JPH0617196A - 亜鉛系めっき鋼板スキンパス圧延用ワークロール及びその製造法 - Google Patents

亜鉛系めっき鋼板スキンパス圧延用ワークロール及びその製造法

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JPH0617196A
JPH0617196A JP17710192A JP17710192A JPH0617196A JP H0617196 A JPH0617196 A JP H0617196A JP 17710192 A JP17710192 A JP 17710192A JP 17710192 A JP17710192 A JP 17710192A JP H0617196 A JPH0617196 A JP H0617196A
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JP
Japan
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work roll
roll
present
surface hardness
zinc
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JP17710192A
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Shigeki Shimizu
茂樹 清水
Tsutomu Takeuchi
力 竹内
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Kanto Special Steel Works Ltd
JFE Engineering Corp
Original Assignee
Kanto Special Steel Works Ltd
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ロール原単位を悪化させることなくロール表
面損傷の発生を完全に防止できる、耐食性に優れたワー
クロールを提供する。 【構成】 C:0.6 〜2.0 %、Si:1.5 %以下、Mn:1
%以下、Ni:2.0 %以下、Cr:4.0 〜15.0%、Mo:0.6
〜3.5 %、V:0.3 〜1.5 %、W:2.0 %以下、残部Fe
および不可避的不純物からなる鋼組成を有するとともに
500 ℃以上での焼戻し処理を行われてなり、表面硬度HS
88〜100 であるワークロール。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Zn、Zn−Al合金、Zn−
Ni合金さらにはZn−Fe合金等の亜鉛系めっき鋼板スキン
パス圧延用ワークロール及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、連続式溶融亜鉛めっきラインで
は、めっき鋼板の機械的性質を改善するため、めっき後
に軽圧下のスキンパス圧延が行われる。また、電気めっ
きラインの出側では、めっき鋼板の平坦度や表面性状の
調整のためにスキンパス圧延が行われることもある。
【0003】ところで、Zn、Zn−Al合金、Zn−Ni合金さ
らにはZn−Fe合金等の亜鉛系めっき鋼板のスキンパス圧
延用ワークロール (以下、本明細書においては単に「ワ
ークロール」という) は、その表面への亜鉛の付着を防
止するため、多くの場合に水潤滑環境下で使用される。
【0004】一般に、スキンパス圧延はおよそ 700トン
以下の圧延荷重により軽圧下 (圧下率:0.5〜2%) を鋼
板に付与するものである。また、ワークロールは、溶製
→加熱→鍛造→焼鈍→外径旋削→焼入→仕上げ旋削およ
び研磨という工程で製造され、ユーザーによりダル加工
を施される鍛鋼製焼入ロールが使用されており、高々10
6 回転を使用限度として組み替えを行われ、研削および
ダル加工を行われて再使用される。
【0005】このような製造条件および水潤滑環境下で
使用されるワークロールの表面には、微細なふくれキズ
やこのふくれキズの表面が剥離した微細なピットキズ、
さらにはこれらを起点とした疲労亀裂が発生し易く、こ
れらが内部へと進展して最終的にスポーリングといわれ
る脆性破壊現象 (以下、これらのワークロールの表面不
具合を「ロール表面損傷」という) が発生することが知
られている。
【0006】従来から、このようなロール表面損傷を防
止するために様々な対策が講じられている。例えば、一
回当たりの圧延長さの規制(Ton/回やKm/回) を行った
り、ワークロールの削量の増加 (mm/回) 等の対策が知
られている。しかし、これらの対策はいずれも生産性お
よびロール原単位を低下させるものであり、ロール表面
