から、組込みは該部分の周辺を固定すればよい。

【００１２】モ−ルド部分５のとりわけ極微の多孔を持
つフォイルはまた、クッション付あるいはクッション無
しで、多少の差はあれ複数の圧縮された層をサンドイッ
チ状に積み上げることが可能である。特殊な音響上の最
適化は、基本的には車体部分の寸法と形に依存するがこ
れは専門家の能力に頼らねばならない。しかし、本発明
で重要なのは今まで述べた方法での異方性のモ−ルド部
分５の空気抵抗と、該モールド部分の支持力の安定性の
みで可能な、車体部分への単に部分的な溶着である。

【００１３】このように組み立てられた音響もしくは振
動緩和システムの製造は驚くほど簡単なことが見出ださ
れた。つまり、このようなシステムは単に１つの構成要
素から成り、低周波領域では従来のシステムと比べ、き
わめて良い緩和効果を示す。本発明に従ったこの構造に
より、２００ヘルツ以下の低周波の車体振動が効率良く
緩和され得る。

【００１４】これはとりわけ、図５、図６及び図７にお
いて明らかであり、図６は溶着されたビチューメン（ｂ
ｉｔｕｍｅｎ）層を有する従来の緩和システムの振動緩
和の測定カ−ブを示すグラフである。図６に対し、図７
は、本発明に従った大量スプリングシステム（Ｆｅｄｅ
ｒ−Ｍａｓｓｅ−Ｓｙｓｔｅｍ）の振動緩和測定カ−ブ
のグラフであり、とりわけ２００ヘルツ以下の周波数領
域において明らかな改良が示されている。この比較参考
データとして、緩和のない場合の従来システムの振動緩
和測定カ−ブを図５に示す。

【００１５】ル−フライニングは、より好ましくは、モ
−ルド部分５の刻印された側面のくぼみ８は格子形の配
置でモ−ルドされる。このくぼみは、最初の完成形で深
さ約１０ｍｍであり、いずれにせよ簡単な方法で刻印さ
れる。これにより、モ−ルド部分の局所的領域はきわめ
高密度とされ、これにより、モ−ルド部分に、モ−ルド
部分全体の自己支持の安定性にとって非常に有益な、強
くプレス加工されたために極めて形の安定した材料から
成る格子構造が形成される。こうして形成されたくぼみ
は、もちろんケ−ブル配設用のレ−ルとして、とりわけ
アンテナケ−ブル、電気ケ−ブル或いはラウドスピ−カ
−ケ−ブルのために使用できる。安全性の理由から、こ
のように形を整えられたモ−ルド部分５では、主として
グラスファイバ−により強化されたポリエステルから成
るレ−ル９を使用し、車体部分２及びモ−ルド部分５、
或いはその一方によって張り付けることはもちろん可能
である。レ−ル９は同時に、車体部分２のための強化さ
れた梁としても作用する。くぼみ８はまた、モ−ルド部
分５の中に、特記すべき局所的な厚さの違いを生じるこ
となく、それにより全体の安定性が侵害されないよう
に、組み入れられることは自明である。

【００１６】このル−フライニング構造のより好ましい
形態の概略は既に述べたが、とりわけ、客室に向けられ
た側面が装飾的な層１０により覆われている。本発明に
係る構造は車両の中で使用されるだけでなく、機械の製
造においても、音響の吸収のため、低周波の振動が緩和
されるべき全ての箇所で使用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来のルーフライニングの構造の横断面図であ
る。

【図２】振動の緩和を改善した、従来のルーフライニン
グの構造の横断面図である。

【図３】本発明の実施例に係るルーフライニングの構造
の横断面図である。

【図４】本発明の実施例に係るモールド部分を示す斜視
図である。

【図５】被膜無しの車体部分における振動緩和の測定カ
ーブを示すグラフである。

【図６】従来の被膜付き車体部分における振動緩和の測
定カーブを示すグラフである。

【図７】本発明の実施例に係るルーフライニングを有す
る車体部分における振動緩和の測定カーブを示すグラフ
である。

【符号の説明】

１ ルーフライニング ２ 車体部分 ３ 吸音マット ４ 接着面 ５ モールド部分 ６ 表面

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも車体部分と、多孔性の材料、
   とりわけプレス加工された不織布から形成され、音を吸
   収するモ−ルド部分とを備え、前記車体部分の低周波の
   振動緩和のために、前記モ−ルド部分が自己支持に形成
   され、前記車体部分に向けられた前記モ−ルド部分の側
   面が異方性の空気抵抗構造をなしており、とりわけ格子
   に似た構造を有する表面と該構造の側面を有する前記自
   己支持のモ−ルド部分が車体部分に密着していることを
   特徴とする、振動を緩和するル−フライニングの構造。
2. 【請求項２】 モ−ルド部分の自己支持の安定性を得る
   ための補強層を有することを特徴とする請求項１に記載
   の構造。
3. 【請求項３】 前記補強層が格子形であることを特徴と
   する請求項２に記載の構造。
4. 【請求項４】 前記モ−ルド部分が部分的にル−フライ
   ニングに接合されていることを特徴とする請求項１から
   ３のいずれか１つに記載の構造。
5. 【請求項５】 請求項１の振動を緩和するル−フライニ
   ングの構造に適合する吸音性のモ−ルド部分であって、
   多孔性の材料、とりわけプレス加工された不織布から形
   成され、前記モ−ルド部分が自己支持であり、前記モ−
   ルド部分の少なくとも１つの側面が、側面方向の空気の
   動きが斜めのそれより空気抵抗が小さく、とりわけ前記
   モ−ルド部分が格子に似た構造を有する表面を備えてい
   ることを特徴とする吸音性のモールド部分。
6. 【請求項６】 複数の異なった強く圧縮された層を備え
   ていることを特徴とする請求項５に記載のモールド部
   分。
7. 【請求項７】 格子形に分散されたくぼみを有し、その
   床領域が他の領域と比べて湾曲箇所が非常に硬いことを
   特徴とする請求項５又は６に記載のモールド部分。