損傷を根本的に解決するものであるとはいえない。
【0007】また、ワークロールの表面硬度を従来より
も低下させることにより、ロール表面損傷を根本的に解
決する手段も試みられている。この手段は、ワークロー
ルの耐食性を向上させるものであることから、確かにロ
ール表面損傷の発生率を低下させることはできる。しか
し、この手段ではロール表面損傷を完全に解決すること
はできないとともに、ワークロールの表面硬度を低下さ
せるためにワークロールの表面に傷が発生し易く、さら
にはダル摩耗も促進されるという問題を有しており、圧
延製品の品質劣化を伴うためその実施は難しい。
【0008】一方、特開昭61−20800 号公報や同61−20
2708号公報には、ワークロールの表面にクロムめっきを
施すことによりロール表面損傷を防止する技術が提案さ
れている。さらに、特開平2−30309 号公報には、ワー
クロールの表面にクロムめっきを施し、クロムめっき皮
膜中の水素含有量およびめっき厚をともに特定の範囲に
限定したワークロールが提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ワークロールの表面に
クロムめっきを施す技術はワークロールの摩耗量を減少
させることから、確かにワークロールの寿命延長に効果
がある。しかし、これらの技術はロール表面損傷を完全
に解消できるものではない。また、これらの技術では、
使用に際してはワークロールに対してクロムめっき処理
およびベーキング処理を行う必要があり、ロール原単位
を著しく増加させてしまう。
【0010】ここに、本発明の目的は、ロール原単位を
悪化させることなくロール表面損傷の発生を完全に防止
することができる、耐食性に優れたワークロールおよび
その製造法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】従来より、ワークロール
の表面損傷はドライのスキンパス圧延では発生せず水圧
延においてのみ発生すること、および高々180 ℃以下の
低温焼戻しされた従来のワークロールでも、表面硬度が
低いほど、また同一の表面硬度であってもサブゼロ処理
を行わないものほどロール表面損傷の発生率が低いこと
が経験的に知られている。
【0012】本発明者は、これらの経験的事実に基づい
てロール表面損傷の発生条件・機構について詳細に検討
した結果、ロール表面損傷は、亜鉛系めっき鋼板のスキ
ンパス圧延に特有な環境条件、すなわち低温焼戻し処
理を行った高Cのマルテンサイト組織を主体とするHS88
以上の高表面硬度のワークロールの存在ワークロール
の表面における、亜鉛系めっき鋼板から運ばれた付着亜
鉛の存在潤滑液としての水の存在というないしの
環境条件が共存したときに発生する水素が、ワークロー
ルの内部に侵入して特定の深さ位置に集積・極在化し、
その後に高圧の分子状水素となって析出する際に、ワー
クロールの表面直下に微細な亀裂を発生させ、発生した
微細な亀裂が微細なふくれキズへ、その表層部が剥離し
た微細なピットキズへ、さらにスポーリングへと進展す
る現象であることがわかり、さらに検討を重ねた結果、
下記(i) 〜(iii) に列記する知見を得た。
【0013】(i) 各種のワークロール材料の水素脆化感
受性は環境条件の影響を顕著に受ける。大気環境中に比
較して水中環境での感受性は高まり、さらに亜鉛の接触
した水中環境での感受性は著しく高まる。
【0014】(ii)従来のワークロール材料の (亜鉛+
水) 環境下での水素脆化感受性は、表面硬度が高いほど
大きくなる。ところが、同一の表面硬度であっても焼入
れ後にサブゼロ処理を行うことにより水素脆化感受性は
さらに高まる。
【0015】(iii) ワークロールの製造工程において、
焼入れ後に焼戻しを行う場合、その温度が高いほど水素
脆化特性は向上する。特に、析出硬化型材料を 500℃以
上の温度で焼戻し処理することにより、水素脆化特性は
著しく改善される。
【0016】知見(i) および(ii)は、前述した、従来の
亜鉛系めっき鋼板の水圧延においてしばしば経験する事
実と極めて良く符合する。また、知見(iii) は、極めて
重要な知見である。HS88以上の表面硬度を有するワーク
ロールが二つあっても、低温焼戻しを行われた材料と、
500 ℃以上の高温焼戻しを行われた材料とでは、水素脆
化特性に著しい差異が認められる。
【0017】そこで、本発明者は知見(iii) に関してさ
らに詳細な追加実験を行った結果、ワークロールの組
成、表面硬度および焼戻し温度を適正な範囲に限定する
ことにより、水潤滑環境下で使用されるワークロールに
発生するロール表面損傷を完全に解消できることを知見
して、本発明を完成した。
【0018】ここに、本発明の要旨とするところは、重
量%で、 C:0.6 〜2.0 %、Si:1.5 %以下、Mn:1 %以下、N
i:2.0 %以下、 Cr:4.0 〜15.0%、Mo:0.6 〜3.5 %、V:0.3 〜1.5
%、 さらに必要に応じてW:2.0 %以下、残部Feおよび不可
避的不純物からなる鋼組成を有するとともに表面硬度HS
88〜100 であって、500 ℃以上での焼戻し処理組織を有
することを特徴とする耐食性に優れたワークロールであ
る。本発明にかかるワークロールは、上記鋼組成を有す
る鋼片に、加熱、鍛造、焼鈍および焼入れを行った後に
500 ℃以上での焼戻しを少なくとも1回行って、表面硬
度をHS88〜100 とすることにより提供される。
【0019】本発明において、500 ℃以上での焼戻し処
理組織とは、500 ℃以上での焼戻し処理を行って得た組
織をいう。
【0020】
【作用】以下、本発明を作用効果とともに詳述する。な
お、本明細書においては特にことわりがない限り「%」
は「重量%」を意味するものとする。まず、本発明にか
かるワークロールの組成を限定する理由を説明する。
【0021】C:Cは、Fe、Cr、Mo、V、W等の合金元
素と結合して硬い炭化物を作り、ワークロールの耐摩耗
性を向上させる作用を奏する重要な元素である。本発明
にかかるワークロールとして必要な表面硬度を得るため
には少なくとも0.6 %は添加する。一方、2.0 %を越え
て添加するとネット状の共晶炭化物が晶出し、ワークロ
ールの水素脆化特性、靱性および研削性が低下する。そ
こで、本発明では、C含有量は0.6 %以上2.0 %以下と
限定する。
【0022】Si:Siは、主として基地に固溶してワーク
ロールの焼入れ性および焼戻し軟化抵抗を高める作用が
ある。また、Siには脱酸作用があるためにある程度の量
は不可避的に含有される。しかし、Si含有量が1.5 %を
越えるとワークロールの鍛造性および耐クラック性が低
下する。そこで、本発明では、Si含有量は1.5 %以下と
限定する。
【0023】Mn:Mnは、Siと同様に、主として基地に固
溶してワークロールの焼入れ性を向上させるとともに脱
酸元素であるためにある程度の量は不可避的に含有され
る。しかし、Mn含有量が1%を越えるとワークロールの
耐クラック性を低下させる。そこで、本発明では、Mn含
有量は1%以下と限定する。
【0024】Ni:Niは、基地に固溶し、焼入れ性を向上
させるとともに靱性を付与する効果を奏する。しかし、
2.0 %を越えて添加すると、水潤滑環境下で発生してワ
ークロール中に侵入する水素の拡散を遅らせ、ワークロ
ールの水素脆化感受性を高める。そこで、本発明では、
Ni含有量は2.0 %以下と限定する。
【0025】Cr:Crは、 (Cr、Fe)23 6 や (Fe、Cr)3
C等の複炭化物を形成するとともにその一部は基地に固
溶して、焼入れ性を向上させ、さらに本発明にかかるワ
ークロールにおいて重要な析出硬化特性を与える。後述
するような500 ℃以上での焼戻し後に、表面硬度HS88以
上を確保するためには少なくとも4.0 %添加する必要が
ある。しかし、15.0%を越えて多量に添加すると、ネッ
ト状の共晶炭化物が晶出し、水素脆化感受性を高める。
そこで、本発明では、Cr含有量は、4.0 %以上15.0%以
下と限定する。
【0026】Mo:Moは、Crと同様に複炭化物を形成する
とともにその一部は基地に固溶して、焼入れ性を向上さ
せ、さらに本発明にかかるワークロールにおいて重要な
析出硬化特性を与える。後述するような500 ℃以上での
焼戻し後に、表面硬度HS88以上を確保するためには少な
くとも0.6 %添加する必要がある。しかし、3.5 %を越
えて多量に添加すると、耐クラック性を低下させるだけ
でなく析出硬化特性にも悪影響を及ぼす。そこで、本発
明では、Mo含有量は0.6 %以上3.5 %以下と限定する。
【0027】V:Vは、Cと結合して非常に硬い炭化物
を作りワークロールに耐摩耗性を付与するとともにその
一部は基地に固溶して析出硬化特性を与える。かかる効
果は0.3%未満の含有量では不充分であり、一方、1.5
%を越えて添加すると著しく研削性を阻害する。そこ
で、本発明では、V含有量は0.3 %以上1.5 %以下と限
定する。
【0028】W:Wは、本発明においては必要に応じて
添加される元素であり、Moと同様の効果を有する元素で
あるがその作用はMoの半分程度である。特に析出硬化以
後の焼戻し軟化抵抗を増大するために有効な元素であ
る。したがって、WはMoに置換し得るものであり、2.0
%までは析出硬化特性を改善する観点から添加してもよ
い。しかし、2.0 %を越えて添加するとMoと同様に耐ク
ラック性を阻害するおそれがある。そこで、本発明で
は、Wを添加する場合にはその含有量は2.0 %以下とす
ることが望ましい。さらに望ましくは 1.0%以下であ
る。上記以外の組成は、Feおよび不可避的不純物であ
る。
【0029】本発明にかかるワークロールは、上記の鋼
組成を有する鍛鋼製焼入ロールであって、例えば電気炉
を用いる通常工程、真空溶解工程またはエレクトロスラ
グ溶解工程により溶製された鋼片を、加熱炉で適当な温
度に加熱した後プレス機により鍛造し、焼鈍後に外径旋
削および焼入れを行い、焼戻しを少なくとも1回行って
から仕上げ旋削および研磨を施されて製造され、ユーザ
ーにより必要に応じてダル加工を行われて使用される。
【0030】ここで、本発明にかかるワークロールは、
焼戻し温度を500 ℃以上と、表面硬度をHS88〜100 とそ
れぞれ限定する。焼戻し温度および表面硬度の限定理由
について以下に詳述する。
【0031】本発明にかかるワークロールにおいて、焼
戻し温度の限定はワークロールの水素脆化の観点から極
めて重要であり、焼戻しによって、ロール使用中の環境
から侵入する水素のトラップ・サイトとなる結晶内部ひ
ずみあるいは転位の減少を目的とする。前述のごとく、
付着亜鉛および水潤滑環境下で使用されるワークロール
の水素脆化特性は、焼戻し温度の上昇とともに改善され
る。特に、本発明で規定する鋼組成を有し、500 ℃以上
での焼戻しを行われて製造されるワークロールは、必要
な表面硬度HS88、望ましくはHS90以上を確保できるとと
もに、ロール表面損傷が発生しない水素脆化特性を維持
できる。つまり、本発明で規定する鋼組成を満足するワ
ークロールであっても焼戻し温度が500 ℃未満である
と、必要な水素脆化特性が付与されない。なお、焼戻し
温度の上限はA1点とすればよい。
【0032】また、単に水素脆化の観点のみから考える
と表面硬度は低いほうが有利である。一方、ワークロー
ル表面に生じる凹みキズの防止の観点からはHS88以上、
望ましくはHS90以上であるがHS100 を越えると水素脆化
特性が不足する。そこで、本発明にかかるワークロール
は、焼戻し温度を500 ℃以上、表面硬度をHS88〜100と
それぞれ限定する。
【0033】以上説明してきた組成およびロール表面硬
度を有し、本発明で規定する焼戻し温度で処理されてな
るワークロールは、亜鉛系めっき鋼板スキンパス圧延に
おいて、ロール表面損傷を生じることがない。さらに、
本発明を実施例を参照しながら説明するが、これは本発
明の例示であり、これにより本発明が限定されるもので
はない。
【0034】
【実施例1】各種のワークロール材料について、水潤滑
環境下における耐食性 (狭義には水素脆化特性) を、図
1に示す方法で実験的に比較評価した。図1は、各種の
ワークロール材料の水素脆化特性を比較評価するために
用いた試験方法を示す説明図であり、同図において、符
号1は外径8mm、長さ100mm 、首下切欠底外径6mmおよ
び首下切欠先端半径1mmの寸法を有する試験片であり、
符号2は厚さ3mmの亜鉛板であり、さらに符号3は大気
あるいは水からなる環境をそれぞれ示す。
【0035】すなわち、表1に示す鋼組成を有する鋼種
A〜E、鋼種a1〜c の試験片1に、加熱、鍛造および焼
鈍を行った後に焼入れを行った。焼入れ後に表1に示す
条件で熱処理を行い、表1に示す値の表面硬度とした。
このようにして表面硬度を変更した試験片1を、図1に
示す装置に装着して5Ton/min の荷重速度で引張破断さ
せた。このときの切欠底公称破断強さを、大気中および
(亜鉛板+水中) の2水準で測定した。結果を表1にま
とめて示す。ここで、σnAおよびσnW+Zn は、それぞれ
大気中および亜鉛板を接触させた水中における破断強さ
を示す。
【0036】
【表1】
【0037】表1に示す結果から、 (i) 各種のワークロール材料の水素脆化感受性は環境条
件の影響を顕著に受ける。大気環境中に比較して水中環
境での感受性は高まり、さらに亜鉛の接触した水中環境
での感受性は著しく高まる。
【0038】(ii)従来のワークロール材料の (亜鉛+
水) 環境下での水素脆化感受性は、表面硬度が高いほど
大きくなる。ところが、同一の表面硬度であっても焼入
れ後にサブゼロ処理を行うことにより水素脆化感受性は
さらに高まる。
【0039】(iii) 焼戻し温度が高いほど水素脆化特性
は向上する。特に、析出硬化型材料を500℃以上の温度
で焼戻し処理することにより、水素脆化特性は著しく改
善される。
【0040】という傾向がわかる。また、切欠底破断強
さが小さいものほど起点部破面に認められる粒界割れ領
域が大きくなっており、実際のワークロールにおける
(亜鉛+水)環境下での水素脆化感受性が再現されてい
る。したがって、本実験結果は実際のワークロールに対
しても適用できると考えられる。
【0041】なお、本実験における起点部破面の一例と
して、従来のロール鋼材料 (表1のb2鋼) および本発明
鋼材料 (表1のA 鋼) の、亜鉛板と接触した水中での破
壊起点部の様相の金属組織写真を図2に示す。図2(a)
はA鋼を、図2(b) はb2鋼をそれぞれ示す。
【0042】図2から明らかなように、従来のワークロ
ール材料に比較して、本発明にかかるワークロール材料
の起点部粒界割れ領域は著しく小さく、水素脆化特性が
優れることがわかる。
【0043】
【実施例2】表2に示すA鋼、B鋼の成分系からそれぞ
れなる、胴径325mm 、胴長1500mmの本発明にかかるワー
クロールを、溶製→加熱→鍛造→焼鈍→外径旋削→焼入
→焼戻し→仕上げ旋削および研磨という工程で製造し、
その後にダル加工を行った。いずれも製造時の熱処理に
おいて、焼入れ後に 530℃での焼戻しを2回行い、各々
の表面硬度をHS93、HS92とした。
【0044】一方、比較例のロールはb2鋼の成分系と
し、溶製→加熱→鍛造→焼鈍→外径旋削→焼入→サブゼ
ロ処理→焼戻し→仕上げ旋削および研磨という工程で製
造し、その後にダル加工を行った。焼戻しは160 ℃で行
い、表面硬度HS94とした。
【0045】
【表2】
【0046】これらのワークロールをスキンパスミルに
組み込み、水潤滑環境下で亜鉛系めっき鋼板のスキンパ
ス圧延を行い、表3に示す使用回数における平均削量(m
m/回) および、ふくれキズあるいはピットキズ発生回数
を測定した。結果を表3にまとめて示す。
【0047】
【表3】
【0048】比較例のワークロールに対して、本発明に
かかるワークロールの1回当たりの圧延量は約1.5 〜2
倍であり、1回当たりの削量は約1/3 以下であり、ロー
ル原単位の大幅な向上が可能となった。また、微細ふく
れキズ、微細ピットキズおよびスポーリング等の表面損
傷の発生は、本発明鋼からなるワークロールにおいては
皆無であり、その優れた性能が確認された。
【0049】
【発明の効果】このように、本発明にかかるワークロー
ルは、従来のワークロールに比較して、耐食性すなわち
表面損傷の抑制性が優れることがわかる。したがって、
生産性のみならず、ロール原単位の大幅な向上が可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ワークロール材料の水素脆化特性を比較評価す
るために用いた試験方法を示す説明図である。
【図2】従来のロール鋼材料 (表1のb2鋼) および本発
明鋼材料 (表1のA 鋼) の、亜鉛板と接触した水中での
破壊起点部の様相を示す金属組織写真であり、図2(a)
はA鋼を、図2(b) はB鋼をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1:ワークロールからなる試験片 (外径8mm×長さ100m
m 、首下切欠底外径6mm、首下切欠先端半径1mm) 2:亜鉛板 (3mm厚さ) 3:大気あるいは水からなる環境
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年7月14日
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/22

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.6 〜2.0 %、Si:1.5 %以下、Mn:1 %以下、N
    i:2.0 %以下、 Cr:4.0 〜15.0%、Mo:0.6 〜3.5 %、V:0.3 〜1.5
    %、 残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼組成を有すると
    ともに表面硬度HS88〜100 であって、500 ℃以上での焼
    戻し処理組織を有することを特徴とする耐食性に優れた
    亜鉛系めっき鋼板スキンパス圧延用ワークロール。
  2. 【請求項2】 前記鋼組成は、さらに、重量%でW:2.
    0 %以下を含むことを特徴とする請求項1記載の亜鉛系
    めっき鋼板スキンパス圧延用ワークロール。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の鋼組成を
    有する鋼片に、加熱、鍛造、焼鈍および焼入れを行った
    後に、500 ℃以上での焼戻しを少なくとも1回行って、
    表面硬度をHS88〜100 とすることを特徴とする耐食性に
    優れた亜鉛系めっき鋼板スキンパス圧延用ワークロール
    の製造法。
JP17710192A 1992-07-03 1992-07-03 亜鉛系めっき鋼板スキンパス圧延用ワークロール及びその製造法 Withdrawn JPH0617196A (ja)

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